Leica M6 TTL(ライカ M6 TTL)は、ライカが1998年に発売した35mmフィルム用レンジファインダーカメラです。
1984年に登場したLeica M6をベースに、TTLフラッシュ調光機能、大型化されたシャッタースピードダイヤル、改良された露出計表示などを追加。
一方、シャッターそのものは機械式。
電池がなくても1秒~1/1000秒とBで撮影できます。
つまり、
古典的な機械式Leica Mの操作感
と、
露出計+TTLフラッシュという電子機能
を組み合わせたモデルです。
ライカ公式の歴史資料では、M6 TTLは1998年に登場し、2002年まで約4万台が生産されたとされています。
Leica M6 TTLとは
Leica M6 TTLは、1984年から長期間生産された初代M6の発展モデルとして1998年に登場しました。
主な仕様は以下のとおりです。
- 使用フィルム:35mmフィルム
- 画面サイズ:24×36mm
- カメラ形式:レンジファインダー式
- マウント:Leica Mバヨネット
- ピント合わせ:連動距離計式マニュアルフォーカス
- シャッター:機械制御横走り布幕フォーカルプレーン
- シャッター速度:1秒~1/1000秒+B
- フラッシュ同調:約1/50秒
- 露出:マニュアル
- 測光:TTL部分測光
- TTLフラッシュ調光:対応フラッシュ使用時
- ISO設定:ISO6~6400
- ファインダー倍率:0.72倍、0.85倍、0.58倍
- フィルム送り:手動
- 巻き戻し:手動
- 電源:露出計・TTLフラッシュ回路用
- サイズ:約138×79.5×38mm
- 重量:約600g
M6 TTLの取扱説明書では、機械式シャッター、TTL測光、3灯式露出表示、TTLフラッシュ、600gという仕様が確認できます。
まず「M6」と「M6 TTL」は何が違うのか
ここが最重要です。
初代Leica M6は1984年に登場しました。
M型ライカの伝統的なスタイルを維持しながら、ボディ内部へTTL露出計を搭載。
シャッター幕中央の白い測光スポットから反射する光を測定し、ファインダー内LEDで適正露出を案内します。
つまり、
初代M6もすでにTTL測光です。
それなのに1998年モデルが、
M6 TTL
と名乗ります。
かなり紛らわしい。
M6 TTLの「TTL」はフラッシュTTL
M6 TTL最大の追加機能は、
TTLフラッシュ調光。
です。
初代M6では定常光のTTL測光はできますが、フラッシュ光そのものをカメラ内部でTTL測光して自動制御することはできません。
M6 TTLでは対応フラッシュを使用すると、実際に撮影レンズを通ってフィルム面へ届くフラッシュ光を測り、必要な光量に達するとカメラからフラッシュへ発光停止信号を送ります。
つまり、
レンズ。
絞り。
フィルター。
など撮影時の条件を含めてフラッシュ露出を制御できます。
Leica SF20などでTTLフラッシュが使える
M6 TTLの取扱説明書では、
Leica SF20
や、
SCA 3501アダプターを備えたSCA 3000システム対応フラッシュ
をTTLフラッシュ対応機として案内しています。
対応フラッシュでは、カメラ側に設定したフィルム感度もフラッシュへ伝達されます。
撮影者が毎回、
ガイドナンバー。
被写体距離。
フィルム感度。
絞り。
を計算する必要を減らせます。
ただしフラッシュ同調は1/50秒
ここはいかにも昔ながらのM型ライカです。
フラッシュ同調最高速度は、
1/50秒。
現在の一眼レフやミラーレスなら1/200秒、1/250秒、さらに高速シンクロまであります。
M6 TTLは、
1/50秒。
です。
シャッターダイヤル上にもフラッシュ同調位置があります。
これより高速で通常のフラッシュを使用すると、シャッター幕によって画面の一部が遮られる可能性があります。
つまりTTLになってもシャッターは古典的
ここがM6 TTLの面白さです。
フラッシュ露出制御。
↓
電子化。
しかし、
シャッター。
↓
昔ながらの機械式布幕。
です。
1998年のカメラなのに最高1/1000秒。
フラッシュ同調1/50秒。
完全に最新AF一眼レフとは別方向を向いています。
シャッターは完全機械制御
M6 TTL最大の安心材料でもあります。
シャッター速度は、
1秒。
1/2。
1/4。
1/8。
1/15。
1/30。
1/60。
1/125。
1/250。
1/500。
1/1000秒。
そしてB。
これらは機械的に制御されます。M6系の基本構造として、機械制御フォーカルプレーンシャッターであることはライカ公式仕様にも明記されています。
電池がなくても撮れる
したがって、
電池切れ。
↓
露出計は使えない。
TTLフラッシュ制御も使えない。
しかし、
シャッターは切れる。
です。
単体露出計。
スマートフォン露出計。
Sunny 16。
などで露出を決めれば撮影できます。
電子制御シャッター機とは大きく違うところです。
電池の仕事は主に露出計とフラッシュ制御
M6 TTLの電池は、
露出計。
LED。
TTLフラッシュ制御。
などの電子機能へ使われます。
機械式シャッターそのものを動かす電源ではありません。
そのため、
「電子部品があるけど、本体の撮影生命線は機械式」
という絶妙な構成です。
使用電池
M6系では、
2個の1.5Vボタン電池。
または、
3VのDL1/3N系リチウム電池。
を使用できます。
ライカ公式のM6仕様でもSR44系2個またはDL1/3N 1個が案内されています。
水銀電池を必要とする古典カメラとは違い、現在でも比較的電源を確保しやすいことは大きなメリットです。
M6 TTLではシャッターダイヤルが巨大化
初代M6とM6 TTLの外観上、非常に分かりやすい違いがあります。
シャッタースピードダイヤル。
M6 Classicでは小さい。
M6 TTLでは、
かなり大きくなりました。
ライカ公式系の歴史資料でも、M6 TTLではM5にならった大型ダイヤルが採用されたことが説明されています。
人差し指一本で操作しやすい
大型化のメリットは単純です。
ファインダーを覗く。
↓
右手人差し指を伸ばす。
↓
ダイヤルを回す。
という操作がしやすい。
初代M6では小型ダイヤルなので、場合によっては親指と人差し指でつまむような操作になります。
M6 TTLは、
撮影中のシャッター速度変更が明らかにやりやすい。
実用面ではかなり大きな改良です。
しかも回転方向まで逆になった
そしてM6 TTL最大級のマニアックポイント。
シャッターダイヤルの回転方向が、
従来M型ライカと逆。
になりました。
なぜ?
露出計LEDの矢印と方向を一致させた
M6 TTLのファインダーには、
左三角。
中央丸。
右三角。
という露出計表示があります。
露出がズレている場合、
「こっちへ回してください」
という方向を三角LEDが示します。
M6 TTLではシャッターダイヤルを、その矢印と同じ方向へ回せば適正露出へ近づくようにしました。
これは非常に合理的です。
初代M6は矢印とダイヤル方向が一致しない
初代M6では、
露出計
「こっち!」
しかしシャッターダイヤルは、
逆方向。
慣れれば問題ありません。
しかしM6 TTLでは、
「それ、普通に合わせたほうが分かりやすいよね」
となった。
シャッターダイヤルを大型化。
さらに回転方向変更。
操作性を改善しました。
ところがMPでは元へ戻る
ここからライカが面白くなります。
M6 TTL
→ 新方向。
M7
→ 新方向を継承。
デジタルM系
→ 基本的に新方向。
しかし、
Leica MP
では伝統的な小型ダイヤルと旧方向へ戻ります。
なぜならMPは、
古典的なM型操作感
を重視したモデルだから。
合理性。
伝統。
どちらを選ぶか。
完全に好みです。
露出計表示も進化
初代M6では基本的に、
左右の三角LED2個。
です。
両方が点灯すれば適正露出。
M6 TTLでは、
中央の丸LED
が追加されました。
つまり、
左三角。
中央丸。
右三角。
の3灯。
中央の丸だけなら適正露出
M6 TTLでは、
中央丸LEDだけ点灯
なら適正露出です。
中央+片方の三角。
ならおおむね半段程度のズレ。
三角のみならさらに大きなズレ。
というように、初代M6より露出状態を直感的に把握できます。取扱説明書でも3つの赤色LEDによる露出表示が説明されています。
しかし自動露出ではない
ここは絶対に間違えないようにしましょう。
M6 TTLには露出計があります。
だから、
絞り優先AE?
ありません。
プログラムAE?
ありません。
シャッター優先?
ありません。
完全マニュアル露出です。
露出計は「教えてくれるだけ」
カメラは、
「ちょっと暗いよ」
「ちょっと明るいよ」
「今ちょうどいいよ」
とLEDで教えます。
しかし、
絞りリング。
シャッター速度。
を変えるのは、
撮影者。
です。
M6 TTLは、
露出計付きマニュアルカメラ。
ここが重要です。
測光はシャッター幕反射式
M6系の露出計は非常に特徴的です。
シャッター幕中央部に、
白い測光スポット
があります。
レンズから入った光。
↓
シャッター幕中央の白スポットへ当たる。
↓
反射。
↓
ボディ内部の受光素子が測る。
という方式です。
現在のM6でも同じ基本原理が採用され、ライカ公式仕様では測光スポット径12mm、ネガ面積のおよそ13%に相当するとされています。
約13%の部分測光
したがって測光は、
全面平均。
多分割評価。
スポット1%。
ではありません。
中央部分測光。
です。
現在のデジタルカメラのように、
顔を認識。
空を認識。
逆光判定。
AI分析。
などはしません。
中央付近の光を測る。
撮影者が判断。
です。
だから露出を考える必要がある
人物の顔。
↓
中央へ向けて測る。
空が猛烈に明るい。
↓
空を避けて測る。
黒い服。
白い壁。
↓
反射率を考える。
M6 TTLの露出計は便利ですが、
カメラ任せにする露出計ではありません。
むしろ撮影者が光を読むための道具です。
ISO6~6400
フィルム感度は、
ISO6~6400
まで手動設定できます。
DXコード自動読取ではありません。
ISO100フィルム。
↓
背面ダイヤルを100。
ISO400。
↓
400。
です。
非常にアナログです。
露出補正ダイヤルもない
AEがありません。
したがって通常の意味での、
±1EV。
±2EV。
という露出補正ダイヤルも必要ありません。
オーバーにしたいなら、
絞りを開ける。
シャッターを遅くする。
あるいはISO設定を意図的にずらす。
です。
すべて人間が直接設定します。
Leica Mマウント
レンズマウントは、
Leica Mバヨネット。
1954年のM3から続くMマウントです。
対応するMレンズを装着できます。
21mm。
28mm。
35mm。
50mm。
75mm。
90mm。
135mm。
など幅広い焦点距離のMレンズが距離計へ連動します。M6 TTLマニュアルでも21~135mmのMレンズが距離計に連動すると説明されています。
ピント合わせは完全マニュアル
AF。
ありません。
被写体認識。
ありません。
瞳AF。
ありません。
ファインダー中央の距離計パッチを見る。
↓
レンズのフォーカスリングを回す。
↓
二重像を重ねる。
↓
撮影。
です。
レンジファインダーの二重像
ファインダー中央には明るい長方形の測距部があります。
ピントが外れている。
↓
像が二つ。
フォーカスリングを回す。
↓
二つの像が重なる。
↓
ピント。
です。
一眼レフのように撮影レンズそのものを通してピントを確認する方式ではありません。
レンジファインダーだからファインダー像が暗くならない
F1.4。
F2。
F8。
F16。
レンズ絞り値に関係なくファインダーの明るさは基本的に変わりません。
なぜなら、
撮影レンズを通して見ていないから。
です。
暗いレンズ。
フィルター。
絞り込み。
によって一眼レフのようにファインダー像が暗くなることはありません。
撮影瞬間も像が消えない
一眼レフなら、
シャッター。
↓
ミラーアップ。
↓
一瞬ブラックアウト。
M6 TTL。
↓
ミラーがない。
↓
ほぼそのまま見える。
です。
スナップ。
人物。
報道。
などで被写体を追い続けやすい。
M型ライカの大きな魅力です。
ファインダー倍率が3種類ある
M6 TTLには大きな特徴があります。
0.72倍。
0.85倍。
そして2000年に追加された、
0.58倍。
です。
用途によってファインダー倍率を選べます。
0.72倍が標準
最も一般的なのが、
0.72倍。
です。
ブライトフレームは、
28/90mm。
35/135mm。
50/75mm。
の組み合わせ。
広角から135mmまでバランスよく使える万能型です。
迷ったら0.72。
M型ライカの標準的な倍率です。
0.85倍は望遠・大口径レンズ向け
0.85倍ではファインダー像が大きく見えます。
そのため距離計の有効基線長も増え、ピント合わせ精度を高めやすくなります。
M6 TTLマニュアルでは、
0.72倍
→ 有効基線長約49.9mm
0.85倍
→ 約58.9mm
とされています。
50mm・75mm・90mmなどと相性がいい
たとえば、
50mm F1.0。
50mm F1.4。
75mm F1.4。
90mm F2。
など。
被写界深度が浅いレンズでは距離計精度が重要になります。
0.85倍なら中央の二重像をより大きく確認できます。
その代わり28mmフレームがない
0.85倍ファインダーでは、
28mmフレームがありません。
表示される主な焦点距離は、
35。
50。
75。
90。
135mm。
です。
つまり、
望遠寄りに強い代わりに広角を犠牲。
です。
0.58倍は広角派向け
2000年に追加された、
0.58倍。
こちらは逆方向。
28mm。
35mm。
など広角フレームを見やすくするためのファインダーです。特にメガネ使用者でも28mmフレーム全体を見やすいことが利点として紹介されました。
0.58倍では135mmフレームがない
低倍率なので広い範囲を見ることができます。
その代わり望遠レンズでのピント精度では0.85倍より不利。
135mmフレームも省かれています。
つまり、
0.58
→ 28・35mm広角派
0.72
→ 万能
0.85
→ 50mm以上・大口径派
と考えると分かりやすいでしょう。
中古ではファインダー倍率を絶対確認
ここは非常に重要です。
販売タイトルに、
Leica M6 TTL
とだけ書かれていても、
0.58。
0.72。
0.85。
で撮影感覚が大きく違います。
しかも中古価格にも差が出る場合があります。
購入前に、
ファインダー倍率表記
を必ず確認しましょう。
フレームセレクターレバーも搭載
レンズ横のレバーを動かすと、実際に装着していない焦点距離のブライトフレームを呼び出せます。
たとえば35mmレンズ使用中。
↓
50mmならどのくらい狭くなる?
↓
レバー。
↓
50/75フレームを見る。
という使い方ができます。
レンズ交換する前に構図を確認できます。
パララックスは自動補正
レンジファインダーでは、
撮影レンズ。
ファインダー。
の位置が違います。
特に近距離では見えている構図と実写範囲がズレます。
M6 TTLではレンズのフォーカス距離と連動してブライトフレーム位置が移動し、このパララックスを自動的に補正します。
最短距離は基本0.7m
多くのM型ライカとMレンズでは、
約0.7m
が標準的な距離計連動最短距離です。
現代ミラーレスのように、
20cm。
30cm。
まで寄るのは得意ではありません。
M6 TTLは、
近接よりスナップ・人物・日常撮影。
が本領です。
フィルム送りは手動
シャッターを切る。
↓
巻き上げレバー。
↓
次コマ。
です。
EOS-1のようなモーター自動巻き上げは標準ではありません。
一枚。
巻く。
一枚。
巻く。
というフィルムカメラらしいテンポ。
モーターワインダーも利用可能
ただし対応するLeica Motor-Mなどを装着すれば電動フィルム送りも可能です。
M6系の公式仕様でも複数のLeica Winder/Motorへの対応が記されています。
とはいえM6 TTLの魅力は、
手巻きで静かに撮る。
という使い方にあります。
巻き戻しも手動
フィルム終了。
↓
前面レバーを切り替える。
↓
上面巻き戻しクランク。
↓
クルクル。
です。
全自動ではありません。
35mmフィルムを自分の手で扱っている感覚があります。
底蓋を外してフィルム装填
M型ライカ独特の作法。
一般的な一眼レフなら裏蓋全体を開きます。
M6 TTLは、
底蓋を外す。
そしてフィルムを装填。
現代から見ると少々面倒です。
しかしM型ライカでは伝統的な操作。
慣れればそれほど難しくありません。
ボディはM6 Classicより少し背が高い
TTLフラッシュ用電子回路を追加したため、M6 TTLではボディ高が増えました。
LFIのライカ史資料では、
約2.5mm高くなった
と説明されています。
実寸は約、
138×79.5×38mm。
重量約600g。
初代M6より約40g重い
通常M6は約560g。
M6 TTLは約600g。
およそ40g増加しています。
つまり、
TTLフラッシュ。
大型ダイヤル。
追加電子回路。
↓
ちょっと太った。
しかし600gなら35mm一眼レフのプロ機ほど重くありません。
Leica M6 Classicとの違いまとめ
整理してみましょう。
Leica M6 Classic
1984年登場。
- TTL定常光測光
- TTLフラッシュなし
- 小型シャッターダイヤル
- 従来方向へ回転
- 露出表示は主に左右2灯
- 基本0.72倍ファインダー
- 約560g
Leica M6 TTL
1998年登場。
- TTL定常光測光
- TTLフラッシュ対応
- 大型シャッターダイヤル
- 回転方向変更
- 中央丸を加えた3灯露出表示
- フラッシュ表示LED
- 0.72/0.85/0.58倍
- 約600g
最大の違いはフラッシュ。
しかし実際に毎日使うなら、
大型シャッターダイヤルと3灯露出計
のほうが恩恵を感じる人も多いでしょう。
M6 TTLとM7の違い
2002年。
M6 TTLの後に、
Leica M7
が登場します。ライカ公式の製品史でもM6 TTLが1998年、M7が2002年と記録されています。
M7最大の違いは、
絞り優先AE。
です。
M7は電子シャッター制御を導入
M6 TTL。
↓
シャッター速度は機械式。
露出はマニュアル。
M7。
↓
電子制御シャッター。
絞り優先AE。
です。
M7ではカメラが自動でシャッター速度を決めることができます。
M6 TTLとはかなり性格が違います。
M6 TTLは「最後のM6」
M6 TTLは2002年まで。
M7が登場するとM6 TTLは終了。
その翌2003年には、
Leica MP
が登場します。
MPは再び、
機械式。
マニュアル露出。
という方向へ戻ります。
MPにはTTLフラッシュがない
面白いことにMPは、
M6 TTLより後のモデルなのに、
TTLフラッシュ機能を持ちません。
M6 Classic寄りのシンプルな電子回路へ戻しました。
つまり、
M6 TTL
→ 機械式+TTLフラッシュ
M7
→ AE+電子シャッター
MP
→ 機械式+露出計、TTLフラッシュなし
です。
2022年復刻M6とも違う
さらに猛烈に紛らわしい。
2022年。
ライカは、
Leica M6
を復活させました。ライカ公式も、1984~2002年に約17万5,000台が製造されたM6を新たなモデルとして再発売したことを発表しています。
しかしこれは、
M6 TTL復刻ではありません。
現行M6にTTLフラッシュはない
2022年M6は機械式シャッター+TTL定常光露出計。
しかしM6 TTLのようなTTLフラッシュ制御は持ちません。
現行M6の公式仕様でも、フラッシュ露出はフラッシュ側自動制御またはガイドナンバーによる手動設定となっています。
つまり、
2022 M6 ≠ M6 TTL。
です。
2022年版はM6 Classicの思想に近い
名前も、
M6。
シャッターダイヤルも古典方向。
0.72倍ファインダー。
機械式。
と、M6 TTLではなく初代M6の思想を強く受け継いでいます。
したがって現在、
「新品M6と中古M6 TTLどちら?」
という比較も成立します。
M6 TTLならではの価値
ではM6 TTLを選ぶ理由は何でしょう。
ひとつは、
TTLフラッシュ。
しかしフラッシュをほとんど使わない人なら恩恵は少ない。
むしろ、
大型シャッターダイヤル。
矢印と一致する回転方向。
3灯露出表示。
選べるファインダー倍率。
このあたりが実用上の魅力になります。
特に0.58/0.85はM6 TTL独自性が強い
28mmを多用するメガネユーザー。
↓
0.58。
50/75/90mm大口径を多用。
↓
0.85。
万能。
↓
0.72。
カメラ本体をレンズ構成へ合わせられる。
これはM6 TTLの大きな魅力です。
M6 TTL 0.58は特にキャラクターが明確
28mm。
35mm。
街中。
メガネ。
という用途なら0.58倍はかなり合理的です。
28mmフレームを視野内へ入れやすく、
ファインダー周辺まで確認しやすい。
一方、
90mm。
135mm。
大口径望遠。
には向きにくい。
完全に、
広角スナップ型M6 TTL。
です。
M6 TTL 0.85は真逆
こちらは、
50mm。
75mm。
90mm。
中心。
特に大口径レンズを開放で使う場合に魅力があります。
0.72より像が大きく、距離計精度を確保しやすい。
その代わり28mmフレームなし。
35mmもメガネ使用時には見づらい場合があります。
標準~中望遠型M6 TTL。
です。
中古では「TTL」の文字を確認
外観での判別ポイント。
ホットシュー付近などに、
TTL
表記があります。
さらに、
大型シャッターダイヤル。
がかなり分かりやすい。
初代M6はダイヤルが小さい。
M6 TTLは大きい。
中古写真だけでも比較的見分けやすいでしょう。
ホットシュー接点も違う
初代M6のホットシューは基本的なフラッシュ接点。
M6 TTLではTTLフラッシュ通信に必要な追加接点があります。
真上から見れば判別材料になります。
中古で確認したいポイント
Leica M6 TTLは1998~2002年製。
比較的新しい機械式M型とはいえ、すでに20年以上経過しています。
中古では、
- シャッター
- 低速シャッター
- 1/1000秒
- シャッター幕
- 露出計
- 3灯LED
- TTLフラッシュ回路
- ファインダー
- 距離計二重像
- 距離計精度
- ブライトフレーム
- ファインダー倍率
- フレームセレクター
- フィルム巻き上げ
- 巻き戻し
- 底蓋
- マウント
- 電池室
- 外装
などを確認したいところです。
最重要は距離計
M型ライカです。
レンズがどれだけ高性能でも、
距離計がズレていたらピントがズレます。
無限遠。
近距離。
両方で二重像が正しく一致するか確認しましょう。
縦ズレにも注意
距離計二重像には、
横方向のズレ。
だけでなく、
上下ズレ
が発生する場合があります。
遠くのアンテナ。
建物。
電柱。
など細い被写体を見れば確認しやすい。
上下がズレていると非常にピント合わせしづらくなります。
ファインダーのフレア・白飛び
M6/M6 TTL世代のファインダーでは、強い逆光条件などで距離計パッチのコントラストが低下し、二重像が見づらくなる現象が語られることがあります。
0.85倍など一部ファインダーでは特に気にするユーザーもいます。
中古では室内だけでなく、
明るい窓。
強い光源。
へ向けて距離計パッチが確認しやすいか見てみるとよいでしょう。
露出計を比較する
正常な露出計。
別の信頼できるカメラ。
単体露出計。
スマートフォンアプリ。
などと比較。
ISO。
シャッター。
絞り。
を同条件にして、おおむね一致するか確認します。
多少の差なら測光方式の違いがあります。
しかし、
2段。
3段。
ズレる。
なら注意です。
LED3灯を確認
露出を変化させ、
左三角。
↓
中央。
↓
右三角。
へ表示が変わるか確認します。
M6 TTLの象徴的な機能です。
中央丸LEDが点灯しない。
片側だけ死んでいる。
極端に暗い。
という個体は電子系を疑います。
TTLフラッシュを使うなら実機確認
多くのユーザーはフラッシュを使わないかもしれません。
しかし、
M6 TTLとして買う
なら対応フラッシュを装着してTTL動作を確認できれば理想です。
SF20などではファインダー内にフラッシュマークLEDが表示され、充電状態や撮影後のフラッシュ露出状態も確認できます。
シャッターは電池を抜いて確認
M6 TTL中古でぜひやりたいテスト。
電池を外す。
↓
1秒。
1/30。
1/125。
1/1000。
↓
シャッター。
正常に切れる。
これで少なくとも、
「露出計が動いているからシャッターも動いている」
ではなく、
機械式シャッターとして生きている
ことを確認できます。
1秒を聞く
古い機械式カメラ定番。
1秒。
↓
シャッター。
正常なら、
シャーー……カチャ。
高速。
↓
カチャ。
明確な差があるか確認します。
低速ガバナーが粘っていると、
途中で止まる。
異常に長い。
毎回速度が違う。
ことがあります。
シャッター幕も確認
M6 TTLは布幕シャッター。
底蓋を外し、裏側から状態を確認します。
穴。
破れ。
ひどいシワ。
異物。
カビ状汚れ。
などがないかチェック。
ただし、
絶対に触らない。
布幕は非常にデリケートです。
1/1000秒は実写が理想
最高速度側は目視や音だけでは精度を判断できません。
1/1000秒が実際には1/500相当。
幕速不均一。
という可能性もあります。
実用品として本気で選ぶなら、
整備履歴あり
または、
シャッター速度測定済み
が安心です。
フィルム巻き上げ感
M型ライカの魅力のひとつが巻き上げ感。
レバーを回し、
引っ掛かり。
ガリガリ。
異常な重さ。
途中停止。
がないか確認します。
正常なM型なら非常に滑らかな操作感があります。
巻き戻しクランク
フィルム巻き戻しも手動です。
クランクに、
曲がり。
ガタ。
異常な抵抗。
がないか。
中古では落下で曲がっている場合もあります。
電池室の腐食
電池は撮影生命線ではありません。
しかし露出計を使うなら重要。
液漏れ。
緑青。
白い腐食。
接点破損。
がないか確認します。
水銀電池ではありませんが、長期間放置された電池なら液漏れする可能性はあります。
マウントの状態
Leica Mレンズは高価です。
マウントへ、
深い傷。
変形。
ガタ。
がないか。
レンズを装着し、
過度な遊びがないか確認します。
またフレーム選択カムが正常に動き、装着レンズに対応したブライトフレームが出るかも確認したいところです。
外装の「バブル」にも注意
古いM6系では外装表面に小さな浮きや腐食状の変化が見られる個体があります。
特にコレクション目的なら、
トップカバー。
底蓋。
角。
を光へ当てて確認しましょう。
実写性能に直接影響しない場合でも、中古価値には影響します。
ブラッククロームとシルバークローム
M6 TTLには代表的に、
ブラッククローム。
シルバークローム。
があります。
機能そのものは基本的に同じ。
外観の好みで選べます。
使い込んだブラッククローム。
きれいなシルバー。
どちらにもM型ライカらしさがあります。
限定モデルも多数存在
M6系は限定モデルが非常に多いカメラです。
M6 TTL時代にも、
Millennium。
LHSA。
各市場向け特別仕様。
などコレクターズモデルが存在します。
そのため中古で珍しい刻印やカラーを見つけた場合、
通常M6 TTLへ後から装飾しただけなのか、正規限定版なのか
を確認したほうがよいでしょう。
限定ライカの世界は深いです。
0.58・0.72・0.85でも価値が変わる
同じ通常仕様でも、
ファインダー倍率。
ブラック/シルバー。
コンディション。
箱・書類。
整備歴。
などで中古評価が変わります。
特に0.58や0.85は0.72より流通が少ないため、必要な人には高い価値があります。
初めてM型を買うなら0.72が無難
35mm。
50mm。
90mm。
28mm。
いろいろ使ってみたい。
↓
0.72。
が分かりやすい。
メガネ+28mm中心。
↓
0.58。
50mm大口径中心。
↓
0.85。
です。
「希少だから0.85」
ではなく、
使うレンズで選ぶ。
これが大切です。
35mmとの相性
M型ライカといえば35mm。
0.72なら35mmフレームが非常に使いやすい。
Summicron-M 35mm。
Summilux-M 35mm。
Voigtländer。
Zeiss ZM。
など選択肢も豊富です。
街中。
旅行。
人物+環境。
スナップ。
M6 TTLらしい使い方です。
50mmなら距離計らしさを味わえる
50mmはM型ライカの王道。
フレームが適度な大きさ。
距離計精度も十分。
Summicron。
Summilux。
Noctilux。
など伝説的レンズも多数存在します。
特に0.85倍なら50mm大口径との組み合わせが魅力的です。
レンズ交換してもファインダーそのものは変わらない
一眼レフ。
↓
レンズ交換。
↓
ファインダー画角そのものが変わる。
M型。
↓
ファインダー全体は基本同じ。
↓
対応ブライトフレームだけ変わる。
です。
広角レンズなら広いフレーム。
望遠なら小さいフレーム。
その周囲の景色まで見える。
フレーム外が見えることがスナップで強い
35mmフレームで人物を撮る。
ファインダーではフレーム外も見える。
↓
左から別の人物が入ってくる。
↓
シャッター直前に把握。
ということができます。
一眼レフの、
「写る範囲だけを見る」
とは違います。
M型レンジファインダーがストリート写真家に好まれる理由のひとつです。
シャッター音も比較的静か
大型一眼レフの、
ミラー。
モーター。
シャッター。
ガシャン!
とは違います。
M6 TTLはミラーなし。
手巻き。
布幕。
です。
シャッター音は比較的控えめ。
街中。
式典。
静かな場所。
などで目立ちにくい。
ただしM6 TTLは完全無音ではない
もちろんシャッター幕は動きます。
巻き上げも必要。
Silent Mode付きKonica Hexarほど「静音化そのもの」を主目的としたカメラではありません。
しかし一眼レフに比べればシンプルで静かな撮影ができます。
1998年なのにAFを搭載しなかった理由
1998年。
Canon EOS-1N。
Nikon F5。
AF一眼レフ全盛です。
それでもLeica M6 TTL。
マニュアルフォーカス。
なぜ?
Mシリーズの価値は、
小型。
静粛。
レンジファインダー。
機械式。
Mレンズ。
にあるからです。
最新機能競争へ参加するカメラではありません。
「進化しないこと」が進化だった
M6 TTLでライカが変えたもの。
TTLフラッシュ。
露出表示。
シャッターダイヤル。
ファインダー倍率。
しかし、
AF。
高速モーター。
1/8000秒。
自動露出。
は追加しませんでした。
撮影の根本部分はM型のまま。
この頑固さがLeicaです。
M3から見ても基本思想が続いている
1954年。
Leica M3。
1998年。
M6 TTL。
44年差。
それでも、
Mマウント。
レンジファインダー。
ブライトフレーム。
手動巻き上げ。
布幕機械式シャッター。
という根幹は驚くほど似ています。
もちろん内部機構や表示は進化。
しかし撮影者がやることは、
ピント。
絞り。
シャッター。
巻き上げ。
です。
だから現代でも古びにくい
1998年の電子コンパクトカメラなら、
AF性能。
液晶。
電子部品。
フィルムモーター。
などが時代を感じさせます。
M6 TTL。
ファインダー。
レバー。
ダイヤル。
布幕。
距離計。
基本操作そのものは1950年代から続いています。
そのため、
2020年代に使っても「古い機能」という感覚が比較的小さい。
最初から機能競争をしていないからです。
ただし価格まで古典的ではない
Leica M6系は現在でも人気が高いフィルムカメラです。
さらにM6 TTLは、
0.58。
0.72。
0.85。
限定版。
コンディション。
によって価格差があります。
購入するときは、
「M6だから」だけで選ばない。
ファインダー倍率。
整備履歴。
距離計。
露出計。
シャッター。
をしっかり確認したいところです。
コレクションより実写なら整備状態優先
傷なし。
箱付き。
限定刻印。
も魅力。
しかし実写目的なら、
距離計調整済み。
シャッター速度確認済み。
露出計正常。
ファインダークリア。
巻き上げ正常。
のほうが重要です。
M6 TTLは、
飾るだけでなく使ってこそ非常に気持ちいいカメラ。
です。
まとめ
Leica M6 TTLは、1998年に登場した35mmレンジファインダーカメラです。
1984年の初代M6を発展させ、
TTLフラッシュ調光
を追加したことが最大の特徴。
ここで注意したいのは、
初代M6もすでにTTL定常光測光を備えている
ということです。
したがって、
M6
→ TTL測光なし
M6 TTL
→ TTL測光あり
ではありません。
正しくは、
M6 Classic
→ TTL定常光測光あり/TTLフラッシュなし
M6 TTL
→ TTL定常光測光あり/TTLフラッシュあり
です。
さらにM6 TTLでは、
大型シャッターダイヤル。
露出計矢印と一致する回転方向。
中央丸を加えた3灯式露出表示。
TTLフラッシュ表示。
0.72/0.85/0.58倍ファインダー。
といった実用的な改良が行われました。
一方、
シャッターそのものは機械式。
1秒~1/1000秒+B。
フラッシュ同調1/50秒。
露出は完全マニュアル。
ピントも完全マニュアル。
フィルム送りも手動。
です。
電池がなくなっても、
露出計は止まる。
TTLフラッシュも止まる。
しかし、
写真は撮れる。
これがM6 TTLの大きな魅力です。
そしてファインダー倍率には、
0.58
→ 広角・メガネユーザー向け
0.72
→ 万能型
0.85
→ 標準~中望遠・大口径レンズ向け
という明確なキャラクターがあります。
現在中古で購入するなら、
距離計の横・縦ズレ。
ファインダー。
露出計3灯LED。
機械式シャッター。
低速。
1/1000秒。
布幕。
電池室。
フィルム巻き上げ。
そしてファインダー倍率。
を重点的に確認したいところです。
TTLフラッシュを使うならSF20など対応フラッシュとの連動も確認できれば理想です。
2002年には電子制御シャッター+絞り優先AEを搭載したM7へ発展。
2003年には再び機械式のMPが登場しました。
つまりM6 TTLは、
古典的M型ライカと電子化されたM型のちょうど境界にいるモデル。
です。
完全機械式シャッター。
マニュアル露出。
距離計。
手巻き。
という古典的な撮影体験を残しながら、
TTL測光。
TTLフラッシュ。
3灯LED。
大型シャッターダイヤル。
を追加。
それでもAFには行かない。
AEにも行かない。
モータードライブ標準にも行かない。
写真を撮る中心には、あくまで撮影者がいる。
Leica M6 TTLは、初代M6の伝統を守りながら操作性とフラッシュ機能を現代化した、フィルム時代末期を代表するM型ライカの一台です。









