Minoltaflexとは?1937年に登場したミノルタ初期の6×6判二眼レフを徹底解説
Minoltaflexは、120ロールフィルムを使用する6×6判の二眼レフカメラです。
現在では後に登場したMinoltaflex IIやIIIなどと区別するため、
Minoltaflex I
と呼ばれることがあります。
ただし「I」は後世の整理上使われる呼称で、当時のカメラ本体前面には単に「Minolta」と記された個体が知られています。ミノルタTLR研究資料でも、初代モデルを便宜上Minoltaflex Iと呼んで後続機と区別しています。
日本カメラ博物館の情報を収録する産業技術史資料共通データベースでは、初代ミノルタフレックスについて、
- 1937年12月発売
- レンズシャッター式二眼レフ
- 120フィルム
- 60×60mm
- 二重露出防止機構
- ノブ繰出し式焦点調節
を備えたカメラとして記録されています。
現在のMinoltaといえば、
- SRシリーズ
- Xシリーズ
- α-7000
- AF一眼レフ
などを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかしミノルタの二眼レフの歴史は非常に古く、1930年代まで遡ります。
その出発点に位置するのがMinoltaflexです。
この記事では、初代Minoltaflexの歴史、6×6判、二眼レフ構造、75mm F3.5撮影レンズ、シャッター、フィルム送り、ピント合わせ、後のMinoltaflex IIやAutocordとの違い、そして中古購入時の注意点まで詳しく解説します。
Minoltaflexは1937年発売
Minoltaflexの開発は1936年に始まったとされています。
Camera-wikiが当時の広告・カタログを追跡した資料によれば、試作は1936年に進められ、商品としての登場は1937年末。
1937年12月付の日本の写真雑誌に広告が掲載され、同月の展示会にも出品されたとされています。
日本カメラ博物館系データベースでは発売時期を昭和12年12月としています。
そのため、
「1936年のカメラ」
と、
「1937年発売のカメラ」
という情報を両方見かけることがあります。
整理すると、
1936年=開発・試作期
1937年=市販開始
と考えると分かりやすいでしょう。
当時のミノルタはまだ若いメーカーだった
後のミノルタにつながる会社は、田嶋一雄によって1928年に設立されました。
現在のコニカミノルタ公式史でも、1928年に田嶋一雄が日独写真機商店を設立し、翌1929年に最初のカメラを発売したことが記録されています。
つまりMinoltaflexが登場した1937年は、カメラメーカーとしてまだ10年にも満たない時期です。
それにもかかわらず6×6判二眼レフへ参入したことから、当時の同社がかなり積極的にカメラ開発を進めていたことが分かります。
国産TLRの黎明期を代表する一台
Minoltaflexは、日本製二眼レフが本格的に普及する以前のカメラです。
「日本初の二眼レフ」という表現については、Prince Flexなど同時期の機種との関係があり資料によって整理が異なるため、単純に世界初・日本初と断定するのは慎重であるべきです。
一方、和歌山県の田嶋一雄紹介資料では1936年に国産二眼レフMinoltaflexの開発に成功し、翌年から販売したと紹介されています。
また専門資料では、Minoltaflexを日本で早期に本格量産・商業的成功を収めたTLRのひとつとして高く評価しています。
少なくとも、
1930年代国産二眼レフの最重要モデルのひとつ
と考えて差し支えありません。
二眼レフとは
MinoltaflexはTLR、Twin Lens Reflexです。
前面を見ると上下に2本のレンズがあります。
上側のレンズ
ファインダーを見るためのビューレンズです。
下側のレンズ
実際にフィルムへ像を記録する撮影レンズです。
一眼レフのように1本のレンズを撮影とファインダーで共用しません。
このため撮影時にミラーが跳ね上がる必要がありません。
上から覗いて撮影する
ボディ上部のファインダーフードを開き、上からフォーカシングスクリーンを覗きます。
上側レンズから入った光は内部ミラーによってスクリーンへ導かれます。
二眼レフらしく、
腰の高さでカメラを構えて撮る
ことができます。
現在のアイレベルファインダーに慣れていると最初は少し戸惑いますが、被写体と真正面から目を合わせず撮れるため、人物撮影にも独特の魅力があります。
左右が反転して見える
一般的なTLRのウエストレベルファインダーでは、上下は正しいものの左右が反転して見えます。
カメラを左へ向けたいとき、スクリーン上では被写体が逆方向へ動きます。
初めて使うと、
「ちょ、待て。どっちへ動かせばいいんだ!」
となります。
慣れるまで少し練習が必要です。
スポーツファインダーも備える
初代Minoltaflexのファインダーフードには、折りたたみ式のスポーツファインダー機構を備える個体があります。
研究資料では、フードの一部を倒すことでアイレベルに近い構え方が可能になる構造が確認されています。
動く被写体を追う場合など、左右反転するスクリーンより構図を取りやすくできます。
ただし精密なピント確認にはウエストレベル側を使用します。
120フィルムを使用
使用フィルムは120です。
日本カメラ博物館系データベースでも、
120フィルム・60×60mm
と記録されています。
現在でも120フィルムは、
- カラーネガ
- モノクロ
- リバーサル
などが販売されているため、状態のよいMinoltaflexなら現在でも実写できます。
6×6判
撮影画面は約6×6cm。
正方形です。
35mm判の24×36mmよりはるかに大きなフィルム面を使います。
そのため、
- 大きなネガ
- 豊かな階調
- 拡大プリント
- 独特の立体感
を楽しめます。
正方形なので縦位置・横位置がない
6×6判の面白さは構図にもあります。
縦位置。
横位置。
という区別がありません。
どちらへカメラを回しても正方形です。
TLRを胸や腰の高さで安定して構えたまま撮影できるのは大きなメリットです。
撮影レンズは75mm F3.5が代表的
初代Minoltaflexで代表的なのが、
Promar Anastigmat 75mm F3.5
です。
複数の研究資料では、初期の撮影レンズとしてAsahi Kogaku、後の旭光学・PENTAXにつながるメーカー製のPromar Anastigmat 75mm F3.5が使われたとされています。
Camera-wikiの調査では4枚構成とされています。
なぜミノルタなのにPENTAX系のレンズなのか
1930年代の日本のカメラ産業では、ボディメーカーが光学系を外部メーカーから調達することは珍しくありませんでした。
Minoltaflexの初期撮影レンズにはPromarが使用され、専門資料では旭光学製とされています。
つまり、
ミノルタのカメラに、後のPENTAXにつながる会社のレンズ
という非常に面白い組み合わせです。
日本カメラ産業史が好きなら、これだけでもかなり刺さります。
ビューレンズは75mm F3.2
上側のファインダー用レンズは、
Minolta Anastigmat 75mm F3.2
の個体が確認されています。
撮影レンズF3.5より少し明るいF3.2です。
これはフィルムへ写すためのレンズではありません。
フォーカシングスクリーンへ明るい像を投影して、ピントを合わせやすくする役割があります。
中古購入では、この上下2本のレンズを別々に確認する必要があります。
ビューレンズが曇っていても写真には直接写らない
上側レンズにカビや曇りがあっても、それ自体がフィルムへ写り込むわけではありません。
写真に影響するのは下側の撮影レンズです。
しかしビューレンズが曇ると、
- スクリーン像が暗い
- コントラストが低い
- ピント確認が難しい
という問題が起きます。
「上だから汚れていてもどうでもいい」
ではありません。
75mmは6×6判では標準域
35mm判で75mmなら短い望遠ですが、6×6判では標準域です。
人物、風景、街並み、家族写真など幅広く使用できます。
現在の感覚なら、
6×6判の基本レンズ一本で何でも撮る
という使い方です。
レンズ交換式カメラではありません。
75mm一本で勝負します。
レンズ交換はできない
通常のMinoltaflexは固定レンズ式TLRです。
後年、軍用・特殊用途として交換レンズ式のMinoltaflexが存在したとする資料もありますが、一般市販された1937年型とは別物です。
初代Minoltaflexを購入する場合は、
75mm標準レンズ固定式
と考えましょう。
シャッターには仕様違いがある
初代Minoltaflexは長期間製造され、途中でシャッター仕様が変化しています。
初期個体ではドイツ製Compurシャッターを装着したものが確認されています。
その後は国産のCrown/Crown IIシャッターへ移行しました。
つまり中古で、
「ネットで見たMinoltaflexとシャッター名が違う」
からといって即座に改造品とは判断できません。
代表的なシャッター速度は1秒~1/300秒
Crown II仕様の代表例では、
- B
- 1秒~1/300秒
です。
初期Compur仕様ではTを含む個体も確認されています。
製造時期によって、
- T
- B
- 1~1/300秒
の構成に違いがあります。
中古では実物のシャッターリングを確認しましょう。
レンズシャッター式
シャッターは撮影レンズ部分に組み込まれています。
現在の一眼レフのようなボディ側フォーカルプレーンシャッターではありません。
レンズシャッターなので、
- 動作音が比較的小さい
- ミラーショックがない
- 原理上フラッシュ同調にも有利
という特徴があります。
ただし1930年代製です。
現在中古で問題になるのは性能より経年劣化です。
シャッターは撮影前にチャージする
初代Minoltaflexでは、フィルム送りとシャッターチャージが完全自動連動する後年のAutocordのような方式ではありません。
専門資料では、フィルムを巻き上げた後、撮影レンズ周辺のシャッターを別途チャージして撮影する構造とされています。
つまり、
- フィルムを送る
- シャッターをチャージ
- ピント
- 絞り
- シャッター速度
- 撮影
という操作になります。
電池は不要
露出計を内蔵しない完全機械式カメラです。
シャッターにも電池を必要としません。
したがって約90年前のカメラでも、
機械部分が正常なら電池問題なしで撮影可能
です。
露出は、
- 単体露出計
- スマートフォン露出計アプリ
- デジタルカメラ
- サニー16
などを使って決めます。
内蔵露出計はない
MinoltaflexにはTTL測光もセレン露出計もありません。
撮影者が自分で露出を決めます。
現在のフィルムで初めて使う場合は、スマートフォンの露出計アプリを併用するとかなり使いやすくなります。
ピントはボディ側面のノブ
日本カメラ博物館系資料ではノブ繰出し式焦点調節とされています。
専門資料でも、側面のフォーカシングノブを回してレンズボード全体を前後させる方式とされています。
つまり撮影レンズだけが動くわけではありません。
上のビューレンズと下の撮影レンズが一緒に移動します。
二本のレンズを一緒に動かす理由
TLRでは、
上側レンズで見たピント
と、
下側レンズでフィルムへ写るピント
が一致しなければなりません。
そこで上下のレンズを同じレンズボードへ固定し、まとめて前後させます。
フォーカスノブを回すと、
ビューレンズも前へ。
撮影レンズも前へ。
同じ量だけ動きます。
非常に分かりやすい機械構造です。
中古では上下レンズのピント一致が重要
ここがTLR中古購入の最大級チェックポイントです。
ファインダー上ではピントが合っている。
しかし実際のフィルムでは前ピンまたは後ピン。
という個体があります。
原因には、
- ビューレンズ位置
- 撮影レンズ位置
- レンズボード
- ミラー
- フォーカシングスクリーン
などが考えられます。
特に約90年前のカメラでは、過去の分解歴も無視できません。
最終判断には実写が必要です。
フィルム送りはノブ式
フィルム巻き上げは側面ノブを使用します。
後のMinoltaflex AutomatやAutocordのようなクランク式ではありません。
これも初代Minoltaflexを見分けるポイントです。
赤窓でフィルム位置を確認
初代モデルでは、120フィルム裏紙に印刷された番号を背面の赤窓から確認しながらフィルムを送る方式が基本です。
巻き上げノブを回し、適切な番号で止めます。
現在の自動巻き止めカメラとは大違いです。
巻き過ぎたら戻せない
120フィルムは基本的に一方向へ送ります。
赤窓の番号を見落として、
「おっと、1を通過して2まで行っちまった!」
となった場合、普通に巻き戻すことはできません。
一コマを無駄にする可能性があります。
装填直後は特にゆっくり巻きましょう。
二重露出防止機構を搭載
Minoltaflexの歴史的な特徴が二重露出防止機構です。
日本カメラ博物館のデータベースにも、初代を**「二重露出防止機構付二眼レフカメラ」**と記載しています。
当時としては注目すべき機能でした。
ただし現在の中古個体では、この機構が正常に作動するかを別途確認する必要があります。
「Minoltaflex」と書いていない個体がある
かなり面白いポイントです。
現在「Minoltaflex I」と呼ばれる初代でも、前面ネームプレートにはMinoltaとだけ入った個体が知られています。
したがって、
「Minoltaflexって書いてないから別機種」
とは限りません。
ロゴにも初期・後期差がある
初期にはネームプレートの「Minolta」が直線的な書体。
後期には斜体に近い書体。
さらにファインダーフードには、
- MTS
- TIYOKO
といったロゴ違いが確認されています。
コレクターにとっては重要な年代判別ポイントです。
Compurシャッターの初期型は希少
初期の直立書体Minolta+Compurシャッター仕様は現存数が少ないとされています。
Camera-wikiでも初期広告にCompur仕様が確認され、その後Crown系へ移行したことが整理されています。
実用目的ならシャッターのブランドより整備状態を優先。
コレクション目的なら、
- ロゴ
- シャッター
- レンズ刻印
- シリアル
を合わせて確認します。
価格にも時期差がある
Camera-wikiが当時広告を追跡した資料では、1938年前後には245円、その後275円など価格変化が確認されています。
一方、日本カメラ博物館系データベースでは1941年前後の価格情報として252円からと記録されています。
現在の価格感覚へ単純換算することはできませんが、当時として決して気軽な玩具ではありません。
本格的な写真機でした。
MinoltaflexとMinoltaflex Automatの違い
1939年前後にはMinoltaflex Automatが登場します。
最大の違いがフィルム送りです。
| 項目 | Minoltaflex | Minoltaflex Automat |
|---|---|---|
| 登場 | 1937年 | 1939年前後 |
| フィルム | 120 | 120 |
| 画面 | 6×6 | 6×6 |
| 巻き上げ | ノブ | クランク |
| 自動巻き止め | 基本赤窓確認 | 自動化が進む |
| シャッターチャージ | 別操作 | 巻き上げと連動 |
| 撮影レンズ | 75mm F3.5系 | 75mm F3.5系 |
専門資料ではAutomatを、日本製TLRでRollei式のクランク送り・自動停止・シャッターチャージ連動を早期に採用したモデルとして紹介しています。
初代Minoltaflexの方が原始的です。
しかし、その原始性こそ1930年代らしい魅力です。
Minoltaflex IIとの違い
戦後の1950年にはMinoltaflex IIが登場します。
こちらはまったく同じカメラではありません。
Minoltaflex IIでは、
Chiyoko Rokkor 75mm F3.5
が使われ、Konan Rapidシャッターは最高1/500秒へ高速化しました。
| 項目 | 初代Minoltaflex | Minoltaflex II |
|---|---|---|
| 発売 | 1937年 | 1950年 |
| 時代 | 戦前 | 戦後 |
| 撮影レンズ | Promar 75mm F3.5など | Rokkor 75mm F3.5 |
| 最高速度 | 約1/300秒 | 1/500秒 |
| フィルム | 120 | 120 |
| 画面 | 6×6 | 6×6 |
| 巻き上げ | ノブ | ノブ |
Minoltaflex IIは後のRokkor時代へつながる重要なモデルです。
初代にはRokkorではなくPromarが代表的
ここを混同しないようにしましょう。
初代1937年型ではPromar Anastigmat 75mm F3.5が代表的です。
「Minoltaflex=Rokkor 75mm F3.5」
と一括りにすると、1950年代のMinoltaflex II以降と混ざります。
Minoltaflex IIB
1952年にはMinoltaflex IIBが登場。
IIBではフィルム送りがセミオート化され、毎コマ赤窓の数字を確認する必要がなくなりました。
初代と比較するとフィルム操作がかなり進歩しています。
Minoltaflex III
1953~54年ごろにはMinoltaflex IIIが登場。
Seikosha-Rapidシャッターやバヨネット式フィルター対応など、さらに近代化されました。
そしてMinoltaのTLRは、Minoltacordを経て有名なAutocordへ発展していきます。
Autocordとの違い
Minolta TLRといえばAutocordの方が現在は有名です。
Autocordではフォーカス機構が大きく変化し、ボディ下部のレバーでピントを合わせる独特の操作系が採用されました。
一方、初代Minoltaflexは側面ノブでレンズボード全体を動かします。
さらにAutocordでは、
- フィルム送り
- レンズ
- シャッター
- ファインダー
も大幅に進歩しています。
初代Minoltaflexは、
Autocordの直接的な性能比較相手ではなく、Minolta TLR史の出発点
として見るのが適切です。
Minoltaflexの主な仕様
初代Minoltaflexには生産期間中の仕様差があります。
以下は代表的な内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 二眼レフ・TLR |
| 発売 | 1937年12月 |
| フィルム | 120 |
| 画面サイズ | 約60×60mm |
| 撮影枚数 | 6×6判・通常12枚 |
| 撮影レンズ | Promar Anastigmat 75mm F3.5など |
| 撮影レンズ構成 | 資料上4枚 |
| ビューレンズ | Minolta Anastigmat 75mm F3.2など |
| ピント | マニュアル |
| フォーカス方式 | 側面ノブ・レンズボード繰出し |
| シャッター | レンズシャッター |
| シャッター形式 | Compur、Crown/Crown IIなど仕様差 |
| 代表的速度 | B・1~1/300秒 |
| T | 一部個体にあり |
| フィルム送り | ノブ式 |
| フィルム確認 | 赤窓 |
| 二重露出防止 | あり |
| ファインダー | ウエストレベル |
| スポーツファインダー | あり |
| 露出計 | なし |
| 電池 | 不要 |
| レンズ交換 | 不可 |
発売時期・フィルム・画面サイズ・二重露出防止については日本カメラ博物館系資料、レンズ・シャッターの仕様差については現存個体と当時広告を調査した専門資料を基準としています。
Minoltaflexの基本的な使い方
120フィルムを用意する
現在販売されている120フィルムを使用できます。
裏蓋を開く
フィルム室へ120ロールを装填します。
年代の古い個体なので、ロック機構へ無理な力を掛けないようにします。
フィルム先端を巻き取り側へ入れる
裏紙を巻き取りスプールへ差し込みます。
赤窓を見ながら送る
フィルムを巻き上げ、裏紙のコマ番号を確認します。
最初の撮影位置へ合わせます。
シャッター速度を決める
外部露出計で測定し、1/100秒など適切な速度へ設定します。
絞りを決める
F3.5、F5.6、F8などを選びます。
シャッターをチャージする
フィルム送りとは別にシャッターをセットします。
ファインダーフードを開く
上からフォーカシングスクリーンを覗きます。
フォーカスノブを回す
被写体が最も鮮明になる位置へ合わせます。
シャッターを切る
撮影します。
次の番号までフィルムを送る
赤窓を見ながら次のコマへ進めます。
中古購入時に確認したいポイント
初代Minoltaflexは約90年前のカメラです。
中古購入では、
「動作品」と書いてあるから安心
とは考えない方がよいでしょう。
シャッターが一回切れたことと、フィルム一本を正常に撮影できることはまったく別です。
まず初代か後期型か確認する
商品名が単に「Minoltaflex」でも、
- 初代
- II
- IIB
- III
など複数モデルがあります。
初代なら1930年代型の外観、Promarレンズ、Crown系シャッターなどを確認します。
前面に「Minoltaflex」と書いていなくても正常
初代では「Minolta」とだけ表記された個体が知られています。
名称だけで後期型と判断しないようにしましょう。
CompurかCrownか
シャッター名を確認します。
Compurなら初期寄り。
Crown/Crown IIなら後の個体に多く見られます。
コレクション目的なら重要です。
実用目的ならブランド以上に作動状態を優先しましょう。
1秒を確認
古いレンズシャッターで最初に弱りやすいのが低速です。
1秒へ設定して数回切ります。
正常なら毎回おおむね同じ時間で閉じます。
1/2~1/10秒付近
低速ガバナーの油脂が固まると、
- 途中停止
- 極端に遅い
- 速度差がない
- 一度目だけ粘る
症状が起きます。
この年代では非常に重要です。
1/300秒
最高速も確認します。
音だけで正確な速度は分かりません。
可能ならシャッターテスターまたは実写で判断しましょう。
シャッター羽根
撮影レンズを正面から見ます。
- 油
- 錆
- 変形
- 羽根の重なり異常
がないか確認します。
シャッター羽根に油がある個体
レンズシャッターでは特に注意です。
油が回ると、
- 開かない
- 閉じない
- 高速が遅くなる
などの原因になります。
B
Bへ設定し、押している間開き、離すとすぐ閉じるか確認します。
T搭載個体
Tがある場合は、
1回操作して開く。
所定操作で閉じる。
ことを確認します。
BとTは動作が違います。
シャッターチャージ
チャージレバーが、
- 正常に最後まで動く
- 引っ掛からない
- 勝手に戻らない
ことを確認します。
古いカメラなので無理な力を掛けてはいけません。
シャッターボタン
重すぎないこと。
押しても切れないことがないか確認します。
二重露出防止機構との連動もあるため、フィルム送り状態によってシャッターがロックされる場合と故障を区別します。
二重露出防止
フィルム送りとシャッターの関係を確認します。
一度撮影したあと、正規の次コマ操作を行わず再度露光できないことを確認します。
ただし機構を理解せず強引にレバーを動かすのは避けましょう。
撮影レンズのカビ
下側75mm F3.5を優先して確認します。
強い光を斜めから当て、
- 糸状
- 蜘蛛の巣状
- 点状
のカビがないか見ます。
撮影レンズの曇り
約90年前のレンズなので非常に重要です。
白い霧状の曇りがあると、
- コントラスト低下
- 逆光で白くなる
- 黒が浮く
可能性があります。
拭き傷
古いノンコートまたは初期光学レンズでは清掃傷も見られます。
大量の拭き傷があると逆光時のフレアへ影響することがあります。
レンズの気泡
古い光学ガラスでは小さな気泡が見られる場合があります。
気泡=カビとは限りません。
小さな気泡より曇りや傷の方が実写への影響は大きい場合があります。
ビューレンズ
上側75mm F3.2も確認します。
カビ・曇りが強いとファインダー像が見づらくなります。
上下レンズのガタ
レンズボード部分を軽く確認し、
- グラグラする
- 左右へ傾く
- ネジが浮いている
場合は注意です。
上下レンズの相対位置が狂えばピント精度へ影響します。
フォーカスノブ
最短側から無限遠側までゆっくり動かします。
- 固着
- ガリガリ
- 極端に重い
- 部分的に引っ掛かる
個体は整備が必要な可能性があります。
レンズボードの平行性
ピントを送ったとき、レンズボードが左右どちらかへ傾きながら出てこないか確認します。
傾きがあれば片ボケにつながる可能性があります。
無限遠
遠くの建物などをスクリーンで確認します。
無限遠位置付近でピントが合うこと。
ただし本当の撮影面との一致は実写で確認するのが確実です。
ファインダーのミラー
TLR内部には固定ミラーがあります。
経年で、
- 曇り
- 腐食
- 銀面劣化
- 汚れ
が発生するとスクリーンが暗くなります。
フォーカシングスクリーン
フードを開いて明るい空へ向けます。
- 傷
- カビ
- 曇り
- 大量の汚れ
を確認します。
現在の明るいスクリーンと比べると元々暗く感じる可能性があります。
暗い=即故障ではありません。
ピントルーペ
フードに拡大ルーペがある場合は正常に立ち上がるか確認します。
レンズの曇りや傷も見ます。
スポーツファインダー
折りたたみ部が、
- 開く
- ロックできる
- 元へ戻る
ことを確認します。
薄い金属なので強引に動かしてはいけません。
フィルム巻き上げノブ
滑らかに回ることを確認します。
空回り、極端な固着がないこと。
赤窓
背面の赤窓を確認します。
- ガラス欠品
- 割れ
- 遮光蓋欠品
- 極端な曇り
がないか見ます。
赤窓から光が漏れるとフィルムへ影響する可能性があります。
赤窓の蓋
蓋がある仕様では、撮影中は閉じておくのが安全です。
特に現代の高感度フィルムでは、強い日光下で赤窓から光が入りやすくなる可能性があります。
裏蓋
確実に閉まり、大きなガタがないことを確認します。
蝶番
約90年経過した金属部品です。
錆、歪み、ネジ欠品を見ます。
フィルム室
- 錆
- カビ
- 砂
- 古い油
- 剥がれ
を確認します。
120フィルムの裏紙が直接触れるため、尖った錆などがある個体は避けたいところです。
スプール保持部
供給側・巻き取り側のスプールが正常に装着できることを確認します。
120スプールを実際に入れる
空スプールを使い、
- 装着
- 巻き上げ
- 取り外し
を確認すると安心です。
実際にフィルム一本を通す
最終的にはこれが最重要です。
120フィルムを入れ、
- 1コマ目
- 中間
- 最終コマ
- 低速
- 高速
- 開放
- F8
- 近距離
- 無限遠
を混ぜて撮影します。
上下レンズのピント一致
F3.5で近距離の文字や定規などを撮影します。
ファインダーで合わせた場所へ、フィルム上でも正確にピントが来ているか確認します。
TLRでは非常に重要です。
片ボケ
平らな壁や建物を正面から撮ります。
左右で大きな解像差がある場合、
- レンズボード
- レンズ位置
- 撮影レンズ
を疑います。
光漏れ
現像後に、
- 赤い帯
- 白い帯
- フレーム端の異常露光
がないか確認します。
赤窓や裏蓋からの漏光も疑いましょう。
Minoltaflexが向いている人
初代Minoltaflexは次のような人に向いています。
- 戦前日本製カメラが好きな人
- Minoltaの歴史を追いたい人
- 6×6判を楽しみたい人
- 二眼レフが好きな人
- 完全機械式カメラを使いたい人
- 電池不要の中判カメラが欲しい人
- TLRの黎明期に興味がある人
- Minolta Autocordの祖先を触ってみたい人
- Asahi製Promarレンズにも興味がある人
特に、
「α-7000で有名になるずっと前のMinoltaは何を作っていたのか」
という視点で見ると非常に面白いカメラです。
向いていない場合
一方、次のような人には後年のTLRが扱いやすいでしょう。
- 明るいファインダーが欲しい
- 自動巻き止めが欲しい
- クランク巻き上げが欲しい
- 露出計内蔵が欲しい
- 1/500秒が必要
- モダンなコーティングが欲しい
- 整備リスクを避けたい
- 初めての中判で気軽に撮りたい
実用性だけならMinolta AutocordやYashica-Matなど、戦後型のTLRの方が圧倒的に扱いやすいでしょう。
Minoltaflexは、
便利だから選ぶカメラではありません。
歴史と機械を楽しむカメラです。
Minoltaflex IIと迷ったら
実写重視ならMinoltaflex II以降が有利です。
IIではRokkor 75mm F3.5、最高1/500秒のKonan Rapidシャッターなど、戦後機らしく性能が向上しています。
しかし歴史性なら初代です。
1937年。
Promar。
CompurまたはCrown。
赤窓。
ノブ巻き上げ。
これこそMinolta TLRの始まりです。
まとめ
初代Minoltaflexは、1937年12月に発売された120フィルム用6×6判二眼レフカメラです。
日本カメラ博物館系の産業技術史資料では、
- 1937年12月発売
- レンズシャッター式TLR
- 120フィルム
- 60×60mm
- 二重露出防止機構
- ノブ式焦点調節
を備えたカメラとして記録されています。
代表的な撮影レンズは、
Promar Anastigmat 75mm F3.5。
専門資料では旭光学製とされます。
上側のビューレンズには、
Minolta Anastigmat 75mm F3.2
などが確認されています。
シャッターには時期差があり、
初期Compur。
後にCrown/Crown II。
代表的な最高速度は1/300秒です。
フィルム送りはノブ。
裏紙の数字を赤窓から確認する。
ピントは側面の大きなノブ。
上下二本のレンズが取り付けられたレンズボード全体を前後させる。
露出計はない。
電池もない。
シャッターを自分でチャージする。
上から左右反転したスクリーンを覗きながらピントを追い込む。
現在のカメラとは何もかも違います。
そして中古購入では、
シャッターが一回切れただけでは「完動」と考えないこと。
低速シャッター。
撮影レンズ。
ビューレンズ。
ミラー。
スクリーン。
フォーカス機構。
赤窓。
フィルム送り。
そして最も重要な、
ファインダー面とフィルム面のピント一致。
ここまで確認して初めて、実用品としての状態が見えてきます。
やがてMinoltaflex II、IIB、III。
そしてMinoltacord。
さらに名機Minolta Autocordへ。
ミノルタの二眼レフは大きく進化していきます。
その最初の一歩が、この1937年型でした。
Minoltaflexは、後に世界的カメラメーカーとなるMinoltaが、まだ戦前の若い国産メーカーだった時代に作り上げた、6×6判二眼レフの原点です。









