ZENZA BRONICA S2

「ゼンザブロニカ」というメーカーの中判カメラです。レンズはニコン製のものを使っています。

Zenzabronica ゼンザブロニカ

ZENZA BRONICA S2とは?交換式フィルムバックを備えた6×6中判一眼レフの特徴と中古購入時の注意点

ZENZA BRONICA S2は、120・220フィルムを使用する6×6cm判の中判一眼レフカメラです。

1965年に登場し、レンズ、フィルムバック、ファインダー、フォーカシングヘリコイドを交換できる本格的なシステムカメラとして設計されました。シャッターは電池を必要としない機械式で、最高速度は1/1000秒です。

レンズシャッター式ではなく、カメラ本体にフォーカルプレーンシャッターを内蔵しているため、交換レンズ側にシャッター機構を必要としません。その結果、ニッコールを中心としたさまざまなレンズを利用できる、自由度の高い中判システムとなっています。

一方、S2は非常に複雑で重量があり、シャッター音やミラーショックも強烈です。

また、中古品では巻き上げ機構の不調、フォーカシングスクリーンやミラーを支えるフォーム材の劣化、フィルムバックの不具合など、独特の確認ポイントがあります。

この記事では、ZENZA BRONICA S2の特徴、S2Aとの違い、基本的な使い方、対応レンズ、中古購入時の注意点を解説します。

目次

ZENZA BRONICA S2とは

ZENZA BRONICA S2は、ゼンザブロニカ工業が製造した6×6cm判の中判一眼レフカメラです。

120フィルムでは12枚、220フィルムでは24枚の正方形写真を撮影できます。撮影途中でもフィルムバックを交換できるため、カラーフィルムとモノクロフィルム、低感度と高感度などを状況に応じて使い分けられます。(Orphancameras)

S2は、1961年に登場したBronica Sの後継モデルです。

従来のS型が備えていた交換式フィルムバックや機械式フォーカルプレーンシャッターを受け継ぎながら、ボディ前面のフォーカシングヘリコイドを着脱可能としました。これにより、標準的な交換レンズだけでなく、ベローズや超望遠レンズなども柔軟に使用できます。(Craig Camera)

「日本のハッセルブラッド」と呼ばれることがある中判カメラ

ZENZA BRONICA S2は、箱型ボディ、交換式フィルムバック、ウエストレベルファインダーといった構成から、ハッセルブラッドと比較されることの多いカメラです。

どちらも6×6cm判の一眼レフシステムですが、内部構造は大きく異なります。

ハッセルブラッド500C系がレンズ内のリーフシャッターを使用するのに対し、Bronica S2はボディ内の縦走りフォーカルプレーンシャッターを採用しています。

そのため、Bronica S2ではレンズ側にシャッターを組み込む必要がなく、ニッコールをはじめとする多様な光学系を組み合わせられました。S2は当時、同種のハッセルブラッドより購入しやすい中判システムとして販売されました。(mike eckman dot com)

ただし、現在の中古品では「安価なハッセルブラッド」という感覚だけで選ばない方がよいでしょう。

構造、操作方法、修理性、重量、フラッシュ同調速度が異なるため、実際には独自性の強いカメラです。

6×6cm判の正方形フォーマット

Bronica S2は、120または220ロールフィルムへ6×6cm判の写真を記録します。

120フィルムでは12枚、220フィルムでは24枚撮影できます。フィルムバック側の切り替えレバーを使用し、装填するフィルムに合わせて12枚または24枚へ設定します。(Orphancameras)

6×6判には、次のような特徴があります。

  • 35mm判よりも大きなフィルム面を使用できる
  • 縦位置と横位置を意識せず構図を作れる
  • 被写体を中央へ置いた構図と相性がよい
  • トリミングによって縦長・横長へ仕上げられる
  • 大きなフィルム面による豊かな階調を得やすい

画面サイズが大きいため、35mmフィルムより細かな質感を記録しやすく、大きく引き伸ばす場合にも余裕があります。

人物、風景、静物、建築、商品撮影など、幅広い用途に対応するフォーマットです。

交換式フィルムバックを採用

Bronica S2の大きな特徴が、撮影途中で交換できるフィルムバックです。

フィルムバックには遮光用の金属製ダークスライドが備わっています。ダークスライドを差し込むとフィルム面が遮光され、撮影途中でもバックをボディから取り外せます。(Orphancameras)

複数のバックを用意すれば、次のような運用が可能です。

  • カラーとモノクロを交換する
  • ISO100とISO400を使い分ける
  • ネガフィルムとリバーサルフィルムを交換する
  • 予備バックへフィルムを装填しておく
  • 撮影途中のフィルムを残したまま別の撮影へ移る

ボディとフィルムバックには安全機構があります。

ダークスライドを差し込まなければバックを取り外せず、バックを取り外した状態ではダークスライドを抜けません。また、バックを装着した状態でも、ダークスライドが残っているとシャッターを切れない構造です。(Orphancameras)

うっかり撮影途中のフィルムを感光させたり、ダークスライドを入れたまま空シャッターを切ったりする事故を防ぎやすくなっています。

オプションの6×4.5判バックも存在する

通常のフィルムバックは6×6判ですが、オプションとして6×4.5判を撮影できるModel Eバックも用意されていました。

Model Eでは、120フィルムで16枚、220フィルムで32枚撮影できます。(Orphancameras)

6×4.5判では正方形ではなく長方形の写真となり、同じフィルムからより多くの枚数を撮影できます。

ただし、中古市場では通常の6×6判バックと6×4.5判バックが混在しています。

フィルムバック単体を購入するときは、画面サイズ、対応フィルム、カウンター表示、内部マスクの有無を確認しましょう。

縦走りフォーカルプレーンシャッターを搭載

Bronica S2は、ゴム引き幕を使用する機械式の縦走りフォーカルプレーンシャッターを搭載しています。

シャッター幕は約55mmのフィルムゲートを15~16ミリ秒で走行する設計です。シャッターダイヤルは回転せず、外周部分だけを回して速度を選択します。(Orphancameras)

主なシャッター速度は次のとおりです。

  • 1秒
  • 1/2秒
  • 1/4秒
  • 1/8秒
  • 1/15秒
  • 1/30秒
  • 1/60秒
  • 1/125秒
  • 1/250秒
  • 1/500秒
  • 1/1000秒
  • B
  • X

一部の範囲では中間速度も設定できます。

取扱説明書では、1秒から1/4秒、1/8秒から1/30秒、1/60秒から1/1000秒の間で中間位置を使用できるとされています。(Orphancameras)

現代の電子シャッターのような無段階制御ではありませんが、1段単位より細かな露出調整が可能です。

最高シャッター速度は1/1000秒

最高シャッター速度は1/1000秒です。

中判カメラとしては比較的高速で、晴天時に絞りを開けたい場合や、人物・動物などの動きを止めたい場合に役立ちます。

ただし、製造から長い年月が経過した個体では、ダイヤルが1/1000秒へ設定できることと、実際に正確な1/1000秒で作動することは別です。

高速側ではシャッター幕の走行差によって、画面の一部が暗くなる「幕切れ」が発生する場合があります。

実用品として購入するなら、1/500秒と1/1000秒を含む高速側の実写確認が重要です。

フラッシュ同調速度は1/40秒

電子フラッシュを使用するときは、シャッターダイヤルのXへ設定します。

Xは1/40秒に相当し、これより高速ではシャッター幕が画面全体を開け切る前に後幕が走り始めるため、写真の一部へフラッシュ光が当たりません。(Orphancameras)

レンズシャッター式の中判カメラでは、1/500秒などの高速側でもフラッシュを同調できる場合があります。

それに対してBronica S2はフォーカルプレーンシャッターなので、日中シンクロやスタジオ撮影では速度の制約が大きくなります。

明るい屋外でフラッシュを使用する場合は、低感度フィルム、絞り込み、NDフィルターなどが必要です。

電池なしで撮影できる完全機械式カメラ

Bronica S2のシャッター、巻き上げ、ミラー、絞り連動などは、機械的に作動します。

カメラ本体には露出計が内蔵されておらず、撮影に電池を必要としません。(mike eckman dot com)

露出を決めるには、次の方法を使用します。

  • 単体露出計を使用する
  • スマートフォンの露出計アプリを使う
  • 露出計付きプリズムファインダーを装着する
  • デジタルカメラで露出を確認する
  • 晴天時の露出を目安にする

電池の種類や液漏れを気にせず撮影できる一方、カメラが自動的に露出を決定する機能はありません。

絞りとシャッター速度は、撮影者自身が設定します。

下方へ移動する独特のクイックリターンミラー

一般的な一眼レフでは、撮影時にミラーが上方向へ跳ね上がります。

しかしBronica S2のミラーは、前方へ移動しながら下方向へ倒れる独自の構造です。露光後はすぐに元の位置へ戻るため、撮影直後から再びファインダー像を確認できます。(Orphancameras)

この方式には、ミラー上部の空間を広く使えるという利点があります。

レンズ後部をボディ内部へ深く配置しやすいため、広角レンズや大口径レンズを設計しやすくなっています。

一方、ミラーが大きく、作動時の衝撃も強めです。

低速シャッターで手持ち撮影すると、シャッター幕だけでなくミラーの動きによってブレる可能性があります。

ミラーアップ機構は搭載していない

Bronica S2には、撮影前にミラーを固定する一般的なミラーアップ機構がありません。

ボディ底面にもミラーアップ用のスイッチはなく、これはS2を識別するポイントのひとつです。(Craig Camera)

低速シャッターで高い解像感を求める場合は、次の対策が必要です。

  • 頑丈な三脚を使う
  • ケーブルレリーズを使う
  • カメラや三脚へ触れた振動が収まってから撮る
  • 1/30~1/2秒付近を避ける
  • 可能なら複数枚撮影する
  • 高感度フィルムを使用してシャッター速度を上げる

重量があるから必ずブレにくいとは限りません。

大きなミラーとシャッター幕が動くため、三脚使用時にもカメラ内部から振動が発生します。

ボディ前面にフォーカシングヘリコイドを搭載

Bronica S2の特徴的な構造が、ボディ前面の大きなフォーカシングヘリコイドです。

多くの交換レンズには個別のピントリングがなく、ボディ側の黒いローレットリングを回してレンズ全体を前後させます。ヘリコイドの移動量は14mm、回転角は約250度です。(Orphancameras)

ヘリコイドには、主に次のレンズ用の距離目盛りがあります。

  • 50mm
  • 75mm
  • 135mm
  • 200mm

75mmと200mmの目盛りは白、50mmと135mmは赤で表示されています。(Orphancameras)

複数の焦点距離を1つのヘリコイドで扱う、Bronica S2独特の構造です。

フォーカシングヘリコイド自体も取り外せる

フォーカシングヘリコイドは、ボディから取り外せます。

ヘリコイドのロックボタンを押しながら反時計回りへ回すと取り外せ、ベローズ、専用アダプター、ヘリコイド内蔵の超望遠レンズなどをボディへ直接取り付けられます。(Orphancameras)

標準的なレンズ交換だけでなく、ピント機構そのものを交換できる設計です。

これは接写や超望遠撮影で大きな自由度をもたらしますが、中古購入時には部品の欠品へ注意が必要です。

ボディだけが販売されている場合、前面のヘリコイドが付属しているか確認しましょう。

一般的な75mmや50mmレンズは、ヘリコイドがなければ正常にピントを合わせられません。

Bronicaマウントと57mmねじマウントを備える

通常の交換レンズは、ヘリコイド前面のBronicaバヨネットマウントへ取り付けます。

さらに、直径57mm・ピッチ1mmのねじマウントも備えており、接写リングや一部の望遠レンズを取り付けられます。長大な望遠レンズ用には、さらに大きなバヨネットマウントも用意されました。(Orphancameras)

「Bronica S2用」と書かれたレンズでも、取り付け方式は必ずしも同じではありません。

中古レンズを購入するときは、次のどの方式なのか確認しましょう。

  • 標準バヨネットへ直接装着するレンズ
  • 57mmねじを使用するレンズ
  • 大型バヨネットを使用する超望遠レンズ
  • 専用ヘリコイドを備えたレンズ
  • ベローズやアダプターを必要とするレンズ

標準レンズはNIKKOR-P 75mm F2.8

代表的な標準レンズは、NIKKOR-P 75mm F2.8です。

レンズ構成は4群5枚、最短撮影距離は0.6m、フィルター径は67mm。自動絞りを備え、シャッターを切ったあとに絞りが開放へ戻ります。(Orphancameras)

6×6判における75mmは、35mm判換算ではおおむね40mm台の画角に相当します。

50mm標準レンズより少し広く感じる自然な画角で、人物、風景、街並み、静物などに使いやすい焦点距離です。

中古市場では「NIKKOR-P」「NIKKOR-P.C」など、コーティングや表記の異なるレンズが見つかることがあります。

ボディの状態だけでなく、標準レンズのカビ、曇り、絞り、マウントも確認しましょう。

ニッコールを中心とした交換レンズ群

S2の取扱説明書には、次のニッコールレンズが掲載されています。

焦点距離開放F値主な用途
50mmF3.5広角
75mmF2.8標準
135mmF3.5中望遠
200mmF4望遠
400mmF4.5超望遠
600mmF5.6超望遠

50mm、75mm、135mm、200mm、400mmは自動絞りに対応すると説明されています。(Orphancameras)

後年にはニッコール以外にも、ゼンザノン、コムラー、カール・ツァイス・イエナ系など、さまざまなレンズがBronica用として流通しました。

ただし、すべてのレンズが同じヘリコイドやマウントを使用するとは限りません。

中古購入時は、S2へ物理的に装着できるかだけでなく、無限遠から近距離までピントを合わせられる構成か確認する必要があります。

被写界深度確認ボタンを搭載

対応レンズは、構図やピント合わせの際には絞りが開放状態になっています。

ボディ前面の被写界深度確認ボタンを押すと、レンズが設定した絞り値まで閉じ、実際の撮影時にピントが合って見える範囲を確認できます。(Orphancameras)

F8やF11へ絞るとファインダー像は暗くなりますが、風景、建築、静物、接写などで被写界深度を確認できます。

中古品では、ボタンを押したときに絞りが閉じ、離すと開放へ戻るか確認しましょう。

ファインダーを交換できる

標準のウエストレベルファインダーは取り外し可能です。

ファインダー前面のロックを解除すると取り外せ、プリズムファインダーや拡大ファインダーへ交換できます。(Orphancameras)

ウエストレベルファインダー

カメラ上部からフォーカシングスクリーンをのぞき込む方式です。

折り畳み式のフードと、精密なピント合わせに使用する拡大ルーペを備えています。

軽量で明るいファインダー像を得られる一方、像は左右が反転します。

カメラを右へ動かすと像が左へ動いて見えるため、動く被写体や素早い構図変更には慣れが必要です。

プリズムファインダー

目の高さから撮影でき、ファインダー像も正立正像になります。

人物や動く被写体、縦横の方向を意識した構図では扱いやすくなります。

ただし、プリズム自体が大きく重いため、標準レンズを含めた装備重量はさらに増加します。

中古プリズムでは、内部の曇り、カビ、蒸着面の腐食を確認しましょう。

露出計は内蔵していない

Bronica S2の標準ボディとウエストレベルファインダーには、露出計がありません。

シャッターダイヤル周辺へ装着する外付け露出計や、後に用意された露出計付きファインダーを利用できますが、カメラ本体が自動的に絞りやシャッター速度を設定することはありません。(mike eckman dot com)

撮影は完全マニュアルです。

中判フィルムは1本あたりの撮影枚数が少なく、現像費用も35mmフィルムより高くなりやすいため、露出に自信がない場合は単体露出計を使用した方が安全です。

巻き上げクランク1つでフィルム送りとシャッターチャージを行う

ボディ側面のクランクを時計回りへ回すと、フィルム送りとシャッターチャージが同時に行われます。

ただし、途中で内部から音がしても巻き上げは完了していません。取扱説明書では、クランクが完全に停止するまで回すよう注意されています。(Orphancameras)

途中の音はシャッターがチャージされたことを示しますが、フィルム送りは完了していない場合があります。

そこで巻き上げを止めてシャッターを切ると、同じコマへ二重露光する可能性があります。

Bronica S2を使用するときは、

「音がしたところまで」ではなく「クランクが止まるまで」

回すことが鉄則です。

フィルムバックとボディの状態を自動的に調整する

フィルムバックを交換した際、ボディ側シャッターとフィルム側の巻き上げ状態が一致しているとは限りません。

Bronica S2は、必要な動作だけを自動的に行う連動機構を備えています。

たとえばシャッターがすでにチャージされ、フィルムだけが露光済みの場合、クランクを回すとフィルム送りのみが行われます。反対に、フィルムが未露光位置にあり、シャッターだけが未チャージなら、シャッターのみがチャージされます。(Orphancameras)

複数のフィルムバックを交換しながら使うシステムカメラとして、操作ミスを防ぐための高度な機構です。

その反面、内部構造は複雑になります。

経年劣化や整備不良があると、巻き上げやバック連動の不具合につながります。

通常の多重露光は防止される

Bronica S2には、意図しない二重露光を防ぐ機構があります。

意図的に多重露光を行う場合は、1回目の露光後にダークスライドを入れてフィルムバックを外し、ボディ側だけを巻き上げます。その後、バックを元へ戻して2回目の露光を行います。(Orphancameras)

後年のカメラのように、多重露光レバーを切り替えるだけではありません。

手順を間違えるとフィルムを進めたり、ダークスライドを抜き忘れたりするため、慎重な操作が必要です。

BとT相当の長時間露光に対応

シャッターダイヤルのBでは、シャッターボタンを押している間だけシャッターが開きます。

さらに、レリーズボタン先端を回して押し込んだ状態に固定することで、長時間シャッターを開いたままにできます。解除するときは先端を反対方向へ回します。(Orphancameras)

夜景や天体、長時間露光では便利ですが、電池で保持する電子式ではありません。

ケーブルレリーズ、三脚、時計などを用意し、露光時間を自分で管理します。

標準構成で約1.8kgの重量級カメラ

取扱説明書に記載された重量は約1,780g、寸法は約100×100×140mmです。標準レンズを装着した実測例でも約1.8kgに達しています。(Orphancameras)

プリズムファインダー、大型レンズ、予備フィルムバックを追加すれば、撮影機材全体は数kgになります。

軽い旅行用カメラとはいえません。

一方で、18-8ステンレス鋼を使用した外装と金属中心の構造には、当時の高級中判カメラらしい存在感があります。

手に取ったときの密度感、巻き上げクランクの操作、巨大なシャッター音まで含めて楽しむカメラです。

シャッター音とミラーショックは非常に大きい

Bronica S2のシャッターを切ると、大きなミラー、絞り、フォーカルプレーンシャッターが連続して作動します。

そのため、音は一般的な35mm一眼レフよりもかなり大きく、作動時には手へ明確な衝撃が伝わります。当時のテストでも、動作音やミラーによる振動が指摘されています。(mike eckman dot com)

静かな式典、舞台、公演、野生動物の近距離撮影などには向きません。

反対に、重い機械が一斉に作動する感覚は、Bronica S2を使う大きな楽しみでもあります。

上品に「コトッ」と切れるカメラではありません。

ガシャコン!と一枚を叩き出す中判カメラです。

S2とS2Aの違い

Bronica S2は1969年ごろ、改良型のS2Aへ移行しました。

外観上の変更は小さいものの、S2Aでは巻き上げ・シャッター関連の内部ギアやラック機構が強化され、S2で問題になりやすかった作動不良への対策が行われています。(Craig Camera)

項目S2S2A
登場時期1965年1969年ごろ
フォーマット6×6判6×6判
最高速度1/1000秒1/1000秒
シャッター機械式フォーカルプレーン機械式フォーカルプレーン
フィルムバック交換式交換式
ヘリコイド着脱式着脱式
主な違い初期構造巻き上げ・内部機構を改良

初期のS2Aでは、ボディ番号の末尾に「S2A」が付いていることがあります。

ただし、1973年以降のS2Aでは末尾の表記が省略されているため、シリアル番号にS2Aがないからといって必ずS2とは限りません。S2A表記のない後期型は、ボディ番号150037以降とする識別資料があります。(Craig Camera)

中古販売ではS2とS2Aが混同されることがあるため、シリアル番号、巻き上げノブ、ストラップ金具などを総合して判断します。

実用性を最優先するなら、一般的には内部機構が改良されたS2Aが選びやすいでしょう。

ただし、S2でも整備済みで動作が安定している個体なら、未整備のS2Aより安心して使用できます。

Bronica S2の基本スペック

項目内容
カメラ形式6×6cm判中判一眼レフ
使用フィルム120・220ロールフィルム
撮影枚数120:12枚、220:24枚
フィルムバック交換式
標準レンズNIKKOR-P 75mm F2.8
レンズマウントBronicaバヨネット、57mmねじ、大型望遠用バヨネット
ピント合わせ着脱式ボディ側ヘリコイド
ファインダー交換式
標準ファインダーウエストレベルファインダー
露出計内蔵なし
シャッター機械式縦走りフォーカルプレーン
シャッター速度B、1秒~1/1000秒、X
フラッシュ同調X・1/40秒
ミラー前下方移動式クイックリターン
ミラーアップなし
被写界深度確認あり
電池不要
外形寸法約100×100×140mm
重量標準構成で約1.8kg

基本仕様はBronica S2の取扱説明書に基づきます。

中古購入時に確認したいポイント

S2かS2Aかを確認する

まず、販売されているボディがS2なのかS2Aなのか確認します。

両者は外観が非常によく似ています。

初期S2Aではシリアル番号末尾の「S2A」が手掛かりになりますが、後期S2Aではその表記が省略されています。(Craig Camera)

販売店の表記だけで判断せず、シリアル番号、巻き上げノブ、ストラップ金具、内部構造の整備履歴を確認しましょう。

「S2Aだから必ず壊れない」「S2だから必ず壊れる」というものではありません。

実際の作動状態と整備歴の方が重要です。

巻き上げクランクが最後まで動くか

S2で特に重要なのが巻き上げ機構です。

クランクを時計回りへ回し、途中で止まったり、空回りしたりせず、明確な停止位置まで到達することを確認します。

途中で作動音がしても巻き上げをやめず、必ず止まるところまで回します。取扱説明書も、途中の音はシャッターチャージを示すだけで、フィルム送りが完了していない場合があると警告しています。(Orphancameras)

次の症状がある個体は注意が必要です。

  • クランクが極端に重い
  • 一定の位置で固まる
  • 何度回しても止まらない
  • シャッターがチャージされない
  • フィルムが送られない
  • 巻き上げ後もシャッターが切れない
  • 内部から歯車が飛ぶような音がする

無理に力を加えると、ギアやラックをさらに傷める可能性があります。

シャッターが全速度で動くか

B、1秒から1/1000秒、Xを一通り確認します。

低速側では、速度に応じて明確に開いている時間が変わる必要があります。

次の症状がないか確認しましょう。

  • 1秒や1/2秒で途中停止する
  • 低速側がすべて同じ時間に聞こえる
  • シャッター幕が完全に閉じない
  • ミラーが戻らない
  • 何回かに1回しか作動しない
  • シャッターダイヤルが正常な位置へ止まらない

高速側は音だけでは判断しにくいため、可能であれば試写またはシャッターテスターによる確認が理想です。

高速側の幕切れ

1/500秒や1/1000秒では、先幕と後幕の走行がずれると、写真の一部だけ暗くなります。

明るい空や均一な壁を撮影し、画面上部・下部に帯状の濃度差が出ていないか確認します。

Bronica S2は縦走りシャッターなので、幕走行の不均一は横方向の帯として現れる可能性があります。

「シャッターが切れた」という説明だけでは、高速側が実用精度にあるとは判断できません。

シャッター幕の状態

フィルムバックを外し、シャッター幕を目視します。

確認するポイントは次のとおりです。

  • ピンホール
  • ひび割れ
  • 波打ち
  • カビ
  • ゴム引き面の劣化
  • 幕の端の剥がれ
  • 油や異物の付着

シャッター幕は薄く、傷つきやすい部品です。

指で触れたり、強い光を長時間当てたりしないよう注意しましょう。

フォーカシングスクリーン下のフォーム材

Bronica S2とS2Aで非常に有名なのが、フォーカシングスクリーンを支えるフォーム材の劣化です。

経年によってフォームが潰れたり崩れたりすると、スクリーンの高さが変化し、ファインダーではピントが合っているように見えても、実際のフィルム面ではピントがずれる可能性があります。(Michael Fil)

特に注意したい症状は次のとおりです。

  • 無限遠まで回してもファインダー像がぼけている
  • レンズの距離目盛りと実際の距離が大きく合わない
  • 近距離と遠距離でピントずれの傾向が異なる
  • スクリーン周辺に黒い粉が出ている
  • フォーカシングスクリーンが傾いている
  • ファインダーでは合焦しても写真がぼける

フォーム材は単なる遮光材ではありません。

スクリーンの位置精度へ関係するため、適当な厚さのモルトを貼ればよいとは限りません。

修理済みの個体でも、実写によるピント確認が重要です。

ミラー下のフォーム材とミラー位置

フォーカシングスクリーンだけでなく、ミラーを支えるフォーム材も劣化します。

ミラーの停止位置が変わると、スクリーンへ導かれる光路長が変化し、ファインダー上の合焦位置とフィルム面の合焦位置が一致しなくなります。(Michael Fil)

ミラーが正しい位置へ停止しているか、左右に傾いていないか、撮影後に確実に戻るかを確認しましょう。

ピント不良をスクリーン側だけで直そうとすると、かえって誤差が大きくなる場合があります。

フォーカシングヘリコイドの動作

黒いフォーカシングリングを回し、最短側から無限遠まで滑らかに動くか確認します。

  • 回転が極端に重い
  • 途中で引っ掛かる
  • ガリガリした感触がある
  • 前後方向や左右方向にガタつく
  • 無限遠位置まで到達しない
  • レンズを装着すると回らなくなる

このような症状がある場合は、ヘリコイドグリースの劣化、変形、マウントの摩耗などが考えられます。

着脱式ヘリコイドそのものが欠品していないかも確認しましょう。

ヘリコイドとボディの固定

ヘリコイドをボディへ取り付け、時計回りへ回したときにロックが確実に掛かるか確認します。

ロックボタンが戻らない、装着部がぐらつく、赤い指標位置まで回らない個体は注意が必要です。

フォーカシングヘリコイドのガタつきは、単に操作感が悪くなるだけでなく、レンズとフィルム面の平行度やピント精度にも影響します。

フィルムバックの着脱

ダークスライドを完全に差し込み、フィルムバックを取り外せるか確認します。

バックを装着したあとは、ダークスライドをスムーズに抜ける必要があります。

安全機構も確認しましょう。

  • ダークスライドなしではバックが外れない
  • バック単体ではダークスライドが抜けない
  • ダークスライド装着中はシャッターが切れない
  • バックを確実に装着するとガタつかない

安全機構が故障していると、撮影途中のフィルムを感光させたり、バックが脱落したりする危険があります。

ダークスライドの欠品

ダークスライドがなければ、撮影途中にバックを取り外せません。

バックの安全機構によって、ダークスライドを差し込まない限り取り外せないためです。(Orphancameras)

中古のフィルムバック単体では、ダークスライドが欠品していることがあります。

互換性のないスライドや曲がったスライドでは、奥まで入らない、遮光できない、安全機構を解除できないといった問題が起こります。

フィルムバックごとに正しいダークスライドが付属しているか確認しましょう。

フィルムバックの遮光材

フィルムバックの接合部や内部には、光漏れを防ぐための遮光材が使用されています。

劣化すると、写真の端や中央へ光が入る場合があります。

確認したい箇所は次のとおりです。

  • バックとボディの接合部
  • ダークスライド差し込み口
  • 裏蓋周辺
  • フィルムホルダー周辺
  • 内部の遮光カーテン

交換式バックでは接合部が多いため、一般的な固定式カメラより光漏れの発生箇所も増えます。

可能なら、強い日差しの下で実写確認されたバックを選びましょう。

フィルムカウンターと送り量

空スプールと不要な裏紙を使い、フィルム送りを確認できるのが理想です。

120へ設定した場合は12枚、220では24枚までカウンターが進む必要があります。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • スタートマークから1枚目まで正しく送られる
  • 1回の巻き上げで1コマ進む
  • コマ間隔が極端に広い・狭い状態にならない
  • カウンターが1コマずつ進む
  • 裏蓋を開けると0へ戻る
  • 最終コマ後に残りの裏紙を巻き取れる

コマ間隔の不良は、現像するまで気づかないことがあります。

120・220切り替えレバー

通常バックには12・24枚の切り替えレバーがあります。

現在主に使用されるのは120フィルムなので、12枚側へ設定して正常に停止するか確認します。

切り替えが24枚側のままでも120フィルムを装填できますが、12枚撮影後もカウンターと巻き上げが継続し、操作を誤る原因になります。

ファインダーとルーペ

ウエストレベルファインダーを開き、4面のフードが正常に立ち上がるか確認します。

拡大ルーペが跳ね上がり、閉じるときに収納できることも重要です。

次の症状を確認しましょう。

  • フードが途中までしか開かない
  • ヒンジが曲がっている
  • ルーペが曇っている
  • ルーペが固定されない
  • ファインダーがボディへロックされない
  • フードが変形して閉じない

ファインダーは交換できますが、状態のよい純正品を追加購入すると費用が掛かります。

フォーカシングスクリーンの傷と向き

スクリーンにはフレネルレンズとピント確認面が組み合わされています。

傷、カビ、曇り、ひび割れだけでなく、過去の分解によって上下が逆に組み立てられていないかも注意が必要です。

スクリーンが誤った向きや高さで装着されていると、ファインダーが暗くなったり、ピント位置がずれたりします。

表面は傷つきやすいため、布やティッシュで強くこすらないようにしましょう。

標準レンズの状態

NIKKOR-P 75mm F2.8が付属する場合は、次の項目を確認します。

  • カビ
  • 白い曇り
  • バルサム切れ
  • 前玉・後玉の傷
  • 絞り羽根の油
  • 絞りリングのクリック
  • 自動絞りの戻り
  • マウントの変形
  • フィルター枠のへこみ

S2では、シャッターを切る瞬間に絞りが設定値まで閉じ、露光後に開放へ戻ります。

絞りの戻りが遅いと露出に影響するため、ボディへ装着した状態で確認しましょう。

被写界深度確認機構

絞りをF8やF11へ設定し、被写界深度確認ボタンを押します。

絞り羽根が設定値まで閉じ、ボタンを離したときに素早く開放へ戻る必要があります。

絞りが閉じない場合は、レンズ側の絞り機構だけでなく、ボディとレンズの連動部分にも原因が考えられます。

PCシンクロ端子

電子フラッシュを使用する予定がある場合は、PC端子が腐食していないか確認します。

X位置へ設定してフラッシュが発光し、フィルム面全体へ光が届くことが理想です。

古いフラッシュを使用する場合は、接点電圧や機材の状態にも注意しましょう。

ストラップ金具

約1.8kgあるカメラなので、ストラップ金具の状態は安全に直結します。

専用コネクターが付属しているか、ボディ側のスタッドが摩耗・変形していないか確認します。

一般的な三角環をそのまま取り付けられない個体もあります。

持ち上げた際に外れると、カメラだけでなく床や足にも大きな被害が出ます。

修理できる店舗を確認しておく

Bronica S2は完全機械式ですが、単純な構造ではありません。

フィルムバック、シャッター、巻き上げ、ミラー、ヘリコイドが複雑に連動しています。部品も製造終了から長期間が経過しており、修理を受け付けない店舗もあります。(Michael Fil)

購入価格だけでなく、

  • 修理を依頼できる店舗があるか
  • 部品取り個体が必要になる可能性
  • 往復送料
  • オーバーホール費用
  • フォーカス調整と実写テストの費用

まで考えて判断した方が安全です。




ZENZA BRONICA S2が向いている人

Bronica S2は、次のような人に向いています。

  • 6×6判の中判写真を撮りたい人
  • 電池を使わない機械式カメラが好きな人
  • 交換式フィルムバックを活用したい人
  • ニッコールの中判用レンズを楽しみたい人
  • ウエストレベルファインダーで撮影したい人
  • 重厚な金属製カメラが好きな人
  • フィルムカメラの操作そのものを楽しみたい人
  • 修理や整備を含めて古い機械と付き合える人

複数のバックへ異なるフィルムを入れ、撮影目的に合わせて交換できることは大きな魅力です。

レンズ、ファインダー、接写装置まで含めてシステムを組み上げる楽しさもあります。

ZENZA BRONICA S2が向かない場合

一方、次のような人には扱いにくい可能性があります。

  • 軽量な中判カメラを探している人
  • 自動露出やオートフォーカスが必要な人
  • 静かなカメラを求めている人
  • 高速なフラッシュ同調が必要な人
  • 整備費用を掛けたくない人
  • 購入後すぐ確実に撮影したい人
  • 近くに修理できる店舗がない人
  • すべての操作を簡単に済ませたい人

初めて中判カメラを購入する場合、後年のBronica SQシリーズやMamiya 645シリーズの方が扱いやすいこともあります。

S2は、便利さや確実性よりも、1960年代の機械式中判システムを操作する体験に価値を感じる人向けです。

まとめ

ZENZA BRONICA S2は、1965年に登場した6×6cm判の機械式中判一眼レフカメラです。

交換式フィルムバック、交換式ファインダー、着脱式フォーカシングヘリコイド、機械式フォーカルプレーンシャッターを備え、ニッコールを中心とした多様なレンズを使用できます。

主な特徴は次のとおりです。

  • 120フィルムで12枚撮影
  • 220フィルムで24枚撮影
  • 撮影途中で交換できるフィルムバック
  • 最高1/1000秒の機械式シャッター
  • 電池不要
  • 前下方へ動く独自のクイックリターンミラー
  • 着脱式フォーカシングヘリコイド
  • 交換式ウエストレベルファインダー
  • NIKKOR-P 75mm F2.8を標準レンズとして採用
  • 被写界深度確認機構
  • オプションの6×4.5判バックに対応

ただし、中古購入時は外観の美しさだけで判断できません。

シャッター全速度、巻き上げギア、フィルムバックの連動、安全装置、ダークスライド、フォーカシングヘリコイドを確認する必要があります。

特に重要なのが、フォーカシングスクリーンとミラーを支えるフォーム材です。

フォームが劣化すると、ファインダーでピントが合っていても実際の写真がぼける可能性があります。修理済みとされる個体でも、無限遠、近距離、開放絞りでの実写確認が欠かせません。

小さくも、軽くも、静かでもありません。

クランクを止まるまで巻き、大きなスクリーンでピントを追い込み、巨大な機械が作動する音と衝撃を受け止めながら、一枚の正方形写真を撮る。

ZENZA BRONICA S2は、フィルムを消費するカメラではなく、撮影という儀式を一枚ずつ執行するカメラです。

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