HOLGA 135は、トイカメラの代名詞ともいえるHOLGAシリーズを35mmフィルムへ対応させたコンパクトフィルムカメラです。
オリジナルのHOLGAは120フィルムを使用する中判カメラとして1980年代初頭に登場しました。
プラスチック製ボディ。
プラスチックレンズ。
簡素なシャッター。
大雑把なゾーンフォーカス。
周辺光量低下。
甘い描写。
場合によっては光漏れ。
通常のカメラなら「直したい欠点」とされそうな要素が、HOLGAでは独特な写真表現として受け入れられていきました。
HOLGA 135は、そのHOLGAらしい撮影体験を、より一般的な35mmフィルムで楽しめるようにしたモデルです。
HOLGA 135とは
HOLGA 135は35mmフィルムを使用する完全マニュアル式のトイカメラです。
主要な仕様は次のようになります。
- 使用フィルム:35mmフィルム
- 画面サイズ:24×36mm
- レンズ:約47mm
- レンズ素材:プラスチック
- 開放絞り:約F8
- 絞り:約F8/F11
- ピント合わせ:4段階ゾーンフォーカス
- シャッター:通常撮影+B
- 通常シャッター速度:約1/100~1/125秒
- 露出計:なし
- フィルム送り:手動
- フィルム巻き戻し:手動
- フラッシュ:ホットシュー対応
- 三脚穴:あり
- ケーブルレリーズ:対応
- 多重露光:可能
- 電源:基本撮影には不要
HOLGA 135については資料によって通常シャッター速度を約1/100秒とするものと1/125秒とするものがあります。
Camera-wikiでは1/100秒、Lomographyの135BC資料では1/125秒とされています。トイカメラであることも考えると、厳密な高速精度を求めるタイプのシャッターではなく、実用上は「およそ1/100~1/125秒程度」と理解しておくのが安全でしょう。
発売時期には資料差がある
HOLGA 135の登場時期についても資料に少し違いがあります。
Camera-wikiでは2005年ごろ。
一方、Lomographyの資料では35mm需要へ対応するため2007年に発売されたと説明されています。
また2007年11月には、日本のPowerShovelによるHOLGA 135発売時の記録も確認できます。
したがって厳密な世界初出時期については資料差がありますが、
2000年代半ばにHOLGAシリーズの35mm版として登場した
と考えるのがよいでしょう。
そもそもHOLGAとは
HOLGAの始まりは1982年。
もともとは安価な120フィルム用カメラとして登場しました。
高級カメラではありません。
むしろ、
安く簡単に写真を撮る。
ことを目的とした大衆向けカメラでした。
ところが、その低コスト設計から生まれた、
- 甘いレンズ
- 周辺光量低下
- フレア
- 光漏れ
- 個体差
などが、後に欧米を中心とする写真家やロモグラフィー愛好家から面白い表現として評価されます。
完璧な写真を撮るカメラではなく、
「何が写るか完全には分からないカメラ」
として人気になったわけです。
HOLGA 135は35mmフィルムを使う
オリジナルHOLGA最大の違いはフィルムです。
HOLGA 120系
→ 120ロールフィルム
HOLGA 135
→ 35mmフィルム
です。
35mmフィルムなら一般的なフィルム一眼レフやコンパクトカメラと同じ規格です。
通常の現像所へ持ち込めます。
フィルム装填方法も一般的な35mmカメラに近く、120フィルムの裏紙や巻き取りスプールを扱う必要がありません。
HOLGAを試してみたいけれど、
「120フィルムはちょっと面倒」
という人にとって135は入りやすいモデルです。
47mmのプラスチックレンズ
搭載されているのは約47mmのプラスチックレンズ。
35mm判では標準域に近い焦点距離です。
47mmなら、
- 街中スナップ
- 人物
- 旅行
- 日常写真
- 風景
- 静物
など幅広く撮影できます。
極端な広角でも望遠でもありません。
HOLGA 135を首からぶら下げて街を歩き、
気になったものへカメラを向けて、
パシャ。
という撮影に向いています。
ガラスではなくプラスチック
ここがHOLGA。
高性能な光学ガラスを大量投入して、
非球面。
ED。
特殊低分散。
ナノコーティング。
などを駆使するカメラではありません。
プラスチックレンズです。
LomographyもHOLGAの特徴として、プラスチックレンズによる柔らかな描写を挙げています。
そのため、
画面中心は比較的写る。
周辺へ行くほど甘くなる。
フレアが出る。
コントラストが独特。
といった描写になります。
「シャープじゃない!」は褒め言葉
HOLGAを買って、
「周辺が甘い!」
「なんかモヤッとしている!」
「現代レンズみたいに解像しない!」
となっても――。
正常です。
むしろそれを楽しむカメラです。
高解像度を最優先するなら、HOLGAを選ぶ理由はほとんどありません。
HOLGAで欲しいのは、
正確さではなく雰囲気。
です。
ピントは4段階ゾーンフォーカス
オートフォーカスはありません。
レンジファインダーもありません。
距離計もありません。
レンズを回し、被写体までのおおよその距離を選びます。
代表的には、
- 1人
- 小グループ
- 大グループ
- 山/遠景
のような絵文字で表現された4段階です。
Camera-wikiでは目安として約1m、2m、6m、10m以上と説明されています。
つまり、
「あの人までだいたい2m!」
↓
人マーク。
↓
撮る。
です。
ピントを「正確に合わせる」という思想ではない
一眼レフならファインダー像。
レンジファインダーなら二重像。
デジタルなら拡大表示。
HOLGA 135にはありません。
距離を読む。
リングを合わせる。
撮る。
終わりです。
少しくらいズレても気にしない。
もともとプラスチックレンズです。
このおおらかさがHOLGAです。
絞りは「晴れ」と「曇り」
絞り選択も非常にHOLGAらしいものです。
細かなF値ダイヤルではなく、
晴れマーク
と
曇りマーク
のような簡単な表示。
135系では一般に、
晴れ
→ F11
曇り
→ F8
とされています。
現在のカメラなら、
F8.0
F9.0
F10
F11
と1/3段単位で制御できます。
HOLGAは、
晴れてる?
曇ってる?
です。
シャッター速度もほぼ一択
通常撮影では約1/100~1/125秒程度。
基本的にそれだけです。
高速1/1000秒。
低速1/15秒。
絞り優先AE。
プログラムAE。
ありません。
光量への対応は、
フィルム感度。
F8/F11。
天候。
これらで大まかに調整します。
だからフィルム選びが重要
シャッター速度を自由に変更できないため、フィルム感度が非常に重要になります。
晴天の屋外ならISO100~200。
幅広い条件で使うならISO400。
曇天や夕方まで考えるなら高感度フィルム。
というように、撮影する環境を考えてフィルムを選びます。
現在なら撮影中に、
ISO100
↓
ISO1600
と変更できます。
フィルムはできません。
ましてHOLGAはシャッター速度も変えられません。
撮る前から勝負は始まっています。
Bモードもある
通常シャッターだけでなく、
B(Bulb)
モードもあります。
Bではシャッターを押している間、露光を続けられます。
夜景。
光跡。
暗い室内。
長時間露光。
などに利用できます。
しかもHOLGA 135には三脚穴とケーブルレリーズ用ソケットも備わります。
単純なトイカメラなのに、
長時間露光の準備だけ妙にちゃんとしている。
ここが面白いところです。
多重露光が簡単
HOLGA 135の重要な遊びが、
多重露光。
です。
フィルム送りとシャッターが強制的に連動していないため、
撮影。
↓
巻かない。
↓
もう一度撮影。
とすれば、同じコマへ複数回露光できます。135BCの資料でもこの構造による多重露光機能が紹介されています。
人物。
↓
空。
↓
看板。
のように重ねれば、現実には存在しない写真をフィルム上で直接作れます。
もちろん事故の二重露光も起こる
便利な多重露光機構ですが、
撮影。
↓
巻いたか忘れる。
↓
もう一度撮る。
↓
意図しない二重露光。
も普通に起こります。
カメラは、
「さっき撮りましたよ」
とは教えてくれません。
失敗なのか作品なのか。
現像してから考えましょう。
それがHOLGAです。
ホットシューを搭載
HOLGA 135には標準的なホットシューがあります。
通常版135には基本的に内蔵フラッシュがないため、暗所でフラッシュ撮影したい場合は外付けフラッシュを装着します。
高級TTL調光システムではありません。
シンプルな接点による発光です。
古典的なマニュアルフラッシュ撮影になります。
電池不要
通常版HOLGA 135では撮影そのものに電池を必要としません。
露出計なし。
AFなし。
電子シャッターなし。
液晶なし。
モーター巻き上げなし。
つまり、
電池切れという概念がほぼありません。
フィルムと光があれば撮れます。
ただし露出計もない
当然ながらHOLGA自身は明るさを測りません。
撮影者が、
晴天。
曇天。
室内。
などを判断します。
必要ならスマートフォンの露出計アプリを使ってもよいでしょう。
ただし測った結果、
「1/250秒 F5.6が適正です」
と言われても――。
HOLGA側にありません。
そこから、
まあF8・1/100秒くらいで行くか!
と判断するカメラです。
HOLGA 135とHOLGA 135BCの違い
中古市場では非常に重要です。
HOLGA 135
と
HOLGA 135BC
は別仕様です。
基本的なカメラ部分は非常によく似ています。
しかしBCにはフィルム直前に専用マスクが設けられ、意図的に強い周辺減光を発生させます。
BCは、
Black Corner
の略です。
つまり、
HOLGA 135
→ 通常版
HOLGA 135BC
→ 四隅をより強く暗くする版
です。
BCの周辺減光は「レンズだけ」で作っているわけではない
ここも重要です。
135BCの強烈な黒い四隅を見ると、
「プラスチックレンズの性能が悪くて暗くなった」
と思うかもしれません。
しかしBCでは、
内部マスクによって意図的にBlack Corner効果を強めています。
通常のHOLGA 135でもレンズ由来の周辺描写の変化はありますが、BCはそれをさらに強調する仕組みです。
通常135のほうが自然
したがって、
「HOLGAの柔らかな描写は欲しい。でも四隅が真っ黒なのはやりすぎ。」
という人なら通常版135が向いています。
一方、
「どうせHOLGAなら盛大にやってくれ!」
という人なら135BC。
どちらが上という関係ではありません。
描写の好みです。
元祖HOLGA 120との違い
当然ながらオリジナル120系とも違います。
最大の違いはフィルムサイズ。
120系は中判。
135は35mm判です。
そのため120版では大きなネガを得られ、HOLGA特有の周辺描写や光量低下も画面全体へより強烈に現れる傾向があります。
一方135は、
- フィルムが扱いやすい
- 撮影枚数が多い
- 現像を頼みやすい
- ボディが小さい
というメリットがあります。
Lomographyも135をクラシックHOLGAの小型35mm版として紹介しています。
35mmだから撮影枚数が多い
一般的な35mmフィルムなら、
24枚。
36枚。
と撮影できます。
120版HOLGAで6×6判撮影なら1本12枚程度。
つまり135なら、
失敗するチャンスも増える。
いや、
実験するチャンスが増える。
と言い換えましょう。
多重露光。
逆光。
長時間露光。
意図的なブレ。
いろいろ試せます。
光漏れまで作品になる?
HOLGAといえば、
Light Leak=光漏れ
も有名です。
個体や状態によってはボディの隙間などからフィルムへ光が入り、赤や白の帯のような写り込みが発生することがあります。
普通のカメラなら故障です。
HOLGAユーザーの中には、それすら偶然の表現として楽しむ人もいます。
とはいえ、
「HOLGAだから光漏れしなければならない」
わけではありません。
安定した結果が欲しければ遮光するのも正解です。
黒テープはHOLGA用品
光漏れを抑えたい場合、
裏蓋周辺。
フィルム窓周辺。
接合部。
などを黒いテープで塞ぐ方法が知られています。HOLGA系ではこうしたDIY的な使い方も長く行われてきました。
高級カメラなら、
「テープ貼らなきゃ光漏れするなんて不良品だ!」
です。
HOLGAでは、
「黒テープ持った?」
です。
文化が違います。
ファインダーも厳密ではない
HOLGA 135はシンプルな光学ファインダーを備えています。
しかし一眼レフのように撮影レンズを通した像を見るわけではありません。
近距離ではパララックスも発生します。
さらに高級レンジファインダーのような精密なブライトフレーム補正もありません。
ファインダーは、
「だいたいこの辺が写る」
ものです。
厳密な構図を1mm単位で作るカメラではありません。
HOLGAでは「個体差」も味になる
通常の高級レンズなら、
A個体。
B個体。
C個体。
すべて同じ性能であることが理想です。
HOLGAの場合、
Aはかなりシャープ。
Bは周辺が激しく流れる。
Cはフレアが強い。
Dは光漏れ。
のような差が出ることがあります。
この個体差まで、
「自分のHOLGAのキャラクター」
として楽しまれてきました。
しかし中古では故障との区別が必要
だからといって、
何でもかんでも、
「HOLGAだから仕様!」
ではありません。
中古では最低限、
- シャッターが切れる
- Bモードが動く
- フィルム送りができる
- 巻き戻しができる
- 裏蓋が閉まる
- レンズが脱落していない
- フォーカスリングが回る
- ホットシューが破損していない
ことは確認したいところです。
特にフィルム送り機構を確認
HOLGA 135では35mmフィルムをサムホイールで送ります。裏蓋を開けるとフィルムカウンターがリセットされる構造です。
中古では、
巻き上げノブが空回りする。
スプロケットが回らない。
巻き戻しができない。
カウンターが動かない。
といった症状がないか確認します。
プラスチック製部品が多いので、無理な力を加えるのは禁物です。
シャッター確認は簡単
裏蓋を開けた状態で明るい方向へ向け、
通常モード。
↓
シャッター。
次に、
Bモード。
↓
シャッターを押し続ける。
と確認できます。
通常では瞬間的に開き、Bでは押している間シャッターが開いていることを確認します。
非常に原始的ですが、そのぶん動作確認も分かりやすいカメラです。
絞り切り替えもチェック
晴れ/曇りスイッチを動かして、絞り開口が実際に変化するか確認しましょう。
通常はF8とF11相当の2段階です。
古い個体や改造個体では、絞り板が欠損していたり正常に動かない可能性もあります。
プラスチックレンズだからカビない?
そんなことはありません。
レンズ自体がプラスチックでも、
汚れ。
傷。
ホコリ。
カビ状の付着。
などは発生します。
ただし高級レンズのように、
「微細なコーティング傷で価値が数万円落ちる!」
という世界とは少し違います。
HOLGAでは、むしろ実写して自分が好きな描写か確認するほうが重要です。
傷だらけでも写りが気に入れば勝ち
HOLGAの評価基準は独特です。
外装極上。
箱付き。
無傷。
だから最高。
とは限りません。
ボロボロ。
テープだらけ。
でも、
「この個体の写り、めちゃくちゃ好き。」
なら、それが当たりです。
普通の中古カメラとは価値観が逆転します。
高性能フィルムを入れるのも面白い
HOLGAだから安いフィルムしか使ってはいけないわけではありません。
高解像度のモノクロフィルム。
鮮やかなカラーネガ。
リバーサルフィルム。
期限切れフィルム。
何を入れても構いません。
むしろ、
高性能なフィルム+低精度プラスチックレンズ
というアンバランスな組み合わせが面白い場合もあります。
リバーサルは難易度が高い
ただしリバーサルフィルムは露出許容度が狭いため、露出制御が大まかなHOLGAとは難しい組み合わせです。
カラーネガなら多少の露出ズレを吸収しやすいため、最初に試すなら比較的扱いやすいでしょう。
特にISO400クラスなら天候変化にもある程度対応できます。
晴天でISO400は明るすぎる場合も
ただし、
1/100~1/125秒。
F11。
ISO400。
という組み合わせでは、真夏の快晴などでは露出オーバーになることがあります。
逆に暗い曇天ではF8でも不足することがあります。
HOLGAにはAEがないので、
フィルム選び+天候読み
が重要です。
それもゲーム性の一部です。
長時間露光はHOLGAと相性がいい
正確な露出が難しいなら、
いっそBモードで遊ぶ。
という方法もあります。
夜の道路。
ネオン。
遊園地。
車のテールランプ。
ペンライト。
数秒から数十秒露光すると、通常撮影とはまったく違う世界になります。
三脚穴とケーブルレリーズが使えるため、この手の実験撮影は意外とやりやすいカメラです。
多重露光+Bモードでカオスへ
さらに、
長時間露光。
↓
巻かない。
↓
別の場所でもう一度露光。
という撮影も可能。
どこまで写るのか。
何が消えるのか。
どこが重なるのか。
予想不能です。
HOLGA本領発揮。
トイカメラだが「子ども用」という意味ではない
トイカメラという言葉から、
「おもちゃ=子ども用」
と考えるのは少し違います。
HOLGAは構造的には非常に簡素なカメラですが、その予測不能な描写を利用した写真作品は世界中で制作されてきました。
高価なカメラで精密に再現する写真とは正反対に、
機材の不完全さを写真表現へ取り込む
ための道具です。
「失敗写真」を減らすカメラではない
現代のカメラは、
手ブレ補正。
瞳AF。
被写体認識。
HDR。
自動露出。
高感度。
など、
失敗を減らす方向
へ進化しています。
HOLGAは違います。
ピント外れ。
露出ズレ。
光漏れ。
フレア。
周辺落ち。
多重露光。
全部起こり得ます。
しかし、
その失敗の中から面白い一枚が出てくる。
それを楽しむカメラです。
スマートフォンのフィルターとは違う
現在ならスマートフォンで、
ヴィンテージ。
フィルム。
ライトリーク。
ビネット。
などのフィルターをワンタップでかけられます。
しかしHOLGAでは、
本当に光がレンズを通り。
本当にフィルムへ当たり。
現像するまで結果が分からない。
偶然性も含めて物理的に発生します。
同じような見た目になっても、
撮影体験そのものが違う。
これがアナログトイカメラの魅力です。
HOLGA 135BCを買うときは型番確認
中古販売では、
「HOLGA 135」
とだけ書かれているのに、写真を見ると135BCだったというケースも考えられます。
BCならボディ表記を確認。
さらに裏側の内部マスクを見ることで判別できます。
通常135と135BCでは、基本的な操作は同じでも写真の四隅の出方が異なります。
135系にはさらに派生モデルがある
HOLGA 135系には通常135と135BC以外にも、時期によってピンホール、TLR風、フラッシュ搭載型などさまざまな派生モデルが存在します。LomographyもHOLGAファミリーとして135 Pinholeや135 TLR系を紹介しています。
そのため中古購入では、
「HOLGA 135シリーズだから全部同じ」
とは考えないほうが安全です。
実物の型番と機能を確認しましょう。
HOLGA 135は初心者向けなのか
操作そのものは簡単です。
しかし、
写真を確実に成功させる
という意味では初心者向けとは言い切れません。
露出計なし。
AFなし。
距離は目測。
シャッター速度ほぼ固定。
です。
逆に、
「多少失敗してもいいからフィルムで遊びたい」
という初心者には非常に面白いカメラです。
設定項目が少ないので、理屈より先に撮れます。
中古で確認したいポイント
HOLGA 135を中古で購入する場合は、
- 通常版か135BCか
- シャッター動作
- Bモード
- 絞り切り替え
- フォーカスリング
- フィルム送り
- 巻き戻し
- カウンター
- 裏蓋ロック
- ホットシュー
- 三脚穴
- ケーブルレリーズ穴
- レンズの傷や汚れ
- ボディの割れ
などを確認しましょう。
精密カメラほど複雑な故障診断は必要ありません。
しかしプラスチック部品の破損には注意が必要です。
ボディ割れには注意
軽いカメラですが、その理由はプラスチックを多用しているからです。
中古では、
ヒンジ。
裏蓋。
巻き上げ部。
ストラップ取り付け部。
三脚穴周辺。
などに割れがないか確認しましょう。
高級金属カメラのように、
「落としても相手の床が負ける」
タイプではありません。
HOLGA側が負けます。
光漏れは「欲しいかどうか」で判断する
中古個体で光漏れがある場合、
通常のカメラならマイナスです。
HOLGAでは判断が分かれます。
意図的に楽しむ
→ そのまま
邪魔
→ 黒テープなどで遮光
です。
重要なのは、
偶然を楽しむのか、ある程度コントロールするのか。
HOLGAはユーザー側でその境界を決められます。
現代でHOLGA 135を使う意味
スマートフォンなら、HOLGA風の加工は数秒でできます。
それでもHOLGA 135を使う意味があります。
35mmフィルムを入れる。
フィルムを巻く。
距離を考える。
天気を見る。
晴れ/曇りを選ぶ。
シャッターを押す。
巻く。
時には巻かずにもう一度押す。
36枚撮る。
現像へ出す。
そして数日後、
「なんじゃこりゃ!」
が出てくる。
その予測不能さまで含めてHOLGAです。
まとめ
HOLGA 135は、伝説的な120フィルム用トイカメラHOLGAの思想を、35mmフィルムへ持ち込んだコンパクトカメラです。
基本仕様は極めてシンプル。
47mmのプラスチックレンズ。
F8/F11程度の2段階絞り。
約1/100~1/125秒程度の通常シャッター。
Bモード。
4段階ゾーンフォーカス。
手動巻き上げ。
露出計なし。
電池不要。
ホットシュー。
多重露光対応。
三脚・ケーブルレリーズ対応。
です。
通常のカメラなら、
もっとシャープに。
もっと正確に。
もっと速く。
もっと失敗しないように。
と進化します。
HOLGAはその正反対です。
甘い。
大雑把。
不確実。
個体差もある。
でも、
だから面白い。
また中古でよく見かけるHOLGA 135BCとは区別が必要です。
BCは「Black Corner」の略で、内部マスクによって四隅の暗さを意図的に強調したモデル。
通常版HOLGA 135には、その専用Black Cornerマスクがありません。
高性能なフィルムカメラを探しているなら、HOLGA 135は答えではありません。
正確なピント。
正確な露出。
均一な画質。
を求めるカメラでもありません。
しかし、
「自分で全部コントロールできない写真を撮ってみたい」
なら話は別です。
写真が上手に撮れるかではなく、
どんな写真が出てくるのかを楽しむ。
HOLGA 135は、35mmフィルムという扱いやすいフォーマットで、そんなトイカメラ文化の核心を味わえる一台です。









