Exilim EX-Z90 casio

Exilim EX-Z90 casio

CASIO EXILIM EX-Z90は、カシオ計算機が2009年に発売したコンパクトデジタルカメラです。

有効1,210万画素の1/2.3型CCD、35mm判換算35~105mm相当の光学3倍ズーム、2.7型液晶モニターを、厚さ約19.4mm・本体重量約102gという薄型ボディに搭載しています。

現在ではスマートフォンでも簡単に高画質な写真を撮影できますが、EX-Z90が登場した2009年は、薄型コンパクトデジカメをポケットやバッグへ入れて持ち歩くスタイルが全盛だった時代。

そんな当時の「普段持ちデジカメ」を象徴するような一台です。

目次

CASIO EXILIM EX-Z90とは

EXILIM ZOOM EX-Z90は2009年8月18日に発表され、日本では同年9月11日に発売されました。

価格はオープンプライスで、発売当時の店頭予想価格は2万円前後。

カラーはゴールド、シルバー、ピンク、ブルー、ブラックの5色が用意されていました。

主な仕様は以下のとおりです。

  • 有効画素数:約1,210万画素
  • 撮像素子:1/2.3型CCD
  • 最大記録サイズ:4000×3000ピクセル
  • レンズ:6枚5群・非球面レンズ含む
  • 焦点距離:6.3~18.9mm
  • 35mm判換算:35~105mm相当
  • 開放F値:F3.1~F5.9
  • 光学ズーム:3倍
  • ISO感度:ISO64~1600
  • 液晶モニター:2.7型・約23万ドット
  • 動画:最大1280×720
  • 記録媒体:SD/SDHCカード、内蔵メモリー約35.7MB
  • 電源:NP-60リチウムイオン充電池
  • サイズ:約89.7×51.7×19.4mm
  • 重量:約102g(本体のみ)

公式取扱説明書によれば、撮像素子の総画素数は約1,270万画素、有効画素数は1,210万画素です。

1,210万画素のCCDセンサー

EX-Z90には1/2.3型CCDが搭載されています。

現在のデジタルカメラではCMOSセンサーが主流ですが、2000年代のコンパクトデジカメではCCDが広く採用されていました。

最大画像サイズは4000×3000ピクセル。

2009年当時、1,000万画素を超える解像度は普及価格帯のコンパクトデジカメでも一般化しつつあり、EX-Z90も1,210万画素を備えていました。

現在では「CCDだから必ず独特の色になる」と単純に断定することはできませんが、現代のスマートフォンとは異なる画像処理や小型CCDを使った2000年代デジカメそのものを楽しむという意味では面白い存在です。

35~105mm相当の光学3倍ズーム

レンズは実焦点距離6.3~18.9mm。

35mm判換算では35~105mm相当となります。

開放F値は広角側F3.1、望遠側F5.9です。

現在のコンパクトカメラでは24mmや28mm相当から始まる広角ズームも珍しくありませんが、EX-Z90は35mmスタート。

そのため、

日常のスナップ、人物、旅行、料理、小物などを自然な画角で撮り、必要に応じて105mm相当までズームする

という使い方が似合います。

逆に狭い室内や巨大な建築物など、「とにかく広く写したい」という用途では35mm始まりが少々窮屈に感じるかもしれません。

最短約10cmまで寄れる

広角側では通常AFでもレンズ先端から約10cmまでピント合わせが可能です。

マクロモードでも撮影距離は約10~50cm。

花や料理、小物などへある程度近づいて撮影できます。

専用マクロレンズを備えたカメラではありませんが、「常に持ち歩く小型コンデジ」としては使いやすい仕様です。

「さがしてフォーカス」を搭載

EX-Z90の発売時に大きくアピールされた機能が、

「さがしてフォーカス」

です。

これはカシオが「インテリジェントAF」と呼んでいた機能で、人物の顔だけでなく、画面内の撮影対象そのものをカメラが判断し、ピントや露出を合わせる位置を自動決定します。

現在では被写体認識AFが当たり前になり、

人物
↓
犬
↓
猫
↓
鳥
↓
車
↓
飛行機

などを高精度で認識するカメラもあります。

しかし2009年の普及型コンデジで、

「人物以外でもカメラが主役を探す」

という発想を前面に出していた点は興味深いところです。

AFエリアはインテリジェントのほか、スポット、マルチ、トラッキングも選択できます。

顔認識と「人物メイクアップ」

もちろん顔認識にも対応しています。

さらにEX-Z90には「人物メイクアップ」機能が搭載されており、人物の肌を滑らかに見せる処理をカメラ内で行うことができました。

効果は12段階から調整可能です。

今ならスマートフォンのカメラアプリで当たり前の機能ですが、

撮影したあと加工アプリへ持っていくのではなく、撮影時点で肌をきれいにする

という考え方がコンデジへ入り始めていた時代です。

2009年らしさを感じさせます。

「鮮やか風景」と「もや除去」も搭載

人物だけではありません。

風景向けには「鮮やか風景」と「もや除去」機能が搭載されています。

鮮やか風景では色を強調し、もや除去では霞んだような風景をクリアに見せる処理を行います。

さらに逆光をカメラが判断して設定する「押すだけ逆光」も搭載されていました。

RAWデータをパソコンで現像するというより、

撮った瞬間にカメラの中で“いい感じ”に完成させる。

普及型EXILIMらしい考え方です。

謎に楽しい「Dynamic Photo」

EX-Z90を今見ると特に時代を感じる機能が、

Dynamic Photo(ダイナミックフォト)

です。

これは連写した画像から人物などの被写体を切り抜き、別の背景画像へ合成する機能。

動く被写体の場合は最大20枚の連続画像から被写体を抽出し、背景写真へ入れることで簡易的なアニメーションのような画像を作成できます。

つまり2009年のコンデジ単体で、

撮影
↓
被写体切り抜き
↓
背景へ合成
↓
動かす

までやろうとしていたわけです。

現在ならスマートフォンアプリやAI編集で数秒の世界ですが、

「これをカメラの中でやろうぜ!」

という2009年カシオの勢いがすごい。

初回出荷4万台には、ダイナミックフォト用の「動くキャラクター」50種類を収録したSDカードを付属するキャンペーンまで行われました。

720p HD動画にも対応

EX-Z90では最大1280×720ピクセルの動画撮影にも対応しています。

フレームレートは24fps。

形式はMotion JPEG AVI、音声はモノラルです。

現在では4K動画が当たり前ですが、2009年なら「コンデジでHD動画が撮れる」ということ自体に商品価値がありました。

また640×480の「For YouTube」モードも用意されています。

これも非常に2000年代的です。

現在はスマートフォンからYouTubeへ直接投稿できますが、当時は、

カメラで動画撮影→PCへ転送→専用ソフトでYouTubeへアップロード

という流れが一般的でした。

カシオは専用の「YouTube Uploader for CASIO」も提供していました。

ISO64~1600

静止画のISO感度は、

ISO64、100、200、400、800、1600

およびAUTOに対応しています。

ただし1/2.3型CCDという小さなセンサーなので、現在の高感度性能を期待するカメラではありません。

明るい屋外なら低感度を使いやすい一方、暗所ではノイズや画質低下が目立ちやすくなります。

むしろ現在使うのであれば、

晴れた昼間にISO64~100あたりで撮る

ような使い方が、当時のコンデジらしさを楽しみやすいでしょう。

シャッターは最高1/2000秒

通常のオート撮影では1/2~1/2000秒。

夜景モードでは最長4秒まで使用できます。

露出はプログラムAE方式で、±2EVまで1/3EV刻みの露出補正が可能です。

本格的なマニュアル露出機ではありません。

絞りやシャッター速度を積極的に操作するカメラではなく、

基本的にはカメラに任せて撮る。

そのためのEXILIMです。

光学式手ブレ補正は搭載していない

EX-Z90には「Anti Shake」という機能がありますが、レンズやセンサーを物理的に動かす光学式手ブレ補正とは異なります。

取扱説明書では、被写体の動きなどによるブレを抑えるための機能として説明されており、使用時には画質が多少粗くなったり、解像感が低下したりする可能性があるとされています。

そのため中古商品説明などで、

「手ブレ補正搭載」=光学式手ブレ補正

と判断しないよう注意したいところです。

2.7型・約23万ドット液晶

背面モニターは2.7型TFTカラー液晶。

表示は230,160ドットです。

現在の高精細液晶と比べれば粗く感じます。

しかし当時の薄型普及コンデジとしては一般的なサイズで、撮影した写真をその場で確認するには十分でした。

光学ファインダーは搭載されていないため、撮影時はこの液晶画面を使用します。

SD・SDHCカード対応なのが使いやすい

古いコンデジを現在使用するとき、意外に問題になるのが記録媒体です。

独自規格のカードを使うカメラでは、メディアそのものを探すのが面倒になることがあります。

その点EX-Z90は、

SDカード/SDHCカード対応。

さらに約35.7MBの内蔵メモリーも持っています。

現在でも比較的扱いやすい規格なのは大きなメリットです。

ただし現代の大容量SDXCカードについては公式仕様に含まれていないため、古い機種では無理に最新カードを使わず、対応するSD/SDHCカードを選んだほうが安全です。

本体重量わずか約102g

EX-Z90のサイズは約89.7×51.7×19.4mm。

突起部を除いた最薄部は17.8mm。

本体のみの重量は約102gです。

かなり軽い。

スマートフォンとは別に持ち歩いても、大きな負担にならないサイズです。

2000年代のEXILIMシリーズが人気を集めた理由のひとつが、この薄さと軽さでした。

「カメラを持ち歩いていることを意識させない。」

専用カメラとしては重要な性能です。

バッテリーはNP-60

使用するバッテリーはリチウムイオン充電池「NP-60」。

新品時のCIPA基準撮影枚数は約230枚でした。

充電にはBC-60L充電器を使用し、公式説明書では満充電まで約90分とされています。

ただし発売からかなり年数が経過しています。

中古品に付属する純正バッテリーは劣化している可能性が高いため、

  • 正常に充電できるか
  • 極端に電池持ちが悪くないか
  • バッテリーが膨張していないか
  • 充電器が付属しているか

は必ず確認したいポイントです。

中古のEX-Z90で確認したいポイント

2009年発売のデジタルカメラなので、現在ではカメラそのものより「電子機器として正常に生きているか」の確認が重要です。

特にレンズの伸縮、ズーム、AF、CCD画像、液晶、フラッシュ、操作ボタン、SDカード認識、USB/AV端子、バッテリー、充電器などを確認しておきましょう。

電源を入れた際にレンズが正常に繰り出し、

撮影
↓
保存
↓
再生

まで問題なく行えるかは最低限チェックしたいところです。

また白い壁や青空などを撮影して、画像に異常な線や色ムラが出ないか確認すればCCDの重大な異常を発見しやすくなります。




現代でEX-Z90を使う意味

性能だけなら、現在のスマートフォンのほうが便利な場面は圧倒的に多いでしょう。

超広角もありません。

光学式手ブレ補正もありません。

高感度にも強くありません。

Wi-Fiもありません。

しかしEX-Z90には、

2009年のコンパクトデジカメをそのまま使う面白さ

があります。

CCDセンサー。

沈胴式3倍ズーム。

物理シャッターボタン。

SDカード。

2.7型液晶。

Dynamic Photo。

そして「For YouTube」撮影モード。

今見ると、機能のひとつひとつが2000年代末のデジタル文化そのものです。

最新スマートフォンと競争させるのではなく、

「15年以上前の普及型デジカメで2020年代の街を撮る」

という遊び方なら、十分に存在意義があります。

まとめ

CASIO EXILIM EX-Z90は、2009年9月に発売された薄型コンパクトデジタルカメラです。

有効1,210万画素の1/2.3型CCDに、35~105mm相当の光学3倍ズームを搭載。

さらにインテリジェントAF「さがしてフォーカス」、顔認識、人物メイクアップ、Dynamic Photo、720p動画など、当時のカシオらしい機能を数多く備えていました。

現在ではスペックそのものに驚くカメラではありません。

むしろ面白いのは、

「2009年にメーカーがコンパクトデジカメで何をやろうとしていたのか」

が一台に詰まっていることです。

人だけでなく被写体をカメラが探す。

肌をきれいにする。

風景を鮮やかにする。

人物を切り抜いて別の背景で動かす。

YouTube用動画まで撮る。

スマートフォンがこれらの役割をまとめて引き受ける直前、専用デジタルカメラが猛烈に多機能化していた時代。

CASIO EXILIM EX-Z90は、そんな“コンデジ黄金期の終盤”を感じさせる小さな一台です。

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