FUJIFILM GS645、正式名称「FUJICA GS645 Professional」は、富士写真フイルムが1983年に発売した6×4.5判の中判レンジファインダーカメラです。
最大の特徴は、レンズを蛇腹ごとボディ内部へ折り畳めるフォールディング構造。
使用時には前蓋を開いてレンズを展開し、撮影が終われば再び収納できます。
そのため120フィルムを使用する中判カメラでありながら、収納時の厚さは約56mm。
大型になりやすい中判カメラを旅行やスナップへ持ち出しやすくするため、かつてのスプリングカメラを1980年代の技術で現代化したような一台です。
FUJICA GS645 Professionalとは
GS645 Professionalは1983年3月に発売されました。
現在では「FUJI GS645」「FUJIFILM GS645」などとも呼ばれますが、オリジナルのボディ表記・正式名称は「FUJICA GS645 Professional」です。
主な仕様は次のとおりです。
- フィルム:120/220ロールフィルム
- 画面サイズ:約56×43mm
- 撮影枚数:120=15枚、220=30枚
- レンズ:EBC FUJINON S 75mm F3.4
- レンズ構成:4群5枚
- 最短撮影距離:1m
- 絞り:F3.4~F22
- シャッター:COPAL No.00レンズシャッター
- シャッター速度:T、1秒~1/500秒
- ピント合わせ:連動距離計式
- ファインダー倍率:0.63倍
- 距離計基線長:39.5mm
- 有効基線長:約24.9mm
- 露出計:ファインダー内受光式
- 測光範囲:EV3.5~18
- フィルム感度:ISO25~1600
- 電源:LR44/SR44系電池2個
- サイズ:約147×114×56mm(収納時)
- 奥行:約122mm(展開時)
- 重量:約820g(電池除く)
中判カメラとしては極めて携帯性を意識した設計です。
6×4.5判という中判フォーマット
GS645が使用するのは35mmフィルムではありません。
120または220ロールフィルムを使用し、約56×43mmの画面を記録します。
35mmフィルムの24×36mmと比べると、撮影面積は大幅に大型。
大きなフィルム面積によって、
階調。
細部。
粒状感。
立体感。
などで35mm判とは異なる中判らしい描写を楽しめます。
一方、6×6判や6×7判より1コマが小さいため、120フィルム1本から多く撮影できることも特徴です。
120フィルムなら15枚。
中判としてはかなり撮れます。
なぜ「645」なのか
機種名の「645」は、
6×4.5cm判
を意味します。
実際の画面寸法は厳密な60×45mmではなく約56×43mmですが、中判カメラでは一般に6×4.5判、あるいは645判と呼ばれます。
富士フイルムはその後も、
GS645S。
GS645W。
GA645。
GA645i。
GA645W。
GA645Zi。
など、645判カメラを長期間展開していきます。
GS645は、その系譜の初期を代表するモデルです。
1983年なのに「蛇腹」
GS645最大の特徴は何といっても、
蛇腹です。
蛇腹式フォールディングカメラは1930~1950年代には珍しくありませんでした。
しかし1983年ともなれば、一眼レフや固定鏡筒のレンジファインダーが完全に主流です。
そんな時代に富士フイルムは、
中判を小さくしたい
↓
レンズを収納すればいい
↓
じゃあ蛇腹だ
という、ある意味では古典的な方法を復活させました。
結果として、収納時の奥行はわずか約56mm。
展開時には約122mmになります。
収納すると驚くほど薄い
横幅147mm、高さ114mmなので、35mmコンパクトカメラほど小さいわけではありません。
しかも重量約820g。
持てばそれなりにズッシリしています。
しかし中判カメラとして考えると、収納性はかなり優秀です。
Mamiya RB67やPentax 67などと比較すれば、完全に別世界。
レンズがボディ前面へ大きく突き出したままにならないので、バッグへ収めやすいのが大きな利点です。
「中判を旅行へ持っていきたい。」
という目的に非常に合理的な構造です。
EBC FUJINON S 75mm F3.4
搭載レンズは、
EBC FUJINON S 75mm F3.4。
4群5枚構成です。
交換レンズ式ではありません。
75mm一本勝負です。
645判における75mmは、35mm判換算ではおおむね46mm前後に相当します。
つまり、
ほぼ標準レンズ。
人間の目で見た印象に近い自然な画角で、
街中スナップ。
人物。
旅行。
風景。
日常記録。
など幅広く使えます。
75mmなのに望遠ではない
35mm判カメラに慣れていると、
「75mmなら中望遠じゃないの?」
と思うかもしれません。
しかし焦点距離だけで画角は決まりません。
フィルム面が大きくなれば、同じ焦点距離でも広い範囲が写ります。
35mm判
+75mm
→ 中望遠
645判
+75mm
→ 標準
です。
中判レンズを見るときは、数字だけで35mm判の感覚を当てはめないことが重要です。
EBCコーティング
レンズ名にあるEBCは、
Electron Beam Coating
を意味する富士フイルムの多層コーティング技術です。
レンズ面の不要な反射を抑え、コントラストや色再現を改善するためのコーティングで、FUJINONレンズを象徴する名称のひとつです。
GS645の75mm F3.4も、
EBC FUJINON
を名乗ります。
折り畳み式だからといって、レンズ性能を割り切った簡易カメラではありません。
「Professional」という名前どおり、画質を重視した中判撮影機です。
最短撮影距離は1m
最短撮影距離は1m。
現在の標準レンズと比べれば、それほど寄れるレンズではありません。
料理へ30cmまで近づく。
花を大きく撮る。
という用途には向きません。
一方、人物撮影や街中スナップでは実用的な距離です。
75mm F3.4を開放付近で人物へ使えば、645判の大きなフィルム面を生かした背景ボケも楽しめます。
連動距離計を搭載
GS645は単なる目測式フォールディングカメラではありません。
連動距離計式レンジファインダー
を搭載しています。
ファインダー中央の二重像を見ながら、
被写体を見る。
二重像を合わせる。
一致。
撮影。
というレンジファインダー式のピント合わせができます。
古典的な蛇腹カメラの外観と、1980年代らしい実用的な距離計システムを組み合わせているところがGS645の面白さです。
ファインダー倍率0.63倍
ファインダー倍率は0.63倍。
距離計基線長は39.5mmで、有効基線長は約24.9mmです。
ブライトフレームを備え、近距離ではパララックス補正も行われます。
昔の簡素なフォールディングカメラでは、別窓の小さなファインダーを覗いて構図を決めるものも少なくありません。
GS645はそこをかなり近代化しています。
露出計も内蔵
さらに露出計を内蔵しています。
ただしTTL測光ではありません。
受光素子はファインダー部にあり、レンズを通過した光を測定する方式ではない外部測光です。測光範囲はEV3.5~18、設定可能なフィルム感度はISO25~1600です。
ファインダー内には3点LED表示があります。
適正。
オーバー。
アンダー。
を確認しながら、撮影者自身が絞りとシャッター速度を設定します。
AEではない
露出計があるからといって、絞り優先AEやプログラムAEではありません。
完全マニュアル露出です。
カメラが、
「F8・1/125秒にしておきました!」
とはやってくれません。
測る。
LEDを見る。
シャッター速度を回す。
絞りを回す。
適正表示になったら撮る。
です。
つまり、
露出計は教えてくれる。
決めるのは人間。
プロフェッショナル機らしい考え方です。
電池がなくても撮影できる
露出計には電池を使用します。
しかしシャッターそのものは機械式のCOPAL No.00レンズシャッターです。
そのため露出計を使わなければ、基本的な撮影機構は電池に依存しません。
電池切れ。
↓
内蔵露出計は使えない。
↓
しかし単体露出計や露出計アプリで測る。
↓
撮影続行。
が可能です。
古い電子中判カメラとは大きく異なる安心材料です。
シャッターは1秒~1/500秒+T
シャッターはCOPAL No.00。
速度は、
1秒から1/500秒。
さらに長時間露光用のTがあります。
TはBとは少し操作が違います。
Tを選んで開放操作するとシャッターが開いた状態になり、再度操作するまで開き続けます。
夜景。
星景。
長時間露光。
などで便利です。
レンズシャッターなので静か
GS645ではカメラボディ内の大きなフォーカルプレーンシャッターではなく、レンズ内部のリーフシャッターを使用します。
中判一眼レフのような巨大なミラーもありません。
そのため、
シャッター音が小さい。
これは街中でスナップ撮影する場合に大きなメリットです。
大型中判一眼レフの、
ガシャコン!
とは違います。
蛇腹を開いて、距離計で合わせて、
チッ。
中判なのに撮影動作はかなり控えめです。
フラッシュ同調にも強い
レンズシャッターはシャッター羽根全体がほぼ同時に開くため、フラッシュ撮影との相性にも優れます。
GS645もXシンクロに対応します。
フォーカルプレーンシャッター機のように、
「1/60秒以下じゃないと全面へ同調しない」
といった制約を受けにくいのがレンズシャッターの長所です。
日中シンクロなどにも利用しやすい構造です。
フィルム送りでシャッターもチャージ
GS645ではフィルム巻き上げレバーを操作すると、フィルム送りと同時にシャッターもチャージされます。
つまり、
撮影。
↓
レバーを巻く。
↓
次のコマへ送る。
↓
シャッターも準備完了。
です。
古典的なフォールディングカメラでは、フィルム送りとシャッターチャージを別々に操作するものもあります。
GS645ではそこもしっかり近代化されています。
120なら15枚撮影できる
120フィルム使用時は15枚。
220なら30枚撮影できます。
6×6判なら通常12枚。
6×7判なら10枚程度。
それに対し645判は15枚。
「中判の画質は欲しい。でも1本10枚では少ない」
という人には合理的です。
フィルム価格や現像代が高い現在では、この1本15枚という効率も無視できません。
縦位置が標準
GS645を初めて覗いて、
「ん? 縦?」
となるかもしれません。
通常の構え方では、645判のフレームが縦位置になります。GS645シリーズはこの縦構図を基本とするファインダー設計です。
つまり、
普通に構える
→ ポートレート方向
横写真を撮る
→ カメラを90度回す
です。
35mmカメラとは感覚が逆。
慣れるまでは少し不思議です。
実は人物撮影と相性がいい
しかし縦位置が基本というのは、人物撮影ではむしろ便利です。
人を撮る。
↓
そのまま構える。
↓
縦位置。
SNS時代なら縦写真は珍しくありませんが、1983年からデフォルト縦位置です。
GS645、
時代を40年先取りしていた……
わけではありませんが、ポートレート撮影では合理的です。
閉じ方には絶対注意
GS645を使ううえで非常に重要なのが、
折り畳む手順。
です。
このカメラは何も考えずに前蓋を押し込んではいけません。
資料では、収納時にはまずフォーカスを無限遠位置へ戻し、シャッターがチャージされた状態にしてからロックを解除して閉じるよう説明されています。
ここを無視して、
「閉まらんな。えい!」
と押し込むのは危険です。
内部機構を損傷する可能性があります。
GS645を入手したら、撮影より先に、
正しい開閉方法
を覚えたほうがよいでしょう。
力ずくで閉めてはいけない
これは中古チェックでも重要です。
正常な手順を踏んでいるのに、
引っ掛かる。
異常に重い。
最後まで閉まらない。
という場合、
絶対に力で押し込まない。
過去に誤った方法で閉じられた個体では、内部のシャッターチャージ機構やワイヤーなどが損傷している可能性があります。
実際にユーザー修理例でも、折り畳み機構とシャッターチャージ系のトラブルが報告されています。
最大の弱点は蛇腹
そして中古GS645で最大の注意点。
蛇腹です。
GS645は発売からすでに40年以上経過しています。
蛇腹素材が劣化すると、小さなピンホールが発生します。
見た目では、
「きれい!」
でも、
フィルムを入れる。
↓
撮影する。
↓
現像。
↓
謎の光線が入っている。
となることがあります。
GS645では蛇腹の光漏れが中古個体で頻繁に報告される代表的な故障ポイントです。
蛇腹チェックは暗室で行いたい
中古確認ではレンズを展開し、蛇腹を完全に伸ばします。
可能なら暗い室内でボディ内部から強いライトを当て、外側から小さな光が漏れていないか確認します。
逆方向から照らして確認する方法もあります。
重要なのは、
蛇腹を畳んだ状態だけ見ないこと。
です。
ピンホールは蛇腹を伸ばしたときに開く場合があります。
四隅や折り目は特に要注意です。
蛇腹交換済み個体には価値がある
GS645では蛇腹が弱点として知られているため、過去に新品蛇腹へ交換されている個体があります。
きちんとした修理店による交換歴が確認でき、
実写で光漏れなし。
なら大きな安心材料です。
逆に、
「テープで補修済み」
だけでは状態を慎重に確認したほうがよいでしょう。
簡易補修でも使える場合はありますが、何か所にも新しい穴が発生するほど素材全体が劣化している可能性があります。
レンズシャッターの粘りにも注意
COPALシャッターも40年以上前の機械です。
中古では、
1秒。
1/2秒。
1/4秒。
などの低速シャッターを特に確認します。
正常なら速度に応じて明確に作動時間が変わります。
すべて同じような速度。
シャッターが開かない。
押してから遅れて切れる。
という場合は整備が必要です。
GS645ユーザーからも粘るシャッターや作動不良の報告があります。
距離計も要チェック
レンジファインダーなので、
二重像が正確に一致するか
も重要です。
遠くの建物や電柱を利用し、無限遠で二重像が一致するか確認します。
上下にズレる。
無限遠で横へズレる。
二重像そのものが薄い。
という個体ではピント合わせが難しくなります。
特に75mm F3.4を開放付近で人物撮影する場合、距離計精度は重要です。
内蔵露出計は便利だが必須ではない
中古では露出計不動の個体もあり得ます。
しかしGS645の場合、
露出計故障=カメラ死亡
ではありません。
シャッターは機械式だからです。
単体露出計やスマートフォンアプリで露出を測れば、そのまま撮影できます。
したがって、
光学系良好。
蛇腹交換済み。
シャッター正常。
距離計正常。
でも露出計だけ不動。
という個体なら、使い方によっては十分選択肢になります。
GS645Sとは別物
中古市場で非常に重要なのが、
GS645
と
GS645S
の違いです。
名前はほぼ同じ。
しかし外観は全然違います。
GS645 Professional
→ 75mm F3.4
→ 蛇腹式
→ 折り畳み可能
→ レンジファインダー
GS645S Professional Wide60
→ 60mm F4
→ 固定鏡筒
→ 折り畳まない
→ レンジファインダー
です。
GS645Sにはレンズ周囲を囲う特徴的な保護バーがあります。
その姿から一目で区別できます。
「S」は75mm蛇腹機ではない
ネット上ではときどき、
「GS645S=蛇腹75mm」
のように混同されている例があります。
しかし正式には、
GS645 Professional=75mm F3.4蛇腹
GS645S Professional Wide60=60mm F4固定鏡筒
です。
中古商品タイトルだけで判断せず、レンズ表記と外観を確認しましょう。
GS645Wはさらに別物
もうひとつ兄弟機として、
GS645W Professional
があります。
こちらは45mm F5.6という広角レンズを搭載。
しかもGS645/GS645Sと違い、
距離計がありません。
目測によるスケールフォーカスです。
整理すると、
GS645
→ 75mm F3.4/蛇腹/距離計
GS645S
→ 60mm F4/固定鏡筒/距離計
GS645W
→ 45mm F5.6/固定鏡筒/目測
です。
同じGS645ファミリーでも性格はかなり違います。
後のGA645へつながっていく
GS645シリーズで追求された、
「持ち歩ける645判カメラ」
という思想はその後も富士フイルムへ受け継がれます。
1990年代には、
FUJIFILM GA645 Professional
シリーズが登場。
こちらではオートフォーカス、自動露出、自動フィルム送りなど大幅な電子化が行われます。
GS645が、
機械式・MF・手動露出
なら、
GA645は、
AF・AE・電子化
へ進んだ後継世代です。
それでも「大きな中判一眼レフではなく、気軽に持ち歩ける645」という基本思想は共通しています。
さらに現代のGF670にも通じる
富士フイルムはさらに後年、
FUJIFILM GF670 Professional
という蛇腹式中判レンジファインダーまで発売します。
6×6/6×7判を切り替えられる、折り畳み式レンジファインダーです。
つまり1983年のGS645で採用した、
「中判を小さくしたいなら、レンズを畳めばいい」
という考え方は、一度きりの珍アイデアではありませんでした。
21世紀になっても再登場します。
蛇腹、
しぶとい。
中判一眼レフとは撮影感覚が違う
GS645をMamiya 645やPentax 645と同じ感覚で考えると少し違います。
レンズ交換不可。
TTLファインダーではない。
一眼レフでもない。
しかし、
小さい。
静か。
軽快。
ミラーショックなし。
75mm一本だけなので迷わない。
というメリットがあります。
中判一眼レフが、
「システムカメラ」
なら、GS645は、
「持ち歩く中判カメラ」
です。
旅行カメラとして非常に合理的
旅行へ大型中判カメラを持っていくと、
ボディ。
レンズ。
予備レンズ。
ファインダー。
フィルムバック。
三脚。
と荷物が増えていきます。
GS645なら、
カメラ。
フィルム。
露出計用予備電池。
基本的にはこれだけ。
レンズ交換できないことが、逆に荷物を増やさないメリットになります。
実際、現在のユーザー評価でも携帯性の高さと75mmレンズの画質はGS645の大きな魅力として挙げられています。
「Professional」の名は伊達ではない
折り畳みカメラ。
蛇腹。
という言葉だけ聞くと、クラシックな趣味用カメラのように思えます。
しかしGS645は、
EBC FUJINON。
連動距離計。
内蔵露出計。
120/220対応。
セルフコッキング。
パララックス補正ファインダー。
1/500秒COPALシャッター。
と、1980年代の実用品として設計されています。
懐古趣味で蛇腹にしたわけではありません。
小型化するための手段として蛇腹を採用した。
ここが重要です。
中古で確認したいポイント
現在GS645を購入するなら、外観の美しさ以上に機構の状態が重要です。
最優先は蛇腹。
次にシャッター。
距離計。
フォールディング機構。
フィルム巻き上げ。
露出計。
レンズ。
という順番で確認したいところです。
特に、
蛇腹に穴がない。
正しい手順でスムーズに開閉できる。
この2点はGS645特有の重要チェックポイントです。
レンズ状態ももちろん重要
EBC FUJINON 75mm F3.4はカメラ固定式です。
交換できません。
したがって、
カビ。
クモリ。
バルサム劣化。
拭き傷。
コーティング傷。
がひどい場合、
「あとで別のレンズを買えばいい」
とはいきません。
ボディとレンズが一体なので、光学系の状態はカメラそのものの価値へ直結します。
120/220切り替えも確認
GS645は120と220の両方へ対応しており、圧板も切り替える構造です。
現在は220フィルムの選択肢が非常に限られるため、多くの場合は120を使用することになるでしょう。
中古個体では圧板がきちんと120側になっているか確認してからフィルムを装填します。
過去のユーザーが220設定のまま保管している可能性もあります。
現代でもGS645を選ぶ意味
現在ならデジタル中判カメラがあります。
35mmフィルム機より高画質なフルサイズデジタルもあります。
それでもGS645には、別の面白さがあります。
120フィルムを入れる。
蛇腹を開く。
距離計でピントを合わせる。
露出を測る。
絞りとシャッターを決める。
シャッターを切る。
レバーを巻く。
15枚。
そして撮り終わったら蛇腹を畳む。
写真を撮る行為そのものが機械操作として残っています。
しかも完成するのは大きな645判ネガ。
小さなカメラから大きなフィルムが出てくる。
これがGS645最大の魅力でしょう。
まとめ
FUJICA GS645 Professionalは、富士写真フイルムが1983年3月に発売した6×4.5判中判レンジファインダーカメラです。
EBC FUJINON S 75mm F3.4を固定装備し、
120フィルムで15枚。
220フィルムで30枚。
連動距離計。
内蔵露出計。
1秒~1/500秒+Tの機械式レンズシャッター。
そして何より、
蛇腹式フォールディング機構
を採用しています。
1983年という時代に蛇腹。
一見すると時代を逆行したように見えます。
しかし目的は懐古趣味ではありません。
中判カメラ最大の弱点、
「デカい」
を解決するためです。
レンズを畳めば、収納時の厚さは約56mm。
それでいて中身は約56×43mmの645判。
75mm F3.4のEBC FUJINON。
連動距離計。
露出計。
完全機械式シャッター。
かなり本気です。
一方、現在中古で購入するなら蛇腹のピンホールには特に注意が必要です。
また収納するときにはフォーカスを無限遠へ戻し、正しい手順で畳むことも重要。
「閉まらないから押し込む」は絶対NG。
そこさえ理解すれば、GS645は現在でも非常に魅力的な実写中判カメラです。
大きなフィルムを使いたい。
でも巨大な中判一眼レフは持ち歩きたくない。
そんな要求に対して富士フイルムが出した答えは、
「じゃあ中判を折り畳もう。」
でした。
FUJICA GS645 Professionalは、古典的な蛇腹機構と1980年代の実用技術を融合させた、まさに“ポケットには入らないが、バッグには入れたくなる中判カメラ”です。









