Nikon NIKKOR-Q 13.5cm F3.5

ニコンSマウント用のレンズです。標準レンズは数多くありますが、望遠レンズは比較的珍しいです。専用のレンズキャップやレザーケースも付属しています。

Nikon NIKKOR-Q 13.5cm F3.5とは?1950年代のレンジファインダー用望遠Nikkorを徹底解説

Nikon NIKKOR-Q 13.5cm F3.5は、35mmレンジファインダーカメラ時代に登場した135mm相当の望遠レンズです。

ニコン公式の歴史資料では、NIKKOR-Q.C 13.5cm F3.5が1950年12月に発売されたことが確認できます。Nikon SマウントとLeicaスクリューマウント向けとして展開され、戦後間もないNIKKOR交換レンズ群を代表する望遠レンズのひとつとなりました。

ここで最初に注意したいのが、後年のレンズとの混同です。

1959年にNikon Fが登場した際にも、

NIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5

というFマウント一眼レフ用レンズが発売されています。こちらは自動絞りを備えた別モデルです。ニコン公式のNikon F開発史にも、NIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5がFシステム用レンズとして明記されています。

したがって中古市場で「NIKKOR-Q 13.5cm F3.5」を見つけた場合には、

  • NIKKOR-Q/NIKKOR-Q.C
  • NIKKOR-Q Auto
  • Nikon Sマウント
  • Leicaスクリューマウント
  • Nikon Fマウント

のどれなのかを最初に確認することが重要です。

この記事では、1950年代のレンジファインダー用NIKKOR-Q/NIKKOR-Q.C 13.5cm F3.5を中心に、歴史、光学設計、マウント、使い方、中古購入時の注意点を詳しく解説します。

目次

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5とは

13.5cmは現在の表記に直せば135mmです。

つまり、

13.5cm F3.5 = 135mm F3.5

と考えて問題ありません。

戦前から1950年代ごろのレンズでは、焦点距離をmmではなくcmで表記することが珍しくありませんでした。

Nikonでも、

  • 3.5cm=35mm
  • 5cm=50mm
  • 8.5cm=85mm
  • 10.5cm=105mm
  • 13.5cm=135mm

といった表記が使われています。

1950年12月に登場した13.5cm F3.5は、それ以前に存在したNIKKOR-Q.C 13.5cm F4を明るくした後継的なモデルでした。ニコン公式史では、1949年までに13.5cm F4を製造し、その後1950年にF3.5へ明るくしたことが記録されています。

「Q」は4枚構成を意味する

初期NIKKORでは、レンズ名のアルファベットが光学系の枚数を示すことがあります。

NIKKOR-Qの「Q」は、4を意味するラテン語系の呼称に由来し、4枚構成を示します。

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5は一般に3群4枚の光学構成として記録されています。

シンプルな構成ですが、1950年代の望遠レンズとして長期間使われ、多くの個体が製造されました。

「C」はコーティングを示す

初期個体では、

NIKKOR-Q.C

という名称を見ることがあります。

この「C」はCoated、つまりコーティングを意味します。

ニコン公式史によれば、日本光学では1946年から写真レンズへコーティングを導入し、1948年からフッ化マグネシウムを使用、1950年9月にはより耐久性のあるハードコーティングへ移行しています。

13.5cm F3.5の登場が1950年12月なので、まさにコーティング技術が大きく進歩していた時期のレンズです。

なお中古では、

  • NIKKOR-Q.C
  • NIKKOR-Q

など刻印違いの個体があります。

「Cがない=必ずノンコート」と単純に判断しない方が安全です。製造時期によって銘板や鏡筒表記にはバリエーションがあります。

1950年12月発売

ニコン公式Camera Chronicleでは、

1950年7月にNIKKOR-S.C 5cm F1.4が登場し、その年の12月にNIKKOR-Q.C 13.5cm F3.5が発売されたとされています。

当時の日本製カメラ・レンズ産業は戦後復興期。

日本光学はNikonレンジファインダーカメラとNIKKORレンズの海外評価を急速に高めていた時期でもあります。

つまり13.5cm F3.5は、現在の「オールドニッコール」というだけではなく、

NIKKORブランドが世界へ広がり始めた時代そのものを体現するレンズ

でもあります。

Nikon Sマウント版

代表的なのがNikonレンジファインダーカメラ用のSマウント版です。

使用候補には、

  • Nikon S
  • Nikon S2
  • Nikon SP
  • Nikon S3
  • Nikon S4

などがあります。

Nikon SPでは、内蔵ファインダーが5cm・8.5cm・10.5cm・13.5cmをカバーしていました。ニコン公式もSPの特徴として、28mmから135mmまでをカバーする高度なファインダー構成を紹介しています。

Nikon S2では外付け13.5cmファインダーが重要

Nikon S2など、135mm画角を内蔵ファインダーだけで正確に確認できないボディでは、専用の外付け13.5cmファインダーが使われました。

実際、1956年購入のNikon S2セットとして、13.5cm F3.5と専用13.5cm光学ファインダーが組み合わされた個体も確認されています。

中古で、

「レンズ+13.5cm外付けファインダー」

のセットを見つけた場合は、実用面でもコレクション面でも魅力があります。

Leicaスクリューマウント版も存在する

ニコン公式史では、NIKKOR-Q.C 13.5cm F3.5がNikon SマウントとLeicaスクリューマウント向けとして製造されたことが確認できます。

LeicaスクリューマウントはLTM、L39、M39などと呼ばれることがあります。

そのため中古市場では、

「古いNikkor 135mmだからNikonのカメラに付くだろう」

と思って買ったら、

実はLTMだった

ということもあり得ます。

購入前に必ず後部マウントを確認しましょう。

同じ名前でもマウント違いがある

このレンズで中古購入時に最も怖いのがここです。

同じ「NIKKOR-Q 13.5cm F3.5」でも、少なくとも純正史では、

  • Nikon Sマウント
  • Leicaスクリューマウント

があります。

さらに古いNIKKORでは市場別・用途別の仕様差も知られています。

したがって、

レンズ銘板だけではマウントを断定しない

ことが重要です。

後年のFマウント版とは別物

1959年、Nikon F発売と同時期に、

NIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5

が登場します。

こちらはNikon Fマウントの一眼レフ用です。

ニコン公式史でもNikon F用レンズとして、

  • NIKKOR-S Auto 3.5cm F2.8
  • NIKKOR-S Auto 5cm F2
  • NIKKOR-P Auto 10.5cm F2.5
  • NIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5

などが発売されたことが確認できます。

「Auto」という文字があるFマウント版を、本記事のレンジファインダー版と混同しないようにしましょう。

Fマウント版も3群4枚

初期FマウントのNIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5も3群4枚構成として記録されています。

1959年製の初期個体では、

  • 3群4枚
  • 画角約18度
  • F3.5~F22
  • 9枚絞り
  • 最短撮影距離約1.5m
  • 52mmフィルター
  • 約375g

という仕様が確認できます。

ただしこれはFマウントAuto版の仕様です。

レンジファインダー用13.5cm F3.5とすべて同一ではありません。

中古商品ページでFマウント版のスペックをそのままレンジファインダー版へ転載している例には注意しましょう。

135mmという画角

135mmは35mm判では望遠レンズです。

50mm標準レンズよりかなり狭い範囲を切り取ります。

主な用途は、

  • ポートレート
  • 舞台
  • 建物のディテール
  • 遠景
  • 鉄道
  • 風景の切り取り
  • 圧縮感を利用した構図

などです。

背景を整理しやすく、人物を浮かせた撮影にも向いています。

F3.5は当時として実用的な明るさ

開放F値はF3.5です。

現在の135mm F2やF1.8と比べれば明るくありません。

しかし前身の13.5cm F4から半段ほど明るくなったことで、当時のフィルム感度やレンジファインダー撮影では実用性が向上しました。

ニコン公式史でも、50mm F1.4や135mm F3.5の登場を大口径化の進展として扱っています。

シンプルな3群4枚光学系

現在の望遠レンズでは10枚以上のレンズを使うことも珍しくありません。

対してNIKKOR-Q 13.5cm F3.5はわずか4枚。

シンプルな光学系です。

レンズ枚数が少ないことは自動的に高画質を意味するわけではありませんが、空気境界面を少なくしやすく、当時の単層コーティング技術とも相性のよい構成でした。

現代レンズとは逆光耐性が違う

1950年代の単層コートレンズなので、現代のナノクリスタルコートなどを備えたNIKKORと同じ逆光性能は期待できません。

修理・実写資料でも、13.5cm F3.5は画面外の強い光によってフレアが発生しやすく、フードの使用が有効と報告されています。

これは必ずしも「性能が悪い」という話ではありません。

柔らかなコントラストやフレアをオールドレンズらしい描写として利用することもできます。

ただしシャープで高コントラストな結果が欲しい場合は、フードがかなり重要です。

135mmではレンジファインダーのピント合わせが難しくなる

レンジファインダーは、望遠になるほどピント合わせの難易度が上がります。

135mm F3.5では被写界深度が浅くなり、レンジファインダーのわずかな調整ずれも実写へ出やすくなります。

ニコン自身も、レンジファインダー方式では135mm以上の望遠撮影に制約があり、それが一眼レフNikon F開発へ向かう理由のひとつだったと説明しています。

つまり、この13.5cm F3.5は、

Nikonレンジファインダーシステムで実用できる望遠域のほぼ上限に近い存在

でもありました。

Nikon Fが生まれた理由ともつながるレンズ

Nikon SPやS3などレンジファインダー機は非常に完成度が高かったものの、

  • 長い望遠レンズ
  • 接写
  • 正確なフレーミング

では構造上の限界がありました。

ニコン公式のNikon F開発史では、135mm以上の望遠になるとレンジファインダーより一眼レフが有利になることが説明されています。

その意味で13.5cm F3.5は、

レンジファインダーNikonの到達点と、一眼レフNikon Fへ移行する理由の両方を象徴するレンズ

ともいえます。

Nikon SPなら13.5cmファインダー内蔵

Nikon SPの大きな特徴は、複数焦点距離へ対応した高機能ファインダーです。

ニコン公式では、

  • 2.8cm
  • 3.5cm
  • 5cm
  • 8.5cm
  • 10.5cm
  • 13.5cm

まで対応するファインダーシステムを特徴として挙げています。

そのため13.5cm F3.5をNikonレンジファインダーで実用するなら、SPは非常に相性のよいボディです。

S2では専用ファインダー込みで楽しみたい

S2のように135mmフレームを内蔵しないカメラでは、アクセサリーシューへ13.5cm専用ファインダーを取り付けます。

ピントはボディの距離計。

構図は外付け135mmファインダー。

つまり、

  1. 距離計窓でピントを合わせる
  2. 外付けファインダーへ目を移す
  3. 構図を決める
  4. シャッターを切る

という撮影になります。

現代カメラから見ると猛烈に面倒です。

しかし、この操作こそ1950年代のレンジファインダー望遠撮影そのものです。

距離計と外付けファインダーは別々

ここも初心者が混乱しやすい部分です。

外付け13.5cmファインダーは基本的に構図を見る道具です。

ピント合わせ機能そのものを持つわけではありません。

ピントはカメラ本体の連動距離計を使用します。

「外付けファインダーを覗いたけれどピントが分からない」

のは故障ではありません。

最短撮影距離はおおむね1.5m級

13.5cm F3.5の各バリエーションでは最短撮影距離約1.5mの仕様が多く確認されます。LTM版の資料でも約1.5m、Fマウント初期型でも約1.5mとされています。

ただし製造時期・マウント・鏡筒仕様によって細かな差があります。

購入する実個体の距離目盛りを確認するのが確実です。

絞り仕様にはバリエーションがある

13.5cm F3.5は長期間生産され、複数の鏡筒デザインがあります。

そのため、

  • 最小絞りF16
  • 最小絞りF22
  • 絞りクリックあり
  • クリックなし

などの差が報告されています。

「ネットのスペック表と絞りリングが違うから改造品」とは限りません。

初期NIKKORでは製造時期による仕様変更そのものが楽しみの一部です。

クローム・黒・黒銀など外観違いがある

レンジファインダー用13.5cm F3.5には複数の鏡筒バリエーションが知られています。

資料や現存個体では、

  • クローム主体
  • ブラック
  • ブラック+クローム

などが確認されています。

コレクション目的ならシリアル番号、刻印、鏡筒デザイン、マウントまで含めて判別する必要があります。

実用品なら外観より光学・ヘリコイド・距離計連動を優先しましょう。

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5の基本スペック

長期間にわたる複数仕様が存在するため、以下はレンジファインダー用を中心とした代表的な内容です。

項目内容
レンズ形式35mm判用望遠単焦点
発売1950年12月
焦点距離13.5cm=135mm
開放F値F3.5
光学構成3群4枚
「Q」の意味4枚構成
「C」Coatedを示す表記
ピントマニュアル
マウントNikon S、Leicaスクリューなど
代表的最短距離約1.5m級
絞り製造時期により仕様差あり
最小絞りF16またはF22など個体差
コーティング単層コーティング世代
フード使用推奨
Nikon SP13.5cm画角に内蔵ファインダー対応
Nikon S2外付け13.5cmファインダーが実用的
電子機構なし
AFなし

発売時期・マウントはニコン公式史、光学構成や個体差は現存個体資料・専門資料を併用しています。

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5の基本的な使い方

マウントを確認する

最初に自分のレンズが、

  • Nikon S
  • LTM
  • FマウントAuto版

のどれなのかを確認します。

ここを間違えると始まりません。

Nikon Sマウントボディへ装着する

Nikonレンジファインダー用なら、対応する外部バヨネットへレンズを装着します。

無理な力を加えないようにします。

絞りを決める

F3.5、F5.6、F8、F11などから選びます。

露出計を内蔵していないNikon S2などでは、外部露出計やスマートフォンアプリで露出を測ります。

ピントを合わせる

カメラ本体の距離計像を利用します。

二重像が一致するまでフォーカスリングを回します。

構図を確認する

Nikon SPなら13.5cm対応の内蔵ファインダーが利用できます。

S2などでは13.5cm用外付けファインダーを使うと正確に構図を取りやすくなります。

手ブレに注意する

135mmは50mmより手ブレが目立ちます。

一般的には1/125~1/250秒以上を意識すると失敗を減らせます。

1950年代当時の低感度フィルムでは、135mm F3.5を手持ちすること自体が現在より難しい撮影でした。

中古購入時に確認したいポイント

最初に「Auto」の有無を見る

前玉周囲の銘板を確認します。

NIKKOR-Q Auto 1:3.5 f=13.5cm

なら、基本的に1959年以降のFマウント一眼レフ用です。

本記事で中心に扱う1950年代レンジファインダー版とは別物です。

QとQ.Cの表記

「NIKKOR-Q.C」と「NIKKOR-Q」の両方が中古市場で確認されます。

刻印だけで真贋や年代を即断しないようにしましょう。

シリアル番号、鏡筒形状、マウントを合わせて判断します。

マウントを必ず見る

最重要項目です。

出品者が、

「Nikon用」

とだけ書いていても不十分です。

Nikon SマウントとNikon Fマウントではまったく違います。

さらにLTM版も存在します。

Nikon SとContax系の混同にも注意

初期レンジファインダー用交換レンズは外観だけでは判別しにくいものがあります。

長焦点レンズではマウントや距離計連動のわずかな差が実写ピントへ大きく影響します。

「物理的に付いた」だけで正常互換と判断しないようにしましょう。

ヘリコイド

70年以上経過したレンズなので、非常に重要です。

最短距離から無限遠までゆっくり回し、

  • 重すぎない
  • 軽すぎない
  • 引っ掛からない
  • ガリガリしない
  • 途中で急にトルクが変わらない

ことを確認します。

古いグリースが固化している個体は珍しくありません。

無限遠

遠くの建物や電柱へ向けてピントを合わせます。

無限遠位置で距離計像が一致するか確認します。

レンジファインダー用望遠では、わずかな調整ずれでも実写へ影響しやすくなります。

最短距離側

約1.5m付近でも距離計が正しく連動するか確認します。

無限遠だけ合い、近距離で大きくずれる場合は、

  • レンズ側連動機構
  • ボディ距離計
  • マウント

などの調整を疑います。

実写で距離計精度を確認する

135mmでは必須に近いチェックです。

開放F3.5で、

  • 約1.5m
  • 3m
  • 10m
  • 無限遠

を撮影します。

ピントを合わせた対象がフィルム上でも正確に写っているか確認します。

レンズ内部の曇り

1950年代レンズで最重要級です。

LEDライトを斜めから当て、

  • 白い霧
  • 油膜状の曇り
  • 全体的な霞

がないか確認します。

少量のチリより、曇りの方がコントラストへ大きく影響します。

カビ

糸状・蜘蛛の巣状の模様を確認します。

カビを長期間放置するとコーティングやガラス表面へ跡が残ることがあります。

「清掃すれば新品同様」とは限りません。

強い拭き傷

1950年代のコーティングは現代レンズほど強靱ではありません。

前玉に大量のクリーニングマークがある個体では、逆光時にコントラストが低下する可能性があります。

コーティング劣化

角度を変えてレンズ面を見ます。

  • 虹状のムラ
  • 白濁
  • まだらな剥離

がないか確認しましょう。

単なる色付き反射はコーティングそのものなので異常とは限りません。

バルサム異常

接合レンズを含む個体では、接合部に異常がないかも確認します。

  • 周囲から白くなる
  • 虹色の模様
  • 不規則な剥離

がある場合は慎重に判断します。

絞り羽根

F3.5から最小絞りまで動かします。

  • 羽根が滑らか
  • 開口形状が整っている
  • 羽根の重なりがおかしくない
  • 固着していない

ことを確認します。

絞り羽根の油

古いレンズでは羽根に油が付いていることがあります。

このレンズは電子自動絞りではないため、多少の油が即座に露出不良へ直結しない場合もありますが、大量の油は将来の固着原因になります。

絞りクリックの有無を故障と決めつけない

13.5cm F3.5には製造時期による絞り仕様差があります。

初期個体ではクリックストップがないものも報告されています。

クリックがないから故障、とは限りません。

最小絞りも個体差あり

F16までの個体とF22までの個体があります。

これも製造時期による差が知られています。

銘板・シリアル・鏡筒デザインと合わせて判断しましょう。

絞りリングの固着

長期間使われていない個体では絞りリング自体が重くなっている場合があります。

無理に回すと内部部品へ負担を掛けます。

フードの有無

このレンズではフードの価値が高いです。

実写資料でも逆光・斜光によるフレアが起こりやすいことが確認されています。

純正フード付きなら実用性もコレクション性も向上します。

専用外付けファインダー

Nikon S2などで使うなら、13.5cmファインダー付きはかなり魅力的です。

Christie’sに残る1956年のNikon S2セットでも、13.5cm F3.5と専用13.5cmファインダーが組み合わされています。

ファインダー単品を後から探す手間を減らせます。

外付けファインダーの曇り

ファインダー付きの場合は、

  • カビ
  • 曇り
  • 二重像ではなく単なる構図像の鮮明さ
  • 接眼部の傷

を確認します。

レンズがきれいでもファインダーが曇っていると実用性が落ちます。

ファインダーシューへの装着

外付けファインダーがシューへ正常に取り付けられるか確認します。

歪んだシューや変形したファインダー脚では固定できない場合があります。

鏡筒のへこみ

クローム・アルミ系の古い鏡筒では落下によるへこみを確認します。

特に、

  • フィルター枠
  • フード取付部
  • フォーカスリング
  • マウント周辺

は重要です。

三脚座がある仕様

望遠レンズらしく、鏡筒仕様によっては三脚固定部を備える個体があります。

ねじ山の破損、変形、欠品を確認しましょう。

分解歴

ネジ頭へ強い工具傷がある場合、過去に分解された可能性があります。

分解そのものが悪いわけではありません。

適切に整備されていればむしろプラスです。

問題は、

  • レンズの向き違い
  • 無限遠調整不良
  • 距離計連動ずれ
  • ネジ欠品

などを伴う素人分解です。

レンズ群のガタ

鏡筒を軽く振ったときに、内部レンズユニットがカタカタ動かないか確認します。

修理資料では、この13.5cm F3.5は光学ブロックと鏡筒を分離できる構造が確認されています。緩みや過去の組み付け不良がないか注意しましょう。

レンズ後部を触らない

古いマウントだからといって、連動機構を強く押したり回したりしないようにします。

距離計カムやヘリコイド調整を狂わせる可能性があります。




Nikon S2と組み合わせる場合

S2とのセットは非常に時代感があります。

ただし135mmはS2標準ファインダーよりかなり狭い画角なので、専用外付けファインダーが欲しいところです。

撮影は、

距離計でピント→外付けファインダーで構図

という二段階。

便利とは言えません。

しかし、この不便さこそ1950年代レンジファインダー望遠撮影の面白さです。

Nikon SPと組み合わせる場合

実用性ならSPがかなり有利です。

SPは13.5cmまで対応した内蔵ファインダーシステムを備えています。

レンズを取り付け、

  • 本体距離計でピント
  • 本体ファインダーで135mm構図

を確認できるため、S2+外付けファインダーより操作がシンプルです。

ミラーレスデジタルで使う

現在ではマウントアダプターを介してミラーレスカメラへ装着する方法もあります。

この場合、

  • EVF拡大
  • ピーキング
  • ライブビュー
  • 実絞り測光

が使えるため、135mmでもピント合わせはレンジファインダー時代より容易になります。

ただしアダプターの精度が悪いと無限遠や光軸へ影響します。

特にNikon Sマウントは一般的なLTMほど単純ではないため、対応規格をよく確認しましょう。

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5が向いている人

このレンズは次のような人に向いています。

  • Nikonレンジファインダーを所有している人
  • Nikon S2・SP・S3を楽しみたい人
  • 初期NIKKORを収集している人
  • 1950年代の日本製レンズに興味がある人
  • 135mm望遠が好きな人
  • 単層コートの描写を楽しみたい人
  • クラシックな金属鏡筒が好きな人
  • オールドレンズをミラーレスで使いたい人
  • NIKKORの歴史を追いたい人

特に、

「Nikonが一眼レフメーカーになる前のNIKKORを使ってみたい」

という人には非常に面白い一本です。

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5が向かない場合

一方、次のような人には別のレンズが扱いやすいでしょう。

  • オートフォーカスが必要な人
  • 開放F2クラスの明るさが欲しい人
  • 最新レンズ並みの逆光耐性を求める人
  • 近接撮影を重視する人
  • レンジファインダーで簡単に135mmを使いたい人
  • マウント違いを調べるのが面倒な人
  • メンテナンスなしの古いレンズを求める人

Nikon Fマウント機で使いたいなら、最初からFマウント版NIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5や、その後のAi/Ai-S 135mm F3.5を選ぶ方が簡単です。

まとめ

Nikon NIKKOR-Q 13.5cm F3.5は、Nikonレンジファインダー時代を代表する135mm望遠レンズです。

ニコン公式資料では、NIKKOR-Q.C 13.5cm F3.5が1950年12月に登場し、Nikon SマウントとLeicaスクリューマウント向けに展開されたことが確認できます。

主な特徴は、

  • 13.5cm=135mm
  • 開放F3.5
  • 3群4枚
  • Q=4枚構成
  • C=コーティングを示す表記
  • 1950年12月発売
  • Nikon Sマウント版
  • Leicaスクリューマウント版
  • 完全マニュアルフォーカス
  • 約1.5m級の最短撮影距離
  • 単層コーティング世代
  • 複数の鏡筒バリエーション
  • 製造時期による絞り仕様差
  • Nikon SPなら13.5cm画角を内蔵ファインダーで確認可能

といった点です。

そして中古購入では、何よりもまず**「どの13.5cm F3.5なのか」**を確認してください。

NIKKOR-Q。

NIKKOR-Q.C。

Nikon Sマウント。

Leicaスクリューマウント。

そして1959年以降のNIKKOR-Q Auto Fマウント版。

名前が非常によく似ています。

そのうえで、

  1. マウント
  2. カビ
  3. 曇り
  4. コーティング
  5. ヘリコイド
  6. 無限遠
  7. 近距離の距離計連動
  8. 絞り羽根
  9. 鏡筒のへこみ
  10. フード
  11. 13.5cm外付けファインダー

まで確認しましょう。

特に135mmをレンジファインダーで使う場合、レンズの光学状態だけでは不十分です。

距離計との連動精度が重要です。

ピントはボディの二重像。

構図は専用ファインダー。

シャッターを切る。

撮影後の画像確認など当然できない。

それでも1950年代、写真家たちはこの13.5cm望遠を実戦で使っていました。

そして135mm以上で顕在化したレンジファインダーの限界は、やがてNikon自身を一眼レフNikon Fの開発へ向かわせます。

NIKKOR-Q 13.5cm F3.5は、戦後NIKKORの成長を支えた望遠レンズであると同時に、レンジファインダーNikonから一眼レフNikonへ時代が移っていく境目を体感できる一本です。

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