レオタックス F

レオタックス

レオタックスはかつて存在したカメラメーカーです。上記のものは、いわゆるコピーライカであり、ライカのカメラによく似せたデザインのカメラです。ちなみにコピーライカはレオタックス以外にも多数のメーカーが製造しており、キャノンやミノルタもコピーライカを製造していた時期がありました。
レオタックスFは1000分の1のシャッタースピードを搭載したものです。上記の画像の固体は表面の皮が全てはがれてしまったものです。ボディと皮を貼り付ける接着剤が劣化してポロポロと剥がれ落ちる個体がレオタックスに限らず、古いカメラ全般に見られるため、取り扱いには注意しなければなりません。

レオタックスFは、35mmフィルムを使用するレンズ交換式のレンジファインダーカメラです。

バルナック型ライカに近い外観と操作体系を持ちながら、日本の昭和光学が製造した国産カメラです。金属製の重厚なボディー、L39スクリューマウント、最高1/1000秒の機械式シャッターなどを備えています。

露出計やオートフォーカスは搭載されていません。撮影者が距離、絞り、シャッター速度をすべて設定する、クラシカルなフィルムカメラです。

目次

レオタックスFとは

レオタックスFは、1954年に登場した35mm判レンジファインダーカメラです。

それまでのレオタックスとはボディー設計が大きく異なり、ダイキャスト製のボディーと一体型の軍艦部カバーを採用しました。外観や基本構造は、ライカIIIc・IIIfなどのバルナック型ライカから強い影響を受けています。

昭和光学が製造した国産カメラ

レオタックスを製造したのは、東京都に拠点を置いていた昭和光学です。

初期の個体には、軍艦部に「SHOWA OPTICAL WORKS LTD.」の刻印があります。1956年に社名がレオタックスカメラへ変更されたため、後期の個体には「LEOTAX CAMERA CO., LTD.」と刻印されているものもあります。

同じレオタックスFでも、製造時期によってメーカー名の刻印やフィルム感度メモの表示方法などに違いがあります。

レオタックス初の最高1/1000秒を搭載

レオタックスFは、同社のカメラとして初めて最高1/1000秒のシャッター速度を採用しました。

高速シャッターだけでなく、低速シャッターやT設定も備えており、後に登場した廉価モデルのレオタックスTやKでは一部のシャッター速度が省略されています。

L39スクリューマウントを採用

レンズマウントには、ライカスクリューマウントとも呼ばれるL39規格が採用されています。

直径約39mmのねじ込み式マウントで、レンズを回転させながらボディーへ取り付けます。M39と表記されることもありますが、中古レンズを探すときは、引き伸ばしレンズ用のM39規格などと混同しないよう注意が必要です。

複数の標準レンズが存在する

レオタックスFには、主に5cm前後の標準レンズが組み合わされていました。

取扱説明書には、Topcor 5cm F1.5とTopcor 5cm F3.5が掲載されています。そのほか、生産時期や販売形態によって、Simlar、Topcor-S、Hexanonなどを装着した個体も確認されています。

したがって、現在装着されているレンズが、必ずしも製造時から組み合わされていたものとは限りません。

ボディーとレンズの年代、レンズ名、製造番号などを確認し、オリジナルの組み合わせか、後から交換されたものかを判断する必要があります。

沈胴式レンズは引き出して使用する

Topcor 5cm F3.5などの一部には、使用しないときに鏡筒をボディー側へ収納できる沈胴式レンズがあります。

撮影するときは、レンズを手前へ完全に引き出し、回転させて固定しなければなりません。収納状態のまま撮影すると、正しいピント位置にならない可能性があります。

距離計とファインダーを使って撮影する

レオタックスFには、ピントを合わせるための連動距離計が搭載されています。

距離計をのぞくと被写体が二重に見えます。レンズのフォーカシングレバーを動かし、二つの像が完全に重なった位置がピントの合った状態です。

ピント合わせと構図確認を別々に行う

レオタックスFは、現在のレンジファインダーカメラのように、ひとつの大きなファインダーでピントと構図を同時に確認する方式ではありません。

基本的には、倍率の高い距離計でピントを合わせた後、構図確認用のファインダーへ目を移して撮影します。

慣れるまでは、どちらの窓をのぞいているのか迷いやすい構造です。

標準ファインダーは50mm前後が基本

ボディー内蔵の構図用ファインダーは、標準レンズに近い画角を想定しています。

35mmや90mm、135mmなどの交換レンズを使用する場合は、その焦点距離に対応した外付けファインダーをアクセサリーシューへ装着する方法があります。

レンズを交換できても、内蔵ファインダーの画角まで自動的に切り替わるわけではありません。

機械式フォーカルプレーンシャッターを搭載

レオタックスFは、横走り式の布幕フォーカルプレーンシャッターを採用しています。

電子制御を使用しないため、撮影に電池は必要ありません。露出計も搭載されていないので、外部露出計やスマートフォンの露出計アプリなどを使用し、絞りとシャッター速度を決めます。

高速側と低速側でダイヤルが分かれている

シャッター速度は、上部の高速シャッターダイヤルと、ボディー前面の低速シャッターダイヤルを使い分けます。

高速側はBと1/25~1/1000秒、低速側はTと1秒~1/15秒を備えた2ダイヤル式です。低速シャッターを使用するときは、上部ダイヤルを切り替え位置へ合わせたうえで、前面ダイヤルから速度を選びます。

現代のカメラとは操作方法が異なるため、使用前に各ダイヤルの役割を確認しておきましょう。

シャッターをチャージしてから速度を変更する

レオタックスFでは、フィルム巻き上げノブの操作によって、フィルム送りとシャッターチャージが同時に行われます。

取扱説明書では、最初に巻き上げノブを最後まで回してシャッターをセットし、その後にシャッター速度を設定する手順が案内されています。

シャッターをチャージしていない状態で速度ダイヤルを無理に操作すると、内部機構へ負担をかける可能性があります。

レオタックスFの基本スペック

項目仕様
発売年1954年
カメラ形式35mm判レンジファインダーカメラ
使用フィルム35mm・135フィルム
画面サイズ24×36mm
レンズマウントL39スクリューマウント
ピント合わせ連動距離計式・マニュアル
露出設定マニュアル
露出計なし
シャッター横走り布幕フォーカルプレーン
最高シャッター速度1/1000秒
低速シャッターT、1秒~1/15秒
フィルム巻き上げノブ式
フィルム装填底蓋を外して装填
フラッシュ同調F・X切り替え式
電池不要

シャッター速度は、現在一般的な倍数系列ではなく、1/35秒や1/75秒などを含む旧系列です。

フィルムは底部から装填する

レオタックスFには、一般的なカメラのような開閉式の裏蓋がありません。

底蓋を取り外し、フィルムカートリッジと巻き取りスプールを下から差し込みます。フィルムの先端を巻き取りスプールへ取り付け、パーフォレーションがスプロケットへ正しくかみ合っていることを確認してから底蓋を閉じます。

フィルム先端の形状に注意

バルナック型カメラでは、フィルム先端を通常より長く切り整えたほうが装填しやすい場合があります。

無理に押し込むと、フィルムがスプロケットから外れたり、カメラ内部で引っかかったりすることがあります。初めて使用するときは、明るい場所で練習用フィルムを使って装填方法を確認すると安心です。

装填後は空シャッターを切りながら巻き上げノブを確認します。巻き戻しノブも一緒に回転していれば、フィルムが正常に送られている可能性が高いと判断できます。

フラッシュ撮影に対応

レオタックスFにはフラッシュ同調端子があり、前面のレバーでFとXを切り替えられます。

Xは電子フラッシュ用で、同調速度は1/25秒です。Fは、当時使用されていたFP級フラッシュバルブを想定した設定です。

現在の電子フラッシュを使用する場合は、基本的にX側へ設定します。

ただし、古いシンクロ接点や配線が正常に機能するとは限りません。現代の電子機器を接続する場合は、フラッシュ側のトリガー電圧にも注意が必要です。

中古で購入するときの注意点

シャッター幕の状態

底蓋を外し、可能な範囲でシャッター幕を確認します。

布幕に次のような症状がないかチェックしましょう。

  • 穴やピンホール
  • 強いしわ
  • ゴム引き部分のひび割れ
  • 幕のたるみ
  • 油や汚れの付着

小さな穴でも、撮影画像に光線漏れが発生する可能性があります。

高速・低速シャッターの動作

1秒などの低速から1/1000秒まで速度を変更し、作動時間が変化するか確認します。

古い機械式シャッターでは、低速側が粘る、途中で止まる、1秒に設定してもすぐ閉じるといった症状が起こります。

高速側も、シャッター音が変化しているだけでは正確とは限りません。幕速が不均一だと、フィルムの左右で露出が変わることがあります。

距離計の二重像

距離計をのぞき、二重像が十分に見えるか確認します。

像が薄い、黄色く変色している、まったく動かない個体では、ピント合わせが難しくなります。

遠くの建物などへピントを合わせ、レンズの無限遠位置と距離計の像が一致するかも確認しましょう。縦方向に像がずれている場合は、距離計の調整が必要です。

ファインダー内部

ファインダーのカビ、クモリ、汚れを確認します。

レンジファインダーカメラでは、撮影レンズを通した像を見ているわけではありません。ファインダーが多少汚れていても写真には直接写りませんが、構図確認やピント合わせには大きく影響します。

巻き上げノブとシャッターダイヤル

巻き上げノブが最後まで滑らかに動き、シャッターを確実にチャージできるか確認します。

途中で極端に重くなる場合は、無理に回してはいけません。フィルム送りやシャッター機構が固着している可能性があります。

シャッター速度ダイヤルも、必要以上に力を入れなければ回らない個体には注意が必要です。

底蓋とフィルム室

底蓋のロックが正常に機能し、隙間なく閉まるか確認します。

底蓋が変形していると、光線漏れやフィルム装填不良の原因になります。巻き取りスプールが欠品していないかも重要です。

ボディーだけを購入しても、専用の巻き取りスプールがなければフィルムを装填できません。

レンズの状態

レンズ付きの場合は、ボディーとは別に次の部分を確認します。

  • カビやクモリ
  • 前玉・後玉の傷
  • 絞り羽根の油
  • ピントリングの固さ
  • 沈胴部分のがたつき
  • 距離計との連動
  • マウントねじの変形

L39レンズを装着できても、レンズ側の距離計連動機構が合っていなければ、正確にピントを合わせられない場合があります。




レオタックスFはどんな人に向いている?

レオタックスFは、次のような人に向いています。

  • 国産レンジファインダーカメラに興味がある人
  • バルナック型カメラの操作を楽しみたい人
  • L39マウントレンズを所有している人
  • 電池を使わない機械式カメラを探している人
  • 1950年代の国産カメラを収集している人
  • 巻き上げノブや2ダイヤル式シャッターを楽しめる人
  • 撮影前の手間も含めてフィルムカメラを味わいたい人

一方、簡単にフィルムを装填したい人や、露出計、明るい一眼式ファインダー、レバー巻き上げなどを求める人には扱いにくいでしょう。

撮影結果だけでなく、フィルムの装填、距離計によるピント合わせ、露出の決定といった一連の操作を楽しむカメラです。

まとめ

レオタックスFは、1954年に登場したL39スクリューマウント採用の35mmレンジファインダーカメラです。

ダイキャスト製ボディー、最高1/1000秒の布幕フォーカルプレーンシャッター、低速シャッターダイヤル、F・X切り替え式のフラッシュ同調などを備えています。

露出計はなく、ピント合わせと構図確認も別々に行うため、現在のカメラと比べれば撮影には時間がかかります。しかし、その不便さこそが、1950年代の機械式カメラを操作する魅力でもあります。

中古で購入するときは、シャッター幕、高速・低速シャッター、距離計、ファインダー、巻き上げ機構、底蓋、巻き取りスプールの状態を確認しましょう。

正常に整備された個体なら、国産バルナック型カメラならではの重厚な操作感と、豊富なL39マウントレンズによる撮影を楽しめます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次