ZENZA BRONICA GS-1とは?6×7判レンズシャッター式中判一眼レフを徹底解説
ZENZA BRONICA GS-1は、ゼンザブロニカが1983年に投入した6×7判のレンズシャッター式中判一眼レフカメラです。
GS-1はブロニカの6×7システムを代表するモデルで、55.6×69.0mmの大きな画面を使用しながら、
- 交換レンズ
- 交換式フィルムバック
- 交換式ファインダー
- 交換式フォーカシングスクリーン
- ミラーアップ
- 多重露光
- AEプリズム対応
- 全速フラッシュ同調
といった、本格的なシステムカメラとして設計されています。
当時の取扱説明書もGS-1を「6×7判レンズシャッター式一眼レフ」と明記し、ETRSやSQ-Aで蓄積した経験をベースに開発したフルスケールのシステムカメラとして説明しています。
さらに、後にブロニカ事業を引き継いだタムロンの公式資料では、GS-1の生産は2002年6月に終了したことが明記されています。
つまり1980年代前半から2000年代初頭まで長期間にわたって存在した、ブロニカ末期まで残った重要な6×7システムです。
この記事では、ZENZA BRONICA GS-1の特徴、6×7判、レンズシャッター、交換式フィルムバック、ZENZANON-PGレンズ、AEプリズム、ミラーアップ、フラッシュ撮影、そして中古購入時に確認したいポイントまで詳しく解説します。
ZENZA BRONICA GS-1とは
GS-1は、ゼンザブロニカの中でも6×7判を担当するモデルです。
ブロニカには、
- ETRシリーズ:6×4.5
- SQシリーズ:6×6
- GS-1:6×7
という異なるフォーマットのシステムが存在しました。
GS-1はその中で最も大きな画面を使用します。
メーカー仕様での実画面サイズは、
55.6×69.0mm
です。
一般に「6×7」と呼ばれますが、実際に56×70mmぴったりではありません。
6×7判の大きなフィルム面
35mm判は24×36mm。
GS-1は55.6×69.0mm。
フィルム面積は圧倒的に大きくなります。
そのため、
- 微細な描写
- 豊かな階調
- 大きなプリント
- 浅い被写界深度
- 中判らしい立体感
を楽しめます。
特にポートレートや風景、商品撮影では6×7判ならではの魅力があります。
画面比率は4:5に近い
GS-1の取扱説明書では、55.6×69.0mmの画面を4:5比率で印画紙サイズに適したフォーマットとして説明しています。
6×6の正方形とは異なり、最初から横長・縦長の構図を作りやすいことも6×7判のメリットです。
1983年登場の6×7システム
二次資料ではGS-1は1983年春に登場したモデルとして記録されています。
当時すでにブロニカはETRシリーズやSQシリーズを展開しており、GS-1はそれらで培った電子制御・交換バック・レンズシャッターという思想を、より大きな6×7判へ展開したモデルです。
そのためGS-1を単純に、
「PENTAX 67のブロニカ版」
と考えると少し違います。
両者は同じ6×7でもカメラの思想がかなり異なります。
GS-1はレンズシャッター式
GS-1最大の特徴のひとつです。
シャッターはボディではなく、各ZENZANON-PGレンズ内部に入っています。
メーカー仕様では、
SEIKO #0電子制御レンズシャッター
を採用。
シャッター速度は、
- 16秒
- 8秒
- 4秒
- 2秒
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
- 1/30秒
- 1/60秒
- 1/125秒
- 1/250秒
- 1/500秒
- B
- T
- A
です。
最高速度は1/500秒
最高シャッター速度は1/500秒。
フォーカルプレーンシャッター式のPENTAX 67などと比較すると数字だけでは高速ではありません。
しかしGS-1には別の強烈な武器があります。
1/500秒まで全速でフラッシュ同調できます。
全速Xシンクロ
レンズシャッターは画面全体を一度に露光できるため、電子フラッシュを高速シャッターでも使用できます。
GS-1取扱説明書でもZENZANON-PGレンズはX接点を持ち、1/500秒まで全シャッター速度で電子フラッシュ同調可能と明記されています。
これはスタジオ撮影だけでなく、屋外ポートレートでも大きなメリットです。
例えば昼間。
背景の明るさを1/500秒で抑えつつ、人物へフラッシュを当てる。
フォーカルプレーンシャッター機では高速同調の制限が厳しかった時代に、GS-1なら普通にできます。
日中シンクロに強い
メーカー取扱説明書自身も、全速同調によってデイライト・フィルインフラッシュが容易になると説明しています。
ポートレート撮影でGS-1が強い理由のひとつです。
電子制御シャッター
GS-1は完全機械式カメラではありません。
シャッターは電子制御。
シャッターレリーズも電磁式です。
そのため通常撮影には電池が必要です。
電池は6V
メーカー仕様では、
- 4LR44相当の6Vアルカリ電池
- 4SR44相当の6V銀電池
1個を使用します。
現在でも比較的入手しやすい電池なので、水銀電池を必要とする古いカメラほど電源には困りません。
電池なしでは通常シャッターが動かない
取扱説明書には、電子制御シャッターと電磁レリーズはバッテリーなしでは作動しないと明記されています。
中古確認では必ず新品または確実な6V電池を用意しましょう。
約1/500秒のメカニカル動作
タムロン公式仕様には、電子制御とは別に約1/500秒のメカニカルシャッターも記載されています。
ただしGS-1全体は電子制御を前提としたカメラです。
「電池不要の完全機械式6×7」と考えるのは誤りです。
シャッターダイヤルのAとは
GS-1のシャッターダイヤルには「A」があります。
これはAuto、つまりAEプリズム使用時の自動露出位置です。
取扱説明書では、露出計内蔵ファインダーを装着しAへ設定すると、絞り優先AEが利用できることが示されています。
AEプリズムファインダーG
GS-1には専用のAE Prism Finder Gがあります。
これを装着するとTTL測光による絞り優先AEが可能になります。
つまり、
- 希望のF値を設定
- シャッターダイヤルをA
- AEプリズムがTTL測光
- カメラが適切なシャッター速度を決定
という撮影ができます。
GS-1本体単体では露出計を持たず、測光機能はファインダー側へ追加する思想です。
ウエストレベルなら外部露出計
標準的なウエストレベルファインダーGを使う場合は、露出計を内蔵していません。
そのため、
- 単体露出計
- スマートフォン
- 別のカメラ
などで露出を測ります。
中判らしいじっくりした撮影なら、この組み合わせもよく似合います。
交換式ファインダー
GS-1はファインダーそのものを交換できます。
ウエストレベル。
プリズム。
AEプリズム。
撮影スタイルに応じて選択できます。
ファインダーを交換しても実際に見える範囲は約94%です。
ウエストレベルファインダー
上から覗く中判らしいスタイルです。
ただし像は左右反転します。
風景や静物撮影なら落ち着いて構図を作れます。
プリズムファインダー
アイレベルで正立左右正常像を見ることができます。
手持ち撮影ではウエストレベルより扱いやすくなります。
AEプリズム
さらに測光・自動露出まで加えたいならAEプリズム。
GS-1を大型35mm一眼レフのような操作感へ近づけられます。
交換式フォーカシングスクリーン
フォーカシングスクリーンも交換式です。
標準は全面マットタイプ。
被写体や用途に応じてスクリーンを変更できます。
現在中古で使う場合は、
- 標準スクリーン
- 方眼
- マイクロプリズム系
など、実際に付属しているスクリーンを確認しましょう。
GSマウント
レンズマウントはBRONICA GSマウント。
専用4爪バヨネット式です。
ETR。
SQ。
旧S2。
これらとは別です。
他のBronicaレンズはそのまま使えない
「ゼンザブロニカ用レンズなら何でも付く」
わけではありません。
GS-1では基本的にZENZANON-PGシリーズを使用します。
中古では、
「ZenzanonだからGS-1に付くだろう」
と考えないようにしましょう。
PG表記を確認することが重要です。
ZENZANON-PGレンズ
タムロン公式資料にはGS-1用PGレンズとして、
- 50mm F4.5
- 65mm F4
- 100mm F3.5
- 110mm F4
- 150mm F4
- 200mm F4.5
- 250mm F5.6
- 500mm F8
が掲載されています。
さらに1.4×、2×テレコンバーターも用意されました。
標準はZENZANON-PG 100mm F3.5
GS-1の標準レンズは、
ZENZANON-PG 100mm F3.5
です。
メーカー取扱説明書では、
- 100mm
- F3.5
- 4群6枚
- マルチコート
- 画角48°
- 最小絞りF22
- 最短0.75m
- 72mmフィルター
とされています。
35mm判換算約50mm
GS-1純正レンズ表では、100mm F3.5の35mm判換算焦点距離を約50mmとしています。
つまり6×7判ではど真ん中の標準レンズ。
人物。
風景。
街歩き。
静物。
ほぼ何でも撮れます。
100mm F3.5でも0.75mまで寄れる
最短撮影距離は0.75m。
中判標準レンズとして比較的使いやすく、上半身ポートレートや静物にも向きます。
6×7判+100mm F3.5なら、近距離ではかなり浅い被写界深度も楽しめます。
50mm F4.5は約25mm相当
純正レンズ表では50mm F4.5は35mm判換算約25mm。
画角83°。
6×7風景撮影ではかなり魅力的な超広角です。
ただし95mmフィルター径、約790gと大型です。
65mm F4は約33mm相当
65mm F4は35mm判換算約33mm。
スナップや風景に使いやすい広角です。
50mmほど極端ではありません。
純正仕様では、
- 最短0.6m
- 72mmフィルター
- 約715g
です。
150mm F4はポートレート向き
100mmより長い150mm F4は人物撮影に向きます。
タムロン公式仕様では最短1.5m、72mmフィルター、約650g。
6×7の大きな画面と組み合わせれば、背景を整理したポートレートを作りやすくなります。
各レンズにシャッターが入っている
中古GS-1で非常に重要です。
PGレンズは単なる「ガラスの筒」ではありません。
絞り機構と電子制御レンズシャッターまで入っています。
つまり、
ボディが正常でもレンズのシャッターが故障していれば撮影できません。
そしてレンズを交換すると、シャッター機構も丸ごと交換することになります。
中古購入ではボディだけでなくレンズごとにシャッター確認が必要です。
交換式フィルムバック
GS-1の強烈な魅力がここです。
フィルムバックを撮影途中で交換できます。
取扱説明書は、
ロール途中でもフィルム種類を自由に変更できる
ことを明確に説明しています。
例えば、
バックA:Portra 160。
バックB:Tri-X。
バックC:別感度のフィルム。
と準備しておく。
屋外はカラー。
人物はモノクロ。
途中で光が落ちたら高感度。
フィルムを撮り切る必要はありません。
ダークスライドを入れて交換
バックを外す場合はダークスライドを差し込みます。
取扱説明書では、
ダークスライドを完全に挿入しないとバックを取り外せない構造
が説明されています。
逆にバックをボディへ装着した状態では、撮影前にダークスライドを抜きます。
ダークスライドが刺さったままではシャッターを切れません。
フィルム感度設定もバック側
さらに面白いのが、ASA/ISO設定ダイヤルと露出補正ダイヤルがフィルムバック側にあることです。
AEプリズムなど露出計内蔵ファインダーを使用すると、バックに入っているフィルム感度がカメラ側へ連動します。
したがって、
ISO100のバック。
ISO400のバック。
を入れ替えても、その都度ボディ側でISOを設定し直す必要がありません。
システムカメラらしい合理的な設計です。
マルチフォーマット対応
GS-1取扱説明書では、専用バックによって、
120・220ロールフィルムで、
- 6×7
- 6×6
- 6×4.5
さらに135フィルム用バックで、
- 24×36mm
- 24×69mm
そしてPolaroid Land Pack Filmにも対応するシステムとして記載されています。
つまりGS-1は名前こそ6×7カメラですが、思想としてはかなり強烈なマルチフォーマット中判システムです。
ただし現在、中古市場でそれらすべてのバックが容易に手に入るとは限りません。
通常はGS120の6×7バックが中心になります。
120フィルムでは10枚
6×7判120バックを使用すると、一般的に120フィルム1本から10コマ撮影します。
35mmの36枚撮りとはまったく感覚が違います。
1回シャッターを切る重みがあります。
しかも現在の120フィルム価格を考えると、
Cモードで連写じゃあ!
というカメラでもありません。
一枚ずつじっくり撮るのが似合います。
フィルム装填
GS120バックの内部には着脱式フィルムホルダーがあります。
取扱説明書では、
右側に新しいフィルム。
左側に空の巻き取りスプール。
を配置し、フィルムを圧板上へ通して巻き取りスプールへ差し込む方法が説明されています。
スタートマークを合わせた後、バックを閉じてクランクを回すと1コマ目まで送られます。
巻き上げはクランク式
GS-1はフィルム巻き上げクランクを使用します。
一回転で、
- フィルム送り
- シャッターチャージ
を行います。
一気に一回転させても、小刻みにラチェット操作しても構いません。
Speed Grip G
巻き上げクランクは取り外し可能で、代わりにSpeed Grip Gを装着できます。
純正取扱説明書にも、クランクユニットを取り外してSpeed Grip Gを装着する構造が記載されています。
グリップを付けると、
- 右手グリップ
- トリガー式巻き上げ
- アイレベル撮影
がしやすくなり、GS-1を大型35mm一眼レフのように扱えます。
ミラーアップ機能
GS-1にはミラーアップがあります。
これは6×7一眼レフでは非常に重要です。
巨大なミラーが撮影時に動くため、低速シャッターでは振動が画質へ影響する可能性があります。
メーカー取扱説明書では、
- フィルムを巻き上げシャッターをチャージ
- ミラーアップレバーを操作
- ミラーと安全板が退避
- シャッターを切る
という手順が説明されています。
風景・接写で有効
三脚を使用し、
- 1/15秒
- 1/8秒
- 1/4秒
などを使う風景。
マクロ。
商品撮影。
ではミラーアップが役立ちます。
6×7の解像力をきっちり引き出したい場合に重要な機能です。
連続ミラーアップも可能
メーカー仕様では連続ミラーアップにも対応しています。
ただし操作順を間違えると意図せずシャッターを切る可能性があります。
初めて使う場合は取扱説明書を確認してから操作しましょう。
多重露光
GS-1には多重露光レバーがあります。
レバーを切り替えるとフィルムを送らずにシャッターを何度でもチャージでき、同じコマへ複数回露光できます。
撮影後は必ずレバーを通常位置へ戻します。
戻し忘れると、
次の写真も全部同じコマへ重なります。
中古GS-1で「フィルムが進まない!」と思ったら、多重露光レバー位置も確認しましょう。
TTLフラッシュにも対応
GS-1では専用Speed-Light G1を使用したTTLフラッシュ制御も想定されています。
メーカー取扱説明書では、専用フラッシュとSpeed Grip Gを組み合わせた場合、フィルム面でフラッシュ光を直接測定して発光制御できることが説明されています。
6×7。
レンズシャッター。
全速シンクロ。
TTLフラッシュ。
かなり本格的なスタジオ・ポートレートシステムです。
GS-1の大きさと重量
タムロン公式仕様では、
ボディのみで約630g。
100mm F3.5、GS120バック、ウエストレベルファインダーを組み合わせると、
約1,830g
です。
約1.83kg。
軽いカメラではありません。
しかし6×7一眼レフとしては、レンズ・バック・ファインダーを自由に組み替えられることを考えれば、かなり合理的にまとめられています。
ボディだけなら630g
ボディ単体が630gなのは意外でしょう。
重量の多くは、
- レンズ
- フィルムバック
- ファインダー
です。
モジュール式だからこその数字です。
ZENZA BRONICA GS-1の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 6×7判レンズシャッター式一眼レフ |
| 登場 | 1983年 |
| 生産終了 | 2002年6月 |
| 画面サイズ | 55.6×69.0mm |
| レンズマウント | BRONICA GS専用4爪バヨネット |
| 標準レンズ | ZENZANON-PG 100mm F3.5 |
| 標準レンズ構成 | 4群6枚 |
| フォーカス | MF |
| レンズ絞り | 完全自動絞り |
| 絞り目盛り | 1/2段クリック |
| シャッター | SEIKO #0電子制御レンズシャッター |
| 速度 | 16秒~1/500秒、B、T、A |
| Xシンクロ | 全速・最高1/500秒 |
| 巻き上げ | クランク式 |
| ミラーアップ | あり |
| 多重露光 | あり |
| フィルムバック | 完全交換式 |
| 主なフィルム | 120・220ほか |
| ファインダー | 交換式 |
| スクリーン | 交換式 |
| ファインダー視野率 | 約94% |
| AE | AEプリズム使用時・絞り優先 |
| 電源 | 6V 4LR44/4SR44系×1 |
| ボディ重量 | 約630g |
| 標準セット重量 | 約1,830g |
主要仕様はGS-1取扱説明書およびタムロン公式Bronicaアーカイブによります。
PENTAX 67との違い
同じ6×7一眼レフとして比較されやすいのがPENTAX 67です。
しかし思想はかなり違います。
| 項目 | BRONICA GS-1 | PENTAX 67系 |
|---|---|---|
| フォーマット | 6×7 | 6×7 |
| シャッター | レンズシャッター | ボディFPシャッター |
| フィルムバック | 交換可能 | 固定 |
| ファインダー | 交換可能 | 機種・構成による |
| 全速フラッシュ同調 | 可能・~1/500 | 不可 |
| レンズ | PG専用 | Takumar/PENTAX 67系 |
| システム思想 | モジュール型 | 大型一眼レフ型 |
PENTAX 67は「巨大な35mm一眼レフ」に近い。
GS-1は「Hasselblad的モジュールシステムを6×7へ拡大したもの」に近い。
という見方をすると分かりやすいでしょう。
Mamiya RB67・RZ67との違い
Mamiya RB67/RZ67も6×7の代表格です。
こちらはスタジオ用途を強く意識し、
- ベローズフォーカス
- 回転式バック
- 大型ボディ
を特徴とします。
GS-1では各レンズにヘリコイドを持たせ、ボディを比較的コンパクトにまとめています。メーカー仕様にも各レンズ内蔵の直進ヘリコイドと明記されています。
GS-1は持ち運びや手持ち撮影まで比較的意識した6×7です。
中古購入時に確認したいポイント
GS-1はシステムカメラです。
したがって中古確認も、
ボディだけ見て終わり
ではありません。
ボディ。
レンズ。
バック。
ファインダー。
電源。
それぞれを個別に確認する必要があります。
新品の6V電池を使う
まず確実な4LR44または4SR44系6V電池を用意します。
電子シャッターなので電池状態が悪いと正しい診断ができません。
取扱説明書も電池なしでは通常シャッター系が作動しないとしています。
電池室
確認するのは、
- 液漏れ
- 白い粉
- 緑青
- 接点腐食
- 電池蓋
- ロック機構
です。
長期放置個体では必ず確認しましょう。
電源スイッチ
ONにしてシャッターボタンを半押しします。
ファインダー内LEDが点灯または点滅し、バッテリーチェックが機能することを確認します。メーカー仕様でも半押しによるLED表示がバッテリーチェックとして記載されています。
LEDがまったく点かない
新品電池でも無反応なら、
- 電池接点
- メインスイッチ
- 電子基板
- ファインダー接点
などを疑います。
すべてのシャッター速度
PGレンズを装着して、
16秒。
8秒。
4秒。
2秒。
1秒。
1/2秒。
1/8秒。
1/60秒。
1/250秒。
1/500秒。
と確認します。
電子制御なので各速度の変化が明確に出ることが重要です。
低速シャッター
16秒や8秒が途中で閉じる。
毎回時間が違う。
レリーズ後に固まる。
場合は電子制御・レンズシャッターの不具合を疑います。
1/500秒
最高速は音だけで精度判断できません。
可能ならシャッターテスターや実写で確認します。
レンズごとにシャッター確認
超重要です。
100mmが正常でも、
65mmが正常とは限りません。
PGレンズにはそれぞれシャッターが入っています。
複数レンズセットなら一本ずつ全速確認します。
シャッター羽根
レンズを覗いて、
- 油
- 粘り
- 傷
- 羽根の変形
を確認します。
レンズシャッターでは油が羽根へ回っている個体は注意です。
絞り羽根
F3.5からF22などまで動かします。
- 羽根が均一
- 油がない
- 一枚だけ遅れない
- 正常に開放へ戻る
ことを確認します。
GS-1は完全自動絞りなので戻りの速さも重要です。
PGレンズのカビ・曇り
中判用レンズなので光学状態は画質へ直結します。
確認するのは、
- カビ
- 曇り
- バルサム異常
- 拭き傷
- コーティング
- 後玉
です。
特に逆光時の白濁は曇り個体で目立ちます。
ヘリコイド
GS-1では各レンズにフォーカシングヘリコイドがあります。
最短から∞まで、
- 滑らか
- 重すぎない
- ガタが少ない
- 引っ掛からない
ことを確認します。
無限遠
遠景を使い、∞付近でスクリーン上のピントが合うか確認します。
最終的にはフィルム実写で判断します。
フィルムバック
中古GS-1最大級の確認箇所です。
まずGS120・6×7バックが付属しているか確認しましょう。
ボディだけ買ってもフィルムバックがなければ撮影できません。
120と220を間違えない
120と220ではバックが異なります。
現在使用するなら120バックを優先した方が実用的です。
実物の表記を確認します。
ダークスライド
絶対に確認したい付属品です。
ダークスライドがないと、撮影途中にバックを安全に交換できません。
またGS-1ではバック取り外しインターロックにも関係します。
ダークスライドが最後まで入るか
曲がっている。
途中で引っ掛かる。
完全に入らない。
場合は注意です。
バックが外れるか
ダークスライドを挿入。
バックリリースを押す。
正常に外れることを確認します。
長期間外されていない個体ではロック機構が固着している場合があります。
バックを付けた状態でダークスライドを抜く
撮影状態ではダークスライドを抜きます。
差したままならシャッターを切れないのが正常です。
インターロックが正常に働くか確認できます。
フィルムホルダー
バック内部のフィルムホルダーを取り出します。
- スプールホルダー
- ギア
- 圧板
- ローラー
- 巻き上げ機構
を確認します。
メーカー取扱説明書でもフィルムホルダーに独立した巻き上げ機構が組み込まれていることが説明されています。
フィルム圧板
傷、錆、変形を確認します。
フィルム平面性に関係する部分です。
モルト・遮光材
バック周辺の遮光材は経年劣化します。
GS-1のような交換バック式中判では光漏れが非常に重要です。
実写で、
- 画面端の白い帯
- 赤い漏光
- 不規則な光跡
がないか確認しましょう。
コマ間隔
120フィルムを一本通します。
各コマの間隔が適切か確認します。
- 重なる
- 間隔が極端に広い
- 最終コマまで正常に進まない
場合はバック側巻き上げ機構を疑います。
ASA/ISOダイヤル
AEプリズムを使用するなら重要です。
バック側ISOダイヤルが正常に回り、ロックすることを確認します。
取扱説明書でもバック側ISO設定が露出計内蔵ファインダーへ連動する仕様です。
露出補正ダイヤル
こちらもバックにあります。
固着せず回ること。
0位置へ戻ることを確認します。
中古購入直後は、補正が0以外へ入っていないか必ず見ましょう。
AEプリズム
付属しているなら実際に測光します。
信頼できる露出計と比較し、
- 明るい場所
- 日陰
- 室内
で大きくずれていないか確認します。
Aモード
シャッターダイヤルをAへ。
絞りを変更します。
それに応じてカメラが異なるシャッター速度を選択するか確認します。
A位置はAEプリズム用です。
AEプリズム接点
ボディ上面の接点に、
- 腐食
- 汚れ
- 曲がり
がないか確認します。
測光不良がプリズム側なのかボディ側なのか、可能なら別ファインダーで切り分けます。
ウエストレベルファインダー
フードが正常に、
- 開く
- ロックする
- 閉じる
ことを確認します。
ルーペ
拡大ルーペが立ち上がり、レンズに強い曇りやカビがないか確認します。
フォーカシングスクリーン
明るい壁へ向け、
- 傷
- カビ
- 曇り
- 大量のチリ
- 欠け
を確認します。
スクリーンは交換可能ですが、現在は新品部品を簡単に入手できる時代ではありません。
ミラー
大型ミラーを確認します。
- 汚れ
- カビ
- 傷
- 銀面劣化
- 欠け
を見ます。
ミラー表面は非常に傷つきやすいので触らないようにします。
ミラーアップ
レバーを操作し、ミラーが確実に退避することを確認します。
純正取説どおり、シャッターをチャージしてから操作します。
ミラーアップから正常復帰するか
一度上がるだけでは不十分です。
通常撮影へ戻し、
- ミラー復帰
- 巻き上げ
- シャッター
- ファインダー
が正常に戻ることを確認します。
多重露光レバー
レバーを切り替え、
フィルムを送らずシャッターを再チャージできることを確認します。
そして必ず通常位置へ戻します。
「巻き上げがおかしい」と思ったら確認
多重露光レバーが入ったままだと通常と動作が変わります。
故障診断前に、
- 多重露光
- ミラーアップ
- ダークスライド
の位置を全部確認しましょう。
巻き上げクランク
一回転で正常に、
- フィルム送り
- シャッターチャージ
できるか確認します。
滑る。
空回り。
途中で異常に重い。
何回転も必要。
場合は要注意です。
Speed Grip G
付属するなら、
- 取り付け
- 巻き上げ
- シャッターレリーズ
- ガタ
を確認します。
グリップを外した状態のクランクマウントも傷んでいないか見ます。
フラッシュ同調
可能なら電子フラッシュをXシンクロ端子へ接続します。
1/30。
1/125。
1/500。
で正常に発光することを確認します。
GS-1は本来1/500まで全速X同調です。
実写ピント
100mm F3.5開放で、
- 0.75~1m
- 2~3m
- 無限遠
を撮影します。
スクリーンで合わせた位置へ、フィルム上でも正しくピントが来るか確認します。
片ボケ
平らな壁や建物を撮ります。
左右で極端な解像差がないか確認します。
原因として、
- レンズ偏芯
- マウント
- フィルム平面性
- バック
などが考えられます。
別レンズ・別バックがあると切り分けしやすくなります。
6×7バックは必ず実写する
空シャッターだけでは分からない問題が多数あります。
フィルム一本を通して、
- コマ間隔
- 光漏れ
- ピント
- シャッター
- バック平面性
- 巻き上げ
を確認します。
GS-1では特にボディ・レンズ・バックの三者が正常で初めて一枚の写真が成立すると考えましょう。
中古でセット購入する場合の優先順位
GS-1をこれから一式購入するなら、最低限、
- GS-1ボディ
- GS120 6×7バック
- ダークスライド
- ZENZANON-PG 100mm F3.5
- ウエストレベルまたはプリズムファインダー
- 6V電池
- 巻き上げクランク
が揃っている個体をおすすめします。
後から部品を一つずつ探すより、最初から撮影可能なセットを購入する方が楽です。
特にダークスライド欠品に注意
中古の商品写真で見落としやすい部品です。
ダークスライドは単なる「蓋」ではありません。
撮影途中のバック交換とインターロックに関わる重要部品です。
バックだけ安く売られていても、ダークスライド欠品なら価格を考慮しましょう。
修理難易度を考える
GS-1は、
- 電子基板
- 電磁レリーズ
- 電子制御レンズシャッター
- バック連動
- AEファインダー
を組み合わせたシステムです。
完全機械式カメラほど単純ではありません。
特にPGレンズのシャッター故障は、単なるレンズ清掃より修理難易度が上がります。
中古で安いジャンクを買って、
「とりあえず分解清掃すれば動くだろう」
という発想は慎重にした方がよいでしょう。
ZENZA BRONICA GS-1が向いている人
GS-1は次のような人に向いています。
- 6×7判を楽しみたい人
- 交換バックを使いたい人
- カラーとモノクロを途中で切り替えたい人
- レンズシャッターが欲しい人
- 日中シンクロを多用したい人
- ポートレートを撮る人
- スタジオ撮影をする人
- ミラーアップが欲しい人
- 中判システムカメラが好きな人
- PENTAX 67とは違う6×7を使いたい人
- BronicaのPGレンズを楽しみたい人
特に、
「6×7を使いたい。しかしフィルムバックも交換したい」
という人には非常に魅力的です。
向いていない場合
一方、
- 完全機械式を求める
- 電子故障が怖い
- とにかく軽いカメラが欲しい
- 交換バックを必要としない
- レンズを大量に安く揃えたい
- 現在でも修理部品が豊富なシステムが欲しい
人には別の選択肢が向く場合があります。
GS-1は完成状態では非常に優秀ですが、システム全体が正常であることが前提です。
標準100mm一本でも十分楽しめる
GS-1だからといって最初から大量のPGレンズを揃える必要はありません。
100mm F3.5は約50mm相当。
最短0.75m。
F3.5。
6×7標準としてかなり万能です。
最初は、
GS-1+GS120+100mm F3.5+ウエストレベル
だけでも十分楽しめます。
そこから、
もっと広く → 65mm。
超広角 → 50mm。
人物 → 150mm。
という具合に増やしていけばよいでしょう。
GS-1は巨大だが意外と「持ち出せる」
標準セット約1.83kgなので、決して軽量ではありません。
しかしMamiya RB67のような大型スタジオ機と比較すると、レンズにヘリコイドを持つGS-1は構造的に扱いやすくなっています。
Speed Grip Gとプリズムを付ければ、手持ち撮影も十分想定されています。
メーカー自身もGS-1を、35mm一眼レフに近い汎用性を目指した6×7システムとして説明しています。
生産終了は2002年6月
タムロンの公式Bronicaアーカイブでは、GS-1は平成14年6月、つまり2002年6月をもって生産終了とされています。
1980年代に登場した6×7フィルムシステムがデジタル時代直前まで残っていたことになります。
それだけ長く実用システムとして存在したモデルです。
まとめ
ZENZA BRONICA GS-1は、ゼンザブロニカの6×7判を代表するレンズシャッター式中判一眼レフです。
メーカー仕様では、
- 55.6×69.0mm
- 6×7判
- GS専用4爪バヨネット
- ZENZANON-PGレンズ
- SEIKO #0電子制御レンズシャッター
- 16秒~1/500秒
- B
- T
- AE用A
- 全速X同調
- 交換式フィルムバック
- 交換式ファインダー
- 交換式フォーカシングスクリーン
- ミラーアップ
- 多重露光
- 6V電池
- 標準PG 100mm F3.5
という本格システムです。
標準ZENZANON-PG 100mm F3.5は4群6枚。
35mm判換算約50mm。
最短0.75m。
72mmフィルター。
6×7の基本となる一本です。
そしてGS-1最大の特徴は、
6×7なのにレンズシャッター式で、フィルムバックまで撮影途中に交換できること。
カラーを入れたバックを外す。
ダークスライドを差す。
モノクロバックへ交換。
撮影。
またカラーへ戻る。
フィルムを一本撮り切る必要はありません。メーカー自身もこの交換性をGS-1の大きな特徴として説明しています。
さらに1/500秒までフラッシュ同調。
ミラーアップ。
多重露光。
AEプリズム。
Speed Grip。
このあたりを組み合わせることで、じっくり三脚撮影する6×7にも、手持ちで人物を追う6×7にもなります。
ただし中古では確認項目が多い。
ボディが動く。
それだけではダメ。
レンズシャッターが動く。
バックが正しく送る。
ダークスライドが働く。
スクリーンとフィルム面のピントが一致する。
電子制御が正常。
ここまで揃って初めてGS-1は本来の性能を発揮します。
6×7という大きな一枚。
交換バック。
PGレンズ。
レンズシャッター。
1/500秒全速シンクロ。
そして巨大なミラーを跳ね上げて撮る中判一眼レフ。
ZENZA BRONICA GS-1は、「6×7の高画質」と「システムカメラとしての機動力」を同時に狙った、ゼンザブロニカ最後期まで生き残ったフラッグシップ級中判システムです。









