CANON EF 200mm F2.8L USMとは?初代L単焦点望遠レンズの特徴と中古購入時の注意点
CANON EF 200mm F2.8L USMは、キヤノンが1991年12月に発売したEFマウント用の大口径望遠単焦点レンズです。
キヤノン公式のカメラミュージアムによると、発売時価格は99,800円。
主な仕様は、
- 焦点距離200mm
- 開放F2.8
- 7群9枚
- 絞り羽根8枚
- 最小絞りF32
- 最短撮影距離1.5m
- 最大撮影倍率0.16倍
- フィルター径72mm
- 最大径83mm
- 全長136.2mm
- 重量790g
です。
光学系には2枚のUDレンズを使用。
キヤノンは色収差を抑えるとともに球面収差を良好に補正し、無限遠から近距離まで高い描写性能を実現した大口径望遠レンズとして紹介しています。
そして製品名にある、
L
と、
USM
も重要です。
EFマウントのLレンズとして高画質を追求しながら、AFにはUSMを採用。
しかし後年の大型200mm F2や70-200mm F2.8とは違い、重量は790gに収められています。
200mm。
F2.8。
Lレンズ。
AF。
それで800gを切る。
現在見ても非常に魅力的なスペックです。
この記事では、初代CANON EF 200mm F2.8L USMの特徴、UDレンズ、F2.8、EFマウント、初代とII型の違い、フィルムEOS・デジタルEOS・EOS Rシリーズでの使用、そして中古購入時に確認したいポイントまで詳しく解説します。
EF 200mm F2.8L USMは1991年発売
キヤノン公式資料では発売年月は1991年12月です。
発売価格は99,800円でした。
EOSシステム自体は1987年に始まっているため、EFマウント初期から中期へ移行する時代に登場したレンズです。
この頃のキヤノンは、AF一眼レフEOSシステムの望遠レンズを急速に充実させていました。
すでに、
- EF300mm F2.8L USM
- EF400mm F2.8L USM
- EF200mm F1.8L USM
などの大口径望遠レンズも登場していました。
ただし、それらは非常に大型・重量級です。
例えばEF200mm F1.8L USMは1988年発売で重量3,000g。
対する200mm F2.8L USMは790g。
F1.8という怪物を3kgで作るのではなく、F2.8へ抑えて200mmを現実的に持ち歩けるサイズへまとめる。
こちらが200mm F2.8Lの方向性です。
「II」がないのが初代
中古市場では一般に、
EF 200mm F2.8L USM I型
EF 200mm F2.8L II USM II型
などと呼ばれます。
ただし初代の正式名称に「I」はありません。
正式名称は、
EF200mm F2.8L USM
です。
1996年3月に後継の、
EF200mm F2.8L II USM
が登場しました。
中古購入では「II」という文字があるかどうかを必ず確認しましょう。
200mmの望遠単焦点
焦点距離は200mm。
35mmフィルムやフルサイズデジタルでは本来の200mm画角になります。
200mmは、
- スポーツ
- 舞台
- 鉄道
- 動物
- 遠景
- ポートレート
- 圧縮効果を生かした風景
などに使いやすい焦点距離です。
標準50mmの4倍の焦点距離なので、被写体を大きく引き寄せられます。
一方、400mmや600mmほど極端ではないため、人物撮影にも使えます。
APS-Cでは約320mm相当
APS-CサイズのCanon EOSでは画角が狭くなります。
キヤノンAPS-Cの約1.6倍換算なら、
200mmは35mm判換算で約320mm相当。
かなり本格的な望遠になります。
- 野鳥
- 航空機
- 鉄道
- スポーツ
ではメリットがあります。
一方、室内ポートレートなどでは画角が狭すぎる場合があります。
同じレンズでもフルサイズとAPS-Cでは使用感がかなり変わります。
開放F2.8
このレンズ最大の武器です。
200mmでF2.8。
望遠域で大きなボケを作りながら、暗い場所でも比較的速いシャッター速度を使えます。
例えば、
スポーツ。
ステージ。
体育館。
夕方。
曇天下。
こうした場面ではF4やF5.6より一段以上明るいF2.8が効きます。
200mm F2.8の浅い被写界深度
望遠200mmとF2.8を組み合わせれば、背景を大きくぼかせます。
人物撮影では、
顔。
人物。
背景。
を大きく分離できます。
しかも200mmは遠近感を圧縮しやすいため、背景が被写体へ近づいたように見える独特の描写も楽しめます。
ポートレートでは撮影距離が必要
ただし200mmです。
85mmや135mmとは違い、全身人物を撮ろうとするとかなり後ろへ下がる必要があります。
狭い公園。
室内。
小さなスタジオ。
では取り回しにくい場合があります。
逆に屋外ポートレートなら、
撮影者と被写体の距離を取りながら、背景を大きくぼかす
という200mmらしい撮影ができます。
7群9枚
キヤノン公式仕様ではレンズ構成は7群9枚です。
200mm F2.8という大口径望遠として比較的シンプルな構成にまとめられています。
後継II型も同じく7群9枚です。
UDレンズを2枚使用
初代EF200mm F2.8L USMではUDレンズを2枚採用しています。
キヤノン公式は、これによって望遠レンズで問題となりやすい色収差を軽減したと説明しています。
UDはUltra Low Dispersion。
低分散ガラスです。
望遠レンズでは色ごとの焦点位置の違いが目立ちやすく、被写体の輪郭に紫・緑などの色付きが発生することがあります。
UDガラスはそうした色収差を抑えるために使われます。
フローライトではない
ここは混同しないようにしましょう。
CanonのL望遠レンズには蛍石を使用したものも多数あります。
しかしEF200mm F2.8L USMについて、Canon公式はUDレンズ2枚としています。
「Lレンズだから蛍石入り」とは限りません。
EF200mm F1.8Lとも別物
200mmにはさらに明るいEF200mm F1.8L USMがあります。
こちらは1988年発売。
10群12枚。
重量3,000g。
最短2.5m。
発売時価格456,000円です。
F1.8とF2.8では約1段以上の差がありますが、大きさ・重量・価格は別世界です。
F2.8Lは、
現実的に持ち運べる200mm大口径単焦点
として見るのが適切です。
重量790g
キヤノン公式仕様は790g。
これがこのレンズの大きな魅力です。
後に登場したEF70-200mm F2.8L USMは1,310g。
つまり同じ200mm F2.8を使えるレンズでも、
初代200mm F2.8L単焦点:約790g。
70-200mm F2.8L:約1,310g。
その差は約520gあります。
もちろんズームレンズは70~200mmすべてをカバーできます。
しかし、
「200mmしか使わない」
なら単焦点の軽さはかなり大きなメリットです。
白い大砲ではなく黒い鏡筒
キヤノンの大口径望遠Lといえば白い鏡筒を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかしEF200mm F2.8L USMは黒です。
そのため、
- 目立ちにくい
- 比較的小型
- 持ち歩きやすい
という特徴があります。
「いかにも超望遠を持っています」という外観になりにくいのも面白いところです。
最大径83mm・全長136.2mm
初代の公式寸法は、
83×136.2mm。
200mm F2.8としてかなりコンパクトです。
同時期の大口径望遠ズームより圧倒的に短く、バッグへ収めやすくなっています。
72mmフィルター
フィルター径は72mmです。
現在でも普通に入手しやすいサイズです。
- 保護フィルター
- ND
- PL
などを使用できます。
ただし望遠撮影ではPLフィルターを回した際にカメラを動かしやすいため、三脚使用時は慎重に操作します。
最短撮影距離1.5m
最短撮影距離は1.5m。
200mmとしては比較的使いやすい距離です。
最大撮影倍率は0.16倍。
マクロレンズではありませんが、
- 花
- 大きめの昆虫
- 小物
- 人物の顔
- 部分的なクローズアップ
なども撮影できます。
後継II型も1.5m
II型も最短1.5m、最大倍率0.16倍です。
したがって最短撮影性能だけを理由にI型からII型へ買い替える意味はほぼありません。
絞り羽根8枚
絞り羽根は8枚です。
最小絞りはF32。
望遠単焦点なので通常はF2.8~F8程度を使う場面が多いでしょう。
背景をぼかすならF2.8。
少し被写界深度を稼ぐならF4~F5.6。
風景・遠景ならF8前後。
という使い分けができます。
USMによるオートフォーカス
製品名にUSMとある通り、AFに超音波モーターを採用しています。
1991年当時としては、静粛性と高速性を重視したAF望遠レンズでした。
特に200mmは、
- スポーツ
- 人物
- 鉄道
- 動物
など動く被写体を撮ることが多いため、AF性能は重要です。
現在中古で購入する場合も、光学状態と同じくらいUSMが正常かを確認したいところです。
AF/MF切り替え
鏡筒にはAF/MF切り替えがあります。
中古購入では、
AF。
MF。
両方で確認します。
スイッチが欠けている。
異常に緩い。
途中で止まる。
場合は注意しましょう。
フォーカスリミッター
初代EF200mm F2.8L USMには、AF探索範囲を制限するフォーカスリミッターを備える個体が知られています。
資料上では、
1.5m~∞
と、
3.5m~∞
の切り替えが紹介されています。
遠距離のスポーツや鉄道などでは3.5m~∞へ制限することで、AFが近距離側まで大きく迷うのを防ぎやすくなります。
中古ではこのスイッチの動作も確認しましょう。
手ブレ補正ISはない
非常に重要です。
EF200mm F2.8L USMにISはありません。
後の、
EF200mm F2L IS USM
とは別物です。
F2L ISは2008年発売、重量2,520gの大口径超望遠です。
今回の200mm F2.8Lは、
ISなし。
したがってフィルムEOSや手ブレ補正を持たないデジタル一眼レフでは、手持ちシャッター速度を意識する必要があります。
200mmでは1/200秒以上をひとつの目安に
昔から一般的な目安として、
「1/焦点距離秒」
があります。
200mmなら1/200秒前後。
実際のカメラでは1/250秒以上を使うと分かりやすいでしょう。
ただし高画素機ではさらに速いシャッター速度が必要になることもあります。
被写体が動いているなら1/500~1/1000秒以上も積極的に使います。
EFマウント
マウントはCanon EF。
EOSフィルム一眼レフ用として誕生したレンズですが、その後のCanon EOSデジタル一眼レフにも使用できます。
EFマウントは電子制御を前提としています。
絞りリングはありません。
絞りはボディから電子的に制御します。
EOSフィルム機との組み合わせ
時代的に、
- EOS-1
- EOS-1N
- EOS 5
- EOS 10
- EOS 100
などのEFマウントフィルムEOSと組み合わせると非常に自然です。
200mm F2.8Lの高速AFとEOSのAFシステムを組み合わせ、当時のスポーツ・報道撮影スタイルを味わえます。
EOSデジタル一眼レフでも使用可能
EFマウントなので、
- EOS 5Dシリーズ
- EOS 6Dシリーズ
- EOS-1D系
- EOS 7D系
- EOS xxD系
などにも使用できます。
フルサイズなら200mm。
APS-Cでは約320mm相当。
フィルム時代のレンズですが、デジタルでも十分テストできます。
むしろ中古購入時にはデジタルEOSへ装着すれば、
- AF
- 絞り
- 解像
- 偏芯
- 色収差
をその場で拡大確認できるので便利です。
EOS Rでもマウントアダプターで使用可能
Canon EOS RシリーズはRFマウントですが、純正Mount Adapter EF-EOS Rを使用すればCanon EFレンズを装着できます。
キヤノン公式も、Mount Adapter EF-EOS RによってEF/EF-SレンズをEOS Rカメラへ使用でき、機能・速度・画質を損なわず利用できると説明しています。
したがって、1991年のEF200mm F2.8L USMを現代のEOS Rシリーズへ持ち込むことも可能です。
古いL単焦点を高画素ミラーレスで使う。
なかなか面白い組み合わせです。
初代とII型の違い
1996年3月、後継の、
EF200mm F2.8L II USM
が発売されました。
まず公式スペックを比較してみましょう。
| 項目 | 初代 EF200mm F2.8L USM | EF200mm F2.8L II USM |
|---|---|---|
| 発売 | 1991年12月 | 1996年3月 |
| 発売価格 | 99,800円 | 115,000円 |
| レンズ構成 | 7群9枚 | 7群9枚 |
| 絞り羽根 | 8枚 | 8枚 |
| 最小絞り | F32 | F32 |
| 最短撮影距離 | 1.5m | 1.5m |
| 最大倍率 | 0.16倍 | 0.16倍 |
| フィルター | 72mm | 72mm |
| 最大径 | 83mm | 83.2mm |
| 全長 | 136.2mm | 136.2mm |
| 重量 | 790g | 765g |
キヤノン公式仕様を比較すると、基本光学スペックは非常によく似ています。II型は25g軽くなっています。
II型もUDレンズ2枚
キヤノン公式はII型についても、2枚のUDガラスを使用して色収差を補正すると説明しています。
またII型ではリアフォーカシングを採用し、高い描写性能と自然な背景ボケを特徴として挙げています。
初代は内蔵フードが大きな識別点
中古市場で初代とII型を見分ける代表的なポイントがフードです。
初代は鏡筒へ収納できる引き出し式フードを持つタイプとして知られています。
一方、II型についてCanon公式は専用の着脱式フードが付属すると説明しています。
I型の内蔵フードについては中古ユーザー間でも広く確認されており、I型とII型の実用上の違いとしてよく挙げられます。
つまり、
内蔵フードが好きなら初代。
着脱式フードならII型。
という見分け方ができます。
II型はET-83BIIフード
II型では専用着脱式フードが用意されています。
流通資料では型番ET-83BIIが確認できます。
初代中古なのにET-83BIIだけ付属している、あるいはII型なのに内蔵フードだと説明されている場合は、モデル識別を再確認しましょう。
70-200mm F2.8Lとの違い
1995年にはEF70-200mm F2.8L USMも登場しました。
こちらは、
- 70~200mm
- F2.8通し
- 18枚15群
- 1.5m
- 77mm
- 1,310g
です。
200mm F2.8L単焦点は790g。
ズームは1,310g。
利便性なら70-200mm。
軽さなら200mm単焦点。
ここが最大の違いです。
単焦点は約520g軽い
長時間、
スポーツ。
舞台。
イベント。
を撮影する場合、500g以上の差はかなり効きます。
しかも200mmしか必要ない撮影なら、
ズームリングさえありません。
構図は自分が動いて決める。
非常に潔いレンズです。
EF135mm F2Lとの関係
200mm F2.8Lと比較されやすいのがEF135mm F2L USMです。
135mmは一段明るいF2。
200mmはさらに望遠。
ポートレート中心なら135mmの方が距離を取りやすい場合があります。
スポーツ・舞台・遠距離なら200mmが有利。
両方ともズームではなく、大口径L単焦点という点でキャラクターが近いレンズです。
中古購入時に確認したいポイント
EF200mm F2.8L USMは電子制御AFレンズです。
古いMF単焦点とは違い、
ガラスがきれいならOK
ではありません。
光学。
USM。
電子接点。
絞り。
フォーカス機構。
すべて確認します。
まずI型かII型か確認
最重要です。
初代は、
EF200mm F2.8L USM
II型は、
EF200mm F2.8L II USM
です。
商品タイトルだけでなく鏡筒表記を確認します。
「II」の文字
II型なら製品名にIIがあります。
初代を探しているならIIがないことを確認します。
内蔵フード
初代なら引き出し式フードが代表的な識別ポイントです。
フードを前へ引き出します。
- スムーズに動く
- 極端に緩くない
- 斜めにならない
- へこみがない
ことを確認します。
内蔵フードが勝手に落ちる
古い個体ではフード保持部分が摩耗し、レンズを下へ向けると勝手に伸びる場合があります。
撮影そのものには大きな影響がなくても、状態評価ではマイナスです。
外装
黒鏡筒なので擦り傷やテカリが見えやすいレンズです。
特に、
- フード先端
- フォーカスリング
- 三脚座周辺
- マウント周辺
を確認します。
実用品なら外装傷より機能優先です。
落下跡
200mm F2.8は790gあります。
落下すると、
- フード変形
- フィルター枠変形
- マウント歪み
- 光軸ずれ
につながる可能性があります。
鏡筒の一点だけ大きくへこんでいる個体は慎重に判断します。
前玉
72mm前枠から、
- 傷
- 拭き傷
- カビ
- コーティング異常
を確認します。
少数の微細なチリより、深い傷や強い白濁を優先して避けましょう。
後玉
リアキャップを外して確認します。
- 傷
- 指紋
- カビ
- 曇り
- コーティング異常
を見ます。
後玉は撮像面に近いため、傷の大きな個体は慎重に判断したいところです。
内部のカビ
前後からLEDライトなどを斜めに当てます。
- 糸状
- 蜘蛛の巣状
- 白い枝状
の模様がないか確認します。
中古望遠レンズでは三脚ケースなどに長期保管され、湿気を受けた個体もあります。
曇り
カビ以上に実写へ影響する場合があります。
レンズ内部が白く霞んでいると、
- コントラスト低下
- 黒浮き
- 逆光で真っ白
- AF精度低下
にもつながる可能性があります。
順光だけでなく逆光テストも行いましょう。
UDレンズ周辺の状態
このレンズは2枚のUDレンズを使用します。
中古で、
「UDだから経年劣化しない」
という意味ではありません。
各光学面の、
- カビ
- 曇り
- コーティング
- 接合部
を通常どおり確認します。
接合部の異常
白い輪。
虹色の不規則な模様。
周辺から広がる剥離状の症状。
がないか確認します。
単純なチリと接合異常では修理難易度がまったく違います。
フォーカスリング
MFへ切り替えてリングを回します。
- 滑らか
- 異音なし
- ガタが少ない
- 部分的な引っ掛かりなし
が理想です。
リングのゴム
古いEFレンズなので、
- 白化
- ベタつき
- 伸び
- ひび
を確認します。
外装上の問題ですが、頻繁に操作する部分なので使用感へ直結します。
USM AF
中古では最重要級です。
EOSボディへ装着し、
近距離。
中距離。
無限遠。
を繰り返します。
AFが一度動くだけでは足りない
10回。
20回。
繰り返します。
冷えた状態。
しばらく使った状態。
両方で確認できれば理想です。
電子部品やUSMは、
「最初の1回だけ正常」
という故障もあり得ます。
AF異音
USMは本来比較的静かなAFです。
多少の作動音はありますが、
- ギー
- ガリガリ
- キュルキュル
- 途中で停止
など明らかな異音がないか確認します。
AFが迷う
コントラストのある明るい被写体でも、
∞→近距離→∞
を何度も往復する場合、
- レンズ側AF
- ボディ
- 光学状態
- 接点
を切り分けます。
別のEOSボディでも同じ症状ならレンズ側を疑いやすくなります。
フォーカスリミッター
搭載個体では、
1.5m~∞。
3.5m~∞。
それぞれでAF動作を確認します。
3.5m~∞にした状態では近距離被写体へ合焦しないのが正常です。
これを故障と誤認しないようにしましょう。
最短1.5m
最短側で約1.5mまで合焦するか確認します。
純正仕様は1.5mです。
それよりかなり遠くで止まる場合はフォーカスリミッター位置も確認します。
無限遠
遠くの建物や星などで確認します。
AF・MF双方で∞へ正常に届くこと。
過去に分解された個体では調整位置が狂っている場合があります。
AF精度
F2.8でテストします。
F8で撮ると被写界深度でピントずれが隠れる場合があります。
F2.8。
200mm。
近距離。
この条件ならピント精度が分かりやすくなります。
デジタルEOSで拡大確認
人物の目。
定規。
文字。
などへAF。
撮影後100%拡大。
狙った位置へピントが来ているか確認します。
複数回繰り返します。
片ボケ・偏芯
遠くの平坦な建物などを正面から撮ります。
F2.8で、
- 左端
- 中央
- 右端
を比較します。
片側だけ極端に甘い個体は、
- 落下
- レンズ群ずれ
- マウント変形
などを疑います。
絞り
EFレンズには絞りリングがありません。
EOSボディから、
F2.8。
F4。
F5.6。
F8。
F16。
F32。
と変更します。
絞り込みプレビュー
対応EOSボディなら被写界深度プレビューを使い、絞り羽根が動くことを確認します。
絞り羽根の粘り
シャッターを連続して切ります。
設定F値まで毎回素早く閉じること。
露出がランダムに明るくなる個体は絞り機構を疑います。
電子接点
EFマウント部の金色接点を確認します。
- 腐食
- 強い傷
- 油
- 汚れ
がないこと。
EOSボディで、
「Err」
が出ないことも確認します。
絞り変更でエラーが出る場合
開放F2.8では撮れる。
F8にするとエラー。
という場合は絞り系統や内部配線の不具合を疑います。
古い電子レンズでは重要なテストです。
フレックスケーブル
EFレンズ内部では電子配線を使用します。
目視で内部ケーブルの状態を確認する必要はありません。
しかし、
- AF位置によってエラー
- 絞るとエラー
- 時々通信不能
といった症状がある個体は電子系統の経年不良を考慮しましょう。
無理なDIY分解はおすすめできません。
フィルター枠
72mmフィルターを軽くねじ込みます。
途中で急に止まる場合は、
- 落下
- 枠変形
- ネジ山損傷
を疑います。
無理に締め込まないようにしましょう。
三脚座
200mmクラスなので三脚座付きで流通する個体があります。
Canon関連資料でもEF200mm F2.8L系へ三脚リングを使用できることが確認されています。
中古セットなら、
- 三脚座の有無
- ロック
- 回転
- ガタ
- ネジ穴
を確認します。
三脚座がなくても撮影はできる
790gなので手持ちも十分可能です。
三脚座は必須ではありません。
ただし三脚で長時間撮影する場合は、カメラ底部だけよりレンズ側で支えた方がバランスを取りやすいことがあります。
手ブレテストとレンズ性能を混同しない
200mm・ISなしです。
手持ち1/60秒で撮って、
「このレンズ、甘い!」
は危険です。
中古テストでは、
- 三脚
- 1/500秒以上
- 十分な光
- セルフタイマーや電子先幕
などを利用し、手ブレをできるだけ排除します。
F2.8開放を必ず撮る
中古テストでは最重要です。
F2.8で、
人物。
文字。
遠景。
を撮ります。
確認するのは、
- 中央解像
- 色収差
- コントラスト
- AF精度
- 片ボケ
です。
F8だけ良くても不十分
絞れば多くのレンズは改善します。
200mm F2.8Lを買う最大の理由は、
F2.8が使えること。
したがって開放性能こそ確認しましょう。
逆光
フードを使用し、
強い光源を画面端へ入れます。
- フレア
- ゴースト
- 白濁
を確認します。
通常の古いコーティング特性と、内部曇りによる異常な低コントラストを切り分けます。
現代EOS Rで中古テストするメリット
純正EF-EOS Rアダプターを使えばEFレンズをEOS Rで利用できます。
高画素EOS Rなら、
- AF
- 開放解像
- 片ボケ
- 色収差
- 周辺像
をかなり厳しく確認できます。
一方、フィルムEOSで使用するなら最終的にはフィルムでも一本撮影すると安心です。
初代とII型、どちらを買う?
撮影性能だけを考えると両方とも魅力的です。
Canon公式仕様では、
7群9枚。
8枚絞り。
F32。
1.5m。
0.16倍。
72mm。
136.2mm。
と非常によく似ています。
したがって中古では、
型よりコンディション優先
という考え方が合理的です。
初代を選ぶ理由
初代には、
- 1991年型という歴史性
- 引き出し式内蔵フード
- 初期EF Lレンズらしい外観
という魅力があります。
フードを忘れることもありません。
II型を選ぶ理由
II型は、
- 1996年以降
- 約765g
- 着脱式専用フード
- より後期の個体を選べる
というメリットがあります。
中古個体の年式を少しでも新しくしたいならII型は有力です。
70-200mm F2.8とどちらを選ぶ?
利便性なら70-200mm。
これはほぼ間違いありません。
70。
85。
100。
135。
200。
全部使えます。
しかし重い。
初代EF70-200mm F2.8L USMだけでも1,310gあります。
対して200mm F2.8Lは790g。
200mmしか使わないなら約500gの重量を持ち歩かなくて済む。
これが単焦点の強みです。
200mm F2.8Lが向いている人
このレンズは次のような人に向いています。
- 200mm単焦点が好きな人
- F2.8が必要な人
- 70-200mm F2.8を重く感じる人
- スポーツを撮る人
- 舞台を撮る人
- 鉄道を撮る人
- 屋外ポートレートを撮る人
- EOSフィルムカメラを使う人
- EFマウントデジタル一眼レフを使う人
- EOS RでEFオールドLを楽しみたい人
- 黒いL望遠が好きな人
- 初期EFレンズを収集している人
特に、
200mmは必要。でも1.3~1.5kg級の70-200mm F2.8を毎回持つのはしんどい。
という人には面白い一本です。
向いていない場合
次のような人には他のレンズが使いやすいでしょう。
- ズームが必要
- ISが絶対必要
- もっと望遠が必要
- 室内で撮影距離を取れない
- 近接撮影が中心
- 200mm固定では構図変更が難しい
- 最新RFレンズだけで統一したい
特にイベント撮影で立ち位置を自由に変えられない場合、70-200mmの方が圧倒的に便利です。
初代200mm F2.8Lの最大の魅力
現在では200mm F2.8というスペックそのものは珍しくありません。
70-200mm F2.8ズームの望遠端でも同じ数字になります。
しかし単焦点だからこそ、
レンズを短く。
軽く。
シンプルにできる。
初代EF200mm F2.8L USMは790gです。
同時代のEF200mm F1.8Lは3kg。
EF70-200mm F2.8L USMは1,310g。
その中間ではありません。
「200mm F2.8だけでいい」という人のために、必要なものだけを残した望遠L単焦点。
それがこのレンズです。
まとめ
CANON EF 200mm F2.8L USMは1991年12月に発売されたEFマウント用大口径望遠単焦点レンズです。
メーカー公式仕様は、
- 200mm
- F2.8
- 7群9枚
- UDレンズ2枚
- 絞り羽根8枚
- 最小F32
- 最短1.5m
- 最大倍率0.16倍
- 72mmフィルター
- 83×136.2mm
- 790g
です。
そして重要なのが初代とII型の区別。
初代は、
EF200mm F2.8L USM。
1996年の後継は、
EF200mm F2.8L II USM。
公式スペックを見る限り基本光学仕様は非常によく似ていますが、II型は765gへ軽量化され、専用着脱式フードを採用しています。
一方、初代は引き出し式内蔵フードを持つことで知られています。
中古購入では、
- 初代かII型か
- 内蔵フード
- カビ
- 曇り
- 前玉・後玉
- USM AF
- AF異音
- AF精度
- フォーカスリミッター
- 最短1.5m
- 無限遠
- F2.8開放
- 片ボケ
- 絞り
- 電子接点
- ボディとの通信
- 72mmフィルター枠
- 三脚座
- 落下跡
- 逆光実写
まで確認しましょう。
特にこのレンズは電子制御AFレンズです。
「カビなし・曇りなし」だけでは完動品とは言えません。
USMが正常。
絞りが正常。
EOSボディと正常に通信する。
F2.8で正確にピントが来る。
ここまで確認することが重要です。
そして、このレンズにはISがありません。
ズームもありません。
200mmしかありません。
だからこそ790g。
だからこそ短い。
だからこそ200mm F2.8に集中できます。
1991年。
フィルムEOSへ装着してスポーツを追ったレンズが、30年以上後の現在では純正アダプターを介してEOS Rへ装着することもできます。Canon自身もEF-EOS RアダプターでEFレンズをEOS Rへ利用可能としています。
フィルムからデジタル一眼レフ。
そしてミラーレスへ。
ボディは何世代も変わりました。
それでも200mmとF2.8という光学的な価値は変わりません。
CANON EF 200mm F2.8L USMは、「ズームはいらない。200mmだけを、明るく、軽く、高画質で撮りたい」という要求へ真正面から応えた、初期EOS時代の黒いL望遠単焦点です。









