Nikon Us(ニコンUs)は、35mmフィルムを使用するオートフォーカス一眼レフカメラです。
2002年に発売された入門モデルで、日本国内では「Nikon Us」、海外では「Nikon F55」または「N55」の名称で販売されました。3点AF、P・S・A・M、内蔵フラッシュ、自動フィルム送りを備えながら、ボディー重量を約350gに抑えています。
Nikon Usとは
Nikon Usは、先行するNikon Uよりも機能と価格を抑え、小型・軽量化を重視したエントリー向けAF一眼レフです。
デジタルカメラが急速に普及し始めた2002年に登場した、ニコンのフィルム一眼レフとしては比較的新しいモデルにあたります。
フィルム装填、巻き上げ、巻き戻し、露出、ピント合わせを自動化できるため、コンパクトカメラに近い感覚で撮影できます。一方、P・S・A・Mも備えており、絞りやシャッター速度を自分で設定することも可能です。
横3点のオートフォーカス
Nikon Usは、Multi-CAM530モジュールを使用したTTL位相差検出方式の3点AFを搭載しています。
中央だけでなく左右の測距点も選べるため、人物を画面中央から外した構図を作りやすくなっています。カメラが最も手前にある被写体を判断する「至近優先ダイナミックAF」と、任意の測距点を使うダイナミックAFを利用できます。
オートサーボAFを採用
AFモードでは、被写体の状態に応じてカメラが動作を切り替えます。
静止した被写体では合焦後にピントを固定し、動く被写体ではピントを合わせ続けます。フォーカストラッキングとロックオン機能も備えていますが、現代のデジタル一眼のような顔認識や画面全域での被写体追尾はありません。
AUTOからP・S・A・Mまで対応
露出モードは、カメラ任せで撮影できるAUTOのほか、次のモードを搭載しています。
- P:マルチプログラムAE
- S:シャッター速度優先AE
- A:絞り優先AE
- M:マニュアル露出
Pモードでは、適正露出を維持しながら絞りとシャッター速度の組み合わせを変更するフレキシブルプログラムも利用できます。
5種類のイメージプログラム
撮影目的に合わせて、ポートレート、風景、クローズアップ、スポーツ連写、夜景ポートレートを選択できます。
たとえばポートレートでは背景をぼかしやすい設定、スポーツでは動きを止めやすい高速シャッターをカメラが選びます。露出の仕組みが分からなくても、被写体に近いアイコンを選んで撮影できる設計です。
5分割マルチパターン測光
測光には5分割マルチパターン測光を採用しています。
GタイプまたはDタイプのAFニッコールでは、画面の明るさやコントラストに加え、レンズから伝えられる距離情報も利用する3Dマルチパターン測光が作動します。
マニュアル露出では、画面中央付近を重視する中央部分測光へ自動的に切り替わります。露出補正は±2EVの範囲を1/2EV刻みで設定可能です。
最高1/2000秒の電子シャッター
Nikon Usには、電子制御式の縦走りフォーカルプレーンシャッターが搭載されています。
シャッター速度は30秒から1/2000秒。Mモードでは、シャッターボタンを一度押すと開き、もう一度押すと閉じる長時間露光にも対応します。フラッシュ同調速度は1/90秒以下です。
電子シャッターなので、電池が切れると撮影できません。機械式の非常用シャッター速度も搭載されていないため、撮影時は予備のCR2電池を用意しておくと安心です。
ガイドナンバー12の内蔵フラッシュ
ファインダー上部には、ポップアップ式のフラッシュを内蔵しています。
ガイドナンバーはISO100で約12。28mmレンズの画角までカバーし、CPU内蔵ニッコールとの組み合わせではTTL調光を利用できます。
通常発光のほか、赤目軽減、スローシンクロ、赤目軽減スローシンクロ、発光禁止を選択できます。AUTOや一部のイメージプログラムでは、暗さを検知するとフラッシュが自動的に上がります。
撮影済みフィルムを順次パトローネへ戻す
Nikon Usは、フィルム装填時にフィルム全体を先に引き出す「プリワインド方式」を採用しています。
裏蓋を閉じると、フィルムは自動的に最終コマまで送られます。撮影するたびに使用済み部分がパトローネへ戻るため、途中で裏蓋を誤って開けた場合でも、すでに撮影したコマを守りやすい仕組みです。
フィルム感度はDXコードから自動設定され、対応範囲はISO25~5000です。DXコードのないフィルムはISO100として扱われ、感度の手動設定はできません。
Nikon Fマウントとレンズ互換性
Nikon UsはFマウントを採用し、GタイプおよびDタイプのAFニッコールで主要機能を利用できます。
ボディー内モーターを備えているため、スクリュードライブ式のAFニッコールやAF-Dレンズではオートフォーカスが作動します。
ただし、当時の仕様ではAF-S・AF-IレンズのAFに対応せず、VRレンズの手ブレ補正も利用できません。非CPUのAI・AI-SレンズはMモードで装着できますが、カメラ内蔵露出計は作動しません。非AIレンズなど、装着できないレンズもあります。
中古でレンズを選ぶなら、AF Zoom-Nikkor 28-80mm F3.3-5.6Gなど、同時代の小型AFレンズが扱いやすい組み合わせです。
Nikon Usの基本スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 発売年 | 2002年 |
| 海外名称 | Nikon F55/N55 |
| カメラ形式 | 35mm AF一眼レフ |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズマウント | Nikon Fマウント |
| AF方式 | TTL位相差検出・3点AF |
| 露出モード | AUTO、イメージプログラム、P・S・A・M |
| 測光方式 | 3D/5分割マルチパターン、中央部分 |
| 露出補正 | ±2EV・1/2EV刻み |
| シャッター速度 | 30秒~1/2000秒、長時間露光 |
| フラッシュ同調 | 1/90秒以下 |
| 内蔵フラッシュ | GN12・28mm画角対応 |
| ファインダー視野率 | 約89% |
| フィルム感度 | DX:ISO25~5000 |
| フィルム送り | プリワインド式・自動 |
| 連続撮影 | 約1.5コマ/秒 |
| 電源 | CR2リチウム電池2本 |
| サイズ | 約129×92×65mm |
| 重量 | 約350g・電池別 |
主な仕様はニコンの製品史とF55/N55取扱説明書に基づきます。
Nikon Uとの違い
Nikon Uは5点AFを搭載した上位モデルで、Nikon Usは3点AFへ簡略化されています。
Usはファインダー視野率や連写性能なども控えめですが、約350gという軽さが魅力です。Uより機能を絞り、初めて一眼レフを使う人や、軽量なサブカメラを求める人へ向けたモデルといえます。
中古で購入するときの注意点
グリップのべたつき
ゴム系の表面処理が経年劣化し、グリップがべたついている個体があります。
軽度なら清掃できる場合もありますが、印刷や表面処理まで剥がれる可能性があるため、強い溶剤の使用は避けましょう。
自動フィルム送り
テスト用フィルムを入れ、プリワインド、撮影後の巻き戻し、カウンター、途中巻き戻しを確認します。
モーター音がしていても、フィルム先端を正しく巻き取れているとは限りません。
AFと内蔵フラッシュ
対応AFレンズを装着し、3つの測距点、近距離と遠景でのAF、補助光を確認します。
内蔵フラッシュは、自動ポップアップ、充電、発光、収納まで試しましょう。
電池室と裏蓋
CR2電池室の液漏れや接点腐食、電池蓋の割れを確認します。
軽量な樹脂製ボディーなので、裏蓋のロックやヒンジ、レンズマウント周辺の割れにも注意が必要です。
Nikon Usはどんな人に向いている?
Nikon Usは、軽いフィルム一眼レフを使いたい人、AFと自動露出で気軽に撮影したい人、P・S・A・Mを使って写真の基本を学びたい人に向いています。
一方、マニュアルニッコールを中心に使いたい人、AF-SレンズやVRを活用したい人、高速連写や広いファインダーを求める人には適していません。
まとめ
Nikon Usは、2002年に登場した小型・軽量な35mm AF一眼レフです。
3点AF、5分割マルチパターン測光、P・S・A・M、最高1/2000秒の電子シャッター、内蔵フラッシュ、プリワインド式フィルム送りを約350gのボディーへ収めています。
中古では、グリップのべたつき、AF、自動フィルム送り、内蔵フラッシュ、電池室を重点的に確認しましょう。
正常に作動する個体なら、コンパクトカメラに近い手軽さと、一眼レフならではのレンズ交換や露出操作を両立できる、扱いやすいフィルムカメラです。









