PENTAX 645とは?1984年に登場した電子制御6×4.5判中判一眼レフを徹底解説
PENTAX 645は、120・220ロールフィルムなどを使用する6×4.5判のマニュアルフォーカス中判一眼レフカメラです。
PENTAX公式の歴史資料では、1984年にプロフェッショナル用途の645判一眼レフとしてPENTAX 645が発売されたことが確認できます。
中判カメラというと、
- 大きい
- 重い
- 操作が複雑
- フィルム送りも手動
- 露出も完全マニュアル
というイメージを持つかもしれません。
しかし初代PENTAX 645はかなり違います。
純正取扱説明書の仕様では、
- 6×4.5判
- TTL中央重点測光
- プログラムAE
- 絞り優先AE
- シャッター優先AE
- マニュアル露出
- 電子制御シャッター
- モータードライブ内蔵
- 自動フィルム巻き上げ
- LCD表示
- TTLオートフラッシュ
- 露出補正
- 多重露光
などを備えています。
つまり、
ピントこそ自分で合わせるものの、それ以外は当時の電子制御35mm一眼レフに近い操作感を目指した中判カメラ
なのです。
この記事では、初代PENTAX 645の特徴、6×4.5判、露出モード、645Aマウント、フィルムバック、電源、シャッター、645N・645NIIとの違い、中古購入時に確認したいポイントまで詳しく解説します。
PENTAX 645は1984年発売
PENTAX公式史では、1984年に「PENTAX 645 professional-use SLR camera of the 645 format」が発売されたと記録されています。
後に、
- 1997年:PENTAX 645N
- 2001年:PENTAX 645NII
- 2010年:PENTAX 645D
- 2014年:PENTAX 645Z
へと続く、PENTAX 645シリーズの原点です。
現在では「初代645」「645無印」と呼ばれることもあります。
6×4.5判の中判カメラ
画面サイズは56×41.5mmです。
メーカー仕様では「6×4.5判・セミ判」とされています。
35mm判の24×36mmよりかなり大きな面積を使用します。
そのため、
- 大きなネガ
- 微細な階調
- 高い拡大耐性
- 中判らしい立体感
を楽しめます。
一方、6×6判や6×7判より1コマあたりの面積を抑えられるため、120フィルム1本からより多く撮影できるのも645判のメリットです。
120フィルムで15枚撮影
標準の120フィルムバックを使用した場合、120フィルム1本で15枚撮影できます。
現在中判フィルムを楽しむなら、これが最も一般的な使用方法です。
35mmの36枚撮りと比べれば少ないものの、
6×6の12枚、
6×7の10枚程度
より多く撮影できます。
フィルム1本あたりの撮影枚数と大きな画面サイズを両立したのが645判です。
220フィルムでは30枚
220フィルムバックを使用すると30枚撮影できます。
220は120より長いフィルムを収める方式です。
ただし現在は120の方が圧倒的に実用しやすいため、中古PENTAX 645では120フィルムバックが付属しているかを優先的に確認したいところです。
70mmフィルムにも対応していた
さらに別売の70mmフィルムバックも存在します。
純正資料では、
- 120:約15枚
- 220:約30枚
- 70mm:約90枚
とされています。
70mmフィルムバックには専用アイピースまで用意されていました。
かなり本格的な業務用途まで想定したシステムだったことが分かります。
フィルムバックは交換できるが「途中交換」はできない
ここは非常に重要です。
PENTAX 645には、
- 120フィルムバック
- 220フィルムバック
- 70mmフィルムバック
があります。
しかしメーカー仕様には**「途中交換不可」**と明記されています。
つまりHasselbladやMamiya RB/RZなどのように、
「途中までカラーを撮る」
「バックを外す」
「モノクロ入りの別バックへ交換する」
「あとで元のカラーへ戻す」
という使い方をするカメラではありません。
名前はフィルムバックでも実質は専用インサートに近い
PENTAX 645のフィルムバックはボディ内へ差し込む構造です。
ダークスライド付きの完全独立マガジンではありません。
純正説明書にも、フィルムバックをボディのフィルムバック室へ差し込んで固定する構造が示されています。
中古購入時には、
「フィルムバックが交換できる=撮影途中に交換できる」
と誤解しないようにしましょう。
標準120フィルムバックが重要
純正アクセサリー資料では、120フィルムバック645が標準装備品として紹介されています。
中古ボディを買う際、
ボディだけに見えて、実は120バックが欠品
という個体には注意が必要です。
フィルムバックなしでは撮影できません。
現在実写するなら、まず120バック付きの個体を選ぶのが分かりやすいでしょう。
フィルム装填はセミオート
PENTAX 645は35mm AFカメラのような完全自動装填ではありません。
120フィルムをフィルムバックへ装填し、スタートマークを所定位置へ合わせます。
その後はカメラが自動的に第1コマまで送り出します。
メーカー仕様では120・220についてスタートマークによるセミオートローディングとされています。
つまり、
フィルムをセットするところまでは人間、1枚目へ送るのはカメラ
という方式です。
モータードライブを最初から内蔵
PENTAX 645の大きな特徴です。
中判カメラなのに、別売ワインダーを後付けするのではなくモータードライブをボディへ内蔵しています。
純正説明書にも「645はモータードライブを内蔵した自動巻き上げの専用カメラ」と明記されています。
撮影後は自動的に次のコマへ進みます。
大きな巻き上げクランクを毎回回す必要はありません。
連続撮影は約1.5コマ/秒
C/S切換ダイヤルがあります。
Sでは1コマ撮影。
Cではシャッターボタンを押している間、連続撮影します。
120・220使用時の連写速度は約1.5コマ/秒です。
現在のデジタルカメラと比較すれば遅いですが、中判フィルムカメラとしては十分高速です。
120なら約10秒で15コマを使い切れる計算なので、調子に乗って連写するとフィルム代が一瞬で消えます。
カウンターもLCD
フィルム枚数はLCDで表示されます。
120なら1から15まで自動的にカウントします。
シャッターが開いている間はカウンターが点滅するため、B撮影などでは露光時間を数える目安としても使えます。
1984年の中判として、かなり電子化されています。
645Aマウントを採用
レンズマウントはPENTAX 645Aマウントです。
メーカー仕様でも「レンズ情報接点付」と明記されています。
このAマウントが初代645の自動露出機能を支えています。
代表的な交換レンズは、
- SMC PENTAX-A 645 35mm F3.5
- 45mm F2.8
- 55mm F2.8
- 75mm F2.8
- 150mm F3.5
- 200mm F4
- 300mm F4 ED(IF)
- 600mm F5.6 ED(IF)
- 80-160mm F4.5
- Macro 120mm F4
など。
さらにレンズシャッター内蔵の75mm F2.8 LS、135mm F4 LSも用意されていました。
標準レンズは75mm F2.8
純正取扱説明書の表紙にもSMC PENTAX-A 645 75mm F2.8を装着したPENTAX 645が掲載されています。
75mmは645判では標準域です。
メーカー交換レンズ表では、
- 75mm F2.8
- 5群6枚
- 最短0.6m
- 約240g
- 58mmフィルター
とされています。
初代645を一本だけで使うなら非常に自然な組み合わせです。
初代PENTAX 645にAFはない
重要です。
初代645はマニュアルフォーカス専用です。
後の645Nとは違います。
A645レンズの「A」もAuto Focusではありません。
カメラ側から絞りを制御するためのA位置です。
ピントは自分で合わせます。
スプリットイメージ+マイクロプリズム
標準フォーカシングスクリーンはスプリット・マイクロプリズム式です。
メーカー仕様では標準スクリーンをUC-21とし、スクリーン自体は交換式とされています。
ピント合わせには、
- スプリットイメージ
- マイクロプリズム
- マット面
を利用できます。
視度調整機構を内蔵
ファインダーには視度調整環があります。
調整範囲は約-5~+2ディオプトリーです。
メガネを使用する人にも便利です。
中古で「ファインダーのピントが合わない」と感じた場合、まず視度調整位置を確認しましょう。
ファインダー倍率0.75倍
標準レンズを無限遠へ合わせた場合、倍率は約0.75倍。
視野率は、
- 縦:約92%
- 横:約93%
です。
100%ファインダーではないため、実際のフィルムにはファインダーで見えている範囲よりわずかに広く写ります。
ファインダーそのものは固定式
PENTAX 67などとは構造思想が異なり、645は通常のアイレベルプリズムを一体化したボディです。
ただしフォーカシングスクリーンは交換できます。
さらに純正アクセサリーとして、
- レフコンバーター645
- マグニファイヤー645
- 大型アイカップ645
も用意されました。
ローアングル撮影や精密なピント合わせにも対応できるシステムです。
P・Av・Tv・Mを搭載
1984年の中判カメラとして特筆すべき部分です。
PENTAX 645は、
- P:プログラム自動露出
- Av:絞り優先自動露出
- Tv:シャッター優先自動露出
- M:マニュアル露出
を備えています。
A位置なら3種類の自動露出
A645レンズの絞りリングをA位置へすると、
- プログラムAE
- 絞り優先AE
- シャッター優先AE
を利用できます。
プログラムAE
Pではカメラが絞りとシャッター速度を両方決めます。
ファインダー内には選ばれたシャッター速度とF値がLED表示されます。
つまり中判でありながら、
ピントさえ合わせれば、露出はほぼカメラ任せ
でも撮影できます。
絞り優先AE
F値を先に決め、適正シャッター速度をカメラが選びます。
人物なら開放付近。
風景ならF8~F16。
という使い方に向きます。
シャッター優先AE
撮影者がシャッター速度を決め、カメラが必要なF値を設定します。
動く人物や手ブレを防ぎたい場合に便利です。
絞りリングを直接設定するAvも可能
A位置を解除し、レンズ側でF2.8やF8などを直接設定することもできます。
この場合、
- 絞り優先AE
- マニュアル
- 1/60秒固定
- B
を利用できます。
つまり電子制御カメラでありながら、昔ながらの「絞りリングを回して撮る」操作も残されています。
マニュアル露出
Mではシャッター速度と絞りを撮影者自身が決定します。
ファインダー内表示を見ながら適正露出へ合わせられます。
スタジオ撮影や、毎カット同じ露出で撮りたい場合にも便利です。
TTL中央重点測光
測光方式はTTL中央重点測光。
受光素子にはGPDを使用します。
マトリックス測光ではありません。
画面全体を測りつつ中央を重視する、伝統的な測光方式です。
被写体を中央付近へ置いて測光した後、構図を整えるという撮影方法と相性がよいでしょう。
測光範囲はEV3~19
メーカー仕様では75mm F2.8・ISO100使用時、
EV3~19
です。
極端な暗所では測光範囲外になる場合があります。
ファインダー表示が流れ点滅した場合は測光・露出連動範囲外を疑います。
ISO6~6400
設定可能なフィルム感度はISO6~6400です。
非常に広い範囲をカバーしています。
DXコードによる自動設定ではなく、撮影者がフィルム感度を設定します。
フィルム交換時にはISO設定の確認を忘れないようにしましょう。
露出補正±3EV
露出補正は**±3EV、1/3段刻み**です。
リバーサルフィルムなど、露出を細かく追い込みたい場合にも便利です。
ただし撮影後に0へ戻すのを忘れないようにしましょう。
シャッターは1/1000秒~15秒
シャッターは電子制御式の縦走行布幕フォーカルプレーンシャッターです。
メーカー仕様では、
1/1000秒~15秒、1/60秒、B
を備えています。
最高速度は1/1000秒。
後の高性能35mm一眼レフほど高速ではありませんが、中判システムとして実用的です。
1/60秒は機械式
仕様表では1/60秒が機械式とされています。
これは中古で重要です。
PENTAX 645そのものは基本的に電池を必要とする電子カメラですが、非常時には1/60秒の機械シャッターを利用できます。
電池切れでも1/60秒で撮れる場合がある
純正説明書の「手動巻上げ」では、撮影途中に電池がなくなった場合、底面の手動巻き上げノブを使用できます。
その状態でも撮影自体は可能ですが、シャッターは1/60秒固定となるため、通常撮影には推奨しないとされています。
ここは誤解しやすいところです。
PENTAX 645は完全機械式カメラではありません。
通常使用には電池が必要。
ただし非常用として1/60秒機械シャッターと手動巻き上げが用意されている。
という理解が正確です。
単3電池6本で動く
PENTAX 645は単3形電池6本を使用します。
純正説明書では、
- マンガン SUM-3
- アルカリ LR6
- Ni-Cd KR-AA
が案内されています。
現在なら単3電池を用意しやすい点は大きなメリットです。
特殊な廃番電池を探す必要がありません。
電池がないと通常作動しない
取扱説明書冒頭には、
「645は電池がないと作動しません」
と明記されています。
電池は、
- LCD
- 露出計
- 電子シャッター
- モータードライブ
などカメラ全体を動かします。
中古確認は必ず確実な電池で行いましょう。
グリップ645が電池ホルダーになっている
単3電池はグリップ部分へ収まります。
電池ケースをグリップから引き出し、6本を装填します。
つまり中古では、
グリップそのものだけでなく、内部の電池ケースが付属しているか
も重要です。
ケース欠品だと、電池を入れられません。
バックアップ電池もある
メーカー仕様では、露出制御・表示回路の記憶用としてCR1220リチウム電池1個を内蔵しています。
電池寿命の目安は約5年で、当時はサービスセンター交換とされています。
現在残っている個体では当然、オリジナルのバックアップ電池寿命を大幅に超えています。
中古で表示・記憶系に不自然な症状がある場合は、この部分も考慮したいところです。
TTLオートフラッシュ
PENTAX 645はTTLオートストロボにも対応します。
純正説明書ではAF400TやAF280Tなどの専用TTLオートストロボを使用した場合、フィルム面で反射した光を測って発光量を自動制御する方式が説明されています。
現在のデジタルP-TTLとは別世代のTTLフラッシュです。
同調速度は1/60秒
フラッシュ同調速度は1/60秒です。
専用フラッシュの充電完了時には自動的に1/60秒へ切り替わります。
LSレンズも存在する
PENTAX 645にはレンズシャッターを内蔵した、
- 75mm F2.8 LS
- 135mm F4 LS
も用意されていました。
LSはLens Shutterです。
通常レンズとは別の撮影機構を利用できます。
中古で75mm F2.8を探す場合、
通常のA 75mm F2.8とLS 75mm F2.8を混同しない
ようにしましょう。
多重露光にも対応
PENTAX 645には多重露光機能があります。
多重露出セットリングを操作することで、フィルムを送らず同じコマへ複数回露光できます。
中判フィルムで、
- 月+風景
- シルエット
- 光跡
- 多重人物
などの表現を楽しめます。
被写界深度プレビュー
レンズを撮影絞りまで絞り込み、被写界深度を確認するプレビュー機能もあります。
F8やF11へ絞ったときに、背景までどの程度ピント範囲が広がるか確認できます。
初代645にはミラーアップ機構はない
後継645NIIではミラーアップが追加され、大きな改良点としてメーカー自身が紹介しています。
したがって初代645について、
「ミラーアップ付き」
と説明するのは誤りです。
三脚撮影で振動を極限まで減らしたい用途では、645NIIの方が有利です。
PENTAX 645と645Nの違い
1997年にはPENTAX 645Nが登場します。
PENTAX公式は645Nを世界初のレンズ交換式AF中判一眼レフとして紹介しています。
最大の違いはもちろんAFです。
| 項目 | PENTAX 645 | PENTAX 645N |
|---|---|---|
| 登場 | 1984年 | 1997年 |
| ピント | MF | AF+MF |
| マウント | 645A | 645AF |
| 測光 | 中央重点 | 多分割・中央重点・スポット |
| フィルム送り | 内蔵モーター | 内蔵モーター |
| 露出 | P/Av/Tv/M | P/Av/Tv/M |
| 操作 | ボタン+LCD中心 | ダイヤル・レバー中心へ改良 |
645NはAF化だけでなく、測光や操作系も大幅に近代化しました。
一方、初代645には、
1980年代電子カメラらしいボタン+LCD操作
という独特の魅力があります。
PENTAX 645と645NIIの違い
645NIIは2001年に登場。
メーカーは645NIIで、
- ミラーアップ
- 滑らかなミラー動作
- 10種類のPENTAX Functions
- 拡張された撮影データ写し込み
- オートブラケット
などを大きな改良点として紹介しています。
便利さと撮影機能なら645NII。
初代645ならではのMF電子中判を楽しむなら1984年型。
性格はかなり違います。
PENTAX 645の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | TTL自動露出6×4.5判一眼レフ |
| 発売 | 1984年 |
| 画面サイズ | 56×41.5mm |
| ピント | マニュアルフォーカス |
| マウント | PENTAX 645A |
| 使用フィルム | 120・220・70mm |
| 120 | 15枚 |
| 220 | 30枚 |
| 70mm | 約90枚 |
| フィルムバック | 交換式・途中交換不可 |
| 露出モード | P・Av・Tv・M |
| その他 | 1/60固定・B・TTLフラッシュ・LS |
| 測光 | TTL中央重点 |
| 受光素子 | GPD |
| 測光範囲 | EV3~19・ISO100/75mm F2.8 |
| ISO感度 | 6~6400 |
| 露出補正 | ±3EV・1/3EV |
| シャッター | 電子制御縦走行布幕FP |
| 速度 | 1/1000~15秒・1/60・B |
| 機械シャッター | 1/60秒 |
| X同調 | 1/60秒 |
| フィルム送り | 内蔵モーター |
| 連写 | 約1.5コマ/秒 |
| 手動巻き上げ | 非常用機構あり |
| 多重露光 | あり |
| フォーカシングスクリーン | 交換式 |
| 標準スクリーン | スプリットマイクロプリズム |
| ファインダー倍率 | 約0.75倍 |
| 視野率 | 縦約92%・横約93% |
| 視度補正 | 約-5~+2D |
| 電源 | 単3電池×6 |
| バックアップ | CR1220×1 |
| 寸法 | 約147×109×117mm |
| 重量 | 約1,320g・レンズ/電池なし |
主要仕様はメーカー純正PENTAX 645取扱説明書によります。
PENTAX 645の基本的な使い方
単3電池6本を入れる
まずグリップから電池ケースを引き出し、単3電池6本を正しい向きで装填します。
120フィルムバックを取り出す
フィルムバック着脱つまみを操作し、バックを引き出します。
120フィルムをセットする
フィルムをセットし、スタートマークを指定位置まで送ります。
バックをボディへ戻します。
電源をONにする
メインスイッチをON。
外部LCDが点灯します。
1枚目まで送る
シャッターボタンを操作すると、フィルムが自動的に第1コマまで送られ、LCDへ「1」が表示されます。
A645レンズを装着する
標準なら75mm F2.8が扱いやすいでしょう。
露出モードを選ぶ
初めてならA位置+Pモードが簡単です。
ピントを手動で合わせる
スプリットイメージやマイクロプリズムを使ってMFします。
シャッターを切る
撮影後は内蔵モーターが自動的に次のコマへ送ります。
中古購入時に確認したいポイント
初代PENTAX 645は1984年の電子制御中判です。
機械式カメラと違い、
電源・LCD・電子シャッター・モーター・フィルムバック・レンズ連動
を全部確認する必要があります。
まず645Nと間違えない
中古タイトルに「PENTAX 645」とだけ書かれている場合があります。
初代はMFです。
645Nには大きく「645N」と表示され、AF機能があります。
AFが欲しい場合は初代を買わないようにしましょう。
単3電池6本で電源確認
新品または確実な単3電池6本を用意します。
電池なしでは通常作動しません。
古い電池で、
- LCDが薄い
- モーターが遅い
- シャッターが動かない
という症状が出ても、ボディ故障とは限りません。
電池ケースがあるか
グリップ内部の電池ケースが欠品していないか確認します。
ケースがなければ単3電池を装填できません。
中古写真では見落としやすい部分です。
電池室の液漏れ
単3電池を使用するカメラなので非常に重要です。
確認するのは、
- 白い粉
- 緑青
- 黒い腐食
- バネの欠損
- 接点の錆
- 液漏れ跡
です。
電池ケースだけでなく、グリップ内部まで見ます。
グリップの割れ
グリップ部分は、
- 電池収納
- メインスイッチ
- シャッターボタン
を抱える重要部分です。
落下による亀裂や大きなガタがないか確認します。
外部LCD
表示を確認します。
特に、
- セグメント欠け
- 黒いにじみ
- 表示薄れ
- 点滅異常
- 一部だけ消える
個体は注意が必要です。
1980年代電子カメラなので、液晶状態は重要です。
フィルム枚数LCD
撮影すると1、2、3……とカウントするか確認します。
120なら15まで進むのが正常です。
バックアップ電池
CR1220バックアップ電池はメーカー公称約5年です。
現在の個体では交換歴が重要になります。
表示や記憶系に不可解な症状がある場合、メイン電池だけでなくバックアップ系も疑います。
モードボタン
P、Av、Tv、Mへ正常に切り替えられるか確認します。
ボタンを押しても反応しない、
数回押さないと切り替わらない、
場合は接点不良の可能性があります。
Aレンズ認識
A645レンズを装着します。
絞りをA位置へセットし、
- P
- Av
- Tv
が正常に使用できることを確認します。
プログラムAE
明るい場所と暗い場所へ向け、シャッター速度とF値の両方が変化することを確認します。
絞り優先AE
F値を変更し、対応してシャッター速度が変化するか確認します。
シャッター優先AE
シャッター速度を変更し、カメラがF値を適切に変えるか確認します。
マニュアル露出
シャッター速度と絞りを手動設定し、ファインダー表示が適切に変化するか確認します。
露出計
信頼できるデジタルカメラや単体露出計と比較します。
ISO100など条件を合わせ、
- 晴天
- 日陰
- 室内
で確認しましょう。
表示が出ることと、正しい露出値であることは別です。
露出補正
±3EVの範囲で設定し、表示と測光値が変化することを確認します。
最後に0へ戻します。
シャッター1/1000秒
高速側は音だけでは精度を判断できません。
フィルム実写またはテスターで、
- 一部が暗い
- 帯状ムラ
- 片側だけ露出不足
がないか確認します。
低速シャッター
1秒、数秒、15秒などを確認します。
- 途中で閉じる
- ミラーが戻らない
- 電源を切らないと復帰しない
個体は注意です。
B
シャッターを押している間だけ開き、離すと閉じるか確認します。
1/60秒
1/60秒は機械式です。
非常用機構として正常か確認できれば安心です。
ただし電池抜きテストや手動巻き上げは、取扱説明書を理解したうえで慎重に行いましょう。
布幕シャッター
裏側からシャッター幕を確認します。
- しわ
- 穴
- 油
- カビ
- 大きな傷
- 異物
がないか見ます。
絶対に指で触らないでください。
ミラー
シャッターを切って、
- 素早く上がる
- 露光後戻る
- 引っ掛からない
ことを確認します。
ミラーが上がったままの場合
電源異常や巻き上げ異常だけでなく、非常用手動巻き上げ操作が途中になっている可能性もあります。
純正説明書では手動巻き上げ時、シャッター後にミラーが上がったままとなり、巻き上げ完了で復帰させる手順が示されています。
中古で触る場合は無理に動かさない方が安全です。
モータードライブ
Sモードで1コマずつ正常に送るか確認します。
Cモードでは約1.5コマ/秒で連続作動するか確認します。
モーター異音
正常でも機械音はあります。
ただし、
- ガリガリ
- ビビビビと止まる
- 空回り
- 巻き上げ途中停止
は注意です。
取扱説明書でも、極端に巻き上げが遅くなり断続音が出た場合は電源をOFFにするよう注意しています。
手動巻き上げノブ
底面の非常用巻き上げノブとキャップが残っているか確認します。
小さな部品なので中古では欠品しやすいところです。
120フィルムバック
最重要付属品です。
- 120表記
- 圧板
- スプール保持部
- 巻き上げギア
- 着脱機構
を確認します。
220バックと間違えない
120と220のフィルムバックは外観がよく似ています。
中古出品者が取り違えている可能性もあります。
実物の表記を必ず見ましょう。
フィルムバックの上下を間違えない
純正説明書では、バックを上下逆に無理に挿入すると故障原因になると注意しています。
中古確認でも無理に押し込まないようにしましょう。
バック着脱ロック
赤い指標位置とロック機構が正常に動くか確認します。
ガタが大きいバックではフィルム位置精度へ影響する可能性があります。
フィルム圧板
傷、腐食、極端な汚れがないか確認します。
圧板が変形するとフィルム平面性へ影響します。
実際に120フィルムを通す
最終確認では必須に近い項目です。
フィルムを装填し、
- 1コマ目へ正常に送る
- カウンター1
- 1枚ずつ送る
- 15枚まで撮れる
- 最後まで送れる
ことを確認します。
コマ間隔
現像後に、
- コマが重なる
- 間隔が極端に広い
- 15枚撮れない
などがないか確認します。
フォーカシングスクリーン
明るい壁を見て、
- 傷
- 大量のチリ
- カビ
- 汚れ
- 位置ずれ
を確認します。
スクリーンは非常に傷つきやすいので直接触らないようにします。
ファインダー
- 曇り
- カビ
- プリズム劣化
- LED表示
- スプリット像
を確認します。
中判MFではファインダー状態が撮影のしやすさへ直結します。
視度調整
-5~+2Dの調整環を回し、正常に変化するか確認します。
スクリーン上の文字や枠が最も鮮明になる位置へ合わせます。
実写ピント
75mm F2.8など明るいレンズを開放にして、
- 約1m
- 3m
- 無限遠
を撮影します。
ファインダーでは合っているのにフィルム面で外れていないか確認します。
マウント
645Aマウントの、
- 変形
- 打痕
- 電子接点汚れ
- ネジ緩み
を確認します。
レンズ情報接点
初代645のP/Tv/Avを生かすにはレンズ情報連動が重要です。
接点汚れがあるとモード動作へ影響する可能性があります。
被写界深度プレビュー
レンズをF8などへ設定し、プレビューレバーを操作します。
絞りが設定値まで閉じることを確認します。
多重露光
多重露光セットリングを動かし、同じコマへ再露光できるか確認します。
通常撮影へ確実に戻ることも確認します。
ホットシュー
- 腐食
- 曲がり
- 接点汚れ
を確認します。
専用TTLフラッシュを使うなら実際に発光・調光確認するのが理想です。
Xシンクロ端子
コード式フラッシュを使用する場合は側面端子も確認します。
三脚穴
中判ボディ+レンズで重量があります。
三脚穴の、
- ネジ潰れ
- 底板変形
- 大きな打痕
を確認します。
ストラップ金具
PENTAX 645は専用ファスナー式のストラップ取り付け構造を持っています。
純正説明書にもロック式ファスナーの取り付け方法が掲載されています。
重量があるため、金具の変形や緩みは必ず確認しましょう。
実写確認が最終判断
電子機構の空シャッターだけでは十分ではありません。
120フィルムを一本通して、
- P
- Av
- Tv
- M
- F2.8
- F8
- 高速シャッター
- 低速シャッター
- 近距離
- 無限遠
を混ぜて撮影します。
現像後に、
- 露出
- ピント
- コマ間隔
- 光漏れ
- シャッター幕
- 巻き上げ
をまとめて確認しましょう。
PENTAX 645が向いている人
初代PENTAX 645は次のような人に向いています。
- 中判フィルムを始めたい人
- 6×4.5判を使いたい人
- 120一本で15枚撮りたい人
- MF撮影が好きな人
- P/Tv/Av/Mを使いたい人
- 自動巻き上げが欲しい人
- PENTAX-A 645レンズを使いたい人
- 1980年代電子カメラが好きな人
- 645NほどのAF機能は必要ない人
- 75mm F2.8一本で中判スナップを楽しみたい人
特に、
「中判の画質は欲しい。でもHasselbladのような完全手動システムは少し大変」
という人には面白い存在です。
向いていない場合
一方、次のような人には別モデルが向いています。
- AFが欲しい
- フィルム途中でバック交換したい
- 6×6正方形で撮りたい
- 6×7の大画面が欲しい
- 完全機械式が好き
- 電子部品故障を避けたい
- ミラーアップが必要
- 単3電池6本が重いと感じる
AFなら645N。
ミラーアップまで欲しいなら645NII。
6×7ならPENTAX 67系。
用途によって選びましょう。
まとめ
PENTAX 645は1984年に登場した6×4.5判中判一眼レフです。
PENTAX公式史でも、プロ用645判一眼レフとして1984年に登場したことが記録されています。
主な特徴は、
- 56×41.5mmの645判
- 120で15枚
- 220で30枚
- 70mmで約90枚
- 645Aマウント
- MF
- P/Tv/Av/M
- TTL中央重点測光
- ISO6~6400
- ±3EV露出補正
- 1/1000~15秒
- 1/60秒機械シャッター
- B
- 1/60秒フラッシュ同調
- TTLオートフラッシュ
- モータードライブ内蔵
- 約1.5コマ/秒
- LCDカウンター
- 多重露光
- 交換式スクリーン
- 単3電池6本
- 約1,320g
です。
そして、初代645を理解するときに重要なのは、
「これは昔ながらの完全手動中判ではない」
ということです。
フィルムを入れる。
1コマ目までカメラが送る。
LCDでモードを選ぶ。
ピントだけは自分で合わせる。
シャッターを押せば、露出をカメラが制御する。
撮影後はモーターが次のコマへ送る。
120フィルムを15枚撮り終えるまで、巻き上げクランクを一度も回さなくてもいい。
それでいてA位置を解除すれば、絞りリングを自分で回してマニュアル露出も楽しめる。
そして、もし電池が力尽きても。
底面の手動巻き上げ機構と1/60秒の機械シャッターという最低限の逃げ道まで用意されています。
1997年には645NがAFを手に入れ、さらに2001年の645NIIではミラーアップやカスタム機能へ進化していきます。
そのすべての出発点が1984年の初代です。
PENTAX 645は、「中判は三脚の上でじっくり使うもの」という常識から一歩抜け出し、大きな645判を35mm一眼レフのような機動力で持ち歩こうとした、PENTAX中判システムの原点です。









