CANON EF 80-200mm F4.5-5.6は、キヤノンが1990年に発売した35mm一眼レフ用の望遠ズームレンズです。
焦点距離80~200mmをカバーしながら、重量はわずか275g。
全長も77.8mmしかなく、フィルター径は52mm。
大きく重くなりがちな望遠ズームを、できるだけ小さく、軽く、手頃な価格で使えるようにしたEFマウント初期の普及型レンズです。
高性能なLレンズでもありません。
USMもありません。
手ブレ補正もありません。
しかし、
「80~200mmの望遠を275gで持ち歩く」
という一点は、発売から長い年月が経過した現在でもなかなか魅力的です。
CANON EF 80-200mm F4.5-5.6とは
EF 80-200mm F4.5-5.6は1990年11月に発売されました。
発売当時の価格は32,800円。
キヤノン公式「キヤノンカメラミュージアム」で確認できる主な仕様は次のとおりです。
- 焦点距離:80~200mm
- 開放F値:F4.5~F5.6
- レンズ構成:7群10枚
- 絞り羽根:5枚
- 最小絞り:F29
- 最短撮影距離:1.5m
- 最大撮影倍率:0.16倍
- フィルター径:52mm
- 最大径:約71.2mm
- 全長:約77.8mm
- 重量:約275g
- マウント:キヤノンEFマウント
- オートフォーカス対応
- 手ブレ補正:なし
- USM:なし
現在見ると、特に目を引くのはやはりサイズと重量です。
200mmまで使えて275g。
望遠ズームとしてはかなり軽量です。
80~200mmは王道の望遠ズーム域
35mm判における80~200mmは、古くから定番の望遠ズーム域です。
80mm側なら、
- ポートレート
- 子ども
- ペット
- スナップ
- 少し離れた人物
200mm側なら、
- スポーツ
- 鉄道
- 動物
- 遠景
- 舞台
- 圧縮効果を生かした風景
などに使えます。
現在では「70-200mm」が標準的なレンジになっていますが、それ以前は80-200mmというスペックも非常に一般的でした。
キヤノン自身もFD時代から80-200mmズームを展開しており、1976年にはFD80-200mm F4 S.S.C.、1979年にはNew FD80-200mm F4を発売しています。
つまり80-200mmというレンジは、EF時代になって突然登場したものではありません。
EFマウント用レンズ
このレンズは名前どおり、
EFマウント
です。
キヤノンは1987年からEOSシステムとEFレンズを展開しました。キヤノンカメラミュージアムでもEFレンズシリーズは1987年開始として整理されています。
それ以前のFD/New FDとは互換性のない、新しい完全電子式マウントでした。
したがって、
FD80-200mm
≠ EF80-200mm
です。
名前や焦点距離が似ていてもマウントは別。
FDレンズをEOSへそのまま取り付けることはできません。
絞りリングがない
EFレンズなので、昔のFDレンズのような機械式絞りリングはありません。
絞りはカメラボディから電子的に制御されます。
これは現在では当たり前ですが、1980年代後半のキヤノンにとっては大きなシステム転換でした。
レンズとボディの情報交換を電子接点へ移し、
フォーカス駆動。
絞り制御。
レンズ情報。
などを新しいEOSシステムで統合していきます。
EF 80-200mm F4.5-5.6は、その比較的初期に登場した普及望遠ズームです。
7群10枚の光学構成
レンズ構成は、
7群10枚。
絞り羽根は5枚です。
現在の高性能望遠ズームでは15枚、20枚を超える複雑な光学系も珍しくありません。
このレンズはかなりシンプルです。
特殊低分散ガラスを大量投入したLレンズではなく、
小型・軽量・低価格を重視した普及型望遠ズーム
という性格が光学構成からも見えてきます。
開放F値はF4.5~5.6
ズーム位置によって開放F値が変化します。
広角端80mmではF4.5。
望遠端200mmではF5.6。
つまり、
80mm
→ F4.5
ズームする
↓
200mm
→ F5.6
という可変F値ズームです。
F2.8通しのプロ用レンズとは違います。
そのぶん小さく軽くできます。
暗所撮影には強くない
望遠端200mmでF5.6。
しかも手ブレ補正はありません。
したがって暗い室内、夕方、夜間などでは使いやすいレンズとはいえません。
特に200mmでは手ブレの影響が大きくなるので、フィルム撮影ならある程度高速なシャッターを確保したいところです。
昔ながらの目安なら、
焦点距離分の1秒以上
なので、200mmなら最低でも1/200秒程度。
実際には被写体ブレや撮影者の構え方も考え、
1/250秒。
1/500秒。
あたりを使えると安心です。
つまりこのレンズが得意なのは、
明るい昼間。
です。
手ブレ補正はない
型番に、
IS
の文字はありません。
Image Stabilizer非搭載です。
EF80-200mmシリーズ4種類についてまとめた資料でも、80-200mm各モデルはいずれもIS非搭載です。
現在の70-200mmや70-300mm望遠レンズに慣れていると、
「シャッターボタン半押ししたらファインダー像がピタッ」
を期待したくなります。
ありません。
200mmで揺れれば、
そのまま揺れます。
撮影者が頑張ります。
重量275gという圧倒的な軽さ
その代わり、めちゃくちゃ軽い。
275g。
サイズも、
約71.2×77.8mm。
です。
80-200mm望遠ズームとは思えないコンパクトさです。
これは旅行などでかなり大きなメリットになります。
標準ズーム一本。
EF80-200mm一本。
これだけなら、望遠までカバーしても荷物がそれほど増えません。
同じ名前のF2.8Lは1,330g
比較すると凄さが分かります。
前年の1989年に発売された、
EF80-200mm F2.8L
は重量1,330g。
全長185.7mm。
フィルター径72mmです。
今回のF4.5-5.6は、
275g。
77.8mm。
52mm。
つまり、
F2.8L=1,330g
F4.5-5.6=275g
その差、
1,055g。
同じ焦点距離なのに1kg以上違います。
もちろんF2.8Lとは性能思想が違う
だからといって、
「275gのほうが軽いから上」
ではありません。
F2.8Lは、
- F2.8通し
- 13群16枚
- 8枚絞り
- 72mmフィルター
- Lレンズ
- 高性能望遠ズーム
です。
価格も発売時160,200円。
一方F4.5-5.6は32,800円。
価格差も約5倍。
つまり、
F2.8L
=プロ・ハイアマチュア向け高性能型
F4.5-5.6
=一般ユーザー向け軽量普及型
です。
比較して優劣を決めるレンズではなく、最初から目的が違います。
「黒い排水管」と間違えない
EF80-200mm F2.8Lは、その長く黒い鏡筒から海外で俗に、
“Magic Drainpipe”
などと呼ばれることがあります。
中古検索で、
「Canon EF 80-200」
だけ入力すると、F2.8LとF4.5-5.6が両方出てきます。
しかし、
似ているのは焦点距離だけ。
F2.8Lと今回の普及型は完全に別物です。
購入時には必ず開放F値まで確認しましょう。
USMではない
今回の初代EF 80-200mm F4.5-5.6には、
USM表記がありません。
つまり超音波モーターではありません。
後の1992年に、
EF80-200mm F4.5-5.6 USM
が別モデルとして発売されています。
初代とUSM版を並べれば、
1990年
→ 無印
1992年
→ USM
です。
中古商品タイトルで単に、
「EF80-200 F4.5-5.6」
と書かれていたら、鏡筒の「USM」表記まで見て判別しましょう。
AFは後年のUSMほど静かではない
初代はUSMではないため、AF作動音や速度は後年の静音レンズと比べると時代を感じます。
古いEFレンズを扱う資料でも、初代80-200mmは後のUSM版ほどAFが高速ではないとされています。
EOSボディへ装着。
シャッター半押し。
↓
ウィーン、ジジッ。
↓
合焦。
現代のSTMやNano USMとは違います。
これも1990年代初頭EFレンズらしい部分です。
最短撮影距離は1.5m
最短撮影距離は、
1.5m。
最大撮影倍率は0.16倍です。
現在の望遠ズームには70cm前後まで寄れる製品もあるので、それと比べれば近接性能は控えめです。
花。
小物。
料理。
を近距離から大きく写すレンズではありません。
人物。
動物。
鉄道。
舞台。
遠景。
など、ある程度距離を取った撮影が得意です。
200mmなら背景を整理しやすい
200mmまで伸ばせる最大のメリットは、
被写体を切り取りやすいこと。
です。
広角レンズでは周囲の景色が大量に入ります。
200mmなら画角が狭くなるため、
人物。
花。
動物。
看板。
建物の一部分。
など必要な部分だけを抜き取れます。
さらに遠近感が圧縮され、背景が大きく見える望遠独特の写真も作れます。
ポートレートにも使いやすい
80~135mm付近は人物撮影と相性のよい焦点距離です。
顔へ極端に近づかなくても上半身や顔を大きく撮れます。
35mm広角で至近距離から人物を撮ると鼻などが大きく見えやすいですが、望遠側なら比較的自然な遠近感で人物を捉えられます。
開放F値は特別明るくありませんが、被写体と背景の距離を取れば十分に背景をぼかせます。
絞り羽根は5枚
絞り羽根は5枚です。
現在のレンズでは7枚、9枚、11枚など円形絞りを重視する製品が一般的です。
5枚羽根では絞った際、点光源のボケなどが多角形になりやすくなります。
したがって、
ボケを究極になめらかにするための望遠ズーム
ではありません。
1990年の低価格軽量レンズらしい割り切りです。
フィルター径は52mm
フィルター径は、
52mm。
小さい。
F2.8Lなら72mmなので、この差からも鏡筒の細さが分かります。
52mmフィルターは非常に一般的なサイズなので、
- 保護フィルター
- ND
- PL
など中古・新品とも比較的見つけやすいでしょう。
初代には専用フード取付部が見当たらない
少し変わったポイントとして、初代EF80-200mm F4.5-5.6には一般的なバヨネット式専用フードを直接装着するための機構がないとする実機報告があります。
そのため後年型用のET-62などを、
「80-200だから付くだろう」
と買っても直接装着できない可能性があります。
52mmフィルターねじを利用する汎用ねじ込みフードなどを使う方法があります。
中古アクセサリー購入では、無印・USM・IIの違いを確認したいところです。
1992年にはUSM版へ
無印発売から約1年半後の1992年6月には、
EF80-200mm F4.5-5.6 USM
が登場します。
キヤノン公式仕様では、
7群10枚。
最短1.5m。
最大倍率0.16倍。
52mmフィルター。
という基本部分は非常によく似ています。
一方、
重量は260g。
サイズは69×78.5mm。
そして名前どおりUSMを搭載。
無印の基本コンセプトを維持しつつ、AF系を進化させたモデルと考えられます。
1995年にはII型
さらに1995年3月には、
EF80-200mm F4.5-5.6 II
が登場しました。
こちらはキヤノン公式資料で、
海外のみ販売
とされています。
重量はさらに軽く、
250g。
レンズ構成は7群10枚。
最短1.5m。
最大倍率0.16倍。
フィルター52mm。
基本スペックを受け継ぎながら、ズーム群などを改良して画質向上を図ったモデルです。
80-200mm F4.5-5.6は4種類を区別したい
中古で「EF 80-200」と検索すると非常に紛らわしいので整理しておきましょう。
EF80-200mm F2.8L
1989年9月
F2.8通し
Lレンズ
1,330g
EF80-200mm F4.5-5.6
1990年11月
今回の無印
275g
EF80-200mm F4.5-5.6 USM
1992年6月
USM搭載
260g
EF80-200mm F4.5-5.6 II
1995年3月
海外専売
250g
という流れです。
焦点距離だけ見て買うと大事故です。
APS-Cデジタル一眼なら約128~320mm相当
EFレンズなので、APS-CサイズのキヤノンEOSデジタル一眼レフでも使用できます。
キヤノンAPS-Cの画角換算係数は約1.6倍なので、
80mm
→ 約128mm相当
200mm
→ 約320mm相当
になります。
フィルム時代には普通の望遠ズームだったレンズが、APS-Cではかなり強力な望遠になります。
鉄道。
航空機。
動物。
スポーツ。
などでは面白いレンジです。
ただしAPS-CでもF値は変わらない
画角は約128~320mm相当になりますが、
F4.5~5.6がF7.2~9になるわけではありません。
露出上のF値はF4.5~5.6のままです。
単にセンサーサイズの違いによって写る画角が狭くなるため、
「35mm判で128~320mmを使ったような範囲」
になるという意味です。
フルサイズデジタルなら本来の80~200mm
EFマウントのフルサイズEOSデジタル一眼レフなら、フィルム時代と同じ80~200mmの画角で使用できます。
たとえばEOS 5D系などです。
フィルム時代のEFレンズなので35mm判をカバーしており、APS-C専用EF-Sレンズとは違います。
古いレンズを現代のフルサイズセンサーで使うと、当時のフィルム撮影以上に周辺画質などが厳しく見えることはあります。
しかし、
1990年製の275g望遠ズームを現代のデジタルEOSで使う
という遊び方もできます。
EOS Rでもアダプター経由で使用できる
EOS RシリーズではEFマウントを直接装着できませんが、キヤノン純正のEF-EOS Rマウントアダプターなどを介してEFレンズを使用できます。
EFレンズはもともと絞りやAFを電子制御するため、対応アダプターならその機能を引き継げます。
さらにボディ内手ブレ補正を搭載したEOS Rボディなら、レンズ側にISがなくても撮影を補助できます。
1990年に「ISなし」で生まれたレンズを、
2020年代のボディ側手ブレ補正で救済。
時代を跨いだ組み合わせです。
ただし動画AFには向いていない
古い非USMレンズなので、
静かで滑らかな動画AF
を期待するレンズではありません。
AF動作音。
速度。
フォーカス移動の滑らかさ。
いずれも現代のSTM/Nano USMレンズが有利です。
動画を撮るなら外部マイクを使うか、MFを利用するほうが適する場合があります。
現代の高画素機では弱点も見えやすい
1990年当時、このレンズが想定していたのは35mmフィルムです。
現在の高画素デジタルセンサーで撮影すると、
- 望遠端の甘さ
- 周辺部の解像
- 色収差
- コントラスト
- 逆光性能
など、当時以上に厳しく評価されることがあります。
古いEFレンズを扱うレビューでも、初代モデルは望遠端、特に開放で柔らかさが出やすいという評価があります。
しかし、
1990年・275g・32,800円の普及ズーム
だという前提を忘れてはいけません。
EF70-200mm F2.8L ISシリーズと殴り合わせるレンズではありません。
少し絞って使いたい
晴天の屋外なら、
F8前後。
1/250秒以上。
ISOを必要に応じて上げる。
という使い方がしやすいでしょう。
開放より少し絞れば解像感が改善する場合があります。
ただし手ブレ補正がないので、
「画質のためにF11まで絞ったらシャッター1/30秒になった」
では200mm撮影が厳しくなります。
画質だけでなくシャッター速度とのバランスが重要です。
中古で確認したいポイント
EF80-200mm F4.5-5.6は1990年発売。
すでに30年以上経過しています。
中古では、
- レンズ内部のカビ
- クモリ
- 拭き傷
- コーティング
- 絞り羽根
- 絞り羽根の油
- AF
- ズームリング
- 鏡筒のガタ
- 電子接点
- マウント
- フィルター枠
などを確認しましょう。
AFは必ず実機で確認
EFレンズでは、
AFモーターがレンズ側にあります。
したがってカメラボディが正常でも、レンズ側AF機構が故障していればピントは動きません。
近距離。
↓
無限遠。
↓
近距離。
と何度か往復させ、
正常に停止するか確認しましょう。
途中で止まる。
ガガガという異常音。
動いたり動かなかったりする。
という個体は注意が必要です。
「音がする=故障」ではない
ただし無印モデルはUSMではありません。
したがって、
AF音が聞こえること自体は異常ではありません。
USM。
STM。
Nano USM。
など現代の静音AFレンズと同じ感覚で評価すると、
「めちゃくちゃ音がする!」
となる可能性があります。
1990年の普及AFレンズです。
多少の作動音は時代仕様です。
電子接点も重要
EFマウントではレンズとカメラが電子接点を通して通信します。
接点が汚れていると、
絞り制御不良。
AF不良。
エラー表示。
などが発生する可能性があります。
中古ではマウント部を見て、
極端な腐食。
深い傷。
接点の欠損。
がないか確認しましょう。
絞り動作を確認
EFレンズは通常、レンズ単体では絞り羽根が開放状態になります。
カメラへ装着し、絞り込みプレビューボタンを使うか実際に撮影して絞りが作動するか確認します。
F5.6。
F8。
F16。
F29。
と変えた際に正常に閉じるか。
撮影画像が極端に露出オーバーにならないか。
電子制御レンズなので、絞りユニットや通信系の故障も中古チェック対象です。
カビ・クモリも当然確認
望遠ズームは複数のレンズ群を持ちます。
7群10枚構成なので、内部にカビやクモリがある場合、簡単に清掃できるとは限りません。
強いライトを当て、
白く曇る。
蜘蛛の巣状のカビ。
大量のチリ。
バルサム劣化らしい異常。
がないか確認します。
多少のチリなら実写影響がほとんどない場合もありますが、強いクモリはコントラストを大きく低下させます。
ズーム鏡筒のガタ
普及型で軽量な鏡筒なので、長年の使用によって、
ガタ。
傾き。
ズームリングの引っ掛かり。
が発生している個体も考えられます。
80mmから200mmまで何度か操作し、
滑らかに動くか確認しましょう。
ズーム操作に伴って異常な擦れ音がする個体も注意です。
フィルター枠が歪んでいないか
前部フィルター径は52mmです。
落下歴があるレンズでは前枠が変形し、
フィルターが付かない。
フィルターが外れない。
という場合があります。
鏡筒が軽いレンズほど、強い衝撃を受けた場合には外装破損も確認しておきたいところです。
無印・USM・IIを現物で確認
中古出品ではモデル名が適当に書かれていることがあります。
特に、
EF80-200mm F4.5-5.6
EF80-200mm F4.5-5.6 USM
EF80-200mm F4.5-5.6 II
は基本仕様が近いため混同されやすいモデルです。
商品タイトルだけではなく、
鏡筒前面・側面の実物表記
を確認しましょう。
今回の初代なら、
USMなし。
IIなし。
の無印です。
「安いEF望遠」としては面白い
現代の中古市場では、このクラスの古い普及EFズームは高額なコレクターズレンズではありません。
むしろ、
安価な望遠レンズとして楽しむ存在
です。
高性能を求めるなら、
EF70-200mm F4L。
EF70-200mm F2.8L。
EF70-300mm系。
など、もっと優秀な選択肢があります。
しかしそれらとは別に、
275gしかない80-200mm
という価値があります。
旅行用サブ望遠にも向く
旅行へ望遠レンズを持っていくか迷う場合、
「使うか分からないのに1.5kg増える」
なら置いていきたくなります。
275gなら話は違います。
使わなかった。
↓
まあ275g。
使いたくなった。
↓
200mmまである。
です。
画質を極限まで追求するのではなく、
「望遠を持っていくこと自体のハードルを下げる」
タイプのレンズです。
現代ではレトロEFレンズとして楽しめる
EFレンズはFDほど古典的な見た目ではありません。
電子マウント。
AF。
樹脂鏡筒。
なので、
「オールドレンズ感が薄い」
と思われがちです。
しかし初代EFシステムもすでに1980年代後半から始まっています。
この80-200mmも1990年。
今となっては立派なクラシックAFレンズです。
EOSフィルム機へ装着すれば当時そのまま。
EOSデジタルへ付ければ世代を超えた組み合わせ。
EOS Rへアダプター装着すればさらに現代へ。
1本で30年以上のEOS史を横断できます。
まとめ
CANON EF 80-200mm F4.5-5.6は、1990年11月に発売されたEFマウント用の軽量望遠ズームレンズです。
発売時価格は32,800円。
7群10枚。
5枚絞り。
最短撮影距離1.5m。
最大撮影倍率0.16倍。
フィルター径52mm。
全長77.8mm。
そして重量は、
わずか275g。
80~200mmという実用的な望遠域を、非常に小さく軽い鏡筒へ収めたことが最大の特徴です。
もちろん弱点もあります。
F4.5~5.6と明るくない。
USMなし。
ISなし。
AFも現代レンズほど静かではない。
望遠端の開放画質も最新高性能ズームとは比較できません。
しかしこのレンズは、そもそもLレンズと競争するために生まれた製品ではありません。
前年発売のEF80-200mm F2.8Lは160,200円・1,330g。
今回のF4.5-5.6は32,800円・275gでした。
同じ80-200mmでも、
F2.8L
=画質・明るさ重視
F4.5-5.6
=価格・携帯性重視
と目的が完全に違います。
さらにその後、
1992年
→ F4.5-5.6 USM
1995年
→ F4.5-5.6 II
へ発展していきます。
つまりこの無印モデルは、
キヤノンがEOS初期に「一般ユーザー向けの軽量望遠ズーム」をどう作ったのか
を知ることのできる一本です。
高級レンズではありません。
巨大な特殊レンズもありません。
赤鉢巻もありません。
しかし、
200mmまで届いて275g。
それだけで、カメラバッグへ入れる理由があります。
CANON EF 80-200mm F4.5-5.6は、EOS黎明期の「安く・軽く・手軽に望遠を」という思想が分かりやすく形になった、実用派の小型テレズームです。









