Yashica YE

Yashica YEカメラは、昔から愛用されている古典的なバルナック型のレンジファインダーカメラです。

Yashica YEは、ヤシカが1959年に発売した35mmフィルム用の交換レンズ式レンジファインダーカメラです。

現在のヤシカといえば二眼レフのYashica-Matシリーズや、後年のElectro 35、CONTAXとの関係などがよく知られています。

しかしYashica YEは、それらとは少し違った歴史を持っています。

このカメラのルーツにあるのは、戦後日本を代表するライカ型レンジファインダーメーカーのひとつ、

Nicca(ニッカ)。

1958年にヤシカがNiccaを傘下に収め、そのレンジファインダー技術を引き継いで登場したのがYashica YEです。

ライカスクリューマウント互換のLTMを採用。

布幕フォーカルプレーンシャッター。

連動距離計。

交換レンズ。

完全機械式。

見た目にも操作方法にも、バルナック型ライカの影響が色濃く残っています。

Yashica YEは、ヤシカのカメラ史だけでなく、戦後日本の「ライカ型カメラ」が終盤へ向かう時代を知るうえでも興味深い一台です。

目次

Yashica YEとは

Yashica YEは1959年に登場しました。

資料によって発売時期には若干の違いがあり、1月説と3月説がありますが、1959年前半に販売が始まったことはほぼ一致しています。シリアル番号研究では1958年12月ごろから生産が始まった可能性も指摘されています。

主な仕様は次のとおりです。

  • 使用フィルム:35mmフィルム
  • 画面サイズ:24×36mm
  • マウント:LTM/L39/M39スクリューマウント
  • 標準レンズ:Yashikor 5cm F2.8
  • ピント合わせ:連動距離計式
  • シャッター:布幕横走りフォーカルプレーン
  • 高速側:B、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500秒
  • 低速側:1/2、1/4、1/8、1/15秒
  • Xシンクロ:約1/30秒
  • フィルム送り:レバー式
  • 露出計:なし
  • 電源:不要
  • ボディ重量:約472g
  • ボディ寸法:約139×73×31mm

標準レンズを装着した状態では約650gとされています。

最大のポイントは「Niccaの血統」

Yashica YEを理解するうえで欠かせないのがNiccaです。

Nicca Cameraは戦前から続く日本のレンジファインダーカメラメーカーで、バルナック型ライカに強く影響を受けた35mmカメラを長年製造していました。

1958年、経営が苦しくなっていたNiccaをヤシカが傘下に収めます。

そして翌1959年、Nicca系カメラをヤシカブランドとして展開。

普及型の流れから、

Yashica YE

上位型の流れから、

Yashica YF

が登場しました。

つまりYashica YEは、ヤシカがゼロから設計したレンジファインダーではありません。

Niccaが持っていたライカ型レンジファインダー技術をヤシカが受け継いだカメラ

なのです。

Nicca 33そのままなのか?

Yashica YEについて、

「Nicca 33の名前をYashicaへ変えただけ」

と説明されることがあります。

大筋では非常に近いカメラなのですが、完全な単純リネームとするのは少し乱暴です。

専門的な比較資料では、YEの基本ボディはNicca 3-F/Type 33系とほぼ共通でありながら、

  • トップカバーの仕上げ
  • ダイヤル類
  • 低速シャッターダイヤル
  • フラッシュ同調仕様
  • 標準レンズ
  • Yashicaブランド化

などに変更が加えられていることが確認されています。

したがって、

Niccaの設計を強く継承したヤシカ版

くらいに理解すると分かりやすいでしょう。

ヤシカ最初期の交換レンズ式35mmレンジファインダー

ここも重要です。

ヤシカはYE以前の1958年に固定レンズ式の、

Yashica 35

をすでに発売していました。

したがって、

「YEがヤシカ初の35mmカメラ」

ではありません。

一方、YEはヤシカブランドで展開された最初期の交換レンズ式35mmレンジファインダーに位置します。

二眼レフで成功していたヤシカが、本格的な35mm交換レンズ市場へ入っていこうとしていた時代のカメラです。

マウントはLTM

Yashica YE最大の実用上の魅力が、

LTM

を採用していることです。

LTMはLeica Thread Mountの略。

ほかにも、

L39
M39
Leica Screw Mount

などと呼ばれます。

直径約39mmのねじ込み式交換レンズマウントで、バルナック型ライカをはじめ多数のカメラで使用されました。

そのためYEは、標準Yashikorだけでなく、互換性のあるLTMレンジファインダー用レンズを装着できます。

ヤシカ純正だけに縛られない

LTMには膨大な数のレンズがあります。

Leitz。

Canon。

Nikkor。

Topcor。

Voigtländer。

さらに戦後日本のさまざまなメーカー。

そのため現在Yashica YEを使う場合でも、標準Yashikorだけに限定する必要はありません。

50mm。

35mm。

28mm。

90mm。

135mm。

など、対応LTMレンズを探して遊べます。

ただし焦点距離によっては後述する外付けファインダーが必要になります。

標準レンズはYashikor 5cm F2.8

Yashica YEの標準レンズとして販売されたのが、

Yashikor 5cm F2.8。

現在の表記なら50mm F2.8です。

絞り範囲はF2.8~F22。

フィルター径は40.5mmです。

50mmという焦点距離は35mm判の王道標準。

街中スナップ。

人物。

旅行。

日常写真。

風景。

と、ほぼ何でも撮影できます。

ところがYashikor 5cm F2.8には「2種類」ある

ここが猛烈に面白い。

外見も名前も、

Yashikor 5cm F2.8

なのですが、光学系が異なる2種類が確認されています。

初期の「81」系シリアルでは、

3群4枚

絞り羽根は9枚。

一方、後期の「91」系シリアルでは、

4群5枚

絞り羽根は6枚。

となっています。

同じメーカー。

同じ名称。

同じ50mm F2.8。

見た目も近い。

なのに、

中のガラス枚数が違う。

中古レンズ世界でもなかなかの罠です。

初期型はTessar系とされる

「81」から始まる初期Yashikorは4枚3群構成。

研究資料ではTessarタイプとされています。

絞り羽根は9枚で、比較的円形に近い絞り形状を作ります。

一方、「91」系の後期型は5枚4群。

より複雑な構成へ変更され、絞り羽根も6枚の直線的なものへ変更されています。

つまり同じYashikorでも、描写やボケの形状に違いが出る可能性があります。

「Tomioka製」と断定しないほうがいい

古いヤシカレンズでは、

「これは富岡光学製だ」

と説明されることがあります。

後にヤシカと深く関係することになる富岡光学がレンズ供給を行っていた例は確かにあります。

しかしYashikor 5cm F2.8については、現在確認できる資料だけで製造元を断定するのは難しいところです。

研究資料でも、

Nicca時代の光学系との関連。

富岡光学の可能性。

別メーカーの可能性。

などが検討されていますが、決定的な証拠がないため断定を避けています。

中古紹介で、

「富岡光学製確定!」

としてしまうのは慎重になったほうがよいでしょう。

シャッター最高速度は1/500秒

Yashica YEの最高シャッター速度は、

1/500秒。

布幕横走り式フォーカルプレーンシャッターを採用しています。

シャッター速度は現在のカメラのように一つのダイヤルへ全部並んでいません。

高速側と低速側でダイヤルが分かれています。

これがバルナック型ライカ系カメラの大きな特徴です。

高速と低速でダイヤルが別

上面のメインシャッターダイヤルには、

B
1/30
1/60
1/125
1/250
1/500

があります。

一方、ボディ前面の低速シャッターダイヤルで、

1/2
1/4
1/8
1/15

を設定します。

現在のカメラに慣れていると、

「なんでシャッターダイヤルが2個あるんだ?」

となります。

1950年代です。

こういうものです。

低速を使うには作法がある

さらに操作には手順があります。

高速シャッターを使う場合、前面の低速ダイヤルを30位置へ設定。

低速側を使う場合は、上面ダイヤルを30-Xへ設定してから前面ダイヤルで速度を選びます。

さらにシャッタースピードを変更するときは、基本的に先にシャッターをチャージしてから操作します。

適当にダイヤルをグリグリ回す現代的操作ではありません。

カメラにも作法があります。

シャッターダイヤルが撮影時に回る

上面シャッターダイヤルは、シャッターを切ると回転します。

そのため撮影時に指を置いてはいけません。

現代のカメラでは考える必要のない注意点ですが、古いライカ型フォーカルプレーンシャッターでは重要です。

シャッターボタンを押したら、

ダイヤルには触らない。

これもYEを使ううえで覚えておきたいところです。

1秒はない

低速シャッターは1/2秒まで。

つまり、

1秒がありません。

Tもありません。

より上位のYashica YFでは1秒が用意されていますが、YEでは省略されています。

長時間露光を多用するカメラではなく、一般的な手持ち撮影を中心に考えた普及モデルだったことが分かります。

Xシンクロは1/30秒

電子フラッシュのXシンクロ速度は約1/30秒。

現在なら非常に遅く感じます。

しかし横走り布幕フォーカルプレーンシャッターなので、全画面が完全に開く速度には限界があります。

フラッシュ撮影時には1/30秒へ設定する必要があります。

ファインダーと距離計が「別窓」

Yashica YEの操作で最も時代を感じる部分かもしれません。

背面には、

構図を見るファインダー

と、

ピント合わせをする距離計

が別々にあります。

つまり、

左側の距離計を覗く
↓
二重像を合わせる
↓
右側のファインダーへ目を移す
↓
構図を決める
↓
撮影

という流れです。

Leica M3のような一体型ではない

後のレンジファインダーでは、一つのファインダー内に距離計二重像と撮影フレームが表示されるのが一般的です。

しかしYEは、それ以前のバルナック型ライカに近い方式。

ピントを見る窓と構図を見る窓が別。

です。

速写性では不利です。

しかしこの操作こそ、

昔ながらのライカ型レンジファインダーを使っている感覚

を強く味わえる部分でもあります。

パララックス自動補正はない

ファインダーには自動的なパララックス補正機構がありません。

レンジファインダーカメラでは撮影レンズとファインダーの位置が異なるため、近距離では、

ファインダーで見た範囲

と

実際にフィルムへ写る範囲

にズレが生じます。

遠景ならほとんど問題ありません。

しかし近距離では少し構図を補正して撮影する必要があります。

50mm以外では外付けファインダー

YEの内蔵ファインダーは標準50mm用。

35mmや100mmなど別焦点距離のレンズを使用する場合は、その画角に対応した外付けファインダーをアクセサリーシューへ装着します。

たとえば35mmなら、

距離計でピントを合わせる。

↓

35mm外付けファインダーへ目を移す。

↓

構図を決める。

です。

レンズ交換ができるだけで、ファインダーが自動的に画角を変えてくれるわけではありません。

Yashica純正交換レンズはかなり珍しい

YashicaブランドのYE/YF用LTM交換レンズとしては、

  • 10cm F2.8 Super-Yashinon
  • 13.5cm F3.5 Super-Yashinon

などの存在が確認されています。

35mm F2.8も広告された記録がありますが、研究資料では実物確認が非常に難しいレンズとされています。

したがって現在、

「Yashica純正LTMシステムを全部集める!」

を始めると、それなりに険しい道になります。

幸いLTM自体は汎用性の高い規格なので、撮影目的なら他社製レンズを使う選択肢があります。

フィルム巻き上げはレバー式

古いバルナック型ライカではノブを回してフィルムを送るモデルがあります。

YEではレバー巻き上げを採用しています。

この部分はNicca 3-Fのレバー巻き上げ型から受け継がれた特徴です。

撮影。

↓

レバーを巻く。

↓

シャッターがチャージ。

↓

次の撮影。

ノブ巻き上げより素早く操作できます。

ところがフィルム装填は現代的ではない

巻き上げはレバー。

しかしフィルム装填はかなり古典的です。

YEはバルナック型ライカ同様、底板を外してフィルムを装填します。

さらにフィルム先端を長く細く切る、

フィルムリーダーのトリミング

が推奨されています。

現在販売されている35mmフィルムを、そのままポンと入れるタイプではありません。

フィルム先端を切る必要がある

説明資料では、底板内側の図に従ってフィルムリーダーを整形することが推奨されています。

適切にトリミングしないと、

フィルムが引っ掛かる。

裂ける。

内部へ破片が残る。

シャッター幕へ悪影響を与える。

といったトラブルにつながる可能性があります。

つまりYEを使うなら、

ハサミもカメラ用品。

です。

巻き取りスプール欠品に注意

底部装填式カメラでは、

巻き取りスプール

が取り外せます。

そして取り外せるということは――。

なくなります。

中古YEではスプール欠品個体に注意が必要です。

見た目がきれい。

シャッターも動く。

安い。

買った。

フィルムを入れよう。

巻き取りスプールがない。

という悲劇があり得ます。

中古購入時は底板を外し、スプールまで確認しましょう。

露出計はない

Yashica YEには露出計がありません。

完全機械式カメラです。

フィルム感度を設定してカメラが勝手に露出を測ることもありません。

撮影者が、

単体露出計。

スマートフォンアプリ。

別のカメラ。

Sunny 16。

などを使って露出を決定します。

電池もいらない

電子機構がないので撮影用電池も必要ありません。

露出を決める。

ピントを合わせる。

巻き上げる。

シャッターを切る。

すべて機械式です。

60年以上前のカメラですが、きちんと整備されていれば電池規格の廃止を心配せず撮影できます。

これは現在古いカメラを実用するうえで大きなメリットです。

Yashica YFとの違い

YEと非常によく一緒に語られるのが、

Yashica YF

です。

両方ともNicca系技術を継承したLTMレンジファインダーですが、YFのほうが上級モデルです。

YEは最高1/500秒。

YFは最高1/1000秒。

YEは1秒なし。

YFは1秒あり。

YEはファインダーと距離計が別窓。

YFでは操作性を改善したファインダー機構が採用されています。

標準レンズも、

YE
→ Yashikor 5cm F2.8

YF
→ Yashinon/Super-Yashinon 5cm F1.8

が代表的です。

YE=普及型、YF=上級型

非常に単純化すれば、

YE
=安価でシンプルなNicca系LTM機

YF
=より高級で高機能なNicca系LTM機

です。

YEの発売時価格について研究資料では、本体+Yashikor 5cm F2.8が22,750円、ケース1,050円、合計23,800円という当時の広告が確認されています。

Nicca Type 33の広告価格28,000円よりも安く、価格競争力を意識したモデルだったことがうかがえます。

1959年という発売時期が重要

YEが登場した1959年は、カメラ史の大転換期でした。

すでにLeica M3は存在。

日本ではCanonやNikonも高性能なレンジファインダーを展開。

そして同じ1959年には、

Nikon F

が登場します。

カメラの主役が、

レンジファインダー
↓
一眼レフ

へ大きく移ろうとしていた時代です。

Yashica YEは、まさにライカスクリューマウント式レンジファインダー文化の終盤に登場しました。

ヤシカ自身もすぐ一眼レフへ向かう

ヤシカもその流れから逃れません。

YEやYFを発売したのち、1960年前後には、

Yashica Pentamatic

で35mm一眼レフ市場へ進出します。

つまりYEは、ヤシカにとって長期的な主力システムの始まりというより、

Niccaの技術を取り込みつつ、本格的35mmカメラメーカーへ移行する途中のモデル

として見ると非常に面白い存在です。

中古で確認したいポイント

現在Yashica YEを購入するなら、すでに60年以上前の機械式カメラです。

特に確認したいのは、

  • シャッター幕
  • 高速シャッター
  • 低速シャッター
  • 距離計
  • 二重像
  • ファインダー
  • フィルム巻き上げ
  • 巻き戻し
  • 巻き取りスプール
  • LTMねじマウント
  • フラッシュ接点
  • 標準レンズの光学状態

などです。

最大の要注意ポイントは布製シャッター幕

YEは布幕フォーカルプレーンシャッターです。

古い個体では、

硬化。

ひび割れ。

ピンホール。

幕速不良。

シワ。

などが発生している可能性があります。

強い光へ透かした際、小さな穴から光が見える個体は要注意です。

ただしシャッター幕は非常にデリケートなので、指で触ったり押したりしてはいけません。

低速シャッターが粘りやすい

専門資料でも、古いLTMライカ型カメラでは、

高速側は動くが低速側が動かない

症状が珍しくないとされています。

主な原因として潤滑油の劣化や長期不使用が挙げられています。

1/15。

1/8。

1/4。

1/2。

を順番に試し、

シャッター時間が明らかに変化するか確認しましょう。

全部ほぼ同じ速度なら整備が必要な可能性があります。

距離計二重像を確認

連動距離計式なので、無限遠で二重像が正確に一致するか確認します。

遠くのアンテナ。

電柱。

建物。

などへ合わせ、

二重像が横方向に一致するか。

上下にズレていないか。

像が十分に見えるか。

をチェックします。

標準50mm F2.8なら極端にシビアではありませんが、明るいLTMレンズへ交換する場合には距離計精度がより重要になります。

ファインダーのクモリにも注意

YEでは、

ピント用距離計

と

構図用ファインダー

の両方を見る必要があります。

片方だけきれいでも不十分です。

ファインダー内部の、

  • クモリ
  • カビ
  • 汚れ
  • プリズム劣化

などを確認しましょう。

特に距離計二重像が薄くなっている個体では、実写時のピント合わせがかなり苦しくなります。

LTMねじ山も確認

交換レンズ式なのでマウント部分も重要です。

レンズを取り付けたとき、

最後まで正常にねじ込めるか。

ガタつかないか。

斜めに入らないか。

ねじ山が潰れていないか。

を確認します。

無理にレンズを回すとボディ側・レンズ側の両方を傷める可能性があります。

標準Yashikorのシリアルも見てみたい

もしYashikor 5cm F2.8付きで購入するなら、前面のシリアル番号も確認してみる価値があります。

研究資料では、

81系
→ 3群4枚・9枚絞り

91系
→ 4群5枚・6枚絞り

という違いが確認されています。

どちらが絶対的に上という話ではありません。

むしろ、

同じレンズ名なのに中身が違う

という歴史そのものが面白いポイントです。

コレクションなら両方欲しくなる。

沼です。

Yashikorの絞り羽根も確認

50mm F2.8側では、

カビ。

クモリ。

拭き傷。

バルサム劣化。

ヘリコイド。

絞りリング。

絞り羽根の油染み。

をチェックします。

特に初期9枚羽根と後期6枚羽根では、絞った際の開口形状も異なります。

光学設計だけでなく、ボケの性格まで変わる可能性があります。

現代で使うならLTMレンズ遊びが面白い

Yashica YEを現在使う最大の楽しみのひとつが、

LTMレンズ交換。

です。

標準Yashikorで1959年の純正スタイルを楽しむ。

Canon 50mmを使う。

Nikkorを使う。

35mm Color-Skoparを使う。

古いレンズから比較的新しいLTMレンズまで試す。

ボディ自体に露出計も電子機構もないので、純粋に、

フィルム+レンズ+シャッター

を楽しめます。

ただし「最新LTMなら何でも完璧」とは限らない

LTMという機械規格が共通でも、60年以上経過したボディでは距離計調整状態が重要です。

F1.4などの大口径レンズを開放で使えば、わずかな距離計ズレもピントへ現れます。

新しい高性能LTMレンズを使う場合ほど、

ボディ側距離計が正しく調整されているか

を確認したほうがよいでしょう。

ライカより安いから「廉価コピー」で終わらせない

日本製ライカ型カメラは、しばしば単純に、

「ライカコピー」

とまとめられます。

確かにYEの基本設計がバルナック型ライカから大きな影響を受けていることは明らかです。

しかし1950年代後半には、日本メーカーも、

レバー巻き上げ。

フラッシュ同調。

量産技術。

独自レンズ。

価格競争力。

などを加えながら、それぞれ独自に発展していました。

Niccaもその一社。

そしてYashica YEは、そのNiccaが積み重ねた技術をヤシカが引き継いだ最終章に近い存在です。

まとめ

Yashica YEは、1959年に登場した35mm交換レンズ式レンジファインダーカメラです。

LTM/L39スクリューマウントを採用し、

  • 24×36mm判
  • 連動距離計
  • Yashikor 5cm F2.8
  • 布幕フォーカルプレーンシャッター
  • 最高1/500秒
  • 低速1/2秒
  • レバー巻き上げ
  • 完全機械式
  • 電池不要

という構成を持っています。

しかし、このカメラの魅力はスペック表だけでは分かりません。

1958年。

ヤシカは老舗のライカ型レンジファインダーメーカーNiccaを傘下に収めました。

そしてその技術を使い、翌1959年にYashica YEを送り出します。

中身にはバルナック型ライカから続く設計思想が色濃く残っています。

構図用と距離計用でファインダーが別。

高速・低速でシャッターダイヤルが別。

フィルムを入れるには底板を外す。

フィルム先端をトリミングする。

巻き取りスプールまで取り外せる。

現在のカメラとはまるで違います。

一方、レバー巻き上げやフラッシュ同調など、当時としての近代化も加えられています。

さらに標準Yashikor 5cm F2.8には、

3群4枚の初期型

と

4群5枚の後期型

という、同じ名前ながら光学構成まで異なる2種類が存在します。

そして1959年という発売年も象徴的です。

同じ年にはNikon Fが登場。

世界のカメラ市場は、レンジファインダーから一眼レフへ大きく動き始めていました。

つまりYashica YEは、

ヤシカが本格的な35mm交換レンズカメラへ踏み出した一台であると同時に、日本製ライカ型レンジファインダー文化が終盤へ向かう時代に生まれたカメラ。

その後ヤシカ自身も一眼レフへ進み、さらに長い年月を経てCONTAXへつながっていきます。

その歴史を考えると、YEは単なる古いLTMカメラではありません。

NiccaからYashicaへ。
レンジファインダーから一眼レフへ。

二つの大きな転換点が重なった場所に存在する、ヤシカ史の重要な一台です。

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