



Nikon F blackにフォトミックファインダーとモータードライブF-36を組み合わせた仕様は、ニコンFシステムの拡張性を象徴する構成です。
露出計を内蔵した大型ファインダーと、フィルムを自動で巻き上げるモータードライブを装着した姿は迫力があり、通常のアイレベルファインダー仕様とは大きく印象が異なります。
ただし、フォトミックファインダーには複数の世代があります。実機の型式が確認できない場合は、単に「フォトミックファインダー」として扱い、外観だけでFTNなどと断定しないことが重要です。
Nikon F blackとは
Nikon Fは、1959年に登場した35mm判のレンズ交換式一眼レフカメラです。
ファインダー、フォーカシングスクリーン、レンズ、モータードライブなどを交換できるシステムカメラとして設計され、報道、学術、産業用途を含む幅広い分野で使用されました。ニコン公式資料では、ファインダー視野率100%、交換式ファインダー、大口径バヨネットマウント、ミラーアップ機構などが特徴として挙げられています。
ブラックボディーの特徴
Nikon Fには、シルバーとブラックの外装があります。
ブラックモデルも基本的な機構は共通ですが、黒く塗装された外装によって、より精悍で業務用機材らしい印象を受けます。
中古品では、角や底部、ストラップ取り付け部などの塗装が摩耗していることがあります。こうした使用感を味として楽しむ人もいますが、外観状態を重視する場合は、塗装剥がれや再塗装の有無を確認しましょう。
Nikon Fの主な特徴
ファインダーとスクリーンを交換できる
Nikon Fの大きな特徴が、ファインダーを取り外して交換できることです。
標準的なアイレベルファインダーだけでなく、ウエストレベルファインダーや露出計を内蔵したフォトミックファインダーなどを、撮影目的に応じて使用できます。フォーカシングスクリーンも交換式で、一般撮影から接写、顕微鏡撮影まで対応できるシステムが用意されました。
チタン製フォーカルプレーンシャッターを採用
Nikon Fは、チタン箔を使用したフォーカルプレーンシャッターを搭載しています。
ニコンはシャッター幕の軽量化、強度向上、太陽光による焼損防止を目的として、厚さ0.02mmのチタン箔を採用しました。シャッターを含む耐久試験では、モータードライブを使用して10万回の作動試験も行われています。
Nikon Fマウントを採用
レンズマウントには、ニコン独自のバヨネット式Fマウントを採用しています。
Nikon Fの発売時には、35mm、50mm、105mm、135mmなどのNIKKORレンズが用意され、その後も広角、望遠、ズーム、マクロなど多数のレンズが追加されました。
ただし、Nikon Fは非Ai時代のカメラです。装着できるかどうかだけでなく、絞り連動爪やフォトミックファインダーとの連動方法も確認する必要があります。
フォトミックファインダーとは
フォトミックファインダーは、露出計とファインダーを一体化した交換式ユニットです。
Nikon F本体には露出計が内蔵されていないため、装着するファインダーによって測光機能が変わります。
初代フォトミック
初代フォトミックファインダーは1962年4月に登場しました。
CdS受光素子を採用した外光式露出計を内蔵し、レンズの絞りとカメラのシャッター速度に連動します。TTL測光ではなく、ファインダー前面に入る光を測定する方式です。
フォトミックT
1965年9月に登場したフォトミックTでは、レンズを通過した光を測定するTTL測光が採用されました。
画面全体の明るさを平均的に測る方式で、開放測光と絞り込み測光に対応しています。
フォトミックTN
1967年4月に登場したフォトミックTNでは、画面中央部を重視する中央部重点測光へ変更されました。
フォトミックFTN
1968年9月に登場したフォトミックFTNは、測光範囲が拡大され、レンズ交換時の開放F値設定も簡略化されました。
Nikon F用フォトミックファインダーの完成形として知られていますが、外観の似たモデルがあるため、銘板や操作部を確認して型式を判断しましょう。
モータードライブF-36とは
F-36は、Nikon F用に用意された36枚撮り対応のモータードライブです。
カメラの通常の裏蓋と交換して装着し、外部のバッテリーケースから電力を供給することで、シャッター作動後のフィルム巻き上げとシャッターチャージを自動化します。
最大約3.6コマ/秒の連続撮影
Nikon Fのモータードライブは、最大約3.6コマ/秒の連続撮影に対応していました。
ニコンは、Nikon Fにおける一眼レフ用モータードライブの実用化を世界初と説明しています。手動巻き上げが一般的だった時代に、動く被写体を連続して撮影できることは大きな利点でした。
プロ用システムを象徴する装備
F-36と直結式バッテリーケースの組み合わせは、機動性の高いモータードライブシステムとして普及しました。
報道撮影だけでなく、科学記録や産業用途にも使われ、モータードライブは当時の上級者向け機材を象徴する存在となりました。
ボディーとの組み合わせを確認する
中古でF-36を購入するときは、モータードライブ本体だけでなく、カメラ側との接続状態も確認する必要があります。
Nikon F用モータードライブは、後年のカメラ用ワインダーのように、底部へ簡単に取り付けるだけの構造ではありません。モータードライブ付き裏蓋、バッテリーケース、接続部品などが揃っているかを確認しましょう。
Nikon F blackとF-36の基本仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| カメラ形式 | 35mm判一眼レフカメラ |
| 使用フィルム | 35mm・135フィルム |
| レンズマウント | Nikon Fマウント |
| ファインダー | 交換式 |
| フォーカシングスクリーン | 交換式 |
| シャッター | チタン箔フォーカルプレーンシャッター |
| ミラー | クイックリターン式・ミラーアップ対応 |
| 絞り | 自動復帰式 |
| フラッシュ同調 | スピードライト使用時1/60秒 |
| 本体重量 | 約685g |
| モータードライブ | F-36 |
| 連続撮影速度 | 最大約3.6コマ/秒 |
| 測光方式 | 装着するフォトミックファインダーによって異なる |
本体サイズは、50mm F2レンズ装着時で約147×98×89mmとされています。フォトミックファインダーとF-36を装着すると、高さと重量が大幅に増すため、携帯性よりも機能性と存在感を楽しむ構成といえます。
中古で購入するときの注意点
フォトミックファインダーの型式を確認する
「Nikon Fフォトミック」として販売されていても、装着されているファインダーが初代、T、TN、FTNのどれなのかによって測光方式が異なります。
まずはファインダーの名称や外観、操作部を確認しましょう。型式が分からないまま交換電池や使い方を調べると、別モデルの情報を参照してしまう可能性があります。
露出計の動作を確認する
フォトミックファインダー内の露出計は、経年劣化によって動作しないことがあります。
電池を入れた状態で明るい場所と暗い場所に向け、指針が変化するか確認します。指針が動いても正確とは限らないため、単体露出計やデジタルカメラの測光結果と比較するとよいでしょう。
使用する電池もファインダーの型式によって異なるため、電池室の形状と指定電圧を確認する必要があります。
プリズムとファインダー内部を確認する
ファインダー内のクモリ、カビ、腐食、黒い筋などを確認します。
フォトミックファインダーは通常のアイレベルファインダーより部品点数が多く、露出計が故障していてもファインダーとして使用できる場合があります。ただし、視野の汚れが強い個体は撮影時のピント合わせに影響します。
シャッターとミラーの動作
低速から高速までシャッターを切り、シャッター幕が途中で止まらないか確認します。
ミラーが上がったまま戻らない、巻き上げが極端に重い、シャッター幕に変形や穴がある場合は修理が必要です。動作が固いときに無理な力を加えるのは避けましょう。
モータードライブF-36の動作
バッテリーケースを接続し、モーターが回転するか、フィルム送りとシャッターチャージが連続して行われるか確認します。
モーター音がしても、カメラ側へ正常に動力が伝わっているとは限りません。接点の腐食、配線の劣化、ギアの固着にも注意が必要です。
ブラック塗装の状態
ブラックボディーでは、塗装剥がれ、傷、打痕が目立ちやすくなります。
シリアル番号周辺やロゴの仕上がり、塗膜の質感が不自然な場合は、再塗装されている可能性もあります。実用目的なら大きな問題ではありませんが、オリジナルの状態やコレクション性を重視する場合は確認しておきましょう。
どんな人に向いている?
Nikon F black+フォトミックファインダー+F-36は、次のような人に向いています。
- ニコンのプロ用一眼レフの歴史に興味がある人
- 機械式フィルムカメラを楽しみたい人
- 交換式ファインダーの構造に魅力を感じる人
- モータードライブの作動音や機械的な動きを楽しみたい人
- ブラックボディーの重厚なデザインが好きな人
- Nikon Fシステムをコレクションしたい人
一方、軽くて簡単に使えるフィルムカメラを探している人には向きません。フォトミックファインダーとF-36を装着した状態は大きく重く、露出計やモータードライブの整備にも一定の知識が必要です。
まとめ
Nikon F blackにフォトミックファインダーとモータードライブF-36を装着した構成は、Nikon Fが単なる一眼レフではなく、本格的なシステムカメラであったことを実感できる一台です。
フォトミックファインダーによって露出測定に対応し、F-36によって最大約3.6コマ/秒の自動巻き上げを実現しています。
中古品では、フォトミックファインダーの正確な型式、露出計、プリズム、シャッター、ミラー、F-36、バッテリーケースの状態を確認することが重要です。
完動品を実用する楽しみだけでなく、ブラックボディーと大型ファインダー、モータードライブが一体となった迫力ある姿を鑑賞できることも、この組み合わせならではの魅力です。









