OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4とは?通しF4の標準ズームレンズを徹底解説
OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4は、オリンパスOMマウントを採用した35mmフィルム一眼レフ用のマニュアルフォーカスズームレンズです。
35mmの広角域から、50mm前後の標準域、70mmの中望遠域までを1本でカバーし、ズーム全域で開放F値が変わらない「通しF4」を採用しています。
レンズ構成は7群7枚。最短撮影距離は0.75m、フィルター径は55mm、重量は約380gです。焦点距離を変えても開放F値がF4のままなので、ズーミングによって露出設定が変化しにくく、マニュアル露出でも扱いやすい設計です。
一方、「AUTO-ZOOM」という名称から、オートフォーカスや電動ズームに対応するレンズだと誤解されることがあります。
このレンズのピント合わせとズーム操作は、どちらも撮影者が手動で行います。「AUTO」は、シャッターを切った瞬間だけ設定絞りまで自動的に絞り込まれる、自動絞り機構を示す表記です。
また、OMシステムには同じ35-70mm F4でも、OM30などと組み合わせるオートフォーカス版が存在します。今回扱うS ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4は、それとは異なる通常のマニュアルフォーカスレンズです。
この記事では、OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4の特徴、名称の意味、兄弟レンズとの違い、基本的な使い方、中古購入時に確認したいポイントを解説します。
OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4とは
本レンズは、35mmフィルム用のオリンパスOMマウント一眼レフへ装着する標準ズームレンズです。
1980年代初頭に、より明るいZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6と並行する形で展開されたとみられます。
F3.6版より光学構成を簡潔にし、開放F値をF4へ抑えることで、価格と性能のバランスを取ったモデルとして位置づけられました。OMシステムの資料では、F4版とF3.6版が同時期に併売されていたことが確認できます。
レンズの主な特徴は次のとおりです。
- 焦点距離35~70mm
- ズーム全域で開放F4
- 7群7枚の光学系
- マルチコーティング
- 2リング式のズーム操作
- 回転ヘリコイド式のピント合わせ
- 最短撮影距離0.75m
- OMマウントの自動絞り
- 55mmねじ込み式フィルター
- 約380gの重量
35mmから70mmという焦点距離は、現在の高倍率ズームと比べると狭く見えます。
しかし、広角・標準・中望遠という日常撮影で使用頻度の高い範囲をまとめており、旅行、街歩き、人物、風景、家族写真などを1本で撮影できます。
「S ZUIKO」のSは何を意味するのか
オリンパスの古い単焦点レンズでは、G.ZuikoやF.Zuikoといった文字が、レンズ枚数を示す場合があります。
たとえば、G.Zuikoの「G」は7枚構成、F.Zuikoの「F」は6枚構成を表します。
しかし、本レンズの「S ZUIKO」は、このレンズ枚数を示す旧来の記号とは意味が異なります。
OMシステムの資料では、S Zuiko Zoomは、比較的購入しやすい価格を重視したコンシューマー向けズームレンズの系列として説明されています。35-70mm F4のほか、28-48mm F4、35-70mm F3.5-4.5、70-210mm F4.5-5.6などにもS ZUIKOの名称が使われました。
したがって、
S ZUIKOだから単純な廉価レンズで画質が悪い
と判断するのは早計です。
本レンズは7群7枚の光学系とマルチコーティングを採用し、OMシステムの純正標準ズームとして必要な機能を備えています。
一方、同時期の35-70mm F3.6より光学系が簡略化され、重量と販売価格を抑えた立ち位置であったことは確かです。
「AUTO-ZOOM」はオートフォーカスではない
本レンズの名称にある「AUTO-ZOOM」は、オートフォーカスや自動ズームを意味しません。
ピント合わせは、鏡筒前方のフォーカスリングを手で回して行います。
ズーミングも、別に設けられたズームリングを手動で回します。
「AUTO」が示しているのは自動絞りです。
OMマウントの一眼レフへ装着した場合、ファインダーをのぞいている間はレンズが開放F4に保たれます。
たとえば絞りリングをF8へ設定していても、構図確認やピント合わせの段階ではF4の明るさでファインダーを確認できます。
シャッターを切ると、レンズは設定したF8まで一瞬で絞り込まれ、露光後に再びF4へ戻ります。
公式資料でも、自動絞りと開放測光に対応することが明記されています。
OMシステムには、別に「ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF」というオートフォーカスレンズがあります。
こちらはOM30などとの組み合わせを想定した大型のAFレンズで、光学構成、鏡筒、重量が異なります。
中古販売ページで「35-70mm F4」としか書かれていない場合は、鏡筒に「AF」の表記がないか確認しましょう。
35mmから70mmまでをカバー
本レンズの画角は、35mm側で約63度、70mm側で約34度です。
35mm側
35mmは、標準レンズより広い範囲を写せる広角寄りの焦点距離です。
次のような撮影に向いています。
- 街並み
- 建築物
- 室内
- 旅行先の風景
- 人物と周囲の環境
- 集合写真
28mmほど強い広角感はなく、画面周辺の遠近感も比較的自然です。
広角レンズに慣れていない人でも扱いやすく、旅行先で建物や風景を少し広く入れたいときに役立ちます。
50mm前後
50mm前後は、35mm判における標準域です。
人物、日常のスナップ、静物、店舗、料理など、幅広い被写体を自然な遠近感で撮影できます。
単焦点50mmからズームレンズへ移行する場合でも、違和感が少ない範囲です。
70mm側
70mmは短めの中望遠です。
人物の上半身、離れた場所のディテール、風景の一部を切り取る撮影に向いています。
被写体へ少し距離を取りながら背景を整理しやすく、35mm側よりも遠近感が圧縮されます。
ただし、70mm F4なので、85mm F2や100mm F2.8のような大きな背景ボケを得るためのレンズではありません。
ズーム比は2倍
35mmから70mmまでなので、ズーム比は2倍です。
現代の24-120mmや28-300mmと比べれば、変化の幅は小さく見えます。
しかし、無理に広い焦点距離を詰め込まないことで、光学系を7群7枚に抑えています。
焦点距離を大きく変えて遠くの被写体を引き寄せるというより、
撮影位置を大きく変えずに、構図を細かく整えるためのズーム
と考えると、本レンズの性格を理解しやすくなります。
35mmで周囲の状況を含め、50mmで自然に切り取り、70mmで主題を強調するという使い分けができます。
ズーム全域で開放F4
本レンズの大きな特徴が、35mmから70mmまで開放F値がF4で変わらないことです。
後年の35-70mm F3.5-4.5などは、35mm側ではF3.5ですが、70mm側へズームすると開放F値がF4.5へ暗くなります。
本レンズは、どの焦点距離でも開放F4です。
この通しF4には、次の利点があります。
- ズーミングしても開放F値が変わらない
- マニュアル露出で設定を維持しやすい
- 単体露出計を使う場合も再計算しやすい
- ファインダーの明るさがズームによって変化しにくい
- フラッシュ撮影で絞り値を管理しやすい
たとえば1/250秒・F4で適正露出を得ている場合、35mmから70mmへ変更しても、レンズの開放F値がF4.5へ変化することはありません。
OM-1のようなマニュアル露出機では、特に扱いやすい仕様です。
F4は明るいレンズではない
通しF4は便利ですが、明るさそのものは控えめです。
50mm F1.8と比較すると、F4は2段以上暗くなります。
ISO100フィルムを使った室内撮影や夕方では、シャッター速度が低くなりやすいため、次の対策が必要です。
- ISO400以上のフィルムを使う
- 三脚を使う
- カメラを壁や柱へ固定する
- フラッシュを使う
- 明るい場所へ移動する
- 50mm F1.8などへ交換する
OM-2NやOM-10の絞り優先AEでは、自動的に低速シャッターが選ばれます。
ファインダー内の速度表示を確認し、手ブレしない速度か判断しましょう。
OM-1のマニュアル露出では、露出計の針を合わせた結果、1/30秒以下になる場合に注意が必要です。
7群7枚の光学系
本レンズは、7群7枚というシンプルな光学構成です。
各群が1枚ずつで構成され、ズームレンズとしては比較的少ない枚数にまとめられています。
同じ焦点距離のZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6は10枚8群なので、F4版の方がレンズ枚数が少なくなっています。
レンズ枚数が少ないことだけで画質の優劣は決まりません。
しかし、空気とレンズ面の境界を減らし、重量や製造コストを抑えられるという利点があります。
一方、ズーム全域で各種収差を補正する設計上の自由度では、より多くのレンズを使った上位モデルが有利になる場合があります。
マルチコーティングを採用
公式資料では、「S ZUIKO MC AUTO-ZOOM」と表記され、マルチコーティングが採用されています。
マルチコーティングは、レンズ面で発生する反射を抑え、光の透過率、コントラスト、色再現を改善するための処理です。
ズームレンズは単焦点レンズよりレンズ面が多くなりやすく、内部反射によるフレアやゴースト対策が重要になります。
製造時期によっては、鏡筒の「MC」表記が省略された個体も考えられます。
OMシステムでは、マルチコーティングが標準化された後、あえてMCと表示しなくなったレンズがあります。
MC表記の有無だけで単層コーティングと判断せず、レンズの正確な名称や製造世代を確認しましょう。
2リング式のズームレンズ
本レンズは、ピントリングとズームリングを別々に設けた2リング式です。
- フォーカスリング:ピントを合わせる
- ズームリング:焦点距離を変更する
- 絞りリング:F4~F22を設定する
現在のズームレンズでも一般的な構成です。
1970~1980年代には、ひとつのリングを前後へ動かしてズームし、回転させてピントを合わせる「直進式」も多く存在しました。
2リング式では、ズーム操作とピント操作を区別しやすく、焦点距離を変更するときに誤ってピントリングを大きく動かす可能性を抑えられます。
また、公式資料では、正しくピントを合わせた後はズームしても合焦状態が保たれる設計と説明されています。
ただし、経年による内部のガタや組み立てずれがある個体では、ズーミングによってピント位置が変化する場合があります。
中古品では実際に35mm、50mm、70mmへ動かして確認しましょう。
回転ヘリコイド式のピント合わせ
ピント合わせには回転ヘリコイドを使用します。
最短撮影距離は、ズーム全域で0.75mです。
フォーカスリングを回すと、距離目盛りが0.75mから無限遠まで移動します。
OMシリーズの大きなファインダーと組み合わせれば、スプリットイメージやマイクロプリズムを使ってピントを追い込みやすくなります。
ただし、F4は50mm F1.8などよりファインダー像が暗くなります。
暗い室内や低照度では、スプリットイメージの一部が黒く見える場合があります。
全面マット部分を使う、明るい輪郭へ合わせる、より明るい場所でピントを取るなどの工夫が必要です。
最短撮影距離は0.75m
最短撮影距離は0.75mです。
この距離はレンズ先端からではなく、カメラ内部のフィルム面から被写体までの距離です。
公式資料では、最短距離で写せる範囲が次のように案内されています。
- 35mm側:約48×72cm
- 70mm側:約25×37.5cm
70mm側での最大撮影倍率は、数値から概算すると約0.1倍、約1:10相当です。
花、小物、料理などをある程度大きく撮れますが、本格的なマクロレンズではありません。
硬貨、宝石、昆虫の細部を画面いっぱいへ写したい場合は、次の機材が向いています。
- ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F3.5
- ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2
- オートエクステンションチューブ
- クローズアップレンズ
- オートベローズ
専用マクロ機構は搭載していない
後発のS ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5には、通常の最短撮影距離を超えて約0.45mまで近づけるクローズフォーカス機構があります。
しかし、本レンズには専用のマクロ・クローズフォーカス機構がありません。
通常のフォーカスリングで0.75mまで合わせる設計です。
接写性能を優先するならF3.5-4.5版、本レンズの通しF4と比較的重厚な鏡筒を優先するならF4版という選び方ができます。
絞りはF4からF22
絞り範囲はF4~F22です。
絞り羽根は自動絞り式で、OMボディでは開放測光に対応します。公式資料とレンズデータベースでは、絞り羽根は8枚とされています。
主な絞り値の使い分けは次のとおりです。
F4
最も明るい設定です。
暗い場所でシャッター速度を確保したい場合や、背景を少しぼかしたい場合に使用します。
ズームレンズでは開放時に周辺光量低下や画面周辺の甘さが出る場合があるため、重要な撮影では実写で傾向を確認しましょう。
F5.6~F8
風景、スナップ、旅行などで使いやすい範囲です。
画面全体の描写とシャッター速度のバランスを取りやすくなります。
F11~F16
手前から奥まで広くピントを合わせたい風景や建築撮影に向いています。
ただし、シャッター速度が低下しやすいため、手ブレに注意が必要です。
F22
最小絞りです。
被写界深度は広がりますが、回折によって細部の解像感が低下する場合があります。
光芒表現や、どうしても低速シャッターを使いたい場合などに利用します。
55mmフィルターに対応
フィルター径は55mmです。
装着できる主なアクセサリーは次のとおりです。
- 保護フィルター
- UVフィルター
- NDフィルター
- PLフィルター
- モノクロ用カラーフィルター
- クローズアップレンズ
- 55mmねじ込み式フード
フィルターを装着するときは、前枠のねじ山へまっすぐ入れます。
落下や衝突で枠が変形している個体では、フィルターが途中までしか入らない、斜めに固定される、外せなくなるといった問題が起こります。
反転収納できるゴム製フード
公式資料では、55mmのフィルターに対応し、付属のゴム製フードは反転させて収納できると説明されています。
フードには、画面外から入る不要な光を遮り、フレアやゴーストを抑える効果があります。
ズームレンズ用フードは35mm側で画面に写り込まないよう設計されるため、70mm専用フードほど深くはできません。
それでも、逆光や斜光では装着する価値があります。
中古品では純正ゴムフードが硬化、変形、ひび割れしている場合があります。
ゴムが縮んで固定できない、途中までしか装着できない場合は、無理に押し込まないようにしましょう。
OMマウントの各ボディで使用できる
本レンズは、オリンパスOMマウントのマニュアルフォーカス一眼レフへ装着できます。
代表的な対応ボディは次のとおりです。
- OLYMPUS OM-1・OM-1N
- OLYMPUS OM-2・OM-2N
- OLYMPUS OM-3・OM-3Ti
- OLYMPUS OM-4・OM-4Ti
- OLYMPUS OM-10
- OLYMPUS OM-20
- OLYMPUS OM-30
- OLYMPUS OM-40
- OLYMPUS OM-2000
機械式の自動絞りと絞り値連動機構を備えているため、対応するOMボディでは開放測光が可能です。
OM-1では露出計を確認しながらマニュアル撮影、OM-2NやOM-10では絞り優先AEを利用できます。
レンズ自体に電池や電子回路はありません。
OM-1へ装着すれば、カメラ側の露出計を使わない限り、電池なしでも撮影できます。
ミラーレスカメラでも使用できる
OMマウントから各種ミラーレスマウントへ変換するアダプターを使用すれば、デジタルカメラへ装着することも可能です。
ただし、基本的には次の機能が失われます。
- オートフォーカス
- 電子式の絞り制御
- レンズ情報の記録
- 自動レンズ補正
- カメラからの絞り値変更
ピントと絞りはレンズ側で操作します。
絞り込み測光に対応するミラーレスカメラでは、実際にレンズを通った光を測るため、マニュアル露出や絞り優先AEを利用できる場合があります。
アダプターの厚みが不正確だと、無限遠が出ない、無限遠を越えて回るといった問題が起こります。
デジタルで使用する場合も、アダプターの精度を確認しましょう。
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6との違い
F3.6版は、本レンズより約1/3段明るい上位ズームです。
| 項目 | 35-70mm F3.6 | S ZUIKO 35-70mm F4 |
|---|---|---|
| 開放F値 | F3.6通し | F4通し |
| レンズ構成 | 8群10枚 | 7群7枚 |
| 最短撮影距離 | 0.8m | 0.75m |
| フィルター径 | 55mm | 55mm |
| 最大径 | 約67mm | 約68mm |
| 長さ | 約74mm | 約71mm |
| 重量 | 約400g | 約380g |
| 操作方式 | 2リング式 | 2リング式 |
F3.6版は光学構成が複雑で、当時の上位モデルに位置づけられます。
F4版はわずかに暗い一方、約20g軽く、最短撮影距離もわずかに短くなっています。
中古ではレンズ名称だけで選ばず、カビ、曇り、偏心、ズーム機構の状態を優先しましょう。
状態のよいF4版は、曇ったF3.6版より安心して使用できます。
S ZUIKO 35-70mm F3.5-4.5との違い
後発のF3.5-4.5版は、小型軽量化と接写性能を重視したモデルです。
| 項目 | 35-70mm F4 | 35-70mm F3.5-4.5 |
|---|---|---|
| 開放F値 | F4通し | F3.5~F4.5 |
| レンズ構成 | 7群7枚 | 8群9枚 |
| 通常最短距離 | 0.75m | 0.75m |
| クローズフォーカス | なし | 約0.45m |
| フィルター径 | 55mm | 49mm |
| 長さ | 約71mm | 約51mm |
| 重量 | 約380g | 約190g |
F3.5-4.5版は重量が約半分で、旅行や街歩きには有利です。
一方、ズームによって開放F値が変化します。
通しF4と金属鏡筒らしい操作感を重視するならF4版、小型軽量と接写性能を重視するならF3.5-4.5版が候補になります。
オートフォーカス版35-70mm F4との違い
オリンパスには「ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF」も存在します。
こちらはOM30との組み合わせでオートフォーカスを利用するための特殊なレンズです。
| 項目 | S ZUIKO 35-70mm F4 | AF 35-70mm F4 |
|---|---|---|
| ピント | マニュアル | AF・MF |
| レンズ構成 | 7群7枚 | 8群9枚 |
| 最短撮影距離 | 0.75m | 0.75m |
| フィルター径 | 55mm | 55mm |
| 最大径 | 約68mm | 約92mm |
| 長さ | 約71mm | 約70mm |
| 重量 | 約380g | 約550g |
AF版はモーターや電池を組み込んだ大型鏡筒を持ち、通常のF4版より約170g重くなっています。
「AUTO-ZOOM」の文字だけを見てAF版だと判断せず、鏡筒にAF表記や大型の電池室があるか確認しましょう。
基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| レンズ形式 | 35mm判対応標準ズーム |
| マウント | オリンパスOMマウント |
| 焦点距離 | 35~70mm |
| ズーム比 | 2倍 |
| 開放F値 | F4通し |
| 最小絞り | F22 |
| レンズ構成 | 7群7枚 |
| コーティング | マルチコーティング |
| 画角 | 63~34度 |
| ピント合わせ | マニュアルフォーカス |
| フォーカス方式 | 回転ヘリコイド |
| ズーム方式 | 2リング式 |
| 最短撮影距離 | 0.75m |
| 最小撮影範囲 | 35mm:約48×72cm、70mm:約25×37.5cm |
| 絞り | 自動絞り・開放測光対応 |
| 絞り羽根 | 8枚 |
| フィルター径 | 55mm |
| 最大径 | 約68mm |
| 長さ | 約71mm・70mm設定時 |
| 重量 | 約380g |
| フード | ゴム製・反転収納式 |
基本仕様はオリンパスのレンズ資料に基づきます。
基本的な使い方
レンズを装着する
ボディとレンズの赤い指標を合わせ、レンズをマウントへ差し込みます。
時計回りへ回し、固定音がするまで確実に装着します。
無理に斜めへ差し込むと、マウントや絞り連動部を傷める可能性があります。
焦点距離を決める
ズームリングを回し、35mmから70mmの範囲で構図を決めます。
最初に35mm側で被写体を探し、50~70mmへ動かして不要な背景を整理する方法が使いやすいでしょう。
ピントを合わせる
フォーカスリングを回し、ファインダー中央のスプリットイメージやマイクロプリズムで合焦を確認します。
焦点距離を変更しても基本的にピントは維持されますが、重要な撮影ではズーム後に再確認しましょう。
絞りを設定する
OM-1では、シャッター速度と絞りを調整し、露出計の針を適正位置へ合わせます。
OM-2NやOM-10では、絞りを選ぶとカメラがシャッター速度を決定します。
F4は暗い場所、F5.6~F8は一般撮影、F11以上は被写界深度を広げたい場面の目安です。
被写界深度を確認する
レンズ側のプレビューボタンを押すと、設定絞りまで絞り込まれます。
ファインダー像は暗くなりますが、実際の撮影でピントが合って見える範囲を確認できます。
撮影する
構図、ピント、露出を確認してシャッターを切ります。
低速シャッターでは、カメラをしっかり構えるか三脚を使用しましょう。
中古購入時に確認したいポイント
正確なモデル名を確認する
オリンパスの35-70mmズームには複数の種類があります。
- 35-70mm F3.6
- S ZUIKO 35-70mm F4
- AF 35-70mm F4
- S ZUIKO 35-70mm F3.5-4.5
- S ZUIKO 35-70mm F3.5-4.8
購入前に、レンズ前面の焦点距離と開放F値を確認しましょう。
「35-70mm」としか書かれていない商品説明では、別モデルが混在する可能性があります。
カビ
前玉と後玉へ光を斜めから当て、糸状や樹枝状の模様がないか確認します。
ズームレンズは内部のレンズ群が多く、奥の面に発生したカビは清掃が難しくなります。
カビが広範囲にある場合は、コーティングまで侵食している可能性があります。
清掃後も跡が残ることがあるため、実用品としては慎重に判断しましょう。
白い曇り
レンズ全体が白っぽく見える個体は注意が必要です。
曇りがあると、次のような影響が出ます。
- コントラスト低下
- 黒が締まらない
- 逆光で白くかぶる
- 色が濁る
- 強い光の周囲がにじむ
表面の汚れではなく、内部の油分、接着剤、コーティング劣化などが原因の場合があります。
ズームレンズは分解調整が複雑なので、清掃費用も考慮しましょう。
バルサム切れと貼り合わせ面
レンズの貼り合わせ面に、虹色の模様、白い輪、縁から広がる剥離がないか確認します。
これはバルサム切れや接着層の劣化である可能性があります。
単純なカビ清掃では改善できず、レンズの再接着や交換が必要になる場合があります。
ズームリングの動き
35mmから70mmまで、ズームリングが滑らかに動くか確認します。
- 途中で急に重くなる
- 引っ掛かる
- ガリガリした感触がある
- 焦点距離表示と内部の動きが一致しない
- 70mmまで到達しない
- リングが極端に緩い
このような個体は、内部カム、グリース、鏡筒の変形に問題がある可能性があります。
ピントリングの動き
0.75mから無限遠まで回し、全域で滑らかに動くか確認します。
古いグリースが固まると、低温時に特に重くなることがあります。
無理に回すと、ヘリコイドや距離計連動部へ負担が掛かります。
極端に軽く、左右へガタつく個体も注意が必要です。
ズーミング後のピント
遠くの建物や看板へピントを合わせ、35mm、50mm、70mmへ焦点距離を変更します。
正常な個体では、ズーム後も大きくピントが外れないことが基本です。
大幅にずれる場合は、
- 内部レンズ群の位置ずれ
- 過去の分解組み立て不良
- 鏡筒のガタ
- 落下による変形
などが考えられます。
無限遠
レンズを無限遠へ合わせ、遠くの建物や星でピントが合うか確認します。
無限遠まで回しても合わない場合は、レンズ内部の調整ずれやマウント変形が考えられます。
反対に、無限遠より手前で合焦し、そのままリングが大きく回り続ける場合も調整ずれの可能性があります。
片ボケと偏心
平面の壁、新聞紙、建物などを正面から撮影します。
画面中央へピントを合わせたとき、左右または上下の一方だけが極端にぼけていないか確認しましょう。
ズームレンズは複数のレンズ群が移動するため、落下や分解整備による偏心の影響を受ける場合があります。
35mm、50mm、70mmの各位置で撮影すると、特定の焦点距離だけに出る不具合も確認できます。
絞り羽根の油
マウント側の絞り連動レバーを慎重に動かします。
羽根が素早く閉じ、レバーを離すと瞬時に開放へ戻ることを確認しましょう。
油が付着していると、次の症状が出ます。
- 絞り込みが遅い
- 開放へ戻らない
- F8やF11まで閉じない
- 羽根が途中で止まる
- 撮影ごとに露出が変わる
OM-1では設定より開いたまま撮影され、露出オーバーになります。
OM-2NやOM-10のAUTOでも、シャッターが動き始めるまでに絞りが設定値へ到達しなければ、露出が不安定になる可能性があります。
絞りリング
F4からF22まで動かし、各位置でクリック感があるか確認します。
リングが空回りする、数字と実際の羽根が一致しない、途中で動かなくなる個体は注意が必要です。
絞りリングの連動爪が曲がっていると、カメラ側の露出計へ正しい絞り値が伝わりません。
自動絞り
ボディへ装着して、開放測光と自動絞りの動作を確認します。
絞りをF11へ設定しても、通常はファインダーが開放F4の明るさに保たれます。
シャッターを切った瞬間だけF11まで閉じ、撮影後に開放へ戻るのが正常です。
常に絞り込まれたままになる場合は、レンズまたはボディの自動絞り連動に不具合があります。
被写界深度確認ボタン
絞りをF8やF11へ設定し、レンズ側のプレビューボタンを押します。
設定値まで絞り込まれ、ボタンを離すと素早く開放へ戻ることを確認します。
ボタンが沈んだまま戻らない、押しても羽根が動かない個体は整備が必要です。
鏡筒のガタつき
レンズ前方を軽く支え、前後左右に大きなガタがないか確認します。
わずかな機械的遊びはあり得ますが、目視できるほど傾く個体は注意が必要です。
鏡筒のガタは、片ボケ、ピントずれ、ズーム操作の不安定さにつながります。
マウント
OMマウント部に強い傷、変形、ねじの欠損がないか確認します。
ボディへ装着したときに、
- 最後まで回る
- ロックされる
- 大きくガタつかない
- 解除ボタンで正常に外せる
ことが重要です。
マウントが曲がっていると、レンズ面とフィルム面が平行にならず、片ボケの原因になります。
フィルター枠
55mmフィルターを実際に取り付けられるか確認します。
落下による前枠のへこみがあると、フィルターやフードを使用できません。
固着したフィルターが付いた個体では、無理に工具を使うと前枠やレンズを傷める可能性があります。
前玉と後玉の傷
前玉の細かな拭き傷は、通常撮影で大きな影響が出ないこともあります。
しかし、深い傷やコーティング剥離は逆光時のフレアにつながります。
後玉の傷は、前玉の同程度の傷よりも画質へ影響しやすいため、特に慎重に確認しましょう。
内部の異物
小さなチリは古いズームレンズでは珍しくありません。
写真へ直接写る可能性は低いものの、大きな異物、塗装片、油滴などがある場合は注意が必要です。
内部部品が剥がれている、過去に不適切な分解が行われた可能性があります。
ゴムリング
フォーカスリングやズームリングのゴムが、
- 白く変色している
- べたつく
- ひび割れている
- 浮いている
- 空回りする
といった状態になっていないか確認します。
ゴムの劣化だけなら撮影できることもありますが、操作性へ影響します。
純正フード
純正ゴムフードが付属する場合は、硬化やひび割れを確認します。
変形したフードは35mm側で画面へ写り込む可能性があります。
装着後に四隅が暗くならないか、ファインダーや実写で確認しましょう。
実写確認
最終的にはフィルムまたはデジタルカメラで実写することが最も確実です。
確認したい条件は次のとおりです。
- 35mm・F4
- 35mm・F8
- 50mm・F4
- 50mm・F8
- 70mm・F4
- 70mm・F8
- 無限遠
- 最短撮影距離
- 逆光
- 平面被写体
焦点距離と絞りを変えることで、片ボケ、コントラスト、周辺描写、絞り動作、ズーム機構を総合的に確認できます。
向いている人
本レンズは、次のような人に向いています。
- OMシリーズで初めてズームレンズを使う人
- 35mmから70mmを1本でカバーしたい人
- ズーム全域で開放F値を変えたくない人
- マニュアル露出でズームを使いたい人
- 旅行や街歩きでレンズ交換を減らしたい人
- 2リング式の操作を好む人
- 金属鏡筒のクラシックズームが好きな人
- ミラーレスカメラでOMレンズを楽しみたい人
- 単焦点レンズとは異なる構図調整を楽しみたい人
OM-1との組み合わせでは、機械式カメラと通しF4ズームによる分かりやすいマニュアル撮影を楽しめます。
OM-2NやOM-10では、絞り優先AEを使いながら焦点距離を選べます。
向かない場合
一方、次のような人には別のレンズが適している可能性があります。
- 暗い場所で手持ち撮影したい人
- 大きな背景ボケを求める人
- 軽量なズームレンズを求める人
- 本格的なマクロ撮影をしたい人
- 28mm以下の広角が必要な人
- 100mm以上の望遠が必要な人
- オートフォーカスを使いたい人
- レンズ内手ブレ補正が必要な人
- 1本で高倍率ズームを求める人
暗所撮影では50mm F1.8、小型軽量を優先するなら35-70mm F3.5-4.5、接写なら50mmマクロなどが候補になります。
まとめ
OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4は、オリンパスOMマウント用のマニュアルフォーカス標準ズームレンズです。
35mmの広角域から70mmの中望遠域までをカバーし、ズーム全域で開放F4を維持します。
主な特徴は次のとおりです。
- 焦点距離35~70mm
- ズーム比2倍
- ズーム全域で開放F4
- 7群7枚の光学系
- マルチコーティング
- 2リング式のズーム・フォーカス操作
- 回転ヘリコイド式ピント合わせ
- 最短撮影距離0.75m
- F4~F22の自動絞り
- OMボディで開放測光に対応
- 55mmフィルター
- 約380g
- 反転収納式ゴムフード
中古市場では、同じ35-70mm F4でもマニュアルフォーカス版とオートフォーカス版が混在します。
「AUTO-ZOOM」はオートフォーカスを意味しません。
購入時は、レンズ前面の「S ZUIKO」「AF」表記、鏡筒形状、重量、電池室の有無を確認しましょう。
また、古いズームレンズでは、単焦点レンズ以上に内部状態が重要です。
カビや曇りだけでなく、ズームリング、フォーカスリング、内部レンズ群のガタ、ズーミング後のピント、片ボケ、絞りの戻りまで確認する必要があります。
最新のズームレンズほど広い範囲をカバーするわけでも、単焦点レンズほど明るいわけでもありません。
しかし、35mm、50mm、70mmという実用性の高い画角を、露出設定を変えずに行き来できる点には明確な価値があります。
広角か、標準か、中望遠か。レンズを交換する前に、リングひとつで構図の答えを探せる。
OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4は、OMシステムの小型一眼レフへ、ズームレンズならではの機動力を加える堅実な一本です。









