PENTAX MZ-5とは?クラシックな操作系とAFを融合した35mm一眼レフの特徴
PENTAX MZ-5は、35mmフィルムを使用するオートフォーカス一眼レフカメラです。
ペンタックス公式の歴史では1995年に登場し、「直感的な操作」をコンセプトとした、当時世界最小のAF一眼レフとして紹介されています。地域によっては1996年モデルとして流通したため、中古市場や海外資料では1996年発売と表記されることもあります。
最大の特徴は、1990年代のAF一眼レフでありながら、シャッター速度ダイヤル、露出補正ダイヤル、レンズ側の絞りリングといったクラシックカメラに近い操作方法を採用していることです。
一方、中身は現代的です。
- 3点オートフォーカス
- スポットAF
- プログラムAE
- 絞り優先AE
- シャッター優先AE
- マニュアル露出
- 6分割測光
- 中央重点測光
- スポット測光
- 自動フィルム装填
- 自動巻き上げ
- 自動巻き戻し
- 約2コマ/秒の連続撮影
- 内蔵フラッシュ
- DXコード対応
- パノラマ撮影機構
などを備えています。
そのため、
「AFは欲しい。でもモードダイヤルを回して液晶を見ながら設定する1990年代カメラは苦手」
という人には非常に面白い存在です。
ただし、中古購入では重大な注意点があります。
MZシリーズでは、ミラーを駆動するモーターの小型プラスチックギアが経年劣化で割れ、ミラーやシャッターが動かなくなる故障が広く報告されています。MZ-5もこの問題の対象とされており、購入時には必ず確認したいポイントです。
この記事では、PENTAX MZ-5の特徴、露出モード、AF、対応レンズ、MZ-5Nとの違い、基本的な使い方、中古購入時の注意点を解説します。
PENTAX MZ-5とは
PENTAX MZ-5は、24×36mmの35mm判フィルムを使用するAF一眼レフです。
海外ではZX-5の名称でも販売されました。MZ-5とZX-5は基本的に同系統のカメラです。
ペンタックス公式の製品アーカイブにも、1990年代を代表するKマウントフィルム一眼レフとしてMZ-5が掲載されています。
それまでのZシリーズでは電子ダイヤルや多機能操作を前面に出したデザインが採用されていました。
MZ-5では方向性を変え、
- シャッター速度は専用ダイヤル
- 絞り値はレンズの絞りリング
- 露出補正は独立ダイヤル
- 測光方式も専用スイッチ
という非常に分かりやすい操作系へ戻っています。
「昔のカメラの操作感」とAFを融合
MZ-5のおもしろさは、外観をレトロ風にしただけではありません。
露出モードそのものが、シャッターダイヤルとレンズの絞りリングの位置によって自然に決まります。
基本的な考え方は次のとおりです。
| シャッターダイヤル | レンズ絞り | 露出モード |
|---|---|---|
| A | A | プログラムAE |
| A | 任意のF値 | 絞り優先AE |
| 任意の速度 | A | シャッター優先AE |
| 任意の速度 | 任意のF値 | マニュアル露出 |
つまり、液晶メニューから「P」「Av」「Tv」「M」を選ぶ必要がありません。
何を自動にするかをAへ合わせる。
これだけです。
プログラムAE
シャッター速度ダイヤルをA、レンズの絞りリングもAへ合わせるとプログラムAEになります。
カメラが被写体の明るさに応じて、シャッター速度と絞り値を両方決定します。
AFでピントを合わせれば、そのままシャッターを切れるため、スナップや旅行では非常に手軽です。
絞り優先AE
シャッターダイヤルをAへ合わせ、レンズ側で任意の絞り値を設定します。
たとえば、
- F1.4~F2.8:背景をぼかす
- F4~F8:一般的なスナップ
- F8~F16:風景や建築
といった撮影ができます。
カメラが設定絞りに応じた適正シャッター速度を自動的に選択します。
昔のPENTAX MEシリーズなどに慣れている人にも理解しやすい操作です。
シャッター優先AE
レンズの絞りリングをAへ合わせ、シャッターダイヤルで速度を選びます。
カメラが適切な絞り値を自動的に設定します。
動く人物や乗り物なら1/500~1/1000秒、あえて動感を残すなら1/15~1/30秒など、撮影目的に応じて速度を固定できます。
完全マニュアル露出
シャッター速度と絞り値の両方を手動で設定するとマニュアル露出になります。
ファインダー内の露出表示を確認しながら設定を調整します。
スタジオ撮影、逆光、夜景、露出を固定した連続撮影などでは便利です。
MZ-5はAF一眼レフですが、露出操作そのものは昔ながらの一眼レフにかなり近いのが魅力です。
Bによる長時間露光
シャッターダイヤルにはBもあります。
シャッターボタンを押している間だけシャッターが開きます。
夜景、星空、光跡などの長時間露光に利用できます。
ただしMZ-5は電子制御カメラなので、長時間露光でも電池を消費します。
シャッター速度は最高1/2000秒
MZ-5は電子制御縦走行メタルフォーカルプレーンシャッターを採用しています。
AUTOでは約30秒~1/2000秒、マニュアルでは2秒~1/2000秒とBを使用できます。
最高1/2000秒なら、
- 晴天下でF1.4~F2クラスを使う
- 動く人物を止める
- 望遠レンズで手ブレを防ぐ
- 高感度フィルムを昼間に使う
といった撮影に対応できます。
シャッターダイヤルは1段刻み
MZ-5のシャッターダイヤルは、
- 2秒
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
- 1/30秒
- 1/60秒
- 1/125秒
- 1/250秒
- 1/500秒
- 1/1000秒
- 1/2000秒
などを直接選択するクラシックな方式です。
電子ダイヤルを何回も回す必要がなく、電源OFFの状態でも現在の設定を目視できます。
KAF2マウントを採用
レンズマウントはPENTAX KAF2マウントです。
代表的には、
- SMC PENTAX-FA
- SMC PENTAX-F
- PENTAX-A
- PENTAX-M
- 初期Kマウント
など、幅広いKマウントレンズを利用できます。
ただし、レンズ世代によって利用できる機能は異なります。
FAレンズとの組み合わせ
MZ-5の性能を最も自然に活用できるのはSMC PENTAX-FA系レンズです。
FAレンズなら、
- オートフォーカス
- プログラムAE
- 絞り優先AE
- シャッター優先AE
- マニュアル露出
- 6分割測光
などを利用できます。
代表的な組み合わせには、
- FA 28-70mm F4
- FA 35-80mm
- FA 50mm F1.4
- FA 43mm F1.9 Limited
- FA 77mm F1.8 Limited
などがあります。
小型なMZ-5と43mm Limitedを組み合わせると、AF一眼レフとしてかなりコンパクトな構成になります。
FレンズもAFで使用可能
SMC PENTAX-FシリーズにもAFカプラーがあるため、基本的にAF撮影へ対応します。
MZ-5発売以前のAFレンズ資産を利用できることも、Kマウントの利点です。
PENTAX-Aレンズも使用可能
PENTAX-AレンズにはAF機構がないため、ピントは手動です。
ただし絞りリングにA位置があるため、対応する自動露出機能を利用できます。
MZ-5はファインダー内にフォーカスインジケーターを備えているため、対応条件ではMF撮影時のピント確認を補助できます。
PENTAX-Mや初期Kレンズ
PENTAX-Mや初期Kマウントレンズも物理的には装着できます。
ただし、
- AFは不可
- 6分割測光など一部機能に制限
- 露出モードにも制限
があります。
K/M系レンズでは中央重点やスポット測光を中心に使用する構成になります。
昔のPENTAXレンズを持っている人にとっては、AFレンズとMFレンズを同じボディで楽しめることが魅力です。
3点オートフォーカス
MZ-5はTTL位相差検出式AFを採用し、3点AFに対応しています。
AF感度範囲はEV-1~18程度とされています。
1990年代半ばのカメラなので、現在の数十点・数百点AFとは比較できません。
しかし、中央一点しか持たない初期AF一眼レフより構図の自由度があります。
スポットAFも選択できる
3点AFだけでなく、中央部分へ限定したスポットAFを利用できます。
次のような撮影に向いています。
- 人物の目
- 花
- 小さな物
- 柵の向こうの被写体
- 前後に複数の被写体がある場面
カメラ任せの3点AFで意図しない場所へピントが合うときは、スポットAFへ切り替えると扱いやすくなります。
動体予測AF
MZ-5はAF-Cのような明示的な連続AFモードを備える構成ではありませんが、動く被写体に対する予測AF機能を備えています。初期の製品情報でも予測フォーカスへの対応が紹介されています。
ただし、現在のスポーツ向けAF一眼レフやミラーレスほど高性能ではありません。
日常の人物、子ども、比較的緩やかに動く被写体向けと考える方が現実的です。
6分割測光
MZ-5はTTL6分割測光に対応しています。
さらに、
- 6分割測光
- 中央重点測光
- スポット測光
を選択できます。
6分割測光
一般撮影の基本です。
画面を複数の領域へ分けて判断するため、人物、風景、スナップなど幅広く対応できます。
中央重点測光
画面中央を重視する伝統的な測光方式です。
昔の一眼レフから乗り換える場合は理解しやすいでしょう。
スポット測光
画面の狭い部分を基準に露出を決めます。
逆光の人物、舞台、雪景色など明暗差の大きい場面で役立ちます。
測光範囲はEV0~21
測光範囲はEV0~21程度とされています。
明るい晴天下から比較的暗い室内まで、幅広い範囲を測光できます。
ただし、現在の中古個体ではSPD受光素子や電子回路の経年変化も考えられるため、実際の測光精度を確認した方が安全です。
±3EVの露出補正ダイヤル
上面には独立した露出補正ダイヤルがあります。
補正範囲は±3EVです。
たとえば、
- 逆光の人物:+1~+2EV
- 白い雪景色:+1EV前後
- 黒い被写体:-1EV前後
- シルエット:-1~-2EV
といった使い方ができます。
独立ダイヤルなので、現在どれだけ補正しているのか一目で分かります。
ただし撮影後に0へ戻し忘れないよう注意しましょう。
DXコードに対応
DXコード付き35mmフィルムなら、カメラがフィルム感度を自動的に読み取ります。
DX対応範囲はISO25~5000、手動設定ではISO6~6400まで対応します。
現在流通しているISO100・200・400などの一般的なフィルムなら問題なく使用できます。
DXコードのないフィルムや、自家詰めフィルムを使う場合は感度を手動設定します。
自動フィルム装填
35mmフィルムを入れ、先端を指定位置まで引き出して裏蓋を閉じると、カメラが自動的に撮影開始位置まで送ります。
手巻き一眼レフのように、空シャッターを2~3回切ってカウンターを1へ進める必要はありません。
自動巻き上げ
シャッターを切ると、モーターが自動的にフィルムを次のコマへ送ります。
連続撮影では約2コマ/秒です。
巻き上げレバーがないため、撮影テンポはかなり速くなります。
自動巻き戻し
フィルムを最後まで撮影すると、カメラが自動的に巻き戻します。
昔の手動カメラのように底面ボタンを押してクランクを回す必要はありません。
電子モーター系に依存するため、中古品では巻き上げだけでなく巻き戻しまで確認したいところです。
パノラマモード
MZ-5にはパノラマモードがあります。
通常は24×36mmですが、パノラマ時は上下をマスクして約13×36mmの横長画面を作ります。
重要なのは、
レンズが通常より広い範囲を記録するわけではない
ということです。
通常の35mm画面の上下を遮光し、横長へトリミングする方式です。
ファインダー内にもマスクが入り、完成する横長構図を確認できます。
内蔵フラッシュ
ペンタプリズム部にはポップアップ式フラッシュがあります。
ガイドナンバーはISO100で約11、照射角は28mmレンズ程度まで対応します。
暗い室内、人物の補助光、逆光のデイライトシンクロなどに使えます。
赤目軽減機能も備えています。
フラッシュ同調速度は1/100秒
MZ-5のX同調速度は1/100秒です。
後継のMZ-5Nでは1/125秒へ変更されており、ここは両モデルを区別するポイントのひとつです。
TTLフラッシュに対応
対応するペンタックス専用フラッシュではTTL自動調光を利用できます。
ただし、後年のデジタルPENTAXで使われるP-TTLとは別の世代です。
中古の外部フラッシュを組み合わせる場合は、対応方式を確認しましょう。
ファインダー倍率約0.8倍
ファインダー倍率は50mmレンズ使用時で約0.8倍、視野率は約92%です。
ファインダー内には、
- AFフレーム
- 合焦表示
- シャッター速度
- 絞り値
- 露出状態
- フラッシュ表示
などが表示されます。
ピント自体はAFで合わせられるため、スプリットイメージがなくても実用上は問題になりにくい設計です。
視度調整に対応
ファインダーには視度調整機構があります。
裸眼や眼鏡使用者に合わせて表示を見やすく調整できます。
中古では視度調整部が固着していないかも確認しましょう。
CR2リチウム電池を2本使用
電源は3VのCR2リチウム電池2本です。
CR2は現在でも購入できますが、単3・単4ほどどこでも置いてある電池ではありません。
旅行や長期間の撮影では予備を用意すると安心です。
Battery Pack FGで単3電池も使用可能
別売のBattery Pack FGを装着すると、単3形電池4本を使用できます。
CR2の入手性が気になる場合や、グリップを大きくしたい場合には便利なアクセサリーです。
中古ではバッテリーパックの電池液漏れに注意しましょう。
電池なしでは撮影できない
MZ-5は電子制御シャッター、AF、巻き上げモーターを使用しています。
電池がなければ通常撮影できません。
MX、K1000、Spotmaticなどの機械式PENTAXとは大きく異なります。
小型軽量なAF一眼レフ
ボディ寸法は約135×90×61.5mm、重量は約400g前後です。
ペンタックス公式も、登場時に世界最小AF一眼レフとして紹介しています。
50mm F1.4や43mm F1.9 Limitedなど小型レンズと組み合わせれば、AF一眼レフとしてかなりコンパクトです。
PENTAX MZ-5とMZ-5Nの違い
後継のMZ-5Nは1997年に登場しました。
基本設計はMZ-5を受け継ぎながら、いくつかの機能が追加されています。
| 項目 | MZ-5 | MZ-5N |
|---|---|---|
| 基本操作 | クラシックダイヤル | 同様 |
| 最高シャッター | 1/2000秒 | 1/2000秒 |
| 露出メモリーロック | なし | あり |
| オートブラケット | なし | あり |
| 被写界深度確認 | なし | あり |
| フラッシュ同調 | 1/100秒 | 1/125秒 |
| AF | 3点/スポット | 3点/スポット |
| ダイヤル | 初期型 | 操作性を改善 |
| 巻き上げ | 約2コマ/秒 | 約2コマ/秒 |
MZ-5Nでは、AEロック、オートブラケット、電子式被写界深度確認などが追加されています。
基本的な撮影性能だけならMZ-5でも十分ですが、機能性を求めるならMZ-5Nが有利です。
PENTAX MZ-3との違い
MZ-3はMZ-5系の上位的な派生モデルで、最高シャッター速度を1/4000秒まで高速化しています。
明るい場所で大口径レンズを開放付近で使いたい人には有利です。
一方、中古市場ではMZ-3の方が希少で高価になる傾向があります。
PENTAX MZ-5の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mm AF一眼レフ |
| 登場時期 | 1995年・地域により1996年流通 |
| 使用フィルム | 35mmフィルム |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| パノラマ | 約13×36mm |
| レンズマウント | PENTAX KAF2 |
| AF方式 | TTL位相差検出 |
| AFポイント | 3点・スポット |
| AF感度 | 約EV-1~18 |
| 露出モード | P・Av・Tv・M・B |
| 測光 | 6分割・中央重点・スポット |
| 測光範囲 | 約EV0~21 |
| 露出補正 | ±3EV |
| AUTOシャッター | 約30秒~1/2000秒 |
| MANUALシャッター | 2秒~1/2000秒・B |
| フラッシュ同調 | 1/100秒 |
| 内蔵フラッシュ | GN約11・ISO100 |
| フィルム感度 | DX ISO25~5000 |
| 手動ISO | 6~6400 |
| フィルム送り | 自動 |
| 連続撮影 | 約2コマ/秒 |
| 巻き戻し | 自動 |
| ファインダー倍率 | 約0.8倍 |
| 視野率 | 約92% |
| 電源 | CR2×2 |
| 別売電源 | Battery Pack FG・単3×4 |
| 寸法 | 約135×90×61.5mm |
| 重量 | 約400g前後 |
基本仕様はリコーイメージングが現在も公開しているMZ-5公式取扱説明書の掲載情報、および複数のPENTAX技術資料・仕様資料を照合しています。公式サポートでは現在もMZ-5の取扱説明書が公開されています。
PENTAX MZ-5の基本的な使い方
CR2電池を2本入れる
底面の電池室へCR2を2本装填します。
極性を確認し、蓋を確実に閉じます。
中古品では接点腐食がないか確認しましょう。
FAレンズを装着する
プログラムAEまで利用するなら、絞りリングにA位置があるFAレンズが扱いやすいでしょう。
赤いマウント指標を合わせて装着します。
フィルムを入れる
裏蓋を開き、35mmフィルムを装填します。
フィルム先端を指定位置まで伸ばして裏蓋を閉じます。
カメラが自動的に1コマ目まで送ります。
DX感度を確認する
DX対応フィルムなら自動設定されます。
特殊フィルムの場合はISOを手動設定します。
プログラムAEならA+A
シャッターダイヤルをA、レンズの絞りもAへ合わせます。
これでプログラムAEです。
AFでピントを合わせる
被写体をAFフレームへ入れ、シャッターボタンを半押しします。
合焦表示を確認します。
狙った場所へ合わせたい場合はスポットAFを使用します。
シャッターを切る
露出とピントを確認して、シャッターボタンを最後まで押します。
撮影後はモーターが自動的に次のコマへ送ります。
中古購入時に確認したいポイント
最大の要注意箇所はミラー駆動ギア
MZ-5を中古で買うなら、ここが最重要です。
MZ/ZXシリーズでは、ミラー駆動モーターの軸に圧入された小型プラスチック製ピニオンギアが経年で割れ、軸上で空回りする故障が知られています。
症状は、
- シャッターを押しても撮影できない
- ミラーが上がったまま
- ミラーが動かない
- モーターだけ「ウィーン」と回る
- シャッターがチャージされない
- 電池が急速に消耗する
などです。
「今動いている」だけでは安心できない
プラスチックギアが完全に割れる前には、軸上で滑ったり噛んだりして、動いたり動かなかったりする場合があると修理例で報告されています。
したがって、
一回シャッターが切れたからOK
では不十分です。
最低でも数十回程度、AF・シャッター・巻き上げを繰り返して、安定動作するか確認しましょう。
モーターの異常な空転音
シャッターボタンを押したとき、
「ウィーーン」
というモーター音だけが続き、ミラーやシャッターが動かなければ、ミラー駆動ギア故障の典型的な症状です。
この状態になったら、電池を入れたまま何度も作動させない方が安全です。
修理済み個体
MZシリーズでは、破損したプラスチックギアを金属製ギアへ交換する修理例があります。
購入時に、
- ギア交換済み
- ミラーモーター修理済み
- 金属ギア交換済み
と明確な整備記録がある個体は価値があります。
ただし、単なる出品者の自己申告ではなく、修理明細などがあればさらに安心です。
電池室
CR2電池室を確認します。
- 白い腐食
- 緑青
- 接点の黒ずみ
- 蓋の破損
- 接点の沈み込み
がないか確認しましょう。
リチウム電池はアルカリ単3ほど液漏れしやすくありませんが、古いカメラなので油断は禁物です。
電源の安定性
新品CR2を2本入れ、
- 電源ON
- AF
- シャッター
- フィルム送り
- フラッシュ充電
を繰り返します。
動作中に液晶が消える、突然電源が落ちる場合は注意が必要です。
上面LCD
LCDに、
- 黒いにじみ
- 数字の欠け
- 極端な薄さ
- 一部表示しない
症状がないか確認します。
LCD自体の経年劣化は清掃では直りません。
AFの3点を確認する
明るくコントラストの高い被写体で3点AFを確認します。
中央だけでなく左右側でもピントを検出するか見ましょう。
スポットAF
スポットAFへ切り替え、中央で正確に合焦するか確認します。
3点AFからスポットへ切り替わらない場合は、スイッチや接点不良が考えられます。
AF精度
ファインダー内で合焦しても、実際のフィルム面で合っているとは限りません。
大口径レンズを開放にして、
- 近距離
- 2~3m
- 無限遠
を試写するとAF精度を確認しやすくなります。
AFモーター音
レンズを無限遠から近距離へ何度も往復させます。
- 異常に遅い
- ガリガリ音がする
- 途中停止する
- 一方向だけ動かない
場合はボディまたはレンズ側AF駆動部を疑います。
6分割測光
FAレンズを使用し、明暗を変えて露出表示が正常に追従するか確認します。
中央重点測光
測光方式を切り替え、中央に明るい物・暗い物を置いて表示が変わるか確認します。
スポット測光
小さな明るい部分と暗い部分をそれぞれ測ります。
6分割測光とほとんど同じ値しか出ない場合は、切り替え機構を確認しましょう。
露出計精度
信頼できるデジタルカメラや露出計と比較します。
- 晴天
- 日陰
- 室内
- ISO100
- ISO400
など複数条件で確認します。
露出補正ダイヤル
-3~+3EVまで操作し、露出表示が変化するか確認します。
撮影後は0へ戻しましょう。
プログラムAE
シャッターA・絞りAで明暗を変えます。
カメラがシャッター速度と絞りを両方変えることを確認します。
絞り優先AE
シャッターをAにし、F2.8→F8→F16と変更します。
絞るほどシャッター速度が遅くなる必要があります。
シャッター優先AE
絞りをAにし、1/30→1/250→1/1000などへ変更します。
カメラが対応する絞り値を変えることを確認します。
マニュアル露出
速度と絞りを両方手動設定し、ファインダー内の露出表示が正しく変化するか確認します。
低速シャッター
2秒、1秒、1/2秒などを確認します。
シャッター途中で止まる、ミラーが戻らない症状がないことを確認します。
1/2000秒
最高速は音だけで精度を判断できません。
均一な壁や空を撮影し、画面の一部だけ暗くならないか試写しましょう。
シャッター幕
裏蓋を開き、幕を目視します。
- 傷
- 変形
- 油
- 異物
- 走行不良
がないか確認します。
指で触れてはいけません。
自動フィルム装填
不要なフィルムを実際に入れるのが理想です。
裏蓋を閉めたあと、
- 自動で巻き上げる
- カウンターが1になる
- エラー表示が出ない
ことを確認します。
1コマ送り
シャッターを切るたびに確実に1コマ進むか確認します。
モーター音だけしてフィルムが送られない個体は注意が必要です。
連続撮影
連続モードで数コマ撮影します。
約2コマ/秒程度で安定して動き、途中停止しないか確認します。
自動巻き戻し
フィルム終端まで送るか、途中巻き戻し機能を使用し、パトローネへ正常に戻るか確認します。
巻き上げだけ確認して巻き戻しを見落とさないようにしましょう。
フィルムカウンター
撮影ごとに数字が正常に増えるか確認します。
LCD表示欠けとカウンター不良は分けて判断しましょう。
DX接点
フィルム室内部のDX接点に、
- 腐食
- 汚れ
- 曲がり
- 沈み込み
がないか確認します。
DXフィルムを実際に入れ、正しいISOとして認識されるか確認できれば理想です。
パノラママスク
パノラマレバーを動かし、フィルム面上下のマスクとファインダー表示が連動するか確認します。
途中で止まる、マスクが戻らない個体は注意しましょう。
ファインダー
明るい壁へ向け、
- 曇り
- カビ
- 大きなチリ
- AF表示の欠け
- 視度調整不良
を確認します。
ミラー
通常位置へ正しく戻っているか確認します。
シャッター後にミラーが上がったままなら、例の駆動ギア問題も疑う必要があります。
レンズマウント
MZ-5は金属製KAF2マウントです。
- 強い摩耗
- 変形
- ガタ
- AFカプラー破損
- 電子接点腐食
がないか確認します。
絞り連動
レンズを装着してF値を変え、シャッター時に絞り羽根が設定値まで動くか確認します。
レンズ側の油付き絞り羽根にも注意しましょう。
内蔵フラッシュ
ポップアップボタンを押し、
- 正常に上がる
- 充電する
- 発光する
- 収納できる
ことを確認します。
MZシリーズではプラスチック製フラッシュ周辺部品の破損も修理情報で報告されています。
ホットシュー
中央接点や専用接点に腐食がないか確認します。
外部フラッシュを使用する場合はTTL動作も確認できれば理想です。
モルトと裏蓋
裏蓋周囲の遮光材を確認します。
経年で、
- 崩れる
- べたつく
- 薄くなる
場合があります。
試写で光漏れがないか確認しましょう。
PENTAX MZ-5が向いている人
MZ-5は次のような人に向いています。
- AFフィルム一眼レフを使いたい人
- クラシックな操作系が好きな人
- シャッターダイヤルを直接操作したい人
- 絞りリングのあるレンズを使いたい人
- P・Av・Tv・Mを全部使いたい人
- FA・F・A・Mレンズを活用したい人
- 6分割・中央重点・スポット測光を使い分けたい人
- 小型軽量なAF一眼レフを探している人
- 自動巻き上げ・巻き戻しを使いたい人
- PENTAX Limitedレンズをフィルムで楽しみたい人
特に、
「MXやMEのような操作感は好き。でもAFと自動巻き上げも欲しい」
という人には非常に魅力があります。
PENTAX MZ-5が向かない場合
一方、次のような人には慎重な判断が必要です。
- 完全機械式カメラを求める人
- 電池なしで撮影したい人
- 電子回路の経年故障を避けたい人
- ミラー駆動ギア問題を気にしたくない人
- 1/4000秒以上が必要な人
- AEロックを頻繁に使いたい人
- オートブラケットが必要な人
- 被写界深度確認を使いたい人
- 修理費を掛けたくない人
AEロック、オートブラケット、被写界深度確認が欲しい場合はMZ-5N、1/4000秒が必要ならMZ-3が候補になります。
まとめ
PENTAX MZ-5は、1990年代半ばに登場した35mm AF一眼レフです。
ペンタックス公式では「直感的操作」をコンセプトにした当時世界最小のAF一眼レフとして紹介されています。
主な特徴は次のとおりです。
- 24×36mmの35mm判
- KAF2マウント
- 3点AF
- スポットAF
- 予測AF
- プログラムAE
- 絞り優先AE
- シャッター優先AE
- 完全マニュアル露出
- B
- 約30秒~1/2000秒の電子シャッター
- 6分割測光
- 中央重点測光
- スポット測光
- ±3EV露出補正
- DX ISO25~5000
- 自動フィルム装填
- 自動巻き上げ
- 約2コマ/秒連写
- 自動巻き戻し
- パノラマモード
- GN約11の内蔵フラッシュ
- 1/100秒X同調
- CR2電池2本
- 約400gの軽量ボディ
そして、中古購入時に最も重要なのはミラー駆動モーターのギアです。
MZ/ZXシリーズではプラスチック製ピニオンギアの割れがよく知られており、故障するとモーターが空転し、ミラーとシャッターが動かなくなる場合があります。
購入時は新品電池を入れ、
- ミラー作動
- 全シャッター速度
- AF
- 各AEモード
- 3種類の測光
- 自動巻き上げ
- 自動巻き戻し
- フラッシュ
- パノラママスク
まで確認しましょう。
外観が新品同様でも、ギアが割れていれば撮影はできません。
逆に、金属ギアへの交換を含む整備が行われ、電子系まで正常な個体なら、MZ-5は現在でも非常に使いやすいAFフィルム一眼レフです。
シャッター速度を使いたければダイヤルを回す。
絞りを決めたければレンズを回す。
両方をカメラへ任せたければ、両方をAにする。
そこへAFと自動巻き上げだけが自然に加わっている。
PENTAX MZ-5は、クラシックな一眼レフの操作思想を捨てずに、1990年代のAF技術を融合した“電子時代のアナログ操作機”です。









