Nikon FM2

ニコンFM2ブラックモデルです。純正のストラップも付属しています。

Nikon FM2(ニコンFM2)は、35mmフィルムを使用するマニュアルフォーカス一眼レフカメラです。

電池がなくても全シャッター速度で撮影できる機械式シャッターを搭載しながら、最高1/4000秒という高速シャッターを実現。露出、ピント、フィルム巻き上げを撮影者自身で操作する、ニコンを代表する機械式カメラの一つです。

なお、FM2には1982年発売の初期型と、1984年に改良された「New FM2」があります。正面にはどちらも「FM2」と表示されるため、中古品ではシャッターダイヤルなどを確認して判別する必要があります。

目次

Nikon FM2とは

Nikon FM2は、1982年3月に発売された35mm判一眼レフカメラです。

1977年発売のNikon FMをベースに、最高シャッター速度を1/1000秒から1/4000秒へ高速化。発売当時、一般用一眼レフとして世界最高速となる1/4000秒の機械式シャッターを搭載しました。初期型のフラッシュ同調速度は1/200秒です。

電池がなくても撮影できる機械式カメラ

FM2のシャッターは機械式です。

電池は内蔵露出計を動かすために使われ、シャッターそのものには必要ありません。そのため、電池が切れた場合でも、Bと1秒から1/4000秒までの全速度で撮影できます。

外部露出計やスマートフォンの露出計アプリを利用すれば、電池を入れずに撮影することも可能です。

一方、絞りやシャッター速度を自動的に決定するAE機能はありません。撮影者がファインダー内の露出表示を確認し、絞りとシャッター速度を手動で設定します。

最高1/4000秒の高速シャッター

Nikon FM2を象徴する機能が、最高1/4000秒の縦走りフォーカルプレーンシャッターです。

ニコンは高速化のため、シャッター羽根へハニカム状の肉抜き加工を施したチタン素材を採用しました。シャッター羽根を軽量化しながら強度を確保し、高速走行を可能にしています。

明るい場所でも絞りを開きやすい

最高1/4000秒を利用すれば、晴天の屋外でもF1.4やF2などの大きな絞りを選びやすくなります。

背景をぼかした人物撮影や、浅い被写界深度を利用した表現に便利です。また、スポーツや乗り物など、動きの速い被写体を止めて写したい場面にも利用できます。

ただし、古いカメラではシャッターダイヤルが1/4000秒を示していても、実際に正確な速度で作動しているとは限りません。中古品では高速側の精度も重要になります。

初期型FM2とNew FM2の違い

Nikon FM2には、大きく分けて初期型とNew FM2があります。

初期型FM2

初期型は1982年に発売されました。

最高シャッター速度は1/4000秒、電子フラッシュの同調速度は1/200秒です。シャッターダイヤルには赤い「200」の表示があります。

New FM2

1984年には、フラッシュ同調速度を1/250秒へ高速化したNew FM2が登場しました。

海外ではFM2Nと呼ばれますが、日本国内ではNew FM2の名称が使われました。シャッターダイヤルの赤い同調速度表示が「250」になっていることが、初期型との分かりやすい違いです。

中古市場ではNew FM2も単に「Nikon FM2」として販売されることがあります。正確な型式を知りたい場合は、商品名だけでなくシャッターダイヤルを確認しましょう。

TTL中央部重点測光を搭載

FM2には、撮影レンズを通過した光を測定するTTL露出計が内蔵されています。

測光方式は、画面中央を重視しながら画面全体の明るさも測る中央部重点測光です。受光素子にはSPDが使用され、レンズを開放した明るい状態で測光できます。

LED表示を見ながら露出を合わせる

シャッターボタンを軽く押すと露出計が作動し、ファインダー内に赤いLEDが点灯します。

表示の意味は次のとおりです。

  • 「+」:露出オーバー
  • 「○」:適正露出
  • 「-」:露出不足

「+」が点灯した場合は、シャッター速度を速くするか絞りを閉じます。「-」が点灯した場合は、シャッター速度を遅くするか絞りを開きます。

シャッターボタンから指を離した後も露出計は約30秒間作動し、その後自動的に消灯します。

自動露出ではない

露出計が適正値を示しても、カメラが設定を変更してくれるわけではありません。

撮影者が絞りリングとシャッターダイヤルを操作し、「○」が点灯する組み合わせを探します。

背景をぼかしたい場合は先に絞りを決め、露出計を見ながらシャッター速度を調整します。動きを止めたい場合は先にシャッター速度を決め、絞りで適正露出へ合わせると分かりやすいでしょう。

Nikon Fマウントを採用

FM2はニコンFマウントを採用しています。

基本的には、絞りリングとAi連動爪を備えたAi方式またはAi-S方式のNIKKORレンズが適しています。

非Aiレンズは無理に装着しない

FM2はAi方式のカメラです。

Ai改造されていない古い非Aiレンズを無理に装着すると、ボディー側の露出計連動レバーを破損する可能性があります。レンズがニコンFマウントだからといって、すべて安全に装着できるわけではありません。

中古レンズを使用するときは、絞りリングにAi連動用の段差があるか確認しましょう。

絞りリングのないレンズにも注意

Gタイプレンズなど、絞りリングを持たないレンズでは、FM2から絞り値を設定できません。

また、電子制御によって絞りを動かすレンズや、APS-Cデジタルカメラ向けのDXレンズも、FM2での使用には制限があります。

FM2では、マニュアルフォーカスのAi NIKKOR、Ai-S NIKKOR、Nikon Series Eなどを中心に選ぶと扱いやすいでしょう。

ピント合わせはマニュアルフォーカス

Nikon FM2にはオートフォーカス機能がありません。

ファインダー中央にはスプリットイメージ、その周囲にはマイクロプリズムが配置されています。

スプリットイメージを合わせる

ピントが外れていると、中央の被写体像が上下にずれて見えます。

フォーカスリングを回し、分断された線や輪郭が一直線につながればピントが合った状態です。

被写体の輪郭が分かりにくい場合は、その周囲にあるマイクロプリズム部分を確認します。像のちらつきが消え、明瞭に見える位置へ合わせましょう。

フォーカシングスクリーンを交換できる

標準ではスプリットイメージとマイクロプリズムを備えたK2型スクリーンが装着されています。

全面マット型や、方眼線を備えたタイプなども用意され、レンズマウント側から交換できます。撮影用途に応じてスクリーンを変更できることも、FM2の特徴です。

Nikon FM2の基本スペック

以下は、主にNew FM2の代表的な仕様です。

項目仕様
発売年初期型1982年/New FM2は1984年
カメラ形式35mm一眼レフカメラ
使用フィルム35mm・135フィルム
画面サイズ24×36mm
レンズマウントニコンFマウント・Ai方式
ピント合わせマニュアルフォーカス
露出方式マニュアル
測光方式TTL中央部重点開放測光
露出表示LED式・+/○/-
シャッター縦走り金属幕フォーカルプレーン
シャッター速度B、1秒~1/4000秒
フラッシュ同調初期型1/200秒/New FM2は1/250秒
フィルム感度ISO12~6400
ファインダー視野率約93%
フィルム巻き上げレバー式
多重露出対応
セルフタイマーあり
モータードライブMD-12対応
電源3V電池1個、または1.5V系電池2個
サイズ約142.5×90×60mm
ボディー重量約540g

MD-12による自動巻き上げに対応

FM2は、別売りのモータードライブMD-12を装着できます。

MD-12を使用すると、撮影後のフィルム巻き上げとシャッターチャージを自動化できます。通常は巻き上げレバーを操作する必要がありますが、MD-12を装着すれば連続撮影にも対応可能です。

中古でMD-12付きの個体を購入するときは、電池室の液漏れ、接点の腐食、モーターの作動を確認しましょう。

モーター音がしても、フィルム送りやシャッターチャージが正常に行われているとは限りません。

多重露出にも対応

FM2には、同じフィルム面へ複数回撮影する多重露出機能があります。

多重露出レバーを操作しながらフィルム巻き上げレバーを動かすと、シャッターだけがチャージされ、フィルムは次のコマへ送られません。

同じコマへ異なる被写体を重ねたり、夜景と人物を組み合わせたりできます。

ただし、重ねて撮影するほど光量が増えるため、それぞれの撮影で露出を少なくするなどの調整が必要です。

Nikon FMやFE2との違い

Nikon FMとの違い

Nikon FMは1977年に発売されたFM2の前身です。

FMの最高シャッター速度は1/1000秒、フラッシュ同調速度は1/125秒。FM2では最高1/4000秒まで高速化され、初期型でも1/200秒のフラッシュ同調を実現しています。

基本的な操作感は似ていますが、高速シャッターを重視する場合はFM2が有利です。

Nikon FE2との違い

FE2はFM2と外観がよく似ていますが、絞り優先AEを搭載した電子制御式カメラです。

撮影者が絞りを設定すると、FE2が適切なシャッター速度を自動的に決定します。一方、FM2は露出をすべて手動で設定し、シャッターは電池なしでも全速度で作動します。

自動露出の便利さを求めるならFE2、機械式シャッターの信頼性と手動操作を重視するならFM2が適しています。

中古のNikon FM2を購入するときの注意点

初期型かNew FM2か確認する

まず、シャッターダイヤルのフラッシュ同調表示を確認します。

  • 赤い「200」:初期型FM2
  • 赤い「250」:New FM2

どちらが優れているというより、正確な型式を把握したうえで仕様や価格を判断することが重要です。

シャッター羽根の状態

裏蓋を開き、金属製シャッター羽根を確認します。

次の症状がないか見ておきましょう。

  • 羽根の変形
  • 強い傷
  • 油の付着
  • 羽根同士の重なりの乱れ
  • 走行途中での停止
  • 指や工具で押された跡

シャッター羽根は薄く、わずかな変形でも高速走行へ影響する可能性があります。絶対に指で触れないようにしましょう。

低速から高速まで確認する

1秒から1/4000秒までシャッター速度を変更し、設定に応じて作動音や開閉時間が変化するか確認します。

1秒などの低速側で途中停止する場合は、ガバナーの汚れや油切れが考えられます。

高速側は音だけでは精度を判断できません。1/4000秒が作動しているように見えても、幕速が不均一なら写真の一部が暗くなることがあります。可能であれば撮影確認済みの個体を選びましょう。

露出計の動作

電池を入れ、シャッターボタンを半押しします。

明るい場所と暗い場所へカメラを向け、LED表示が「+」「○」「-」の間で変化するか確認しましょう。絞りやシャッター速度を変更した際にも、表示が連動する必要があります。

LEDが点灯しても測光値が正しいとは限りません。正常な露出計やデジタルカメラと比較して、大きな誤差がないか確認すると安心です。

電池室の腐食

底部の電池室を開け、白色や緑色の付着物、端子の錆、電池蓋の固着がないか確認します。

FM2は電池なしでも撮影できますが、電池室から内部へ腐食が広がっていると、露出計や配線へ影響する可能性があります。

巻き上げレバーとフィルム送り

巻き上げレバーを操作し、滑らかに最後まで動くか確認します。

併せて、次の部分も見ておきましょう。

  • シャッターが確実にチャージされる
  • フィルムカウンターが進む
  • 巻き取り軸が回る
  • スプロケットが回転する
  • 裏蓋を開けるとカウンターが戻る
  • 多重露出レバーが正常に解除される

巻き上げが極端に重い場合は、無理に力を加えないようにします。

ファインダーとスクリーン

ファインダー内部のカビ、クモリ、ゴミ、プリズム腐食を確認します。

フォーカシングスクリーンの傷や汚れは写真には写りませんが、ピント合わせを難しくします。

スクリーンは非常に傷つきやすいため、取り外して直接拭くのは避けたほうが安全です。

ミラーとモルト

シャッターを切った後、ミラーが素早く元の位置へ戻るか確認します。

ミラー上部の緩衝材や裏蓋の遮光モルトは、経年劣化によって粘着質になったり、粉状に崩れたりすることがあります。

裏蓋のモルトが劣化すると、撮影画像へ光が入り込む原因になります。




Nikon FM2はどんな人に向いている?

Nikon FM2は、次のような人に向いています。

  • 電池に頼らない機械式カメラを使いたい人
  • 絞りとシャッター速度を自分で設定したい人
  • フィルム写真の基本を学びたい人
  • マニュアルフォーカスを楽しみたい人
  • Ai・Ai-S NIKKORレンズを所有している人
  • 最高1/4000秒の高速シャッターを使いたい人
  • 長く使えるシンプルな一眼レフを探している人

一方、オートフォーカスや自動露出を使いたい人には向きません。

露出計は撮影を補助してくれますが、最終的な絞りとシャッター速度は自分で決める必要があります。

まとめ

Nikon FM2は、最高1/4000秒の機械式シャッターとTTL中央部重点測光を搭載した、35mmマニュアルフォーカス一眼レフカメラです。

電池は露出計にのみ使用され、シャッターは電池なしでもBと1秒から1/4000秒まで作動します。

1982年発売の初期型はフラッシュ同調速度が1/200秒、1984年登場のNew FM2では1/250秒へ高速化されました。どちらも正面表記はFM2なので、中古品ではシャッターダイヤルを確認することが重要です。

購入時には、シャッター羽根、高速・低速シャッター、露出計、電池室、巻き上げ機構、ファインダー、ミラー、モルトを確認しましょう。

正常に整備された個体なら、露出、ピント、フィルム送りを一つずつ操作する楽しさと、ニコン機械式一眼レフならではの堅実な撮影感覚を味わえるでしょう。

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