Zeiss Ikon Contax IIa

コンタックスの希少なレンジファインダーカメラです。京セラに買収される前の、純然たるコンタックス製のカメラであり、西ドイツ製です。

Zeiss Ikon Contax IIa(ツァイス・イコン コンタックスIIa)は、35mmフィルムを使用するレンズ交換式レンジファインダーカメラです。

第二次世界大戦後の1950年、西ドイツ・シュトゥットガルトのZeiss Ikonから登場。戦前のContax IIが築いた設計思想を受け継ぎながら、ボディーを小型化し、操作系や内部機構を再設計した戦後型CONTAXです。(Google アートと文化)

露出計や自動露出は搭載していません。二重像によるピント合わせ、絞り、シャッター速度、フィルム巻き上げを撮影者が操作する、電池不要の完全機械式カメラです。

目次

Zeiss Ikon Contax IIaとは

Contax IIaは、24×36mmの画面サイズで撮影する35mmフォーカルプレーンシャッター式レンジファインダーカメラです。

ファインダーと連動距離計を一つの接眼部へ統合し、レンズ交換には独自の内爪・外爪式バヨネットマウントを採用。最高1/1250秒の全金属製シャッターを搭載するなど、1950年代の高級小型カメラらしい仕様を備えています。

製造終了年は資料によって1958年または1961年と差がありますが、1950年代を中心に生産され、途中で「ブラックダイヤル」から「カラーダイヤル」へ仕様変更されました。(Google アートと文化)

ファインダーと距離計を一体化

Contax IIaでは、一つの接眼部から構図確認とピント合わせを行えます。

ファインダー中央には明るい測距部分があり、ピントが外れていると被写体の輪郭が二重に見えます。ボディー前面のフォーカシングホイールまたはレンズを操作し、二つの像が重なった位置でピントが合います。

50mmレンズはボディー側ホイールでピント調節

標準の50mmレンズは、ボディー側に組み込まれたヘリコイドへ装着します。

フォーカシングホイールを回すと、レンズと距離計が同時に動きます。右手の中指でホイールを操作し、ファインダーから目を離さずにピントを合わせられることが特徴です。

無限遠位置ではロックがかかるため、近距離へピントを移す際はロック解除部分を押しながらホイールを回します。

広角・望遠レンズは鏡筒を回す

50mm以外の多くの交換レンズは外爪バヨネットへ装着し、レンズ側のフォーカスリングを回してピントを合わせます。

これらも基本的にはボディーの距離計と連動しますが、ミラーボックス式アタッチメントを使用する一部の長焦点レンズは例外です。

内爪と外爪を備えたCONTAXマウント

Contax IIaのレンズマウントには、内側と外側の二つのバヨネットがあります。

50mmレンズは内爪へ、それ以外の焦点距離の多くは外爪へ取り付けます。ねじ込むL39マウントとは異なり、レンズを短く回転させて固定できる方式です。

代表的な標準レンズ

取扱説明書では、標準レンズとして次のSonnarが案内されています。

  • Carl Zeiss Sonnar 50mm F1.5
  • Carl Zeiss Sonnar 50mm F2

ほかにTessar 50mm F3.5を装着した個体も存在します。50mm F1.5は暗い場所や背景をぼかした人物撮影、F2は明るさと携帯性のバランスを重視した標準レンズです。

戦前レンズの互換性に注意

取扱説明書では、以前のCONTAX用レンズも使用できる一方、旧型Biogonは例外とされています。

戦前型Biogon 35mm F2.8は後部が大きく張り出すため、Contax IIaの内部構造と干渉する可能性があります。「CONTAXマウント」と書かれているだけで判断せず、IIa対応レンズであることを確認しましょう。

最高1/1250秒の金属幕シャッター

Contax IIaには、縦方向に走行する全金属製フォーカルプレーンシャッターが搭載されています。

シャッター速度は1秒から1/1250秒までとB・T。低速から高速までを上部の一つのダイヤルで設定できます。

BとTの違い

Bでは、シャッターボタンを押している間だけシャッターが開きます。

Tでは、一度シャッターを切ると開いた状態が保持され、シャッター速度リングをB方向へ動かすと閉じます。夜景や長時間露光で利用できます。

巻き上げとシャッターチャージは連動

上部の大型巻き上げノブを時計回りに停止位置まで回すと、フィルム送りとシャッターチャージが同時に行われます。

巻き上げが完了していない状態ではシャッターが切れない構造で、通常操作での不用意な二重露光も防止されています。

ブラックダイヤルとカラーダイヤル

Contax IIaは、製造時期によって大きくブラックダイヤルとカラーダイヤルに分けられます。

ブラックダイヤル

初期型では、シャッター速度の数字が黒色で統一されています。

フラッシュ端子は通常の電気接点ではなく、専用のシンクロスイッチを取り付けて使用する機械連動式です。取扱説明書でも、背面のソケットへ専用アダプターを装着する方式が案内されています。

カラーダイヤル

後期型では、シャッターダイヤルの一部が赤や黄色で色分けされています。

1/50秒は電子フラッシュの同調速度を示す黄色、1/100~1/1250秒はFP級フラッシュバルブ用として赤色で表示されます。フラッシュ端子も一般的なPC接点へ変更されました。(retinarescue.com)

電子フラッシュを使う予定がない場合、両者の実用上の差は大きくありません。中古ではダイヤルの色より、シャッターと距離計の状態を優先しましょう。

背面を取り外してフィルムを装填する

Contax IIaは、一般的な開閉式裏蓋ではなく、背面と底部が一体となったカメラバックを取り外してフィルムを装填します。

底部の二つのロックを回し、バックを下方向へずらして取り外します。35mmフィルムの先端を取り外し式の巻き取りスプールへ固定し、パーフォレーションをスプロケットへ正しくかみ合わせます。

フィルム装填後は空送りを行い、カウンターを手動で0へ合わせます。巻き上げ時に巻き戻しノブが回転していれば、フィルムが正常に送られている目安になります。

Zeiss Ikon Contax IIaの基本スペック

項目仕様
発売年1950年
カメラ形式35mmフォーカルプレーンシャッター式レンジファインダー
画面サイズ24×36mm
レンズマウントCONTAX内爪・外爪バヨネット
標準レンズSonnar 50mm F1.5/50mm F2など
ピント方式二重像合致式連動距離計
露出計なし
露出方式マニュアル
シャッター全金属製縦走りフォーカルプレーン
シャッター速度T、B、1秒~1/1250秒
フィルム巻き上げ上部ノブ式
フィルム装填カメラバック取り外し式
フラッシュ同調初期型と後期型で仕様が異なる
電源不要

主な仕様はZeiss Ikonの取扱説明書に基づきます。

Contax IIIaとの違い

Contax IIIaは、Contax IIaの上部へセレン式露出計を組み込んだ姉妹モデルです。

レンズマウント、距離計、シャッターなどの基本構造は近いものの、IIIaは露出計部分が加わるため、ボディー上部が高くなっています。

露出を単体露出計やスマートフォンで測るなら、IIaのほうが小型で外観もすっきりしています。カメラ単体で測光したい場合はIIIaが候補になりますが、セレン露出計は経年劣化によって精度が低下している可能性があります。

戦前型Contax IIとの違い

Contax IIaは、戦前のContax IIとよく似ていますが、単なる再生産品ではありません。

Zeiss Ikonの説明書では、従来機より寸法を縮小し、操作を簡略化した新型として紹介されています。シャッターやボディー内部も再設計されており、外観が似ていても部品をそのまま共用できるとは限りません。

レンズマウントの基本規格は引き継がれましたが、旧型Biogonのように装着できないレンズがある点にも注意が必要です。

中古のContax IIaを購入するときの注意点

金属製シャッター

背面を外し、金属幕に変形、すき間、油の付着、走行の乱れがないか確認します。

低速では途中停止、高速では幕の走行差による露光むらが発生することがあります。1/1250秒が切れているように見えても、音だけで精度を判断することはできません。

金属幕は薄く繊細なので、指で押したり、フィルム先端をぶつけたりしてはいけません。

シャッターを支えるリボン

Contax系の金属幕は、細いリボンによって動かされています。

リボンの劣化や切断があると、幕が途中で止まる、傾く、正しく重ならないといった症状が発生します。整備には専門的な分解と調整が必要なので、購入時は全速度の作動を確認しましょう。

距離計とフォーカシングホイール

遠景へピントを合わせ、レンズの無限遠位置で二重像が一致するか確認します。

近距離でも確認し、二重像の上下ずれ、像の薄さ、ホイールの固さ、無限遠ロックの不良がないことを確かめます。

50mm F1.5を開放で使う場合は被写界深度が浅いため、距離計の調整精度が特に重要です。

巻き上げノブとスプール

巻き上げノブが停止位置まで滑らかに回り、シャッターとフィルム送りが確実に連動するか確認します。

取り外し式の巻き取りスプールが欠品している個体もあるため、購入時には必ず確認しましょう。スプールがなければ、一般的な35mmフィルムを正常に巻き取れません。

カメラバックと底部ロック

背面が変形していないこと、左右のロックが確実に閉まることを確認します。

バックが正しく密着しない個体では、光線漏れやフィルムの平面性低下につながる可能性があります。




Zeiss Ikon Contax IIaはどんな人に向いている?

Contax IIaは、次のような人に向いています。

  • 1950年代のドイツ製高級カメラを使いたい人
  • SonnarやTessarなどのCONTAX用レンズを楽しみたい人
  • 二重像によるピント合わせが好きな人
  • 電池不要の機械式カメラを求める人
  • 最高1/1250秒の金属幕シャッターに興味がある人
  • ノブ巻き上げや取り外し式バックを楽しめる人
  • ブラックダイヤルとカラーダイヤルの違いを収集したい人

一方、内蔵露出計、自動露出、レバー式巻き上げ、簡単なフィルム装填を求める人には向きません。

まとめ

Zeiss Ikon Contax IIaは、1950年に登場した戦後型の35mmレンジファインダーカメラです。

二重像合致式距離計、内爪・外爪式CONTAXマウント、最高1/1250秒の全金属製シャッター、取り外し式カメラバックを搭載。標準レンズにはSonnar 50mm F1.5やF2が用意されました。

製造時期によってブラックダイヤルとカラーダイヤルがあり、主にフラッシュ接続方式とシャッター速度表示が異なります。

中古で購入するときは、金属幕と駆動リボン、低速・高速シャッター、距離計、フォーカシングホイール、巻き取りスプール、カメラバックを確認しましょう。

正常に整備された個体なら、戦後ドイツの精密機械技術とCarl Zeissレンズを、電池に頼らない完全マニュアル撮影で味わえる一台です。

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