KONICA コニカ AutoS hexanon 47mm F1.9

KONICA コニカ AutoS hexanon 47mm F1.9

KONICA Auto Sとは?HEXANON 47mm F1.9を搭載したシャッター優先EEレンジファインダーを徹底解説

KONICA Auto Sは、35mmフィルムを使用するレンズ固定式レンジファインダーカメラです。

小西六写真工業が1963年に発売したモデルで、同社のレンジファインダーカメラとして初めて自動露出とCdS受光素子による測光を採用した機種として知られています。露出方式は現在でいうシャッター速度優先AEに近く、撮影者がシャッター速度を選択するとカメラが適切な絞り値を自動設定します。

搭載レンズは、

KONISHIROKU HEXANON 47mm F1.9

です。

メーカー取扱説明書では、

  • 47mm F1.9
  • 5群5枚
  • 改良アンバーコーティング
  • 最小絞りF16

という仕様が確認できます。

そのほか、

  • 35mm判24×36mm
  • 二重像合致式連動距離計
  • 0.65倍ブライトフレームファインダー
  • 自動パララックス補正
  • CdS露出計
  • H・Lの2段階測光レンジ
  • シャッター速度優先EE
  • 完全マニュアル露出
  • Copal SVAレンズシャッター
  • B・1秒~1/500秒
  • セルフタイマー
  • X・Mフラッシュシンクロ
  • 49mmフィルター
  • 引き出し式レンズフード

など、1960年代前半のカメラとしてかなり充実した装備を持っています。

現在中古で購入する場合には、HEXANONレンズのカビや曇りだけでなく、

CdS露出計、旧1.3V水銀電池問題、距離計二重像、低速シャッター、EE絞り制御、H/L測光切り替え

まで確認する必要があります。

この記事ではKONICA Auto SとHEXANON 47mm F1.9の特徴、EE撮影、レンジファインダー、電池、Auto S2との違い、中古購入時の注意点まで詳しく解説します。

目次

KONICA Auto Sとは

KONICA Auto Sは1963年に登場した35mmレンジファインダーカメラです。

当時のメーカー名は現在のコニカミノルタにつながる小西六写真工業株式会社です。

Konica系レンジファインダーには、それ以前からKonica S、S II、S IIIなどがありました。

しかし従来のSシリーズでは、露出計を内蔵していても撮影者が指針を見て露出を合わせる方式でした。

Auto Sでは一歩進み、

露出計と絞り制御を連動させたEE撮影

が導入されました。

メーカー自身も取扱説明書の冒頭で、Auto SをCdS受光素子によるEE露出制御を組み込んだカメラとして説明しています。

「Auto」はオートフォーカスではない

現在「Auto」と聞くとAFを想像するかもしれません。

しかしKONICA Auto Sは完全なマニュアルフォーカスです。

Autoが示すのは主に自動露出です。

ピントはファインダー中央の二重像を使って、自分で合わせます。

したがって、

ピント=人間

シャッター速度=人間が選ぶ

絞り=EE時はカメラが自動選択

という役割分担です。

HEXANON 47mm F1.9を搭載

撮影レンズは、

HEXANON 47mm F1.9

です。

メーカー取扱説明書では5群5枚構成とされています。

47mmという焦点距離は35mm判ではほぼ標準域。

50mmよりわずかに広く、

  • スナップ
  • 人物
  • 旅行
  • 街歩き
  • 家族写真
  • 日常記録

など、非常に幅広く使えます。

「広角でも望遠でもない、自然な見え方」を重視した固定レンズカメラです。

開放F1.9

開放絞りはF1.9。

F2よりわずかに明るいレンズです。

現在ならISO400フィルムと組み合わせることで、

  • 曇天
  • 日陰
  • 室内
  • 夕方

などでも比較的撮影しやすくなります。

またレンジファインダーは一眼レフと違い、絞り込んでもファインダー自体が暗くなりません。

F1.9を生かした低照度撮影でも扱いやすいカメラです。

絞りはF1.9~F16

マニュアル撮影では、

F1.9、2.8、4、5.6、8、11、16

を使用できます。

取扱説明書では絞り値を連続的に設定でき、中間値も利用できると説明されています。

つまり、

F4とF5.6の中間

といった設定も可能です。

最短撮影距離は約0.9m

焦点調節範囲は約0.9m~∞です。

これは現在のレンズから見ればそれほど寄れる仕様ではありませんが、1960年代の標準レンズ付きレンジファインダーとして一般的な範囲です。

人物の顔を極端にアップで撮るより、

人物+周辺環境、

街角、

日常スナップ

といった撮影に向いています。

二重像合致式レンジファインダー

ファインダー中央には黄色系の二重像合致スポットがあります。

ピントが外れていると被写体が二重に見えます。

フォーカシングレバーを動かすと片方の像が移動し、

二つの像が完全に重なった位置が合焦

です。

メーカー取扱説明書にもこの操作方法が図入りで説明されています。

一眼レフのマット面を見ながら合わせる方式とはかなり違います。

有効基線長は22.8mm

メーカー仕様ではレンジファインダーの有効三角測距基線長は22.8mm。

ファインダー倍率は0.65倍です。

47mm F1.9という標準レンズとの組み合わせなら、通常の撮影には十分実用的な距離計です。

中古では、この距離計が正確かどうかが非常に重要になります。

自動パララックス補正を搭載

Auto Sのファインダーは単なる固定ブライトフレームではありません。

ピント位置を近距離へ動かすと、フレーム自体が位置と大きさを変えます。

メーカー説明書では、

  • ファインダーと撮影レンズの光軸差
  • 近距離での画角変化

の両方を補正するため、ブライトフレームが自動的に移動・縮小すると説明されています。

これはかなり凝った仕組みです。

単純な「近距離補正マークを見るだけ」のレンジファインダーより使いやすくなっています。

シャッター速度優先EE

KONICA Auto S最大の特徴です。

EE撮影では、

  1. 絞りリングをAUTOにする
  2. フィルム感度を設定
  3. CdS測光レンジをHまたはLに設定
  4. シャッター速度を決める
  5. ピントを合わせる
  6. シャッターを切る

という流れになります。

メーカー取扱説明書でも、撮影者がシャッター速度を先に設定し、EEシステムが適正絞りを選ぶ操作手順が明示されています。

したがって現代風に言えば、

シャッター優先AE

です。

「AUTOにすれば全部カメラ任せ」ではない

ここは重要です。

プログラムAEではありません。

晴天なら高速。

室内なら低速。

動く人物なら1/250秒。

静止物なら1/60秒。

といった具合に、シャッター速度は撮影者自身が選択します。

その速度に対してカメラが、

「この明るさならF5.6」

「この暗さならF2.8」

という具合に絞りを自動決定します。

ファインダー内で絞り値が分かる

EE撮影時にはファインダー上部に絞りスケールが表示されます。

針が、

F1.9、2.8、4、5.6、8、11、16

のどこを指しているか確認できます。

つまり自動露出だからといって、

「カメラが何をしているのか分からない」

わけではありません。

撮影前に実際に選ばれる絞りを確認できます。

赤い警告ゾーン

ファインダーの絞り表示両端には警告領域があります。

針がF1.9より暗い側またはF16より明るい側の赤い領域へ入る場合、現在選んでいるシャッター速度ではEE制御範囲外です。

この場合はシャッター速度を変更します。

たとえば暗所なら、

1/250秒から1/60秒へ下げる。

明るすぎるなら、

1/125秒から1/500秒へ上げる。

という操作です。

CdS測光を採用

Auto SはCdS、硫化カドミウム受光素子を使用します。

メーカー説明書では、従来のセレン受光素子よりはるかに高い感度を持つことが説明されています。CdS自体は発電しないため、露出計を作動させるには外部電源が必要です。

これがAuto Sに電池が必要な理由です。

H・Lの2レンジ測光

CdS露出計には、

H=High

L=Low

の2段階があります。

明るい屋外ではH。

室内や夕暮れなど暗い環境ではL。

という使い分けです。

ISO100使用時の測光範囲は、

  • L:約EV3~10
  • H:約EV10~17

とされています。

現在のカメラでは自動的に広範囲を測りますが、Auto Sでは撮影者が測光レンジまで切り替えます。

この操作感も1960年代らしいところです。

EV3まで測れる

メーカー説明書ではISO100・LレンジならEV3まで測定可能としています。

当時のCdS測光として暗所性能を強くアピールしていたことが分かります。

ただし現存する中古品ではCdS素子や回路の経年変化があるため、

新品当時のEV3性能が残っているとは限りません。

中古では露出計精度を必ず実測しましょう。

フィルム感度はASA10~400

取扱説明書に記載されている設定値は、

  • ASA10
  • 25
  • 32
  • 50
  • 64
  • 100
  • 160
  • 200
  • 250
  • 400

です。

現在のISOと数値としてほぼ同じ感覚で扱えます。

ISO100、200、400の一般的な35mmフィルムなら設定できます。

電源は1.3V水銀電池

純正指定は1.3V水銀電池です。

取扱説明書では、

  • Mallory RM-625R
  • PX-13
  • Eveready E625
  • GE No.625

などが挙げられています。

現在、当時と同じ水銀電池は通常入手できません。

ここがAuto Sを現在使ううえで最大級の注意点です。

LR44をそのまま入れればいいとは限らない

サイズを合わせれば現代の電池を物理的に入れられる場合があります。

しかし重要なのは電圧です。

Auto Sは約1.3Vを前提とした測光回路です。

1.5~1.55Vの現代電池をそのまま使えば、露出計の指示がずれる可能性があります。Auto Sの資料でも、高電圧の代替電池では測光値に誤差が出る可能性が指摘されています。

したがって、

  • 適切な電圧変換アダプター
  • 1.35V前後の代替電池
  • 露出計側の再調整

などを検討する必要があります。

「電池が入った=露出計も正確」ではありません。

電池なしでもカメラそのものは機械式

電池が使用されるのはCdS露出計・EE制御のためです。

シャッター自体はCopal SVAレンズシャッターで、マニュアル露出も用意されています。

したがって露出計を使わず、

  • 外部露出計
  • スマートフォン露出計
  • サニー16

などで露出を決め、絞りを手動設定して撮影する方法もあります。

この点では、電子シャッター式カメラより長く使いやすい設計です。

マニュアル露出にも完全対応

絞りリングをAUTOから外すと、F1.9~F16を手動設定できます。

メーカー取扱説明書では、マニュアル時も内蔵露出計を独立した露出計として利用可能です。

設定したシャッター速度に対して適正なF値をファインダー内の針が示すため、その値を絞りリングへ手動設定できます。

つまり、

EEが故障しても、露出計だけ正常ならマニュアル撮影に利用できる

場合があります。

シャッターはCopal SVA

シャッターはCOPAL SVAです。

速度は、

  • B
  • 1秒
  • 1/2
  • 1/4
  • 1/8
  • 1/15
  • 1/30
  • 1/60
  • 1/125
  • 1/250
  • 1/500秒

です。

倍数系列できれいに並んでいます。

レンズシャッターなので全速フラッシュ同調

メーカー仕様ではX・M切り替え付きのフラッシュ同期に対応します。

レンズシャッターなので原理上、フォーカルプレーンシャッターより高速側でフラッシュ同調しやすいのが特徴です。

ただし現代の電子フラッシュを使うなら通常はX側を使用します。

ホットシューではなくアクセサリークリップ

上面にはフラッシュなどを取り付けられるシューがありますが、Auto Sでは電気接点を持たないアクセサリークリップです。

フラッシュは本体のシンクロ端子へコード接続します。

現在のホットシューと同じ感覚でフラッシュを差し込むだけでは発光しません。

セルフタイマーを搭載

セルフタイマーは約10秒です。

メーカー取扱説明書では、レバーを操作してシャッターボタンを押すと約10秒後にシャッターが作動します。

ただし通常の使い方ではEE撮影とセルフタイマーを同時に使えず、絞りをAUTOから外して手動設定するよう案内されています。

古いセルフタイマーは固着しやすいため、中古品では無理に作動させない方が安全な場合もあります。

引き出し式レンズフード

Auto Sには特徴的なプルアウト式レンズフードがあります。

レンズ先端部分から前へ引き出して使用します。

メーカー仕様にもこのフードが記載されています。

別体フードを毎回持ち歩く必要がなく、

必要なときだけスッと引き出す。

実用的でありながら、現在見ると非常にレトロで格好いい機構です。

フィルター径は49mm

ねじ込みフィルター径は49mm。

ピッチは0.75mmです。

現在でも比較的一般的なサイズなので、

  • UV
  • ND
  • モノクロ用フィルター

などを探しやすいでしょう。

ただしAuto SではCdS受光部がレンズとは別のボディ前面にあります。

この点は後継Auto S2との大きな違いになります。

フィルター使用時は露出補正に注意

Auto SのCdS受光部は撮影レンズを通して測光するTTL方式ではありません。

したがってレンズ前に濃いフィルターを装着しても、露出計自身はそのフィルターによる減光を直接認識できません。

フィルター係数に応じた補正が必要です。

後継Auto S2では受光部の位置が変更され、この問題が改善されています。

一回巻き上げでシャッターチャージ

巻き上げレバーはシングルストローク式です。

メーカー説明書では約120°の操作で、

  • フィルムを1コマ送る
  • シャッターをチャージする

動作を同時に行うことが示されています。

二重露出防止機構も連動しています。

フィルムカウンターは自動復帰

裏蓋を開くとカウンターがスタート位置へ自動復帰します。

フィルム装填後に空送りし、1へ合わせて撮影開始します。

巻き戻しは手動

撮影終了後は底部の巻き戻しボタンを押し、上部クランクを回してフィルムをパトローネへ戻します。

メーカー説明書では、フィルム末端で巻き上げレバーが止まった場合に無理な力を掛けないよう警告しています。

フィルム終端でレバーが止まったら、

力任せに巻かない。

これが重要です。

赤外線補正マークもある

距離目盛りには赤外線撮影用の補正マークも用意されています。

メーカー取扱説明書では、通常光でピントを合わせた後、距離目盛りを赤外線補正位置へ移す方法が説明されています。

現在では赤外線フィルムを使う機会は少ないものの、1960年代の本格カメラらしい装備です。

KONICA Auto Sの基本スペック

項目内容
カメラ形式35mm固定レンズ式レンジファインダー
登場1963年
フィルム35mm・135
画面サイズ24×36mm
レンズKONISHIROKU HEXANON 47mm F1.9
レンズ構成5群5枚
最小絞りF16
ピント二重像合致式MF
最短撮影距離約0.9m
ファインダーブライトフレーム
倍率約0.65倍
パララックス補正自動
露出方式シャッター速度優先EE/マニュアル
受光素子CdS
測光H・L二段切り替え
測光範囲L:EV3~10、H:EV10~17・ISO100
ASA10~400
シャッターCopal SVAレンズシャッター
シャッター速度B・1~1/500秒
フラッシュX・M同期
シュー接点なしアクセサリークリップ
セルフタイマー約10秒
フード引き出し式
フィルター49mm
電源1.3V水銀電池×1・測光用
巻き上げシングルストローク
巻き戻し手動
寸法約138×82.5×72mm
重量約740g

主要仕様はKONICA Auto S純正取扱説明書を基準としています。

KONICA Auto SとAuto S2の違い

後継モデルとして1965年にはKONICA Auto S2が登場します。

名前が似ていますが、レンズを含めてかなり変更されています。

項目Auto SAuto S2
登場1963年1965年
レンズ47mm F1.945mm F1.8
光学構成5群5枚4群6枚
CdS位置ボディ前面レンズ前部周辺
フィルター径49mm55mm
シャッターCopal SVACopal SVA
最高速度1/500秒1/500秒
EEシャッター優先シャッター優先
電源1.3V水銀電池1.3V水銀電池
重量約740g約750g

Auto S2ではHEXANONが45mm F1.8へ変更され、CdS受光部もレンズ周囲へ移動しました。

Auto S2ではレンズキャップが露出計も覆う

Auto Sでは受光部がボディ前面に独立してあります。

そのためレンズキャップをしても受光部へ光が当たる場合があります。

一方Auto S2ではCdSセルがレンズ周辺へ移動したため、レンズキャップを装着すると受光部も一緒に覆われます。

電池消耗を抑える意味でも改善点です。

Auto S2はフィルター補正にも有利

Auto S2では受光部がレンズ前部へ移動し、フィルター装着時に受光部もフィルターの影響を受けられる構造になりました。

Auto Sではフィルター係数を撮影者自身が考える必要があります。

この点だけでもSとS2はかなり違います。

KONICA Auto Sの基本的な使い方

電池を確認する

EEを使用するなら、まず測光用電源を用意します。

ただし純正の1.3V水銀電池は現在通常入手できません。

適切な代替方法を使い、露出計精度も確認します。

35mmフィルムを装填する

裏蓋を開け、パトローネを入れます。

フィルム先端を巻き取りスプールへ確実に掛けます。

ASAを設定する

使用するフィルム感度へ合わせます。

ISO100なら100。

ISO400なら400です。

EEならAUTOへ

絞りリングをAUTO位置へセットします。

HまたはLを選択する

日中屋外ならH。

室内・夕方ならLが基本です。

シャッター速度を選ぶ

手ブレや被写体の動きを考えます。

47mmレンズなので一般的な手持ちなら1/60秒以上がひとつの目安です。

距離計でピントを合わせる

中央の二重像を重ねます。

ファインダー内の絞り針を見る

赤い警告領域へ入っていないことを確認します。

シャッターを切る

カメラが設定した絞りで撮影します。

次のコマへ巻き上げる

レバーを最後まで1回操作します。

中古購入時に確認したいポイント

KONICA Auto Sは1960年代前半の機械式+CdS電気系カメラです。

現在では、

機械部分が正常でも露出計がダメ

露出計は動くがEE絞り制御が狂う

など、部分的な故障が起こり得ます。

中古では項目を分けて確認しましょう。

Auto SかAuto S2か確認する

最初にモデル名を確認します。

Auto Sなら47mm F1.9。

Auto S2なら45mm F1.8です。

中古出品で「Konica Auto S」と書かれていても、写真がS2というケースには注意しましょう。

HEXANON 47mm F1.9の刻印

前玉周辺に、

HEXANON 1:1.9 f=47mm

の表記があることを確認します。

45mm F1.8ならAuto S2系です。

撮影レンズのカビ

強い光を斜めから当てます。

  • 糸状
  • 蜘蛛の巣状
  • 点から広がる模様

がないか確認します。

レンズの曇り

古い固定レンズレンジファインダーでは非常に重要です。

曇りが強いと、

  • 黒が浮く
  • 逆光で白くなる
  • コントラスト低下
  • 発色低下

につながります。

後玉も見る

固定レンズなので簡単には外せませんが、フィルム室側から後玉を確認できる範囲で見ます。

後玉近くの曇りやカビは写りへ影響しやすいため重要です。

絞り羽根

AUTOを解除し、F1.9~F16を動かします。

絞り羽根に、

  • 油
  • 錆
  • 粘り
  • 一枚だけ動かない

症状がないか確認します。

EE絞り制御

新品相当の適切な測光電源を使用し、

絞りをAUTO。

同じシャッター速度のまま、

  • 明るい場所
  • 暗い場所

へ向けます。

ファインダー内の絞り針が変化することを確認します。

さらに実際にシャッターを切った際、絞り羽根も対応して変化することを確認できれば理想です。

「針が動く」だけでは不十分

ここが重要です。

露出計の針が動いても、

実際の絞り制御が針どおり作動するとは限りません。

EEカメラでは、

  1. CdSが明るさを測る
  2. 針が動く
  3. 機械機構がその値を読み取る
  4. 絞りを適切な位置まで閉じる

という複数の部分が関係します。

可能ならフィルム実写で露出精度まで確認しましょう。

H・Lレンジ

HとLの切り替えを確認します。

明るさが同じでもH/Lを変更すると針の状態が変化します。

レバーが固着、空回りしていないか見ます。

CdS露出計の精度

現代の信頼できる露出計またはデジタルカメラと比較します。

たとえば、

ISO100。

1/125秒。

均一な壁。

という条件を作り、Auto Sが示すF値と比較します。

1段以上大きく違う場合は、

  • 電池電圧
  • CdS劣化
  • 回路
  • 機械調整

を疑います。

電池電圧を無視しない

1.5V系電池を直接使用して測光値がずれているのに、

「露出計故障」

と判断するケースがあります。

逆に高電圧の電池で針が動いたから、

「完動!」

とも言えません。

Auto Sは純正1.3V前提です。

測光精度を評価するときは電源条件を明確にしましょう。

電池室の腐食

旧水銀電池が長期間残された個体では要注意です。

  • 白い粉
  • 緑青
  • 黒い腐食
  • 接点欠損
  • 蓋の固着

を確認します。

液漏れが奥まで進んでいる場合は修理難易度が上がります。

電池蓋

コイン溝が潰れていないか確認します。

無理に工具を掛けた跡がある個体もあります。

電池を入れっぱなしにしない

純正説明書も長期保管時には水銀電池を取り外すよう指示しています。

現代の代替電池でも長期保管時は外しておく方が安全です。

距離計二重像

明るい縦線などを見ます。

中央に二重像が明瞭に見えるか確認します。

薄すぎて見えない場合は、

  • ハーフミラー劣化
  • 汚れ
  • 距離計光学系

などの問題が考えられます。

二重像の横ずれ

遠景へ合わせ∞付近で像が一致するか確認します。

ずれていれば距離計調整が必要な可能性があります。

二重像の上下ずれ

横方向だけでなく上下方向も確認します。

上下に大きく離れていると、ピント合わせが非常にしづらくなります。

0.9m付近でも確認する

無限遠だけ合っていても安心できません。

近距離でもファインダー上の合焦位置と実際のフィルム面が一致しているか、最終的には実写確認します。

自動パララックス補正

フォーカスを∞から近距離へ動かします。

ブライトフレームの位置・大きさが変化することを確認します。メーカー説明書でもこの連動が正常機能として説明されています。

フレームが途中で引っ掛かる個体は注意しましょう。

ファインダーの曇り

白い壁や空を見て、

  • 曇り
  • カビ
  • 大量のチリ
  • バルサム劣化状の異常

を確認します。

レンジファインダーではファインダー状態が撮影体験へ直結します。

シャッター1秒

最優先で確認したい速度です。

1秒に設定して何度か切ります。

毎回ほぼ同じ時間で、

ジー……カシャン

と動くことが理想です。

1/2~1/15秒

古いCopalシャッターでは低速ガバナーに汚れや古い油が回り、

  • 粘る
  • 途中停止
  • 全部同じ速度
  • 最初だけ遅い

症状が出る可能性があります。

1/500秒

最高速も確認します。

音だけで精度は分かりません。

可能なら実写またはシャッターテスターを使用します。

B

シャッターボタンを押している間開き、離したら閉じることを確認します。

シャッター羽根の油

レンズ前後からシャッター羽根を確認します。

油が回っている個体では高速側でも正常に作動しない可能性があります。

巻き上げレバー

一回のストロークで、

  • フィルム送り
  • シャッターチャージ

が正常に行われるか確認します。

途中で異常に重くなる場合は無理に押さないようにします。

メーカー説明書もフィルム終端でレバーが止まった場合、力を加えないよう警告しています。

二重露出防止

シャッターを切った後、巻き上げずにもう一度シャッターが切れないか確認します。

通常撮影では二重露出を防ぐ機構が働きます。

フィルムカウンター

裏蓋を開くとスタート位置へ戻ること。

巻き上げるごとに進むことを確認します。

巻き戻し

空フィルムまたはテストフィルムを入れ、

  • 巻き戻しボタン
  • クランク
  • スプール解放

が正常か確認します。

引き出し式フード

前後へスムーズに動くことを確認します。

  • 固着
  • へこみ
  • 斜め
  • ガタ

がないか見ます。

フードが変形すると49mmフィルター装着にも影響する可能性があります。

49mmフィルター枠

実際に49mmフィルターを軽く装着してみると安心です。

途中で異常に固い場合は前枠の打痕・変形を疑います。

セルフタイマー

古いセルフタイマーは故障のきっかけになる場合があります。

動作未確認個体でいきなり最大までレバーを回すのはおすすめしません。

販売店で確認済みなら、

約10秒で正常に作動し、最後までシャッターを切れるか見ます。

フラッシュシンクロ切り替え

X・M切り替えレバーが固着していないか確認します。

現代電子フラッシュなら基本Xです。

シンクロ端子

腐食やぐらつきがないか確認します。

アクセサリーシュー自体には電気接点がないため、フラッシュを使いたい人には重要です。

モルト・遮光

裏蓋周辺の遮光材が劣化していないか確認します。

1960年代製なので、過去に交換されていなければ劣化していて当然と考えた方がよいでしょう。

実写で、

  • 画面端の白い帯
  • 赤っぽい漏光
  • 不規則な光跡

がないか確認します。

実写一本が最終確認

中古店で機械確認だけしても、本当に正常かは分かりません。

最終的にはフィルム一本を通し、

  • EE撮影
  • マニュアル撮影
  • F1.9
  • F8
  • 1秒
  • 1/500秒
  • 近距離
  • 無限遠
  • 逆光

を混ぜて撮影します。

現像後、

露出・ピント・コマ間隔・光漏れ

をまとめて確認しましょう。

KONICA Auto Sが向いている人

KONICA Auto Sは次のような人に向いています。

  • 1960年代レンジファインダーが好きな人
  • HEXANONレンズを使ってみたい人
  • 47~50mm標準画角が好きな人
  • F1.9の明るい固定レンズが欲しい人
  • シャッター速度優先AEが好きな人
  • マニュアル露出も使いたい人
  • 距離計でピントを合わせたい人
  • 機械式シャッターのカメラを選びたい人
  • Konicaの歴史的モデルを収集したい人

特に、

自動露出も欲しい。でも完全オートコンパクトでは物足りない

という人には面白いカメラです。

KONICA Auto Sが向かない場合

一方、

  • AFが欲しい
  • 28mm広角が欲しい
  • 最短50cm程度まで寄りたい
  • 現行電池を何も考えず使いたい
  • TTL測光が欲しい
  • 軽量コンパクトを求める
  • 電気系の修理リスクを避けたい

場合には、より新しいカメラの方が扱いやすいでしょう。

特に重量は約740gあります。

現在の感覚で「コンパクトカメラ」と呼ぶにはかなりズッシリしています。

まとめ

KONICA Auto Sは1963年に登場した、35mm固定レンズ式レンジファインダーカメラです。

最大の特徴は、

CdS露出計とシャッター速度優先EE

です。

撮影者がシャッター速度を選ぶ。

CdSが被写体の明るさを測る。

ファインダー内の針が選択される絞りを示す。

そしてシャッターを切ると適切なF値で露光する。

1960年代前半としてかなり高度なシステムでした。

搭載するHEXANONは、

47mm F1.9・5群5枚。

メーカー資料には改良アンバーコーティングの記載もあります。

ファインダーは0.65倍。

中央には二重像距離計。

さらにピント位置へ連動してブライトフレームの位置と大きさまで変わり、近距離のパララックスと画角変化を自動補正します。

シャッターはCopal SVA。

B・1秒~1/500秒。

EEだけではなく完全マニュアル露出も可能。

フードはレンズから引き出す。

フィルターは49mm。

このあたりにも1960年代の機械式カメラらしい魅力があります。

ただし現在中古で使う場合、最大の問題は電池です。

純正は1.3V水銀電池。

現在の一般的な1.5~1.55V電池をそのまま代用すると、露出計精度へ影響する可能性があります。

そのため中古購入では、

  1. HEXANON 47mm F1.9のカビ・曇り
  2. CdS露出計
  3. 適切な電圧条件での測光精度
  4. H・L測光切り替え
  5. EE絞り制御
  6. マニュアル絞り
  7. 低速シャッター
  8. 1/500秒
  9. 距離計二重像
  10. 無限遠
  11. 近距離ピント
  12. パララックス補正
  13. フィルム送り
  14. 巻き戻し
  15. 遮光

まで確認しましょう。

そしてAuto SをAuto S2と混同してはいけません。

Auto Sは47mm F1.9・5群5枚。

Auto S2は45mm F1.8・4群6枚。

さらにS2ではCdSセルがレンズ周辺へ移動しています。

今から見ると、Auto Sは決して小さくありません。

軽くもありません。

AFもありません。

測光レンジさえHとLを自分で切り替えます。

それでも1963年。

シャッター速度を決める。

二重像でピントを合わせる。

ファインダー内で絞り値を確認する。

あとはカメラが露出を整えてくれる。

KONICA Auto Sは、機械式レンジファインダーの操作感を残したまま「露出だけはカメラに任せる」という新しい撮影スタイルへ踏み出した、HEXANON 47mm F1.9搭載の意欲的な一台です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次