HASSELBLAD 202FAは、1998年に登場したハッセルブラッドVシステムの中判一眼レフカメラです。
スクエアなボディ、交換式フィルムマガジン、ウエストレベルファインダーといった伝統的なハッセルブラッドの姿を受け継ぎながら、その内部には電子制御式フォーカルプレーンシャッターとTTL露出計を搭載。
さらに絞り優先AEにも対応するなど、機械式の500シリーズとはかなり異なる性格を持っています。
ハッセルブラッドのクラシックな外観と、1990年代らしい電子制御を組み合わせた一台です。
HASSELBLAD 202FAとは
202FAは1998年に登場し、それまでの201Fに代わる200シリーズのベーシックモデルとして位置づけられました。
ハッセルブラッドのサービス資料では、「201Fを置き換える新しい基本フォーカルプレーンシャッター機」であり、仕様は上位機203FEに近づけられたモデルと説明されています。
製造時期については、ハッセルブラッドの歴代モデルをまとめた資料で1998~2002年とされています。
主な仕様は以下のとおりです。
- カメラ形式:中判一眼レフ
- 標準画面サイズ:6×6cm
- 6×4.5cmなどにもマガジン交換で対応
- シャッター:電子制御フォーカルプレーンシャッター
- シャッター速度:最長約34分~1/1000秒、B
- オート露出時:約90秒~1/1000秒
- フラッシュ同調速度:最高1/90秒
- 測光方式:TTL選択測光
- 測光範囲:約画面中央20%
- 露出モード:絞り優先AE、マニュアル
- フィルム感度:ISO12~6400
- フィルム:120、220など
- フィルム送り:手動クランク
- モーターワインダー装着可能
- 電源:6V PX28系電池
- ボディサイズ:約117×110×91mm
- ボディ重量:約750g
202FAの取扱説明書では、モーターワインダー使用時に最大約1.3コマ/秒で撮影できることも記載されています。
500シリーズとは違う「ボディ側シャッター」
ハッセルブラッドといえば、500Cや500C/Mのようにレンズ内部へレンズシャッターを搭載する方式が有名です。
ところが202FAは違います。
ボディ側にフォーカルプレーンシャッターを搭載しています。
フィルム面の直前にあるシャッター幕が動いて露光する方式で、35mm一眼レフでは一般的ですが、クラシックなハッセルブラッド500シリーズとは大きく異なる構造です。
これによって、レンズ内部にシャッターを持たないF・FEシリーズの大口径レンズを使用できます。
特に、
Planar 110mm F2 FE
のような明るいレンズを使えることは、200シリーズを選ぶ大きな理由のひとつです。
500シリーズでは得にくい、6×6判+F2という非常に浅い被写界深度を楽しめます。
最高シャッター速度は1/1000秒
202FAの電子制御フォーカルプレーンシャッターは、最高1/1000秒に対応します。
マニュアル時には約34分という非常に長い露光時間から1/1000秒まで設定可能。
絞り優先AEでは約90秒~1/1000秒の範囲でカメラがシャッター速度を自動制御します。
35mmカメラなら1/1000秒は珍しい速度ではありません。
しかし、6×6判の大型ミラーとシャッターを備えた中判一眼レフでこの速度を実現している点がポイントです。
203FEとの違い
202FAとよく比較されるのが上位モデルの203FEです。
203FEは最高シャッター速度が1/2000秒。
それに対して202FAは1/1000秒となっています。
202FAは203FEの機能を一部簡略化しながら、露出計や絞り優先AEなど実用性の高い機能を残したモデルと考えると分かりやすいでしょう。
絞り優先AEが使えるハッセルブラッド
202FA最大の特徴のひとつが、
絞り優先AE
です。
撮影者がレンズ側で絞り値を設定すると、カメラがTTL露出計の測光結果から適切なシャッター速度を自動的に決定します。
FEレンズには電子接点があり、レンズの絞り情報がデータバス経由でカメラへ送信されます。
その情報と内蔵露出計、フィルム感度を組み合わせて自動露出を行う仕組みです。
つまり、
「露出計を見る」
↓
「シャッター速度を決める」
↓
「撮影する」
という完全マニュアルの手順を省略できます。
ウエストレベルファインダーで構図とピントに集中しながら、露出はカメラに任せる。
昔ながらのハッセルブラッドの撮影スタイルとは少し違う、かなり実用的な中判カメラです。
約20%を測るTTL測光
202FAにはTTL露出計が内蔵されています。
測光範囲は画面の約20%を対象とする選択測光方式。
ISO100・F2.8使用時の測光範囲はEV0.5~21.5とされています。
一般的な平均測光よりも中央部を重視した測り方なので、主被写体を意識して露出を決定できます。
また自動露出時には±5EVの露出補正も可能です。
FEレンズで本領発揮
202FAは特にFEレンズとの組み合わせを前提として設計されています。
FEレンズにはレンズ後部に電子接点があり、絞り値などの情報をボディへ伝達できます。
そのためFEレンズでは、
- 開放測光
- 絞り値の電子伝達
- 絞り優先AE
- ファインダー内表示
といった202FAの機能を最大限利用できます。
代表的なFEレンズには、
- Distagon 50mm F2.8 FE
- Planar 80mm F2.8 FE
- Planar 110mm F2 FE
- Sonnar 150mm F2.8 FE
- Tele-Tessar 250mm F4 FE
などがあります。
特に110mm F2は、フォーカルプレーンシャッター機ならではの大口径レンズとして有名です。
CF・Fレンズも使用可能
202FAの取扱説明書では、
- CFレンズ
- Fレンズ
- FEレンズ
の使用が案内されています。
ただし、すべて同じ機能が使えるわけではありません。
フル機能を利用できるのはFEレンズです。
CFレンズを202FAで使用する場合でも、基本的にはレンズ内シャッターではなく202FA側のフォーカルプレーンシャッターを使用します。
ハッセルブラッドのサービス資料でも、CFレンズとの互換性はあるものの、カメラ側のシャッターを使用すると説明されています。
CBレンズには注意
一方、CBレンズについては注意が必要です。
ハッセルブラッドのサービス資料には、
202FAではCBレンズを使用しないように
という明確な記載があります。
中古でレンズとセット購入する場合は、
「Vマウントだから全部使えるだろう」
と考えず、レンズの種類を確認したほうがよいでしょう。
ハッセルブラッドVシステムは長い歴史を持つため、外見が似ていてもボディとレンズの機能的な組み合わせには違いがあります。
6×6判のスクエアフォーマット
標準的なマガジンを使用した場合、202FAでは6×6cm判の写真を撮影できます。
120フィルムなら一般的には1本12枚。
正方形なので、
「縦位置か横位置か」
を考える必要がありません。
ウエストレベルファインダーを上から覗きながら、正方形の画面へ被写体を配置する。
これはハッセルブラッドを象徴する撮影体験です。
202FAは内部こそ電子化されていますが、この基本的な撮影スタイルは500シリーズから受け継いでいます。
フィルムマガジンを交換できる
ハッセルブラッドVシステムの大きな特徴が、交換式フィルムマガジンです。
撮影途中でも、
- カラーネガ
- モノクロ
- リバーサル
- 異なるISO感度
などを入れたマガジンへ交換できます。
撮影ごとにフィルムを使い切る必要がありません。
さらにEシリーズやTCC系の電子接点付きマガジンでは、設定されたフィルム感度をデータバス経由でカメラへ伝えることも可能です。
電子接点のないマガジンを使用する場合でも、ISO感度をカメラ側で手動設定できます。
フラッシュはTTL-OTF測光に対応
202FAにはTTLフラッシュ制御も搭載されています。
フィルム面で反射したフラッシュ光を測定するOTF方式を採用し、専用フラッシュシステムでは発光量を自動制御できます。
フォーカルプレーンシャッター使用時の最高同調速度は1/90秒です。
500シリーズのレンズシャッターで可能な全速同調と比べれば、フラッシュ撮影の自由度では不利になります。
これはフォーカルプレーンシャッターを採用した202FAの弱点のひとつです。
一方で、高速シャッターや大口径FEレンズを使えるという別のメリットがあります。
見た目はクラシック、中身は電子制御
202FAを正面から見ると、基本的な形は昔ながらのハッセルブラッドです。
四角いボディ。
交換式マガジン。
上から覗くファインダー。
大きなレンズ。
ところが内部には、
- 電子制御シャッター
- TTL露出計
- マイクロプロセッサー
- データバス
- LCD表示
- TTLフラッシュ制御
が入っています。
1950年代に完成した基本デザインを保ったまま、中身だけ1990年代の電子カメラへ進化している。
このギャップこそ202FAの面白さです。
中古で確認したいポイント
HASSELBLAD 202FAは1998~2002年頃に製造されたカメラです。
500C/Mなどと比べれば年代は新しいものの、それでもすでに20年以上が経過しています。
中古で確認したいポイントとしては、
- フォーカルプレーンシャッター幕の状態
- シャッター速度の作動
- TTL露出計
- 液晶表示
- 電子接点
- バッテリー室
- ミラー動作
- フィルム送り
- マガジンとの連動
- ファインダー
- フォーカシングスクリーン
などがあります。
特に202FAは電子制御シャッターを使用するため、500シリーズの完全機械式ボディとは中古購入時の考え方が少し異なります。
「シャッターが切れる」
だけで判断せず、露出計やオート露出、シャッター速度の変化まで確認したいところです。
シャッター幕は特に重要
フォーカルプレーンシャッターは202FAの心臓部です。
200シリーズ・2000シリーズを中古で探す場合、シャッター幕の状態は特に重要な確認ポイントになります。
傷、変形、作動不良などがないか確認しましょう。
また修理環境や部品供給についても、購入前に専門店へ確認しておくと安心です。
500C/Mとはどちらを選ぶ?
ハッセルブラッドのフィルムカメラを探していると、定番の500C/Mと202FAで迷うことがあります。
500C/Mの魅力は、
- シンプルな機械式構造
- レンズシャッター
- 全速フラッシュ同調
- ハッセルブラッドらしい伝統的操作感
です。
一方、202FAには、
- 内蔵TTL露出計
- 絞り優先AE
- 最高1/1000秒
- FE大口径レンズ対応
- 電子制御による露出機能
があります。
そのため、
クラシックなハッセルブラッドを楽しむなら500C/M。
大口径FEレンズやAEまで含めて楽しむなら202FA。
という選び方が分かりやすいでしょう。
まとめ
HASSELBLAD 202FAは1998年に登場した、Vシステム200シリーズのフォーカルプレーンシャッター式中判一眼レフです。
201Fの後継として登場し、上位モデル203FEに近い機能を持ちながら、一部を簡略化したモデルとして位置づけられました。
最大の特徴は、
- 6×6判
- 電子制御フォーカルプレーンシャッター
- 最高1/1000秒
- TTL露出計
- 絞り優先AE
- FEレンズとの電子連動
- TTLフラッシュ
- 交換式フィルムマガジン
という組み合わせです。
外観だけ見れば、昔ながらのハッセルブラッド。
しかし中身はかなり電子化されています。
特にPlanar 110mm F2 FEをはじめとする大口径FEレンズを使えることは、500シリーズにはない大きな魅力です。
一方で、電子制御式のフォーカルプレーンシャッターを搭載しているため、中古では機械式500シリーズとは違ったチェックも必要になります。
1950年代から続くハッセルブラッドの姿に、1990年代の電子技術を詰め込んだカメラ。
HASSELBLAD 202FAは、そんなVシステム後期ならではの異色かつ魅力的な中判一眼レフです。









