CONTAX T2は、35mmフィルムを使用するレンズ固定式のオートフォーカスカメラです。
1990年に京セラから発売され、Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8、チタン外装、プログラムAEと絞り優先AE、赤外線式AF、内蔵フラッシュ、自動フィルム送りを搭載しました。
コンパクトカメラでありながら発売時価格は12万円。京セラの資料では、それまでの「コンパクトカメラ=廉価品」という印象を変え、高級コンパクトカメラという市場を確立した製品として紹介されています。(産業技術史資料情報センター)
CONTAX T2とは
CONTAX T2は、1990年11月に発売された35mmレンズシャッター式AFカメラです。
画面サイズは一般的な35mm判と同じ24×36mm。レンズ交換には対応していませんが、Carl Zeissの単焦点レンズを固定装着し、露出、ピント合わせ、フィルム送りを自動化しています。発売時にはケースとストラップが付属し、価格は12万円でした。(産業技術史資料情報センター)
高級コンパクトカメラを代表するモデル
T2は、旅行や日常の記録に使える携帯性と、高性能な単焦点レンズ、金属製ボディー、撮影者が介入できる露出操作を組み合わせています。
一眼レフほど大きくなく、一般的な全自動コンパクトよりも撮影設定の自由度が高いことが特徴です。
なお、外観はレンジファインダーカメラに近く見えますが、二重像を重ねてピントを合わせる連動距離計は搭載していません。実像式ファインダーを備えたAFコンパクトカメラです。
Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8を搭載
レンズには、Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8が採用されています。
レンズ構成は4群5枚、絞りはF2.8からF16。最短撮影距離は0.7mで、レンズは電源を入れるとボディーから繰り出し、電源を切ると収納されます。
38mmの自然な画角
38mmは、35mm広角レンズより少し狭く、50mm標準レンズより広い焦点距離です。
街中のスナップ、旅行、人物、家族写真、風景などへ幅広く使用できます。広角レンズほど遠近感が強くならず、50mmほど画面が窮屈になりにくいため、カメラを常時携帯して日常を記録する用途と相性のよい画角です。
T*コーティングを採用
レンズ名に付く「T*」は、Carl Zeissの多層膜反射防止コーティングを示します。
レンズ面で発生する不要な反射を抑え、逆光時のフレアやゴーストを軽減しながら、コントラストと色再現性を維持するための技術です。
ただし、T*コーティングがあっても強い光源を画面へ直接入れれば、フレアが発生する可能性はあります。
プログラムAEと絞り優先AEに対応
CONTAX T2は、プログラムAEと絞り優先AEを利用できます。
レンズ周囲の絞りリングを「P」へ合わせると、カメラが絞りとシャッター速度を自動設定します。F2.8からF16の数値を選ぶと、撮影者が絞りを指定し、カメラがシャッター速度を決めます。
プログラムAE
プログラムAEでは、被写体の明るさに応じて絞りとシャッター速度が自動制御されます。
シャッター速度の範囲は1秒から1/500秒です。露出操作をカメラへ任せられるため、スナップや旅行など、素早く撮影したい場面に適しています。
絞り優先AE
絞り優先AEでは、次のような撮影意図を反映できます。
- F2.8で背景をぼかす
- 暗い場所で光量を確保する
- F8やF11でピントの合う範囲を広げる
- レンズの描写変化を楽しむ
ただし、絞り優先AEでは高速側のシャッター速度が設定絞りに応じて変わり、上限は1/200秒です。
晴天時にF2.8を選ぶと露出オーバーになる場合があります。最高1/500秒を利用できるプログラムAEとの違いを理解しておきましょう。
長時間露光にも対応
光量が少なく1秒を超える露光が必要になると、自動的にバルブ露光へ移行します。
ファインダーにはバルブ露光を示す表示が現れ、上面のカウンターには経過時間が表示されます。夜景撮影では手持ちではなく、三脚を利用するのが基本です。
外部SPD測光を採用
測光にはSPD受光素子を使用した外部測光方式が採用されています。
測光範囲はISO100でEV3~17。露出補正は±2EVの範囲を0.5EV刻みで設定できます。逆光の人物ではプラス補正、黒い背景を暗く見せたい場合などにはマイナス補正を利用できます。
マニュアル露出には対応していません。絞りは選択できますが、シャッター速度を撮影者が直接指定することはできないため、完全な手動露出を求める人は注意が必要です。
赤外線式オートフォーカス
ピント合わせには、赤外線を利用するアクティブ方式のAFが採用されています。
撮影範囲は0.7mから無限遠。シャッターボタンを半押しするとカメラが距離を測定し、ファインダー内に合焦状態が表示されます。
フォーカスロックに対応
画面中央以外の被写体へピントを合わせる場合は、フォーカスロックを使います。
- 被写体を中央のフォーカスフレームへ入れる
- シャッターボタンを半押しする
- 合焦表示を確認する
- 半押しを維持したまま構図を変更する
- シャッターを切る
中央に背景が入り、手前の人物が画面端にいる構図では、フォーカスロックを使わないと背景へピントが合う場合があります。
マニュアルフォーカスも可能
本体上部のフォーカスダイヤルを操作し、撮影距離を手動設定することもできます。
一般的なレンズのフォーカスリングや、レンジファインダーの二重像を利用する方式ではありません。被写体までの距離を判断し、ダイヤルから対応する距離を選択します。
AFが迷いやすい反射面、窓越しの被写体、遠景などでは、手動で距離を指定する方法が有効です。
実像式ブライトフレームファインダー
ファインダーは、アルバダ式ブライトフレームを備えた逆ガリレオ式です。
倍率は約0.6倍、視野率は約85%。撮影範囲、近距離補正枠、フォーカスフレーム、シャッター速度、露出補正、合焦表示、フラッシュ表示などを確認できます。
一眼レフのように撮影レンズを通した像を見る方式ではないため、実際のぼけ方や被写界深度はファインダーでは確認できません。
また、近距離ではファインダーと撮影レンズの位置の違いによるパララックスが生じます。0.7m付近では、近距離補正枠を基準に構図を決めましょう。
内蔵フラッシュを搭載
CONTAX T2には、赤目軽減用のプリ発光機能を備えたフラッシュが内蔵されています。
ISO100使用時の撮影距離は約0.7~3m。新品電池を使用した場合の充電時間は約3.5秒です。フラッシュ使用時のシャッター速度は1/30~1/500秒となります。
人物撮影では便利ですが、発光部が小さいため、近距離では光が硬く見えることがあります。室内の雰囲気を残したい場合は、フラッシュを使用せず、カメラを安定させて撮影する方法もあります。
チタン外装とセラミック圧板
T2の外装には、軽量で耐食性に優れたチタンが採用されています。
さらに、裏蓋にはフィルムの平面性を保つためのセラミック圧板が使われました。京セラのファインセラミック技術をカメラへ応用した部分です。(産業技術史資料情報センター)
ボディーサイズは約119×66×33mm、重量は電池を除いて約295g。極端に小さいカメラではありませんが、金属製の高級コンパクトとして携帯しやすい大きさです。
フィルム操作を自動化
35mmフィルムを装填して裏蓋を閉じると、自動的に撮影開始位置まで送られます。
撮影後の巻き上げ、フィルム終端での巻き戻しも自動です。途中巻き戻しにも対応しています。フィルムカウンターは上面の液晶へ表示されます。
DXコード付きフィルムではISO25~5000を自動設定します。DXコードがないフィルムはISO100として扱われ、感度を手動変更する機能はありません。
CONTAX T2の基本スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 発売年月 | 1990年11月 |
| 発売時価格 | 120,000円 |
| カメラ形式 | 35mmレンズシャッター式AFカメラ |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズ | Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8 |
| レンズ構成 | 4群5枚 |
| 絞り | F2.8~F16 |
| 最短撮影距離 | 0.7m |
| ピント方式 | 赤外線式AF・距離設定式MF |
| 露出方式 | プログラムAE・絞り優先AE |
| 測光方式 | 外部SPD測光 |
| 測光範囲 | ISO100でEV3~17 |
| 露出補正 | ±2EV・0.5EV刻み |
| シャッター | 電子制御レンズシャッター |
| プログラムAE | 1秒~1/500秒 |
| 絞り優先AE | 1秒~最高1/200秒 |
| 内蔵フラッシュ | 赤目軽減プリ発光対応 |
| フィルム感度 | DX:ISO25~5000 |
| フィルム送り | 自動 |
| フィルム巻き戻し | 自動・途中巻き戻し可能 |
| セルフタイマー | 約10秒 |
| 電源 | CR123AまたはDL123Aを1本 |
| サイズ | 約119×66×33mm |
| 重量 | 約295g・電池別 |
主な仕様はCONTAX T2の取扱説明書に基づきます。
初代CONTAX Tとの違い
初代CONTAX Tは、38mm F2.8のSonnar T*を搭載したマニュアルフォーカスカメラです。
| 項目 | CONTAX T | CONTAX T2 |
|---|---|---|
| ピント方式 | 二重像式MF | 赤外線式AF・距離設定式MF |
| レンズ | 38mm F2.8 | 38mm F2.8 |
| フラッシュ | 外付け | 内蔵 |
| フィルム送り | 手動 | 自動 |
| 最短撮影距離 | 1m | 0.7m |
| 重量 | 約270g | 約295g |
初代Tが機械操作を楽しむカメラであるのに対し、T2はAFと自動フィルム送りによって速写性を高めています。(ms-photo.de)
CONTAX T3との違い
後継のCONTAX T3では、レンズが35mm F2.8へ変更され、最短撮影距離は0.35m、最高シャッター速度は1/1200秒となりました。
T3は約105×63×30.5mm、約230gまで小型・軽量化されています。一方、T2には38mmレンズ、比較的大きな操作部、存在感のあるチタンボディーという独自の魅力があります。(ms-photo.de)
中古のCONTAX T2を購入するときの注意点
レンズの繰り出し
電源を入れ、レンズが一定の速度で繰り出すか確認します。
途中で停止する、何度も前後する、異音が出る個体は、モーターや内部ギアに問題がある可能性があります。電源を切ったときに最後まで収納されることも重要です。
オートフォーカス
0.7m付近、中距離、遠景でAFを試します。
合焦表示が出るだけでなく、実際のフィルム面でピントが合っているかが重要です。可能であれば、実写確認済みの個体を選びましょう。
Sonnar 38mm F2.8
前玉へ光を当て、次の状態を確認します。
- カビ
- 白いクモリ
- 強い拭き傷
- コーティングの傷み
- 内部の大きなゴミ
レンズは固定式なので、光学系に問題があっても交換では解決できません。
シャッターと絞り
明るい場所と暗い場所でシャッターを切り、作動時間が変化するか確認します。
絞りリングをF2.8からF16まで動かし、設定に応じて絞り羽根が作動することも確認しましょう。
フラッシュと液晶
フラッシュが充電され、正常に発光するか確認します。
上面液晶のフィルムカウンター、セルフタイマー表示、長時間露光表示に欠けや液晶漏れがないことも重要です。
自動フィルム送り
テスト用フィルムを入れ、装填、巻き上げ、カウンター、終端での巻き戻し、途中巻き戻しを確認します。
モーター音がしていても、フィルムを正しく送れているとは限りません。
電池室と裏蓋
CR123A電池室に腐食や接触不良がないか確認します。
裏蓋のロック、ヒンジ、モルト、セラミック圧板の割れや欠けも点検しましょう。
CONTAX T2はどんな人に向いている?
CONTAX T2は、次のような人に向いています。
- Carl Zeiss Sonnar T*を小型カメラで使いたい人
- 38mmの自然な画角でスナップを撮りたい人
- AFと絞り優先AEを利用したい人
- 金属製の高級コンパクトが好きな人
- フィルム装填や巻き戻しを自動化したい人
- チタン外装のCONTAXに魅力を感じる人
一方、完全なマニュアル露出、レンズ交換、電池なしでの撮影を求める人には向きません。
まとめ
CONTAX T2は、1990年に発売された35mm高級コンパクトカメラです。
Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8、赤外線式AF、プログラムAEと絞り優先AE、内蔵フラッシュ、自動フィルム送りをチタン外装のボディーへ収めています。
一般的な全自動コンパクトとは異なり、絞りリング、露出補正、フォーカスダイヤルによって、撮影者の意図を反映できる点が特徴です。
中古で購入するときは、外観の美しさだけで判断せず、レンズの繰り出し、AF精度、電子シャッター、絞り、フラッシュ、液晶、自動巻き上げ・巻き戻しを確認しましょう。
正常に動作する個体なら、単焦点Sonnarの描写と、AFコンパクトならではの機動性を同時に楽しめる、CONTAXを代表する一台です。









