Kowaflex

Kowaflex

コーワフレックスとは、医薬品製造会社の興和がかつて製造していた一眼レフカメラです。興和の光学機器部門は1978年に撤退しました。こちらのコーワフレックスは1960年に製造されたレンズ固定式一眼レフカメラであり、レンズは「Prominar 50mm F2」です。現在はカメラを製造していないメーカーのカメラということで、実用的というよりコレクター向けのカメラであると言えるでしょう。正面のセレン光電池がインパクトがあります。
興和はこちらの一眼レフカメラ以外にも二眼レフやコンパクトカメラも発売していたそうですが、なかなか中古市場では見かけません。使える・使えないは別として、希少価値のあるカメラであることは間違いありません。

Kowaflex(コーワフレックス)は、35mmフィルムを使用するレンズ固定式の一眼レフカメラです。

一般的な一眼レフで使われるフォーカルプレーンシャッターではなく、レンズ付近に羽根を配置したレンズシャッターを採用。Prominar 50mm F2の明るい標準レンズを搭載し、撮影レンズを通した像を見ながらピントと構図を確認できます。

掲載写真の個体は、ペンタプリズム前面に大きなセレン受光部が見られないため、露出計を備えた「Kowaflex E」ではなく、初代Kowaflexとみられます。

目次

Kowaflexとは

Kowaflexは、興和光器製作所が1960年に発売した35mm一眼レフカメラです。

現在の興和は医薬品や光学機器などで知られていますが、かつては二眼レフ、レンジファインダー、一眼レフ、中判カメラなども製造していました。Kowaflexは、興和が発売した最初の35mm一眼レフに位置づけられます。

レンズ交換のできない一眼レフ

一眼レフというと、レンズを交換できるカメラを思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし、KowaflexのProminar 50mm F2はボディーへ固定されており、一般的な交換レンズのように取り外すことはできません。

一眼レフの利点である、

  • 撮影レンズを通した像を確認できる
  • ピントの状態をファインダーで判断できる
  • 近距離撮影でもパララックスが発生しない

という特徴を残しながら、レンズ交換機構を省略した構成です。

後継機Kowaflex Eとの違い

初代Kowaflexの後には、改良型のKowaflex Eが登場しました。

Kowaflex Eでは、ペンタプリズム前面にセレン光電池式露出計が追加され、絞りの自動化や撮影後すぐに像が復帰するミラー機構も採用されています。初代Kowaflexには露出計がなく、ミラーはフィルムを巻き上げた際に撮影位置へ戻る構造です。

外観上は、ファインダー前面に大きな格子状の受光部があるかどうかが、初代とEを見分ける大きなポイントになります。

Prominar 50mm F2を固定装着

Kowaflexには、Prominar 50mm F2が固定装着されています。

Prominarは、興和の高性能光学製品に使われてきた名称です。Kowaflex用の50mm F2は4群6枚のガウスタイプで、日常のスナップ、人物、風景などに使いやすい標準画角を持っています。最短撮影距離は約0.7mです。

開放F2の明るいレンズ

開放F値はF2です。

当時の標準レンズとしては比較的明るく、日中の撮影だけでなく、室内や夕方など光量が少ない場面でもシャッター速度を確保しやすい仕様です。

絞りを開けば背景をぼかしやすくなりますが、ピントの合う範囲は狭くなります。Kowaflexにはオートフォーカスがないため、開放付近で撮影するときはファインダーを使って慎重にピントを合わせましょう。

前面にコンバージョンレンズを装着できる

撮影レンズそのものは交換できませんが、レンズ前面へ専用コンバージョンレンズを装着することで画角を変更できます。

用意されていた主なアクセサリーは、次の2種類です。

  • 約0.76倍の広角コンバージョンレンズ:36mm相当・F4
  • 約1.7倍の望遠コンバージョンレンズ:85mm相当・F4

専用コンバージョンレンズは後継のKowaflex Eでも使用できました。

現在では本体以上に見つけにくい付属品です。中古品に付属している場合は、レンズ内部のカビやクモリだけでなく、装着用ねじ部分の変形も確認しましょう。

レンズシャッター式の一眼レフ

Kowaflexは、セイコーシャSLVレンズシャッターを搭載しています。

レンズシャッターは複数の羽根を円形に開閉して露光する方式です。Kowaflexをはじめ、興和の35mm一眼レフでは長期間にわたってレンズシャッター方式が採用されました。

シャッター速度は1秒から1/500秒

シャッター速度は、Bと1秒から1/500秒までの範囲です。

低速シャッターを利用すれば夜景や長時間露光に対応でき、最高1/500秒では屋外で動く被写体を撮影したり、明るい場所で絞りを開いたりできます。

Bではシャッターボタンを押している間、シャッターが開いた状態になります。長時間露光では、三脚とケーブルレリーズを使うとカメラぶれを抑えやすくなります。

フラッシュ撮影との相性がよい

レンズシャッターは、画面全体を一度に開いて露光するため、基本的に各シャッター速度でフラッシュを同調させられることが利点です。

ただし、60年以上前のカメラではシンクロ接点や内部配線が劣化している可能性があります。古いフラッシュを使用する場合は、発光確認だけでなく接点の状態も確認しましょう。

撮影後はファインダーが暗くなる

初代Kowaflexは、後継のKowaflex Eとは異なり、撮影後すぐにミラーが戻るクイックリターン式ではありません。

シャッターを切るとミラーが上がった状態になり、ファインダー像が暗くなります。次にフィルム巻き上げレバーを操作すると、シャッターのチャージとともにミラーが撮影位置へ戻り、再びファインダーを確認できるようになります。

現在では不便に感じる構造ですが、初期の一眼レフでは珍しくありませんでした。

撮影直後にファインダーが真っ暗になっても、必ずしも故障ではありません。まずはフィルム巻き上げ操作を行い、像が復帰するか確認しましょう。

露出計は搭載されていない

初代Kowaflexには、露出計が搭載されていません。

撮影時には、次のいずれかを使用して露出を決めます。

  • 単体露出計
  • スマートフォンの露出計アプリ
  • 別のカメラの露出表示
  • 天候とフィルム感度から判断する露出表

露出計用の電池は必要なく、シャッターも機械式です。カメラの各機構が正常であれば、電池を使わずに撮影できます。

絞りとシャッター速度を手動で設定する

Kowaflexには自動露出がありません。

撮影者が使用するフィルムの感度と明るさを確認し、絞り値とシャッター速度を決めます。

基本的な撮影手順は次のとおりです。

  1. 35mmフィルムを装填する
  2. フィルムを巻き上げる
  3. シャッター速度を設定する
  4. 絞り値を設定する
  5. ファインダーを見てピントを合わせる
  6. シャッターを切る
  7. 再びフィルムを巻き上げてミラーを戻す

露出、ピント、巻き上げを一つずつ操作する、完全なマニュアルカメラです。

Kowaflexの基本スペック

項目仕様
発売年1960年
カメラ形式レンズ固定式35mm一眼レフ
使用フィルム35mm・135フィルム
画面サイズ24×36mm
レンズProminar 50mm F2
レンズ構成4群6枚
最短撮影距離約0.7m
レンズ交換不可
ピント合わせマニュアルフォーカス
露出計なし
露出設定マニュアル
シャッターセイコーシャSLVレンズシャッター
シャッター速度B、1秒~1/500秒
ミラー巻き上げ復帰式
フィルム巻き上げレバー式
電池不要

初代Kowaflexは流通数が多くなく、資料によって発売時期の表記がわずかに異なる場合があります。外観が似たKowaflex EやKowa Eのスペックと混同しないよう注意が必要です。

中古のKowaflexを購入するときの注意点

初代かKowaflex Eかを確認する

商品名が単に「Kowaflex」と記載されていても、露出計付きのKowaflex Eを指している場合があります。

初代は露出計なし、Kowaflex Eはファインダー前面に大きなセレン受光部があります。型式によってミラーや絞りの動きも異なるため、外観を確認してから資料を参照しましょう。

レンズシャッターの動作

Bから1/500秒までシャッター速度を変更し、羽根の開いている時間が変化するか確認します。

古いレンズシャッターでは、次の症状が起こることがあります。

  • 低速シャッターが途中で止まる
  • シャッター羽根が開かない
  • 羽根が閉じきらない
  • すべて同じ速度で作動する
  • チャージできない

レンズシャッター式一眼レフは、シャッター、ミラー、遮光機構などを連動させる必要があり、構造が複雑です。動きが重い場合に無理な力を加えると、不具合を悪化させる可能性があります。

ミラーが巻き上げで戻るか

シャッターを切るとファインダーが暗くなり、巻き上げ操作によってミラーが戻るのが初代Kowaflexの正常な動作です。

巻き上げてもファインダー像が戻らない場合は、ミラーまたはシャッターチャージ機構に問題がある可能性があります。

反対に、撮影直後に像が戻らないことだけを理由に故障と判断しないようにしましょう。

絞り羽根の状態

絞りリングを動かし、羽根が設定値に応じて開閉するか確認します。

羽根に油が付着している、動きが遅い、完全に閉じない場合は、露出が不安定になります。

Kowaflexはレンズを交換できないため、絞り機構の故障はカメラ全体の実用性に直結します。

Prominarレンズのカビやクモリ

レンズを前後から光に透かし、次の状態を確認します。

  • カビ
  • クモリ
  • バルサム切れ
  • 強い傷
  • コーティングの劣化
  • 内部への油の付着

固定レンズ式なので、レンズの状態が悪くても別のレンズへ交換できません。外観の傷より、Prominar 50mm F2の光学状態を優先して確認しましょう。

ファインダーとピント

ファインダー内のカビ、クモリ、ゴミ、プリズムの腐食を確認します。

遠方の建物などへピントを合わせ、レンズの無限遠表示とファインダー像が一致するかも見ておきたいところです。

一眼レフなので、ファインダーのピント位置がずれていると、撮影画像もピンぼけになる可能性があります。

フィルム巻き上げ機構

巻き上げレバーを操作し、次の動作を確認します。

  • レバーが滑らかに動く
  • シャッターがチャージされる
  • ミラーが戻る
  • フィルムカウンターが進む
  • 巻き取り軸とスプロケットが回転する

複数の機構が連動しているため、レバーが極端に重い場合は無理に動かさないようにしましょう。

セルフタイマーは慎重に確認する

古いカメラでは、セルフタイマーの内部機構が固着していることがあります。

レバーが重い、途中で止まる個体を無理に作動させると、シャッターが切れなくなる可能性があります。実用上必要がなければ、動作不明のセルフタイマーは操作しないほうが安全です。

Kowaflexはどんな人に向いている?

Kowaflexは、次のような人に向いています。

  • 珍しい国産一眼レフに興味がある人
  • Prominarレンズをフィルムで使いたい人
  • レンズシャッター式一眼レフの構造を楽しみたい人
  • 電池を使わないカメラを探している人
  • 1960年代の国産カメラを収集している人
  • 露出やピントを手動で設定したい人
  • 有名メーカーの定番機とは違うカメラを使いたい人

一方、交換レンズを使いたい人や、簡単で修理しやすいフィルムカメラを求める人には向きません。

撮影性能だけでなく、レンズシャッター、巻き上げ復帰式ミラー、固定式Prominarレンズという独特な構造そのものを楽しむカメラです。

まとめ

Kowaflexは、1960年に登場した興和初の35mm一眼レフカメラです。

Prominar 50mm F2を固定装着し、セイコーシャSLVレンズシャッター、マニュアル露出、巻き上げ復帰式ミラーを採用しています。

初代には露出計がなく、後継のKowaflex Eでセレン露出計、自動絞り、撮影後に復帰するミラーなどが追加されました。

中古で購入するときは、初代とEの判別に加え、レンズシャッター、ミラー、絞り、巻き上げ機構、Prominarレンズ、ファインダーの状態を確認することが重要です。

正常に動作する個体なら、現代の一眼レフとは大きく異なる機械動作と、Prominar 50mm F2による撮影を楽しめる、非常に個性的な国産フィルムカメラです。

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