SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8とは?PENTAX 645を代表する広角レンズを徹底解説
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8は、PENTAX 645シリーズ用に用意されたマニュアルフォーカスの広角単焦点レンズです。
1984年に登場した初代PENTAX 645の初期システムを構成するレンズのひとつで、当時の純正取扱説明書でも「広角」カテゴリーの交換レンズとして掲載されています。初期ラインナップにも45mm F2.8が含まれていました。
メーカー純正資料による主な仕様は、
- 焦点距離45mm
- 開放F2.8
- 最小絞りF22
- 8群9枚
- 自動絞り
- 画角76°
- 最短撮影距離0.45m
- 最大径74mm
- 全長66.5mm
- 約400g
- 67mmフィルター
です。
45mmという数字だけを見ると、35mm判では標準に近い画角を想像するでしょう。
しかしこれは645判用レンズです。
PENTAX自身が当時の資料で、645用レンズを35mm判と比較するときは焦点距離をおよそ0.6倍するとほぼ同じ画角になると説明しています。したがって45mmは645フィルムでは35mm判換算およそ27mmに相当します。
つまりSMC PENTAX-A 645 45mm F2.8は、
「中判だから45mmなのに、実際の役割は28mm級の広角」
というレンズです。
風景、建築、旅行、街歩き、室内、環境を含めた人物撮影など、PENTAX 645を手持ちで積極的に使いたい場合にも魅力的な一本です。
この記事では、SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8の特徴、645判での画角、光学系、A位置、初代645との組み合わせ、645N・645D・645Zでの使用、FA645 45mm F2.8との違い、中古購入時の注意点まで詳しく解説します。
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8とは
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8は、PENTAX 645Aマウントを採用する中判用広角レンズです。
初代PENTAX 645は1984年に登場しました。
その登場時には45mm F2.8、55mm F2.8、75mm F2.8、75mm F2.8 LS、80-160mm F4.5、150mm F3.5、300mm F4などがシステムへ用意されていました。
純正取扱説明書の交換レンズ一覧では、
35mm F3.5を「超広角」。
45mm F2.8と55mm F2.8を「広角」。
75mm F2.8を「標準」。
150mm以上を中望遠・望遠。
という位置づけにしています。
つまり45mm F2.8は、
極端な超広角ではなく、日常的に使いやすい広角
という立ち位置です。
645フィルムでは約27mm相当
このレンズを理解するときに最も重要なポイントです。
45mmという焦点距離は、使用するフォーマットによって画角が変わります。
35mm判なら45mmは標準寄り。
しかし645判では撮影面が大きいため、同じ45mmでも広い範囲が写ります。
PENTAXの純正645交換レンズ資料では、35mm判と比較する場合、645用レンズの焦点距離を約0.6倍するとほぼ同じ画角になるとしています。
45×0.6=27。
したがってフィルムPENTAX 645では、
35mm判約27mm相当
と考えると分かりやすいでしょう。
28mm単焦点を普段使っている人なら、かなりイメージしやすい画角です。
画角は76度
メーカー公称画角は76°です。
75mm F2.8の公称画角が50°なので、45mmへ交換するとかなり広い範囲を取り込めることが分かります。
用途としては、
- 風景
- 建築
- 街並み
- 旅行
- 室内
- 集合写真
- 環境を含めた人物
- 中判スナップ
などに向いています。
「中判だから三脚に載せて静物だけ」というより、PENTAX 645を外へ持ち出して使う人と相性のよい焦点距離です。
35mm F3.5ほど極端ではない
PENTAX 645には35mm F3.5も用意されています。
35mm F3.5の画角は純正資料で90°。
45mm F2.8は76°です。
35mmは35mm判換算で約21mm相当。
45mmは約27mm相当。
したがって35mm F3.5は超広角。
45mm F2.8は一般的な広角です。
風景専用に近い大胆な広角感を求めるなら35mm。
人物や街歩きまで含めて扱いやすさを求めるなら45mm。
という選択が分かりやすいでしょう。
55mm F2.8との違い
55mm F2.8も広角カテゴリーに入っています。
純正仕様では画角65°。
35mm判換算なら約33mm相当です。
つまり、
- 35mm F3.5:約21mm相当
- 45mm F2.8:約27mm相当
- 55mm F2.8:約33mm相当
- 75mm F2.8:約45mm相当
という具合です。
45mmはこの中でも、
「ちゃんと広角だけど、極端ではない」
という非常に使いやすい位置にあります。
開放F2.8
開放絞りはF2.8。
最小絞りはF22です。
広角中判レンズとしては十分明るい設計です。
F2.8で使えば、
- 室内
- 夕方
- 手持ち
- 人物
- 背景を少しぼかした広角撮影
などにも対応できます。
中判は35mm判より大きな撮影面を使うため、広角レンズでも近距離・開放では背景をぼかすことができます。
ただし45mmという焦点距離なので、75mm F2.8ほど大きく背景を溶かすタイプではありません。
広い環境を残しながら被写体を浮かせる撮影に向いています。
光学構成は8群9枚
メーカー純正資料で8群9枚です。
75mm F2.8が5群6枚なのに対して、45mmは8群9枚。
広い画角を645判の大きな画面へ投影するため、より複雑な光学系になっています。
後継のsmc PENTAX-FA645 45mm F2.8も、リコーイメージング公式仕様では8群9枚です。
さらに、
- F2.8~F22
- 画角
- 最短0.45m
- 67mm
- 基本寸法
も非常によく似ています。
ただしA版とFA版の設計が完全に同一であるとメーカーが明記した資料までは確認できないため、本記事では、
「基本光学仕様が非常によく似ている」
という表現に留めます。
SMCコーティング
名称のSMCはPENTAXの多層膜コーティングを示します。
広角レンズでは画面外から強い光が入りやすいため、フレアやゴーストを抑えるコーティングは重要です。
ただし中古レンズでは、元々のコーティング性能以上に現在の個体状態が重要です。
カビ。
曇り。
強い拭き傷。
コーティング劣化。
これらがある個体では、本来のコントラストを発揮できません。
最短撮影距離0.45m
最短撮影距離は45cmです。
75mm F2.8が60cmなので、それより15cm近くまで寄れます。
45mm広角+0.45mなら、
- 花
- 料理
- 小物
- 人物
- 室内
- 前景を大きく入れた風景
などに使いやすいでしょう。
広角レンズらしく、
手前の被写体を大きく、背景を広く取り込む
構図も作れます。
最大撮影倍率は約0.15倍
主要PENTAXレンズデータベースでは最大撮影倍率約0.15倍とされています。
本格的なマクロではありませんが、45cmまで寄れるため通常撮影では十分実用的です。
さらに初代645システムにはオート接写リングA645が用意されており、メーカー資料では35~300mmレンズで利用可能とされています。
45mm F2.8でも接写リングを利用できます。
ヘリコイド接写リングにも対応
メーカー資料では、ヘリコイド接写リング645を45~150mmレンズで使用可能としています。
つまり45mmは、その対応範囲の広角端です。
通常撮影だけでなく、アクセサリーを利用した近接撮影までシステムとして考えられていました。
フィルター径は67mm
フィルター径は67mmです。
75mm F2.8の58mmより一回り大きくなります。
現在でも67mmは非常に一般的なサイズなので、
- 保護フィルター
- PLフィルター
- NDフィルター
- モノクロ用フィルター
などを探しやすいでしょう。
風景撮影で45mmを使うならPLやNDとの相性もよいレンズです。
約400g
重量は約400g。
最大径74mm、全長66.5mmです。
75mm F2.8の240g・37.5mmと比べると、明らかに大きく重くなります。
しかし645判をカバーする27mm相当・F2.8の広角レンズとして考えれば、極端な重量級ではありません。
PENTAX 645ボディ自体が大型なので、装着した状態では比較的バランスを取りやすいでしょう。
75mm F2.8ほどパンケーキではない
75mm F2.8はPENTAX 645用として非常に薄いレンズです。
対して45mm F2.8は、
- 8群9枚
- 67mmフィルター
- 約400g
- 全長66.5mm
なので、それなりの存在感があります。
ただし大型ズームと比較すればまだ扱いやすい部類です。
80-160mm F4.5は純正資料で約1,020g。
45mm F2.8は400gです。
中判スナップをするなら単焦点45mmの軽さはかなり効きます。
PENTAX 645Aマウント
マウントはPENTAX 645Aです。
35mm用PENTAX Kマウントとは異なります。
名称に、
PENTAX-A 645
と入っていることが重要です。
35mm一眼レフ用にもSMC PENTAX-Aシリーズがありますが、それらをPENTAX 645へ装着することはできません。
逆も同様です。
AはAFではない
ここは75mm F2.8と同じく非常に重要です。
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8は、
マニュアルフォーカスレンズ
です。
Aはオートフォーカスを意味しません。
絞りリングの「A」位置を利用し、カメラ側から絞りを制御する仕組みです。
AF駆動機構はありません。
絞りリングにA位置がある
絞りリングには、
- F2.8
- F4
- F5.6
- F8
- F11
- F16
- F22
- A
があります。
A位置へ設定すると、初代PENTAX 645から絞りを制御できます。
これによりPENTAX 645はMF中判でありながら、高度な自動露出を使用できます。
初代645でプログラムAEを利用できる
純正取扱説明書では、レンズをA位置へ設定した場合、
- プログラム自動露出
- 絞り優先自動露出
- シャッター優先自動露出
の3モードを利用できると明記されています。
プログラムAEでは被写体の明るさに応じて、
絞りとシャッター速度の両方
をカメラが決定します。
したがって45mmを付け、
A位置。
Pモード。
MFでピントだけ合わせる。
という使い方なら、中判とは思えないほど気軽に撮影できます。
絞り優先AE
A位置のまま絞り優先AEを選択できます。
純正説明書では、カメラ側のアップ・ダウンボタンで希望F値を選び、1回押すごとに1/2段ずつ変更できるとされています。
45mmなら、
F2.8で室内・人物。
F5.6でスナップ。
F8~F11で風景。
といった使い方ができます。
シャッター優先AE
A位置ではTv、つまりシャッター優先AEも利用できます。
撮影者がシャッター速度を選び、カメラが必要なF値を設定します。
手持ちの広角スナップなら1/125秒。
動く人物なら1/250~1/500秒。
意図的なブレを使うなら低速。
など、速度を先に決められます。
絞りリングを直接回して使うこともできる
A位置を解除して、F2.8~F22をレンズ側で直接設定することも可能です。
つまり、
電子制御だけに頼るレンズではありません。
絞りリングを回す昔ながらの撮影スタイルも残っています。
初代645の電子制御と、MFレンズらしい機械操作の両方を楽しめるところがA645シリーズの魅力です。
初代645では完全MF
1984年の初代PENTAX 645にはAF機構がありません。
45mm F2.8のフォーカスリングを手で回してピントを合わせます。
広角なので75mm F2.8より被写界深度は深くなりやすく、スナップ用途では比較的扱いやすいでしょう。
ただしF2.8・0.45m付近ではピント位置が分かる程度には被写界深度が浅くなるため、近距離では丁寧に合わせます。
645Nでも使用できる
後のPENTAX 645NはAFカメラですが、A645レンズもMFレンズとして利用できます。
645Nの純正説明書では、MF時に距離リングを手で回し、合焦するとファインダー内の合焦マークが点灯する方式が説明されています。
45mm F2.8は開放F2.8なので、F5.6以上明るいレンズという合焦表示利用条件も十分満たします。
つまり、
フォーカスリングは自分で回すが、645Nがピントの合った位置を教えてくれる
という使い方ができます。
645Nへ付けてもAFにはならない
当然ながらA645 45mm F2.8自体にAF機構はありません。
645Nへ装着してもAFモーターによるピント合わせはできません。
ここは中古購入時に非常に重要です。
「645N対応」
と、
「645NでAFできる」
は別の意味です。
645Dにも装着可能
デジタル中判のPENTAX 645DでもA645レンズを使用できます。
リコーイメージング公式FAQではA645レンズについて、
- AF不可
- MF可能
- TTL開放77分割測光可能
- P-TTLオートフラッシュ可能
- レンズ補正不可
と案内しています。
つまり1980年代の45mm F2.8を、そのまま645Dへ装着できます。
645Dでは約35.5mm相当
ここが非常に面白いところです。
45mm F2.8はフィルム645では約27mm相当の広角でした。
しかし645Dはフィルム645よりセンサーが小さいため、画角が狭くなります。
リコーイメージング公式FAQでは45mmを645Dへ装着した場合、35mm判換算約35.5mmとしています。
つまり同じ45mm F2.8でも、
フィルムPENTAX 645では約27mmの広角。
645Dでは約35.5mmの準広角。
完全にキャラクターが変わります。
645Zでも約36mm級の画角
645Zもフィルム645より小さいデジタルセンサーを採用しており、公式FAQでは645フィルム用レンズの35mm判換算をおおむね0.8倍として案内しています。
したがって45mmなら約36mm。
645Zでは、
街歩きや環境ポートレートに使いやすい35mm級レンズ
へ変身します。
これはデジタル645でA45mmを使う大きな魅力です。
645ZでもMF+合焦表示が使える
リコーイメージング公式FAQではA645レンズは645ZでMF可能で、ファインダー内合焦表示も利用できます。
ただしAFはできません。
また最新レンズのようなレンズ補正機能には対応しません。
FA645 45mm F2.8との違い
後継のAF対応レンズが、
smc PENTAX-FA645 45mm F2.8
です。
リコーイメージング公式仕様ではFA版は、
- 45mm
- F2.8~F22
- 8群9枚
- 画角63°・デジタル645基準
- 8枚絞り
- 最短0.45m
- 最大倍率0.15倍
- 67mmフィルター
- 76.5×66.5mm
- 475g
です。
A版はメーカー純正フィルム645資料で、
- 8群9枚
- 76°
- 最短0.45m
- 74×66.5mm
- 400g
- 67mm
です。
A版とFA版の比較
| 項目 | SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8 | smc PENTAX-FA645 45mm F2.8 |
|---|---|---|
| フォーカス | MF | AF・MF |
| 開放 | F2.8 | F2.8 |
| 最小絞り | F22 | F22 |
| 光学構成 | 8群9枚 | 8群9枚 |
| 最短撮影距離 | 0.45m | 0.45m |
| 最大倍率 | 約0.15倍 | 0.15倍 |
| フィルター径 | 67mm | 67mm |
| 全長 | 66.5mm | 66.5mm |
| 重量 | 約400g | 約475g |
| AF | なし | あり |
| 絞りリング | あり・A位置 | あり |
A版の重量が約75g軽いのもポイントです。
初代645ならA版で十分
初代PENTAX 645にはAF機能がありません。
したがって初代645だけで使用するのであれば、FA版のAF機能を生かせません。
A版なら約400g。
MFリングを直接操作できる。
A位置によるP/Tv/Avも利用できる。
初代645との時代的な組み合わせも自然です。
初代645用広角としてはA45mm F2.8が非常に王道です。
645N・NIIならFA版にもメリットがある
一方、645Nや645NIIでスナップを素早く撮影するならFA版のAFは大きなメリットです。
A版を選ぶ理由は、
- MFが好き
- 価格
- 軽さ
- 初代645との併用
- すでに所有している
などでしょう。
フィルムとデジタルで一本二役
このレンズの面白さはここです。
フィルム645へ装着すると約27mm級。
雄大な風景。
建物。
狭い室内。
ダイナミックな広角構図。
一方、645D・645Zへ装着すると約36mm級。
街歩き。
旅行。
ドキュメンタリー。
環境ポートレート。
日常スナップ。
同じレンズなのに、ボディを変えるだけで用途がかなり変わります。
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8の主な仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| レンズ形式 | 645判用広角単焦点 |
| マウント | PENTAX 645A |
| 焦点距離 | 45mm |
| 開放F値 | F2.8 |
| 最小絞り | F22 |
| 光学構成 | 8群9枚 |
| 絞り方式 | 自動 |
| フィルム645画角 | 76° |
| フィルム645の35mm判換算 | 約27mm |
| フォーカス | MF |
| 最短撮影距離 | 0.45m |
| 最大倍率 | 約0.15倍 |
| フィルター径 | 67mm |
| A位置 | あり |
| AF | なし |
| 最大径 | 約74mm |
| 全長 | 約66.5mm |
| 重量 | 約400g |
| 645N/NII | MF使用可能 |
| 645D | MF使用可能 |
| 645Z | MF使用可能 |
| 645D/Zでの35mm判換算 | 約35.5~36mm |
主要なA版仕様はPENTAX 645純正交換レンズ一覧によります。
初代PENTAX 645での基本的な使い方
レンズを装着する
ボディとレンズのマウント指標を合わせ、確実にロックします。
Pモードなら絞りをA位置へ
絞りリングをAへ設定します。
純正取説ではA位置でP・Av・Tvを使用できます。
ピントを手動で合わせる
フォーカスリングを回してファインダー上で合わせます。
シャッター半押しで露出を確認
設定された速度・F値をファインダー表示で確認します。
シャッターを切る
初代645なら内蔵モーターが撮影後に次のコマへ送ります。
中古購入時に確認したいポイント
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8はMFレンズなので、電子コンパクトのようにモーター故障を多数心配する必要はありません。
しかし、
広角レンズゆえの偏芯・片ボケと、A位置・自動絞り機構
は必ず確認したいところです。
正確なモデル名
前玉周辺の銘板を確認します。
目的は、
smc PENTAX-A 645 1:2.8 45mm
です。
似ている、
smc PENTAX-FA645 45mm F2.8
と間違えないようにします。
AとFAを区別する
A版はMF。
FA版はAF対応。
645Nや645ZでAFを使いたい人はFA版が必要です。
A版を645Nへ付けてAFが動かなくても故障ではありません。
645の文字を確認する
35mm用PENTAX-Aレンズとはマウントが違います。
PENTAX-A 645
の表記を確認します。
カビ
レンズ内部へ強いライトを斜めから当てます。
広角レンズは構成枚数も多いため、前後から角度を変えて確認しましょう。
- 糸状
- 蜘蛛の巣状
- 点状に増殖
しているものはカビを疑います。
曇り
8群9枚のレンズです。
内部の一面だけ曇っていても、正面から見ただけでは気づきにくい場合があります。
角度を変えて、
- 白い霧
- 油膜状
- 全体の霞
がないか確認します。
強い曇りは逆光で大きくコントラストを落とします。
前玉
67mm径なので前玉周辺もそれなりに大きくなります。
- 深い傷
- 拭き傷
- コーティング異常
- カビ跡
を確認します。
後玉
リアキャップなしで保管されていた個体は慎重に確認します。
後玉の傷や指紋は前玉以上に避けたいところです。
コーティング
SMC特有の色付き反射は正常です。
問題なのは、
- まだらな剥離
- 強い白濁
- カビによる侵食跡
- 大量の清掃傷
です。
接合部の異常
白い輪。
虹色の剥離状模様。
周辺から広がる異常。
こうした症状がないか確認します。
単なるチリと接合異常では修理難易度が大きく違います。
フォーカスリング
∞から0.45mまで動かします。
理想は、
- 滑らか
- 適度な重さ
- 引っ掛からない
- ガタが少ない
状態です。
ヘリコイドが重い
古いグリースが硬化すると操作が重くなります。
途中だけ異常に固い個体も注意します。
無理に回してはいけません。
フォーカスリングが軽すぎる
逆にスカスカでも注意です。
カメラを上・下へ向けただけでピント位置が変わる場合、グリース抜けや整備不良の可能性があります。
無限遠
遠くの建物や山へ向け、∞付近で正しく合焦することを確認します。
過去に分解されたレンズでは無限遠位置がずれている場合があります。
最短0.45m
最短側まで回り、45cm前後の被写体へ正常に合焦するか確認します。
広角レンズでは片ボケ確認が重要
45mm F2.8では特に重要です。
平らな壁、建物、遠景などをなるべく真正面から撮影します。
左右の端や四隅で、
- 一方だけ極端に甘い
- 片側だけ流れる
- ピント面が大きく傾く
場合は偏芯を疑います。
F2.8で片ボケテスト
絞ると問題が隠れる場合があります。
まずF2.8。
次にF5.6。
最後にF11。
同じ被写体を撮影して比較します。
開放から一方だけ極端に悪い場合は注意しましょう。
645D・645Zでテストすると便利
デジタル645を持っている場合、レンズ状態確認には非常に便利です。
A645レンズはメーカー公式に645D・645ZでMF使用できます。
撮影直後に拡大して、
- 中央
- 左端
- 右端
- 四隅
を比較できます。
ただしデジタルではフィルム645の最外周を見ていない
ここは重要です。
645D/Zのセンサーはフィルム645より小さいため、レンズの最外周部を使いません。
デジタルで完璧でも、
フィルム645の四隅まで完璧とは限りません。
フィルムで使うなら最終的には120フィルムで確認するのが確実です。
歪曲の確認
レンガ壁や建物など直線の多い被写体を撮ります。
極端な左右非対称の歪みがある場合は偏芯を疑います。
レンズ固有の正常な歪曲と、光学系のずれによる左右非対称を区別します。
絞りリング
F2.8からF22まで操作します。
- クリックが明瞭
- 引っ掛からない
- 勝手に動かない
ことを確認します。
A位置
最重要です。
A位置へ正常に入り、保持できることを確認します。
初代645でP・Av・Tvを使用するには重要な機能です。
Aロック
A位置へ入れる際のロック機構も確認します。
- 押せる
- 戻る
- 固着しない
- Aで確実に止まる
ことを見ます。
絞り羽根
マウント側の絞り連動機構を慎重に操作します。
絞り羽根が素早く開閉するか確認します。
羽根の油
羽根へ油が回っている個体は避けたいところです。
撮影時に設定絞りまで閉じるのが遅れると、実際の露出に影響する可能性があります。
F22まで正しく閉じるか
開放だけでなく最小絞りまで確認します。
羽根が完全に閉じきらない個体は注意です。
自動絞り
初代645へ装着しF8などへ設定します。
通常ファインダー観察中は開放。
撮影時だけF8へ絞る。
撮影後に開放へ戻る。
これを確認します。
A位置+Pモード
絞りをA。
Pモード。
明るい場所と暗い場所へ向けます。
絞り値とシャッター速度の両方が変化するか確認します。純正取説でもこの動作が示されています。
A位置+Av
カメラ側からF2.8・F5.6・F11などを変更し、正常に表示・制御できることを確認します。
A位置+Tv
1/30、1/125、1/500秒などを選択し、それに応じて絞り値が変化することを確認します。
マウント
金属マウント部分の、
- 変形
- 打痕
- 摩耗
- ネジ緩み
を確認します。
情報連動部
645Aレンズではボディとの情報連動が重要です。
汚れ・破損がある場合は、A位置での露出制御に問題がないか実機で確認します。
ボディ装着時のガタ
装着後に大きく左右へ動かないことを確認します。
広角レンズは光軸ずれが画面周辺へ現れやすいため、マウント変形は避けたいところです。
フィルター枠
67mmフィルターを実際に取り付けます。
落下で枠が歪んでいると途中で入らなくなります。
無理にねじ込まないでください。
フード
広角レンズではフードが重要です。
後継FA版には大型花型フードが用意され、メーカーも逆光時の透明感向上を特徴として挙げています。
A版でも適合フードや適切な広角用フードを利用すると、不要光を減らしやすくなります。
ただし深すぎる汎用フードでは画面周辺がケラレる可能性があるため、適合確認が必要です。
キャップ
67mmフロントキャップと645用リアキャップがあると保管に便利です。
リアキャップなし個体では後玉を念入りに確認しましょう。
防塵防滴ではない
現代のAWレンズではありません。
雨、砂埃、海辺での使用には注意します。
デジタル645へ装着できるからといって、現代レンズと同じ耐候性を持つわけではありません。
645Nで使う場合は合焦表示を確認
645Nへ装着。
MFでリングを回します。
ピント位置でファインダー内合焦マークが点灯するか確認します。
A45mm F2.8はAFしません。
合焦表示はあくまでMFの補助です。
645D/Zではレンズ補正が使えない
メーカー公式ではA645レンズは645D/Zで利用できますが、レンズ補正機能には対応しません。
つまり、
歪曲。
色収差。
周辺光量。
などを最新対応レンズと同じようにカメラが自動補正してくれるわけではありません。
実写では逆光もテストする
広角レンズは太陽や強い光源が画面内・画面周辺に入りやすくなります。
順光だけでなく逆光でも撮ります。
- 大きな白濁
- 異常なフレア
- 強いゴースト
- 曇りによるコントラスト低下
を確認しましょう。
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8が向いている人
このレンズは次のような人に向いています。
- 初代PENTAX 645を使っている人
- 645フィルムで28mm級広角を使いたい人
- 中判風景を撮りたい人
- 建築を撮りたい人
- 中判スナップをしたい人
- F2.8の明るさが欲しい人
- MFが好きな人
- A位置による自動露出を活用したい人
- 645N/NIIでもMFレンズを使いたい人
- 645D/Zで35mm級レンズとして使いたい人
特に、
フィルム645とデジタル645の両方を所有している人
には面白い一本です。
同じレンズが、
フィルムでは約27mm。
デジタルでは約36mm。
一本で二つの画角感覚を楽しめます。
向いていない場合
次のような人には別レンズが向いています。
- AF必須
- もっと超広角が欲しい
- 標準画角が欲しい
- もっと軽量なレンズが欲しい
- 最新のレンズ補正が必要
- 防塵防滴が必要
AFならFA645 45mm F2.8。
超広角なら35mm F3.5系。
標準なら75mm F2.8。
という選択になります。
35mm F3.5と迷ったら
風景・建築中心で、とにかく広く撮りたい。
→35mm F3.5。
街歩きや人物にも使いたい。
→45mm F2.8。
45mmは35mmほど広角特有の強烈な遠近感が出にくいため、一般用途では扱いやすいでしょう。
55mm F2.8と迷ったら
55mmは約33mm相当。
45mmは約27mm相当。
風景や室内で一歩広く欲しいなら45mm。
スナップ中心で広角感を少し抑えたいなら55mm。
この差は意外と大きいです。
75mm F2.8と組み合わせると強い
45mm F2.8と75mm F2.8。
この2本は初代645で非常に分かりやすい組み合わせです。
45mm=約27mm。
75mm=約45mm。
つまり、
広角+標準。
しかもどちらもF2.8。
旅行や街歩きなら、この2本でかなりの場面をカバーできます。
75mmは約240g。
45mmは約400g。
ズーム一本より軽量な構成を組める場合もあります。
まとめ
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8は、初代PENTAX 645システムを代表するMF広角単焦点レンズです。
PENTAX純正資料では、
- 45mm
- F2.8
- 8群9枚
- 自動絞り
- 画角76°
- 最短0.45m
- F22
- 74×66.5mm
- 約400g
- 67mmフィルター
とされています。
そして最大のポイントは画角です。
45mmという数字に騙されてはいけません。
645フィルムでは35mm判約27mm相当。
しっかり広角です。PENTAX自身も645レンズと35mm判を比較する目安として約0.6倍を案内しています。
一方645Dではメーカー公式換算約35.5mm。
645Zでも約36mm級になります。
つまり、
フィルムでは28mm級の広角。
デジタルでは35mm級の準広角。
同じレンズなのにボディで性格が変わります。
そして「A」も重要です。
AはAFではありません。
フォーカスは手動です。
A位置はカメラ側から絞りを制御するためのもの。
初代PENTAX 645なら、A位置でプログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AEを利用できます。
後の645NでもMF。
ただし合焦表示は使える。
645D/ZでもMF。
しかも現代の高画素デジタル中判へ直接装着できます。
中古購入では、
- A版とFA版の識別
- カビ
- 曇り
- 前後玉
- ヘリコイド
- 無限遠
- 0.45m側
- F2.8での片ボケ
- 光軸の偏芯
- 絞り羽根
- 自動絞り
- A位置
- Aロック
- ボディとの絞り連動
- 67mmフィルター枠
- 逆光実写
まで確認しましょう。
特に広角レンズなので、
「中央はきれいだからOK」では足りません。
画面の左右。
四隅。
フィルム645なら特に最外周。
そこまで実写で確認して初めて、この45mmの状態が見えてきます。
初代PENTAX 645へ装着する。
120フィルムを入れる。
45mmをF8。
広いファインダーの中へ街並みを収める。
ピントは自分で合わせる。
しかし露出はA位置から645へ任せることもできる。
撮影後はモーターがフィルムを送る。
SMC PENTAX-A 645 45mm F2.8は、巨大な中判645を「三脚の上のカメラ」ではなく、街や旅へ持ち出せる広角カメラへ変えてくれる、初代PENTAX 645の主力広角レンズです。









