ARCO CINE-S.ARCO 13mm F1.4とは?Dマウント8mm用大口径シネレンズを徹底解説
ARCO CINE-S.ARCO 13mm F1.4は、日本のARCO PHOTOGRAPHIC INDUSTRIAL CO., LTD.が8mmムービーカメラ向けに展開した大口径シネレンズです。
焦点距離は13mm。
開放F値はF1.4。
主にDouble 8/Regular 8世代の8mm映画撮影用として使用され、非常に小さなDマウントを採用しています。
当時のARCO公式販売資料では、上級8mmカメラMODEL-803Aの交換レンズとして、
- 13mm F1.4
- 6.5mm F1.4
- 38mm F1.4
の3本が明記されています。資料写真でも3本のレンズをターレットへ装着した803Aの姿を確認できます。
つまりCINE-S.ARCO 13mm F1.4は単独の珍品というより、
ARCOが用意したF1.4シネレンズシステムの標準域担当
と考えると分かりやすい一本です。
現在では8mmフィルム撮影だけでなく、Dマウントアダプターを介してPENTAX Qなどの小型センサーデジタルカメラへ装着し、オールドシネレンズ独特の描写を楽しむ用途でも使われています。
ARCOとは
ARCOは1950年代の日本でカメラや8mmムービーカメラを製造していた光学メーカーです。
ARCO Eightシリーズでは、
- スプリングモーター
- レンズターレット
- 可変シャッター
- フォトセル式露出計
- 複数撮影速度
などを備えた高機能な8mmカメラを展開していました。
現存する博物館資料ではARCO CH-803Aを1950年代後半のNormal 8カメラとして紹介し、ターレットにはCINE-W.ARCO 6.5mm F1.4、CINE-S.ARCO 13mm F1.4、CINE-T.ARCO 38mm F1.4の3本を装着する構成が確認されています。
ARCO 803AのF1.4三兄弟
このレンズを理解するなら、3本セットで見ると非常に分かりやすくなります。
| レンズ | 焦点距離 | 開放 | 8mmでの役割 |
|---|---|---|---|
| CINE-W.ARCO | 6.5mm | F1.4 | 広角 |
| CINE-S.ARCO | 13mm | F1.4 | 標準 |
| CINE-T.ARCO | 38mm | F1.4 | 望遠 |
ARCOの当時資料でも803A用に13・6.5・38mmのF1.4レンズが一組として掲載されています。
この、
W・S・T
という並びも実に分かりやすい。
WはWide。
SはStandard。
TはTele。
という用途区分として理解すると、焦点距離の関係にもきれいに対応します。
ただし、文字の正式な展開語そのものを明記したARCO一次資料は今回確認できなかったため、「S=Standard」は焦点距離と当時の分類から見た実用的な解釈として扱うのが安全です。
13mmは8mm映画では標準レンズ
35mm判カメラに慣れていると、
13mm=超広角
に見えます。
しかしこのレンズは35mmフィルム用ではありません。
Double 8の撮影画面は非常に小さいため、13mm前後が標準域になります。
現存するARCO 803A資料でも、13mmが6.5mm広角と38mm望遠のちょうど中央に置かれています。
つまりARCO Eightへ13mm F1.4を付けた感覚は、35mm判で50mm前後の標準レンズを使う感覚に近いわけです。
開放F1.4
このレンズ最大の武器です。
13mmという短い焦点距離ながら、
F1.4。
1950年代後半の家庭用8mm映画では、現在のデジタルカメラのようにISOを自由に変更できません。
フィルム感度は装填したフィルムで固定です。
しかも動画なので、1コマごとの露光時間も撮影速度とシャッター開角に大きく左右されます。
そんな世界ではF1.4の明るさは非常に大きな意味を持ちます。
ARCO 803Aは8~64fps
ARCOの公式販売資料では803Aの撮影速度として、
8。
16。
24。
32。
64fps。
が掲載されています。
フレームレートを上げれば、一コマあたりの露光時間は短くなります。
そのため高速撮影時ほど大口径レンズが有利です。
F1.4のCINE-S.ARCOは、こうした高機能8mm機の性能を支えるレンズだったと考えられます。
Dマウントを採用
CINE-S.ARCO 13mm F1.4はDマウントです。
現存個体およびPENTAX Qでの実写例でも、Dマウントレンズとして確認されています。
Dマウントの標準規格は、
- ねじ径:15.88mm
- 5/8インチ
- 32山/インチ
- フランジバック:約12.29mm
です。
ものすごく小さい。
一眼レフのM42マウントが42mm。
Dマウントは約15.9mm。
半分以下です。
Cマウントではない
ここは中古購入で重要です。
見た目は小さなねじ込みレンズなので、
「Cマウントかな?」
と思いやすい。
しかしCマウントは直径1インチ。
Dマウントは5/8インチです。
まったく違います。
ARCO CINE-S.ARCO 13mm F1.4はDマウント。
適当なCマウントアダプターには付きません。
ねじ込み式
Dマウントは単純なねじ込み式です。
電子接点。
AFカプラー。
絞り連動。
ロックレバー。
一切ありません。
カメラへ、
クルクルクル。
と回して装着します。
1950年代らしい極めて単純な構造です。
その代わり、中古では小さなマウントねじの状態が非常に重要になります。
フォーカシング可能な13mm
同じARCO F1.4シリーズでも、レンズによって操作構造が異なります。
CINE-S.ARCO 13mm F1.4の現存個体ではフォーカシング機構を持つものが確認されており、実写ユーザーからは約0.3mまで寄れる個体が報告されています。
したがって13mm F1.4については、
「フォーカスリングがない固定焦点レンズ」
として扱うべきではありません。
中古では実際にピントリングが動くか確認しましょう。
約30cmまで寄れる実例
現代デジタルへ適応した実写例では、約0.3mまでの近接撮影が報告されています。
ただしこれはARCO公式仕様表から確認した数字ではなく、現存個体を使用したユーザー報告です。
したがって、
実機の最短距離目盛を確認する
ことをおすすめします。
絞りリングを搭載
F1.4という大口径ですが、開放固定ではありません。
絞りリングを備えています。
現代のPENTAX Qで撮影したユーザー例でも、
F1.4。
F2.8。
F5.6。
と絞りを変えた比較撮影が行われています。
つまり、
開放の柔らかな描写。
少し絞った安定した描写。
さらに絞ったシャープな描写。
を使い分けられます。
光学構成はメーカー一次資料未確認
オールドシネレンズでは、ネット上でレンズ構成が断定されている場合があります。
CINE-S.ARCO 13mm F1.4についても、現代のレンズ研究者からは、
4群6枚程度のダブルガウス型ではないか
という推定があります。
ただし今回確認できたARCO一次資料にはレンズ構成枚数の記載がありません。
したがって、
「4群6枚のダブルガウス」とメーカー仕様として断定するのは避けた方が安全
です。
JFC的には、
「二次資料では4群6枚のダブルガウス型と推定されているが、メーカー一次資料での確認は取れていない」
くらいが一番正確です。
開放F1.4の描写
ここからは現代の実写ユーザーによる評価です。
メーカー公称性能ではありません。
PENTAX Qなどへ装着した実写では、F1.4開放でも中心部には一定の解像がありますが、
- フレア
- 低コントラスト
- 周辺の甘さ
などが見られるという報告があります。
F2.8で安定
F2.8まで絞るとフレアが減り、描写がかなり安定したという実写報告があります。
F5.6でかなりシャープ
さらにF5.6では画面が引き締まり、周辺を含めて良好な描写になったという複数の実写例があります。
つまり、
F1.4=シネレンズらしい癖を楽しむ。
F2.8=バランス。
F5.6=しっかり写す。
という使い分けが面白いレンズです。
ボケにも独特の癖がある
PENTAX Qでの実写では、条件によって背景のボケがやや回転するように見える例や、口径食を伴った個性的なボケが報告されています。
ただし、
「このレンズは必ずぐるぐるボケになる」
と断定するほど単純ではありません。
撮影距離。
背景距離。
絞り。
使用センサー。
によって大きく変わります。
特にDouble 8本来の画面より大きいセンサーを使用すると、本来映画では使われなかったイメージサークル外周部まで写るため、収差が強調される場合があります。
PENTAX Qとの組み合わせが面白い
現在このレンズを遊ぶなら、非常に相性がいいのがPENTAX Qシリーズです。
Dマウントアダプターを使えば機械的に装着できます。
実際に初代PENTAX QでCINE-S.ARCO 13mm F1.4を使用した実写例があります。
初代Qでは約70mm相当
初代PENTAX Q/Q10のセンサーは1/2.3型。
35mm判換算倍率は約5.5倍前後です。
13mm×約5.5=約71.5mm。
つまり、
8mm映画では標準だった13mmが、PENTAX Qでは中望遠寄り。
人物。
花。
小物。
ちょっと圧縮したスナップ。
などに面白い画角になります。
Dマウントを現代デジタルへ持ってくる醍醐味です。
ただしPENTAX Qでも完全にはカバーしない場合がある
ここは重要です。
PENTAX Qで実写したユーザーは、CINE-S.ARCO 13mm F1.4について、
Double 8用なので、Qセンサーほど大きな画面を本来カバーする設計ではない
と指摘しています。
したがって、
- 周辺減光
- 周辺の像流れ
- 歪曲
- 解像低下
が出ても不思議ではありません。
むしろそこまで含めてシネレンズ遊びです。
Q7・Q-S1はさらに注意
PENTAX Q7/Q-S1は、初代Q/Q10よりセンサーが大きい1/1.7型です。
Dマウントと8mmフィルムのサイズ関係についての現代資料では、
- Double 8:約4.5×3.3mm
- Q/Q10:約6.17×4.55mm
- Q7/Q-S1:約7.44×5.58mm
と整理されています。
つまりQ7/Q-S1ではさらに外周まで使います。
初代Qでは気にならなかった周辺の崩れやケラレが、Q7では目立つ可能性があります。
マイクロフォーサーズでは?
物理的に装着できるアダプターを用意できたとしても、マイクロフォーサーズのセンサーは8mmフィルムよりはるかに大きいです。
したがって、
画面全面を普通の13mmレンズとしてカバーすることは期待できません。
大きなケラレ。
円形像。
周辺崩壊。
などが前提になります。
これは故障ではありません。
APS-Cやフルサイズではさらに厳しい
同じです。
CINE-S.ARCOは35mm写真用13mm超広角ではありません。
フルサイズへ付ければ、
13mm F1.4の超大口径超広角!
になるわけではありません🤣
そもそものイメージサークルが小さい。
Dマウントのフランジバックも12.29mmと非常に短い。
したがって現代使用では、小型センサー機の方が圧倒的に相性がよいレンズです。
ARCO CINE-S.ARCO 13mm F1.4の基本仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | ARCO |
| レンズ名 | CINE-S.ARCO |
| 焦点距離 | 13mm |
| 開放F値 | F1.4 |
| 用途 | 8mmシネカメラ |
| 対応時代 | Double 8/Regular 8 |
| マウント | Dマウント |
| マウント径 | 約15.88mm |
| ピッチ | 32TPI |
| フランジバック | 約12.29mm |
| フォーカス | MF |
| 近接 | 約0.3mの現存個体報告あり |
| 絞り | マニュアル |
| 光学構成 | メーカー一次資料未確認 |
| 二次資料 | 4群6枚ダブルガウス型との推定あり |
| 電子接点 | なし |
| AF | なし |
| 手ブレ補正 | なし |
| 主なカメラ | ARCO Eight 803Aなど |
| 同シリーズ | 6.5mm F1.4、38mm F1.4 |
| 現代利用 | PENTAX Qなど |
13・6.5・38mm F1.4の803A用レンズ構成は当時のARCO資料で直接確認できます。
中古購入時に確認したいポイント
CINE-S.ARCO 13mm F1.4は小さいレンズですが、中古チェックは意外と細かいです。
特に、
Dマウント。
光学系。
絞り。
フォーカス。
を重点的に見ます。
まず銘板を見る
商品写真を拡大します。
確認したいのは、
CINE-S.ARCO
13mm
F1.4
です。
ARCOには非常によく似た、
- CINE-W.ARCO 6.5mm F1.4
- CINE-T.ARCO 38mm F1.4
- F1.8世代のCINE ARCO
もあります。
特にF1.4とF1.8を間違えないようにしましょう。
F1.8版も存在する
ARCO公式販売資料では、MODEL-K用として、
- 13mm F1.8
- 6.5mm F1.8
- 38mm F1.8
のセットも掲載されています。
つまり、
13mmだから全部F1.4。
ではありません。
F1.4の803A系。
F1.8系。
をきちんと区別します。
「S」を確認する
13mm標準域はCINE-S.ARCO。
6.5mmはW。
38mmはT。
中古セットでは前後キャップを付けると焦点距離が見えづらいこともあります。
刻印まで確認しましょう。
Dマウントねじ
最重要です。
確認するのは、
- ねじ山潰れ
- クロススレッド
- 欠け
- 錆
- 強い工具傷
です。
Dマウントは直径約15.9mmしかありません。
乱暴に扱えば簡単に傷みます。
アダプターへ無理に入れない
最初の一山から斜め。
途中で急に固くなる。
最後まで入らない。
場合はやめましょう。
無理に締め込めばレンズとアダプターの両方を壊します。
フォーカスリング
最短側から∞側まで動かします。
理想は、
- 滑らか
- 適度な抵抗
- ガタなし
- 引っ掛かりなし
です。
ヘリコイド固着
70年近いレンズです。
古いグリースによって、
非常に重い。
途中だけ固い。
最後まで回らない。
個体があります。
小型レンズなので無理に力を入れず、整備前提で判断しましょう。
無限遠
ARCO Eightで使うならカメラ側で。
PENTAX QならDマウントアダプター経由で。
遠くの建物などを撮影し、∞付近へピントが来ることを確認します。
無限遠が出ないときはアダプターも疑う
Dマウントのフランジバックは約12.29mm。
非常に短いため、アダプター厚の誤差がフォーカスへ影響します。
レンズだけを即ジャンク認定しないようにしましょう。
最短側
現存個体では約30cmまで寄れるという報告があります。
実機の目盛やアダプター条件によって確認します。
近接で途中までしか動かない場合はヘリコイド固着を疑います。
カビ
LEDライトを斜めから当てます。
小さなレンズなので、
前から。
後ろから。
両方確認します。
糸状や枝状の模様があればカビを疑います。
曇り
こちらも非常に重要です。
F1.4開放では元々フレアっぽい描写が出る場合があります。
内部曇りがあると、それがさらに悪化します。
「このレンズはオールドだから柔らかいんだ」
と思ったら、単に曇っていた。
という可能性もあります。
前玉
小さいとはいえ、前玉の状態を確認します。
- 深い傷
- 拭き傷
- カビ跡
- コーティング異常
を見ます。
後玉
Dマウントレンズでは後玉がマウントにかなり近いものがあります。
リアキャップなしで保管された個体では特に、
- 傷
- 指紋
- カビ
- 汚れ
を確認しましょう。
絞りリング
F1.4から絞り側へ動かします。
途中で、
- ガリガリする
- 固い
- 空回り
- 急に軽くなる
症状がないか確認します。
絞り羽根
ライトを当てながら動かします。
- 全羽根が動く
- 一枚だけ外れていない
- 大量の油がない
- 完全に開閉する
ことを確認します。
F1.4まで完全に開くか
開放位置なのに羽根が残っている場合は要注意です。
F1.4を買う意味がなくなります。
絞り込んだ状態
小絞りまで閉じた際、開口部が不自然にずれていないか確認します。
シネレンズでは羽根形状そのものがボケへ影響するため、欠損は避けたいところです。
絞り羽根の油
このレンズは手動絞りです。
一眼レフの瞬間自動絞りほど少量の油が即撮影不能へつながるわけではありません。
しかし油が多ければ、
固着。
汚染。
粘り。
へ進む可能性があります。
状態評価ではマイナスです。
開放F1.4で実写する
デジタルへ装着できるなら必須です。
中央へ細かな文字などを置きます。
F1.4。
F2.8。
F5.6。
と撮影。
実写報告どおり、開放ではフレアや周辺の甘さが出る場合があり、F2.8~F5.6でかなり安定する傾向があります。
「周辺が甘い=故障」と決めない
重要です。
Double 8用レンズをPENTAX Qへ付けると、本来のフィルム画面より外側まで使用します。
実写ユーザーも、Qセンサーはこのレンズが本来カバーするDouble 8画面より大きいため、全面で均一な性能を期待すべきではないと指摘しています。
中央が正常。
左右も極端な非対称ではない。
なら、周辺低下はレンズ設計とフォーマットのミスマッチである可能性があります。
片側だけ極端にボケる場合
こちらは別です。
左は合う。
右だけボロボロ。
なら、
- レンズ偏芯
- Dマウントの変形
- アダプターの傾き
- 分解整備ミス
などを疑います。
別アダプターでも確認しましょう。
バレルディストーション
PENTAX Qでの実写例では、ある程度の樽型歪曲が確認されています。
これは現代のデジタル補正レンズではありません。
建築や直線を撮れば分かりやすく出る場合があります。
逆に人物や花ならあまり気にならないでしょう。
逆光
F1.4で強い光源を入れてみます。
古いシネレンズなので、
- フレア
- ゴースト
- コントラスト低下
を楽しむ方向もあります。
ただし曇り個体では異常なほど真っ白になる場合があります。
状態判定には逆光が非常に有効です。
ARCO Eightとセットなら3本全部確認
803Aなどのターレット付きで販売されているなら、
6.5mm。
13mm。
38mm。
3本全部を確認しましょう。
ARCO公式資料でも803AはこのF1.4三本セットを想定しています。
ターレット
回転させ、
各レンズが撮影位置へ正しく止まるか確認します。
レンズ同士の干渉
レンズやフードが曲がっていると、ターレット回転時に隣のレンズへ干渉することがあります。
無理に回さないようにしましょう。
803A本体なら撮影速度も確認
803A純正資料では、
8。
16。
24。
32。
64fps。
です。
スプリングモーターの動作も含めて確認します。
ただしこれはレンズ単体ではなくカメラ本体側の中古チェックです。
現代使用ならDマウントアダプター込みで考える
このレンズだけ買っても、現代カメラへそのままは付きません。
必要なのは、
Dマウント→使用カメラ用アダプター。
特にPENTAX Qは有力です。
しかしアダプター精度が悪ければ、
無限遠。
片ボケ。
マウント傾き。
まで発生します。
中古シネレンズではアダプターも光学システムの一部と考えましょう。
CINE-S.ARCO 13mm F1.4が向いている人
このレンズは、
- ARCO Eightを所有している人
- 8mm映画機材を集めている人
- Dマウントレンズが好きな人
- PENTAX Qを持っている人
- オールドシネレンズを楽しみたい人
- F1.4の描写を試したい人
- 国産1950年代光学機器が好きな人
- 小さな機械式レンズが好きな人
に向いています。
特に、
「ただシャープなだけのレンズでは面白くない」
という人にはかなり楽しい一本でしょう。
向いていない人
一方、
- フルサイズで13mmとして使いたい
- AFが必要
- 周辺まで均一な解像が必要
- 歪曲ゼロを求める
- 電子接点が欲しい
- EXIFを残したい
- アダプターで試行錯誤したくない
人には向きません。
これは現代写真用13mm F1.4の代用品ではありません。
8mm映画用の小さな標準シネレンズです。
CINE-W・S・Tを揃える面白さ
ARCO好きならここまで行きたくなります🤣
広角。
CINE-W.ARCO 6.5mm F1.4。
標準。
CINE-S.ARCO 13mm F1.4。
望遠。
CINE-T.ARCO 38mm F1.4。
全部F1.4。
ARCO公式資料で実際に803A用として並んでいます。
現在の巨大なF1.4単焦点と違い、どれも指先サイズに近い小さなシネレンズ。
3本揃えると、1950年代の8mm撮影システムそのものが見えてきます。
まとめ
ARCO CINE-S.ARCO 13mm F1.4は、1950年代後半のARCO 8mmムービーカメラ用として展開されたDマウント大口径標準シネレンズです。
当時のARCO公式販売資料ではMODEL-803A用として、
13mm F1.4。
6.5mm F1.4。
38mm F1.4。
の3本が明記されています。
そして13mmはその中間。
広角でも望遠でもない。
8mm映画用の標準域です。
マウントはD。
直径約15.88mm。
32TPI。
フランジバック約12.29mm。
現在ではPENTAX Qへアダプター経由で装着した実写例もあり、Double 8より大きいセンサーを使うことで、開放時のフレア、周辺低下、歪曲、独特なボケまで含めて楽しめます。
ただし中古では、
- CINE-S.ARCOか
- 13mmか
- F1.4か
- F1.8型ではないか
- Dマウントねじ
- マウント変形
- フォーカスリング
- 無限遠
- 近距離
- カビ
- 曇り
- 前玉
- 後玉
- 絞りリング
- 絞り羽根
- 油
- F1.4開放
- 片ボケ
- アダプター精度
- ケラレ・周辺像
まで確認しましょう。
そして光学構成については慎重に。
現代の研究者から4群6枚ダブルガウス型とする推定はありますが、今回確認できたARCO一次資料には構成枚数が載っていません。したがってメーカー公称スペックとして断定するべきではありません。
このあたりもオールドシネレンズの面白さです。
現代レンズならPDFを開けば、
何群何枚。
MTF。
特殊硝材。
全部分かる。
しかしARCOはそうはいかない。
残された広告。
カメラ。
レンズ。
実写。
そこから少しずつ正体を掘り起こしていく。
1950年代。
ARCO Eightのターレットには、
6.5mm。
13mm。
38mm。
三本のF1.4レンズが並んでいました。
その真ん中で、日常の8mm映画を撮っていた小さな標準レンズ。
ARCO CINE-S.ARCO 13mm F1.4は、日本の8mmムービーカメラが機械技術と光学性能を競っていた時代を、わずか13mmの小さな鏡筒に残した大口径Dマウントシネレンズです。









