Nikon F-601とは?3種類の測光とAF・内蔵フラッシュを搭載した35mm一眼レフを徹底解説
Nikon F-601は、35mmフィルムを使用するオートフォーカス一眼レフカメラです。
1990年に登場し、北米ではN6006の名称で販売されました。ニコン公式の製品史では、F-601の特徴としてAuto Multi-Program、28mmレンズまでカバーする収納式内蔵フラッシュ、バランス調光、スローシンクロ、後幕シンクロなどが挙げられています。
F-601は単なる「AF付き入門一眼レフ」ではありません。
- オートフォーカス
- フォーカストラッキング
- マトリックス測光
- 中央重点測光
- スポット測光
- プログラムAE
- シャッター優先AE
- 絞り優先AE
- マニュアル露出
- 1/2000秒~30秒
- 露出ブラケット
- AEロック
- 内蔵TTLフラッシュ
- バランス調光
- スローシンクロ
- 後幕シンクロ
- 自動フィルム送り
- 約2コマ/秒連写
- 自動巻き戻し
まで搭載しています。取扱説明書でも、3種類の測光方式とP・S・A・Mの4系統の露出モードが明記されています。
1990年代の電子制御AF一眼レフらしい多機能機ですが、その分、現在中古で購入する際にはシャッターだけではなくAF、液晶、フィルムモーター、内蔵フラッシュ、測光切り替えなど広範囲なチェックが必要です。
この記事では、Nikon F-601の特徴、AF、測光、露出モード、対応レンズ、内蔵フラッシュ、F-601Mとの違い、中古購入時に確認したいポイントを詳しく解説します。
Nikon F-601とは
Nikon F-601は1990年に発売された35mm AF一眼レフです。
ニコン公式製品史では1990年のラインナップとしてF-601/F-601 QDと、マニュアルフォーカス仕様のF-601Mを掲載しています。北米名はF-601がN6006、F-601MがN6000です。
使用するフィルムは一般的な35mmフィルムで、画面サイズは24×36mm。
マウントはNikon Fマウントです。取扱説明書の仕様でも「integral-motor autofocus 35mm single-lens reflex」、24×36mm、Nikon F mountとされています。
F4時代に登場したAF一眼レフ
1988年にはプロ向けAF一眼レフNikon F4が登場していました。
その後AF一眼レフのラインナップが拡充される中、1990年にF-601が追加されました。ニコン公式Camera Chronicleでは、同年9月にAFのF-601と同時に、MF派向けとしてF-601Mを発売したことが説明されています。
F-601はF4そのものの廉価版ではありませんが、
AF・高度な測光・TTLフラッシュ制御を電子的に統合する
という、当時のニコンが進めていた方向性を色濃く反映しています。
Nikon Fマウントを採用
F-601も長年続くNikon Fマウントです。
取扱説明書では主に、
- AF Nikkor
- Ai-P Nikkor
- Ai-S Nikkor
- Ai Nikkor
- Ai改造Nikkor
などへの対応が示されています。ただし、レンズ世代によってAF、露出モード、測光方式など利用可能な機能が異なります。
AF Nikkorで機能を最大限利用
F-601のAFを利用するなら、基本は当時のAF Nikkorです。
対応AF Nikkorでは、
- オートフォーカス
- 電子レンジファインダー
- プログラムAE
- シャッター優先AE
- 絞り優先AE
- マニュアル露出
- マトリックス測光
- 中央重点測光
- スポット測光
を幅広く利用できます。
F-601らしさを最も楽しみやすい組み合わせです。
ボディ内モーター式オートフォーカス
F-601のAFは、カメラボディ内のモーターでレンズを駆動する方式です。
取扱説明書では、TTL位相差検出方式とNikon AM200 AFモジュールを採用。AF検出範囲はISO100で約EV-1~19とされています。
マウント部にあるAFカップリングを介して、対応AF Nikkorのフォーカス機構を機械的に回します。
そのためAF作動時には、
「ギュイッ」
「ジジッ」
というスクリュードライブ特有の機械音があります。
現代のAF-SやZレンズほど静かではありませんが、この機械音も初期AFニコンらしさの一部です。
AFモードはSingleとContinuous
F-601には、
- Focus-Priority Single AF
- Focus-Priority Continuous AF
があります。
Single AF
静止している人物、風景、建物などに向きます。
ピントが合うまでシャッターを切らせない合焦優先方式です。
被写体へピントを合わせたあと、その状態を保持して構図変更することもできます。
Continuous AF
動いている被写体に向きます。
被写体の距離変化へ追従するフォーカストラッキング機能を備えています。取扱説明書にもFocus trackingの項目が設けられています。
人物、子ども、動物、車、鉄道などで利用できます。
ただしAFセンサーや演算性能は1990年当時のものです。
現在のデジタル一眼レフやミラーレスと同じ追従性能を期待するカメラではありません。
MFでも電子レンジファインダーを利用できる
マニュアルフォーカス時でも、対応レンズなら電子レンジファインダーを利用できます。
仕様ではAF NikkorやAi系Nikkorで、開放F値がF5.6以上明るいレンズを使用した場合に利用可能とされています。
ファインダー内の合焦表示を見ながら手でピントリングを操作できます。
つまり、
AFレンズをMFで使うときだけでなく、Ai-SなどMF Nikkorを使う際にもピント合わせを電子的に補助できる
わけです。
AF-SレンズではAFできない場合がある
F-601はレンズ内AFモーター方式が普及する前のボディです。
したがって、後年のAF-Sなどボディ側スクリュードライブを利用しないレンズでは、AF機能を利用できない組み合わせがあります。
中古でレンズを追加するときは、
「Nikon FマウントだからAFも全部動く」
と考えないことが重要です。
Fマウントは長寿命である反面、世代による互換性が非常に複雑です。
F-601には当時のAFまたはAF-D Nikkorを選ぶのが分かりやすいでしょう。
3種類の測光方式
F-601は、
- マトリックス測光
- 中央重点測光
- スポット測光
の3方式を搭載しています。取扱説明書にもこの3種類が明記されています。
これはF-601の大きな魅力です。
マトリックス測光
一般撮影ではマトリックス測光が便利です。
画面内の明るさを複数の領域として解析し、逆光などでも適正露出を得やすくします。
ニコンではFAでAutomatic Multi-Pattern測光を実用化し、その後「Matrix Metering」という名称へ発展しました。
F-601では、このマトリックス測光を日常撮影へ利用できます。
中央重点測光
画面中央を重視しながら全体の明るさを測定します。
クラシックなニコン一眼レフに慣れている人には理解しやすい方式です。
人物や構図中央に主要被写体を置く撮影では使いやすいでしょう。
スポット測光
画面の狭い範囲だけを測光します。
- 逆光の人物
- 舞台
- スポットライト
- 雪景色
- 明暗差の大きい風景
などで役立ちます。
仕様ではマトリックス/中央重点がISO100・F1.4でEV0~19、スポット測光はEV4~19です。
スポット測光は暗所側の測光範囲が狭い点には注意しましょう。
P・S・A・Mすべて搭載
F-601は、
- P:プログラムAE
- S:シャッター優先AE
- A:絞り優先AE
- M:マニュアル露出
を搭載します。
フィルム一眼レフで露出を学ぶ場合にも便利です。
プログラムAE
Pではシャッター速度と絞り値をカメラが自動設定します。
F-601には通常プログラムに加え、Auto Multi-Program系の制御があります。ニコン公式製品史もF-601の特徴として「Auto Multi-Program [P]」を挙げています。
ピントだけ合わせれば素早く撮影できるため、旅行や家族写真などに向きます。
フレキシブルプログラム
プログラムAEの組み合わせが気に入らない場合、コマンドダイヤルを使ってシャッター速度と絞りの組み合わせを変更できます。
取扱説明書ではFlexible Programとして独立した項目が設けられ、1EVステップで組み合わせを変更可能とされています。
露出そのものは維持したまま、
- 高速シャッター寄り
- 絞り込み寄り
へ変更できます。
シャッター優先AE
Sでは撮影者がシャッター速度を設定します。
カメラが適正絞りを自動設定します。
動く被写体を止めたいなら1/500~1/2000秒。
流し撮りなら1/30~1/60秒。
というように、動きの表現を優先できます。
絞り優先AE
Aではレンズ側の絞りを設定し、カメラがシャッター速度を決めます。
人物でF1.8~F2.8。
スナップでF5.6~F8。
風景でF8~F16。
といった使い方ができます。
マニュアル露出
Mではシャッター速度と絞りを両方自分で決定します。
内蔵露出計を参考にしながら露出を合わせられます。
AEを使いたくない場面や、スタジオ、長時間一定露出で撮る場面などに向いています。
シャッターは1/2000秒~30秒
F-601は電子制御縦走行フォーカルプレーンシャッターを搭載しています。
仕様では、
- 最高1/2000秒
- 最長30秒
- B
に対応します。
P・Aでは1/2000秒~30秒を無段階制御。
S・Mでは1EVステップで速度を設定します。
1/2000秒
晴天下で大口径レンズを使用したり、動く人物や乗り物を止めたりする際に便利です。
F1.4~F2クラスの単焦点を使う場合にも選択肢が増えます。
30秒
AUTOでも長時間側を30秒まで制御できます。
三脚を使用すれば、
- 夜景
- 室内
- 夕暮れ
- 光跡
などもAEで撮影できます。
さらに長い露光ではBを使用します。
電池なしでは撮影できない
F-601は電子制御カメラです。
シャッター、AF、露出計、フィルム送りなどに電力を必要とします。
Nikon FEのM90やFAのM250のような、電池切れ時に使える機械式非常シャッターはありません。
中古確認では必ず電池を用意しましょう。
電源はCR-P2型6Vリチウム電池
取扱説明書では電源に6Vリチウムバッテリーパックを使用し、
- Panasonic CR-P2
- Duracell DL223A
などが指定されています。
現在でもCR-P2は入手可能です。
ただし単3電池のようにどこでも売っているとは限らないため、旅行時には予備を持つと安心です。
自動フィルム装填
フィルムを装填してシャッターボタンを押すと、カメラが自動的に第1コマまで送ります。
手巻きカメラのように、
「空シャッター→巻き上げ→空シャッター」
を繰り返す必要はありません。
フィルム先端を指定位置まで伸ばして裏蓋を閉じれば、自動送りできます。
DXコード対応
DXコード付きフィルムでは、カメラがISO感度を自動設定します。
対応範囲はISO25~5000。
手動設定ではISO6~6400です。
現在一般的なISO100、200、400、800などは問題なく使用できます。
自家詰めフィルムなどDXコードがない場合には手動設定を利用します。
約2コマ/秒の連続撮影
フィルム送りは内蔵モーター式です。
仕様では、
- S:1コマ
- CH:高速連続約2.0コマ/秒
- CL:低速連続約1.2コマ/秒
に対応します。
現在のデジタルカメラでは低速ですが、フィルム一眼レフとして日常撮影には十分です。
36枚撮りフィルムなら、高速連写を続けると十数秒で使い切ります。
フィルム代が猛烈な勢いで蒸発するため、連写は計画的に使いましょう。
フィルム巻き戻しも自動
撮影終了後はボタンとレバー操作でモーターによる自動巻き戻しを行います。
仕様では36枚撮りフィルムで約26秒、24枚撮りで約19秒。巻き戻し完了後は自動停止します。
手巻きクランクを回す必要はありません。
露出補正は±5EV
F-601は露出補正範囲がかなり広く、±5EVを1/3EVステップで設定できます。
逆光の人物を明るくしたり、意図的に暗い雰囲気を作ったりできます。
ただし、補正したまま次のフィルムへ進む事故には注意しましょう。
撮影開始前に0へ戻っていることを確認する習慣が重要です。
AEロック
AE-Lレバーによって測光値を固定できます。
仕様にも、露出計作動中にAEロックレバーをスライドすることで利用可能とされています。
中央重点やスポット測光と組み合わせれば、意図した場所の明るさを測ってから構図変更できます。
オートブラケット
F-601には自動露出ブラケットもあります。
同一被写体を、
- 3枚
- 5枚
撮影し、各コマの露出を変化させられます。
補正幅は、
- 0.3EV
- 0.7EV
- 1EV
です。
露出にシビアなリバーサルフィルムでは特に便利です。
ただし5枚ブラケットなら、36枚撮りでも7セット程度でフィルムが終わります。
内蔵TTLフラッシュ
F-601はペンタプリズム部に収納式フラッシュを内蔵しています。
ニコン公式製品史でも「built-in retractable flash」と明記されています。
仕様ではガイドナンバー約13・ISO100、照射角は28mmレンズまでカバーします。
日常スナップ用内蔵フラッシュとして十分実用的です。
28mmまでカバー
内蔵フラッシュは28mmレンズ以上に対応します。
24mmなどさらに広角のレンズでは、画面周辺まで光が届かず暗くなる可能性があります。
また大型レンズフードを装着すると、近距離ではフラッシュ光を遮って画面下部に影が出る場合があります。
TTLオートフラッシュ
内蔵フラッシュはTTL自動調光へ対応しています。
撮影レンズを通った光を利用して、フィルムへ当たるフラッシュ量を制御します。
単純な固定発光ではありません。
バランス調光
F-601では、被写体だけを強烈に白く照らして背景を真っ黒にするのではなく、周囲光とフラッシュ光のバランスを考慮した自動バランス調光に対応します。
ニコン公式製品史でもF-601の特徴として「Auto balanced fill-flash」が記載されています。
昼間の逆光人物などで特に便利です。
スローシンクロ
通常のP・Aモードでフラッシュを使用すると、シャッター速度はおおむね1/125~1/60秒側へ制御されます。
スローシンクロでは最大30秒まで低速側を利用でき、背景光も写し込みやすくなります。
夜景+人物などに有効です。
後幕シンクロ
Rear-Curtain Syncにも対応します。
通常の先幕発光ではシャッターが開いた直後にフラッシュが発光します。
後幕シンクロでは露光終了直前に発光するため、低速シャッターで動く被写体を撮ると、
光跡の先端に被写体が止まって見える
自然な動感表現を作りやすくなります。
F-601の公式製品紹介にもRear-Curtain Syncが主要機能として掲載されています。
フラッシュ同調速度は1/125秒
SまたはMで1/250~1/2000秒を設定してフラッシュを使用すると、カメラは自動的に1/125秒へ変更します。
つまり通常のX同調上限は1/125秒です。
外部Speedlightにも対応
取扱説明書では、
- SB-24
- SB-23
- SB-22
- SB-20
- SB-18
- SB-16B
などのNikon Speedlightとの対応が案内されています。
現在中古フラッシュを組み合わせる場合は、その製品がF-601世代のTTLシステムへ対応するか確認しましょう。
デジタル時代のi-TTLとは別の方式です。
セルフタイマーは2~30秒
電子セルフタイマーは、2秒から30秒まで1秒単位で設定できます。
さらに2枚連続で撮影する「Two-shot self-timer」も利用可能です。
一般的な10秒固定セルフタイマーよりかなり柔軟です。
集合写真だけでなく、三脚撮影時の振動防止にも使えます。
ファインダー
F-601は固定式ペンタプリズムファインダーを採用します。
仕様では、
- 倍率:約0.75倍・50mm無限遠
- 視野率:約92%
- アイポイント:約18mm
です。
フォーカシングスクリーンは固定式のAdvanced B-type BriteViewスクリーンで、中央にAF測距フレームがあります。
Nikon F-601とF-601Mの違い
非常に重要です。
F-601Mは名前が似ていますが、単なるF-601の色違いではありません。
ニコン公式史ではF-601Mを、
F-601からAF、内蔵Speedlight、スポット測光を省略したMFモデル
と説明しています。
| 項目 | F-601 | F-601M |
|---|---|---|
| AF | あり | なし |
| MF | 可能 | 標準 |
| マトリックス測光 | あり | あり |
| 中央重点測光 | あり | あり |
| スポット測光 | あり | なし |
| 内蔵フラッシュ | あり | なし |
| Pモード | あり | あり |
| S/A/M | あり | 機能あり・レンズ条件による |
| スクリーン | AF向けBriteView | MF向けマイクロスプリット |
| 北米名 | N6006 | N6000 |
F-601を購入する目的がAFなら、必ずモデル名を確認しましょう。
F-601MへAF Nikkorを装着しても、カメラ側AFは動きません。
F-601 QD
F-601にはQuartz Date仕様のF-601 QDも存在します。
ニコン公式製品史でもF-601/F-601 QDとして併記されています。
QDモデルでは撮影日などの写し込み機能を備えます。
ただし現在中古で購入する場合、
- デート液晶が生きている
- ボタンが反応する
- デート用電源が正常
ことと、
2026年の日付まで設定できる
ことは別問題です。
古いデートバックには西暦の上限があるため、DATE機能を重視する場合は実機の設定範囲を確認しましょう。
Nikon F-601の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mm AF一眼レフ |
| 発売 | 1990年 |
| 北米名 | N6006 |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| マウント | Nikon F |
| AF方式 | TTL位相差検出 |
| AFモジュール | Nikon AM200 |
| AF検出範囲 | 約EV-1~19・ISO100 |
| AFモード | Single・Continuous |
| MF電子レンジファインダー | あり |
| 測光 | Matrix・中央重点・Spot |
| 測光範囲 | EV0~19・Matrix/中央重点 |
| Spot測光範囲 | EV4~19 |
| 露出モード | P・S・A・M |
| フレキシブルプログラム | あり |
| シャッター | 電子制御縦走行 |
| シャッター速度 | 1/2000秒~30秒・B |
| 露出補正 | ±5EV・1/3EV |
| AEロック | あり |
| オートブラケット | 3枚/5枚 |
| DX感度 | ISO25~5000 |
| 手動ISO | 6~6400 |
| フィルム装填 | 自動 |
| 1コマ送り | 自動 |
| CH連写 | 約2.0コマ/秒 |
| CL連写 | 約1.2コマ/秒 |
| 巻き戻し | 自動 |
| 内蔵フラッシュ | TTL・GN約13 |
| フラッシュ照射角 | 28mm以上 |
| X同調 | 1/125秒 |
| スローシンクロ | あり |
| 後幕シンクロ | あり |
| セルフタイマー | 2~30秒 |
| 2枚セルフタイマー | あり |
| ファインダー倍率 | 約0.75倍 |
| 視野率 | 約92% |
| 電源 | CR-P2型6Vリチウム電池 |
| 寸法 | 約154.5×100×66.5mm |
| 重量 | 約650g・電池除く |
主要仕様はF-601の海外仕様N6006取扱説明書およびニコン公式製品史に基づきます。
Nikon F-601の基本的な使い方
CR-P2電池を入れる
まず6V CR-P2リチウム電池を装着します。
F-601は電池なしでは撮影できないため、最初に電源を確認します。
AF Nikkorを装着する
F-601らしい機能を使うならAF Nikkorが分かりやすいでしょう。
レンズを装着したら、絞りリングを最小絞りへセットしてロックする必要がある組み合わせがあります。
フィルムを装填する
裏蓋を開き、35mmフィルムを入れます。
フィルム先端を指定位置まで伸ばして裏蓋を閉じます。
シャッターを押すと自動的に第1コマまで送られます。
DXならISOは自動
DXコード付きフィルムならISO感度を自動認識します。
非DXフィルムなら手動設定します。
Pモードで始める
初めて使うならPモード+マトリックス測光が簡単です。
カメラがシャッター速度と絞りを決定します。
AFをSingleにする
静止被写体ならSingle AFが扱いやすくなります。
中央AFエリアへ被写体を入れ、シャッターボタンを半押しします。
構図を決めて撮影する
合焦を確認してシャッターを切ります。
撮影後はカメラが自動的に1コマ送ります。
中古購入時に確認したいポイント
F-601かF-601Mか確認する
中古市場で最初に見るべきところです。
F-601MはAFなしです。
購入目的がAFなら、ボディ前面の型番を必ず確認しましょう。
新品CR-P2電池でテストする
F-601では最優先です。
古い電池で、
- AFが遅い
- 巻き上げが弱い
- フラッシュが充電しない
という症状があっても、単なる電圧不足の場合があります。
新品電池で判断しましょう。
電池室
確認したいのは、
- 液漏れ
- 白い腐食
- 緑青
- 接点の黒ずみ
- 電池蓋の破損
- 接点の変形
です。
CR-P2はアルカリ単3ほど液漏れ事故を見かける電池ではありませんが、製造から30年以上経過した電子カメラなので必ず確認します。
上面LCD
電源を入れて液晶表示を確認します。
- セグメント欠け
- 液晶の黒いにじみ
- 極端に薄い表示
- 表示が点滅する
- カメラを傾けると消える
個体は注意が必要です。
ファインダー表示
ファインダー内にも、
- シャッター速度
- 絞り値
- 合焦
- フラッシュ
などが表示されます。
上面LCDだけでなくファインダー表示も確認しましょう。
AFが実際に動くか
AF Nikkorを装着し、
- 近距離
- 数m
- 無限遠
へ何度もAFさせます。
正常ならボディ内モーターがレンズを駆動します。
AFモーターが空回りしていないか
AF音はするのにレンズが動かない場合は、
- ボディAFカプラー
- レンズ側カプラー
- 内部ギア
などに問題がある可能性があります。
AFカプラー
マウント部の小さな機械式カプラーを確認します。
- 欠け
- 摩耗
- さび
- 固着
がないか見ます。
ここが壊れているとAF Nikkorを装着してもピントは動きません。
Single AF
Singleでピントが合ったときに合焦表示が出て、その後シャッターが切れることを確認します。
ピントが合っていない状態での動きも確認しましょう。
Continuous AF
Continuousへ切り替え、近距離から遠距離へ動く被写体を追わせます。
AFが継続的に追従するか確認します。
電子レンジファインダー
MFへ切り替え、フォーカスリングを手で回します。
合焦位置でファインダー表示が正常に反応することを確認します。
AF精度
AFモーターが動いても、実写ピントが正しいとは限りません。
可能ならF1.8~F2.8程度の明るいレンズを使って、
- 約1m
- 2~3m
- 遠景
を試写します。
常に前または後ろへ外れる場合は調整が必要な可能性があります。
マトリックス測光
明暗差のある被写体へ向け、測光値が変化することを確認します。
中央重点測光
中央へ明るい物・暗い物を入れ、測光値が適切に変化するか確認します。
スポット測光
狭い範囲へ明るい物と暗い物を交互に入れます。
マトリックス測光と全く同じような値しか示さない場合、測光切替部を疑います。
測光切替スイッチ
3モードすべて確実に切り替えられることを確認します。
古い電子カメラでは物理スイッチの接点汚れもあります。
Pモード
Pへ設定し、明暗を変えます。
シャッター速度と絞り値の両方が変化することを確認します。
フレキシブルプログラム
Pモードでコマンドダイヤルを操作します。
シャッター速度と絞りの組み合わせが変わることを確認します。
Sモード
1/30、1/125、1/500、1/2000秒などを選び、対応する絞り値が変化するか確認します。
Aモード
F2.8、F5.6、F11などへ変え、絞るほどシャッター速度が遅くなるか確認します。
Mモード
シャッター速度と絞りを手動設定し、露出インジケーターが正しく反応するか確認します。
1/2000秒
高速シャッターは音だけで精度を判断できません。
試写で、
- 画面の一部だけ暗い
- 帯状の露出ムラ
- 一方だけ露出不足
がないか確認します。
低速シャッター
1秒、2秒、4秒、8秒、30秒などでも正常に作動することを確認します。
電子制御シャッターなので、
- 途中で閉じない
- ミラーが戻らない
- 電源操作しないと復帰しない
場合は注意が必要です。
B
Bでシャッターボタンを押している間だけ開き、離したときに閉じるか確認します。
シャッター幕
裏蓋を開きます。
縦走行幕に、
- 曲がり
- 傷
- 油
- 異物
がないか確認します。
指で触れてはいけません。
ミラー
シャッターを切り、
- 素早く上がる
- 撮影後すぐ戻る
- 途中停止しない
ことを確認します。
ミラー表面には直接触れないようにします。
フィルム自動装填
不要な35mmフィルムを実際に入れるのが理想です。
裏蓋を閉じて、
- フィルムを認識する
- 第1コマへ送る
- エラー表示が出ない
ことを確認します。
1コマ送り
Singleモードで撮影し、毎回確実に1コマ送ることを確認します。
CH連続撮影
高速連続で数コマ撮影します。
約2コマ/秒で安定して作動し、途中でモーターが止まらないことを確認します。
CL連続撮影
低速側も確認します。
CHだけ動いてCLが不調という可能性もあるためです。
自動巻き戻し
ここも忘れやすい項目です。
巻き上げが正常でも巻き戻しモーターだけ不良の場合があります。
実際にフィルムを最後まで送るか、途中巻き戻し操作を行い、パトローネへ戻ることを確認しましょう。
フィルムカウンター
撮影するたびに数字が増え、巻き戻し時にはカウントダウンすることを確認します。
DX接点
フィルム室のDX接点を確認します。
- 腐食
- 汚れ
- 曲がり
- 沈み込み
があると、フィルム感度を誤認する可能性があります。
DXフィルムを入れて正しいISOになるか確認できれば理想です。
内蔵フラッシュが上がるか
フラッシュをポップアップさせ、
- スムーズに上がる
- 途中で止まらない
- 収納できる
ことを確認します。
外装のヒンジやロック部はプラスチック部品なので、無理にこじらないようにします。
フラッシュが充電されるか
新品電池で充電し、ファインダー内のReady表示が点灯するか確認します。
内蔵フラッシュが発光するか
シャッターを切り、毎回正常に発光するか確認します。
数回連続でテストし、極端に充電時間が伸びないかも見ます。
TTLフラッシュ
可能なら実写し、
- 近距離で白飛びしない
- 遠距離で極端な露出不足にならない
ことを確認します。
単に光っただけではTTL制御まで正常とは言えません。
スローシンクロ
夜間や暗所でスローシンクロへ設定し、低速シャッター+フラッシュが正常に作動するか確認します。
後幕シンクロ
低速シャッターを選び、露光終了付近でフラッシュが発光することを確認します。
外部ホットシュー
中央接点やTTL用接点へ、
- 腐食
- 変形
- 汚れ
がないか確認します。
露出補正
±5EVの範囲で操作し、表示と測光値が変化するか確認します。
最後に0へ戻します。
AEロック
露出計を作動させてAE-Lを操作し、構図を変えても値が保持されるか確認します。
オートブラケット
3枚・5枚で露出が段階的に変化するか確認します。
フィルムを入れずに設定動作を確認し、最終的には実写が理想です。
セルフタイマー
2秒~30秒の複数設定でテストします。
電子式なので、機械式セルフタイマーのようなグリス固着とは性格が異なりますが、操作ボタンや表示の不良はあり得ます。
2枚セルフタイマー
2枚連続撮影が正常に行われるか確認します。
ファインダー
明るい壁へ向け、
- 曇り
- カビ
- チリ
- AFフレーム
- LCD表示
を確認します。
少量のチリは写真には写りませんが、強い曇りはMF撮影の邪魔になります。
ミラー受けやモルト
1990年製とはいえ、すでに長期間経過しています。
ミラー受けや裏蓋周辺にフォーム材がある場合、
- べたつき
- 崩れ
- 欠落
がないか確認しましょう。
裏蓋
確実に閉まり、ロックされることを確認します。
落下によって裏蓋が変形している個体では光漏れにつながる可能性があります。
レンズマウント
マウントへ、
- 大きなガタ
- 変形
- 電子接点腐食
- AFカプラー破損
がないか確認します。
電子接点だけでなく機械AFカプラーも見る必要があります。
Nikon F-601が向いている人
F-601は次のような人に向いています。
- AFフィルム一眼レフを始めたい人
- Nikon Fマウントレンズを使いたい人
- AF Nikkorをフィルムで楽しみたい人
- P/S/A/Mを全部使いたい人
- マトリックス測光を使いたい人
- スポット測光も欲しい人
- 内蔵フラッシュ付きが便利だと感じる人
- 自動巻き上げ・巻き戻しを使いたい人
- 1990年代初頭の電子カメラが好きな人
- フィルムでも露出ブラケットを使いたい人
特に、
「クラシック機械式ではなく、フィルム時代の電子制御カメラをしっかり使いたい」
という人にはおもしろい存在です。
Nikon F-601が向かない場合
一方、次のような人には別のカメラが向いています。
- 完全機械式カメラが欲しい人
- 電池なしで撮影したい人
- 手巻きレバーの操作感を楽しみたい人
- 静かなAFを求める人
- 最新AF-SレンズをAFで使いたい人
- 小型軽量を最優先する人
- 電子回路の経年故障を避けたい人
- もっと高速な連写が必要な人
- 1/4000秒以上が欲しい人
機械式ならFM系、より高速・高性能なAF機ならF-801Sや後のF90系なども候補になります。
まとめ
Nikon F-601は、1990年に登場した35mmオートフォーカス一眼レフです。
ニコン公式製品史ではAuto Multi-Program、収納式内蔵フラッシュ、バランス調光、スローシンクロ、後幕シンクロなどを備えたモデルとして紹介されています。
主な特徴は、
- 24×36mmの35mm判
- Nikon Fマウント
- ボディ内モーターAF
- AM200 AFモジュール
- Single・Continuous AF
- 電子レンジファインダー
- Matrix測光
- 中央重点測光
- Spot測光
- P・S・A・M
- フレキシブルプログラム
- 1/2000秒~30秒・B
- ±5EV露出補正
- AEロック
- 3枚/5枚オートブラケット
- DXコード対応
- 自動フィルム装填
- 自動巻き上げ
- 約2コマ/秒連写
- 自動巻き戻し
- GN約13のTTL内蔵フラッシュ
- 28mmまでカバー
- バランス調光
- スローシンクロ
- 後幕シンクロ
- 2~30秒セルフタイマー
- CR-P2型6V電池
です。
中古購入時には、
「電源が入り、シャッターが切れた」だけではほとんど確認になりません。
F-601は電子化されたカメラです。
新品CR-P2を入れ、
- AF
- Single/Continuous
- Matrix/中央重点/Spot
- P/S/A/M
- 全シャッター速度
- 自動フィルム装填
- 1コマ送り
- 連続撮影
- 自動巻き戻し
- 内蔵TTLフラッシュ
- スローシンクロ
- 後幕シンクロ
- LCD表示
まで確認して、ようやく「F-601として正常」と判断しやすくなります。
そして、このカメラのおもしろさは1990年という時代そのものです。
ピントはAF。
露出はマトリックス測光。
P/S/A/Mを選べる。
フィルムはモーターが送る。
暗ければフラッシュが飛び出し、背景とのバランスまで考えて発光する。
必要ならスポット測光へ切り替え、露出ブラケットまで行える。
Nikon F-601は、フィルム一眼レフが「機械を自分で操る道具」から「撮影者を電子技術で積極的に支援する道具」へ大きく変化していた1990年代初頭を、そのまま体現した一台です。









