Canon Autoboy2

キヤノンのAFコンパクトカメラです。爆発的に売れたため、現在でも中古市場で見かけることが多いです。

Canon Autoboy 2(キヤノン オートボーイ2)は、35mmフィルムを使用するオートフォーカス式コンパクトカメラです。

38mm F2.8の単焦点レンズ、プログラム式自動露出、フィルムの自動巻き上げ・電動巻き戻し、内蔵フラッシュなどを搭載。ピント、絞り、シャッター速度をカメラへ任せられるため、基本的には構図を決めてシャッターを押すだけで撮影できます。

初代オートボーイの後継機として1983年に登場し、ボディーの小型・軽量化やレンズカバー、プリフォーカス機構などを採用しました。単3形乾電池2本で動くことも、現在使用するうえで扱いやすいポイントです。

目次

Canon Autoboy 2とは

Canon Autoboy 2は、1983年4月に発売された35mmレンズシャッター式の全自動カメラです。

製品型式は「AF35M II」。地域によって名称が異なり、日本ではオートボーイ2、北米ではNew Sure Shot、欧州・アジア・オセアニアではAF35M IIとして販売されました。発売時価格は4万2,800円です。

初代オートボーイの後継モデル

初代オートボーイことAF35Mは、1979年に発売されました。

近赤外光を利用するオートフォーカス、プログラム式自動露出、モーターによるフィルム送りなどを搭載し、キヤノンのオートフォーカスコンパクトカメラを代表するシリーズへ発展します。

オートボーイ2では、初代の基本コンセプトを受け継ぎながら、ボディーが小型・軽量化されました。

項目初代オートボーイオートボーイ2
発売年1979年1983年
レンズ38mm F2.8・3群4枚38mm F2.8・4群4枚
大きさ132×77×54mm125×76×46mm
重量405g300g
フラッシュGN1412
電源単3形電池2本単3形電池2本

オートボーイ2は初代より約105g軽く、奥行きも薄くなっています。撮影機能を維持しながら、日常的に持ち歩きやすいカメラへ改良されたモデルです。

38mm F2.8の単焦点レンズを搭載

オートボーイ2には、Canon 38mm F2.8レンズが固定装着されています。

レンズ構成は4群4枚。38mmは一般的な50mm標準レンズより少し広い範囲を写せるため、旅行、街中のスナップ、家族写真、集合写真などに使いやすい焦点距離です。

ズーム機能はない

オートボーイ2は単焦点カメラなので、ズームレバーはありません。

被写体を大きく写したい場合は自分が近づき、広く写したい場合は離れて構図を調整します。

ズームレンズのように画角を変えることはできませんが、撮影時の操作が少なく、電源を入れて素早く撮影できることが利点です。

最短撮影距離は約0.9m

ピントを合わせられる範囲は、約0.9mから無限遠までです。

料理や小物を大きく写そうとして0.9mより近づくと、オートフォーカスではピントを合わせられません。近距離ではファインダーと撮影レンズの位置の違いによる構図のずれも発生するため、ファインダー内の近距離補正枠を利用します。

開閉式レンズカバーを搭載

カメラ前面には、撮影レンズを保護するスライド式のレンズカバーがあります。

カバーを開くと撮影可能になり、閉じるとシャッターを切れなくなります。レンズキャップを別に持ち歩く必要がなく、カバーの閉め忘れによるレンズの傷や汚れを防ぎやすい構造です。

レンズカバーは電源スイッチを兼ねる

オートボーイ2には、現在のカメラのような独立した電源ボタンがありません。

レンズカバーを開くことでカメラが撮影可能な状態になり、閉じると電源が切れます。使用後はカバーを閉めておけば、電池の消耗や誤作動を防げます。

中古品では、カバーが途中で止まる、左右が均等に開かない、開いても電源が入らないといった不具合に注意しましょう。

近赤外光を利用したオートフォーカス

オートボーイ2は、近赤外光投射による三角測量式オートフォーカスを搭載しています。

カメラから近赤外光を被写体へ当て、その反射を受光して距離を測定するアクティブ方式です。被写体の明暗だけに頼らず距離を測れるため、暗い場所でもピントを合わせやすい特徴があります。

ファインダー中央でピントを合わせる

通常撮影では、ピントを合わせたい被写体をファインダー中央のオートフォーカス枠へ入れます。

シャッターを切ると、ファインダー内のゾーンフォーカス指標が動き、カメラが選んだおおよその撮影距離を確認できます。近距離・中距離・中遠距離・遠距離に対応する表示が用意されています。

被写体が中央にない状態でそのまま撮影すると、背景へピントが合う可能性があります。

プリフォーカスで構図を変更できる

オートボーイ2には、ピント位置を記憶してから構図を変更するプリフォーカス機構があります。

人物を画面の左右へ配置したい場合など、主役を中央に置かずに撮影するときに利用します。

プリフォーカスの操作方法

基本的な手順は次のとおりです。

  1. セルフタイマー兼プリフォーカスレバーを倒す
  2. 被写体をファインダー中央のAF枠へ入れる
  3. シャッターボタンを一度押して撮影距離を記憶させる
  4. 被写体との距離を変えずに構図を整える
  5. シャッターボタンをもう一度押して撮影する

最初にシャッターボタンを押した時点では撮影されず、距離だけが記憶されます。構図を変更した後、もう一度押すことでフィルムへ露光される仕組みです。

ただし、プリフォーカスレバーはセルフタイマーも兼ねています。距離を記憶した後、そのまま約10秒が経過すると自動的にシャッターが切れるため、構図変更は速やかに行いましょう。

AFが苦手な被写体もある

近赤外光式AFは、次のような被写体を正しく測距できない場合があります。

  • 光沢の強い自動車
  • ガラス
  • 水面
  • 黒い髪や黒い布
  • 炎や花火
  • 反射の極端に少ない被写体

このような場合は、主役と同じ距離にある別の物へプリフォーカスし、その後に構図を戻して撮影します。ガラス越しでは、カメラをガラス面へ近づけるか、斜め方向から撮影する方法が説明されています。

プログラム式自動露出を搭載

オートボーイ2は、絞りとシャッター速度をカメラが自動的に決定するプログラム式EEを搭載しています。

受光素子にはSPCが使われ、ISO100使用時の連動範囲はEV6からEV17。シャッターと絞りを兼ねた電子制御機構により、F2.8・1/8秒からF16・1/500秒までを自動的に組み合わせます。

絞りやシャッター速度は選べない

撮影者がF2.8やF8などの絞り値を指定したり、1/125秒や1/500秒へシャッター速度を固定したりすることはできません。

背景のぼけ、動体表現、意図的な露出補正などを細かく調整するカメラではなく、難しい設定をカメラへ任せて素早く撮影するためのモデルです。

フィルム感度は手動で設定する

オートボーイ2は、後年のDXコード式カメラとは異なり、使用するフィルムの感度を手動で設定します。

日本仕様の公式資料では、対応するフィルム感度はISO25からISO400です。フィルムを交換した際は、感度設定リングが新しいフィルムと一致しているか確認しましょう。

ISO100フィルムを入れたままISO400へ設定すると露出不足になり、反対にISO400フィルムをISO100へ設定すると露出過多になりやすいため注意が必要です。

手ぶれ警告付きの内蔵フラッシュ

オートボーイ2には、ガイドナンバー12のポップアップ式フラッシュが内蔵されています。

シャッターボタンを半押しした際、光量が不足しているとファインダー内の警告ランプが点滅します。その場合はフラッシュスイッチを操作し、フラッシュを手動で立ち上げます。

フラッシュは自動では立ち上がらない

暗くなるとフラッシュが勝手に発光する後年のカメラとは異なり、オートボーイ2では撮影者がフラッシュをポップアップさせます。

警告ランプが点灯しても、フラッシュを上げなければ発光しません。フラッシュを使わずに撮影した場合は、1/8秒程度までシャッター速度が遅くなり、手ぶれや被写体ぶれが起こる可能性があります。

逆光時の補助光にも使える

背後に太陽や明るい窓がある人物撮影では、顔が暗く写ることがあります。

このような場合は、明るい場所でもフラッシュを使用することで人物を補助的に照らせます。説明書では、逆光時の補助光として使う場合、被写体を約3m以内に置くよう案内されています。

フィルムの巻き上げと巻き戻しを電動化

オートボーイ2は、フィルムの装填、撮影後の巻き上げ、撮影済みフィルムの巻き戻しをモーターで行います。

手動巻き上げ式カメラのように、撮影するたびにレバーを操作する必要はありません。

フィルム装填の方法

基本的な手順は次のとおりです。

  1. 裏蓋を開ける
  2. 35mmフィルムを左側のフィルム室へ入れる
  3. フィルム先端をオレンジ色の指定線まで引き出す
  4. フィルムをガイド内へ収めて裏蓋を閉じる
  5. シャッターボタンを押し、カウンターが「1」になるまで空送りする

カウンターが進まない場合は、フィルムが正常に送られていない可能性があります。先端を指定位置より長く引き出しすぎると、フィルムにたるみが生じて巻き上げに失敗することがあります。

巻き戻しはスイッチ操作式

フィルムの最後まで撮影すると、巻き上げが停止してシャッターを切れなくなります。

巻き戻す際は、ロック解除ボタンを押しながら上部の巻き戻しスイッチを動かします。巻き戻し中はカウンターが逆方向へ動き、「S」へ戻ったことを確認してから裏蓋を開けます。

後年の完全自動式カメラとは異なり、フィルム終端で自動的に巻き戻しが始まるわけではありません。

Canon Autoboy 2の基本スペック

項目仕様
発売年月1983年4月
型式35mmレンズシャッター式AF全自動カメラ
使用フィルム35mm・135フィルム
画面サイズ24×36mm
レンズCanon 38mm F2.8
レンズ構成4群4枚
レンズ交換不可
最短撮影距離約0.9m
AF方式近赤外光投射式三角測量AF
プリフォーカス対応
露出方式完全自動プログラム式EE
シャッター速度約1/8~1/500秒
絞りF2.8~F16・シャッター兼用
フィルム感度ISO25~400・日本仕様
ファインダー逆ガリレオ式ブライトフレーム
ファインダー倍率約0.45倍
フラッシュ手動ポップアップ式
フラッシュGN12・ISO100/m
フィルム巻き上げ自動
フィルム巻き戻し電動・スイッチ操作式
セルフタイマー約10秒
電源単3形乾電池2本
大きさ約125×76×46mm
重量約300g・電池別

主な仕様はキヤノン公式資料に基づきます。

オートボーイ2クオーツデートとの違い

オートボーイ2には、通常モデルのほかに「オートボーイ2クオーツデート」があります。

クオーツデート仕様では、裏蓋に日付写し込み機構が組み込まれています。基本的なレンズ、オートフォーカス、露出、フィルム送りなどの撮影機能は通常モデルと共通です。発売時価格は通常モデルより5,000円高く設定されていました。

中古品では裏蓋に液晶表示や日付設定ボタンがあれば、クオーツデート仕様と判断できます。

日付機能を使わない場合でも、誤った数字がフィルムへ写り込まないよう、写し込み設定を確認してから撮影しましょう。

オートボーイ3との違い

1986年には、後継モデルのオートボーイ3が発売されました。

オートボーイ3も38mm F2.8レンズと近赤外光式AFを搭載していますが、DXコードによるISO50~1600の感度自動設定、低輝度・逆光時のフラッシュ自動発光、フィルムの完全自動装填・巻き戻しなどを採用しました。電源も単3形乾電池から2CR5リチウム電池へ変更されています。

オートボーイ2はフィルム感度とフラッシュ、巻き戻しの開始を撮影者が操作します。すべてを自動化した後継機より、撮影者がカメラの状態を意識して使う余地が残されています。

中古のCanon Autoboy 2を購入するときの注意点

オートボーイ2は、電池、モーター、オートフォーカス、電子シャッターが連動するカメラです。

シャッター音がしただけでは、正しくピントや露出が合い、フィルムが送られているとは判断できません。

電池室の液漏れ

単3形乾電池を入れる電池室を開き、次の状態を確認します。

  • 白色や緑色の付着物
  • 電極の錆
  • 接点の変形
  • 電池蓋の割れ
  • 蓋を閉めても電源が不安定
  • 腐食が本体内部まで進んでいる形跡

オートボーイ2は電池がなければ撮影できません。新品の同一銘柄・同一種類の単3形電池2本を入れて確認しましょう。説明書でも、長期間使用しない場合は液漏れ防止のため電池を取り外すよう案内されています。

レンズカバーと電源

レンズカバーを開いたときに電源が入り、完全に閉じたときに電源が切れるか確認します。

カバーが途中で止まる、動きが重い、左右で開き方が異なる場合は、汚れや内部部品の劣化が考えられます。

無理に指で広げたり、隙間へ潤滑油を入れたりすると、レンズや測光窓へ油が回る可能性があります。

オートフォーカス

近距離・中距離・遠距離の被写体へ順番に向け、ファインダー内の距離指標が変化するか確認します。

可能であれば、各距離で実際にフィルム撮影を行い、ピント位置を確認したいところです。AFの作動音や距離表示が変化しても、レンズが正しい位置まで動いているとは限りません。

また、前面のAF窓を指、ストラップ、ケースなどで塞ぐと正常に測距できません。説明書でも、レンズ、測光窓、AF窓を塞がないよう注意されています。

プリフォーカスとセルフタイマー

セルフタイマー兼プリフォーカスレバーを倒し、距離記憶と約10秒後のセルフタイマーが作動するか確認します。

レバーが固い、シャッターボタンを押しても距離を記憶しない、解除できない個体には注意が必要です。

この機構は通常撮影に必須ではありませんが、中央以外の被写体へピントを合わせるうえで重要です。

電子シャッターと自動露出

明るい場所と暗い場所でシャッターを切り、作動時間が変化するか確認します。

明るい場所では短く、暗い場所では長く作動するのが基本です。どの明るさでも同じように切れる場合は、測光素子や電子制御に問題がある可能性があります。

正確な露出を判断するには、フィルムによる撮影結果の確認が必要です。

フィルム送りと巻き戻し

空のフィルムやテスト用フィルムを装填し、次の動作を確認します。

  • カウンターが「1」まで進む
  • 撮影後に1コマずつ巻き上げる
  • カウンターが順番に増える
  • フィルム終端で巻き上げが停止する
  • 巻き戻しスイッチが作動する
  • 巻き戻し中にカウンターが減る
  • 「S」まで巻き戻せる

モーター音がしても、フィルムを送る歯車やスプールが回っていない場合があります。

内蔵フラッシュ

フラッシュスイッチを操作し、フラッシュが正常に立ち上がるか確認します。

新品電池を使用し、充電完了ランプが点灯すること、実際に発光すること、撮影後に再充電できることを確認しましょう。

説明書では、新品のアルカリ電池使用時の充電時間は8秒以内とされています。極端に時間がかかる、発光しない、ポップアップしたまま収納できない個体は、フラッシュ回路や機械部分が劣化している可能性があります。

レンズのカビやクモリ

レンズカバーを開き、前玉を光へ向けて確認します。

主なチェックポイントは次のとおりです。

  • カビ
  • 白いクモリ
  • 強い拭き傷
  • コーティングの劣化
  • レンズ内部の大きなゴミ
  • 前玉周辺の傷や打痕

レンズ固定式なので、光学系の状態が悪くても交換レンズで解決することはできません。

ファインダーの状態

ファインダー内のカビ、クモリ、ゴミを確認します。

ブライトフレーム、中央のAF枠、距離表示、近距離補正枠、手ぶれ警告ランプが見えることも重要です。

ファインダーの汚れは写真へ直接写りませんが、構図確認やAF枠の確認を難しくします。


Canon Autoboy 2はどんな人に向いている?

Canon Autoboy 2は、次のような人に向いています。

  • フィルムカメラを簡単に使いたい人
  • オートフォーカス式コンパクトカメラを探している人
  • 38mm F2.8の単焦点レンズを使いたい人
  • 単3形乾電池で動くカメラを選びたい人
  • フィルムの自動巻き上げ・電動巻き戻しを利用したい人
  • 1980年代らしいカメラデザインが好きな人
  • 初代オートボーイより軽いモデルを探している人
  • 露出設定をカメラへ任せてスナップを楽しみたい人

一方、絞り、シャッター速度、ピントを自分で設定したい人には向きません。

ズーム機能や近接撮影機能もなく、最短撮影距離は約0.9mです。多機能さよりも、38mm単焦点レンズで気軽に日常を撮影することに適したカメラです。

まとめ

Canon Autoboy 2は、1983年に発売された35mmオートフォーカスコンパクトカメラです。

38mm F2.8の4群4枚レンズ、近赤外光式AF、プログラム自動露出、電動フィルム送り、ポップアップ式フラッシュを搭載。初代オートボーイより小型・軽量化され、レンズカバーとプリフォーカス機構も備えています。

露出やピントは自動ですが、フィルム感度の設定、フラッシュのポップアップ、巻き戻しの開始は撮影者が行います。後年の完全自動カメラほど「全部お任せ」ではない点が、オートボーイ2ならではの操作感です。

中古で購入するときは、電池室、レンズカバー、オートフォーカス、プリフォーカス、電子シャッター、フィルム送り、巻き戻し、内蔵フラッシュを確認しましょう。

正常に動作する個体なら、単3形乾電池2本で、38mm F2.8の単焦点レンズによるフィルムスナップを軽快に楽しめる一台です。

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