NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84

ニコンFAのカメラグランプリ84特別仕様モデルです。ゴールドボディとトカゲの革巻き、レンズも金メッキが施された、正に超スペシャルなカメラです。

NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84とは?2,000台限定の金色FAを徹底解説

NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84は、Nikon FAが1984年の「Camera Grand Prix ’84」を受賞したことを記念して発売された特別仕様の35mm一眼レフカメラです。

通常のNikon FAをベースに、シルバー部分を金色に仕上げ、外装にはリザード革を使用。セットとなるAI Nikkor 50mm F1.4Sにも金色の装飾が施され、桐箱へ収められた豪華な記念モデルでした。

しかも生産数は2,000台限定。

当時の販売価格は、Nikon FA Gold本体とAI Nikkor 50mm F1.4Sを組み合わせたセットで50万円でした。ニコン自身も、このFA Goldを「一般販売された同社初の金メッキモデル」と紹介しています。

しかし、見た目だけの記念品ではありません。

中身のFAは、

  • 世界初の5分割Automatic Multi-Pattern測光
  • P・S・A・Mの4露出モード
  • 最高1/4000秒
  • 1/250秒フラッシュ同調
  • Ai-S Nikkor対応
  • TTL自動調光
  • 交換式フォーカシングスクリーン
  • 多重露光
  • モータードライブ対応

など、1983年当時として非常に高度な機能を搭載していました。ニコン公式史では、FAに搭載されたAutomatic Multi-Pattern測光を世界初としています。

この記事では、NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84の誕生背景、通常FAとの違い、金色50mm F1.4、マルチパターン測光、P・S・A・M各モード、中古購入時の真贋・付属品・電子系チェックまで詳しく解説します。

目次

NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84とは

NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84は、Nikon FAのCamera Grand Prix ’84受賞を記念して日本で発売された限定モデルです。

FA自体は1983年9月に発売されました。

ニコンは1977年から、それまでの中央重点測光より高度な自動露出判定を目指して研究を開始。

ファインダー画面を5つに分割してそれぞれの明るさを測り、4ビットマイクロコンピューターで解析するAutomatic Multi-Pattern、略してAMP測光を完成させました。

このシステムを初めて製品化したのがNikon FAです。

そして翌1984年、FAは第1回Camera Grand Prixを受賞しました。

Camera Grand Prixそのものが1984年に始まった賞だったため、FAは文字どおり初代グランプリ受賞機です。

その記念として登場したのがFA Goldでした。

世界限定2,000台

ニコン公式資料では、FA Goldは2,000台限定で販売されたと明記されています。

セット内容は、

Nikon FA Gold+AI Nikkor 50mm F1.4S

で、価格は50万円でした。

現在の感覚でも50万円は高額ですが、1984年当時の50万円です。

日常の撮影機というより、

  • Camera Grand Prix受賞記念
  • コレクター向け
  • ニコンファン向け
  • 贈答・記念品的商品

としての意味合いが非常に強いモデルでした。

ニコン初の「一般販売された金メッキカメラ」

ニコンではFA Gold以前にも、少数の金色カメラを製造したことがありました。

しかし、それらは販売店などへ贈られる記念品でした。

ニコンのCamera Chronicleでは、FA Goldを同社で初めて一般販売された金メッキカメラと説明しています。

つまりFA Goldの価値は、

「FAを金色にした珍品」

だけではありません。

ニコンが正式商品として一般販売した最初のゴールドカメラ

という歴史的意味もあります。

Camera Grand Prix ’84とは

Camera Grand Prixは、その年に日本国内で発売されたスチルカメラから優れた1機種を選ぶ賞として1984年に始まりました。

ニコン公式史によると、第1回となったCamera Grand Prix ’84ではFAが受賞しています。

受賞理由の中心となった技術が、Automatic Multi-Pattern測光でした。

別のニコン公式Camera Chronicleでは、同年のOLYMPUS OM-4と激しく競り合ったことも紹介されています。

OM-4が撮影者自身の判断を積極的に反映するマルチスポット測光を追求したのに対して、FAはカメラ自身が画面を解析し、露出補正の判断を自動化する方向へ進みました。

この思想は後のマトリックス測光へ発展していきます。

FAは現在の「マトリックス測光」の祖先

Nikon FAのAMP測光は、現在でいうマルチパターン測光やマトリックス測光の原型です。

ファインダー画面を5分割し、それぞれから得た明るさをマイクロコンピューターが解析します。

ニコン公式史では、

  • 最大輝度
  • 明暗差
  • 明るい部分と暗い部分の位置
  • 除外された輝度情報

などからパターンを分析して露出を決定したと説明しています。

アルゴリズム開発には1万件を超える実写データが利用されました。

現在のデジタルカメラでは当たり前になった、

「画面全体を複数領域に分け、カメラがシーンを判断して露出を決める」

という発想を、フィルム一眼レフの時代に本格採用したわけです。

5分割Automatic Multi-Pattern測光

FAの取扱説明書では、ファインダースクリーン上の5領域を独立して測光すると説明されています。

通常の自動露出モードではAutomatic Multi-Pattern測光が働きます。

たとえば逆光の人物では、中央重点測光だけなら明るい背景に影響されて人物が暗くなる可能性があります。

FAでは画面内の明暗配置を分析し、暗い人物へ適切な露出を与える方向へ自動補正します。

雪景色や強い反射を含む場面についても、マルチパターン測光側で極端な輝度を考慮するアルゴリズムが組まれています。

中央重点測光にも切り替え可能

FAはマルチパターン測光だけのカメラではありません。

ボディ前面のメータリングコントロールボタンを操作すると、従来型の中央重点測光へ切り替えられます。

ボタンを押し込んだ状態では中央重点測光となり、通常位置へ戻すと自動モードでマルチパターン測光を利用できます。

撮影者が意図的に露出をコントロールしたい場合にも対応できます。

なお、マニュアル露出では中央重点測光が基本です。

通常のNikon FAとの違い

撮影機能そのものは、基本的に通常のNikon FAと共通です。

FA Gold専用の高速シャッターや専用測光方式があるわけではありません。

最大の違いは外装とセット内容です。

金メッキ仕上げ

通常FAのシルバー部分に相当するトップカバーや底部などが金色仕上げになっています。

ニコン公式資料では、これらの部分をgold-platedと説明しています。

リザード革

通常モデルの黒い外装とは異なり、FA Goldにはリザード革が使われています。

金色の金属部と爬虫類革という、非常に豪華な外観です。

金色AI Nikkor 50mm F1.4S

セットレンズはAI Nikkor 50mm F1.4S。

レンズ鏡筒のカップリングリング部分にも金色仕上げが施されています。

さらに純正レンズキャップのNikonロゴまで金色に仕上げられていました。

桐箱

FA Goldは桐箱へ収められて販売されました。

現在では、

  • カメラ本体
  • 50mm F1.4S
  • 金文字レンズキャップ
  • 桐箱
  • 説明書
  • 保証書などの書類
  • 外箱

まで残っているかによってコレクション価値が大きく変わります。

金色外装の手入れにも特別な配慮があった

ニコン公式Camera Chronicleには、FA Gold発売前に金色部分のメンテナンス方法について宝飾店へ助言を求めたというエピソードまで紹介されています。

つまりメーカー自身も、一般の塗装カメラとは異なる取り扱いを想定していたことが分かります。

現在中古で所有する場合も、

  • 研磨剤
  • 金属磨き
  • 強いアルコール
  • 粗い布

などを不用意に使わない方が安全です。

金色だからといってピカールで磨くような行為は避けましょう。

味が出る前にFA Goldそのものが消滅しかねません。

AI Nikkor 50mm F1.4Sとの専用セット

FA Goldに組み合わされたAI Nikkor 50mm F1.4Sは、通常のFAでも使用できるAi-S標準レンズです。

しかしFA Goldセットでは、カメラとの統一感を持たせるため、一部外装へ金色処理が加えられています。

オークション市場でも、FA Gold本体に金色50mm F1.4を組み合わせ、桐箱・書類まで残ったセットが確認されています。

したがってコレクション目的なら、普通の黒い50mm F1.4Sを装着したFA Goldと、オリジナルセット一式では評価を分けて考える必要があります。

50mm F1.4は標準レンズらしい自然な画角

35mm判の50mmは標準レンズです。

主な用途は、

  • 人物
  • スナップ
  • 旅行
  • 静物
  • 日常記録
  • 夜間撮影

など。

F1.4の大口径なので暗い場所でも光を取り込みやすく、開放付近では背景を大きくぼかせます。

FAのP・Sモードを最大限活用する意味でも、Ai-Sレンズとの組み合わせは重要です。

Nikon Fマウント

Nikon FAはNikon Fマウントを採用しています。

取扱説明書では、

  • Ai-S Nikkor
  • Nikon Series E
  • Ai Nikkor
  • 多くのAi改造Nikkor

などが使用可能とされています。

ただし、古い非Aiレンズの一部は露出計連動レバーへ干渉するため、そのまま装着できません。

無理に取り付けるとカメラ側を破損する可能性があります。

Ai-SレンズでFAの機能を最大限発揮

FAはAi-Sレンズとの組み合わせを前提に高度な自動露出制御を行います。

特に、

  • Sモード
  • 高速プログラム
  • 焦点距離情報を利用した制御

ではAi-Sの情報連動が重要です。

通常のAiレンズも利用できますが、すべての自動機能がAi-Sと同じように働くとは限りません。

FA Gold本来の組み合わせとしてAI Nikkor 50mm F1.4Sが選ばれているのも合理的です。

P・S・A・Mの4モード

Nikon FAは、

  • P:プログラムAE
  • S:シャッター優先AE
  • A:絞り優先AE
  • M:マニュアル

の4つを備えています。

取扱説明書では3種類の自動露出モードと、完全マニュアル露出を搭載すると説明されています。

1983年のMF一眼レフとして非常に多機能です。

Pモード

Pでは、カメラがシャッター速度と絞りを両方決定します。

撮影者はピントと構図へ集中できます。

通常のAiタイプでも通常プログラムを利用できますが、Ai-S NikkorやSeries Eの135mm以上では高速プログラムが利用されます。

高速プログラム

望遠レンズでは、標準レンズより手ブレしやすくなります。

そこでFAは、135mm以上のAi-Sレンズなどを認識すると、シャッター速度を高めに保つ高速プログラムへ変更します。

ニコン公式史でも、135mm以上の望遠レンズ装着時に手ブレを抑えるため高速プログラムを採用したと説明しています。

現在では焦点距離に応じて最低シャッター速度を変える仕組みは珍しくありませんが、1983年のMF機でこれを自動化していました。

Sモード

Sでは撮影者がシャッター速度を決め、カメラが絞り値を自動設定します。

ニコン公式史では、FAをニコン初のシャッター優先AE搭載機としています。

動く被写体なら1/1000秒や1/2000秒、流動感を出したければ1/15秒や1/30秒など、速度を先に決められます。

設定したシャッター速度では適正露出を得られない場合、FA側が速度を補正する安全機構もあります。

Aモード

Aではレンズの絞りリングでF値を選び、カメラが適切なシャッター速度を自動設定します。

人物でF1.4~F2.8を使って背景をぼかす。

風景でF8~F11へ絞る。

といった撮影に適しています。

FAの中では、昔ながらのNikon FE系に最も近い操作感です。

Mモード

Mではシャッター速度と絞りを両方手動設定します。

ファインダーLCDへ、

  • M
  • 選択シャッター速度
  • +
  • -

などが表示され、適正露出とのずれを確認できます。

なおMモードでは中央重点測光となります。

最高1/4000秒

FAは最高1/4000秒の電子制御シャッターを搭載しています。

シャッターは縦走行式の金属フォーカルプレーンで、チタン幕を使用します。

自動露出では基本的に1秒~1/4000秒を無段階制御。

S・Mでは1秒~1/4000秒を段階設定します。

1980年代前半のカメラとして非常に高速です。

1/4000秒があるメリット

最高1/4000秒なら、

  • 晴天下でF1.4を使う
  • ISO400フィルムを日中に使う
  • 動く人物を止める
  • スポーツ
  • 高速移動する被写体

などで有利です。

特に50mm F1.4との組み合わせでは、明るい日中でも開放寄りの撮影を行いやすくなります。

フラッシュ同調は1/250秒

電子フラッシュの同調速度は1/250秒です。

対応Nikon Speedlightでは、カメラが自動的に1/250秒へ設定する機能も備えています。

1983年のフォーカルプレーンシャッター機として高速な同調速度です。

TTL自動調光に対応

ホットシューには専用接点があり、対応SpeedlightではTTLダイレクト調光を利用できます。

取扱説明書ではSB-15、SB-16B、SB-18などとの組み合わせが案内されています。

フィルム面から反射したストロボ光を測り、適正量で発光を停止します。

M250は電池がなくても作動

FAは電子制御シャッターですが、完全に電池依存ではありません。

シャッターダイヤルには「M250」があります。

M250では露出計も電子制御も使用せず、機械式で1/250秒を切れます。

電池が完全に切れても、

  • M250
  • B

は使用できます。

電子カメラでありながら、最低限の撮影能力を残しています。

電池が切れたらM250またはB

通常の1秒~1/4000秒やAE機能には電池が必要です。

電池切れ時にはシャッターを切れませんが、M250またはBなら機械的に作動します。

旅行先で突然電池がなくなっても、単体露出計やサニー16を使えば1/250秒固定で撮影を続けられます。

電池は現在でも用意しやすい

FAの取扱説明書では、

  • 3Vリチウム電池1個
  • 1.55V酸化銀電池2個
  • 1.5Vアルカリマンガン電池2個

に対応するとされています。

水銀電池専用の古いカメラと違い、現代でも代替しやすいことは実用上大きな利点です。

ISO12~4000

フィルム感度設定範囲はASA/ISO12~4000です。

低感度フィルムから高感度フィルムまで幅広く対応します。

DXコードによる自動感度設定はありません。

フィルム交換時は必ず手動でISOを設定しましょう。

±2EVの露出補正

露出補正は±2EV。

1/3EV刻みで設定できます。

マルチパターン測光でも意図どおりにならない場面や、意図的に明るく・暗く仕上げたい場合に利用します。

補正中はファインダー内に警告表示が出ます。

多重露光機能

FAには多重露光レバーがあります。

同じフィルムコマへ複数回撮影する表現を比較的簡単に行えます。

フィルムを送らずシャッターだけ再チャージできるため、

  • 月と風景
  • 人物の重ね撮り
  • 光跡
  • 抽象表現

などに利用できます。

交換式フォーカシングスクリーン

標準はType K2。

中央スプリットイメージ、マイクロプリズムカラー、マット面を組み合わせたスクリーンです。

Type B2、E2もオプションとして用意されていました。

MFカメラなので、ファインダーとスクリーンの状態は現在でも重要です。

ファインダー倍率0.8倍・視野率約93%

50mmレンズ・無限遠で倍率約0.8倍、視野率は約93%です。

絞り値はADR窓から直接読み取る方式で、シャッター速度や露出情報はLCDへ表示されます。

LCD表示には経年劣化がある

FAはファインダー内に液晶表示を使用します。

取扱説明書自身も、高温では液晶全体が黒くなり、低温では応答速度が低下する特性について説明しています。

製造から40年以上経過した現在では、

  • 表示が薄い
  • 一部欠ける
  • 黒ずむ
  • 表示が出ない

といった経年不良にも注意が必要です。

Motor Drive MD-15・MD-12に対応

通常は手巻きですが、Motor Drive MD-15またはMD-12による自動巻き上げへ対応しています。

FA専用性を重視するならMD-15との組み合わせが代表的です。

ただしGoldモデルの場合、外観上の特別感を重視して、あえて通常状態で保存されている個体も多いでしょう。

Goldモデルにモータードライブを付けるべきか

撮影自体は可能でも、FA Goldの場合は慎重に考えたいところです。

モータードライブ装着には底部やグリップ周辺へ接触します。

通常FAなら実用品として気にする必要がない擦れでも、限定Goldではコレクション価値に影響する可能性があります。

FA Goldをコレクション目的で所有するなら、

「使えるアクセサリー」と「実際に使うべきアクセサリー」は別

と考えた方がよいでしょう。

Nikon FA Goldの基本スペック

Goldモデルの撮影機構は通常FAを基本とします。

項目内容
カメラ形式35mmマニュアルフォーカス一眼レフ
ベースモデル発売1983年9月
Gold発売Camera Grand Prix ’84受賞記念
Gold生産数2,000台
当時価格500,000円・50mm F1.4Sセット
画面サイズ24×36mm
マウントNikon F・Ai対応
セットレンズAI Nikkor 50mm F1.4S
ピントマニュアル
測光5分割Automatic Multi-Pattern/中央重点
受光素子SPD×2
露出モードP・S・A・M
測光範囲EV1~20・ISO100/F1.4
シャッター電磁制御縦走行金属フォーカルプレーン
シャッター幕チタン
電子シャッター1秒~1/4000秒
機械シャッターM250・1/250秒
Bあり
X同調1/250秒
TTLフラッシュ対応
ISO12~4000
露出補正±2EV・1/3EV刻み
多重露光あり
セルフタイマー約10秒
スクリーンK2・交換可能
ファインダー倍率約0.8倍
視野率約93%
モータードライブMD-15・MD-12
電池3Vリチウム×1または酸化銀×2など
通常FAボディ寸法約142.5×92×64.5mm
通常FAボディ重量約625g

通常FAの機械・電子仕様は取扱説明書によります。

中古購入時に最初に考えるべきこと

NIKON FA GOLDでは、通常FAとは中古選びの優先順位が変わります。

一般的なFAなら、

「撮影できるか」

が最重要です。

FA Goldでは、

「本物のGoldセットとしてどこまで残っているか」

も同じくらい重要になります。

つまり、

  1. Goldモデルとしての真正性
  2. オリジナル外装の状態
  3. 専用レンズ・キャップ
  4. 桐箱・書類
  5. カメラとしての機能

の両方を見る必要があります。

本当にFA Goldなのか確認する

最初に、普通のFAを後から金色へ塗装・メッキした個体ではないことを確認します。

FA Goldはメーカー公式限定モデルとして存在し、博物館所蔵品や著名オークションでも実物が確認できます。

判断材料として、

  • 外装仕上げ
  • リザード革
  • シリアル番号
  • 専用50mm F1.4S
  • 金色レンズキャップ
  • 桐箱
  • 書類
  • 過去の来歴

を総合的に確認します。

シリアル番号だけで真贋を断定するのは避けましょう。

シリアル番号

実在するFA Goldには200万番台の個体が複数確認されています。

たとえばGeorge Eastman Museum所蔵品は2003804、Leitz Auctionでは2001457、2002323、2006259などが確認できます。

ただし、

「200xxxxなら必ずFA Gold」

という意味ではありません。

番号だけではなく外装・レンズ・書類・来歴を総合して判断しましょう。

オリジナルの50mm F1.4Sか

セットレンズの有無は重要です。

FA Goldの販売セットにはAI Nikkor 50mm F1.4Sが含まれ、そのカップリングリングにも金色仕上げが施されています。

普通の黒い50mm F1.4Sへ交換されている個体も撮影には問題ありません。

しかしコレクターズセットとしての完全性は下がります。

レンズキャップ

ニコン公式資料では、FA Goldセット用50mm F1.4SのレンズキャップはNikonロゴまで金色とされています。

一見すると小さな部品ですが、現在では本体以上に探しにくい可能性があります。

純正セットを重視するなら見落とさないようにしましょう。

桐箱

FA Goldは桐箱入りでした。

著名オークションでも、

  • 桐箱あり
  • 書類あり
  • メーカー外箱あり

という完全度の高い個体が確認されています。

箱だけ後から入手するのは難しいため、コレクション目的では非常に重要です。

金色部分の擦れ

通常カメラなら多少の擦れは実用上問題ありません。

FA Goldでは違います。

特に、

  • 上面角
  • 底面
  • ストラップ金具周辺
  • シャッターダイヤル
  • 巻き戻し部
  • レンズマウント周辺
  • レンズ鏡筒

の擦れを確認します。

金色仕上げが摩耗して下地が見えていると、外観価値に大きく影響します。

金色部分を磨かない

中古品でくすみを見つけても、研磨剤で磨くのは避けましょう。

ニコン自身が宝飾店へメンテナンス方法を相談したというほど特殊な外装です。

基本は乾いた柔らかい布で、ごく軽く扱う程度にとどめた方が安全です。

リザード革の状態

外装革について、

  • 乾燥
  • 浮き
  • 剥がれ
  • ひび
  • 硬化
  • カビ

を確認します。

通常のFAなら張り革を交換する選択肢があります。

しかしFA Goldで交換してしまえば、オリジナル状態を失う可能性があります。

コレクション品では「直せるか」より「オリジナルがどこまで残っているか」が重要です。

電池室

電子FAとして最初に確認したい場所です。

  • 液漏れ
  • 白い腐食
  • 緑青
  • 接点の黒ずみ
  • 電池蓋の固着
  • ねじ山の破損

がないか確認します。

電池室だけきれいでも内部回路が正常とは限りませんが、液漏れ跡は重要な警告サインです。

ファインダーLCD

新品電池を入れ、シャッターボタンを半押しします。

LCDが表示されることを確認します。

正常なら、指を離してもしばらく表示が残ります。取扱説明書では約16秒とされています。

確認する症状は、

  • 表示なし
  • 数字の一部欠け
  • 極端に薄い
  • 黒いにじみ
  • 点いたり消えたりする

などです。

Pモード

Ai-S 50mm F1.4など対応レンズを装着し、Pへ設定します。

明るい場所と暗い場所へ向け、

  • シャッター速度表示が変わる
  • 絞り制御が変わる
  • HI/Lo警告が正常

か確認します。

Sモード

Sへ設定し、

  • 1/30秒
  • 1/125秒
  • 1/500秒
  • 1/2000秒

などを選びます。

レンズの絞りが自動的に変化することを確認します。

Ai-Sレンズでチェックするのが理想です。

Aモード

F1.4、F4、F8、F16と絞りを変えます。

同じ被写体なら、絞るほどカメラが遅いシャッター速度を選ぶ必要があります。

Mモード

速度と絞りを手動設定し、ファインダー内の+/-表示が反応するか確認します。

マルチパターンだけでなく、中央重点測光側も確認できます。

マルチパターン測光

通常位置で明暗差のある場面へ向けます。

次に中央重点測光へ切り替えます。

逆光などでは表示や実際の露出判断に差が出ることがあります。

どちらへ切り替えてもまったく反応が変わらない場合は、メータリングボタンや測光回路を確認しましょう。

メータリングコントロールボタン

前面ボタンを、

  • 押す
  • ロックする
  • 解除する

という操作が正常にできるか確認します。

古いカメラなので、ボタン固着にも注意します。

露出計精度

現代のデジタルカメラまたは単体露出計と比較します。

ISO100など条件をそろえ、

  • 順光
  • 逆光
  • 室内
  • 日陰

を確認するとよいでしょう。

FAの価値を象徴する機能が測光なので、単に「針が動く」より重要です。

1/4000秒

最高速は耳だけでは判定できません。

可能ならシャッターテスターを使います。

フィルムで確認する場合は均一な空や壁を撮影し、

  • 画面片側だけ暗い
  • 帯状の露出ムラ
  • 高速だけ露出不足

がないか確認しましょう。

低速シャッター

1秒、1/2秒、1/4秒などでは速度差を耳でも確認できます。

電子制御なので、

  • シャッターが閉じない
  • ミラーが戻らない
  • 数回に1回停止する

場合は注意が必要です。

M250

電池を外すか電子系を切った状態でも、M250で1/250秒が作動することを確認します。

M250は機械制御です。

電子系が故障しているFAでもM250だけ動く場合があります。

したがって、

「シャッター切れました!」の確認がM250だけだった

という中古出品には要注意です。

B

Bへ設定し、押している間だけ開き、離したとき正常に閉じるか確認します。

Bも機械制御です。

シャッター幕

裏蓋を開き、チタン製シャッター幕を確認します。

  • 曲がり
  • 傷
  • へこみ
  • 油
  • 異物

がないことを確認します。

非常に薄い部品なので絶対に指で押してはいけません。

ミラー

  • 傷
  • 腐食
  • 汚れ
  • 撮影後の復帰

を確認します。

写真へ直接写る部品ではありませんが、測光やピント合わせへ影響します。

ファインダー

明るい壁へ向け、

  • プリズムの曇り
  • カビ
  • スクリーンの傷
  • LCD
  • ADR表示
  • スプリットイメージ

を確認します。

FA Goldだからといって光学ファインダーだけが特別強化されているわけではありません。

通常FAと同じように経年劣化します。

スクリーン

標準K2が装着されているか確認します。

別スクリーンへ交換されていること自体は故障ではありません。

しかしコレクション状態を重視するなら純正構成も確認します。

絞り連動

Ai-Sレンズを装着し、シャッターを切ります。

設定値またはカメラが決めたF値まで瞬時に絞られ、撮影後すぐ開放へ戻る必要があります。

粘る場合はボディ側だけでなくレンズ側も確認しましょう。

50mm F1.4Sの絞り羽根

Goldセットのレンズでは特に慎重に確認します。

  • 油
  • 粘り
  • 羽根の変形
  • 戻り遅れ

がないか見ます。

希少な外装なので、不必要な分解整備はオリジナル性にも影響します。

50mm F1.4Sのカビ・曇り

金色の鏡筒がきれいでも、光学系が良いとは限りません。

  • カビ
  • 曇り
  • 傷
  • コーティング劣化
  • バルサム異常

を光に透かして確認します。

コレクション価値と撮影性能は別々に判断しましょう。

フィルム巻き上げ

レバーを最後まで操作し、

  • 滑らか
  • シャッターがチャージされる
  • カウンターが進む
  • スプロケットが回る

ことを確認します。

巻き上げレバーはシャッターロックも兼ねています。

フィルムカウンター

裏蓋を開くと自動復帰します。

FAには、フィルムカウンターが1へ到達する前の空シャッターで1/250秒が使われる特徴があります。

そのため中古テストで、

「1/1000秒にしたのに全部同じ速度!」

となった場合、カウンターが1以前でないか確認しましょう。

これは故障ではありません。

多重露光レバー

シャッターボタン付近の多重露光レバーが正常に動くことを確認します。

フィルム送りを行わずシャッターだけチャージできる必要があります。

セルフタイマー

約10秒のセルフタイマーを搭載します。

電子系と機械系が混在する古いカメラなので、動作未確認個体で無理にテストする必要はありません。

コレクション重視のFA Goldなら、なおさら強引な操作は避けましょう。

モータードライブ接点

底面のMD接点やカップリング部を確認します。

腐食や破損がないか見ます。

ただしGoldモデルでは、実際にモータードライブを脱着して外装へ傷を付けるリスクとのバランスも考えましょう。





通常FAとFA Gold、どちらを買うべき?

撮影目的なら通常FA

純粋にFAの、

  • マルチパターン測光
  • P/S/A/M
  • 1/4000秒
  • Ai-S連動

を楽しみたいだけなら、通常FAの方が合理的です。

傷を気にせず使え、同じ基本機能を楽しめます。

コレクション目的ならFA Gold

FA Goldの価値は限定性、歴史性、オリジナルセットにあります。

撮影性能だけで通常FAとの差額を説明するカメラではありません。

「撮影にも使いたい」は慎重に

もちろんFA Goldでも撮影できます。

しかし、

  • ストラップ金具の擦れ
  • 巻き上げ操作
  • 三脚装着
  • モータードライブ
  • フィルム交換
  • レンズ交換

のたびに外装へ傷を付ける可能性があります。

実写用FAとGold FAを同じ感覚で扱うのはおすすめしにくいところです。

NIKON FA GOLDが向いている人

次のような人に向いています。

  • Nikonコレクター
  • FAを象徴する記念モデルが欲しい人
  • Camera Grand Prix史に興味がある人
  • 1980年代の日本製カメラを収集している人
  • 限定カメラが好きな人
  • 金色カメラを集めている人
  • Ai-S Nikkorを収集している人
  • 完品セットを長期保存したい人
  • Nikonの露出制御技術史に興味がある人

特に、

「ただ希少なだけでなく、技術史的にも重要な限定機」

を探している人には非常に魅力があります。

NIKON FA GOLDが向かない場合

一方、次のような人には通常FAの方が適しています。

  • 気軽に毎日持ち歩きたい人
  • 傷を気にしたくない人
  • 雨天や旅行で酷使したい人
  • 撮影性能だけを求める人
  • モータードライブを積極的に使いたい人
  • コレクション価値に興味がない人
  • 高額な中古カメラを避けたい人

FA Goldだから通常FAより写真が高画質になるわけではありません。

撮影性能の基本はFAそのものです。

まとめ

NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84は、Nikon FAが第1回Camera Grand Prixを受賞したことを記念して発売された特別仕様です。

ニコン公式資料によると、

  • 1984年Camera Grand Prix受賞記念
  • 限定2,000台
  • FA Gold+AI Nikkor 50mm F1.4S
  • 当時50万円
  • 金メッキ外装
  • リザード革
  • 金色装飾の50mm F1.4S
  • 金色Nikonロゴ入りレンズキャップ
  • 桐箱入り
  • ニコン初の一般販売金メッキモデル

という、非常に豪華な仕様でした。

しかもベースとなったFA自体が、単なる普通の一眼レフではありません。

5分割した画面情報をマイクロコンピューターで解析する、世界初のAutomatic Multi-Pattern測光を採用。

P・S・A・Mの4モード。

最高1/4000秒。

1/250秒TTLフラッシュ同調。

Ai-Sレンズを利用した高速プログラム。

そして電池が切れてもM250とBだけは機械的に動く。

1983年のマニュアルフォーカス一眼レフとして、非常に高度な技術が投入されていました。

だからこそCamera Grand Prix初代王者になったわけです。

中古で購入する場合、普通のFA以上に「何が残っているか」が重要です。

カメラ本体だけではなく、

  • オリジナル金色50mm F1.4S
  • レンズキャップ
  • 桐箱
  • 書類
  • 外箱
  • 金色外装
  • リザード革
  • 来歴

まで確認しましょう。

そして機能面では、

  • ファインダーLCD
  • マルチパターン測光
  • 中央重点測光
  • P・S・A・M
  • 1/4000秒
  • M250
  • 絞り連動
  • 電池室
  • シャッター幕

まで確認します。

通常のFAなら、多少傷があっても「使い込まれた味」で済みます。

Gold FAでは、その擦り傷一つがコレクション価値へ直結します。

第1回Camera Grand Prixを制した最先端の電子制御一眼レフを、2,000台限定で金色に仕立て、50mm F1.4とともに桐箱へ収める。NIKON FA GOLD CAMERA GRAND PRIX ’84は、1980年代の日本カメラ産業が持っていた技術力と勢いを、そのまま黄金色にした記念碑的な一台です。

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