YASHICA microtec

ブランドとしてはヤシカですが、実際は京セラ製です。京セラとしても同等のカメラを作成しておりましたので、つまりこのカメラはOEMのようなカメラです。描写性も優れており、コンパクトフィルムカメラではありますが高値がつくことがあります。

YASHICA Microtecは、35mmフィルムを使用するオートフォーカス式コンパクトカメラです。

MicrotecにはZoom 70・90・120など複数のモデルがありますが、単に「YASHICA Microtec」と呼ばれる固定レンズ型は、主にMicrotec AF-Superを指します。本記事では、32mm F3.9レンズを搭載したMicrotec AF-Superを中心に紹介します。

目次

YASHICA Microtecとは

YASHICA Microtec AF-Superは、京セラが1995年ごろに発売した全自動コンパクトカメラです。

海外向けにはYASHICAブランドで販売されましたが、基本設計を共有する京セラブランドのモデルとして「Kyocera P. mini 3」があります。外装や名称は異なるものの、32mmレンズやAF、パノラマ機構などの仕様は共通しています。

フィルム装填、ピント合わせ、露出、撮影後の巻き上げ、フィルム終端での巻き戻しまで自動化されています。レンズカバーを開き、被写体へ向けてシャッターを押すだけで撮影できる、典型的なポイント&シュートカメラです。

32mm F3.9の単焦点レンズ

レンズには、YASHICAまたはKYOCERA銘の32mm F3.9が固定装着されています。

レンズ構成は3群3枚。ズーム機構を持たないため画角は変えられませんが、レンズ構成や鏡筒を比較的シンプルにできます。

スナップに使いやすい32mm

32mmは、35mm判の標準レンズより広く、一般的な28mm広角レンズより自然な画角です。

街中のスナップ、旅行、家族写真、室内、風景などを一台で撮影しやすく、被写体へ少し近づけば人物と周囲の状況を一緒に収められます。

一方、人物の顔へ極端に近づくと遠近感が強調されます。自然な顔立ちで撮影したい場合は、少し距離を取って構図を整えるとよいでしょう。

Carl Zeissレンズではない

同時期のYASHICA Tシリーズには、Carl Zeiss Tessar T*を搭載したモデルがあります。

Microtec AF-Superのレンズは32mm F3.9の京セラ製レンズであり、Carl ZeissやT*の表記はありません。外観が似ていても、YASHICA T4やT5の廉価版と単純に位置付けるのではなく、別系統の全自動コンパクトとして考える必要があります。

アクティブ方式のオートフォーカス

ピント合わせには、100段階のアクティブ方式AFを採用しています。

撮影距離は約1mから無限遠。シャッターボタンを半押しすると距離を測定し、合焦するとファインダー付近の表示灯で確認できます。

画面中央以外へ人物を配置する場合は、中央でピントを合わせて半押しを維持し、そのまま構図を変更するフォーカスロックを使います。

最短撮影距離は約1mなので、料理、小物、花などへ大きく近づく撮影には向きません。近距離ではシャッターが切れても、ピントが合っていない可能性があります。

プログラムAEによる全自動露出

露出はプログラムAEで制御されます。

通常モードのシャッター速度は約1/15秒から1/400秒。絞りやシャッター速度を撮影者が直接指定する機能はありません。

明るい屋外では高速シャッター、暗い場所では低速シャッターやフラッシュを自動的に使用します。設定を考えずに撮影できる反面、背景のぼけ方や動きの表現を細かく管理するカメラではありません。

約2秒の夜景モード

Microtec AF-Superには、約2秒の長時間露光を行う夜景モードがあります。

フラッシュを使わずに夜景や室内の雰囲気を残したい場合に利用できますが、手持ちでは大きくぶれやすいため、三脚や安定した台へ固定するのが基本です。

内蔵フラッシュを搭載

内蔵フラッシュでは、次のようなモードを選択できます。

  • 自動発光
  • 強制発光
  • 発光禁止
  • 赤目軽減発光

ISO100フィルム使用時の到達距離は約1~3.2mです。暗い場所でもフラッシュを強制的に停止できるため、室内照明や夜景の雰囲気を生かした撮影もできます。

ただし、発光禁止にするとシャッター速度が低下します。ISO100よりISO400やISO800のフィルムを使ったほうが、手ぶれを抑えやすくなります。

パノラマ撮影に対応

ボディーのスイッチを操作すると、通常の24×36mm画面から横長のパノラマ撮影へ切り替えられます。

これはフィルムの上下を遮光して横長に記録する方式で、レンズの画角そのものが広がるわけではありません。通常撮影したネガを後からトリミングする方法でも、近い比率の写真を作れます。

中古品では、パノラマ遮光板が途中で止まらず、通常位置とパノラマ位置へ確実に切り替わることを確認しましょう。

フィルム操作を自動化

DXコード付き35mmフィルムを装填すると、感度はISO100~800の範囲で自動設定されます。

裏蓋を閉じるとフィルムを撮影開始位置まで送り、撮影後の巻き上げとフィルム終端での巻き戻しも自動で行います。途中巻き戻しにも対応しています。

電源には単3形電池2本を使用します。特殊なリチウム電池ではなく、現在でも入手しやすい電池で作動する点は実用上の利点です。

YASHICA Microtecの基本スペック

項目仕様
正式モデル名YASHICA Microtec AF-Super
発売時期1995年ごろ
カメラ形式35mmレンズシャッター式AFカメラ
画面サイズ24×36mm
レンズYASHICA/KYOCERA 32mm F3.9
レンズ構成3群3枚
ピント方式アクティブ方式AF・100段階
撮影距離約1m~無限遠
露出方式プログラムAE
シャッター速度約1/15~1/400秒・夜景時約2秒
フラッシュ自動・強制・停止・赤目軽減
フィルム感度DX・ISO100~800
フィルム送り自動
巻き戻し自動・途中巻き戻し対応
パノラマ切り替え式
セルフタイマー対応
電源単3形電池2本
サイズ約115×63×45mm
重量約180g・電池別

主な仕様は、同型機のKyocera P. mini 3およびMicrotec AF-Superの資料に基づきます。

Microtec Zoomシリーズとの違い

Microtec Zoom 70やZoom 90は、焦点距離を変更できる電動ズームレンズを搭載しています。

単焦点のMicrotec AF-Superは画角を変更できませんが、約180gと軽く、レンズ操作も不要です。ズームによる構図の自由度を求めるならZoomシリーズ、携帯性と操作の単純さを重視するなら単焦点型が適しています。

購入時は、ボディー前面に「ZOOM 70」「ZOOM 90」などの表示があるか確認しましょう。「YASHICA Microtec」だけの商品名では、異なるモデルが混同されていることがあります。

中古で購入するときの注意点

単3形電池室

電池室に液漏れ、白色や緑色の腐食、接点の錆がないか確認します。

電源が入っても、フラッシュ充電やフィルム巻き上げ時に電源が落ちる個体もあります。新品電池を入れ、複数回シャッターを切って確認しましょう。

オートフォーカス

近距離、中距離、遠景へ順番に向け、AFの作動音や合焦表示が変化するか確認します。

最短距離は約1mです。近すぎる被写体だけでAFを試すと、故障していない個体でも正常に合焦しません。

フラッシュと各モード

自動発光だけでなく、強制発光、発光禁止、赤目軽減、夜景モードを切り替えます。

ボタンを押しても表示が変化しない個体や、電源を入れ直すと設定が不安定になる個体には注意が必要です。

フィルム送りとパノラマ機構

テスト用フィルムを入れ、自動装填、巻き上げ、カウンター、終端での巻き戻しを確認します。

パノラマスイッチを切り替え、フィルム室内の遮光板が上下とも確実に動くことも確認しましょう。

YASHICA Microtecはどんな人に向いている?

YASHICA Microtec AF-Superは、次のような人に向いています。

  • 32mmの広めの画角でスナップを撮りたい人
  • フィルム装填や露出操作をカメラへ任せたい人
  • 単3形電池で使えるカメラを探している人
  • フラッシュを任意に停止したい人
  • 軽量な1990年代のコンパクトカメラが好きな人
  • 高額化したYASHICA Tシリーズとは異なる選択肢を探している人

一方、接写、ズーム撮影、絞りやシャッター速度の手動設定を求める人には向きません。

まとめ

YASHICA Microtec AF-Superは、32mm F3.9の単焦点レンズを搭載した35mm全自動コンパクトカメラです。

アクティブ方式AF、プログラムAE、内蔵フラッシュ、約2秒の夜景モード、パノラマ切り替え、自動フィルム送りを備えながら、重量は約180g。単3形電池2本で作動する扱いやすさも魅力です。

中古では、Microtec Zoomシリーズとの取り違えに注意し、電池室、AF、フラッシュ、フィルム送り、パノラマ遮光板を確認しましょう。

正常に動作する個体なら、32mmの使いやすい画角と全自動操作によって、日常のスナップを気軽にフィルムへ残せる一台です。

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