Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARとは?Bolex 8mm用Dマウントシネレンズの特徴と中古購入時の注意点
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARは、スイスのKern-PaillardがBolexの8mmムービーカメラ向けに製造した小型シネレンズです。
主な特徴は、
- 焦点距離12.5mm
- 開放F2.5
- 8mmムービーカメラ用
- Dマウント
- 固定焦点式
- AR刻印
- マニュアル絞り
- 非常に小型な金属鏡筒
というもの。
1960年のBolex販売資料には、8mmカメラと交換レンズの組み合わせとして**「Yvar 12.5mm F/2.5 f.f.」**が掲載されています。「f.f.」はFixed Focus、つまり固定焦点を示す表記で、同資料ではBolex 8mm機についてDマウントレンズの交換性も案内されています。
現在の中古市場では、
Kern-Paillard YVAR 1:2.5 f=12.5mm AR
と刻印された非常に小さなレンズとして流通しています。
KEHや中古カメラ専門店でも、この12.5mm F2.5 YVARを8mmムービーカメラ用のCine D Mountレンズとして分類しています。
現在ではBolexで8mmフィルムを撮影する用途だけでなく、PENTAX Qなどの小型センサー機へDマウントアダプターを介して装着する「オールドシネレンズ」としても楽しめます。
ただし、これは35mm判やAPS-Cを前提とした写真用レンズではありません。
ごく小さな8mm映画フィルムをカバーするために作られたレンズです。
そのため中古購入時には、普通の一眼レフ用レンズとは違うポイントを理解しておく必要があります。
Kern-Paillardとは
Kernはスイスを代表する光学メーカーのひとつで、Paillard-Bolexの映画用カメラに数多くのレンズを供給しました。
Bolex用としては、
- YVAR
- SWITAR
- MACRO-SWITAR
- PIZAR
などの名称を持つレンズが知られています。
なかでもYVARは8mm・16mm用として幅広い焦点距離が存在し、非常にコンパクトなシネレンズが多数残っています。
1950年代にはKern-Paillardが独自のVisifocus被写界深度表示を採用し、1956年のBolex H16 Reflex登場時には、ビームスプリッタープリズムに合わせて光学補正した「RX」レンズも開発しました。
今回の12.5mm F2.5 ARは、そのRXレンズとは別系統の8mm用Dマウントレンズです。
1950年代のBolex 8mm時代のレンズ
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARは、現存資料では1950年代の製品として確認されています。
コレクション資料でも、
Yvar 1:2.5 f=12.5mm AR・Dマウント・固定焦点
として1950年代製と整理されています。
さらに1960年のBolex販売資料にもYVAR 12.5mm F2.5が掲載されています。
つまり少なくとも1950年代後半から1960年前後のBolex 8mmシステムで実際に販売されていたレンズです。
Double 8時代のシネレンズ
このレンズが使われたBolexの小型8mmカメラは、現在一般に「Regular 8」「Double 8」などと呼ばれる8mmフィルムを使用する世代です。
1960年のBolex資料では、
- C-8S
- C-8SL
- B-8SL
- B-8L
- D-8L
- H-8T
- H-8 Deluxe
など、多数の8mmカメラが掲載され、Dマウント交換レンズとの組み合わせが案内されています。
つまりこれはSuper 8時代の固定ズームレンズではありません。
交換レンズ式8mmシネカメラが主役だった時代の超小型単焦点レンズです。
Dマウントを採用
YVAR 12.5mm F2.5はDマウントです。
Dマウントは主に8mmムービーカメラで使用された非常に小さなねじ込み式マウントです。
一般的な規格は、
- ねじ径:約15.88mm
- 5/8インチ
- 32山
- フランジバック:約12.29mm
です。
Cマウントと外観が似ていますが、サイズがまったく違います。
Cマウントは1インチ径。
Dマウントは5/8インチ径。
YVAR 12.5mm F2.5 ARはCマウントではありません。
中古商品説明で「Cマウント?」などと曖昧に書かれている場合には必ず実物を確認しましょう。
Dマウントはねじ込み式
レンズをボディへ、
クルクル。
クルクル。
と回して装着します。
バヨネットロックも電子接点もありません。
非常に単純です。
ただしねじ径が小さいため、中古ではねじ山の傷みが重要になります。
斜めにねじ込まれた個体では、
- ねじ山潰れ
- クロススレッド
- マウント傾き
が発生している可能性があります。
12.5mmは8mm映画では標準域
35mm判の感覚で「12.5mm」と聞くと猛烈な超広角に思えます。
しかし8mmフィルムの画面は非常に小さいため、12.5~13mm前後が標準域として用いられました。
実際、1960年のBolex販売資料でも12.5~13mmのレンズが各8mmカメラの基本レンズとして多数設定されています。
つまり、
8mmカメラでは普通の標準レンズ。
35mm判では超広角級の焦点距離。
というフォーマットによる大きな違いがあります。
開放F2.5
最大口径はF2.5。
8mmムービーカメラ用標準レンズとして十分実用的な明るさです。
同時代のBolexには、
YVAR 12.5mm F2.5。
より明るいSWITAR 12.5mm F1.5。
さらに13mm F0.9のSWITAR。
なども存在しました。
1960年のBolex資料でも、YVARより明るいSWITARを含む複数グレードの標準レンズが用意されていたことが確認できます。
つまりYVAR F2.5は、
「超大口径で勝負するレンズ」ではなく、小型・実用性を重視した標準シネレンズ
という立ち位置です。
3枚構成とされるシンプルな光学系
二次的な光学資料では、YVAR 12.5mm F2.5は3枚構成として記録されています。
非常にシンプルです。
ただし当時のKern純正一次資料でこのF2.5型の群数まで明示した資料は今回確認できなかったため、
「3枚構成とする光学資料がある」
という扱いが安全でしょう。
レンズ構成枚数の多さで性能を競う現代レンズとはまったく違う世界です。
固定焦点式
このレンズ最大の特徴です。
フォーカスリングがありません。
壊れているわけではありません。
1960年のBolex資料はYVAR 12.5mm F2.5を「f.f.」つまりFixed Focusとして掲載しています。
現存レンズ資料でも、この12.5mm F2.5 ARを固定焦点式としています。
したがって中古で、
「フォーカスリングが見当たらない」
「ピント合わせできない」
からといって故障ではありません。
なぜ固定焦点で撮影できるのか
8mmという非常に小さなフォーマット。
12.5mmという短焦点。
F値をある程度絞る。
この条件では被写界深度を非常に深くできます。
そのためレンズを所定の距離へ固定し、
一定範囲を被写界深度の中へ入れて撮影する
という考え方が成立します。
家庭用ムービーカメラでは、
フォーカス。
露出。
フィルム送り。
すべてを操作するより、できるだけ撮影者の操作を減らした方が使いやすくなります。
固定焦点YVARは、まさにその思想のレンズです。
「AR」とは何か
銘板には、
AR
と刻印された個体があります。
ここはかなり注意が必要です。
Kern-Paillardレンズの研究資料では、ARはAnti-Reflective/Anti-Reflection、つまり反射防止コーティングを示す表記とされています。
したがって、
AR=Auto Reflex
ではありません。
AR=絞り自動
でもありません。
基本的には反射防止コーティングに関連する刻印です。
ARとRXを混同しない
Kern-Paillardには「RX」と刻印されたレンズもあります。
RXはBolex H16 Reflexのビームスプリッタープリズムを前提として光学補正されたレンズです。
Kernの資料では、50mm以下のRXレンズはH16 Reflexのプリズムによる光学的影響を補うために開発されたことが説明されています。
一方ARは反射防止コーティング系の表記です。
専門的なBolex研究では、非RXレンズにAR刻印が付くことでRXレンズとの識別材料にもなった、と説明されています。
ただし今回のYVAR 12.5mm F2.5はそもそも8mm用Dマウントです。
H16 Reflex用RXレンズと同じカテゴリーとして扱う必要はありません。
12.5mm F2.8 YVARと間違えない
中古市場では非常に重要です。
Kern-Paillardには、
YVAR 12.5mm F2.5
だけではなく、
YVAR 12.5mm F2.8
も存在します。
1952年のKern-Paillard資料では、12.5mm F2.8 YVARについて、
- L8用
- フォーカシング型
- 固定焦点型
の両方が掲載されています。
したがって、
「Kern YVAR 12.5mmだから全部同じ」
ではありません。
中古購入では前玉周囲の刻印を読みます。
今回の記事対象は、
1:2.5 f=12.5mm
です。
13mm F1.9 YVARとも別物
同時代には、
YVAR 13mm F1.9
もあります。
こちらはより明るく、Visifocus付きのフォーカシングタイプが知られています。
Bolex 8mm資料でも13mm F1.9は多数の上位カメラとの組み合わせが掲載されています。
12.5mm F2.5固定焦点。
13mm F1.9フォーカシング。
数字は近いですが性格はかなり違います。
YVARとSWITARの違い
Kern-Paillardの8mm用レンズにはSWITARもあります。
例えば、
SWITAR 12.5mm F1.5
です。
1960年の販売資料でも、
YVAR 12.5mm F2.5。
SWITAR 12.5mm F1.5。
さらにSWITAR 13mm F0.9。
が並んでいます。
SWITARの方が大口径で、より高度な光学設計を用いた上位レンズとして扱われました。
対するYVAR F2.5は小型かつシンプル。
つまり、
高性能・大口径方向のSWITAR。
コンパクトで実用的なYVAR。
という違いを見ると分かりやすいでしょう。
非常に小さなレンズ
Dマウント自体が5/8インチ径しかありません。
レンズも驚くほど小型です。
現代のフルサイズミラーレスレンズのリアキャップ程度に感じることさえあります。
中古専門店Blue Moon Cameraでは12.5mm F2.5 YVAR ARについて、外形をおおむね1.5インチ角、重量6オンスとして掲載しています。
ただし個体や測定条件による違いもあるため、寸法・重量については参考値として考えましょう。
絞りは手動
フォーカスは固定ですが、絞りは変更できます。
つまり、
固定焦点=完全固定レンズ
ではありません。
光量に応じて絞りを調整します。
8mmフィルム時代なら単体露出計、カメラ側露出計、撮影条件などに応じてF値を決めます。
中古では絞りリングと羽根の状態が重要です。
電子機構はない
AFモーター。
電子絞り。
手ブレ補正。
電子接点。
すべてありません。
非常に純粋な機械式レンズです。
したがって電子故障の心配はありません。
その代わり70年近く経過した個体では、
- 絞り固着
- グリース劣化
- カビ
- 曇り
- Dマウントねじ傷み
など純粋な機械・光学劣化を確認します。
PENTAX Qで遊べる
Dマウントレンズが再び注目された大きな理由のひとつがPENTAX Qです。
Q/Q10の1/2.3型センサーは、一般的な写真用カメラとして非常に小型。
Dマウントの8mmシネレンズと相性のよいサイズです。
実際にPENTAX QへYVAR 12.5mm F2.5を装着したユーザー例があり、およそ70mm相当の画角として紹介されています。
12.5mmなのに70mm級になる
PENTAX Qのクロップ倍率は約5.5倍前後。
12.5mm×約5.5。
おおむね70mm前後。
つまり映画カメラでは標準だった12.5mmが、PENTAX Qでは、
短い望遠レンズ
のような画角になります。
これはオールドシネレンズ遊びの面白いところです。
ただしPENTAX Qへの装着には注意
Dマウントのフランジバックは約12.29mmと非常に短い規格です。
しかもこのYVARは固定焦点。
したがってアダプターの厚さがわずかに違うだけでも、狙った距離へピントが来なくなる可能性があります。
実際にPENTAX QでKern Dマウントを使用するユーザー間では、アダプター厚やシム調整によってピント位置が変化するという報告があります。
つまりデジタルへ付けて、
「ピントが合わない=レンズ故障」
とは限りません。
アダプター側を疑う必要があります。
固定焦点なのでアダプター精度が特に重要
普通のMFレンズなら、アダプターが少し厚くてもフォーカスリングで補正できる場合があります。
しかしYVAR 12.5mm F2.5にはフォーカスリングがありません。
そのため、
レンズ位置。
アダプター厚。
センサー位置。
の関係が非常に重要です。
デジタル用途なら、
Dマウントアダプターそのものがフォーカス調整部品の一部
と考えた方がよいでしょう。
フルサイズでは使えないのか
物理的にアダプターを作れば装着できるカメラもあります。
しかし問題はイメージサークルです。
このレンズは小さな8mmフィルム用です。
35mmフルサイズ。
APS-C。
マイクロフォーサーズ。
などの画面全体をカバーする目的では設計されていません。
大きなセンサーでは、
- 強烈なケラレ
- 円形像
- 周辺画質崩壊
などが発生する可能性があります。
12.5mmのフルサイズ超広角として使えるレンズではありません。
Dマウントだから何でもPENTAX Qで完璧とは限らない
Dマウントレンズでもイメージサークルは一本ずつ違います。
さらにPENTAX Q7・Q-S1はQ/Q10よりセンサーが大きいため、同じレンズでも周辺が厳しくなる可能性があります。
Dマウントの現代使用では、
「マウントできる」
と、
「センサー全面を良好にカバーできる」
を分けて考えましょう。
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARの基本仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | Kern-Paillard |
| レンズ名 | YVAR |
| 焦点距離 | 12.5mm |
| 開放F値 | F2.5 |
| 用途 | 8mmムービーカメラ |
| マウント | Dマウント |
| マウント径 | 約15.88mm・5/8インチ |
| ピッチ | 32TPI |
| フランジバック | 約12.29mm |
| フォーカス | 固定焦点 |
| 絞り | マニュアル |
| 光学系 | 二次資料では3枚構成 |
| AR | Anti-Reflection系の刻印 |
| 電子接点 | なし |
| AF | なし |
| 手ブレ補正 | なし |
| 製造国 | スイス |
| 主な時代 | 1950年代~1960年前後 |
| 現代使用 | Dマウントアダプター経由で小型センサー機など |
Dマウント・固定焦点というモデル識別は当時のBolex資料と現存個体資料で確認できます。
中古購入時に確認したいポイント
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARは非常に小さなレンズですが、中古確認ポイントは意外と多くあります。
まず刻印を確認する
最重要です。
前玉周囲または鏡筒に、
Kern-Paillard
YVAR
1:2.5
f=12.5mm
AR
などの表記があることを確認します。
F2.8と間違えない
YVAR 12.5mm F2.8も存在します。
しかもF2.8型にはフォーカシング仕様・固定焦点仕様の資料があります。
今回のレンズはF2.5です。
小さなレンズなので写真だけでは刻印を読みづらい場合があります。
中古出品者のタイトルだけでなく、拡大写真を確認しましょう。
13mm F1.9と間違えない
YVAR 13mm F1.9も大量に流通しています。
12.5と13。
わずか0.5mm差ですが別レンズです。
F2.5。
F1.9。
ここも見ましょう。
Dマウントか確認する
後端を確認します。
Dマウントは非常に細いねじです。
KernにはCマウントレンズも数多くあります。
「Kern-PaillardだからDマウント」
ではありません。
今回の12.5mm F2.5はDマウントとして流通しているモデルです。
Dマウントねじ山
最重要級です。
確認するのは、
- ねじ潰れ
- 横傷
- クロススレッド
- 変形
- 錆
- 汚れ
です。
非常に小さなねじなので、乱暴に扱われた個体では傷んでいる場合があります。
アダプターへ最後までねじ込めるか
正常なDマウントアダプターを用意し、ゆっくり装着します。
最初から斜めになる。
途中で急に固くなる。
最後まで入らない。
場合は無理に締めないでください。
ねじ山破損の可能性があります。
マウント面が傾いていないか
非常に短い焦点距離なので、わずかな傾きでもセンサー上で左右のピント差につながる可能性があります。
Dマウント後端が大きく曲がっていないこと。
鏡筒が斜めになっていないこと。
を確認します。
フォーカスリングがなくても正常
これは絶対に覚えておきたいポイントです。
このF2.5型は固定焦点。
フォーカスリング欠品ではありません。
1960年Bolex資料にもFixed Focusとして掲載されています。
出品説明に、
「ピントリングなし・詳細不明」
と書かれていても、それだけでは故障ではありません。
ただしレンズ位置が改造されていないか
固定焦点だからこそ、過去の分解・改造には注意します。
鏡筒周囲の小ネジ。
工具傷。
接着剤跡。
不自然な隙間。
を確認します。
過去にデジタル用としてピント位置を調整された個体では、オリジナルBolex上のフォーカス位置から変わっている可能性があります。
カビ
強いLEDを斜めから当てます。
小さなレンズなので、
前から。
後ろから。
両方確認します。
糸状。
蜘蛛の巣状。
枝状。
ならカビを疑います。
曇り
古いシネレンズでは非常に重要です。
全体が白く霞む曇りがあると、
- コントラスト低下
- 逆光で白っぽくなる
- 黒が浮く
可能性があります。
レンズが小さいので、肉眼だけでは判断しづらい場合があります。
強い光源を使いましょう。
拭き傷
前玉を確認します。
長い年月で何度も清掃されたレンズでは、細かな拭き傷が大量に付いている場合があります。
少数の薄い傷なら実写影響が軽いこともあります。
しかし全面に強いスクラッチがある個体は、逆光性能へ影響する可能性があります。
コーティング
AR刻印を持つレンズです。
光へ傾けたときにコーティング由来の反射色が見えること自体は正常です。
問題なのは、
- まだらな剥離
- 白濁
- カビ跡
- 強い清掃傷
です。
後玉
このクラスのDマウントレンズでは後玉が非常に小さく、マウントにも近い位置にあります。
リアキャップなしで保管されていた個体では、
- 指紋
- 傷
- カビ
- 汚れ
を念入りに確認します。
後玉へ無理に綿棒などを突っ込まない方が安全です。
絞りリング
開放側から絞り側まで動かします。
理想は、
滑らか。
極端に重くない。
途中で止まらない。
です。
70年前後のレンズなのでグリース固着も考えられます。
絞り羽根
前後からライトを当てて確認します。
- 全羽根が動く
- 一枚だけ外れていない
- 油が大量に付いていない
- 開口形状が不自然でない
ことを見ます。
絞りに油があっても写真は撮れる?
手動絞りなので、一眼レフの瞬間自動絞りほど油の影響を受けない場合があります。
しかし油が進行すると、
リングが重くなる。
羽根が固着する。
完全に閉じない。
可能性があります。
状態のよい個体を選ぶ方が安心です。
開放F2.5を確認
絞りを最大まで開きます。
羽根が途中へ残っていないことを確認します。
固定焦点レンズでは絞ることで被写界深度を稼ぐ使い方が重要なので、絞り機構は実用品として非常に大切です。
アダプターでのピント確認
PENTAX Qなどで使うなら必須です。
Dマウントアダプターへ装着。
遠景を撮影。
ピント位置を確認します。
無限遠が出なくても即ジャンクではない
このレンズは固定焦点です。
さらにDマウントはフランジバックが非常に短い。
アダプター厚が少し違うだけでもフォーカス位置が変わります。
別の高精度アダプターでも確認しましょう。
PENTAX Qで中央と周辺を確認
デジタルで使うなら、
中央。
左右。
四隅。
を見ます。
8mmフィルム用なので、センサー側のサイズによっては周辺が本来の設計イメージサークル外になります。
中央だけ非常にシャープでも、外周が崩れることがあります。
それを故障と考える前に、
そもそもどこまでをカバーするよう設計されたレンズか
を考えましょう。
QとQ7では結果が違う可能性がある
PENTAX Q/Q10は1/2.3型。
Q7/Q-S1は1/1.7型でより大きなセンサーです。
つまり同じDマウントレンズでもQ7/Q-S1の方が周辺まで使うため、ケラレや周辺像が目立つ可能性があります。
Dマウントレンズ購入では、
「誰かのPENTAX Qで使えた」=自分のQ7でも同じ
とは限りません。
Bolex本体とセットなら確認すること
YVAR 12.5mm F2.5 ARがBolex B8やC8などとセット販売されている場合は、レンズ単体だけでなくターレットやボディ側も確認します。
特に、
Dマウントへ最後まで入るか。
レンズが正面へ向くか。
ターレット機ならクリック位置へ確実に止まるか。
レンズ同士が干渉しないか。
を確認します。
1960年Bolex資料でもB8系などでDマウント交換レンズを利用する構成が案内されています。
前後キャップ
非常に小さなレンズなので、純正キャップも失われやすい部品です。
コレクション目的なら、
Kern-Paillard刻印の純正キャップ。
ケース。
フィルター。
などの付属品も価値になります。
実用品でもリアキャップは特に重要です。
Dマウントねじと後玉を保護できます。
中古で優先したい順番
実用目的なら、優先順位は次のようになります。
- 正しい12.5mm F2.5である
- Dマウントねじが正常
- カビ・強い曇りがない
- 後玉がきれい
- 絞りが正常
- 鏡筒が改造されていない
- アダプターでピント確認
- コーティング状態
- 外装
- 純正キャップ
外装の小傷より、Dマウントと光学状態を優先しましょう。
YVAR 12.5mm F2.5 ARが向いている人
このレンズは、
Bolex 8mmカメラを使っている人。
Dマウントシネレンズを集めている人。
Kern-Paillardが好きな人。
PENTAX Qでオールドシネレンズを楽しみたい人。
小型のスイス製光学機器が好きな人。
固定焦点レンズという構造に興味がある人。
に向いています。
特に、
「世界最小クラスの交換レンズをデジタルで遊びたい」
という人にはかなり面白い一本です。
向いていない人
逆に、
フルサイズで12.5mm超広角として使いたい。
AFが必要。
ピントリングを自分で操作したい。
大きなセンサー全面をカバーしたい。
近距離から無限遠まで自由にフォーカスしたい。
という用途には向きません。
これは現代写真用レンズの代用品ではありません。
8mm映画という小さな世界からやってきたシネレンズです。
まとめ
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARは、Bolexの8mmムービーカメラ向けに作られたDマウント単焦点シネレンズです。
1960年のBolex資料には、
Yvar 12.5mm F/2.5 f.f.
として掲載されています。
つまり、
12.5mm。
F2.5。
Fixed Focus。
Dマウント。
この組み合わせが当時の正規システムとして確認できます。
そして中古購入で最大のポイントは、
フォーカスリングがないのは故障ではない
ということ。
このレンズは最初から固定焦点です。
さらに、
12.5mm F2.8 YVAR。
13mm F1.9 YVAR。
12.5mm F1.5 SWITAR。
など似たレンズが存在するため、必ず銘板を確認します。
ARについても、
AR=反射防止コーティング系の表記。
RXとは別です。
そしてマウントはD。
5/8-32。
フランジバック約12.29mm。
非常に小さな8mm用規格です。
中古で見るべきなのは、
- 正確な型名
- F2.5か
- Dマウント
- マウントねじ
- カビ
- 曇り
- コーティング
- 後玉
- 絞り
- 改造跡
- アダプターでのピント
- センサー上でのケラレ
です。
そしてデジタルで遊ぶ場合には、もうひとつ。
固定焦点だからこそ、
アダプターの厚さがピントそのものを左右します。
PENTAX Qへ取り付けてピントが合わなくても、即座にレンズ故障とは判断しない。
Dマウントという12.29mmの短いフランジバックと、アダプター精度まで考える必要があります。
8mm Bolexでは、ごく普通の標準レンズ。
PENTAX Qへ移せば、小さな望遠シネレンズ。
フルサイズへ向ければ、イメージサークルはあまりにも小さい。
同じ12.5mmでも、付けるカメラによってまったく違う世界が見えてきます。
巨大な現代レンズとは正反対。
手のひらどころか、指先に収まりそうな小さな鏡筒。
その中に絞りと3枚構成とされる光学系を詰め込み、8mm映画を撮影していた。
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F2.5 ARは、家庭用8mm映画の黄金期とスイス精密光学の面白さを、小さなDマウントの中へ凝縮した固定焦点シネレンズです。









