OLYMPUS 35 SPとは?42mm F1.7とスポット測光を備えた高級レンジファインダーカメラの特徴
OLYMPUS 35 SPは、35mmフィルムを使用するレンズ固定式レンジファインダーカメラです。
大口径のG.Zuiko 42mm F1.7、二重像合致式の連動距離計、プログラム自動露出、完全マニュアル露出に加え、平均測光とスポット測光を切り替えられるデュアル測光システムを搭載しています。
取扱説明書では、通常の平均測光に加え、ファインダー中央の距離計二重像部分を利用したスポット測光を備えることが大きな特徴として紹介されています。平均測光の受光角は約20度、スポット測光は約6度です。
1969年にはOLYMPUS 35 SPがグッドデザイン賞を受賞しています。
一方、現在中古で使用する場合には、1.3Vの水銀電池を前提とした露出計、CdS受光素子、レンズシャッター、距離計、スポット測光ボタンなどを確認する必要があります。
この記事では、OLYMPUS 35 SPの特徴、プログラムAEとマニュアル露出、平均・スポット測光の使い方、基本操作、中古購入時の注意点を解説します。
OLYMPUS 35 SPとは
OLYMPUS 35 SPは、24×36mmの画面を記録する35mm判レンジファインダーカメラです。
レンズ交換はできず、G.Zuiko 42mm F1.7がボディへ固定されています。
主な特徴は次のとおりです。
- G.Zuiko 42mm F1.7
- 7枚構成の大口径レンズ
- 二重像合致式連動距離計
- プログラム自動露出
- 完全マニュアル露出
- 平均測光
- 約6度のスポット測光
- CdS受光素子
- B・1秒~1/500秒のマニュアルシャッター
- AUTO時は1/15~1/250秒
- フラッシュマチック
- ホットシュー
- セルフタイマー
AUTOではシャッター速度と絞りをカメラが自動的に決定します。
マニュアルでは、シャッター速度と絞り値を撮影者自身が設定できます。取扱説明書でも、AUTOでは最適なシャッター速度と絞りの組み合わせをカメラが選択し、MANUALではファインダー内のEV表示を利用して露出を決める方式とされています。
G.Zuiko 42mm F1.7を搭載
OLYMPUS 35 SPには、G.Zuiko 42mm F1.7が固定されています。
取扱説明書の仕様では42mm F1.7、7枚構成とされ、最小絞りはF16です。
42mmは35mm広角レンズより狭く、50mm標準レンズより少し広い画角です。
日常撮影では、
- 街歩き
- 旅行
- 人物
- 家族写真
- 室内
- 建物
- テーブルフォト
- 風景
などを1本で撮影しやすい焦点距離です。
広角レンズほど周囲を大きく取り込まず、50mmほど被写体だけを切り取る感覚にもならないため、人物とその場の雰囲気を一緒に写す用途とも相性がよいでしょう。
開放F1.7の大口径レンズ
開放F値はF1.7です。
F2.8やF3.5クラスのコンパクトカメラより多くの光を取り込めるため、暗い室内や夕方でもシャッター速度を確保しやすくなります。
さらに、被写体へ近づいてF1.7付近を使えば、背景をぼかした撮影も可能です。
ただし、開放では被写界深度が浅くなります。
35 SPの最短撮影距離は約0.85mなので、近距離・F1.7では距離計精度が重要です。取扱説明書でも0.85mから無限遠までの連動距離計を備えることが記載されています。
中古品では、レンズの描写以前に距離計が正しく調整されているかを確認しましょう。
二重像合致式レンジファインダー
ピント合わせには連動距離計を使用します。
ファインダー中央には明るい長方形の二重像部分があります。
被写体をその部分へ入れ、レンズのフォーカシングレバーを動かすと、一方の像が左右へ移動します。
2つの像が完全に重なれば合焦です。
取扱説明書では、0.85mから無限遠までの直接進退式ヘリコイドと、二重像合致式の連動距離計を採用するとされています。
人物では目や眼鏡、建物では柱や窓枠など、輪郭のはっきりした部分を使うと合わせやすくなります。
ファインダー倍率は約0.7倍
ファインダー倍率は約0.7倍です。
撮影範囲を示すブライトフレーム、近距離撮影用のパララックス補正マーク、距離計二重像、露出計のEV表示を確認できます。
ファインダー中央の距離計二重像部分は、スポット測光を行う範囲としても利用されます。
つまり35 SPでは、
「ここへピントを合わせる」場所と「ここだけの明るさを測る」場所がほぼ同じ
という分かりやすい設計です。
平均測光とスポット測光の2方式
OLYMPUS 35 SP最大の特徴が、デュアル測光システムです。
通常時は約20度の範囲を測る平均測光を使用し、必要な場合だけ約6度のスポット測光へ切り替えます。
平均測光
通常の撮影では、スポット測光ボタンを押さずに使用します。
カメラ前面のCdS受光素子が比較的広い範囲の明るさを測定します。
晴天の街並み、一般的な風景、順光の人物など、画面内に極端な明暗差がない場面では、この方法が扱いやすいでしょう。
スポット測光
逆光や明暗差の大きな場面では、スポット測光ボタンを押します。
ファインダー中央の二重像部分へ測光したい被写体を入れ、ボタンを押した状態で露出を測ります。
取扱説明書では、
- 明るい窓を背景にした人物
- 明るい背景と暗い被写体
- 暗い舞台上のスポットライトを浴びた人物
などがスポット測光の使用例として挙げられています。
スポット測光はAUTOでも使える
OLYMPUS 35 SPの面白い点は、スポット測光をマニュアル露出だけでなくAUTOでも利用できることです。
AUTO状態でファインダー中央へ被写体を入れ、スポット測光ボタンを押したままシャッターを切ります。
カメラは、その狭い範囲の明るさを基準としてシャッター速度と絞り値を決定します。
たとえば、窓際に立っている人物を撮影する場合、普通に平均測光すると明るい窓へ引っ張られ、顔が暗くなる可能性があります。
顔をスポット測光すれば、その人物を基準に露出を決められます。
プログラムAEを搭載
AUTO撮影では、シャッター速度リングと絞りリングの両方にある「A」を中央指標へ合わせます。
2つのAが揃うとプログラム自動露出になります。
重要なのは、OLYMPUS 35 SPのAUTOがシャッター優先AEではないことです。
シャッター速度も絞り値も、カメラが両方を決定します。
AUTO時の制御範囲は、ASA100の場合EV5.5~17。シャッター速度と絞りの組み合わせは、おおむねF1.7・1/15秒からF22・1/250秒までです。
AUTO時の最高速度は1/250秒
マニュアルでは1/500秒まで使用できますが、AUTOで自動選択される最高シャッター速度は1/250秒です。
したがって、晴天で高感度フィルムを使用すると、AUTOの制御範囲を超える場合があります。
ファインダー内の露出計がEV17を超える赤い領域へ入った場合は、露出オーバー警告です。
取扱説明書では、この場合NDフィルターの使用を推奨しています。
暗い場面では1/15秒まで低下する
AUTOでは暗くなると、シャッター速度が1/30~1/15秒付近へ低下します。
ファインダー内の露出計が黄色い領域へ入った場合は、低速シャッターへの注意表示です。取扱説明書でも、EV8未満では1/15~1/30秒となるため、手ブレや動く被写体に注意するよう案内されています。
35 SPはF1.7の明るいレンズを備えていますが、手ブレ補正はありません。
低速側では、
- 両脇を締める
- 壁や柱へ体を固定する
- 三脚を使う
- 高感度フィルムを使う
- フラッシュを使う
といった対策が必要です。
暗すぎるとシャッターがロックされる
AUTOの測光範囲を下回るEV5.5未満では、シャッターボタンが自動的にロックされます。
これは故障ではありません。
露出不足になる写真を防ぐための機構です。取扱説明書では、暗すぎてAUTO撮影できない場合はマニュアル露出またはフラッシュ撮影へ切り替えるよう案内されています。
フィルム装填時に暗い場所でシャッターが切れない場合もあります。
その場合は絞りリングをAから外すことで、AUTOのシャッターロックを解除できます。
完全マニュアル露出に対応
AUTOだけでなく、完全なマニュアル露出も可能です。
シャッター速度リングと絞りリングをA位置から外すと、撮影者が両方を設定できます。
マニュアル時のシャッター速度は、
- B
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
- 1/30秒
- 1/60秒
- 1/125秒
- 1/250秒
- 1/500秒
です。
絞りはF1.7からF16まで使用できます。
マニュアルでも内蔵露出計を使用できる
35 SPは、マニュアル露出でも露出計を利用できます。
ファインダーの針が示したEV値を読み、そのEV値をシャッター速度リングの小窓へ合わせます。
たとえば露出計がEV12を示した場合、まずシャッター速度を撮影目的に合わせて選び、そのEV値になるよう絞りリングを調整します。
同じEVを維持したまま、
- 動きを止めたい → シャッター速度を上げる
- 背景をぼかしたい → 絞りを開く
- 被写界深度を広げたい → 絞り込む
- 動感を出したい → シャッター速度を下げる
といった表現ができます。
AUTOではできない撮影者主体の露出設定が可能です。
マニュアルでもスポット測光できる
マニュアル露出でもスポット測光を使用できます。
ファインダー中央へ測りたい部分を入れ、スポット測光ボタンを押します。
その状態で露出計が示したEV値を読み、シャッター速度リングの小窓へ同じ値を設定します。
この組み合わせは35 SPならではの魅力です。
たとえば人物の顔だけを測光したあと、意図的に-1EVへ変更して暗めに仕上げるなど、自動露出以上に細かな表現ができます。
CdS受光素子を採用
露出計にはCdS受光素子が使われています。
測光素子はボディ前面にあるため、レンズを通った光を測るTTL方式ではありません。
そのため、レンズへNDフィルターやカラーフィルターを装着しても、その減光量を露出計が自動的に把握できない場合があります。
フィルター使用時はフィルター係数を確認し、ASA設定やマニュアル露出で補正しましょう。
1.3VのPX625水銀電池を使用
露出計の電源には1.3VのPX625型水銀電池が指定されています。
取扱説明書ではPX625、RM625R、E625などが指定されています。
現在、水銀電池は一般販売されていません。
実用する場合は、
- 1.35V前後の空気亜鉛電池
- 電圧変換機能付きアダプター
- 1.5V電池対応への露出計調整
- 内蔵露出計を使わず単体露出計を使用
などが候補になります。
形状が近い1.5V電池をそのまま入れただけでは、露出計が正しい値を示すとは限りません。
CdS受光素子そのものも経年しているため、使用前には現代の露出計やデジタルカメラと比較するのが安全です。
電池がなくてもマニュアル撮影は可能
電池が必要なのは露出計と、それを利用したAUTO露出です。
シャッター自体は機械式なので、マニュアルへ切り替えれば電池なしでも撮影できます。
外部露出計やスマートフォンの露出計アプリで露出を測り、シャッター速度と絞りを設定すれば使用可能です。
この点は、電子制御シャッター機より安心感があります。
内蔵露出計が故障しても、カメラそのものが完全に撮影不能になるわけではありません。
ASA25~800に対応
フィルム感度はASA25から800まで設定できます。
現在のISOとASAは通常の撮影では同じ数値として扱えます。
- ISO100 → ASA100
- ISO200 → ASA200
- ISO400 → ASA400
- ISO800 → ASA800
フィルム交換時に設定を変更し忘れると、AUTO露出と露出計表示の両方がずれます。
特にISO100から400へ交換した場合は2段違うため、全コマへ大きく影響します。
レンズシャッターを搭載
35 SPにはSeiko製のプログラム対応レンズシャッターが搭載されています。
レンズシャッターは、レンズ鏡筒内部の羽根が開閉して露光する方式です。
フォーカルプレーンシャッターと比べ、
- 作動音が比較的小さい
- 振動を抑えやすい
- フラッシュ同調速度の自由度が高い
といった特徴があります。
一方、古い個体ではシャッター羽根へ油が回り、動作が遅くなることがあります。
Bから1/500秒まで使える
マニュアルではBと1秒~1/500秒を使用できます。
1秒や1/2秒といった低速を利用できるため、三脚を使った夜景撮影にも対応します。
Bではシャッターボタンを押している間だけシャッターが開くため、数秒から数分の長時間露光も可能です。
AUTOでは最長1/15秒なので、長時間露光を行う場合はマニュアルへ切り替えます。
フラッシュマチック機構
35 SPには、撮影距離に連動して絞り値を決定するフラッシュマチック機構があります。
使用するフラッシュのガイドナンバーを設定すると、ピント合わせによる撮影距離の変化に合わせて、適切な絞り値が自動的に選ばれます。取扱説明書ではガイドナンバー10~80mに対応するとされています。
たとえば被写体へ近づけば絞り込み、遠ざかれば絞りを開きます。
現在のTTLフラッシュとは異なる機械式の自動化ですが、距離とガイドナンバーから毎回F値を計算する手間を減らせます。
ホットシューとシンクロ端子
ボディ上面には中央接点付きのホットシューがあります。
対応フラッシュならコードを使わず発光できます。
通常のコード式フラッシュを使うためのシンクロ端子も装備されています。
フラッシュバルブ使用時は1/30秒へ設定するよう、取扱説明書で案内されています。
電子フラッシュを使用する場合は、使用するフラッシュの仕様も確認しましょう。
約9秒のセルフタイマー
セルフタイマーも搭載されています。
作動時間は約9秒です。
取扱説明書では、BおよびAUTOを除くシャッター速度で使用できるとされています。
集合写真だけでなく、三脚撮影でシャッターボタンを直接押す振動を避けたい場合にも利用できます。
ただし、製造から長期間が経った機械式セルフタイマーは固着することがあります。
中古で動作未確認の場合、いきなり最大まで巻くのは避けた方が安全です。
フィルム装填を簡単にするELシステム
35 SPには、ELと呼ばれる簡易フィルム装填方式が採用されています。
フィルム先端を巻き取りスプールに設けられた複数の溝のいずれかへ差し込み、そのまま巻き上げます。取扱説明書では6本の溝を持つ巻き取りスプールが案内されています。
一般的なスリットへ正確にフィルム先端を差し込む方式より、装填しやすい設計です。
それでも、裏蓋を閉じる前にはパーフォレーションがスプロケットへ掛かっていることを確認しましょう。
フィルム巻き上げレバー
巻き上げレバーは約30度の予備角と約120度の巻き上げ角を持ちます。
レバーを最後まで動かすと、
- フィルム送り
- シャッターチャージ
- フィルムカウンター送り
が行われます。
途中で止めて無理に戻すと機構へ負担が掛かります。
取扱説明書でも、停止位置まで確実に巻き上げるよう注意されています。
OLYMPUS 35 SPの基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mmレンズ固定式レンジファインダー |
| フィルム | 35mmフィルム |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズ | G.Zuiko 42mm F1.7 |
| レンズ構成 | 7枚 |
| 最小絞り | F16 |
| ピント方式 | 二重像合致式連動距離計 |
| 撮影距離 | 0.85m~無限遠 |
| ファインダー倍率 | 約0.7倍 |
| 測光方式 | 平均測光・スポット測光 |
| 平均測光受光角 | 約20度 |
| スポット測光角 | 約6度 |
| 受光素子 | CdS |
| AUTO | プログラム自動露出 |
| AUTO範囲 | EV5.5~17・ASA100 |
| AUTOシャッター | 約1/15~1/250秒 |
| AUTO絞り | F1.7~F22 |
| MANUALシャッター | B・1秒~1/500秒 |
| MANUAL絞り | F1.7~F16 |
| フィルム感度 | ASA25~800 |
| フラッシュ | ホットシュー・シンクロ端子 |
| フラッシュマチック | あり |
| セルフタイマー | 約9秒 |
| フィルター径 | 49mm |
| 電池 | PX625型1.3V水銀電池 |
| 寸法 | 約129×76×61mm |
| 重量 | 約600g |
基本仕様はOLYMPUS 35 SPの取扱説明書に基づきます。
OLYMPUS 35 SPの基本的な使い方
フィルムを装填する
裏蓋を開き、35mmフィルムをフィルム室へ入れます。
フィルム先端を巻き取りスプールの溝へ差し込み、巻き上げてパーフォレーションをスプロケットへ掛けます。
裏蓋を閉じて空送りを行い、カウンターを1へ進めます。
ASA感度を設定する
上面のフィルム感度設定部を、使用するフィルムへ合わせます。
ISO100ならASA100、ISO400ならASA400です。
AUTO撮影では2つのAを合わせる
シャッター速度リングと絞りリングの両方をAへ設定します。
2つのAが中央指標へ揃っていることを確認します。片方だけAではプログラム自動露出になりません。
ピントを合わせる
ファインダー中央の二重像へ被写体を入れます。
フォーカシングレバーを動かし、2つの像が重なる位置へ合わせます。
露出計を確認する
ファインダー内のEV指針を確認します。
黄色い低速領域へ入っている場合は手ブレに注意します。
赤い高輝度領域へ入った場合は、AUTOの露出範囲を超えています。
必要ならスポット測光する
逆光や明暗差の大きな場面では、中央の距離計部分へ測光対象を入れ、スポット測光ボタンを押した状態で撮影します。
シャッターを切る
ピント、構図、露出表示を確認してシャッターボタンをゆっくり押します。
撮影後は巻き上げレバーを最後まで動かします。
中古購入時に確認したいポイント
レンズのカビや曇り
G.Zuiko 42mm F1.7へ光を斜めから当てます。
確認したい症状は次のとおりです。
- 糸状のカビ
- 白い曇り
- コーティング劣化
- 前玉や後玉の深い傷
- 貼り合わせ面の劣化
- 大きな異物
35 SPはレンズ固定式なので、レンズだけを交換して解決できません。
ボディが美しくても、強い曇りがある個体は慎重に判断しましょう。
距離計の二重像
遠くの建物へ向け、無限遠で二重像が一致するか確認します。
次に1m前後の被写体でも確認しましょう。
- 左右にずれる
- 上下にずれる
- 二重像が極端に薄い
- フォーカスを動かしても像が動かない
- 無限遠で一致しない
場合は距離計調整が必要です。
特に42mm F1.7の開放では、わずかな距離計ずれでも実写へ影響します。
実写でピントを確認する
ファインダー上で二重像が一致していても、実際のフィルム面との連動がずれている場合があります。
可能なら、
- 0.85~1m付近・F1.7
- 2~3m・F1.7
- 無限遠
を試写しましょう。
開放で確認すると距離計の誤差を発見しやすくなります。
シャッターが全速度で動くか
マニュアルへ切り替え、
- B
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
- 1/30秒
- 1/60秒
- 1/125秒
- 1/250秒
- 1/500秒
を確認します。
特に1秒~1/15秒の低速側は、古いレンズシャッターで粘りが出やすい部分です。
途中で止まる、羽根が閉じない、速度差が感じられない個体は整備が必要です。
シャッター羽根の油
裏蓋を開き、フィルム面側から羽根を確認します。
油が付着していると、
- 開かない
- 閉じるのが遅い
- 途中で止まる
- 撮影ごとに速度が変わる
可能性があります。
羽根へ直接触れてはいけません。
AUTOが明暗へ反応するか
2つのAを合わせ、明るい屋外と暗めの室内でシャッターを切ります。
正常なら、シャッター速度と絞りの組み合わせが変化します。
どの明るさでも同じ動作しかせず、単にシャッターだけ切れる個体は、自動露出機構が正常とは限りません。
暗所ロック
AUTO状態でレンズキャップを付けるか受光部を遮り、シャッターボタンを押します。
EV5.5未満相当の暗さではシャッターがロックされる設計です。
次に明るい場所へ向け、ロックが解除されるか確認します。
常にロックされる場合は、電池、接点、CdS、AUTO機構などを疑います。
露出計の精度
適切な電池を使用し、現代の露出計やデジタルカメラと比較します。
- 晴天
- 日陰
- 室内
- ASA100
- ASA400
など複数条件で確認します。
常に一定量だけずれる場合は調整で対応できる可能性がありますが、明るさによって誤差量が大きく変わる場合は、CdS受光素子や回路の劣化が考えられます。
1.3V電池問題
中古販売ページで「露出計作動」と書かれていても、どの電池を使って確認したのかが重要です。
1.5V電池をそのまま使用している場合、測光値が設計値からずれている可能性があります。
実用品として使うなら、
- 1.35V相当電池
- 電圧変換アダプター
- 1.5V対応調整済み個体
などを選び、実際の露出精度まで確認しましょう。
電池室の腐食
底面の電池室を開きます。電池はプラス側を外へ向けて装着する構造です。
確認項目は、
- 白色や緑色の腐食
- 接点の黒ずみ
- 電池蓋の固着
- ねじ山の破損
- 内部への液漏れ跡
です。
腐食が内部配線まで達していると、表面清掃だけでは直らない場合があります。
スポット測光ボタン
ボタンを押し、ファインダー内の露出計表示が平均測光時から変化するか確認します。
明暗差の大きな場面で、
- 平均測光
- 明るい部分をスポット測光
- 暗い部分をスポット測光
の3条件を比較すると分かりやすくなります。
どこを測っても同じ値なら、ボタンや測光切り替え機構が正常でない可能性があります。
ファインダー
明るい壁へ向けて確認します。
- 曇り
- カビ
- 二重像の薄れ
- ブライトフレームの欠け
- EV目盛りが見えない
- パララックス補正マークが見えない
- 接眼レンズの傷
35 SPは距離計、測光、構図という3つの重要な情報を同じファインダーで確認します。
ファインダー状態は撮影快適性に直結します。
絞り羽根
マニュアルでF1.7からF16まで変化させます。
羽根が滑らかに動き、
- 油がない
- 開口部がいびつでない
- F16まで閉じる
- F1.7まで開く
ことを確認します。
AUTOでも絞り羽根を利用するため、粘りがあれば自動露出も不正確になります。
フォーカシングレバー
0.85mから無限遠まで動かします。
極端に重い、途中で引っ掛かる、ガタが大きい個体は注意が必要です。
グリースの固着だけでなく、過去の落下や不適切な分解が原因の場合もあります。
巻き上げレバー
最後まで滑らかに巻き上げられるか確認します。
- 途中で引っ掛からない
- フィルム送りとシャッターチャージが行われる
- シャッターを切るまで二重巻き上げできない
- カウンターが1コマ進む
ことを確認しましょう。
途中から無理に戻してはいけません。
フィルムカウンター
裏蓋を開けるとSへ戻り、巻き上げるたびに1コマずつ進むことを確認します。
カウンターが動かなくても撮影できる場合がありますが、残り枚数を把握しにくくなります。
裏蓋とモルト
裏蓋の蝶番、溝、接合部の遮光材を確認します。
モルトが、
- 粉状に崩れる
- べたつく
- 完全に消失している
場合は交換を検討します。
最初の試写では強い日差しの下でも撮影し、フィルム端に光漏れが出ないか確認しましょう。
セルフタイマー
機械式セルフタイマーが途中で止まらないか確認します。
ただし、動作未確認の中古品では無理に作動させる必要はありません。
固着したセルフタイマーを強引に動かすと、シャッター機構まで巻き込む可能性があります。
ホットシューとシンクロ端子
フラッシュを使用するなら、中央接点とシンクロ端子の腐食を確認します。
古いフラッシュでは高いトリガー電圧を持つ製品もあるため、他の電子カメラと共用する場合は仕様を確認しましょう。
OLYMPUS 35 SPが向いている人
OLYMPUS 35 SPは、次のような人に向いています。
- 大口径レンズ付きレンジファインダーを使いたい人
- 40mm前後の画角が好きな人
- プログラムAEで気軽に撮りたい人
- 必要な場面では完全マニュアルへ切り替えたい人
- スポット測光を活用したい人
- 逆光や舞台など明暗差の大きな被写体を撮りたい人
- 距離計によるピント合わせを楽しみたい人
- 電池がなくてもマニュアル撮影できるカメラを求める人
- 1960年代末の高級国産カメラが好きな人
AUTOとMANUALを両方備えているため、撮影スタイルに合わせて使い分けられます。
OLYMPUS 35 SPが向かない場合
一方、次のような人には別のカメラが適している可能性があります。
- オートフォーカスを使いたい人
- 現行電池を無条件で使いたい人
- 小型軽量を最優先する人
- レンズ交換を楽しみたい人
- AUTOで1/500秒を使いたい人
- 絞り優先AEやシャッター優先AEを使いたい人
- 露出計の整備や校正を避けたい人
- 中古電子部品の故障リスクを避けたい人
特に、AUTOでシャッター速度だけを指定したい人には向きません。
35 SPのAUTOはプログラム式で、シャッター速度と絞りをカメラがまとめて決定します。
まとめ
OLYMPUS 35 SPは、大口径G.Zuiko 42mm F1.7と高度な露出制御を組み合わせた35mmレンジファインダーカメラです。
主な特徴は次のとおりです。
- 24×36mmの35mm判
- G.Zuiko 42mm F1.7
- 7枚構成の大口径レンズ
- 二重像合致式連動距離計
- 最短撮影距離0.85m
- プログラム自動露出
- 完全マニュアル露出
- 平均測光
- 約6度のスポット測光
- CdS受光素子
- AUTOは約1/15~1/250秒
- MANUALはB・1秒~1/500秒
- ASA25~800
- フラッシュマチック
- ホットシュー
- 49mmフィルター
- 約600g
中古購入時は、「露出計の針が動く」「シャッターが切れる」というだけでは十分ではありません。
平均測光とスポット測光の両方、AUTOの明暗追従、暗所ロック、マニュアル全速度、絞り羽根、距離計精度まで確認する必要があります。
さらに、露出計は1.3VのPX625型水銀電池を前提としているため、現在どの電池で調整されているかも重要です。
一方、露出計やAUTOに問題があっても、シャッターそのものが正常ならマニュアル撮影は可能です。
平均測光で素早く撮る。
逆光なら中央へ被写体を置き、スポットボタンを押す。
さらに露出を自分で決めたければ、Aを解除して1/500秒から1秒、F1.7からF16を操る。
OLYMPUS 35 SPは、「全部カメラ任せ」と「全部自分で決める」の間を自由に行き来できる、非常に完成度の高いレンズ固定式レンジファインダーです。









