





ペンタックス *ist(イスト)は、35mmフィルムを使用するオートフォーカス一眼レフカメラです。
2003年に登場した比較的新しい世代のフィルムカメラで、オートフォーカス、自動露出、内蔵ストロボ、自動巻き上げ・巻き戻しなどを搭載しています。
なお、名称がよく似た「*ist D」「*ist DS」「*ist DL」はデジタル一眼レフです。名称に「D」が付かないPENTAX *istはフィルムカメラなので、中古品を探す際は混同しないようにしましょう。
ペンタックス *istとは
ペンタックス *istは、TTL自動露出とオートフォーカスを搭載した35mm判一眼レフカメラです。
機構の配置を見直すことで、ペンタックスの35mmオートフォーカス一眼レフとして小型・軽量化されました。ボディーのみの重量は約335gで、本格的な一眼レフながら持ち歩きやすいことが特徴です。
「イスト」と読む独特な製品名
「*ist」は「イスト」と読みます。
その後に発売されたペンタックス初のレンズ交換式デジタル一眼レフにも「*ist D」の名称が使われたため、現在ではデジタルカメラと間違えられることがあります。
中古カメラ店やフリマサイトで探す場合は、「PENTAX *ist フィルム」「ペンタックス イスト 35mm」などのキーワードを使うと判別しやすくなります。
ペンタックス *istの主な特徴
小型・軽量な35mm一眼レフ
*istの大きさは、幅約122mm、高さ約84mm、厚さ約63.5mmです。電池を含まないボディーのみの重量は約335gとなっています。
金属製の機械式一眼レフと比べると軽量で、標準ズームレンズを装着しても比較的コンパクトに持ち歩けます。
一方、グリップや操作部分も小さいため、手の大きな人は持ちにくく感じる可能性があります。購入前に実機を持てる場合は、シャッターボタンやダイヤルの操作感も確認するとよいでしょう。
11点オートフォーカスを搭載
オートフォーカスには、11点測距の「SAFOX VIII」が採用されています。
カメラが測距点を自動的に選ぶAUTO、撮影者が任意の測距点を選ぶSEL、中央一点に固定するSPOTを切り替えられます。ファインダー内では、ピントを合わせた測距点が赤く点灯します。
フォーカスモードは、次の3種類です。
- AF.S:静止した被写体向け
- AF.C:動く被写体向け
- MF:手動でピントを合わせる
AF.Cでは被写体の動きを予測する機能も備えています。現在のデジタル一眼レフほど高速ではありませんが、人物や日常のスナップなどには利用しやすい仕組みです。
16分割測光に対応
*istは、画面を16分割して明るさを判断する測光方式を搭載しています。
通常の分割測光だけでなく、画面中央を重視する中央重点測光と、狭い範囲を測るスポット測光も選択できます。逆光や明暗差の大きな場面では、撮影意図に応じて測光方法を変更できます。
初心者向けのオート撮影に対応
モードダイヤルを「AUTO PICT」に合わせると、カメラが撮影状況を判断し、適した撮影モードを選択します。
選択される主なプログラムは次のとおりです。
- 標準
- 人物
- 風景
- 近接
- 動体
撮影者が人物、風景、近接、動体、夜景などのピクチャーモードを直接選択することもできます。フィルム一眼レフを初めて使う人でも、複雑な露出設定をせずに撮影を始められる設計です。
マニュアル露出にも対応
初心者向けの自動撮影だけでなく、次の露出モードも備えています。
- シャッター速度優先AE
- 絞り優先AE
- マニュアル露出
- バルブ撮影
シャッター速度や絞りを自分で設定できるため、カメラ任せの撮影から一歩進んで、露出表現を学びたい人にも対応できます。
最高シャッター速度は1/4000秒
*istは、電子制御式の縦走りフォーカルプレーンシャッターを搭載しています。
シャッター速度は最長30秒から最高1/4000秒まで設定でき、長時間露光用のバルブ撮影にも対応しています。通常のフラッシュ同調速度は1/125秒です。
最高1/4000秒を利用すれば、明るい屋外でも絞りを開きやすくなります。また、速く動く被写体の動きを止めたい場面にも利用できます。
ただし、シャッターは電子制御式です。電池が入っていない状態や電池切れの状態では正常に撮影できないため、中古購入時には必ず電池を入れて確認しましょう。
ペンタックス *istの基本スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| カメラ形式 | TTLストロボ内蔵35mmオートフォーカス一眼レフ |
| 使用フィルム | 35mm・135フィルム |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズマウント | ペンタックスKAFマウント |
| オートフォーカス | TTL位相差検出式・11点SAFOX VIII |
| 測光方式 | 16分割・中央重点・スポット |
| シャッター | 電子制御式縦走りフォーカルプレーン |
| シャッター速度 | 30~1/4000秒・バルブ |
| フラッシュ同調速度 | 1/125秒以下 |
| 連続撮影 | 約2.5コマ/秒 |
| 内蔵フラッシュ | ガイドナンバー11 |
| フィルム感度 | DX自動ISO25~5000 |
| 手動感度設定 | ISO6~6400 |
| 電源 | CR2リチウム電池2本 |
| サイズ | 約122×84×63.5mm |
| 重量 | 約335g・電池別 |
ペンタックスKマウントレンズを使用できる
レンズマウントには、ペンタックスKAFマウントが採用されています。
公式仕様では、KAF2、KAF、KAマウントのレンズに対応しています。ただし、KAF2レンズに搭載されたパワーズーム機能は使用できません。
絞りリングはA位置に設定する
絞りリングを備えた対応レンズでは、基本的に絞りを「A」の位置に設定します。
A位置以外では、標準設定のままではシャッターが切れません。カスタムファンクションでレリーズを許可することはできますが、使用できる露出機能には制限が生じる場合があります。
古いKマウントレンズを使用する場合は、単に装着できるかだけでなく、測光や自動絞りが正常に作動するかも確認しましょう。
デジタル専用DAレンズには注意
ペンタックスのDAレンズは、主にAPS-Cサイズのデジタル一眼レフ向けに設計されています。
Kマウントなので装着できる製品もありますが、35mmフィルムの画面全体をカバーできず、周囲が暗くなったり黒く欠けたりする可能性があります。
*istで使用するレンズを選ぶ場合は、35mmフィルムに対応するFA、F、Aシリーズなどを中心に確認するのが安全です。
フィルムの装填と巻き上げは自動
裏蓋を開けてフィルムを入れ、先端を所定の位置まで引き出して裏蓋を閉じると、カメラが1枚目まで自動的に巻き上げます。
撮影後のフィルム送りも内蔵モーターで行われ、フィルムの最後まで撮影すると自動的に巻き戻されます。途中で巻き戻すことも可能です。
手動巻き上げ式のフィルムカメラより簡単に扱えますが、モーター音が発生します。静かな場所で撮影するときは、巻き上げ音が目立つ可能性があります。
約2.5コマ/秒の連続撮影
ドライブモードを連続撮影に設定すると、約2.5コマ/秒で撮影できます。
フィルムは撮影枚数に限りがあるため、デジタルカメラのように長時間連写する用途には向きませんが、人物の表情や動く被写体を数枚続けて撮影したい場合に便利です。
内蔵ストロボを搭載
カメラ上部には、ガイドナンバー11のポップアップ式ストロボが内蔵されています。
AUTO PICTなどでは、暗い場所や逆光を検知すると自動的にポップアップして発光します。電源を切るとストロボが自動で収納される仕組みも備えています。
内蔵ストロボは28mmレンズの画角まで対応しており、赤目軽減機能や強制発光も利用できます。
中古のペンタックス *istを購入するときの注意点
フィルムカメラの*istであることを確認する
最初に確認したいのが、デジタル一眼レフの*ist Dシリーズとの違いです。
フィルム用の*istは背面に画像確認用のカラーモニターがなく、裏蓋に撮影情報を表示する横長の液晶パネルがあります。
商品名に「D」「DS」「DL」などが付いている場合はデジタル一眼レフです。
CR2電池を入れて動作を確認する
*istはCR2リチウム電池を2本使用します。
中古品では、電池を入れて次の動作を確認しましょう。
- 電源が入るか
- 液晶に表示が出るか
- シャッターが切れるか
- オートフォーカスが動くか
- 内蔵ストロボが上がるか
- フィルム巻き上げモーターが動くか
電池室に液漏れ跡や端子の腐食がないかも確認します。
背面液晶の状態
背面液晶には、シャッター速度、絞り値、撮影枚数、フィルム感度、測距点、ドライブモードなどが表示されます。
表示欠け、液晶漏れ、照明不良があると、設定内容を確認しにくくなります。角度を変えながら、すべての数字や記号が正常に表示されるか確認しましょう。
フィルム室と巻き上げ機構
裏蓋を開け、フィルム室に汚れ、錆、破損がないか確認します。
フィルムを装填した後に1枚目まで自動で巻き上がるか、撮影枚数が正常に増えるか、撮影終了後に巻き戻されるかも重要です。
フィルムを入れずに確認できない部分もあるため、「シャッター確認済み」だけでなく「フィルムを入れた撮影確認済み」と記載された個体のほうが安心です。
オートフォーカスと測距点
対応するAFレンズを装着し、近くの被写体と遠くの被写体へ交互にピントを合わせます。
11点の測距点を選択できるか、合焦した位置がファインダー内で赤く点灯するかも確認しましょう。
AFモーターの音だけがしてピントが動かない場合は、レンズまたはボディー側の駆動機構に問題がある可能性があります。
内蔵ストロボ
ストロボを発光させ、充電が極端に遅くないか、発光後にエラーが出ないか確認します。
自動ポップアップと手動ポップアップの両方を確認し、電源を切ったときに正常に収納されるかもチェックしたいところです。
ペンタックス *istはどんな人に向いている?
ペンタックス *istは、次のような人に向いています。
- 小型・軽量なフィルム一眼レフを探している人
- オートフォーカスで気軽に撮影したい人
- フィルムの巻き上げや巻き戻しを自動で行いたい人
- ペンタックスのAFレンズを所有している人
- 自動撮影とマニュアル露出の両方を試したい人
- 2000年代の電子式フィルムカメラに興味がある人
一方、電池を使わない機械式カメラや、金属製ボディーの重厚な操作感を求める人には向きません。
また、電子部品や巻き上げモーターに不具合が発生すると、機械式カメラのように簡単には修理できない可能性があります。中古品は価格だけでなく、フィルムを使用した動作確認の有無を重視しましょう。
まとめ
ペンタックス *istは、約335gの小型・軽量ボディーに、11点オートフォーカス、16分割測光、最高1/4000秒のシャッター、自動巻き上げ、内蔵ストロボなどを搭載した35mmフィルム一眼レフです。
初心者向けのAUTO PICTから、絞り優先、シャッター速度優先、マニュアル露出まで利用でき、気軽な撮影と本格的な露出設定の両方に対応します。
中古で購入するときは、デジタル一眼レフの*ist Dシリーズと混同しないことに加え、CR2電池を入れてシャッター、AF、背面液晶、ストロボ、フィルム巻き上げ機構を確認することが重要です。
状態のよい個体なら、ペンタックスKマウントレンズを使いながら、比較的新しい世代のフィルム一眼レフならではの快適な撮影を楽しめるでしょう。









