CONTAX Tvs IIは、35mmフィルムを使用するレンズ固定式のオートフォーカスカメラです。
1997年に初代CONTAX Tvsの改良型として登場し、Carl Zeiss T* Vario-Sonnar 28-56mm F3.5-6.5、プログラムAEと絞り優先AE、手動ズーム、内蔵フラッシュ、チタン外装を採用しました。
正式な製品表記は「CONTAX Tvs II」ですが、中古市場では「CONTAX TVS II」「コンタックスTVS2」などとも表記されます。
CONTAX Tvs IIとは
CONTAX Tvs IIは、京セラがCONTAXブランドで展開した高級ズームコンパクトカメラです。
1997年12月に登場し、発売時価格は15万円。初代Tvsの基本性能を受け継ぎながら、ズーム操作、ファインダー、レンズ保護機構などを改良しています。(カメラのキタムラ)
外観はレンジファインダーカメラに近く見えますが、二重像を重ねてピントを合わせる連動距離計はありません。外部パッシブ方式のAFと実像式ファインダーを採用した、電子制御式のコンパクトカメラです。
Carl Zeiss T* Vario-Sonnar 28-56mmを搭載
レンズには、Carl Zeiss T* Vario-Sonnar 28-56mm F3.5-6.5を固定装着しています。
レンズ構成は6群6枚。焦点距離28mmから56mmまでをカバーし、最短撮影距離はズーム全域で0.5mです。
28mm側は風景や室内に使いやすい
広角端の28mmでは、広い範囲を一枚へ収められます。
街中のスナップ、旅行先の風景、建築物、集合写真、室内撮影などに適しています。ただし、人物へ近づきすぎると遠近感が強調されるため、顔を自然に写したい場合は画面中央付近へ配置するとよいでしょう。
56mm側は人物や部分的な切り取りに向く
望遠端の56mmは、一般的な標準レンズに近い画角です。
人物、料理、小物、風景の一部分など、28mmより背景を整理した構図を作りやすくなります。
ただし、開放F値は28mm側のF3.5から、56mm側ではF6.5まで暗くなります。望遠側を室内や夕方に使用すると、シャッター速度が低下しやすい点に注意が必要です。
手動式のズームリング
Tvs IIでは、電動ズームではなく、ボディー前面のリングを回して焦点距離を変更します。
このリングは電源スイッチも兼ねており、回すとレンズバリアが開いて電源が入り、そのまま28mmから56mmまで画角を選択できます。シャッターボタンを半押しすると、上面表示部へおおよその焦点距離が表示されます。
電動ズーム特有のボタン操作ではなく、撮影者がリングを直接回して構図を決められることがTvs IIの特徴です。
プログラムAEと絞り優先AEに対応
CONTAX Tvs IIには、プログラムAEと絞り優先AEが搭載されています。
プログラムAE
絞りリングを「P」へ合わせると、カメラが絞りとシャッター速度の両方を自動設定します。
露出操作をカメラへ任せられるため、旅行や日常のスナップなど、素早く撮影したい場面に向いています。
プログラムAE時のシャッター速度は16秒から1/700秒です。16秒を超える露光が必要になると、自動的にバルブ露光へ切り替わります。
絞り優先AE
絞りリングでF値を選ぶと、カメラが適正なシャッター速度を設定します。
28mm側ではF3.5からF16まで選択可能です。56mm側ではレンズの開放F値が暗くなるため、リングの表示値と実際の絞り値には差が生じます。オレンジ色の指標から、望遠端でのおおよその絞り値を確認できます。
絞り優先AEでは、基本的に16秒から1/500秒以上の範囲で制御されます。明るすぎて設定した絞りでは対応できない場合、カメラがプログラムAEへ移行し、最高1/700秒を使用することがあります。
マニュアル露出には対応しない
絞りは撮影者が選べますが、シャッター速度を直接指定する完全なマニュアル露出は搭載していません。
露出を細かく管理する一眼レフというより、絞りによる表現を残しつつ、基本的な露出制御をカメラへ任せる設計です。
±5EVの露出補正
露出補正は、-5EVから+5EVまでを1/3EV刻みで設定できます。
逆光の人物を明るく写したい場合はプラス側、暗い背景の舞台や夜景で被写体が明るくなりすぎる場合はマイナス側へ補正します。
一般的なコンパクトカメラより補正範囲が広く、フィルターの露出倍数を補う用途にも利用できます。
シャッターボタンを半押しすると、AFロックと同時にAEロックも作動します。露出を測りたい部分へカメラを向けて半押しし、そのまま構図を変更して撮影できます。
オートフォーカスと距離設定式MF
ピント合わせには、外部パッシブ方式のオートフォーカスを採用しています。
撮影距離は0.5mから無限遠。暗い場所ではAF補助光を使用し、画面中央以外へ被写体を配置するときはフォーカスロックを利用します。
マニュアルフォーカスにも対応
上面のフォーカスダイヤルをAF位置から外すと、撮影距離を手動で設定できます。
一般的な一眼レフのようにレンズのピントリングを回す方式ではなく、0.5mから無限遠までの距離目盛りを選ぶ方式です。窓越しの撮影、反射する被写体、AFが迷いやすい場面、あらかじめ撮影距離が分かっている場合に利用できます。
ズームに連動する実像式ファインダー
ファインダーは、焦点距離に合わせて画角が変化する実像式です。
倍率は約0.38倍から0.68倍、視野率は撮影距離3mで約83%。ファインダー内では、撮影範囲、近距離補正枠、AFフレーム、シャッター速度、露出補正、合焦状態、フラッシュなどを確認できます。
近距離では、ファインダーと撮影レンズの位置の違いによるパララックスが生じます。0.5~1m付近の撮影では、ファインダー内の近距離補正枠を基準に構図を決めましょう。
内蔵フラッシュを搭載
CONTAX Tvs IIには、ガイドナンバー制御式のフラッシュが内蔵されています。
次の発光モードを選択できます。
- 自動発光
- 赤目軽減発光
- 発光禁止
- 強制発光
ISO100での撮影距離は、28mm側で約0.5~3.7m、56mm側で約0.5~2.4mです。新品電池使用時の充電時間は約4秒とされています。
外光だけで撮影したい場合は発光禁止、逆光の人物を明るくしたい場合は強制発光を選択します。
フィルム装填から巻き戻しまで自動
DXコード付き35mmフィルムを装填して裏蓋を閉じると、自動的に1コマ目まで送られます。
撮影後の巻き上げと、フィルム終端での巻き戻しも自動です。途中巻き戻しにも対応しています。DXコードの対応範囲はISO25~5000で、DXコードのないフィルムはISO100として設定されます。
フィルム感度を任意の数値へ変更する機能はありません。増感・減感を前提に撮影する場合は、露出補正を利用して調整します。
チタン外装を採用
Tvs IIは、CONTAXの高級コンパクトシリーズらしいチタン外装を採用しています。
サイズは約123×67×45.5mm、重量は電池を除いて約375g。小型ですが、樹脂製コンパクトカメラと比べると手に持った際の重量感があります。電源にはCR123AまたはDL123Aリチウム電池1本を使用します。
撮影、露出制御、AF、フラッシュ、フィルム送りは電気で作動するため、電池が切れると撮影できません。
CONTAX Tvs IIの基本スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 発売年 | 1997年 |
| カメラ形式 | 35mmレンズシャッター式AFカメラ |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズ | Carl Zeiss T* Vario-Sonnar 28-56mm F3.5-6.5 |
| レンズ構成 | 6群6枚 |
| ズーム | 手動式 |
| 最短撮影距離 | 0.5m |
| ピント方式 | 外部パッシブ式AF・距離設定式MF |
| 露出方式 | プログラムAE・絞り優先AE |
| 測光方式 | 外部SPD測光 |
| 測光範囲 | ISO100でEV-0.4~17 |
| 露出補正 | ±5EV・1/3EV刻み |
| シャッター | 電子制御レンズシャッター |
| プログラムAE | 16秒~1/700秒 |
| 絞り優先AE | 16秒~1/500秒以上 |
| ファインダー倍率 | 約0.38~0.68倍 |
| ファインダー視野率 | 約83% |
| フィルム感度 | DX:ISO25~5000 |
| フィルム送り | 自動 |
| フィルム巻き戻し | 自動・途中巻き戻し可能 |
| セルフタイマー | 約10秒 |
| 電源 | CR123AまたはDL123A 1本 |
| フィルター径 | 30.5mm |
| サイズ | 約123×67×45.5mm |
| 重量 | 約375g・電池別 |
主な仕様はCONTAX Tvs IIの取扱説明書に基づきます。
初代CONTAX Tvsとの違い
Tvs IIは、初代Tvsのレンズや基本的な撮影機能を受け継いだマイナーチェンジモデルです。
| 項目 | 初代Tvs | Tvs II |
|---|---|---|
| ズーム操作 | レバー式 | リング式 |
| レンズバリア | なし | あり |
| ファインダー | 透過液晶式 | 構造を簡略化して明るさを改善 |
| パノラマ撮影 | 対応 | 非対応 |
| レンズ | 28-56mm F3.5-6.5 | 28-56mm F3.5-6.5 |
| 重量 | 約375g | 約375g |
初代Tvsには、画面の上下を遮光して13×36mmの横長画面を作るパノラマ機能が搭載されていました。Tvs IIではパノラマ機構と透過液晶表示を省き、ズームリングとレンズバリアを採用しています。(Orphancameras)
レンズ性能や露出機能に大きな変更はなく、操作性とファインダーの見やすさを改善したモデルと考えると分かりやすいでしょう。
CONTAX T2との違い
CONTAX T2は、38mm F2.8の単焦点Sonnarを搭載しています。
Tvs IIは28~56mmのズームによって構図の自由度が高い一方、開放F値はF3.5~6.5です。
単焦点レンズの明るさとシンプルさを重視するならT2、風景から人物まで画角を変えて撮影したい場合はTvs IIが適しています。
中古のCONTAX Tvs IIを購入するときの注意点
電源・ズームリング・レンズバリア
CR123A電池を入れ、ズームリングを回して電源が入り、レンズバリアが完全に開くか確認します。
28mmから56mmまで滑らかに動き、リングの位置に応じてファインダー画角と焦点距離表示が変化することも重要です。
オートフォーカス
0.5m付近、中距離、遠景でAFを試します。
合焦表示、AF補助光、フォーカスロックを確認し、可能であれば実写でピント精度を確認しましょう。
レンズの状態
レンズは固定式なので、別のレンズへ交換できません。
前玉へ光を当て、カビ、クモリ、強い拭き傷、コーティングの傷みを確認します。ズーム位置を変えたときに異音や引っかかりがないことも重要です。
シャッターと絞り
明るい場所と暗い場所へ向け、シャッターの作動時間が変化するか確認します。
絞りリングをPから各F値へ動かし、露出モードとファインダー表示が切り替わることも確認しましょう。
フィルム送り
テスト用フィルムを装填し、自動装填、巻き上げ、カウンター、終端での巻き戻し、途中巻き戻しを試します。
モーター音がしていても、実際にフィルムが送られているとは限りません。
フラッシュと液晶表示
フラッシュの充電、発光、各発光モードを確認します。
上面液晶に文字欠けや液晶漏れがなく、電池警告、露出補正値、フィルム枚数が読み取れることも重要です。
データバック
データバック付きの場合は、CR2025電池を入れて表示と写し込み機能を確認します。
年表示は現在の日付へ対応できない可能性があります。日付機能が必要な場合は、設定可能範囲を購入前に確認しましょう。
CONTAX Tvs IIはどんな人に向いている?
CONTAX Tvs IIは、次のような人に向いています。
- Carl Zeissのズームレンズを小型カメラで使いたい人
- 28mmと56mmを一本で使い分けたい人
- プログラムAEと絞り優先AEを利用したい人
- 電動ではなく手動でズーム操作したい人
- チタン外装の高級コンパクトが好きな人
- T2より画角の自由度を重視する人
- 初代Tvsより明るいファインダーを求める人
一方、大口径単焦点レンズ、完全なマニュアル露出、電池なしでの撮影を求める人には向きません。
まとめ
CONTAX Tvs IIは、1997年に登場した35mm高級ズームコンパクトカメラです。
Carl Zeiss T* Vario-Sonnar 28-56mm F3.5-6.5、外部パッシブ式AF、プログラムAEと絞り優先AE、±5EVの露出補正、内蔵フラッシュ、自動フィルム送りを搭載しています。
初代Tvsからズーム操作をリング式へ変更し、レンズバリアを追加。パノラマ機能と透過液晶式ファインダーを省くことで、操作性とファインダーの見やすさを改善しました。
中古で購入するときは、ズームリング、レンズバリア、AF、電子シャッター、絞り、液晶、フラッシュ、自動フィルム送りを確認しましょう。
正常に動作する個体なら、28mmの広角から56mmの標準域までを一台でカバーしながら、Carl Zeiss T*ズームとCONTAXらしい操作感を楽しめる一台です。









