





Nikon Nikomat FTNとは?中央重点TTL測光と完全機械式シャッターを備えた名作一眼レフ
Nikon Nikomat FTNは、35mmフィルムを使用するマニュアルフォーカス一眼レフカメラです。
ニコン公式の製品史では1967年に登場し、1965年発売のNikomat FTをベースに、
- 中央重点TTL測光
- 半自動式の開放F値設定
を採用したモデルとして記録されています。
海外では「Nikkormat FTN」「Nikkormat FTn」と表記されることが多く、ニコン公式史でも「Nikomat (Nikkormat) FTN」と併記されています。基本的には同系統のカメラです。
最大の特徴は、露出計こそ電池を使用するものの、シャッターそのものは完全機械式であることです。
Bと1秒~1/1000秒まで、露出計用電池がなくてもシャッターは作動します。取扱説明書では、上下方向へ走行する金属製フォーカルプレーンシャッターを採用し、1秒~1/1000秒+Bを備えることが明記されています。
さらに、
- Nikon Fマウント
- 開放TTL測光
- CdS受光素子
- 中央重点測光
- ASA12~1600
- ファインダー内追針式露出計
- ボディ上面にも露出計表示
- 1/125秒X同調
- ミラーアップ
- 被写界深度プレビュー
- 約8秒セルフタイマー
などを備えています。
そしてNikomat FTNを語るうえで外せないのが、レンズ交換時の通称**「ガチャガチャ」操作**です。
レンズを装着したあと絞りリングを最小絞り側から開放側まで動かすことで、カメラへそのレンズの開放F値を覚えさせます。
現在の電子マウントとは正反対の、機械仕掛けそのものの操作です。
この記事では、Nikomat FTNの特徴、中央重点測光、ガチャガチャ操作、対応Nikkor、シャッター、FT・FT2・FT3との違い、中古購入時に確認したいポイントを詳しく解説します。
Nikon Nikomat FTNとは
Nikomat FTNは1967年に発売されました。
前身のNikomat FTは1965年に登場し、固定式ペンタプリズム、TTL露出計、縦走行フォーカルプレーンシャッターを備えていました。
FTNでは、このFTをさらに改良。
特に大きな変更が、
中央重点測光
と、
半自動開放F値設定
です。
ニコン公式Camera Chronicleによれば、FTNは約8年間製造され、1975年にNikomat FT2へ交代するまで多数の小改良を受けながら販売されました。
長期間販売されたことから、中古市場でも比較的多く見つかるクラシックNikonです。
「Nikomat」と「Nikkormat」の違い
中古市場では、
- Nikomat FTN
- Nikkormat FTN
- Nikkormat FTn
など複数の表記があります。
ニコン公式でも「Nikomat (Nikkormat) FTN」と併記しています。
日本国内ではNikomat、海外ではNikkormatの名称が使われたことで表記が分かれています。
したがって、
Nikkormatだから偽物、Nikomatだから別モデル
ということではありません。
中古検索では両方の名称を使うと見つけやすくなります。
Nikon F Photomic FTNとは別物
さらに注意したいのが、Nikon F Photomic FTNとの混同です。
Nikon Fには交換式露出計ファインダーとしてPhotomic FTNが存在します。
一方、Nikomat FTNはファインダー固定式の独立したカメラです。
ニコン公式製品史でも、
- 1967年:Nikomat FTN
- 1968年:Nikon Photomic FTN
として別々に掲載されています。
中古商品タイトルに単に「Nikon FTN」と書かれている場合は、必ず写真を確認しましょう。
Nikon Fのレンズを使える実用機として登場
Nikomatシリーズは、プロ向けNikon Fと同じFマウントレンズを利用できる一眼レフでした。
ニコン公式史でも、Nikomat FTがNikon F用交換レンズと互換性を持つことが人気につながったと説明されています。
ただしNikon Fとは設計思想が異なります。
Nikon Fでは、
- ファインダー交換
- フォーカシングスクリーン交換
- モータードライブ
- 高度なシステム拡張
を前提としたプロフェッショナルシステムでした。
Nikomat FTNではファインダーを固定式として構造を簡略化しながら、FマウントレンズとTTL露出計を利用できる実用性を重視しています。
765gの重量級ボディ
取扱説明書の仕様では、ボディのみの重量は約765g。
寸法は約148×95×54mmです。
現在のカメラと比較すればかなり重い部類です。
50mm F1.4などを装着すると1kg前後になることもあります。
しかし、その重量感こそNikomat FTNらしいところでもあります。
金属製ボディを手にすると、
「カメラを持っている」というより「精密機械を握っている」
という感覚があります。
完全機械式シャッター
Nikomat FTNの大きな魅力が、完全機械式シャッターです。
シャッター速度は、
- B
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
- 1/30秒
- 1/60秒
- 1/125秒
- 1/250秒
- 1/500秒
- 1/1000秒
です。
取扱説明書では金属製フォーカルプレーンシャッターが下方向へ縦走行し、1秒~1/1000秒+Bを備えるとされています。
電池がなくても1/1000秒まで使える
露出計用電池を抜いても、シャッターそのものには影響しません。
したがって、
B~1/1000秒を電池なしで使用できます。
これは電子シャッター機との大きな違いです。
露出計が故障した個体でも、
- 単体露出計
- スマートフォン露出計アプリ
- デジタルカメラ
- サニー16
などで露出を決めれば、そのまま実写できます。
中古Nikomat FTNにとって非常に大きなメリットです。
シャッターダイヤルがボディ上面にない
初めてNikomat FTNを見ると、
「シャッターダイヤルどこ行った?」
となるかもしれません。
Nikomat FTNでは、シャッター速度設定部がレンズマウント周囲にあります。
レンズ横にある小さなシャッタースピードレバーを動かして、マウント周囲の速度目盛りへ合わせます。取扱説明書の図でも、レンズマウント外周に1秒~1/1000秒+Bの速度目盛りが配置されています。
現代のカメラはもちろん、後のNikon FMなどとも大きく違う操作です。
マウント周囲の速度リングは慣れると合理的
右手でカメラを握ったまま、左手で、
- フォーカスリング
- 絞りリング
- シャッタースピードレバー
を操作できます。
つまり露出に関する主要操作をレンズ周辺へ集中させています。
一度慣れると、
ファインダーを覗いたまま左手だけで絞りとシャッター速度を調整する
ことも可能です。
Nikomat特有の操作感です。
TTL中央重点測光
FTN最大の進化点が中央重点測光です。
前身Nikomat FTでは画面全体を平均的に測るWhole Average Meteringが採用されていました。
FTNでは感度を中央部分へ集中させたCenter-Weighted Meteringへ変更されました。
取扱説明書でも、
ファインダー画面全体を測定しながら中央部分を重視する
方式と説明されています。
なぜ中央重点測光が重要だったのか
たとえば人物の背後に明るい空がある場面。
画面全体を単純平均すると、明るい空へ引っ張られて人物が暗く写る可能性があります。
中央重点なら主要被写体を中央へ置いて測ることで、背景の極端な明るさの影響を抑えやすくなります。
ニコン公式史でも、明るい空などを含む画面で正しい露出を得やすくするため、FTNでは中央への感度集中を採用したと説明しています。
Nikonの中央重点測光時代を象徴する一台
1967年にはNikon F Photomic TNでも中央重点測光が採用されました。
ニコン公式史では、これを同社初の中央重点測光システムとしています。Nikomat FTNも同年に中央重点測光へ移行しました。
後のNikon一眼レフでも中央重点測光は長く使われます。
つまりFTNは、後の「ニコンらしい測光方式」につながる時代のカメラでもあります。
CdS受光素子を使用
露出計はCdS式です。
取扱説明書では、巻き上げレバーを引き出すとCdS露出計回路へ電源が入り、収納するとOFFになることが説明されています。
CdSは硫化カドミウム光電素子。
1960~70年代のTTL露出計で広く使われました。
現在では受光素子そのものや周辺回路の経年変化により、針が動いても測光値が正確とは限りません。
巻き上げレバーが露出計スイッチ
Nikomat FTNには独立した電源スイッチがありません。
フィルム巻き上げレバーを少し引き出すと露出計ON。
ボディへ収納するとOFFになります。
ニコン公式Camera Chronicleによると、この「巻き上げレバー=露出計スイッチ」という方式は前身FTで初採用され、その後FM2時代まで受け継がれました。
非常に合理的な機構です。
ボディ上面にも露出計の針がある
Nikomat FTNには、ファインダー内だけでなく、ボディ上面にもメーター窓があります。
取扱説明書では、ファインダー内の針に加え、カメラ上面にも第2のメーター針があると説明されています。
これは、
- 三脚撮影
- 腰の高さでカメラを構える
- ファインダーへ目を付ける前の露出確認
などに便利です。
現在のカメラでいう上面表示パネルを、針一本で実現しているようなものです。
追針式露出計
露出の合わせ方は非常に単純です。
ファインダー内のメーター針を中央へ合わせます。
シャッター速度または絞りを変更して針が中央へ来れば、露出計上の適正露出です。
針が、
- +側 → 露出オーバー方向
- -側 → 露出不足方向
にあることも確認できます。
LEDではなくアナログ針なので、明るさの変化が連続的に見えます。
ファインダー内にシャッター速度も表示
取扱説明書では、設定中のシャッター速度がファインダー内下部へ表示されます。
そのためファインダーから目を離さず、
- ピント
- 構図
- 露出計
- シャッター速度
を確認できます。
1967年の一眼レフとして非常に実用的です。
ASA12~1600
フィルム感度設定範囲はASA12~1600です。
現在のISO表記では通常同じ数値として扱えます。
一般的な、
- ISO100
- ISO200
- ISO400
- ISO800
は問題なく設定できます。
DXコードによる自動設定はありません。
フィルムを交換したら必ず手動で変更します。
測光範囲はEV3~17
取扱説明書の仕様では、ASA100時の露出計感度はEV3~17。
50mm F1.4を使用した場合の例として、
- F1.4・1/4秒
- F11・1/1000秒
の範囲が示されています。
極端な暗所では内蔵メーターの範囲を外れることがあります。
開放測光
Auto-Nikkorなど対応レンズでは、撮影時の絞り値に関係なく、レンズを開放状態にしたままTTL測光できます。
取扱説明書では、開放測光によって、
- 明るいファインダー
- ピント合わせしやすい
- 接眼部から入り込む外光の影響を抑えやすい
というメリットが説明されています。
ただし、そのためにはカメラ側が、
「このレンズの開放F値はいくつなのか」
を知る必要があります。
そこで登場するのがFTN名物のガチャガチャです。
FTN最大の名物「ガチャガチャ」
FTN世代のNikkorには、絞りリング上にメーターカップリングシュー、通称「カニ爪」が付いています。
ボディ側には、このカニ爪へ入るメーターカップリングピンがあります。
レンズを装着すると、絞りリングの動きが機械的に露出計へ伝わります。
しかし、それだけではカメラはレンズの開放F値を知ることができません。
そこでレンズ交換後に絞りリングを端から端まで動かし、開放F値をボディへ覚えさせます。
ガチャガチャ操作の手順
純正取扱説明書ではレンズ交換時、次の手順を案内しています。
- ボディ側メーターカップリングピンを右端へリセットする
- レンズの絞りをF5.6へ合わせる
- カニ爪の溝へボディ側ピンが入るようレンズを装着する
- レンズを回してロックする
- 絞りリングを最小絞り、つまり最大F値まで回す
- そこから反対方向へ最後まで回して開放にする
これによって露出計が使用レンズの開放F値を記憶します。
ニコン公式Camera Chronicleでは、この方式を**“Click-Click” maximum aperture indexing**と呼んでいます。
日本では俗に「ガチャガチャ」と呼ばれる操作です。
なぜF5.6へ合わせて装着するのか
ニコン公式の開発史では、すべての当時のNikkorで、メーターカップリングシューが12時方向へ来る位置がF5.6だったことが、この機構開発のヒントになったと説明されています。
つまりF5.6は単なる偶然の数字ではありません。
既存のNikkorを大きく設計変更せず、新しいTTL開放測光へ対応させるために利用された基準位置です。
カメラが開放F値を機械的に「記憶」する
ガチャガチャ操作によって、カメラ内部のラチェット機構が絞りリングの移動量を機械的に記憶します。
ニコン公式史によれば、この仕組みによって既存Nikkorレンズ自体を大幅変更することなく、レンズの開放F値情報をカメラへ伝達できました。
現在なら電子接点から一瞬で送る情報を、
リング、ピン、爪、ラチェットだけで伝えている
わけです。
このメカニズムだけでもFTNを触る価値があります。
開放F値は上面から確認できる
レンズ装着後、ボディ前面のMaximum-Aperture Scaleを見ると、現在カメラが認識している開放F値を確認できます。
対応範囲はF1.2~F5.6です。
たとえば24mm F2.8を付けた場合、表示が2.8付近に来ていれば正しくセットされています。
ガチャガチャしただけで満足せず、最後に開放F値表示を確認する。
これが安全です。
ガチャガチャを忘れると露出計がずれる
レンズを交換しても開放F値設定を行わないままだと、露出計は前に付いていたレンズの情報を記憶している可能性があります。
シャッター自体は普通に切れます。
ピントも普通に合います。
しかし露出計の値だけが狂います。
これがNikomat FTN最大の「初見殺し」です。
中古購入後に、
「露出計が2段ずれている!」
と思ったら、まず正しいガチャガチャ操作を行っているか確認しましょう。
Ai以前のNikkorが本来の組み合わせ
FTNは1977年のAiシステム登場より10年前のカメラです。
したがって本来想定されているのは、カニ爪を持つ非Ai世代のNikkorです。
ニコン公式Camera Chronicleでも、FTNの「Click-Click」機構は従来Nikkorを変更せず開放F値情報を伝達するために開発されたと説明しています。
オールドNikkorを使うという意味では、非常に時代に合ったボディです。
Ai・Ai-Sでも「カニ爪」が重要
後年のAi・Ai-S Nikkorでも、絞りリングに旧式のメーターカップリングシューが残されているレンズがあります。
そうしたレンズならFTNの機械式連動を利用できる場合があります。
一方、カニ爪のない後年レンズでは通常の開放測光連動ができません。
Fマウントだから露出計まで全部互換、ではありません。
購入予定のレンズにメーターカップリングシューがあるか確認しましょう。
絞り込み測光にも対応
カニ爪を使えない特殊レンズなどについて、純正マニュアルにはStop-Down Exposure Measurementの手順も用意されています。
つまりレンズを実際に設定絞りまで閉じ、その状態でTTL測光します。
ただし通常のAuto-Nikkorでは、開放測光の方がファインダーが明るく扱いやすいため基本です。
被写界深度プレビューボタン
マウント脇には被写界深度プレビューボタンがあります。
押すとレンズが設定絞りまで実際に閉じます。取扱説明書の前面図でも専用ボタンが確認できます。
F2からF8へ絞った場合などに、
- 背景がどこまで鮮明になるか
- 手前から奥までどの程度ピント範囲が広がるか
をファインダーで確認できます。
絞るとファインダーが暗くなるのは正常です。
ミラーアップ機構を搭載
Nikomat FTNにはミラーロックアップがあります。
取扱説明書では、マウント横のレバーを操作するとミラーを上げたまま固定できると説明されています。
当時の特殊な超広角・魚眼レンズには後玉がボディ内部へ大きく突出するものがあり、そのままでは一眼レフのミラーと干渉します。
マニュアルでは、
- Fisheye-Nikkor 7.5mm F5.6
- OP Fisheye-Nikkor 10mm F5.6
使用時のためにミラーアップ機構を利用すると説明されています。
ミラーアップは単なる振動対策だけではない
現在「ミラーアップ」と聞くと、
三脚撮影でミラーショックを抑える機能
をイメージしやすいでしょう。
FTNの場合、それに加えて後玉が突出する特殊Nikkorを装着するための機能という意味が大きくあります。
当時のNikonシステムらしい機能です。
約8秒のセルフタイマー
ボディ前面には機械式セルフタイマーがあります。
最大までレバーを倒し、シャッターを切ると約8秒後に作動します。
セルフタイマーはシャッターのチャージとは独立してセットできます。
ただし純正説明書ではBでは使用しないよう注意されています。
中古ではセルフタイマーを無理に使わない
現在残っているFTNは半世紀以上前のカメラです。
セルフタイマー内部の潤滑が固まっている個体も考えられます。
動作未確認の個体でいきなり最大まで巻き、
「動くか実験だ!」
とやるのは避けた方が無難です。
セルフタイマーが途中停止すると、シャッター機構へ影響する可能性もあります。
X同調は1/125秒
電子フラッシュはX端子へ接続します。
取扱説明書では電子フラッシュについて、1/125秒以下で同期すると説明されています。
当時として実用的な速度です。
M・Xの2つのシンクロ端子
ボディ側面には、
- M
- X
の2端子があります。
Mはフラッシュバルブ用。
Xは電子フラッシュ用です。
現代の電子ストロボなら基本的にX端子を使用します。
ホットシューは標準装備していない
FTNのペンタプリズム上には、後のFT2のような標準ホットシューはありません。
フラッシュを載せるには専用アクセサリーシューを取り付け、シンクロコードをX端子へ接続します。
後継FT2ではホットシューが追加されました。ニコン公式史でもFT2の改良点としてペンタプリズム上のホットシューを挙げています。
1.3V水銀電池を使用
FTNの露出計電源は1.3V水銀電池1個です。
当時の純正マニュアルでは約1年の電池寿命を案内しています。
現在、このタイプの水銀電池は一般的には入手できません。
そのため実用品では代替方法を検討する必要があります。
現在の電池問題
現在利用される方法には、
- 1.35V系の亜鉛空気電池
- 電圧変換機能付きアダプター
- カメラ側を1.5V電池へ合わせて調整
- 内蔵露出計を使わず外部露出計を利用
などがあります。
ただし、単純に形が合う1.5V電池を入れた場合、露出計の回路方式や個体状態によって測光値へ影響する可能性があります。
中古で「メーター動作」と書かれている場合は、
何Vの電池で、どのように精度確認したのか
まで見るのが理想です。
露出計が死んでいてもカメラは使える
これはFTNの大きなメリットです。
露出計とシャッターは独立しています。
露出計が完全に壊れていても、機械式シャッターが正常なら撮影できます。
そのため中古評価では、
「メーター不良」と「ボディ不動」を分けて考える
必要があります。
メーター不良個体を安く購入し、スマートフォン露出計で撮るという選択肢も成立します。
フィルター装着時の露出補正は不要
取扱説明書では、FTNがTTL測光するため、Nikonフィルター使用時に別途露出補正を行う必要はないと説明されています。
レンズを通過した後の光を測るTTL方式ならではのメリットです。
外付け露出計ではフィルター係数を手動で考慮する必要があります。
ファインダーは固定式
Nikon Fとは違い、ペンタプリズムは固定されています。
交換式Photomicファインダーを装着することはできません。
その代わり構造がシンプルです。
Nikon Fのシステム性より、一般撮影に必要な機能を一体化したカメラと考えると分かりやすいでしょう。
フォーカシングスクリーンには世代差がある
初期FTNでは、マット面中央にマイクロプリズムを備えるType Jスクリーンが標準でした。
後には、スプリットイメージを備えるType Aも用意されました。ニコン公式史では、この変更もFTNの長い生産期間中に行われた改良のひとつとして紹介されています。
したがって中古個体によって、
- 中央マイクロプリズム
- スプリットイメージ
など見え方が異なることがあります。
即座に「スクリーンが交換されている」と決めつける必要はありません。
1967~1975年の間に細かな仕様変更がある
FTNは約8年間製造されました。
ニコン公式史では生産期間中、
- 張り革パターン
- ストラップアイレット周辺
- シャッターボタン
- 巻き上げレバー
- セルフタイマーレバー
- 内部部品
- フォーカシングスクリーン
などに細かな改良が加えられたと説明されています。
したがって、2台のFTNを並べて細部が違っていても、必ずしも改造品とは限りません。
Nikomat FTとFTNの違い
前身FTとの最大の違いは測光方式と開放F値設定です。
| 項目 | Nikomat FT | Nikomat FTN |
|---|---|---|
| 登場 | 1965年 | 1967年 |
| マウント | Nikon F | Nikon F |
| シャッター | 機械式 | 機械式 |
| 最高速度 | 1/1000秒 | 1/1000秒 |
| TTL測光 | あり | あり |
| 測光方式 | 全画面平均 | 中央重点 |
| 開放F値設定 | 手動設定 | 半自動Click-Click |
| ミラーアップ | あり | あり |
ニコン公式史でも、FTNはFTを中央重点測光化し、半自動開放F値設定を採用したモデルとされています。
Nikomat FTNとFT2の違い
FT2は1975年3月に登場しました。
ニコン公式史では主な変更として、
- ペンタプリズム上にホットシュー追加
- シンクロ端子を整理
- フラッシュ同調関連機構を変更
などが紹介されています。
基本構造はFTNの発展型です。
中古でフラッシュを多用するなら、ホットシューを標準装備したFT2の方が扱いやすいでしょう。
Nikomat FTNとFT3の違い
FT3は1977年3月発売。
最大の変更はAi対応です。
それまでのカニ爪+ガチャガチャ方式から、Aiレンズの絞り連動リッジを利用したAutomatic Maximum Aperture Indexingへ移行しました。
さらに露出計電池も1.55V SR44銀電池へ変更されています。
| 項目 | FTN | FT2 | FT3 |
|---|---|---|---|
| 登場 | 1967 | 1975 | 1977 |
| 測光 | 中央重点 | 中央重点 | 中央重点 |
| 開放F値連動 | カニ爪+ガチャガチャ | 同様 | Ai |
| ホットシュー | なし | あり | あり |
| 露出計電池 | 1.3V水銀 | 旧世代電池 | SR44 1.55V |
| シャッター | 機械式 | 機械式 | 機械式 |
古い非Ai Nikkorと1960年代らしい操作を楽しむならFTN。
現代の電池事情まで考えるならFT3の方が扱いやすい部分があります。
Nikon FMとの違い
1977年にはNikon FMも登場します。
FMも完全機械式ですが、Aiシステムを前提とした新世代ボディです。
FTNは大型・重量級でシャッター速度リングもマウント周囲。
FMはより小型化され、上面シャッターダイヤルとLED露出計を採用します。
FTNは、
「1960年代Nikonの機械設計」
FMは、
「1970年代後半から始まる新世代Nikon」
として比較すると分かりやすいでしょう。
Nikomat FTNの基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mm一眼レフ |
| 発売 | 1967年 |
| 使用フィルム | 35mm |
| 画面サイズ | 24×36mm |
| レンズマウント | Nikon F |
| ピント | マニュアル |
| 露出 | 完全マニュアル |
| 測光 | TTL中央重点 |
| 測光方式 | 開放測光 |
| 受光素子 | CdS |
| 測光範囲 | EV3~17・ASA100 |
| ASA感度 | 12~1600 |
| レンズ絞り連動 | メーターカップリングシュー |
| 開放F値設定 | 半自動Click-Click |
| 対応開放F値表示 | F1.2~F5.6 |
| シャッター | 金属製縦走行フォーカルプレーン |
| シャッター速度 | B・1秒~1/1000秒 |
| 電池なし撮影 | 全速可能 |
| X同調 | 1/125秒以下 |
| フラッシュ端子 | M・X |
| ホットシュー | 標準ではなし |
| ファインダー | 固定ペンタプリズム |
| 露出表示 | 追針式 |
| 上面メーター | あり |
| 被写界深度確認 | あり |
| ミラーアップ | あり |
| セルフタイマー | 約8秒 |
| フィルム巻き上げ | 1ストローク |
| カウンター | 自動復帰 |
| 露出計電源 | 1.3V水銀電池×1・当時 |
| 寸法 | 約148×95×54mm |
| 重量 | 約765g・ボディのみ |
基本仕様は当時のNikkormat FTN取扱説明書とニコン公式Camera Chronicleに基づきます。
Nikomat FTNの基本的な使い方
35mmフィルムを入れる
ボディ側面の裏蓋ロックを押すと、ヒンジ式裏蓋が開きます。
フィルムを左側へ入れ、リーダーを巻き取りスプールへ差し込みます。
パーフォレーションがスプロケットへ正しく掛かっていることを確認して裏蓋を閉じます。
フィルムのたるみを取る
巻き戻しクランクを矢印方向へ軽く回し、フィルムのたるみを取ります。
巻き上げ時にクランクが回転すれば、フィルムが送られていることを確認しやすくなります。
ASA感度を設定する
装填したフィルムに合わせ、
- ASA100
- ASA400
などを設定します。
レンズをF5.6へする
FTNではここが重要です。
カニ爪付きNikkorの絞りリングをF5.6へ合わせます。
メーターカップリングピンをリセットする
ボディ側のカップリングピンを右端まで動かします。
レンズを装着する
カニ爪の溝へピンを入れるようにレンズを装着し、反時計方向へ回してロックします。
ガチャガチャする
絞りリングを、
最小絞り → 開放
まで動かします。
これでレンズの開放F値がカメラへ登録されます。
開放F値表示を確認する
ボディ前面のMaximum-Aperture Scaleを見ます。
50mm F1.4なら1.4付近。
24mm F2.8なら2.8付近。
正しい位置なら設定完了です。
シャッター速度を決める
マウント周囲のシャッタースピードレバーを動かします。
巻き上げレバーを引き出す
これで露出計ONです。
絞りを調整する
ファインダー内メーター針が中央へ来るよう、シャッター速度または絞りを調整します。
ピントを合わせる
マイクロプリズムまたはスプリットイメージを使ってMFします。
シャッターを切る
ピント・露出・構図を確認し、シャッターボタンを押します。
撮影後は巻き上げレバーを1ストロークして次のコマへ進みます。
中古購入時に確認したいポイント
まず本当にNikomat FTNか確認する
FT、FTN、FT2、FT3は外観が似ています。
FTNなら、
- FTN表記
- ホットシューなし
- カニ爪連動
- ガチャガチャ式開放F値設定
- 中央重点測光
などを確認します。
さらにNikon F Photomic FTNとも混同しないようにしましょう。
電池を入れなくても全速確認する
中古確認の最初に、露出計用電池を入れずシャッターを確認できます。
B~1/1000秒まで全速が機械的に動くことが重要です。
「電池がないのでシャッター未確認」
という説明は、FTNでは少々怪しいところです。
少なくとも機械式シャッター自体は電池なしで確認できます。
低速シャッター
特に、
- 1秒
- 1/2秒
- 1/4秒
- 1/8秒
- 1/15秒
を重点的に見ます。
経年した機械式カメラでは低速ガバナーの油脂が固まり、
- 1秒が数秒になる
- 途中で停止する
- 一度目だけ遅い
- 1/2秒と1/8秒がほぼ同じ
などの症状が出ることがあります。
1秒を連続して切る
一回正常だっただけでは足りません。
5~10回程度繰り返し、毎回同程度の時間で作動するか確認します。
長期間放置された個体では、数回動かした後だけ調子が良くなる場合もあります。
1/1000秒
高速側は音だけで正確な速度を判断できません。
可能ならシャッターテスターを使用します。
フィルムなら均一な空や壁を撮影し、
- 一部だけ暗い
- 帯状に露出ムラがある
- 片側だけ濃い
などがないか確認します。
金属シャッター幕
FTNは縦走行の金属シャッターを採用します。
裏蓋を開け、
- 曲がり
- 傷
- へこみ
- 油
- 異物
がないか確認します。
絶対に指で押さないでください。
シャッタースピードリング
マウント周囲の速度リングをB~1000まで操作します。
- 引っ掛からない
- 表示位置へ正確に止まる
- レバーが緩すぎない
- 異常なガタがない
ことを確認します。
上面ダイヤル式カメラとは違うため、この部分の操作不良を見落とさないようにしましょう。
露出計用電池
元来は1.3V水銀電池です。
現在の中古出品で「露出計OK」とされている場合、
どの代替電池を使ったか
を確認できれば理想です。
1.5V電池をそのまま使用している場合、針が動いているだけで測光精度まで保証されるわけではありません。
電池室の腐食
底面の電池室を開けます。
確認したいのは、
- 白い粉
- 緑青
- 黒い腐食
- 接点欠損
- 電池蓋固着
です。
シャッターは正常でも、電池室腐食によって露出計だけ死んでいる個体があります。
露出計の針
適切な代替電源を使用し、巻き上げレバーを引き出します。
明るい場所と暗い場所へ向けて、針が滑らかに動くか確認します。
- 全く動かない
- 上端へ張り付く
- 下端へ張り付く
- 途中で引っ掛かる
- カメラを傾けると急に動く
場合は注意が必要です。
上面メーターも確認する
ファインダー内メーターだけではありません。
ボディ上面にも露出計窓があります。
両方が連動して正常に動くことを確認します。
露出計精度
信頼できる露出計またはデジタルカメラと比較します。
ISO100など条件を統一して、
- 晴天
- 日陰
- 室内
を測ります。
「針が動く」と「正しい値を示す」は別物です。
ガチャガチャを正しく行ってから測る
非常に重要です。
開放F値設定が間違った状態では、正常な露出計でも値がずれます。
露出計故障と判断する前に、
- ピンをリセット
- F5.6で装着
- 最小絞りまで回す
- 開放まで戻す
- 開放F値表示を確認
を行います。
メーターカップリングピン
マウント周辺のピンが、
- 曲がっていない
- 引っ掛からない
- リセットできる
- レンズのカニ爪へ正しく入る
ことを確認します。
ここが壊れていると開放測光が正常に働きません。
カニ爪付きレンズでテストする
中古ボディを確認するなら、できればFTN世代に合うカニ爪付きNikkorを使用します。
爪なしレンズで、
「露出計が連動しません」
となっても、それだけで故障とは判断できません。
開放F値スケール
ガチャガチャ後に、
- F1.4レンズなら1.4
- F2レンズなら2
- F2.8レンズなら2.8
付近を示すか確認します。
表示が大きく違う場合はカップリング機構を疑います。
絞りリングとの連動
レンズの絞りをF2→F4→F8などへ変更し、露出計の針が適切に変化することを確認します。
途中だけ反応しない場合、抵抗体や連動機構の不具合も考えられます。
巻き上げレバーとメータースイッチ
レバーを引き出すとON、収納するとOFFになることを確認します。
収納してもメーターが通電したままだと電池を消耗します。
ミラーアップ
ミラーロックレバーを慎重に操作します。
ミラーが上で固定され、解除すると元へ戻ることを確認します。
固着している個体へ無理な力を掛けるのは避けます。
ミラー復帰
通常撮影でも、
- 素早く上がる
- 露光後すぐ戻る
- 途中で止まらない
ことを確認します。
ミラー表面
- 傷
- 腐食
- カビ
- 銀面劣化
を確認します。
ミラーの汚れは写真そのものには写りませんが、ファインダーや測光へ影響する可能性があります。
表面鏡なので不用意に磨かないようにしましょう。
ミラー受けモルト
半世紀以上経過しています。
ミラー上部のフォーム材が、
- 粉になる
- ベタつく
- ミラーへ貼り付く
状態なら交換を検討します。
裏蓋モルト
蝶番や裏蓋周囲の遮光材も確認します。
光漏れがある場合、せっかくシャッターや露出計が正常でもフィルムが台無しになります。
ファインダー
明るい壁へ向け、
- カビ
- 曇り
- プリズム劣化
- 大量のチリ
- メーター針の見え方
- シャッター速度表示
を確認します。
プリズム腐食
古い一眼レフではプリズムの銀蒸着や周辺材が劣化し、黒い線やシミが見える場合があります。
軽微なら撮影には影響しません。
しかしMFカメラではファインダーが撮影操作そのものなので、程度を確認しましょう。
マイクロプリズム・スプリットイメージ
製造時期によってスクリーン仕様が違います。
どちらの場合も、
- ピントが明確に変化する
- 無限遠で正常に合う
- 極端に傾いていない
ことを確認します。
ファインダーと実写ピント
50mm F1.4など明るいレンズを開放付近にし、
- 約1m
- 2~3m
- 無限遠
で試写します。
ファインダーで合っているのに実写だけ外れるなら、ミラーやフォーカシングスクリーン位置のずれを疑います。
被写界深度プレビューボタン
レンズをF8などへ設定してボタンを押します。
絞りが設定値まで閉じ、離すと開放へ戻ることを確認します。
レンズの自動絞り
シャッターを切った瞬間だけ設定F値まで閉じ、撮影終了後にすぐ開放へ戻るか確認します。
絞り羽根が遅い場合はボディではなくレンズ側の油・固着の可能性もあります。
セルフタイマー
動作未確認個体では慎重に扱います。
少量だけセットし、
- 動き出す
- 途中で止まらない
- 最後にシャッターが切れる
ことを確認します。
約8秒という正確な時間より、途中停止しないことの方が重要です。
フィルム巻き上げ
レバーを最後まで操作します。
- 適度な抵抗
- 引っ掛からない
- シャッターがチャージされる
- スプロケットが回る
- カウンターが進む
ことを確認します。
実際にフィルムを通す
可能なら不要な35mmフィルムを使用します。
シャッターが正常でも、
- フィルムが送れない
- パーフォレーションを破る
- コマ間隔が不均一
という不具合があり得ます。
巻き戻し
底面の巻き戻しボタンを押し、クランクでスムーズに巻き戻せるか確認します。
次の巻き上げ操作で解除機構が復帰することも確認します。
フィルムカウンター
裏蓋を開いた際に自動復帰し、巻き上げごとに正しく進むことを確認します。
フラッシュ端子
電子フラッシュを使うならX端子を確認します。
腐食や緩みがないこと。
1/125秒以下で正常に同期することを実写できれば理想です。
アクセサリーシュー
別売シューが付属している場合、
- 接眼部へ正常に固定できる
- 変形していない
- ネジが欠品していない
ことを確認します。
FTNには標準ホットシューがないため、フラッシュを使用する人には価値があります。
外装のへこみ
FTNは丈夫なカメラですが、丈夫だからこそ乱暴に扱われた個体もあります。
- ペンタ部
- 底面
- マウント周囲
- ストラップアイレット
に強い打痕がないか確認します。
外観傷だけなら撮影には影響しませんが、落下によるマウントずれは別問題です。
三脚穴
765gある重量級ボディです。
大型Nikkorを装着して三脚使用されていた個体も多いため、
- ねじ山潰れ
- 底板変形
- 大きな擦れ
を確認しましょう。
実写テストで確認したい組み合わせ
最終的には1本フィルムを通すのが確実です。
たとえば、
- 1秒
- 1/15秒
- 1/125秒
- 1/500秒
- 1/1000秒
- 開放
- F8
- 近距離
- 無限遠
- 順光
- 逆光
を混ぜて撮影します。
現像後に、
- シャッター速度
- 露出ムラ
- 光漏れ
- ピント
- 絞り連動
- 露出計精度
をまとめて確認できます。
Nikomat FTNが向いている人
Nikomat FTNは次のような人に向いています。
- 完全機械式Nikonを使いたい人
- 電池なしでも全速撮影したい人
- 古い非Ai Nikkorを使いたい人
- カニ爪連動を体験したい人
- 「ガチャガチャ」をやってみたい人
- TTL中央重点測光が欲しい人
- 重量級金属カメラが好きな人
- 1960年代Nikonを楽しみたい人
- Nikon Fよりシンプルな固定ファインダー機が欲しい人
- 露出を自分で決めたい人
特に、
「最新機能はいらない。シャッターと絞りとピントを全部自分で操作したい。でもTTL露出計だけは欲しい」
という人には非常に魅力的です。
Nikomat FTNが向かない場合
一方、次のような人には別モデルの方が扱いやすいでしょう。
- 軽量なカメラが欲しい人
- 絞り優先AEが欲しい人
- オートフォーカスが必要な人
- ホットシューを標準装備してほしい人
- レンズ交換のたびにガチャガチャしたくない人
- 現代の電池をそのまま使いたい人
- Aiレンズ中心で使いたい人
- 1/2000秒以上が必要な人
Aiレンズを便利に使いたいならFT3やFM。
AEまで欲しいならFE。
より高速な完全機械式ならFM2が候補になります。
まとめ
Nikon Nikomat FTNは、1967年に発売された35mmマニュアル一眼レフです。
ニコン公式史では、1965年のNikomat FTをベースに、
中央重点測光と半自動開放F値設定を追加したモデル
として位置づけられています。
主な特徴は、
- 24×36mmの35mm判
- Nikon Fマウント
- 完全マニュアルフォーカス
- 完全マニュアル露出
- B・1秒~1/1000秒
- 完全機械式シャッター
- 電池なしで全速撮影可能
- TTL中央重点測光
- CdS露出計
- ASA12~1600
- 開放測光
- カニ爪式絞り連動
- 「Click-Click」半自動開放F値設定
- ファインダー内追針メーター
- ボディ上面メーター
- 被写界深度プレビュー
- ミラーアップ
- 約8秒セルフタイマー
- 1/125秒X同調
- M・Xシンクロ端子
- 約765g
です。
中古購入で最大のポイントは、機械式シャッターと露出計を別々に評価することです。
露出計が死んでいても、シャッターは使えます。
逆に、露出計の針が動いてもシャッター全速が正常とは限りません。
さらにFTNでは、
レンズを付けたらガチャガチャする。
これを忘れてはいけません。
F5.6でレンズを装着。
絞りリングを最小絞りまで回す。
そこから開放まで戻す。
開放F値表示を確認する。
たったそれだけですが、この操作によってカメラ内部の機械が「このレンズはF1.4だ」「これはF2.8だ」と記憶します。
電気信号もROMもCPUもありません。
爪とピンとリングとラチェットだけで、レンズ情報をカメラへ伝える。
そして電池がなくなっても、1秒から1/1000秒までシャッターは平然と動き続ける。
Nikomat FTNは、TTL測光という当時の新技術を取り込みながら、カメラの核心部分は徹底して機械仕掛けのまま残した、1960年代Nikonを象徴する一眼レフです。









