CONTAX Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8は、CONTAX Gシリーズ用に開発された35mm判対応の広角単焦点レンズです。
28mmらしい広い画角を持ちながら、重量は約150g。CONTAX G1やG2と組み合わせれば、スナップ、旅行、風景、建築物、室内撮影などへ幅広く使用できます。
中古市場では「Biogon 28mm F2.8 T」「Biogon T* 28mm F2.8 G」などと表記されることもありますが、正式な表記は「Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28」です。「T」ではなく、アスタリスクを付けた「T*」が正しい名称です。
CONTAX Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8とは
Biogon T* 28mm F2.8は、CONTAX Gマウントを採用したオートフォーカス対応レンズです。
CONTAX G1の取扱説明書では、Biogon T* 28mm F2.8、Planar T* 45mm F2、Sonnar T* 90mm F2.8などが専用交換レンズとして案内されています。G1とG2の両方で使用でき、ピントはカメラ本体のAF機構によって駆動されます。
CONTAX Gマウント専用レンズ
このレンズは、ヤシカ・コンタックス一眼レフ用のC/Yマウントではありません。
主な対応カメラは次の2機種です。
- CONTAX G1
- CONTAX G2
一般的な一眼レフ用レンズのようなフォーカスリングはなく、AFと手動ピント調整のどちらもカメラ本体側の機構を利用します。
絞り値はレンズの絞りリングからF2.8~F22の範囲で設定し、G1またはG2の絞り優先AEやマニュアル露出と組み合わせて撮影します。
「Biogon」とは
Biogonは、カール・ツァイスが広角レンズへ使用してきた名称です。
一眼レフ用広角レンズのDistagonとは異なり、Biogonではレンズ後部をフィルム面の近くへ配置できます。ミラーを持たないレンジファインダー系カメラだからこそ実現できる、比較的対称性の高い光学設計です。
ツァイスの資料では、Biogonの特徴として、広い画角と開放F値を確保しながら、高い画質と優れた歪曲収差補正を両立できる点が挙げられています。28mm F2.8は、遠近感を生かした撮影や室内撮影にも適したレンズとして説明されています。
一眼レフには直接使用できない
Biogon T* 28mm F2.8のバックフォーカスは約13.1mmです。
レンズ後部がフィルム面の近くまで入り込むため、ミラーの作動空間が必要な一眼レフには適しません。ヤシカ・コンタックス一眼レフ用の28mm F2.8は、BiogonではなくDistagonとして設計されています。
7枚5群の光学系
Biogon T* 28mm F2.8は、7枚5群の光学系を採用しています。
公称焦点距離は28mmですが、ツァイスの詳細データでは実焦点距離を28.5mmとしています。対角画角は約74度、水平画角は約65度、垂直画角は約46度です。
28mmの広い画角
28mmは、50mm標準レンズよりも広い範囲を写せる広角レンズです。
次のような撮影に利用できます。
- 街中のスナップ
- 旅行
- 風景
- 建築物
- 室内
- 集合写真
- 被写体へ近づいた遠近感の強い表現
広い範囲を収めやすい一方、被写体へ近づくと遠近感が強調されます。人物の顔を画面端へ配置すると形が引き伸ばされて見えることがあるため、人物撮影では構図に注意しましょう。
歪曲収差を抑えた設計
広角レンズでは、画面周辺の直線が曲がる樽型歪曲が発生しやすくなります。
Biogonは比較的対称性の高い構成によって歪曲収差を補正しやすく、ツァイスも本レンズについて、近距離まで優れた歪曲補正と高い画質を維持すると説明しています。建物、室内、水平線など、直線を多く含む被写体と相性のよい設計です。
T*コーティングを採用
レンズ名に付く「T*」は、ツァイスの反射防止コーティングを表します。
レンズ表面で発生する不要な反射を抑え、フレアやゴーストを減らし、光の透過率やコントラストを高めるための多層膜コーティングです。ZEISSは、T*をレンズや使用するガラスに合わせて調整する反射防止技術として説明しています。
逆光ではフードも利用する
T*コーティングが施されていても、強い太陽光や照明が直接レンズへ入ればフレアやゴーストが発生する可能性があります。
逆光撮影ではフードを装着し、不要な光が前玉へ直接入らないよう構図を調整するとよいでしょう。
中古品では純正フードの有無だけでなく、フィルター枠が変形しておらず、フードやフィルターを正常に取り付けられるか確認します。
最短撮影距離は0.5m
最短撮影距離は0.5mです。
最短距離での撮影範囲は約361×541mm、最大撮影倍率は約1:15とされています。一般的なスナップだけでなく、料理、小物、花などへ少し近づいた撮影にも利用できます。
近距離でも広い背景が入る
28mmレンズで被写体へ近づくと、主役を大きく写しながら周囲の背景も取り込めます。
旅行先の人物と風景を一緒に記録する、店内の料理と雰囲気を写す、乗り物の一部を大きく見せるといった撮影に向いています。
ただし、被写体へ近づくほど遠近感が強調されます。商品の形状や人物の顔を自然に見せたい場合は、画面中央付近へ配置するのが基本です。
フィルター径は46mm
フィルター取り付けねじはM46×0.75です。
46mm径の保護フィルター、UVフィルター、カラーフィルターなどを装着できます。重量は約150gで、CONTAX G用交換レンズとしては携帯しやすい広角レンズです。
後玉の扱いに注意
Biogonは後部の光学系がフィルム面へ近づく構造です。
レンズを取り外した状態では後玉をぶつけたり、指で触れたりしないよう注意しましょう。保管時には対応するリアキャップを装着し、他のレンズや金属製品と一緒に裸のまま収納しないことが重要です。
G1では28mmの画角へファインダーが連動する
CONTAX G1は、装着レンズに応じてファインダーの画角を変更する実像式ファインダーを備えています。
Biogon T* 28mm F2.8を装着すると28mmに対応した範囲が表示され、ピント距離に応じたパララックス補正も行われます。専用の外付けファインダーが必要な16mmや21mmとは異なり、28mmはボディー内蔵ファインダーで構図を確認できます。
初期型G1でも使用できる
CONTAX G1には、後から発売された21mmや35mmを使用するために制御ROMが更新された個体があります。
しかし、28mm F2.8はG1の当初から説明書へ掲載されている専用レンズです。中古市場でいわれる「グリーンラベル」の有無を、21mmや35mmと同じ条件で考える必要はありません。
Biogon T* 28mm F2.8の基本スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| レンズ名 | Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28 |
| 対応形式 | 35mm判 |
| レンズマウント | CONTAX Gマウント |
| 焦点距離 | 公称28mm・実焦点距離28.5mm |
| 開放絞り | F2.8 |
| 最小絞り | F22 |
| レンズ構成 | 7枚5群 |
| 画角 | 対角74度・水平65度・垂直46度 |
| 最短撮影距離 | 0.5m |
| 最大撮影倍率 | 約1:15 |
| 最短距離での撮影範囲 | 約361×541mm |
| フィルター径 | 46mm |
| バックフォーカス | 約13.1mm |
| 重量 | 約150g |
| 対応ボディー | CONTAX G1・G2 |
| ピント方式 | ボディー駆動式AF・ボディー側MF操作 |
| コーティング | Carl Zeiss T* |
主な光学仕様はCarl Zeissの公式データシートに基づきます。
C/YマウントのDistagon 28mm F2.8との違い
CONTAXには、よく似た名称の「Carl Zeiss Distagon T* 28mm F2.8」もあります。
こちらはCONTAX RTSや139 Quartzなど、ヤシカ・コンタックスマウントの一眼レフ用レンズです。
| 項目 | Biogon T* 28mm F2.8 | Distagon T* 28mm F2.8 |
|---|---|---|
| マウント | CONTAX G | C/Y |
| 対応カメラ | G1・G2 | CONTAX一眼レフなど |
| ピント | ボディー駆動AF | レンズリングによるMF |
| 光学形式 | Biogon系 | レトロフォーカス型Distagon |
| 一眼レフへの装着 | 不可 | 対応 |
| レンズ後部 | フィルム面に近い | ミラー空間を確保 |
名称に「CONTAX」「Carl Zeiss」「28mm F2.8」が共通していても、マウントはまったく異なります。
中古品を購入するときは、商品名だけでなく、マウント形状とレンズ前面のBiogonまたはDistagonの表記を確認しましょう。
ZMマウントのBiogon 28mm F2.8との違い
ZEISSには、ライカMマウント用の「Biogon T* 2.8/28 ZM」もあります。
ZM版はマニュアルフォーカス式のMマウントレンズで、レンズ構成は8枚6群、最短撮影距離は0.5m、重量は約230gです。CONTAX G版の7枚5群・約150gとは別設計であり、そのまま相互に装着することはできません。
中古品では、次の表記を確認しましょう。
- CONTAX G版:Biogon T* 2.8/28・CONTAX Gマウント
- ZM版:Biogon T* 2.8/28 ZM・ライカMマウント
中古のBiogon T* 28mm F2.8を購入するときの注意点
カビやクモリ
前玉と後玉を光へ向け、次の症状がないか確認します。
- 糸状のカビ
- 全体を覆う白いクモリ
- 強い拭き傷
- コーティングの変色
- レンズ内部の大きなゴミ
- レンズ端部の剥離
微細なチリだけで撮影結果へ大きく影響するとは限りませんが、強いクモリはコントラスト低下や逆光時のフレアにつながります。
後玉の傷
Biogonは後部のレンズがフィルム面へ近い設計です。
後玉の表面に傷、打痕、拭きむらがないか確認しましょう。リアキャップを付けずに保管された個体や、不適切なアダプターへ装着された個体では特に注意が必要です。
絞りリングと絞り羽根
絞りリングをF2.8からF22まで動かし、途中で引っかからないか確認します。
CONTAX G1またはG2へ装着し、シャッターを切った際に絞り羽根が設定値まで閉じ、撮影後に開放位置へ戻ることも確認しましょう。
羽根に油が付着している、動作が遅い、途中で止まる個体では露出が不安定になります。
AF駆動とマウント部分
レンズ単体では、オートフォーカスの正常性を完全に確認できません。
動作するG1またはG2へ装着し、近距離、中距離、遠距離の被写体へピントを合わせます。
- AFが作動する
- 距離を変えるとレンズが動く
- 合焦表示が出る
- 無限遠へ到達する
- 異常な空転音や引っかかりがない
マウント部の電気接点、AF連結部、固定部分の変形や腐食も確認しましょう。
フィルター枠
46mmのフィルターを取り付け、最後まで滑らかに入るか確認します。
落下歴のあるレンズではフィルター枠が変形し、フィルターやフードを装着できないことがあります。固い場合は工具で無理に回さないようにしましょう。
絞りリングの表記
中古品では目盛りの塗装が薄くなっていることがあります。
数字が読めるだけでなく、絞りリングのクリック位置と実際の羽根の動きが一致することも確認します。
Biogon T* 28mm F2.8はどんな人に向いている?
Biogon T* 28mm F2.8は、次のような人に向いています。
- CONTAX G1またはG2を所有している人
- 28mmの広角スナップを楽しみたい人
- 旅行や風景を広く写したい人
- 建築物や室内を撮影したい人
- 軽量なCONTAX G用レンズを探している人
- T*コーティング採用のCarl Zeissレンズを使いたい人
- 45mm Planarより広い画角を追加したい人
- 歪曲収差を抑えた広角レンズを求める人
一方、一般的なフォーカスリングを使ってピントを合わせたい人や、CONTAXの一眼レフへ装着したい人には向きません。
まとめ
CONTAX Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8は、G1・G2用の広角単焦点レンズです。
7枚5群のBiogon光学系、開放F2.8、最短撮影距離0.5m、46mmフィルター径を採用しながら、重量は約150g。広角スナップ、旅行、風景、建築物、室内などへ使いやすい仕様です。
短いバックフォーカスを生かしたBiogon設計により、一眼レフ用広角レンズとは異なるコンパクトな光学系と、優れた歪曲収差補正を実現しています。
中古で購入するときは、BiogonとDistagon、CONTAX G版とZM版を取り違えないことが重要です。カビやクモリ、後玉、絞り羽根、フィルター枠に加え、実際のG1またはG2へ装着してAF駆動を確認しましょう。
正常に動作する個体なら、CONTAX Gシリーズの小型ボディーを生かしながら、28mmらしい広い視野とCarl ZeissのBiogon設計を楽しめる一本です。









