OLYMPUS TRIP 35とは?電池不要の自動露出と40mm F2.8を備えた名作カメラの特徴
OLYMPUS TRIP 35は、35mmフィルムを使用するレンズ固定式のコンパクトカメラです。
1968年に登場し、旅行へ気軽に持ち出せるカメラという意味から「TRIP」と名づけられました。オリンパスの製品史では、PEN EESを基礎とした小型EEカメラであり、約20年にわたって販売されたロングセラーモデルと紹介されています。
レンズはD.Zuiko 40mm F2.8。ピント合わせには4段階のゾーンフォーカスを採用し、露出はレンズ周囲の受光部が被写体の明るさを測って自動的に決定します。
自動露出で使われるシャッター速度は1/40秒と1/200秒の2種類。絞りはF2.8からF22まで自動的に変化します。暗すぎて適正露出を得られない場合は、ファインダー内に赤い警告板が現れ、シャッターボタンがロックされます。
露出計と自動露出に電池を必要としないため、代替電池や電圧調整を気にせず使えることも大きな特徴です。
ただし、製造から半世紀以上が経過した中古品では、受光部、露出連動、絞り羽根、シャッター羽根などが正常に働いているかを確認しなければなりません。
この記事では、OLYMPUS TRIP 35の特徴、ゾーンフォーカス、自動露出、赤い警告表示、フラッシュ撮影、基本的な使い方、中古購入時の注意点を解説します。
OLYMPUS TRIP 35とは
OLYMPUS TRIP 35は、35mmフィルムへ24×36mmの画面を記録するフルサイズのコンパクトカメラです。
オリンパスのPENシリーズは35mmフィルムを半分ずつ使うハーフ判でしたが、TRIP 35は一般的な35mmカメラと同じ24×36mm判を採用しています。
36枚撮りフィルムなら原則として36枚、24枚撮りなら24枚を撮影します。取扱説明書の仕様にも、フィルムサイズ24×36mmと記載されています。
主な操作は次のとおりです。
- フィルムを装填する
- ASA感度を設定する
- 被写体までの距離を選ぶ
- ファインダーで構図を決める
- シャッターを切る
- フィルムを巻き上げる
シャッター速度と絞り値は、通常のAUTO撮影ではカメラが自動的に決定します。
オートフォーカスではありませんが、距離を4段階の記号から選ぶだけなので、一般的なマニュアルフォーカスカメラより簡単に撮影できます。
1968年に登場したロングセラーカメラ
OMデジタルソリューションズの製品史では、OLYMPUS TRIP 35の登場年は1968年とされています。
名称の「TRIP」は、旅行へ気軽に持ち出せるカメラという製品コンセプトに由来します。高い描写力、簡単な操作、故障の少なさ、購入しやすい価格によって人気を集め、約20年間販売されたと説明されています。
また、TRIP 35は1968年のグッドデザイン賞を受賞しています。
現在ではクラシックカメラとして扱われていますが、もともとは特別な撮影技術を持つ人だけのカメラではありません。
旅行、家族写真、日常の記録などを、難しい露出操作なしで撮影するために作られた実用機です。
35mmフルサイズを採用
TRIP 35は、一般的な35mmフィルムへ24×36mmの画面を記録します。
OLYMPUS PEN EE-2のようなハーフ判カメラと比べると、1コマあたりのフィルム面積が大きくなります。
そのため、同じフィルムと同じプリントサイズで比較した場合は、ハーフ判より粒状感を抑えやすく、細部にも余裕を持たせやすくなります。
一方、36枚撮りフィルムから撮影できる枚数は約36枚です。
ハーフ判のように72枚撮影できる経済性はありませんが、フィルムを比較的早く撮り切りやすく、現像結果を待つ期間も短くできます。
D.Zuiko 40mm F2.8レンズ
TRIP 35には、D.Zuiko 40mm F2.8レンズが固定されています。
レンズ構成は3群4枚、絞り範囲はF2.8からF22です。フィルター径は43.5mmとされています。
40mmの自然な画角
40mmは、35mm広角レンズより画面が狭く、50mm標準レンズより少し広く写ります。
次のような撮影に使いやすい画角です。
- 旅行先の風景
- 街歩き
- 人物と背景
- 家族写真
- 店舗や建物
- 日常のスナップ
- テーブル上の物
28mmや35mmほど広角感が強くなく、50mmほど被写体だけを切り取る感じにもなりません。
人物の周囲にある景色や、その場の雰囲気を一緒に収めやすい焦点距離です。
開放F2.8
開放F値はF2.8です。
明るい屋外だけでなく、曇天、日陰、比較的明るい室内でも撮影しやすい明るさを備えています。
ただし、自動露出時に撮影者がF2.8を直接選ぶことはできません。
カメラが被写体の明るさとASA感度に応じて、F2.8からF22までの範囲で絞りを決定します。
背景をぼかしたいからF2.8を選ぶ、画面全体を鮮明にしたいからF8を選ぶという操作は、AUTOでは行えません。
レンズ交換はできない
TRIP 35はレンズ固定式です。
広角レンズ、望遠レンズ、マクロレンズへ交換することはできません。
被写体を大きく写したい場合は撮影者が近づき、広い範囲を写したい場合は後ろへ下がって調整します。
レンズ交換ができない一方で、40mmレンズ、シャッター、自動露出、距離表示を一体として小さくまとめられています。
旅行中に交換レンズを持ち歩いたり、レンズ交換中にシャッターチャンスを逃したりすることもありません。
4段階のゾーンフォーカス
TRIP 35はオートフォーカスではありません。
レンズ周囲のフォーカスリングを回し、被写体までのおおよその距離を撮影者が選びます。
フォーカスリングには4種類の距離記号と、メートル・フィートによる距離目盛りが表示されています。取扱説明書では、記号による簡易設定と、距離目盛りを使ったより細かな設定の両方が案内されています。
4種類の記号は、おおむね次の撮影を想定しています。
- 近距離の人物
- 1人から2人程度の人物
- 複数人や中距離の被写体
- 遠景や風景
被写体までの距離を厳密に測る必要はなく、状況に近い記号を選んで撮影します。
ファインダー内でも距離記号を確認できる
ファインダーの右下には、現在選択している距離記号を表示する小窓があります。
フォーカスリングを回すと、小窓の記号も切り替わります。
カメラを目から離さなくても、どの距離へ設定しているか確認できます。
これはスナップ撮影で便利な機能です。
被写体を見つけたら、ファインダーをのぞきながら距離記号を確認し、そのままシャッターを切れます。
ただし、記号を選び間違えるとピンぼけになります。
AUTO露出が正確でも、距離設定が違えば写真は鮮明になりません。
距離目盛りによる細かな設定
記号だけでなく、レンズ下部にはメートルとフィートの距離目盛りもあります。
人物、静物、フラッシュ撮影などで距離をより正確に合わせたい場合は、被写体までの距離を推測または測定し、対応する数字を赤い指標へ合わせます。
ゾーンフォーカスはレンジファインダーのように二重像を重ねる方式ではなく、一眼レフのようにファインダーでピント面を確認する方式でもありません。
撮影前に距離を判断する必要があります。
最短撮影距離は約1m
取扱説明書では、1mまたは人物用の近距離記号で撮影する場合、ファインダー内の小さな補正指標を使って構図を決めるよう案内されています。
約1mより近い被写体では、ピントを合わせにくくなります。
次のような撮影には向いていません。
- 花や昆虫の接写
- 小さな商品の撮影
- 書類の複写
- 料理へ極端に近づいた撮影
- 腕を伸ばした自撮り
近距離では、距離設定だけでなくファインダーと撮影レンズの位置の違いによるパララックスにも注意が必要です。
ファインダーとパララックス補正
TRIP 35は、倍率約0.55倍のブライトフレーム式ファインダーを搭載しています。
撮影レンズとファインダーは別の場所にあるため、近距離ではファインダーで見た範囲と実際にフィルムへ写る範囲にずれが生じます。
取扱説明書では、約1mまたは近距離人物設定で撮影する場合、ブライトフレーム内に設けられた3つの小さな指標を基準に構図を決めるよう説明されています。
近距離撮影では、画面の端ぎりぎりへ人物の頭や物を配置しない方が安全です。
少し余裕を持たせて撮影すれば、パララックスによる切れを防ぎやすくなります。
レンズ周囲の受光部で露出を測る
TRIP 35のレンズ周囲には、細かな凹凸を持つ受光部があります。
この部分が被写体の明るさを測定し、AUTO時のシャッター速度と絞り値を決定します。
TRIP 35の露出機構にはセレン光電池が使われており、光を受けることで測光機構を動かします。電池を使わず自動露出を行えるのは、この仕組みによるものです。
受光部をふさがない
受光部はレンズの周囲に配置されています。
撮影時に指、ストラップ、ケース、テープなどで隠すと、カメラは実際より暗いと判断する可能性があります。
レンズキャップを付けた状態では、レンズだけでなく受光部へも光が入りません。
AUTOでは赤い警告板が出てシャッターがロックされます。
電池不要の自動露出
TRIP 35には、露出計用の電池室がありません。
指定電池、代替電池、電圧変換アダプターを用意せずにAUTO撮影を利用できます。
水銀電池を前提とする同年代のカメラと比べ、現在でも使いやすい部分です。
一方、電池を入れれば直るカメラではありません。
受光部、メーター、絞り連動、シャッター機構のどこかに不具合がある場合は、分解整備や調整が必要です。
AUTOでは2種類のシャッター速度を使用
TRIP 35のAUTO露出で使用されるシャッター速度は、1/40秒と1/200秒です。
絞りはF2.8からF22まで自動的に変化し、2種類のシャッター速度と組み合わせて露出を調整します。
1/40秒
暗めの場面で使用される低速側です。
手持ち撮影は可能ですが、シャッターボタンを乱暴に押すと手ブレが起こりやすくなります。
人物や乗り物などが動いている場合は、被写体ブレにも注意が必要です。
1/200秒
明るい場面で使用される高速側です。
日中の屋外、晴天、明るい窓際などで選択されやすくなります。
歩いている人物や日常的な動きを、1/40秒より止めやすくなります。
シャッター速度を直接選ぶことはできない
AUTOでは、撮影者が1/40秒または1/200秒を直接選択することはできません。
被写体の明るさ、ASA感度、カメラ内部の露出プログラムによって決まります。
動く被写体だから1/200秒を選ぶ、流れる水を写したいから1/40秒を選ぶといった操作はできません。
TRIP 35は、露出表現を細かく作り込むカメラではなく、露出操作をカメラへ任せて素早く撮影するカメラです。
赤い警告板とシャッターロック
AUTO時に光量が不足すると、ファインダー内へ赤い警告板が現れます。
同時にシャッターボタンがロックされ、露出不足になる写真を撮れないようになっています。取扱説明書では、警告が出た場合は明るい場所へ移動するか、フラッシュ撮影を行うよう案内されています。
この警告板は、愛好家の間で「赤ベロ」「赤旗」などと呼ばれることがあります。
赤い警告板が出るのは故障ではない
暗い部屋でシャッターが切れない場合は、まずファインダー内を確認します。
赤い警告板が出ていれば、露出不足防止機構が働いています。
次の方法で対応します。
- 明るい場所へ移動する
- 被写体へ照明を当てる
- 高感度フィルムを使用する
- フラッシュを使う
- 絞りをAUTO以外へ切り替える
ただし、絞りを手動設定へ変更してシャッターを切っても、自動的に適正露出になるわけではありません。
赤い警告板が動くだけでは露出正常とは限らない
中古のTRIP 35では、受光部を隠して赤い警告板が出れば「露出計正常」と説明されることがあります。
しかし、赤い警告板が作動することは、自動露出機構が何らかの形で明暗へ反応していることを示すだけです。
実際に1/40秒と1/200秒が適切に切り替わるか、絞り羽根が適切な位置まで動くか、測光値が正確かまでは分かりません。
中古購入時は、赤い警告板に加えて、明るさを変えたときのシャッターと絞りの動作も確認する必要があります。
AUTOの測光範囲
取扱説明書の仕様では、測光範囲はASA100で約EV8.3から17.1です。
晴天の屋外、曇天、日陰などには対応しやすい一方、暗い室内や夜景は自動露出範囲を外れやすくなります。
開放F2.8を備えていても、AUTOの最長シャッター速度は1/40秒です。
数秒間の長時間露光には対応していません。
ASA感度は25~400
フィルム感度は、レンズ鏡筒のASA設定リングで設定します。
対応範囲はASA25から400です。ASA32のフィルムを使用する場合はASA40の目盛りへ合わせるよう、取扱説明書で案内されています。
現在のISOとASAは、通常の撮影では同じ数値として扱えます。
- ISO100:ASA100
- ISO200:ASA200
- ISO400:ASA400
ASA設定を間違えると、フィルム全体の露出がずれます。
フィルム交換時には必ず確認しましょう。
AUTOへの設定方法
レンズ周囲の絞りリングを回し、「A」の文字を赤い指標へ合わせます。
A位置でクリックして止まれば、自動露出モードです。
Aから外れてF2.8、F4、F5.6などの数字が指標へ合っている場合は、手動絞りモードになります。
中古品では、A位置へ正確に止まるか、リングが途中で引っ掛からないか確認しましょう。
手動絞りモード
絞りリングをAから外し、F2.8からF22の数字を赤い指標へ合わせると、絞りを手動で設定できます。
この状態では、周囲が暗くても赤い警告板によるシャッターロックが解除されます。
ただし、シャッター速度は常に1/40秒です。
完全マニュアル露出ではない
手動で選べるのは絞り値だけです。
シャッター速度は1/40秒に固定されるため、一般的なマニュアルカメラのように1/15秒、1/125秒、1/500秒などを自由に選択できません。
主な用途はフラッシュ撮影です。
自然光で使用する場合は、単体露出計などを使い、1/40秒に対応する絞り値を自分で求める必要があります。
手動絞りでも露出機構の影響を受ける可能性
TRIP 35の手動絞りは、シャッターを自由に切るための機能ではありますが、完全に独立した機械式マニュアル露出として過信しない方が安全です。
経年した個体では、露出連動部や絞り羽根の固着によって、絞りリングの数字どおりに羽根が動かない場合があります。
手動絞りを使う場合も、裏蓋を開けて各F値の開口部が変化するか確認しましょう。
フラッシュ撮影
暗くて赤い警告板が出る場面では、フラッシュ撮影を利用できます。
取扱説明書では、絞りリングをAから外し、使用するフラッシュと撮影距離に適したF値へ設定するよう案内されています。
手動絞り時のシャッター速度は、自動的に1/40秒へ固定されます。
ホットシューとシンクロ端子
ボディ上部には、中央接点を備えたアクセサリーシューがあります。
中央接点に対応するフラッシュなら、シューへ差し込むだけで発光できます。
コード式フラッシュを使用する場合は、カメラ前面のシンクロ端子へケーブルを接続します。
フラッシュ時の絞り値
マニュアル発光式のフラッシュでは、ガイドナンバーと被写体までの距離から絞り値を求めます。
たとえばISO100でガイドナンバー16のフラッシュを使用し、被写体まで2mなら、目安となる絞り値はF8です。
外部自動調光式フラッシュを使用する場合は、フラッシュ側が指定する絞り値をTRIP 35へ設定します。
フィルムの装填
裏蓋ロックを引くと、裏蓋が開きます。
巻き戻しノブを引き上げて35mmフィルムをフィルム室へ入れ、フィルム先端を巻き取りスプールの溝へ差し込みます。
上下のパーフォレーションがスプロケットの歯へ正しく掛かっていることを確認してから、裏蓋を閉じます。
フィルム装填後は、巻き上げと空シャッターを2~3回繰り返し、カウンターを1へ合わせます。
巻き上げノブが同時に回転していれば、フィルムが正常に送られている可能性が高くなります。
巻き上げと二重露光防止
TRIP 35は上面の巻き上げレバーでフィルムを送ります。
1回の巻き上げは、1度に大きく動かす方法と、複数回に分けて小刻みに動かす方法の両方に対応します。
フィルム送りと同時にシャッターがチャージされ、二重巻き上げと二重露光を防止します。
巻き上げが途中で止まった場合は、無理にシャッターを押さず、レバーが停止位置まで動いているか確認しましょう。
フィルムカウンター
フィルムカウンターは撮影済み枚数を表示する順算式です。
裏蓋を開くと自動的にスタート位置へ戻ります。
カウンターが36、24、12など使用中のフィルム枚数へ達したら、それ以上巻き上げずにフィルムを巻き戻します。
フィルムが終わった状態でレバーへ強い力を加えると、パーフォレーションや巻き上げ機構を傷める可能性があります。
フィルムの巻き戻し
撮影が終わったら、底面の巻き戻しボタンを押します。
上面の巻き戻しクランクを起こし、矢印方向へ回してフィルムをパトローネへ戻します。
フィルム先端が巻き取りスプールから外れると、クランクの抵抗が軽くなります。
完全に巻き戻してから裏蓋を開けます。
直射日光の下でフィルムを取り出すのは避けましょう。
OLYMPUS TRIP 35の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mmレンズ固定式コンパクトカメラ |
| 登場年 | 1968年 |
| 使用フィルム | 35mmフィルム |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズ | D.Zuiko 40mm F2.8 |
| レンズ構成 | 3群4枚 |
| 絞り範囲 | F2.8~F22 |
| ピント方式 | 4段階ゾーンフォーカス |
| 距離表示 | 記号・メートル・フィート |
| 最短撮影距離 | 約1m |
| 自動露出 | プログラム式 |
| AUTOシャッター | 1/40秒・1/200秒 |
| 手動絞り時 | 1/40秒固定 |
| 露出不足警告 | 赤い警告板・シャッターロック |
| フィルム感度 | ASA25~400 |
| ファインダー | ブライトフレーム式 |
| ファインダー倍率 | 約0.55倍 |
| フラッシュ | ホットシュー・シンクロ端子 |
| フィルター径 | 43.5mm |
| 電池 | 不要 |
| 寸法 | 約116×70×57mm |
| 重量 | 約410g |
基本仕様はTRIP 35の取扱説明書とOMデジタルソリューションズの製品史に基づきます。
OLYMPUS TRIP 35の基本的な撮影手順
フィルムを入れる
35mmフィルムを装填し、パーフォレーションがスプロケットへ正しく掛かっていることを確認します。
裏蓋を閉じ、空送りしてカウンターを1へ合わせます。
ASA感度を設定する
レンズ周囲のASA設定リングを、使用するフィルムのISO感度と同じ数字へ合わせます。
ISO100ならASA100、ISO400ならASA400です。
絞りリングをAへ合わせる
通常撮影では、絞りリングのAを赤い指標へ合わせます。
クリック位置へ確実に止まっていることを確認します。
被写体までの距離を選ぶ
被写体までの距離を目測し、4つの距離記号から近いものを選びます。
重要な撮影やフラッシュ撮影では、メートル目盛りを使うとより正確です。
ファインダーで構図を決める
ブライトフレーム内へ被写体を配置します。
近距離ではパララックス補正指標を使い、少し余裕を持たせた構図にします。
赤い警告板を確認する
シャッターボタンを軽く押します。
暗すぎる場合は赤い警告板が現れ、シャッターがロックされます。
警告が出たら、明るい場所へ移動するかフラッシュを使用します。
シャッターを切る
カメラを両手で支え、シャッターボタンを指の腹でゆっくり押します。
特に1/40秒では、ボタンを強く突かないようにしましょう。
フィルムを巻き上げる
撮影後は巻き上げレバーを停止位置まで動かします。
次の距離設定を確認し、撮影を続けます。
撮影で失敗しにくくするコツ
屋外ではISO100~400が使いやすい
晴天を中心に撮るならISO100、曇天や日陰も含めるならISO200または400が使いやすくなります。
高感度フィルムほど暗い場所で赤い警告板が出にくくなりますが、粒状感は増えやすくなります。
人物では距離設定を忘れない
TRIP 35で最も起こりやすい失敗のひとつが、距離設定の戻し忘れです。
風景を撮ったあとに遠景設定のまま近距離の人物を撮ると、ピンぼけになる可能性があります。
シャッターを切る前に、ファインダー右下の距離記号を確認する習慣をつけましょう。
1/40秒ではしっかり構える
暗めの場所では1/40秒が選ばれます。
両脇を締め、シャッターボタンをゆっくり押します。
壁、柱、机などへカメラを軽く固定するのも有効です。
逆光では被写体へ近づいて測光する
明るい空を大きく含む場面では、受光部が空の明るさへ強く反応し、人物が暗く写ることがあります。
露出補正ダイヤルはありません。
人物を明るく写したい場合は、被写体へ近づいて測光する、日中でもフラッシュを使う、ASA設定を一時的に低い値へずらすなどの方法があります。
ただし、ASA設定を変更した場合は必ず元へ戻しましょう。
中古購入時に確認したいポイント
正確なモデル名を確認する
「OLYMPUS TRIP」という名称には、後年のオートフォーカス機やズーム機も存在します。
今回のTRIP 35は、前面に大きな受光部を持ち、D.Zuiko 40mm F2.8を搭載するモデルです。
商品写真で次の点を確認しましょう。
- OLYMPUS TRIP 35の表記
- D.Zuiko 40mm F2.8
- レンズ周囲の受光部
- 4段階の距離記号
- AとF2.8~F22の絞り表示
受光部の状態
レンズ周囲の受光部を確認します。
- 割れ
- 欠け
- 強い変色
- 汚れ
- へこみ
- 浮き
- 塗装やテープによる遮蔽
受光部が正しく光を受けられなければ、自動露出も正常に働きません。
表面の透明部だけがきれいでも、内部の受光素子や機械連動が正常とは限りません。
赤い警告板
絞りリングをAへ合わせ、受光部を手で完全に覆います。
シャッターボタンを軽く押し、ファインダー内に赤い警告板が出て、シャッターがロックされるか確認します。
次に明るい方向へ向けます。
赤い警告板が消え、シャッターを切れることを確認しましょう。
次の症状がある個体は注意が必要です。
- 暗くしても警告が出ない
- 明るくしても警告が消えない
- 警告は出るがシャッターが切れる
- 警告板が途中で止まる
- シャッターボタンが戻らない
明暗で絞りが変化するか
裏蓋を開け、自動露出でシャッターを切ります。
明るい場所では絞りが小さく、暗めの場所では絞りが大きく開く必要があります。
どの明るさでも同じ開口部になる場合は、次の不具合が考えられます。
- 受光部の不調
- メーター連動の固着
- 絞り羽根の固着
- 露出機構の調整ずれ
赤い警告板だけでなく、絞りの変化を確認しましょう。
1/40秒と1/200秒
AUTOでは2種類のシャッター速度が使われます。
非常に明るい場所と、警告が出ない程度の暗めの場所でシャッター音を比較します。
明るい場所では短く鋭い音、暗めの場所ではやや長い音になるのが基本です。
音だけで正確な速度は測れませんが、常に同じ速度しか出ていない個体を見分ける手掛かりになります。
手動絞りでシャッターが切れるか
絞りリングをAからF2.8、F4、F8などへ動かします。
暗い場所でも赤い警告板によるロックが解除され、シャッターが切れるか確認します。
手動時のシャッター速度は1/40秒です。
Aでは切れず、手動絞りでも切れない場合は、シャッターや巻き上げ機構の不具合が考えられます。
絞り羽根
F2.8からF22までリングを動かし、裏蓋側から開口部を確認します。
- F値に応じて開口部が変化する
- 羽根に油が付いていない
- 開口部がいびつでない
- F22まで閉じる
- F2.8まで開く
- 動きが遅くない
絞り羽根の粘りは、TRIP 35で露出不良を起こす大きな原因のひとつです。
シャッター羽根
シャッター羽根が毎回開閉するか確認します。
- 開かない
- 開いたまま止まる
- 閉じるのが遅い
- 油が付着している
- 撮影ごとに動きが変わる
このような個体は整備が必要です。
シャッター羽根は非常に薄いため、指や綿棒で触れてはいけません。
露出精度
明暗によって機構が動いていても、実際の露出が正しいとは限りません。
信頼できる露出計と比較するか、フィルムを入れて試写します。
次の条件を撮影すると状態を判断しやすくなります。
- 晴天
- 日陰
- 曇天
- 逆光
- 明るい室内
- ASA100
- ASA400
ネガ全体が薄すぎる、濃すぎる、場面ごとのばらつきが大きい場合は、調整や整備が必要です。
レンズのカビや曇り
前玉と後玉へ光を斜めから当てます。
- 糸状のカビ
- 白い曇り
- コーティングの劣化
- 深い傷
- 貼り合わせ面の剥離
- 大きな異物
を確認しましょう。
レンズ固定式なので、レンズだけを交換して解決することはできません。
強い曇りは、逆光時の白かぶりやコントラスト低下につながります。
ピントリング
4つの距離記号と距離目盛りの全域で、リングが滑らかに動くか確認します。
- 極端に重い
- 途中で引っ掛かる
- 空回りする
- 指標と記号がずれている
- 無限遠まで到達しない
- 大きなガタがある
このような個体は注意が必要です。
過去に分解されたカメラでは、レンズ位置や距離目盛りがずれている場合があります。
ピント精度
ゾーンフォーカスなので、ファインダーだけではピント精度を確認できません。
約1m、中距離、遠景をそれぞれ撮影し、現像後に確認するのが確実です。
どの距離でも画面全体がぼける場合は、レンズ位置、圧板、過去の組み立てに問題がある可能性があります。
ファインダー
明るい壁や空へ向け、次の状態を確認します。
- 曇り
- カビ
- ブライトフレームの薄れ
- 距離記号が見えない
- 赤い警告板が見えない
- 接眼窓の傷
- ファインダー窓の割れ
ファインダーの汚れは写真には直接写りませんが、距離確認と構図決定を妨げます。
巻き上げレバー
レバーを操作し、最後まで滑らかに動くか確認します。
- 途中で引っ掛からない
- 空回りしない
- シャッターがチャージされる
- シャッターを切るまで再巻き上げできない
- カウンターが進む
極端に重い場合は、無理に力を加えないようにしましょう。
フィルムカウンター
巻き上げと空シャッターを繰り返し、カウンターが1コマずつ進むか確認します。
裏蓋を開いたとき、スタート位置へ戻る必要があります。
カウンター不良でも撮影できる場合はありますが、残り枚数を把握しにくくなります。
巻き戻し機構
底面の巻き戻しボタンが押せるか確認します。
巻き戻しクランクが滑らかに回り、ボタンが次の巻き上げ時に復帰する必要があります。
巻き戻し軸の曲がり、クランクのガタつきも確認しましょう。
裏蓋と遮光材
裏蓋が確実に閉まり、側面ロックが緩くないか確認します。
蝶番や溝の遮光材が劣化していると、写真の端へ赤色や白色の光が入る場合があります。
最初の試写では、強い日差しの下でも撮影し、光漏れがないか確認しましょう。
フィルム圧板
裏蓋内側の圧板を確認します。
- さび
- 深い傷
- 変形
- 汚れ
- ばねの弱り
フィルムを平らに保持できなければ、画面の一部でピントがずれる可能性があります。
ホットシューとシンクロ端子
フラッシュを使用する場合は、ホットシュー中央接点の腐食を確認します。
フラッシュを装着し、手動絞りでシャッターを切った際に発光するか確認しましょう。
コード式フラッシュを使う場合は、前面のシンクロ端子も確認します。
43.5mmフィルター枠
フィルター径は43.5mmです。
現在一般的な43mmや46mmとは異なるため、フィルターやレンズキャップを購入するときは注意が必要です。
前枠がへこんでいると、純正サイズのフィルターを取り付けられません。
OLYMPUS TRIP 35が向いている人
TRIP 35は、次のような人に向いています。
- 初めてクラシックカメラを使う人
- 電池不要の自動露出カメラを探している人
- 旅行や街歩きへ持ち出したい人
- 40mm前後の自然な画角が好きな人
- 複雑な露出操作を省きたい人
- ゾーンフォーカスを楽しみたい人
- 金属製コンパクトカメラが好きな人
- フルサイズ35mmフィルムで撮影したい人
- 赤い警告表示など機械的な操作感を楽しみたい人
距離を選び、構図を決めてシャッターを切るという簡潔な撮影を楽しめます。
OLYMPUS TRIP 35が向かない場合
一方、次のような人には別のカメラが適している可能性があります。
- オートフォーカスを使いたい人
- ファインダーで正確なピントを確認したい人
- シャッター速度を自由に選びたい人
- 絞りを自由に使って背景をぼかしたい人
- 夜景を長時間露光したい人
- 1mより近い被写体を撮りたい人
- レンズ交換を楽しみたい人
- 自動露出機構の経年劣化を避けたい人
- 購入後すぐ確実に撮影できるカメラを求める人
露出とピントを細かく操作したい場合は、マニュアル露出に対応するレンジファインダーや一眼レフが向いています。
まとめ
OLYMPUS TRIP 35は、1968年に登場したレンズ固定式の35mmコンパクトカメラです。
旅行へ気軽に持ち出せるカメラとして「TRIP」と名づけられ、簡単な操作、高い描写力、故障の少なさ、購入しやすさによって約20年間販売されました。
主な特徴は次のとおりです。
- 35mmフルサイズの24×36mm判
- D.Zuiko 40mm F2.8
- 3群4枚のレンズ構成
- 4段階のゾーンフォーカス
- 距離記号とメートル・フィート表示
- レンズ周囲の受光部による自動露出
- 電池不要
- AUTOでは1/40秒・1/200秒
- F2.8~F22の自動絞り
- 暗所で赤い警告板が出てシャッターをロック
- 手動絞り時は1/40秒固定
- ホットシューとシンクロ端子
- ASA25~400
- 43.5mmフィルター
- 約410gの金属製ボディ
中古購入時は、赤い警告板が出るかどうかだけで判断してはいけません。
明暗によって絞りが変化するか、1/40秒と1/200秒が切り替わるか、絞り羽根とシャッター羽根が粘っていないか、距離設定が正常かまで確認する必要があります。
そして、最終的な露出精度とピント精度は試写で確認するのが確実です。
シャッター速度も絞り値も、撮影者が細かく選ぶことはできません。
しかし、距離を選び、ファインダーへ旅先の光景を収め、赤い警告板が出なければそのままシャッターを切る。
OLYMPUS TRIP 35は、写真を難しい操作から解放し、「カメラを持って出かけること」そのものを撮影体験へ変えた一台です。









