OLYMPUS PEN EE-2とは?ハーフ判と電池不要の自動露出を備えたコンパクトカメラの特徴
OLYMPUS PEN EE-2は、35mmフィルムを使用するレンズ固定式のハーフサイズカメラです。
一般的な35mmカメラがフィルム1コマへ24×36mmの画面を記録するのに対し、PEN EE-2は24×18mmのハーフ判を採用しています。36枚撮りフィルムなら最大72枚を撮影でき、小さなボディで大量の写真を残せることが大きな特徴です。
レンズはD.Zuiko 28mm F3.5。ピント合わせを必要としない固定焦点式で、露出はレンズ周囲の「Electric Eye」が光を測り、絞り値とシャッター速度を自動的に調整します。
暗すぎて適正露出が得られない場合は、ファインダー内に赤い警告表示、通称「赤ベロ」が現れ、シャッターボタンがロックされます。
露出計や自動露出に電池を必要としないため、正常に機能している個体であれば、フィルムを入れてASA感度を合わせるだけで撮影できます。
ただし、中古品では、受光部の劣化、自動露出の不調、赤ベロ機構の固着、シャッター羽根や絞り羽根の粘りなどに注意が必要です。
この記事では、OLYMPUS PEN EE-2の特徴、ハーフ判の使い方、赤ベロの仕組み、マニュアル絞り、フラッシュ撮影、PEN EE・EE-3との違い、中古購入時に確認したいポイントを解説します。
OLYMPUS PEN EE-2とは
OLYMPUS PEN EE-2は、1968年に登場したとされる35mmハーフ判のコンパクトカメラです。初代PEN EEの基本構造を受け継ぎながら、ホットシュー、ASA25~400のフィルム感度設定などを備えています。
操作は非常に単純です。
- フィルムを入れる
- ASA感度を合わせる
- ファインダーで構図を決める
- シャッターを切る
- 背面の巻き上げダイヤルを回す
ピント合わせ、絞り値、シャッター速度を撮影ごとに操作する必要はありません。
オリンパスの当時のカタログでも、PEN EE-2は「シャッターボタンを押すだけ」と紹介され、写真撮影を簡単にするモデルとして位置づけられていました。
現在のオートフォーカスカメラのような電子式の全自動カメラではありません。
機械式シャッター、固定焦点レンズ、光を利用した自動露出という、非常に簡潔な仕組みによって簡単操作を実現しています。
オリンパスPENシリーズの歴史
オリンパスは1959年10月、35mmフィルムを半分の画面サイズで使用する初代Olympus Penを発売しました。小型軽量なボディと、一般的な35mmフィルムから多くの写真を撮れる経済性によって、PENシリーズは広く普及しました。
初代PENは、写真をより日常的なものにすることを目指したカメラでした。
その後、設計者の米谷美久は、複雑な操作を必要とせず、シャッターボタンを押すだけで撮影できるカメラを構想します。
この考えから誕生したのがPEN EEです。
オリンパスの開発史によると、PEN EEの発売後、それまで約2%だった女性購入者の割合が約33%へ増えたとされています。操作を簡略化したPEN EEは、それまでカメラを使っていなかった層にも写真撮影を広げました。
PEN EE-2は、その簡単操作を受け継いだ後継モデルです。
ハーフ判とは
PEN EE-2の画面サイズは24×18mmです。
一般的な35mmフルサイズの24×36mmを、フィルムの送り方向で半分にした大きさです。
36枚撮りフィルムで最大72枚
1枚分のフィルム面積を半分ずつ使用するため、一般的には次の枚数を撮影できます。
| フィルム | 通常の35mmカメラ | PEN EE-2 |
|---|---|---|
| 24枚撮り | 24枚 | 約48枚 |
| 36枚撮り | 36枚 | 約72枚 |
取扱説明書でも、36枚撮りフィルムではカウンターが72まで進むと説明されています。
旅行、イベント、街歩きなどで多く撮影できる一方、72枚を撮り切るには時間がかかります。
途中で別のフィルムへ交換したい人には、撮影枚数の多さが逆に不便になることもあります。
カメラを横に構えると縦位置になる
ハーフ判はフィルム上の画面が縦長に配置されています。
そのため、カメラを通常どおり横向きに構えると、撮影される写真は縦位置になります。
横長の写真を撮りたい場合は、カメラを縦向きに構えます。
スマートフォンで縦写真を多く撮る現在の感覚では、縦位置が標準になるPEN EE-2は比較的扱いやすいでしょう。
一方、風景や集合写真を横位置で撮る場合は、意識的にカメラを90度回す必要があります。
画質は35mmフルサイズより不利
ハーフ判は、一般的な35mmフルサイズの約半分の面積しかありません。
同じ大きさへプリントまたはデジタル化すると、フィルムの粒子やレンズの解像力が拡大されるため、35mmフルサイズより粒状感が目立ちやすくなります。
ただし、小さめのプリント、SNSへの投稿、日常の記録などでは十分な画質を得られます。
粒子感を抑えたい場合は、ISO100前後の低感度フィルムを使うのが基本です。
D.Zuiko 28mm F3.5レンズ
PEN EE-2には、D.Zuiko 28mm F3.5レンズが固定されています。
レンズ構成は3群4枚、最小絞りはF22です。
35mm判換算では約40mm前後
ハーフ判における28mmは、35mmフルサイズ換算ではおおむね40mm前後に相当する画角です。
広角レンズほど大きく周囲が写り込まず、50mm標準レンズほど狭くもありません。
次のような被写体に使いやすい画角です。
- 日常のスナップ
- 旅行
- 家族写真
- 人物と背景
- 街並み
- 店舗や室内
- 料理やテーブルフォト
固定焦点カメラでは撮影者が細かなピント調整をできないため、ある程度広い範囲へピントが合って見える28mm F3.5は合理的な組み合わせです。
レンズ交換はできない
PEN EE-2はレンズ固定式です。
広角、望遠、マクロなどへ交換することはできません。
画面へ被写体を大きく入れたい場合は自分が近づき、広い範囲を写したい場合は後ろへ下がって構図を調整します。
レンズ交換ができないことは制約ですが、カメラとレンズを一体として小さく設計でき、持ち歩く機材も増えません。
ピント合わせ不要の固定焦点
PEN EE-2にはピントリングがありません。
レンズは固定焦点式で、被写体までの距離が約1.5mから無限遠であれば、ピント合わせをせず撮影できます。
撮影者はファインダーで構図を決め、シャッターを押すだけです。
1.5mより近い被写体には注意
固定焦点レンズには、ピントが合いやすい距離の範囲があります。
取扱説明書では1.5mから無限遠が撮影範囲とされているため、人物の顔や小物を至近距離から撮ると、ピンぼけになる可能性があります。
近距離では、少なくとも大人が腕を伸ばした距離よりさらに離れる意識が必要です。
次のような撮影には向いていません。
- 花や昆虫の接写
- 小さな商品の撮影
- 書類や文字の複写
- 料理を真上から至近距離で撮影
- 自撮り
ピントを細かく操作したい場合は、距離目盛り式のPEN EES-2や、ほかのマニュアルフォーカスカメラが適しています。
Electric Eyeによる自動露出
レンズの周囲には、光を受けるための細かな受光部が配置されています。
カメラはこの「Electric Eye」で被写体の明るさを測り、絞り値とシャッター速度を自動的に選択します。取扱説明書では、自動露出の測光範囲はASA100でEV8.94~17.14とされています。
自動露出で使用するシャッター速度は、1/40秒と1/200秒の2種類です。
光量に応じてシャッター速度と絞り値を組み合わせ、適正露出へ近づけます。
現代の電子制御カメラのように、数十種類のシャッター速度を無段階で使う仕組みではありません。
2種類の速度とF3.5~F22の絞りを組み合わせる、単純なプログラム自動露出です。
電池を使わない
PEN EE-2には、自動露出を作動させるための電池室がありません。
フィルムを装填し、ASA感度を合わせれば、そのまま自動露出を利用できます。
水銀電池の代替品、電圧変換アダプター、電池液漏れなどを気にしなくてよいことは、古いカメラとして大きな利点です。
ただし、電池不要だから必ず正常に使えるわけではありません。
受光部や機械連動部が経年劣化すると、光量を正しく判断できなくなります。
中古購入時は、自動露出が明るさへ反応しているか確認する必要があります。
ASA感度は25~400
フィルム感度は、レンズ周囲のASA設定リングで設定します。
対応感度は次のとおりです。
- ASA25
- ASA32・40
- ASA50
- ASA64
- ASA80
- ASA100
- ASA125
- ASA160
- ASA200
- ASA250
- ASA320
- ASA400
白い数字を上部の中央指標へ合わせると、自動露出モードになります。
現在のISOとASAは、通常の撮影では同じ数値として扱えます。
ISO100フィルムならASA100、ISO400フィルムならASA400へ設定します。
感度設定を間違えると全コマの露出がずれる
ISO400フィルムを入れた状態でASA100へ設定すると、カメラは実際より感度の低いフィルムだと判断します。
その結果、必要以上に多く露光し、写真が明るくなりすぎる可能性があります。
反対に、ISO100フィルムをASA400へ設定すると露出不足になります。
フィルム交換時には、必ずASA設定を確認しましょう。
赤ベロによる露出不足警告
PEN EE-2の代表的な機能が、ファインダー内に現れる赤い警告表示です。
被写体が暗すぎて自動露出範囲を外れると、赤い表示がファインダーへ現れ、シャッターボタンがロックされます。
日本では形状から「赤ベロ」と呼ばれることがあります。
赤ベロが出るのは故障ではない
暗い室内や夜間にシャッターが切れない場合、まず赤い表示を確認します。
これは露出不足の写真を撮らないための安全機構です。
次の方法で対応します。
- 明るい場所へ移動する
- 被写体へ照明を当てる
- 高感度フィルムを使う
- フラッシュを使用する
- マニュアル絞りへ切り替える
ただし、マニュアル絞りへ切り替えれば自動的に適正露出になるわけではありません。
露出計やフラッシュのガイドナンバーを参考に、絞り値を自分で決める必要があります。
レンズキャップを付けたままではシャッターが切れない
自動露出時にレンズキャップを付けると、受光部にも光が入らなくなります。
カメラは暗すぎると判断し、赤ベロが出てシャッターがロックされます。
「シャッターが壊れている」と慌てる前に、レンズキャップ、ASA設定、周囲の明るさを確認しましょう。
マニュアル絞りモード
ASA設定リングには、白いフィルム感度の数字だけでなく、黄色いF値も表示されています。
黄色いF値を中央指標へ合わせると、自動露出からマニュアル絞りへ切り替わります。
使用できる絞り値はF3.5~F22で、シャッター速度は1/40秒へ固定されます。マニュアル時は暗い場所でも赤ベロによるシャッターロックが解除され、シャッターを切れるようになります。
マニュアルモードは完全なマニュアル露出ではない
絞り値は選べますが、シャッター速度は1/40秒固定です。
一般的なマニュアルカメラのように、1/15秒、1/125秒、1/500秒などを自由に選ぶことはできません。
主な用途はフラッシュ撮影です。
自然光だけでマニュアル撮影することも可能ですが、1/40秒に合う絞り値を外部露出計などで求める必要があります。
ホットシューとシンクロ端子
PEN EE-2は、カメラ上部にアクセサリーシューを備えています。
シューにはフラッシュ用の接点があり、対応するフラッシュをコードなしで発光できます。
カメラ前面には、一般的なシンクロコードを接続するための端子もあります。
フラッシュ撮影では、絞りリングを黄色いF値へ合わせます。
このときシャッター速度は自動的に1/40秒へ設定されます。
フラッシュ撮影の絞り設定
マニュアル発光のフラッシュを使用する場合は、フラッシュのガイドナンバーと被写体までの距離から絞り値を求めます。
たとえばISO100でガイドナンバー14のフラッシュを使い、被写体まで2mなら、目安となる絞り値はF7前後です。
実際にはF8へ合わせるのが分かりやすいでしょう。
被写体までの距離が変わるたびに、絞り値の再計算が必要です。
自動調光式フラッシュを使う場合は、フラッシュ側が指定する絞り値へカメラを合わせます。
ファインダー
PEN EE-2は、明るいフレームを備えた逆ガリレオ式ファインダーを搭載しています。
倍率は約0.5倍です。ファインダー内には撮影範囲を示す白いフレームと、露出不足時の赤い警告表示が見えます。
レンジファインダーや一眼レフではないため、ファインダーをのぞいてもピント状態は分かりません。
ファインダーは構図確認専用です。
近距離ではパララックスに注意
撮影レンズとファインダーは異なる位置にあります。
被写体へ近づくほど、ファインダーで見た範囲と実際に写る範囲のずれが大きくなります。
ただし、PEN EE-2は固定焦点で約1.5m以遠を前提としているため、極端な近距離撮影を行わなければ、大きな問題になりにくい設計です。
画面の端ぎりぎりへ人物や建物を配置する場合は、少し余裕を持たせましょう。
背面ダイヤルによるフィルム巻き上げ
PEN EE-2には、一般的な巻き上げレバーがありません。
ボディ背面の右上にあるギザギザの巻き上げダイヤルを、親指で回してフィルムを送ります。
巻き上げると同時にシャッターもチャージされます。
取扱説明書では、巻き上げダイヤルを最後まで確実に回すよう案内されています。
途中で止めるとシャッターボタンを押せません。
小さなボディでレバーを張り出させず、簡潔にフィルム送りを行うPEN EEシリーズらしい機構です。
自動復元式フィルムカウンター
フィルムカウンターは撮影済み枚数を表示します。
裏蓋を開けると自動的にスタート位置へ戻る、自動復元式です。
フィルムを装填したら、空送りと空シャッターを繰り返し、赤い三角形が1を示すところから撮影を始めます。
ハーフ判では撮影枚数が多いため、カウンターが正常に動くことは重要です。
カウンターが故障していると、フィルム残量を把握しにくくなります。
フィルムの巻き戻し
撮影が終了したら、底面の巻き戻しボタンを押します。
上面の巻き戻しクランクを起こし、矢印方向へ回してフィルムをパトローネへ戻します。
巻き戻し中は抵抗がありますが、フィルム先端が巻き取り軸から外れるとクランクが軽くなります。
フィルムが完全に終わった状態で、巻き上げダイヤルを無理に回してはいけません。
フィルムのパーフォレーションや巻き上げ機構を傷める可能性があります。
小型軽量なボディ
PEN EE-2の寸法は約108×66×42~43mm、重量は約335gです。
現在の大型スマートフォンより厚みはありますが、上着のポケットや小さなバッグへ収めやすい大きさです。
電池、交換レンズ、充電器などを必要としないため、撮影機材全体も軽くまとめられます。
一方、金属部品を多く使った年代のカメラなので、外観から想像するより密度感があります。
PEN EE・EE-2・EE-3の違い
PEN EEシリーズは外観がよく似ています。
中古市場でもモデル名が混同されやすいため、正面と上面の表記を確認しましょう。
| 項目 | PEN EE | PEN EE-2 | PEN EE-3 |
|---|---|---|---|
| 基本形式 | ハーフ判 | ハーフ判 | ハーフ判 |
| レンズ | 28mm F3.5 | 28mm F3.5 | 28mm F3.5 |
| ピント | 固定焦点 | 固定焦点 | 固定焦点 |
| 自動露出 | Electric Eye | Electric Eye | Electric Eye |
| シャッター | 2速度式 | 1/40・1/200秒 | 1/40・1/200秒 |
| ホットシュー | 初期仕様では異なる | あり | あり |
| ASA感度 | 初期仕様 | 25~400 | 25~400 |
| フラッシュ連動 | 基本式 | 絞り手動設定 | 対応フラッシュとの連動機構を追加 |
PEN EE-2は初代EEの簡単操作を受け継ぎ、ホットシューや広いフィルム感度設定を備えたモデルです。
PEN EE-3は外観と基本性能が非常によく似ていますが、対応フラッシュを使用した撮影機構が改良されています。
通常の自然光撮影を中心に使う場合、EE-2とEE-3の操作感は大きく変わりません。
モデル名よりも、自動露出、レンズ、シャッター、赤ベロの状態を優先して選びましょう。
PEN EE-2とPEN EES-2の違い
名称が似ていますが、PEN EES-2は固定焦点ではありません。
EES-2には30mm F2.8レンズと4段階のゾーンフォーカス機構が搭載されています。
被写体までの距離に応じて、人物、グループ、風景などの距離記号を選択します。オリンパスの当時のカタログでも、EES-2はEE-2に明るいレンズとゾーンフォーカスを加えた上位型として紹介されています。
| 項目 | PEN EE-2 | PEN EES-2 |
|---|---|---|
| レンズ | 28mm F3.5 | 30mm F2.8 |
| ピント | 固定焦点 | 4段階ゾーンフォーカス |
| 最短撮影 | 約1.5mが目安 | 距離設定により近距離対応 |
| 操作 | 非常に簡単 | 距離設定が必要 |
| 暗所性能 | 標準 | 約2/3段明るい |
とにかく簡単に撮りたいならEE-2、人物や近距離撮影でピントを調整したいならEES-2が向いています。
OLYMPUS PEN EE-2の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mmハーフ判レンズ固定式カメラ |
| 使用フィルム | 35mmフィルム |
| 画面サイズ | 24×18mm |
| 撮影枚数 | 36枚撮りで約72枚 |
| レンズ | D.Zuiko 28mm F3.5 |
| レンズ構成 | 3群4枚 |
| 最小絞り | F22 |
| ピント方式 | 固定焦点 |
| 撮影距離 | 約1.5m~無限遠 |
| 自動露出 | Electric Eye式プログラムAE |
| 自動シャッター | 1/40・1/200秒 |
| 手動絞り | F3.5~F22 |
| 手動時シャッター | 1/40秒 |
| 測光範囲 | EV8.94~17.14・ASA100 |
| フィルム感度 | ASA25~400 |
| 露出不足警告 | 赤表示・シャッターロック |
| ファインダー | ブライトフレーム式 |
| ファインダー倍率 | 約0.5倍 |
| フィルム巻き上げ | 背面親指ダイヤル |
| フィルムカウンター | 自動復元・撮影済み枚数表示 |
| フラッシュ | ホットシュー・シンクロ端子 |
| 電池 | 不要 |
| 寸法 | 約108×66×42~43mm |
| 重量 | 約335g |
基本仕様はPEN EE-2の取扱説明書および当時のオリンパス製品カタログに基づきます。
OLYMPUS PEN EE-2の基本的な使い方
フィルムを装填する
側面の裏蓋ロックを引くと、裏蓋が開きます。
巻き戻しノブを引き上げ、35mmフィルムを左側のフィルム室へ入れます。
フィルム先端を右側の巻き取りスプールの溝へ差し込み、パーフォレーションが上下のスプロケットへ正しく掛かっていることを確認します。
カウンターを1へ合わせる
裏蓋を閉め、背面ダイヤルを最後まで回します。
シャッターを切り、再び巻き上げる操作を2~3回繰り返します。
カウンターの赤い三角形が1を示したら撮影開始です。
ASA感度を設定する
使用するフィルムのISO感度と同じ白いASA数字を、上面の中央指標へ合わせます。
白い数字を選ぶと、自動露出モードになります。
被写体から1.5m以上離れる
固定焦点なので、被写体からおおむね1.5m以上離れます。
人物の顔だけを大きく写そうとして近づきすぎると、ピントが外れる可能性があります。
ファインダーで構図を決める
白いブライトフレームの内側へ被写体を配置します。
通常の横向きで構えると縦位置写真になることを意識しましょう。
シャッターを押す
シャッターボタンを指先で突くのではなく、指の腹でゆっくり押します。
暗すぎる場合は赤ベロが現れ、シャッターがロックされます。
フィルムを巻き上げる
撮影後は、背面のダイヤルを止まるところまで回します。
巻き上げ不足では次のシャッターを切れません。
中古購入時に確認したいポイント
正確なモデル名
最初にボディ上面または前面の「EE-2」表記を確認します。
PEN EE、EE-2、EE-3、EES-2は外観が似ています。
販売店の商品名だけでなく、次の点を確認しましょう。
- EE-2の表記
- 28mm F3.5レンズ
- ピントリングがない固定焦点式
- 上面のホットシュー
- ASA25~400の設定表示
受光部の状態
レンズ周囲の細かな受光部を確認します。
- 割れ
- 欠け
- 強い変色
- 汚れ
- へこみ
- 塗装やテープによる遮蔽
受光部が光を正しく受けられないと、自動露出がずれます。
表面が汚れている場合は、柔らかいブロアーや布で慎重に清掃します。
強く押したり、溶剤を使用したりしてはいけません。
赤ベロが作動するか
白いASA感度を中央指標へ合わせ、自動露出にします。
受光部を手で覆うか、暗い場所へ向けてシャッターボタンを押します。
正常なら、ファインダー内に赤い表示が出て、シャッターがロックされます。
次に明るい方向へ向けると、赤い表示が消えてシャッターを切れる必要があります。
次の症状がある個体は注意が必要です。
- 暗くしても赤ベロが出ない
- 明るくしても赤ベロが消えない
- 赤ベロは出るがシャッターが切れる
- 赤ベロが途中で引っ掛かる
- シャッターボタンが戻らない
赤ベロが動くだけで、自動露出の精度が正しいとは限りません。
明暗でシャッターと絞りが変化するか
裏蓋を開け、明るい場所と暗めの場所でシャッターを切ります。
正常であれば、光量によって絞りの開き方やシャッター音が変化します。
非常に明るい場所では小さく絞られ、暗めの場所では絞りが大きく開くのが基本です。
どの明るさでも同じ絞り、同じ速度になる場合は、自動露出機構が固着している可能性があります。
露出計の精度
機械が反応していても、適正露出になっているとは限りません。
信頼できる露出計やデジタルカメラと比較し、ASA100など同じ感度条件で確認します。
PEN EE-2は2種類のシャッター速度と絞りを自動で組み合わせるため、厳密な数値を外から確認するのは簡単ではありません。
最終的には、均一な明るさの場所を撮影して現像結果を確認するのが確実です。
シャッター羽根
裏蓋を開け、シャッター羽根をフィルム面側から確認します。
- 毎回開く
- 完全に閉じる
- 羽根に油がない
- 動きが遅くない
- 開いたまま止まらない
羽根へ油が回ると、シャッターが開かなかったり、露光時間が不安定になったりします。
羽根は薄いため、指や綿棒で触れてはいけません。
絞り羽根
マニュアル絞りへ切り替え、F3.5からF22まで動かします。
絞りの開口部が段階的に変化するか確認します。
- 羽根に油が付着していない
- 開口部がいびつでない
- F22まで閉じる
- F3.5まで開く
- 動作後に途中で止まらない
自動露出時にも絞り羽根を使用するため、絞りの粘りは写真全体の露出不良につながります。
マニュアル絞り
黄色いF値を中央指標へ合わせます。
暗い場所でも赤ベロが出ず、シャッターが切れることを確認します。
シャッター速度は1/40秒固定なので、各F値で速度が変化する必要はありません。
マニュアル位置でもシャッターが切れない場合は、モード切り替えやシャッター機構に不具合がある可能性があります。
レンズのカビと曇り
前玉と後玉へ光を斜めから当てます。
- 糸状のカビ
- 白い曇り
- コーティングの剥離
- 深い傷
- 虹色の貼り合わせ劣化
- 大きな異物
を確認しましょう。
レンズ固定式なので、レンズだけを交換して解決することはできません。
ハーフ判ではネガを大きく拡大するため、レンズの曇りによるコントラスト低下が目立つことがあります。
固定焦点のピント精度
固定焦点だから調整不要とは限りません。
過去の分解、落下、レンズ鏡筒の緩みによって、レンズ位置がずれている場合があります。
遠景と2~3mの被写体を撮影し、実写でピントを確認しましょう。
画面全体がぼける場合は、レンズ位置やフィルム圧板の問題が考えられます。
ファインダー
明るい壁へ向けて確認します。
- 曇り
- カビ
- 大きなチリ
- ブライトフレームの消失
- 赤ベロが見えない
- 接眼窓の傷
- ファインダー窓の割れ
ファインダーの汚れは写真には直接写りません。
しかし、構図確認と赤ベロの判別に影響します。
背面巻き上げダイヤル
親指ダイヤルを回し、最後まで滑らかに動くか確認します。
- 途中で引っ掛からない
- 空回りしない
- シャッターがチャージされる
- 巻き上げ後にシャッターを切れる
- シャッターを切るまで再巻き上げできない
といった点を確認します。
ダイヤルが極端に重い場合は、無理に回してはいけません。
フィルムカウンター
巻き上げとシャッターを繰り返し、カウンターが1コマずつ進むか確認します。
裏蓋を開けるとスタート位置へ戻る必要があります。
72枚まで撮影するカメラなので、カウンター不良は実用上かなり不便です。
巻き戻し機構
底面の巻き戻しボタンを押し、上面クランクが滑らかに回るか確認します。
ボタンが戻らないと、次のフィルムを入れた際に正常に巻き上げられない可能性があります。
クランクの曲がり、ガタつき、軸の固着も確認しましょう。
ホットシュー
ホットシューの中央接点が腐食していないか確認します。
対応フラッシュを装着し、シャッターを切ったときに発光することが理想です。
フラッシュを使わない場合でも、シューが大きく変形している個体は落下歴が疑われます。
シンクロ端子
前面のシンクロ端子へコードを接続し、フラッシュが発光するか確認します。
端子の金属が緑色や白色に腐食している場合は、接触不良が起きる可能性があります。
裏蓋と光漏れ
裏蓋が確実に閉まり、側面ロックが緩くないか確認します。
PEN EE-2は、後年のカメラほど大量のモルトを使っていない個体もありますが、裏蓋の溝、蝶番、接合部の変形によって光漏れが起こる場合があります。
最初の試写では、強い日差しの下でも撮影し、画面端に赤や白の光が入っていないか確認しましょう。
フィルム圧板
裏蓋内側の圧板を確認します。
- さび
- 深い傷
- 変形
- 強い汚れ
- ばねの弱り
がないか確認しましょう。
フィルムを平らに保持できないと、画面の一部でピントがずれる可能性があります。
外装のへこみ
上部カバー、レンズ周囲、底板に大きなへこみがないか確認します。
外観の傷だけなら撮影に影響しないこともあります。
しかし、レンズ鏡筒が傾いている、裏蓋が閉まりにくい、巻き戻し軸が曲がっている個体は慎重に判断しましょう。
ハーフ判の現像とスキャン
PEN EE-2で撮影したフィルムは、一般的な35mmフィルムと同じ薬品で現像できます。
ただし、1コマが24×18mmなので、スキャンやプリント時の扱いが通常の35mm判と異なる場合があります。
現像店へ依頼するときは、次の点を確認しましょう。
- ハーフ判スキャンに対応しているか
- 1コマずつ分割して納品されるか
- 2コマを1画像としてスキャンするか
- 72枚分の追加料金があるか
- ネガカットの単位
- データ解像度
隣り合う2コマを組み合わせて、時間の流れや対比を見せる「ハーフ判ならではの組写真」を作ることもできます。
OLYMPUS PEN EE-2が向いている人
PEN EE-2は、次のような人に向いています。
- 初めてハーフ判を使う人
- フィルム1本で多く撮影したい人
- ピント合わせや露出操作を省きたい人
- 小型軽量なカメラを持ち歩きたい人
- 電池不要の自動露出カメラを探している人
- 日常や旅行を気軽に記録したい人
- 縦位置写真を多く撮る人
- 1960年代の国産コンパクトカメラが好きな人
- 粒子感を含めたフィルムらしい描写を楽しみたい人
正常な個体であれば、フィルム感度を合わせてシャッターを押すだけで撮影できます。
複雑な操作を覚えるより、被写体を見つけて数多く撮りたい人に適しています。
OLYMPUS PEN EE-2が向かない場合
一方、次のような人には扱いにくい可能性があります。
- ピントを正確に操作したい人
- 1.5mより近くを頻繁に撮影する人
- シャッター速度を選びたい人
- 絞りによる背景ボケを積極的に使いたい人
- レンズ交換を楽しみたい人
- 暗い室内や夜間をフラッシュなしで撮りたい人
- 1本のフィルムを早く撮り切りたい人
- 35mmフルサイズと同等の粒状感を求める人
- 自動露出の経年劣化リスクを避けたい人
距離設定を行いたいならPEN EES-2、露出とピントを自分で操作したいならPEN SやPEN D系が候補になります。
まとめ
OLYMPUS PEN EE-2は、35mmフィルムを24×18mmのハーフ判で使用するレンズ固定式コンパクトカメラです。
主な特徴は次のとおりです。
- 36枚撮りフィルムで最大約72枚
- D.Zuiko 28mm F3.5
- 3群4枚のレンズ構成
- 約1.5mから無限遠の固定焦点
- ピント合わせ不要
- Electric Eyeによる自動露出
- 自動時は1/40秒・1/200秒
- ASA25~400
- 暗所で赤ベロが出てシャッターをロック
- F3.5~F22の手動絞り
- 手動時は1/40秒固定
- ホットシューとシンクロ端子
- 背面ダイヤル式フィルム巻き上げ
- 電池不要
- 約335gの小型ボディ
PEN EE-2の魅力は、ハーフ判による撮影枚数の多さだけではありません。
露出もピントもカメラへ任せ、撮影者は被写体を見つけてシャッターを押すことに集中できます。
一方、中古品では、電池が不要だから安心とは限りません。
受光部、自動露出、赤ベロ、シャッター羽根、絞り羽根が経年劣化していれば、シャッターが切れても適正な写真を撮れない可能性があります。
購入時は、暗所で赤ベロが出るか、明るい場所で解除されるか、明暗によって絞りとシャッターが変化するかを確認しましょう。
そして、最終的には試写と現像による露出確認が重要です。
操作は単純ですが、撮影できる枚数は2倍。
カメラを横へ構えれば縦写真となり、同じフィルムの中へ日常の断片が次々と並んでいきます。
OLYMPUS PEN EE-2は、撮影者へ難しい判断を求めるのではなく、「もっと気軽に、もっとたくさん撮る」というPENシリーズの思想を形にしたカメラです。









