MINOLTA SRT101(SR-T101)とは?CLC測光を搭載した機械式一眼レフの特徴と中古購入時の注意点
MINOLTA SRT101は、1966年に発売された35mmフィルム一眼レフカメラです。
正式な表記は資料や販売地域によって「SR-T101」「SR-T 101」「SRT101」などの違いがありますが、いずれもミノルタを代表する同系統の機械式一眼レフを指しています。
最大の特徴は、レンズを通った光を測定するTTL開放測光と、画面内の明暗差を考慮する「CLC測光」を採用したことです。
シャッター速度と絞りを撮影者が手動で設定する完全マニュアル式ですが、ファインダー内の2本の指針を重ねることで適正露出を判断できます。
また、シャッター自体は機械式なので、露出計用の電池が切れても撮影を続けられます。
この記事では、MINOLTA SRT101の特徴、CLC測光の仕組み、対応レンズ、基本的な使い方、後継モデルとの違い、中古品を選ぶ際の注意点を解説します。
MINOLTA SRT101とは
MINOLTA SRT101は、ミノルタが1966年に発売した35mm判のマニュアルフォーカス一眼レフカメラです。
最高シャッター速度は1/1000秒。布幕横走り式の機械制御フォーカルプレーンシャッターを採用し、TTL露出計、クイックリターンミラー、ミラーアップ、セルフタイマー、被写界深度確認機構などを備えています。
初期のSRシリーズで培われた機械構造に、TTL開放測光を組み合わせたことで、ミノルタの一眼レフを代表するロングセラーモデルとなりました。(ウィキペディア)
露出は自動ではありません。
撮影者がシャッター速度と絞りを操作し、ファインダー内に表示される露出計の指針を見ながら適正露出へ合わせます。
現代のカメラと比べれば撮影に手間がかかりますが、絞り、シャッター速度、フィルム感度の関係を理解しながら撮影できるカメラです。
「SR-T101」と「SRT101」の違い
カメラ正面や取扱説明書では「SR-T101」または「SR-T 101」と表記されています。
一方、日本の中古市場では、ハイフンを省略した「SRT101」という名称も広く使われています。
基本的には同じカメラを指していますが、SRT101に似た名称を持つ後継機や海外向けモデルも多数存在します。
- SR-T100
- SR-T101
- SR-T101b
- SR-T102
- SR-T201
- SR-T202
- SR101
- SR505
- SR-T303
- SR-T Super
中古販売ページでは、これらがまとめて「SRT101系」と説明される場合があります。
外観だけでなく、正面のモデル名、シャッターダイヤル、ファインダー表示、ミラーアップレバー、アクセサリーシューなどを確認しましょう。
1966年に登場したミノルタの代表的な一眼レフ
ミノルタは1958年に、同社初の35mm一眼レフ「SR-2」を発売しました。
その後、SR-1、SR-3、SR-7などを展開し、1966年にSR-Tシリーズの最初のモデルとしてSRT101を投入します。
SRT101では、従来のSRマウントを基本的に維持しながら、レンズの絞り値をボディへ伝えるMC連動機構を追加しました。
これにより、レンズを絞り込まず、開放状態の明るいファインダー像を保ったまま露出を測定できるようになっています。(Digital Camera World)
「T」は、TTL測光を採用したSRシリーズであることを示す名称と考えられます。
SRT101は約10年間にわたって生産され、その基本構造は後のSR-T100、SR-T102、SR-T201、SR-T202などへ受け継がれました。(ロッコールファイルズ)
CLC測光を搭載
SRT101を象徴する機能が、CLC測光です。
CLCは「Contrast Light Compensator」の略で、日本語では「コントラスト光補償方式」などと訳されます。
ペンタプリズムの前後に配置された2個のCdS受光素子を利用し、画面内の異なる領域から入った光を測定します。
単純に画面全体を平均するだけでなく、明るい部分と暗い部分の差を考慮し、極端な明暗差がある場面でも露出の偏りを抑えることを目的とした測光方式です。
たとえば、画面上部に明るい空があり、下部に暗い地面がある風景では、通常の平均測光では空の明るさに引っ張られ、地面が暗く写ることがあります。
CLC測光は、2つの受光素子から得た情報を組み合わせることで、こうした高コントラストの場面でも全体のバランスを取りやすくしています。
現在の多分割測光や評価測光とは仕組みが異なりますが、複数の領域を利用して露出を判断するという点では、その先駆的な考え方を見ることができます。
CLC測光は横位置を基準に設計されている
SRT101のCLC測光は、画面の上部と下部に相当する光を2個の受光素子で測定します。
そのため、取扱説明書では、測光を横位置で行うよう案内されています。
縦位置のまま測光すると、2つの受光素子が画面の左右を測定する形になり、CLCが想定した明暗配置と異なる場合があります。(Orphancameras)
縦位置で撮影するときは、次の手順を使用します。
- カメラを横位置に構える
- 撮影範囲と同じ方向へ向けて測光する
- シャッター速度と絞りを決める
- 設定を変えずにカメラを縦位置へ構える
- ピントと構図を整えて撮影する
現在のカメラのように、どの向きでも完全に同じ測光結果を得られるとは限りません。
SRT101を使う際には、CLC測光の性格を理解しておくことが重要です。
TTL開放測光に対応
SRT101は、レンズを通った光を測るTTL測光を採用しています。
フィルター、接写リング、ベローズなどを取り付けた場合でも、実際にカメラへ入った光を測るため、通常は露出倍数を別途計算する必要がありません。
対応するMC ROKKORレンズでは、絞りを開放した状態で測光できます。
絞りリングを操作すると、レンズ後部の連動爪を通じて設定値がボディへ伝わります。露出計は、現在のシャッター速度、フィルム感度、設定絞りをもとに適正露出を示します。
開放測光では、F8やF11へ設定していても、シャッターを切る直前までレンズは開放状態です。
ファインダー像が暗くならないため、構図の確認やピント合わせを行いやすいという利点があります。
ファインダー内で追針式露出計を確認できる
SRT101のファインダーには、露出を示す2本の指針が表示されます。
一方は被写体の明るさに応じて動くメーター指針、もう一方は絞りやシャッター速度の設定に連動する円形の追針です。
シャッター速度または絞りを操作し、2本の指針が重なるように調整すると、露出計が示す適正露出になります。(Orphancameras)
ファインダー内には選択中のシャッター速度も表示されます。
したがって、カメラから目を離さずに、次の操作を行えます。
- 構図の確認
- ピント合わせ
- 測光
- シャッター速度の確認
- 絞りとシャッター速度の調整
ただし、SRT101では絞り値そのものはファインダー内に表示されません。
シャッター速度と絞り値の両方を確認できるフルインフォメーションファインダーは、後のSR-T102やSR-T303などで採用されました。(ロッコールファイルズ)
露出は完全マニュアル
SRT101には、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、プログラムAEなどの自動露出機能はありません。
露出計が示すのは適正露出の目安であり、実際の設定は撮影者が行います。
たとえば動く被写体を撮影するときは、先に1/500秒や1/1000秒を選び、追針が重なるように絞りを調整します。
風景で被写界深度を広くしたい場合は、先にF8やF11を選び、追針が合うようにシャッター速度を変更します。
撮影者の目的に応じて設定を選べることが、完全マニュアルカメラの魅力です。
シャッターは電池を使わない機械式
SRT101のシャッターは、機械制御式の布幕フォーカルプレーンシャッターです。
電池は露出計を動かすためだけに使用され、シャッター、フィルム巻き上げ、セルフタイマーなどの基本機能は機械的に作動します。
露出計の電池がなくても、Bおよび1秒から1/1000秒までのシャッター速度を使用できます。(Orphancameras)
電池が切れた場合は、単体露出計、スマートフォンの露出計アプリ、別のカメラなどで露出を測れば撮影を続けられます。
電子制御シャッターを採用したカメラと比べ、電池切れが撮影不能へ直結しないことは大きな利点です。
シャッター速度は1秒から1/1000秒
SRT101のシャッター速度は、次のとおりです。
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
- 1/30秒
- 1/60秒
- 1/125秒
- 1/250秒
- 1/500秒
- 1/1000秒
- B
シャッターダイヤルは等間隔式で、中間速度には対応していません。
絞りリングはレンズによって中間位置を選択できますが、シャッター速度は目盛りへ確実に合わせて使用します。(Orphancameras)
Bでは、シャッターボタンを押している間、シャッターが開いた状態になります。
夜景や星景、長時間露光では、三脚とケーブルレリーズを使用します。
フラッシュ同調速度は1/60秒
電子フラッシュを使用する場合の同調速度は、1/60秒以下です。
シャッターダイヤルの「60」は赤色で表示され、電子フラッシュ使用時の基準速度であることを示しています。(Orphancameras)
初期のSRT101には電気接点を持たないコールドシューが装備されています。
フラッシュをシューへ取り付けただけでは発光しないため、カメラ前面のX接点とフラッシュをシンクロコードで接続します。
FP接点は、当時使用されていたフォーカルプレーン用フラッシュバルブのための端子です。
現代の電子フラッシュを使用する場合は、基本的にX接点と1/60秒以下を使用します。
ミラーアップ機構を搭載
初期のSRT101は、ミラーアップ機構を備えています。
ミラーアップレバーを操作すると、一眼レフ内部の反射ミラーを撮影前に上げた状態へ固定できます。(ロッコールファイルズ)
ミラーアップには、主に2つの用途があります。
ひとつは、撮影時のミラーショックを抑えることです。
三脚を使った風景、接写、望遠撮影、低速シャッターでは、大型ミラーが動く振動によって写真がわずかにぶれることがあります。先にミラーを上げておけば、シャッターを切る際の振動を抑えられます。
もうひとつは、ミラーと干渉する後玉の深い広角レンズを使用することです。
ただし、ミラーを上げるとファインダー像が見えなくなります。構図とピント、露出を決めてから操作しましょう。
なお、SRT101の後継・地域別モデルでは、ミラーアップ機構が省略されている個体があります。
被写界深度確認ボタンを搭載
SRT101には、被写界深度確認ボタンが設けられています。
MC ROKKORレンズでは通常、撮影直前まで絞りが開放されています。
被写界深度確認ボタンを操作すると、レンズが設定した絞り値まで閉じ、実際の撮影時にピントが合って見える範囲をファインダーで確認できます。(Orphancameras)
F8やF11まで絞るとファインダー像も暗くなりますが、手前から奥までどの範囲が鮮明に写るかを確認できます。
風景、建築、接写、商品撮影などで役立つ機能です。
初期モデルのボタンは、押すと絞り込み状態でロックされ、もう一度押すかシャッターを切ると解除されるタイプがあります。
年代によって操作方法が異なるため、中古品では実際の動作を確認しましょう。
セルフタイマーを搭載
ボディ前面には機械式セルフタイマーが搭載されています。
最大の作動時間は約10秒です。(Orphancameras)
記念撮影だけでなく、三脚撮影時の振動を抑える用途にも使えます。
ただし、古い機械式カメラではセルフタイマー内部の油脂が固まり、途中で止まる場合があります。
動作未確認の中古品では、いきなり最大までセットしない方が安全です。セルフタイマーが固着すると、シャッター全体が切れなくなる可能性もあります。
クイックリターンミラーを採用
SRT101は、シャッターを切った直後に元の位置へ戻るクイックリターンミラーを採用しています。
ミラーが戻ることで、撮影直後から再びファインダーで被写体を確認できます。
また、大型のミラーを採用することで、望遠レンズ使用時にもファインダー像の一部が欠けにくい設計とされています。
シャッターを切ったあとにファインダーが暗いままの場合は、ミラーアップレバー、シャッターの走行、ミラー復帰機構を確認しましょう。
中央マイクロプリズム式のフォーカシングスクリーン
SRT101のファインダースクリーン中央には、マイクロプリズムが配置されています。
ピントが合っていない状態では、中央部分の像が細かくちらついたり、崩れたりして見えます。
ピントリングを回し、ちらつきが消えて像が鮮明になった位置が合焦位置です。(Orphancameras)
マイクロプリズムの周囲には細かなマット面があり、中央部分を使いにくい被写体では、マット面の像を確認してピントを合わせます。
後のSR-T102や一部後期モデルには、像のずれを合わせるスプリットイメージが追加されています。
直線の多い建物や人物の目にピントを合わせる場合はスプリットイメージが便利ですが、中央マイクロプリズムだけのSRT101にも、被写体の形を選びにくいという利点があります。
ミノルタSRマウントを採用
SRT101は、ミノルタSRバヨネットマウントを採用しています。
マウントの基本形状は、ミノルタの初期一眼レフからMC ROKKOR、MD ROKKORの時代まで受け継がれました。
そのため、幅広いミノルタ製マニュアルフォーカスレンズを装着できます。(Orphancameras)
ただし、レンズの世代によって露出計との連動方法が異なります。
MC ROKKORレンズ
MCレンズは、SRT101のTTL開放測光に対応します。
絞りリングの設定値が連動爪を通じてカメラへ伝わるため、レンズを開放状態のまま測光できます。
SRT101の機能を最も自然に利用できる組み合わせです。
MD ROKKORレンズ
後年のMDレンズも、基本的なSRマウントとMC連動機構を引き継いでいます。
SRT101ではシャッター優先AEやプログラムAEを使用しないため、MD連動爪の追加機能は使用されませんが、マニュアル撮影と開放測光は可能です。
実用性や中古品の選びやすさを重視するなら、状態のよいMDレンズを組み合わせる方法もあります。
AUTO ROKKORなどの旧型レンズ
SR-1、SR-3、SR-7などに使用された古いROKKORレンズも、多くはSRT101へ装着できます。
ただし、MC連動爪を持たないため、開放測光には対応しません。
被写界深度確認・絞り込み機構を使い、実際の撮影絞りまで閉じた状態で測光します。取扱説明書でも、旧型ROKKORレンズは絞り込み測光によって使用できると案内されています。
標準レンズはMC ROKKOR-PF 58mm F1.4
SRT101の代表的な標準レンズは、MC ROKKOR-PF 58mm F1.4です。
このほか、MC ROKKOR-PG 58mm F1.2や、比較的手頃な55mm F1.7も標準レンズとして用意されました。(Orphancameras)
中古市場では、次のようなレンズとのセットが見つかります。
- MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
- MC ROKKOR-PG 58mm F1.2
- MC ROKKOR-PF 55mm F1.7
- MC ROKKOR-PF 50mm F1.7
- MD ROKKOR 50mm F1.7
- MD ROKKOR 50mm F1.4
コレクション性を重視するなら、ボディの年代に合った58mm F1.4や55mm F1.7が魅力的です。
実用品として使用するなら、カビや曇りが少なく、絞りが正常に動くレンズを優先した方がよいでしょう。
1.35Vの水銀電池を使用する
SRT101の露出計は、1.35VのPX625型水銀電池を前提として設計されています。
取扱説明書では、Mallory PX-625、PX-13、Eveready EPX-13などが指定されています。(Orphancameras)
現在、水銀電池は環境上の理由から一般販売されていません。
同じ形状に近い1.5V電池を入れることはできますが、元の1.35Vとは電圧が異なるため、露出計の表示にずれが生じる可能性があります。
実用する場合は、次のような方法があります。
- 電圧を調整する変換アダプターを使用する
- 1.35~1.4V付近の代替電池を使用する
- カメラ側の露出計を現行電池用に調整する
- 露出計を使用せず、単体露出計やアプリを使う
どの方法でも、撮影前に信頼できる露出計やデジタルカメラと比較し、SRT101の指示値がどの程度ずれているか確認しましょう。
電池を交換しただけで、古いCdS露出計が正確になるとは限りません。
バッテリーチェック機能を搭載
ボディ底面には、露出計のON・OFFとバッテリーチェックを切り替えるスイッチがあります。
「B.C.」位置へ合わせたとき、ファインダー内の指針が所定のバッテリーチェックマークを指せば、電池の出力が確保されていると判断できます。(Orphancameras)
B.C.位置では電池を強く消耗するため、確認後はすぐにONまたはOFFへ戻します。
長期間使わない場合は、液漏れを防ぐため電池を取り外して保管した方が安全です。
SRT101の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mm判TTL露出計内蔵一眼レフ |
| 使用フィルム | 35mmフィルム |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズマウント | ミノルタSRバヨネットマウント |
| ピント合わせ | マニュアルフォーカス |
| シャッター | 機械制御布幕フォーカルプレーン |
| シャッター速度 | 1秒~1/1000秒、B |
| フラッシュ同調 | X接点1/60秒以下、FP接点 |
| 露出制御 | マニュアル |
| 測光方式 | TTL開放測光・CLC方式 |
| 受光素子 | CdS×2 |
| 測光範囲 | EV3~EV17・ISO100 |
| フィルム感度 | ASA 6~6400 |
| ファインダー | 固定式ペンタプリズム |
| ピント確認 | 中央マイクロプリズム、マット面 |
| ファインダー表示 | 露出指針、追針、シャッター速度、電池確認 |
| ミラー | クイックリターン、ミラーアップ可能 |
| セルフタイマー | 最大約10秒 |
| 被写界深度確認 | あり |
| アクセサリーシュー | コールドシュー |
| 電源 | 1.35V PX625型電池・露出計のみ |
| 本体寸法 | 約145×95×48mm |
| 本体重量 | 約705g |
基本仕様は、SRT101の取扱説明書に基づきます。製造年代や販売地域によって細部が異なる可能性があります。(Orphancameras)
SRT101の基本的な撮影手順
フィルムを装填する
巻き戻しノブを引き上げて裏蓋を開き、35mmフィルムを左側のフィルム室へ入れます。
フィルム先端を右側の巻き取り軸へ固定し、巻き上げレバーを操作して確実に巻き取られていることを確認します。
裏蓋を閉じたら空送りを行い、カウンターを1へ合わせます。
巻き上げ時に巻き戻しノブが回転していれば、フィルムが正常に送られている可能性が高くなります。
フィルム感度を設定する
シャッターダイヤル外周のASA設定を、使用するフィルムの感度へ合わせます。
ISO400フィルムならASA400、ISO100フィルムならASA100へ設定します。
SRT101の設定範囲はASA6~6400です。(Orphancameras)
感度設定を間違えると、露出計の指示が全コマでずれてしまいます。
露出計をONにする
ボディ底面のスイッチをONへ切り替えます。
ファインダーをのぞき、光の明るさに応じてメーター指針が動くことを確認します。
使用後はOFFへ戻し、電池の消耗を防ぎます。
シャッター速度と絞りを合わせる
被写体へカメラを向け、ファインダー内の2本の指針を確認します。
シャッターダイヤルまたはレンズの絞りリングを操作し、メーター指針と円形の追針を重ねます。(Orphancameras)
手ブレを防ぎたい場合は、先に1/125秒や1/250秒などを選びます。
背景をぼかしたい場合は、先にF1.7やF2.8などを選びます。
ピントを合わせて撮影する
中央のマイクロプリズムが最も鮮明になる位置までピントリングを回します。
構図と露出を再確認してから、シャッターボタンを押します。
撮影後は巻き上げレバーを操作し、次のコマへ進めます。
SRT101とSR-T102の違い
SR-T102は、1973年に登場したSRT101の上位モデルです。
地域によっては「SR-T303」または「SR-T Super」と呼ばれます。
SRT101に対し、主に次の機能が追加されました。
- ファインダー内への絞り値表示
- スプリットイメージ
- 正式な多重露光機構
- 接点付きホットシュー
シャッター速度と絞り値の両方をファインダーで確認できるため、撮影中にカメラから目を離す必要がありません。(ロッコールファイルズ)
SRT101は基本機能がシンプルで、SR-T102は操作性をさらに高めた上位版と考えられます。
SRT101とSR-T201・SR101の違い
1975年ごろ、SRT101系は販売地域によって次の名称へ更新されました。
- 北米:SR-T201
- 日本:SR101
- 欧州など:SR-T101b
これらのモデルではミラーアップが省略される一方、ホットシューやフィルムメモホルダーが追加されました。(ロッコールファイルズ)
さらに1977年以降の一部モデルでは、2個のCdS受光素子を使用するCLC方式が省略され、単一受光素子の測光方式へ簡略化されています。
後期型では、ペンタプリズム前面の「CLC」表記がないことが見分ける手掛かりになります。(ロッコールファイルズ)
中古市場では、SR101やSR-T101bまでSRT101として販売されることがあります。
オリジナルのCLC測光やミラーアップを重視する場合は、ボディ正面と各操作部を確認しましょう。
中古購入時に確認したいポイント
シャッターが全速度で動くか
最初に確認したいのは、機械式シャッターの動作です。
1秒から1/1000秒まで順番に切り、速度に応じてシャッター音が変化するか確認します。
特に古いカメラでは、1秒、1/2秒、1/4秒などの低速側が粘りやすくなります。
- シャッターが途中で止まる
- 指定時間より極端に長い
- 低速側がすべて同じ速さに聞こえる
- ミラーが上がったままになる
- シャッター幕が閉じ切らない
このような個体は、低速ガバナーや内部機構の整備が必要な可能性があります。
高速シャッターの幕切れ
1/500秒や1/1000秒では、シャッター幕が正常に走行しているように見えても、左右で露出が変わることがあります。
これは先幕と後幕の走行速度が一致せず、画面の一部が暗くなる「幕切れ」や「シャッターの片効き」と呼ばれる症状です。
空へ向けて試写し、画面の左右に濃度差や黒い帯が出ないか確認する必要があります。
外観だけでは判断しにくいため、実写確認済みの個体が安心です。
布製シャッター幕の状態
レンズを外し、裏蓋を開けてシャッター幕を確認します。
- ピンホール
- ひび割れ
- カビ
- 波打ち
- 幕の端の剥がれ
- 油や汚れの付着
幕に小さな穴があると、撮影していない間にも光がフィルムへ届き、写真に線や光点が写ります。
シャッター幕は非常に薄いため、指で触れたり押したりしてはいけません。
露出計の動作と精度
適切な電池を入れ、底面スイッチをONへ合わせます。
明るい場所と暗い場所へ向けたとき、メーター指針が滑らかに動くか確認しましょう。
指針が動いても、正確とは限りません。
信頼できる露出計やデジタルカメラと比較し、次の条件で大きくずれないか確認します。
- 明るい屋外
- 室内
- 高コントラストの風景
- 絞り値の変更
- シャッター速度の変更
- ASA感度の変更
明るさによってずれ方が変わる場合は、単純なISO設定による補正では対応しにくくなります。
電池室の腐食
底面の電池室を開け、過去の液漏れがないか確認します。
- 白色または緑色の腐食
- 接点の黒ずみ
- 端子の欠損
- 電池蓋の固着
- ねじ山の破損
接点が軽く汚れている程度なら清掃で改善する場合があります。
しかし、腐食が内部配線まで進んでいると、露出計の修理が必要です。
CLC測光の個体か確認する
オリジナルのSRT101を選びたい場合は、ペンタプリズム前面に「CLC」の表記があるか確認します。
ただし、表記だけで内部の2個のCdS素子が正常に働いているとは限りません。
明るい空と暗い地面を含む場面などで測光し、指針が不自然に跳ねたり、常に片側へ振り切れたりしないか確認しましょう。
絞り連動リングの動作
レンズマウント周囲には、MCレンズの絞り設定をボディへ伝える連動リングがあります。
レンズを外した状態で、連動リングが滑らかに動き、手を離すと元の位置へ戻るか確認します。
リングが固着していると、レンズの絞り値が露出計へ正しく伝わりません。
露出計自体が正常でも、絞り値に応じて追針が正しく動かなくなります。
被写界深度確認機構
MCレンズを取り付け、絞りをF8やF11へ設定します。
被写界深度確認ボタンを操作したときに絞り羽根が閉じ、解除すると開放へ戻るか確認します。
ボタンが押し込まれたまま戻らない、絞りが閉じない、解除しても開放へ戻らない場合は、ボディまたはレンズ側の連動機構に不具合があります。
ミラーアップ機構
ミラーアップレバーを操作し、ミラーが正常に上がるか確認します。
解除したとき、ミラーが元の位置へ戻ることも重要です。
動作途中で引っ掛かる場合や、レバーが極端に緩い場合は注意しましょう。
中古品によっては、SRT101に似た後継機でミラーアップそのものが省略されています。
ファインダーとプリズムの状態
ファインダーを明るい壁や空へ向け、内部を確認します。
- 全体的な曇り
- カビ
- 黒い線
- プリズム蒸着の腐食
- 接眼部の傷
- スクリーンの汚れ
- 極端な黄変
ファインダー内のチリは写真には写りませんが、構図やピント合わせの邪魔になります。
プリズム腐食は清掃だけでは直らず、部品交換が必要になる場合があります。
モルトの劣化
裏蓋の溝やミラー周辺には、遮光と衝撃吸収のためのモルトが使われています。
経年劣化すると、粉状に崩れたり、粘着質になったりします。
裏蓋のモルトが失われるとフィルムへ光が入り、写真の端に赤色や白色の光漏れが発生します。
ミラー受けのモルトが劣化すると、ミラーが金属部分へ強く当たり、衝撃や位置ずれの原因になります。
フィルム巻き上げ機構
巻き上げレバーを操作し、途中で引っ掛からず、一定の位置で停止するか確認します。
シャッターを切ったあとに再び巻き上げられること、巻き上げ前にはシャッターが切れないことも確認します。
フィルムカウンターが進み、裏蓋を開けると自動的にリセットされることも重要です。
巻き戻しクランク、底面の巻き戻し解除ボタンも確認しましょう。
セルフタイマー
セルフタイマーは経年劣化で固着しやすい部分です。
販売店が動作確認していない場合は、購入直後に無理に操作しない方が安全です。
使用する必要がなければ、整備を受けるまで触らないという判断もあります。
付属レンズの状態
SRT101は、ボディよりも付属するROKKORレンズの状態が価格を左右する場合があります。
確認するポイントは次のとおりです。
- カビ
- 曇り
- 傷
- コーティング劣化
- 絞り羽根の油
- ヘリコイドの固着
- 絞り連動爪の変形
- フィルター枠のへこみ
- マウントのガタつき
ボディが正常でも、絞り羽根の動きが遅いと露出不足になります。
絞り連動レバーを操作し、羽根が素早く開閉するか確認しましょう。
SRT101が向いている人
MINOLTA SRT101は、次のような人に向いています。
- 機械式一眼レフを使ってみたい人
- 電池切れでも撮影できるカメラを探している人
- 露出の基本を学びたい人
- MC・MD ROKKORレンズを楽しみたい人
- 金属製カメラの重厚な操作感が好きな人
- TTL露出計付きのクラシックカメラを探している人
- 修理や整備を行いながら長く使いたい人
露出計を内蔵しているため、完全な露出計なしカメラより撮影を始めやすい一方、露出は自分で決められます。
フィルム撮影の基本を覚える教材としても適した一台です。
SRT101が向かない場合
一方、次のような人には扱いにくい可能性があります。
- 自動露出を使いたい人
- オートフォーカスが必要な人
- 軽量なカメラを持ち歩きたい人
- 電池を入れれば露出計が必ず正確だと考えている人
- 整備費用をかけずに確実に撮影したい人
- 明るいスプリットイメージ式ファインダーを求める人
- 高速な連続撮影を行いたい人
本体重量は約705gで、標準レンズを装着すると1kg前後になります。(Orphancameras)
現代の小型ミラーレスカメラや樹脂製一眼レフと比べると、持ち運びには相応の重量があります。
また、製造から長い年月が経過しているため、未整備品を安く購入するより、シャッターと露出計が点検された個体を選んだ方が結果的に安心な場合があります。
まとめ
MINOLTA SRT101は、1966年に登場したミノルタを代表する35mm機械式一眼レフカメラです。
TTL開放測光と、2個のCdS受光素子を使用するCLC測光を採用し、高コントラストの場面でもバランスのよい露出を得やすいよう設計されました。
主な特徴は次のとおりです。
- TTL開放測光に対応
- 2個のCdS素子を利用するCLC測光
- ファインダー内の追針式露出計
- 1秒から1/1000秒までの機械式シャッター
- 電池がなくても撮影可能
- ミラーアップ機構
- 被写界深度確認ボタン
- セルフタイマー
- ミノルタSRマウント
- MC・MD ROKKORレンズを使用可能
中古品を購入するときは、シャッターが切れることだけで判断してはいけません。
高速シャッターの幕切れ、低速側の粘り、布幕のピンホール、露出計の精度、電池室の腐食、絞り連動リング、プリズム、モルト、フィルム送りまで確認する必要があります。
特に露出計は、指定されていた1.35V水銀電池が入手できないことに加え、CdS素子や内部抵抗も経年劣化しています。
現在の電池を入れて指針が動いたとしても、信頼できる露出計との比較は欠かせません。
便利さや軽さでは、後年の電子式一眼レフに及びません。
しかし、巻き上げレバーを動かし、指針を合わせ、ROKKORレンズでピントを追い込み、機械式シャッターを切る一連の操作には、SRT101ならではの濃密な撮影体験があります。
電池は露出を教えるために使う。写真を撮る力そのものは、機械の中に残っている。
MINOLTA SRT101は、ミノルタの技術とROKKORレンズの魅力を、現在でも実際に味わえる一台です。









