CANON REFLEX LENS 500mm F8 レフレックスレンズ

CANON REFLEX LENS 500mm F8

「CANON REFLEX LENS 500mm F8」は、キヤノンがフィルム一眼レフ時代に発売した超望遠のレフレックスレンズです。

一般的な500mmクラスの望遠レンズとは異なり、内部にミラーを使った反射光学系を採用していることが最大の特徴。

500mmという超望遠でありながら鏡筒を大幅に短くでき、さらに重量も抑えられているという、非常に個性的なレンズです。

そしてレフレックスレンズならではの特徴として知られているのが、背景の光源などが輪のように写る「リングボケ」「ドーナツボケ」。

普通のレンズとはひと味違う写真を楽しめる、オールドレンズらしい一本でもあります。

目次

CANON REFLEX LENS 500mm F8とは

キヤノンのFD時代には「Reflex 500mm F8 S.S.C.」が1978年9月に発売されています。

主な仕様は以下のとおりです。

  • 焦点距離:500mm
  • 開放F値:F8固定
  • レンズ構成:3群6枚
  • 絞り羽根:なし
  • 最短撮影距離:4m
  • 最大撮影倍率:0.14倍
  • フィルター径:34mm
  • 最大径×長さ:90×146mm
  • 重量:740g
  • 発売時価格:85,000円

キヤノンによれば、このレンズは反射光学系を採用することで、500mmという焦点距離ながら軽量・コンパクト化を実現した超望遠レンズです。

500mmで全長146mmという数字を見ると、この方式がどれほど特殊なのかが分かります。

「レフレックスレンズ」とは?

通常のカメラレンズでは、光は何枚ものレンズを通過しながら撮像面へ向かいます。

一方、レフレックスレンズでは内部に設けられたミラーで光を反射させ、光路を折り返します。

その結果、本来なら長大になりがちな超望遠レンズを、かなり短い鏡筒に収めることができます。

キヤノンもこの方式について、

  • 光路を折り返すことで全長を短縮できる
  • 超望遠で問題になりやすい二次色収差を大幅に補正できる

というメリットを挙げています。

普通の500mmと比べると驚くほど小さい

同時代のキヤノン製500mmレンズと比べると、その違いはかなり極端です。

たとえば「FD500mm F4.5L」は全長395mm、重量2,950g。

それに対してReflex 500mm F8 S.S.C.は全長146mm、重量740gです。

もちろんF4.5とF8では明るさも用途も違うため単純比較はできません。

それでも、

「500mmの超望遠レンズを持ち歩けるサイズにする」

というレフレックス方式の狙いは非常に分かりやすいでしょう。

絞り羽根がない!F8固定の特殊構造

このレンズには通常のレンズにある絞り羽根がありません。

したがって、

F8
↓
F11
↓
F16

といった具合に絞りを変更することはできません。

撮影時のF値は常にF8です。キヤノン公式資料でも、反射光学系を採用しているためF値は常時F8になると説明されています。

つまり露出を調整する際には、基本的にシャッタースピードやフィルム感度などで対応することになります。

NDフィルターによる光量調整も可能

Reflex 500mm F8 S.S.C.では34mm径の差し込み式フィルターを使用します。

当時のキヤノン資料では、絞り機構がないため、必要に応じて34mmのNDフィルターを使用して光量を調整できることも案内されていました。

一般的なレンズのように前面の大型フィルターを交換するのではなく、光路内へ小型フィルターを差し込むという構造も、このレンズならではの面白いポイントです。

レフレックスレンズ名物「ドーナツボケ」

レフレックスレンズを語るうえで避けて通れないのが、

ドーナツボケ

です。

反射光学系では光路の中央部がミラーによって遮られるため、ピントが外れた点光源などが通常の丸いボケではなく、中央が抜けたリング状になります。

イルミネーションや木漏れ日などを背景にすると、

「○ ○ ○ ○ ○」

という特徴的なボケが現れることがあります。

これを欠点と見るか、表現の一部として楽しむか。

ここがレフレックスレンズの面白いところです。

一般的なレンズで滑らかなボケを追求するのとは正反対で、クセの強さそのものが個性になります。

500mmという超望遠の世界

焦点距離500mmになると、標準レンズとはまったく違う撮影になります。

遠くにある被写体を大きく引き寄せることができるため、

  • 野鳥
  • 野生動物
  • 航空機
  • 鉄道
  • スポーツ
  • 月
  • 遠景

などの撮影に向いた焦点距離です。

一方で画角が非常に狭いため、ファインダー内へ被写体を入れるだけでも慣れが必要です。

さらにCANON REFLEX LENS 500mm F8はマニュアルフォーカスです。

500mmの狭い画角を追いながらピントリングを操作する――。

現代のAF超望遠レンズに慣れていると、かなり原始的な撮影体験に感じるかもしれません。

しかし、それもフィルム時代の超望遠撮影の面白さです。

手持ち撮影も想定された500mm

重量は約740g。

500mmとして考えればかなり軽量で、キヤノン自身もこのレンズについて手持ち撮影を可能にした超望遠レンズと説明しています。

とはいえ500mmともなれば、わずかなカメラの動きでも画面上では大きなブレになります。

特にF8固定なので暗い場所ではシャッタースピードが低下しやすく、実際の撮影では三脚や一脚を使ったほうが安定する場面も多いでしょう。

鏡筒には三脚座も備えられていました。

S.S.C.コーティングを採用

FD時代のモデルには「S.S.C.」の名称が付きます。

S.S.C.は「Super Spectra Coating」の略で、キヤノンが当時展開していた多層膜コーティングです。

レフレックスレンズでは内部反射によるコントラスト低下が問題になりやすいため、この500mm F8ではレンズ全面に多層膜コーティングを施し、さらに鏡筒内部にも反射を抑えるための処理が行われていました。

単に鏡を使って小さくしただけではなく、反射光学系特有の弱点に対しても対策されていたわけです。

New FD版も存在する

中古市場で探す際に覚えておきたいのが、後継となるNew Reflex 500mm F8も存在することです。

こちらは1980年3月発売。

主な仕様は、

  • 3群6枚
  • F8固定
  • 最短撮影距離4m
  • 最大撮影倍率0.14倍
  • 最大径90mm
  • 全長146mm

と基本的には近いものの、重量は705gとなっています。発売時価格は82,000円でした。

そのため中古品では、

旧FDのReflex 500mm F8 S.S.C.

と

New FDのNew Reflex 500mm F8

を混同しないよう確認したいところです。

中古で確認したいポイント

CANON REFLEX LENS 500mm F8は現在ではかなり古いレンズです。

中古品を購入する際には、一般的なオールドレンズと同様に状態確認が重要です。

特にチェックしたいのは、

  • レンズ内部のカビ
  • クモリ
  • ミラーの劣化
  • コーティングの状態
  • ピントリングの動作
  • フィルターの有無
  • 三脚座の状態
  • マウント部分の状態

などです。

このレンズの場合、通常のレンズには存在する「絞り羽根の油染み」については気にする必要がありません。

なぜなら――。

そもそも絞り羽根がありません。

中古レンズチェック界における、まさかの不戦勝です。

一方、ミラーレンズなので内部の反射面など、この方式特有の状態にも注意したいところです。


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まとめ

CANON REFLEX LENS 500mm F8は、反射光学系を利用することで500mmという超望遠をコンパクトな鏡筒に収めた、キヤノンの個性的なレフレックスレンズです。

FD時代のReflex 500mm F8 S.S.C.は1978年発売。

全長146mm、重量740gというサイズながら、焦点距離は堂々の500mmです。

そして、

  • F8固定
  • 絞り羽根なし
  • 反射光学系
  • 500mm超望遠
  • ドーナツ状のボケ
  • コンパクトな鏡筒

という、普通の交換レンズとはかなり異なる特徴を持っています。

現代では高性能なAF超望遠ズームも数多く存在するため、実用性だけを考えてこのレンズを選ぶ必要はないかもしれません。

しかし、光を鏡で折り返して500mmを小型化するという発想そのものや、レフレックスレンズ特有の描写には、現代のレンズとは違った魅力があります。

「500mmなのに短い。そしてボケがドーナツになる。」

スペック表を眺めているだけでも面白い、フィルムカメラ時代ならではのユニークな超望遠レンズです。

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