京セラ「KYOCERA 200-AF」は、1987年に登場した35mmフィルム用オートフォーカス一眼レフカメラです。
1980年代後半は、一眼レフカメラのAF化が急速に進んだ時代。
ミノルタα-7000の成功をきっかけに各メーカーがAF一眼レフシステムを展開するなか、京セラも新しいAFマウントを採用したカメラを投入しました。
そのシリーズの普及モデルとして登場したのが200-AFです。
上位の230-AFから一部機能を簡略化したモデルですが、プログラムAEだけでなくシャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出まで備えており、現在改めて見るとなかなか本格的な一眼レフです。
KYOCERA 200-AFとは
KYOCERA 200-AFは、24×36mm判の35mmフィルムを使用するAF一眼レフです。
資料によれば1987年発売、当時の価格は56,000円とされています。
海外では「YASHICA 200-AF」の名称でも展開されており、Yashica 200-AFの取扱説明書から詳細な仕様を確認できます。
主な仕様は以下のとおりです。
- 使用フィルム:35mmフィルム
- 画面サイズ:24×36mm
- マウント:京セラ/ヤシカAFマウント
- シャッター:電子制御縦走りフォーカルプレーン
- シャッター速度:8秒~1/2000秒
- B:マニュアル露出時対応
- 測光:TTL中央重点測光
- 露出モード:P/Tv/Av/M
- AF方式:TTL位相差検出方式
- DX対応感度:ISO25~5000
- 連写:約1.7コマ/秒
- フラッシュ同調:約1/90秒
- ファインダー視野率:約95%
- ファインダー倍率:約0.82倍
- フィルム送り:自動
- 巻き戻し:自動
- 電源:単4形アルカリ電池4本または2CR5
- サイズ:約148×93×50.5mm
- 重量:約527g(電池別)
1980年代後半の普及クラスAF一眼レフとしては、かなり充実した仕様です。
京セラがAF一眼レフへ参入した時代
京セラは1983年にヤシカを傘下へ収め、以降CONTAXやYASHICAブランドのカメラ事業を展開しました。
当時のヤシカ一眼レフではCONTAXと共通するC/Yマウントが使われていました。
しかし1985年、ミノルタα-7000が本格的なAF一眼レフとして大ヒット。
カメラメーカー各社が一気にAF化へ動きます。
京セラ/ヤシカもAF一眼レフシステムを投入しましたが、その際には従来のC/Yマウントではなく、新しいAF専用マウントが採用されました。
200-AFも、そのAFシステムに属するカメラです。
CONTAX/YASHICAマウントではない!
中古でKYOCERA 200-AFを購入するとき、最も重要なのがここでしょう。
200-AFはC/Yマウントではありません。
つまり、
「京セラの一眼レフだからCONTAX用Carl Zeissレンズがそのまま付くだろう」
とはいきません。
200-AFには京セラ/ヤシカAFシステム専用のAFバヨネットマウントが採用されています。従来のC/Yマウントとは互換性がありません。
ビクセンのヤシカAF用Tリングでも対応機種として、
200-AF、210-AF、230-AF、270-AF、300-AF
がまとめて案内されており、この系列が独立したAFシステムであることが分かります。
中古レンズを探す際には、
「YASHICA AF」「KYOCERA AF」対応か
を必ず確認しましょう。
ボディ内モーターによるオートフォーカス
200-AFではTTL位相差検出方式のAFを採用しています。
ミラーボックス下部のCCDセンサーモジュールによってピントを検出し、シャッターボタンを半押しするとAFが作動します。
AF検出範囲はISO100でEV2~20。
もちろんMFへ切り替えて手動でピントを合わせることも可能です。
当時のAFレンズは現在のレンズ内モーター方式とは異なり、ボディ側のAF駆動機構を利用します。
そのため対応レンズとの組み合わせが重要です。
50mm F1.8などのAFレンズが存在
Yashica 200-AFの取扱説明書では、説明用の標準レンズとしてYashica AF 50mm F1.8が使用されています。
ほかにも35-70mm F3.3-4.5 MACROなど、AFシステム専用レンズが存在しました。
日本国内の資料でも200-AFと35-70mm F3.3-4.5 MACROの組み合わせが確認できます。
ただし現在ではボディ以上に対応レンズを探すほうが難しい場合があります。
中古で200-AFを入手するなら、レンズ付きセットを狙うのもひとつの方法でしょう。
P・Tv・Av・Mを全部搭載
200-AFの意外に本格的な部分が露出モードです。
搭載されているのは、
P:プログラムAE
カメラが絞りとシャッター速度を自動設定。
Tv:シャッター優先AE
撮影者がシャッター速度を設定し、カメラが絞りを決定。
Av:絞り優先AE
撮影者が絞り値を設定し、カメラがシャッター速度を決定。
M:マニュアル露出
絞りとシャッター速度を撮影者が設定。
の4種類です。
普及モデルだから完全オートだけ、というカメラではありません。
初心者はPで撮影し、慣れてきたらAvやTv、さらにMへ進むことができます。
シャッター最高速度は1/2000秒
電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッターを搭載し、シャッター速度は8秒~1/2000秒。
マニュアルモードではBにも対応します。
最高1/2000秒なら、晴天時に明るいレンズを使ったり、動く被写体を止めたりする用途にも十分実用的です。
フラッシュ同調速度は1/90秒。
専用フラッシュ使用時には、充電完了後に同調速度へ自動設定される仕組みも備えています。
実は「トラップフォーカス」がある
200-AFでかなり面白いのが、
トラップフォーカス
です。
あらかじめ特定の距離へピントを合わせ、そこへ被写体が入ってきた瞬間に自動的にシャッターを切ることができます。
たとえば動物が通りそうな場所へカメラを向け、
ピント位置を決める
↓
待つ
↓
動物がピント位置へ入る
↓
自動撮影
という使い方ができます。
取扱説明書でも、動物や動く被写体が設定距離へ来たときに撮影する用途が紹介されています。
1987年の普及AF一眼レフでこの機能。
なかなか攻めています。
コンティニュアスAFにも対応
AFには通常のAFだけでなく、動く被写体を追従するコンティニュアスAFも用意されています。
さらに、
- AF
- コンティニュアスAF
- トラップフォーカス
- MF
を選択可能です。
現代の動物認識AFや瞳AFとは比較になりませんが、
「AFで止まっているものを撮るだけ」
ではなく、動体撮影まで意識したシステムだったことが分かります。
約1.7コマ/秒の連写
フィルム巻き上げはモーターによる自動式。
フィルムを装填すると自動的に1コマ目まで送られ、撮影後も自動巻き上げされます。
連写モードでは最高約1.7コマ/秒。
現在なら一瞬で数十枚を撮影するカメラもありますが、フィルム時代です。
1秒で1.7枚。
3秒押し続ければ5枚前後。
36枚撮りなら調子に乗ると、
約20秒でフィルム終了。
フィルム代を考えると、別の意味で緊張感のある連写です。
DXコードでISO25~5000を自動設定
フィルム感度はDXコードから自動読み取り。
対応範囲はISO25~5000です。
DXコードのないフィルムではISO100として設定されます。
1980年代後半になると、
フィルムを入れる
↓
感度設定
↓
フィルム送り
といった作業までどんどん自動化されていきました。
200-AFもそうした「電子化されたフィルム一眼レフ」の典型です。
「プログラムリセット」が初心者に優しい
ボディにはProgram Reset Buttonが用意されています。
設定がよく分からなくなった場合、このボタンを押すことで通常撮影に適した設定へ戻すことができます。
取扱説明書では初心者や、素早く撮影したい場合にAFへ設定してプログラムリセットを押せば、その後はカメラが必要な設定を行うと説明されています。
多機能化すると、
「いま何モードになってるんだ?」
問題が発生します。
そこで、
困ったらリセット。
1980年代後半の電子カメラらしい発想です。
230-AFを簡略化した普及モデル
200-AFは、より上位に位置する230-AFから機能を整理した廉価モデルとされています。
外観も230-AFよりシンプルで、230-AF用のペンタフラッシュには対応しません。
一方で、
- AF
- P/Tv/Av/M
- 最高1/2000秒
- 自動巻き上げ
- 連写
- トラップフォーカス
など撮影に必要な機能はかなり残されています。
単なる「完全自動初心者機」まで落とさず、価格と機能のバランスを取ったモデルと考えられます。
電源は単4電池または2CR5
電源仕様も少し変わっています。
取扱説明書では、
単4形アルカリ電池4本
または
6Vリチウム電池2CR5
が案内されています。
実際に中古個体では2CR5用のバッテリーホルダーを備えた200-AFも確認されています。
中古購入時は、
自分が買おうとしている個体がどちらの電池仕様になっているか
を現物で確認したほうがよいでしょう。
特に単4電池仕様では、古い電池を長期間入れっぱなしにしたことによる液漏れに注意が必要です。
中古で確認したいポイント
KYOCERA 200-AFは1987年の電子制御カメラです。
完全機械式カメラと違い、
「シャッターが動いたから大丈夫」
だけでは判断できません。
特に、
- 電源
- 電池室の液漏れ
- 液晶表示
- AF
- AF駆動モーター
- シャッター
- 絞り制御
- 露出計
- 自動巻き上げ
- 自動巻き戻し
- DXコード読み取り
- ミラー動作
- ファインダー
- 電子接点
を確認しておきたいところです。
近年のユーザー報告でも、200-AFで電池液漏れやミラー・フィルム検出など電子機構に関するトラブル例が見られます。個体差はありますが、すでに40年近く経過した電子カメラなので、実写確認済みの個体を選ぶほうが安心です。
対応レンズの確保も重要
そして200-AF特有の問題が、交換レンズです。
ニコンFマウントやペンタックスKマウントのように長期間使われた規格ではありません。
京セラ/ヤシカAFシリーズ専用のマウントなので、現在の中古市場では対応レンズの選択肢が限られます。
そのため、
ボディ300円!安い!
と飛びついたあと、
「レンズがない。」
となる可能性があります。
200-AFを実際に撮影へ使うなら、ボディ価格だけでなく対応AFレンズまで含めて探したほうがよいでしょう。
まとめ
KYOCERA 200-AFは、1987年に登場した35mmフィルム用AF一眼レフカメラです。
上位の230-AFから一部機能を簡略化した普及モデルでありながら、
- TTL位相差AF
- コンティニュアスAF
- トラップフォーカス
- P/Tv/Av/M
- 最高1/2000秒シャッター
- 約1.7コマ/秒連写
- 自動フィルム送り
- 自動巻き戻し
- DXコード対応
など、本格的な機能を数多く備えています。
一方、このカメラを現在理解するうえで最も重要なのは、
「CONTAX/YASHICAマウント機ではない」
ということです。
京セラはAF一眼レフへ参入する際、それまでのC/Yマウントとは異なるAF専用マウントを採用しました。
結果として200-AFは、CONTAXのCarl Zeissレンズを共用できるカメラではなく、独自の交換レンズシステムを持つ存在となりました。
そして、そのシステムは長く続かなかったため、現在ではむしろ少しマニアックな存在になっています。
1987年。
ミノルタ、キヤノン、ニコン、ペンタックスなど各社がAF一眼レフ市場で激突していた時代。
京セラもまた、その戦場へ独自AFマウントを引っ提げて参戦していました。
KYOCERA 200-AFは、そんな「AF一眼レフ戦国時代」の京セラ陣営を今に伝える一台です。









