Canon C-8 75mm F3.2とは?Cine 8-T用超望遠シネレンズの特徴と中古購入時の注意点
Canon C-8 75mm F3.2は、キヤノンが1950年代の8mmムービーカメラ用として展開した交換式シネレンズです。
鏡筒には、
CANON LENS C-8 75mm F3.2
などの刻印を持つ個体が確認されています。
代表的な対応カメラは、1956年に登場したキヤノン初の8mmシネカメラ、
Canon Cine 8-T。
Cine 8-Tでは、
- 6.5mm
- 13mm
- 25mm
- 38mm
- 50mm
- 75mm
という6種類の焦点距離に対応する交換レンズシステムが用意されました。
その中で75mmは最も長い焦点距離。
つまり、
Cine 8-Tシステムの超望遠担当
です。
35mm写真用レンズなら75mmは中望遠。
ポートレート用くらいの印象があります。
しかしこれはRegular 8/Double 8という非常に小さな映画画面用。
同じ75mmでも画角はまるで違います。
Cine 8-Tの撮影画面サイズ約3.7×4.9mmから単純に対角線比で考えると、35mm判ではおおむね、
約530mm相当。
まさに超望遠です。
現在ではCanon Cine 8-Tをオリジナル状態で楽しむほか、特殊なアダプターや改造によって小型センサーのデジタルカメラへ装着し、オールドシネレンズとして楽しむ方法もあります。
ただし、このレンズでは光学状態以上に、
マウントを正しく理解すること
が重要です。
Canon Cine 8-Tは、一般的なDマウントではなくキヤノン独自のバヨネットマウントを採用しています。
中古購入では、
「8mmレンズだからDマウントだろう」
と決めつけないようにしましょう。
Canon Cine 8-Tは1956年登場
Canon Cine 8-Tは1956年11月に発売されました。
発売時価格は48,000円。
キヤノン初の8mmムービーカメラであり、日本製8mmシネカメラとしても非常に初期の製品です。
特徴は、
2本ターレット式レンズ交換機構。
ボディ前面へ2本のレンズを同時に装着できます。
例えば、
13mm F1.8を標準。
75mm F3.2を超望遠。
として装着。
普段は13mm。
遠くの被写体を大きく撮りたいときはターレットを回して75mm。
現在のズームレンズとはまったく違い、
単焦点レンズそのものを回転させて画角を変える
仕組みです。
Regular 8/Double 8用
Cine 8-TはRegular 8方式。
一般にDouble 8とも呼ばれるフィルムを使用します。
フィルムそのものは16mm幅。
まず片側を撮影。
フィルムを裏返してもう片側を撮影。
現像後に中央で縦方向へ裁断し、8mm幅のフィルムとして上映します。
Cine 8-Tの撮影画面サイズは約、
3.7×4.9mm。
35mm判の24×36mmと比べれば圧倒的に小さな画面です。
だから75mmが超望遠になります。
75mmなのに約530mm相当の画角
ここがCanon C-8 75mm F3.2最大の面白さです。
焦点距離そのものは75mm。
しかし画角は使用フォーマットによって変わります。
35mm判の対角線は約43.3mm。
Cine 8-Tの3.7×4.9mm画面では対角線約6.1mm。
比率は約7倍。
75mm×約7倍で、
約530mm相当。
もちろんこれは単純な対角線換算ですが、画角感を理解するには非常に分かりやすい数字です。
75mm=ポートレートレンズではない
35mm判では75~85mmは人物撮影向け中望遠。
しかし8mm映画では違います。
C-8 75mmは、
遠くの人物。
スポーツ。
動物。
舞台。
建物の一部。
遠景。
などを大きく引き寄せるための超望遠レンズです。
Cine 8-T用レンズ群の最長焦点
Cine 8-Tのファインダーは、
6.5mm。
13mm。
25mm。
38mm。
50mm。
75mm。
すべての画角へ対応する設計です。
つまり75mmは、単に後から誰かが取り付けた特殊レンズではありません。
キヤノンがシステムとして想定した正規の焦点距離のひとつ。
です。
現存するCine 8-T用レンズセットでも、
6.5mm F1.8。
13mm F1.8。
25mm F1.8。
38mm F1.8。
50mm F2.2。
75mm F3.2。
という6本の組み合わせが確認されています。
開放F3.2
Canon C-8 75mmの開放F値は、
F3.2。
標準13mm F1.8や25mm F1.8と比較すると暗くなります。
しかし75mmという長い焦点距離を、8mmシネカメラの小型交換レンズとしてまとめることを考えれば非常に興味深い仕様です。
超望遠撮影では明るさが重要
映画撮影では1コマだけ、
「ちょっとシャッター速度を1/4秒にしよう」
ということができません。
毎秒16コマなど一定速度で連続撮影します。
そのため暗い場所では、
フィルム感度。
照明。
レンズのF値。
が非常に重要です。
75mm F3.2を使うなら、明るい屋外の方が扱いやすいでしょう。
Cine 8-Tは16~64fps対応
Cine 8-Tは、
- 16fps
- 24fps
- 32fps
- 48fps
- 64fps
という撮影速度に対応します。
ゼンマイ式スプリングモーターによってフィルムを送ります。
16fps時のシャッター速度は約1/35秒。
24fpsなら約1/52秒。
フレームレートを上げれば露光時間はさらに短くなります。
つまり75mm F3.2で48fpsや64fpsを使うには、かなり明るい条件が必要になります。
165度ロータリーシャッター
Cine 8-Tのシャッター開角は165度。
ムービーカメラでは静止画カメラのような横走り・縦走りフォーカルプレーンではなく、回転式シャッターによって連続露光します。
75mm F3.2そのものに撮影用シャッターが入っているわけではありません。
レンズは、
ピント。
絞り。
光学系。
を担当。
露光時間はカメラ側です。
キヤノン独自バヨネットマウント
中古で最重要です。
Canon Cine 8-Tの純正マウントは、
キヤノン式バヨネット。
一般的なDマウントではありません。
Dマウントとの違い
Dマウントは、
5/8インチ径。
32山。
ねじ込み式。
という8mmシネレンズ規格です。
ARCO。
Bolex系。
その他多数のメーカーで使用されました。
しかしCine 8-T純正レンズは、
独自バヨネット。
レンズをネジでクルクル回して取り付ける構造ではありません。
「C-8マウント」と呼ばれることもある
中古市場や愛好家の間では、
Canon C-8 mount
などと呼ばれる場合があります。
ただしキヤノン公式仕様では単に、
Canon bayonet
として説明されています。
したがってこの記事では、
Cine 8-T用キヤノン独自バヨネット
と考えます。
C-8 75mm F3.2をCマウントと間違えない
名前に、
C-8
とあります。
だからといって、
Cマウント
ではありません。
C-8はレンズシリーズ・シネシステム側の表記。
C-mountとはまったく別問題です。
中古商品で、
「Cマウント?」
と書かれている場合は、後端形状を必ず確認しましょう。
Dマウントとも間違えない
さらにややこしいのが、キヤノン製8mmシネレンズにはDマウント仕様の現存例もあることです。
つまり、
Canon製8mm単焦点レンズ=全部Cine 8-Tマウント
とも限りません。
そのため購入時は、
型番だけ。
メーカーだけ。
焦点距離だけ。
ではなく、
実物後端を見る。
これが最も確実です。
75mm F3.2の現存個体はC-8マウントで確認できる
現在の中古市場では、
Canon C-8 75mm F3.2 Prime Lens for C-8 8mm Movie Cine Camera Mount
などとして、Cine 8-T系独自マウントの75mm F3.2が実際に流通しています。
またCine 8-T交換レンズセットとしても75mm F3.2が確認されています。
したがって、今回の記事対象は基本的に、
Cine 8-T用C-8バヨネット型75mm F3.2
です。
フォーカスはマニュアル
もちろんAFはありません。
フォーカスリングを回して被写体距離へ合わせます。
75mmという長焦点なので、13mm標準よりピントははるかにシビアです。
8mmでも75mmならピントに注意
小さな8mmフォーマットは被写界深度が深い。
これは事実です。
しかし75mmまで長くなると話が変わります。
近距離。
F3.2開放。
では被写界深度が浅くなり、ピント位置の誤差が目立ちます。
そのためCine 8-T側にも、長焦点レンズ使用を意識した精密なファインダー機構が用意されています。
Cine 8-Tはファインダー倍率も切り替える
Cine 8-T最大の技術的特徴のひとつです。
単にフレーム枠だけを変えるのではありません。
使用レンズに合わせて、
画角。
ファインダー倍率。
まで変化させます。
特に75mmのような超望遠では、標準13mmと同じ低倍率ファインダーでは細かな構図・ピント確認が難しくなります。
そこで長焦点レンズへ対応する倍率切り替えが用意されました。
ピントガラス式精密フォーカシング
Cine 8-Tにはピントガラスを利用した精密フォーカシング機構も備えられています。
75mm F3.2のような長焦点レンズでは非常に重要です。
標準13mmなら被写界深度で多少の誤差を吸収できます。
しかし75mmでは、
ピントがズレれば普通に分かる。
そのため実際の焦点面を確認できる仕組みが役立ちます。
パララックス自動補正
Cine 8-Tではファインダーと撮影レンズの位置が異なります。
そのため近距離では構図のズレが発生します。
これがパララックス。
しかしCine 8-Tは、
フォーカス位置に連動してパララックスを自動補正
します。
キヤノンが当時この機構を大きな特徴としていた理由が分かります。
6.5mmから75mm。
ものすごい画角差です。
それを一つのファインダーシステムへ対応させています。
絞りは機械式マニュアル
Canon C-8 75mm F3.2には電子制御などありません。
絞りリングを直接回してF値を設定します。
カメラとの電子通信。
自動露出。
自動絞り。
ありません。
完全機械式シネレンズです。
電池不要
レンズにも電池不要。
Cine 8-T本体もスプリングモーター式。
露出計を別途使用するならともかく、撮影機構そのものは電池へ依存しません。
1950年代らしい完全機械式システムです。
光学構成は断定しない
ここはJFCではきっちりしておきたいところです。
Canon C-8 75mm F3.2について、
焦点距離。
開放F3.2。
Cine 8-T用交換レンズ。
75mm対応ファインダー。
独自バヨネット。
などは資料から確認できます。
しかし今回確認できたキヤノン公式公開資料には、
75mm F3.2単体のレンズ構成が掲載されていません。
したがって、
3群4枚。
4群5枚。
などと推測で書くのは避けます。
古いシネレンズではネット上に推測スペックが広がりやすいため、一次資料で確認できないものは「不明」とする方が安全です。
最短撮影距離も実物優先
同様に、75mm F3.2単体の公式最短撮影距離は今回の公開一次資料から確定できません。
Cine 8-T公式仕様には標準レンズ側のフォーカシング情報がありますが、それを75mmへそのまま転用するのは危険です。
中古では、
実物の距離目盛を確認する。
これが最も確実です。
フィルター径も現物確認を推奨
Cine 8-Tレンズ群では小型フィルターを使用しますが、75mm F3.2について公式公開仕様から径を確定できないため、フィルター購入前には実物を測定しましょう。
古いレンズでは、
前枠交換。
ステップリング固着。
改造。
などが行われた個体もあります。
現代デジタルで遊べるか
物理的には可能です。
問題は、
アダプター。
です。
Cine 8-T独自バヨネットなので、Dマウント→PENTAX Qのような一般的アダプターでは装着できません。
C-8マウントを受ける専用アダプター。
あるいは加工品。
自作アダプター。
などが必要になります。
PENTAX Qなら超望遠化する
初代PENTAX Q/Q10の35mm判換算倍率は約5.5倍。
75mm×約5.5で、
約410mm相当。
Cine 8-T本来のRegular 8画面よりPENTAX Qの方が大きいため、本来の約530mm相当よりは広い画角になります。
それでも十分な超望遠です。
Q7・Q-S1なら少し広くなる
Q7/Q-S1は初代Qよりセンサーが大きいので、換算画角はさらに広くなります。
ただし大きなセンサーを使うほど、
- 周辺減光
- 周辺像の崩れ
- イメージサークル不足
が出やすくなります。
75mmは長焦点なので短焦点C-8レンズよりカバーしやすい可能性はありますが、
センサー全面を保証された写真用レンズではありません。
実写確認が必要です。
マイクロフォーサーズやAPS-Cでは?
装着自体はアダプター次第です。
ただし本来は約3.7×4.9mmの画面用。
Micro Four Thirds。
APS-C。
フルサイズ。
ははるかに大きい。
画面全面を普通の75mmレンズとしてカバーすることは期待しない方がよいでしょう。
フルサイズ75mmとして使うレンズではない
特に注意。
75mm F3.2という数字だけ見れば、
「フルサイズで渋い中望遠レンズとして使えそう」
と思えます。
しかしこれは8mmシネ用。
イメージサークルがまったく違います。
フルサイズへ装着できたとしても、
巨大なケラレ。
円形像。
周辺真っ黒。
になる可能性があります。
Canon C-8 75mm F3.2の主な仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | Canon |
| レンズ名 | CANON LENS C-8 |
| 焦点距離 | 75mm |
| 開放F値 | F3.2 |
| 用途 | 8mmムービーカメラ |
| 主な対応機 | Canon Cine 8-T系 |
| フォーマット | Regular 8/Double 8 |
| Cine 8-T画面 | 約3.7×4.9mm |
| 8mm上の位置づけ | 超望遠 |
| 35mm換算目安 | 約530mm相当 |
| フォーカス | MF |
| 絞り | マニュアル |
| マウント | Cine 8-T用Canon独自バヨネット |
| Dマウント | 純正Cine 8-T用とは別 |
| AF | なし |
| 電子接点 | なし |
| 手ブレ補正 | なし |
| 光学構成 | 公開一次資料では確認できず |
| 最短撮影距離 | 公開一次資料では単体値を確認できず |
| 時代 | 1950年代後半のCine 8-Tシステム |
中古購入時に確認したいポイント
Canon C-8 75mm F3.2は70年近く前のシネレンズです。
チェックすべきなのは、
レンズそのもの。
そして、
マウント。
です。
最初に銘板を見る
確認するのは、
CANON
C-8
75mm
F3.2
です。
Cine 8-Tには、
6.5。
13。
25。
38。
50。
75mm。
と多数の焦点距離があります。
小さな商品写真では取り違えやすいので、必ず正面刻印を読みましょう。
75mm F3.2か確認
特に50mm F2.2と混同しないようにします。
50mm。
75mm。
どちらも長焦点側。
鏡筒形状も標準13mmより長くなります。
焦点距離刻印を優先します。
マウント後端を見る
超重要です。
Cine 8-T用独自バヨネットか。
Dマウント化されているか。
別マウントへ改造されているか。
を確認します。
商品タイトルだけでは判断しない。
これに尽きます。
改造痕
現代デジタル用へ改造された個体では、
- 削り跡
- 新しいネジ
- 接着剤
- 追加リング
- 金属切削
- 不自然なスペーサー
などが見られます。
改造品は用途次第
PENTAX Qで使いたいなら、精度よく改造された個体は便利です。
しかしCine 8-Tコレクションなら価値は別。
オリジナルマウントを重視したいところです。
バヨネットの状態
純正Cine 8-Tへ装着できるなら実際に取り付けます。
正常なら、
最後まで入る。
ロックする。
回転ガタが少ない。
前後にぐらつかない。
ことを確認します。
ターレットへの干渉
75mmはC-8レンズ群の中でも長いレンズです。
Cine 8-Tのターレットへ装着。
もう一本のレンズも装着。
ターレットを回します。
干渉しないことを確認しましょう。
前枠やフードが変形していると隣レンズへ接触する場合があります。
フォーカスリング
距離環全域を動かします。
確認するのは、
- 滑らか
- 重すぎない
- ガタがない
- 途中で引っ掛からない
- 最短側まで動く
- 無限遠側まで動く
ことです。
ヘリコイド固着
1950年代レンズでは十分あり得ます。
古いグリースが、
硬化。
乾燥。
粘着化。
してフォーカスリングが猛烈に重くなる場合があります。
小型鏡筒なので力任せに回すのは危険です。
無限遠
Cine 8-Tへ取り付けて遠景へ合わせます。
ファインダー精密フォーカス。
距離目盛。
実写。
を比較します。
デジタルへ改造されているなら液晶拡大表示で確認します。
アダプター使用時の無限遠
無限遠が出なくても即レンズ故障とは限りません。
アダプター厚。
スペーサー。
改造マウント位置。
が原因の可能性があります。
特に古いシネレンズをデジタルへ適応するときは、
アダプターもピント機構の一部
と考えましょう。
カビ
LEDライトを斜めから入れます。
見るのは、
糸状。
蜘蛛の巣状。
枝状。
白い点の集合。
です。
75mmは短焦点レンズより鏡筒が長いので、前後両方向から確認します。
内部曇り
かなり重要です。
白い霧。
油膜状。
煙状。
なら曇りを疑います。
長焦点シネレンズで曇りがあると、
逆光コントラスト。
黒の締まり。
解像感。
へ大きく影響します。
前玉
確認するのは、
- 深い傷
- 拭き傷
- カビ跡
- コーティング剥離
- 欠け
です。
古い望遠レンズではフードなしで使われ、前玉へ傷が付いている場合があります。
後玉
こちらも重要。
- カビ
- 曇り
- 傷
- 指紋
- 油
を確認します。
マウント加工品では、加工時に後玉付近へ金属粉が入っていないかも見たいところです。
レンズ内部のゴミ
少量のチリは70年近いレンズでは珍しくありません。
実写への影響は小さい場合が多いです。
優先順位は、
チリより曇り。
チリよりカビ。
チリより後玉傷。
です。
絞りリング
開放F3.2から小絞り側まで動かします。
確認するのは、
滑らか。
固着なし。
引っ掛かりなし。
空回りなし。
です。
絞り羽根
ライトを当てて確認します。
- 全羽根が動く
- 一枚だけ外れていない
- 開放まで完全に開く
- 小絞りまで閉じる
- 羽根同士が引っ掛からない
ことを見ます。
羽根の油
手動絞りなので、少量の油が即撮影不能へ直結するとは限りません。
しかし大量の油は、
固着。
粘り。
内部汚染。
の原因になります。
状態評価ではマイナスです。
F3.2開放で実写
デジタルへ装着できるなら必ず行います。
F3.2。
1段程度絞る。
さらにF5.6~8付近。
と比較します。
見るのは、
中央解像。
コントラスト。
色収差。
フレア。
ボケ。
です。
片ボケ
平面的な遠景を撮ります。
左。
中央。
右。
を比較。
一方だけ極端に甘ければ、
- 光学系偏芯
- 落下
- マウント変形
- 改造精度
- アダプター傾き
などを疑います。
望遠ほどカメラブレに注意
PENTAX Qなら約400mm級。
Cine 8-T本来では約530mm級。
猛烈な望遠です。
手持ちテストで、
「このレンズ、全然シャープじゃない!」
となっても、
ただの手ブレ
という可能性があります🤣
性能確認では三脚を使いましょう。
Cine 8-T本体ならカメラブレ対策が重要
8mm映画では静止画一枚のブレだけではありません。
撮影中ずっと揺れれば映像全体が揺れます。
75mm使用時には、
三脚。
しっかりしたグリップ。
パンヘッド。
などを活用した方が安定します。
ファインダー75mm位置
Cine 8-Tへ装着するならファインダー側も75mmへ合わせます。
75mm用画角が正常に表示されることを確認します。
ファインダー切り替え機構が固着している古いボディもあるため、無理に動かさないようにします。
パララックス補正
フォーカスリングを動かし、
近距離。
中距離。
無限遠。
でファインダー側の補正機構が動くことを確認します。
これはレンズ単体というよりCine 8-T本体側のチェックです。
フードが付属するなら価値あり
75mmは超望遠。
フレア防止のためフードとの相性もよい焦点距離です。
純正フード。
キャップ。
ケース。
箱。
が残っている個体なら、コレクション価値も上がります。
特に小型シネレンズは前後キャップが失われやすいため、純正付属品は貴重です。
リアキャップは重要
独自バヨネットなので、一般的な汎用リアキャップが合わない可能性があります。
リアキャップ付き個体なら、
マウント。
後玉。
を保護できます。
中古セットでは地味に重要な付属品です。
Canon C-8 25mm F1.8との違い
先ほどの25mm F1.8と比較すると性格が一気に変わります。
| 項目 | C-8 25mm F1.8 | C-8 75mm F3.2 |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 25mm | 75mm |
| 開放 | F1.8 | F3.2 |
| Regular 8での用途 | 望遠 | 超望遠 |
| 35mm換算目安 | 約177mm | 約530mm |
| ピント | MF | MF |
| 純正マウント | Canon独自バヨネット | Canon独自バヨネット |
| 用途 | 人物・中距離など | 遠景・スポーツ・遠距離など |
25mmでも十分望遠。
75mmはその3倍。
かなり特殊な世界です。
13mm F1.8との違い
13mmはCine 8-T標準。
75mmは約5.8倍の焦点距離です。
13mmでは街や人物を普通に撮る。
75mmなら遠くを切り取る。
現代ならズームリングをひねれば一瞬。
1956年なら、
ターレットを回してレンズそのものを交換する。
これが楽しいところです。
C-8レンズ6本を揃える面白さ
コレクションとしてはかなり魅力があります。
6.5mm F1.8。
13mm F1.8。
25mm F1.8。
38mm F1.8。
50mm F2.2。
75mm F3.2。
これを並べる。
広角。
標準。
望遠。
超望遠。
1950年代の8mm映画システムがそのまま再現できます。
中古で優先したい順番
Canon C-8 75mm F3.2なら、
①75mm F3.2であること
②マウント形状
③改造の有無
④カビ
⑤曇り
⑥後玉
⑦フォーカスリング
⑧絞り
⑨バヨネットのガタ
⑩F3.2実写
⑪片ボケ
⑫イメージサークル
の順で確認するとよいでしょう。
ボディより先にアダプターを考える
現代デジタルで遊ぶ目的なら、かなり重要です。
レンズを買う。
↓
「よし、PENTAX Qに付けよう」
↓
Dマウントアダプター購入。
↓
付かん。
この事故を避けましょう🤣
Cine 8-T用C-8バヨネットをどう変換するのか。
先に確認。
その後レンズ購入。
この順です。
Canon C-8 75mm F3.2が向いている人
このレンズは、
- Canon Cine 8-Tを所有している人
- 8mm映画機材を集めている人
- Canonのシネレンズが好きな人
- 1950年代キヤノンを研究している人
- PENTAX Qなどで特殊望遠を楽しみたい人
- 超小型の超望遠レンズに興味がある人
- 独自マウントが好きな人
- C-8レンズ6本を集めたい人
に向いています。
特に、
「75mmが530mmになる世界って何だよ」
と思った人。
その時点でもうシネレンズ沼の入口に立っています🤣
向いていない人
一方、
- フルサイズ75mmとして使いたい
- AFが欲しい
- 手ブレ補正が欲しい
- 市販アダプターですぐ使いたい
- 電子接点が必要
- 周辺まで現代レンズ級を求める
- 修理や改造を避けたい
人には向きません。
これは写真用75mmの代用品ではありません。
8mm映画用超望遠レンズです。
まとめ
Canon C-8 75mm F3.2は、1950年代のCanon Cine 8-Tシステム用として存在する8mm映画用超望遠シネレンズです。
焦点距離は、
75mm。
開放、
F3.2。
しかしRegular 8の約3.7×4.9mmという小さな撮影画面で使用するため、35mm判換算の画角感はおおむね、
約530mm級。
75mmだから中望遠。
ではありません。
超望遠です。
そしてCanon Cine 8-Tには、
6.5。
13。
25。
38。
50。
75mm。
という6種類の焦点距離へ対応する高度なファインダーが組み込まれていました。
レンズ交換式。
2本ターレット。
画角切り替え。
倍率切り替え。
パララックス自動補正。
ピントガラス式精密フォーカシング。
1956年として猛烈に凝った8mmカメラです。
ただし中古購入では、
マウントが最大の注意点。
Cine 8-Tはキヤノン独自バヨネット。
普通のDマウントではありません。
C-8という文字を見てCマウントと勘違いするのもNG。
現代デジタルへ使うなら、
まずアダプター。
次にレンズ。
です。
そしてレンズ本体では、
カビ。
曇り。
前玉。
後玉。
フォーカス。
絞り。
マウントガタ。
改造。
片ボケ。
を確認する。
また光学構成や最短撮影距離は、信頼できる公開一次資料で確認できない数字を無理に埋めないことも重要です。
分からないものは分からない。
それでも、
75mm F3.2。
Cine 8-T。
独自バヨネット。
Regular 8。
超望遠。
という、このレンズの正体は十分に見えてきます。
1956年。
キヤノン初の8mmシネカメラ。
ターレットの片側に13mm標準。
もう片側に75mm F3.2。
遠くの被写体を撮りたくなったら、
ターレットを、
ガチャッ。
ファインダーを75mmへ。
フォーカスを合わせる。
ゼンマイモーターを回す。
撮影。
現在なら一本の高倍率ズームで済む仕事を、単焦点レンズと金属機構だけで実現していた時代です。
Canon C-8 75mm F3.2は、75mmという一見普通の焦点距離をRegular 8の世界で約530mm級の超望遠へ変えてしまう、Canon Cine 8-Tシステム最長焦点の小さなシネレンズです。









